一夏がシャアに拾われた件について   作:ロドニー

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哀しみは雨と共に流れて

 

 

 次の日の朝だが早くから扉をうるさく叩く音に目覚めた俺は時計を見ればまだ4時前で扉に付いている覗き穴から外を見ると反省房から脱走した箒だった。

 

 「一夏!!

 

 男である貴様が銃器を使うとは何事だ!!

 

 その根性を叩き直してやる!!」

 

 完全に覚めた以上、無視を決め込み俺達三人の朝食と五人分のお昼の弁当を作り始める。

 

 たが、箒は扉を叩く事を止めずに叩き続ける。

 

 そして、気配が一度は消えたが再び気配を感じて覗くと扉を日本刀で斬ろうとするが、昨日の生徒会長の一件と鈴の一件の報告で束さんに連絡を入れてあり、防爆仕様で爆薬を使われても壊れない電子鍵式の扉へと換えて貰っていたのだったので、箒が扉を斬ろうとしても重厚な扉には傷すらつかないで箒が疲れるだけだった。

 

 「篠ノ之、貴様反省房からの脱走では足りず、器物損壊とは良い度胸だな?」

 

 「一夏を叩き直そうとしただけです!!」

 

 「じゃかしい!!」

 

 ドッガァ

 

 そして、寮長が時間となり目覚めたらしくて箒は千冬姉に頭を拳骨で殴られ再び反省房へと連行されていったのだった。

 

 「ふあぁぁ…イチカ何か在ったの?」

 

 アンが今の騒ぎで目覚めたが、アンの裸Yシャツ姿は辞めて欲しい。

 

 鈴までがアンに釣られて裸Yシャツを真似をする始末で俺の理性がガリガリと削られ、俺は卒業するまでは手を出さないつもりでも、二人一緒になって裸Yシャツでベッドで一緒に寝る為に非常にキツかった。

 

 

 朝食を済ませて教室へと向かう。

 

 「寝てたから気付かなったけど、馬鹿箒は本当に懲りないわね」

 

 「全く、救えないわ」

 

 二人には朝の出来事を話してあり、一応は束さんからの伝言で警戒する様には言ってある。そして、束さんだが近く両親に会うらしくて両親に謝って寄りを戻して本社近くの自宅に一緒に住むらしい。

 

 箒に関しては、昨日と今朝の事を報告で知って手遅れになる前にIS委員会を通じて日本政府経由で箒に絶縁状を送るらしい。

 

 束さんが電話で言うには、IS委員会は自分を恐れて箒への罰則を絶対に緩くするだろうから、事前にIS委員会と日本政府経由で絶縁状を送れば馬鹿共も理解するし、箒への厳罰化も出来ると電話で話していた。

 

 だが、俺的には今朝の事から箒は無理だと思っていた。近々何か起こるのでは無いかと何故か頭の中に響く警鐘が鳴り止まないでいる。

 

 

 そして、三人で仲睦まじく教室へと歩くが、生徒達が俺達を見るとブラックコーヒーをがぶ飲みしながら壁を殴る現象が頻発しているのは何故と、三人は首を傾げるのだった。

 

 

 そして、SHRになり千冬姉は肝心な事を忘れていたらしい。

 

 「クラスの中からクラス代表を決めて貰う。自他の推薦は問わないので構わない」

 

 そう、千冬姉はクラス代表を決め忘れていたらしい。

 

 「織斑くんが良いです!!」

 

 「私も!!」

 

 「じゃあ、俺はアンを推薦する」

 

 「えっ、イチカ!?」

 

 千冬姉から聞いたクラスメイトは挙って俺を推薦する。そして、俺もアンを推薦する。

 

 だが、それを気に食わなかった生徒が居た。

 

 そう、入学試験の実技試験でスコールさんの地雷を踏み抜き、キレたスコールさんから蹂躙劇を受けたセシリアだった。

 

 「納得出来ませんわ!!

 

 この、次席のセシリア・オルコットを抜いていませんわ!!」

 

 だが、アンがゆっくりと立ち上がりセシリアを煽る

 

 「へぇ、勇者が次席だったんだ」

 

 アンは煽るように実技試験でセシリアがやらかした事を暴露していた。

 

 「「「「勇者?」」」」

 

 「だって、あんたはミューゼル先生の実年齢を言ってしまって入試の実技試験で地雷を踏み抜いたじゃん。

 

 それに、あたしとイチカは主席だよ」

 

 クラスメイトは一学年の実技担当教師で、あの美貌の塊ともいえるミューゼル先生を怒らせてしまった理由に納得する。

 

 「まさか、入試を観てましたの!?

 

 それに、二人が主席!?」

 

 「だって、あの日はあたしの後に実技試験を受けていたし、あんたの後にはイチカが受けていたわよ」

 

 「馬鹿にしてますの!!

 

 いくら、技術的に遅れた極東の猿がいい気に成らないで欲しいですわ!!」

 

 「なぁ、セシリア。

 

 あんたは代表候補生だろう?

 

 その発言はイギリスの発言として見て構わないよな?

 

 つまり、セシリアの発言から考えてイギリスは日本と戦争がしたいのか?」

 

 俺はセシリアの発言に対して忠告する。だが、彼女も女尊男卑なのか俺に対して聞く耳すらない。

 

 そして、次の発言に対して誰かがキレた。

 

 「男の貴方なんかに言われたくありませんわ!!

 

 それに、貴方が主席?

 

 面白いジョークですわ」

 

 ブッチン

 

 俺の耳に何かがキレた音が聞こえた。

 

 その音は後ろから聞こえて来て、振り向けばアンが凄い剣幕でセシリアを睨んでおり、腰にしているベルトに着けたホルダーにあるレーザーガンのグリップに手を伸ばしていた。

 

 ガン

 

 やはり、アンがキレて机を蹴り飛ばすとホルダーからレーザーガンを抜き叫ぶ。

 

 その叫びは、あの頃の男装がバレた時のお嬢様の口調だった。

 

 「貴女は、そんなに戦争がしたいのですか!!

 

 戦争で肉親が死んだ哀しみも、やるせなかった気持ちも貴女に何が判ると言うのですか!!

 

 さぁ、お答えなさい!!」

 

 「ヒィ!?」

 

 セシリアの胸倉を掴み、レーザーガンの銃口をセシリアの口の中に押し込むアンにセシリアは小さな悲鳴を上げる。

 

 織斑先生と山田先生が状況的に不味いと判断してアンを止めに入るが、キレているアンは銃口を更に押し込み辞める気は無かった。

 

 「アン、そこまでだ!!」

 

 「お義姉様、お黙りになって!!」

 

 アンは辞める気が無い為にセシリアの胸倉を掴んだ手を離し、アサルトライフルを量子変換で出して左手で握り、止めに入った千冬姉と山田先生にアサルトライフルの銃口を向けて牽制する。

 

 「ムッゴゴ!!」

 

 銃口を口の中に押し込まれて何も話せないセシリアは、アンに抵抗しながら抗議するが口の中に銃口が入っていて喋れず意味が判らない。 

 

 アンは仕方なく銃口を口から出してセシリアに問い詰める。

 

 「さあ、貴族の心得さえお忘れになったセシリア・オルコット、お答えなさい!!」

 

 こう成ったアンは止められない。

 

 既にアンの目付きは、貴族だった両親と一緒にドレス姿で写っていた頃の写真の様に貴族の眼をしたアンだった。

 

 だが、セシリアも貴族としての意地を張り睨み返してアンに言ってはいけない事を言ってしまったのだ。

 

 「私にそんな事をして只で済むとでも思ってますの!!さぞ、両親は戦場で巻き込まれて死んだのが幸せでしょうね!!」

 

 「「「「「「!?」」」」」」

 

 それは、アンの禁句だった。

 

 コロニー落としに巻き込まれて亡くなった両親を思い出してしまう一種のトラウマだった。

 

 「貴女は…ひっくぅ…貴女は…ひっくぅ…許さない」

 

 アンは目尻に涙を溜めて半泣き状態でセシリアを睨む。まだ、レーザーガンの引き金を引かずに撃たないだけの理性があるだけマシだと言えた。

 

 だが、セシリアはアンを責める事を辞めない。

 

 そして、アンに対してセシリアが言い過ぎなのが判り、クラスメイトは白い目で見ていた。

 

 「あら、両親の事を言われてお泣きになり…」

 

 セシリアの言葉は続かなかった。

 

 遂に千冬姉がキレたのだ。

 

 「貴様ら、いい加減にしろ!!

 

 アンも言い過ぎだが、オルコットは特にアンの過去について言い過ぎだ!!

 

 この件については、私が預かる。

 

 良いな?

 

 それと、三人には来週アリーナにて模擬戦にてクラス代表を決めて貰う。

 

 一夏はアンを連れて部屋に帰り慰めてやれ。

 

 アンの今の精神状態では授業に参加するのは無理だろうだからな」

 

 俺はアンを連れて部屋へと戻ると、アンは抱き付き泣き始めたのだ。

 

 「どうして、どうしてお父様とお母様は、私を置いて逝くのよ……うわァァァァ」

 

 「アン、大丈夫だ。

 

 俺が居るからな…」

 

 「うん、イチカ…でも、このまま泣かせて」

 

 アンの涙は、外で降る雨の様に冷たかったのだ。

 

 そして、俺は妻を泣かしたセシリアを潰す事を決めたのだ。

 

 

 

 

 二組でも同じ様な事が起きていた。

 

 「アンタのせいで、国から怒られたじゃない!!」

 

 「あんたに紅式を渡す訳が無いでしょが!!」

 

 昨日の一件は一夏が束さんに報告して、その日の内に中国にホワイトラビット社として抗議を入れたのだ。

 

 そして、IS関連商品では世界シェア1位を獲得しているホワイトラビット社を敵に回すのは中国政府としては避けたかった為に、その日の内に担当者が国際電話で中国代表候補生である、その生徒に厳重注意をしたが聞く耳すらなかったと言えた。

 

 そして、その生徒が絡む相手が元中国の代表候補生の候補者で、あの事件さえ無ければ中国の代表候補生になっていた凰鈴音だった。

 

 そして、今はホワイトラビット社の企業代表で男性初の操縦者・織斑一夏の妻になって織斑鈴音となっていた。

 

 つまり、下手をすれば義姉のブリュンヒルデの織斑千冬とホワイトラビット社の社長の篠ノ之束の二人が敵になると判り、政府高官としては頭痛の種であった。

 

 それを気づかないのが、その生徒だったのだ。

 

 「いい加減に渡しなさいよ!!」

 

 その生徒は鈴から待機状態の腕輪を奪おうと狙い、甲龍の衝撃砲を展開しようとするが、教室には新任の副担任が現れた。

 

 「おい、アリーナ以外でISを展開しようとは良い度胸じゃねぇか?」

 

 「「巻紙先生!?」」

 

 オータムこと、巻紙礼子先生が出席簿を片手に二組に来たのだ。

 

 「てめぇは昨日は織斑に喧嘩を売って、模擬戦で散々やられたんじゃねぇのか?

 

 オレに潰されたく無かったら、さっさと席に戻れや糞ガキ」

 

 「糞ガキ!?」

 

 「あぁ、てめぇだよ!!」

 

 その生徒を糞ガキ呼ばわりする巻紙先生。

 

 昨日の一件で頭が痛いのに、全く懲りずにあたしに喧嘩を売り、紅式を寄越せと言って来る中国の代表候補生の生徒は、既にクラスからは孤立していた。

 

 あたしが代表候補生の候補の時から、彼女からの嫌がらせは在った。

 

 あたしが日々努力して、誰にも負けたくないし、何よりも死んだと知らされた一夏は絶対に生きていると信じ、探す為に国家代表選手になると目標に決めて来たのだ。

 

 そして、努力の結果は一目瞭然で代表候補生の選抜試験では筆記も主席で通り、実技試験も誰にも負けずに勝ち続けたのだ。

 

 だが、あの生徒は試験官を買収していて、結果内容をあたしの結果と彼女の結果を入れ替え、彼女が代表候補生となった。

 

 無論、選抜試験の結果に政府に抗議した。

 

 しかし、買収したのは試験官だけでは無かった。

 

 政治家までも買収していて、あたしの実家だった広州の料理店に政治家が依頼して送った賊により、お店に賊が押し入られ火を付けられたお店は全焼し、あたしの父親はあたしに会いに来ていて母親を護ろうとして射殺され母親は店内で犯され殺されたのだ。

 

 その時、あたしは市場に食材を買い出しに出てて無事だっが、この事件であたしは家族を失った。

 

 無論、犯人は未だに捕まっていない。

 

 あたしは、全焼したお店で焼け残った泣け無しのお金を使って日本に渡った。

 

 日本に渡った直後の篠ノ之神社で束さんと出会い、一夏の恋人だった理由で束さんに拾われてラボに住むようになったのだ。

 

 そして、あの日に一夏と再会したのだ。

 

 一夏には未だに秘密だが、束さんに協力して貰いながら両親を殺した犯人は特定済だった。

 

 そして、元凶となった、あの生徒をあたしは許さない。

 

 「巻紙先生、座る前にあの生徒に一言良いですか?」

 

 「織斑何だ?

 

 オレには嫌な予感しかしねぇが?」

 

 あたしは、巻紙先生に断りを入れてその生徒に叫ぶ。

 

 「そんなに、あたしの紅式が欲しい訳?

 

 良いわよ!!

 

 あたしと決闘して勝ったら紅式を上げるわ!!」

 

 「上等よ!!」

 

 「仕方ねぇ、来週アリーナでやるから準備しとけよ。

 

 それまで、私闘のたぐいは禁止な」

 

 だから、あたしは余りにもしつこい彼女に決闘を申し込んだのだ。

 

 そして、二度とISに乗れない様に全力で潰す。

 

 これが、両親への仇討ちだから。

 

 あたしが勝ったと同時に束さんがハッキングしながら世界に彼女と彼女の糞親がした事を全て流すのだから。

 

 

 

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