そして 誰もいなくなった   作:たゆてー

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そして誰もいなくなった 第2話


そして 誰もいなくなった 第2話

霊夢「今度は、犯人探しも含めてね」

 

レミリア「………そうね。一旦戻りましょう。あと、咲夜と妖夢とチルノ。貴女達はこの館の周りに脱出できそうなものを探してきてくれる?」

 

咲夜「かしこまりました。お嬢様」

 

妖夢「…わかりました。幽々子様をお願いします」

 

チルノ「わかったよ。あたい達に任せて」

 

レミリア「さて、他の人は食堂に戻るわよ」

 

皆はレミリアに言われた通りに行動を開始した。咲夜と妖夢とチルノは周辺の探索に行き、レミリア、フラン、霊夢、魔理沙、幽々子は一度食堂に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

レミリア「さて、今の状況を整理すると2人目の被害者が出たわ。あの詩の通りにね」

 

魔理沙「ああ。しかもあの部屋は内側から鍵がかかっていた。完全な密室だぜ」

 

レミリア「そうね。そして魔理沙、貴女が疑っていた、紫が能力を封じている、という仮定はくつがえされたことになる」

 

幽々子「この中で他人の能力を封じれる人はいないわね。つまり———」

 

霊夢にはこの3人の話など聞こえていなかった。霊夢は今この状況を整理する事よりも、結果として"犯人"が誰なのかが知りたかった。

 

早く、早く。そんな議論している暇があったら早く犯人をつきとめて。みんな殺される。私はまだ死にたくない。

 

レミリア「———以上の点から、犯人の可能性がある人を断言することはできないわ。みんな充分に警戒して、そうね、なるべく集団で動いた方が良いわ」

 

霊夢「……………」

 

断言できない?このまま怯えて後6日間も過ごすの?嫌だ、嫌だ嫌だ。

 

霊夢は震えた。目の前にある膨大な恐怖に押し潰されそうだった。嫌だ。逃げたい。死にたくない。助かりたい。生きたい。ここから離れたい———

 

魔理沙「おーい。霊夢ー。聞こえてんのかー?」

 

魔理沙の声でハッと我に帰る。目の前には魔理沙が顔を覗き込んでいた。

 

霊夢「……聞こえてるわ」

 

魔理沙「疲れてるのか?少し顔色が悪いぜ」

 

霊夢「……大丈夫よ。少し休めば元に戻るわ」

 

魔理沙「そーか。おーいレミリアと幽々子とフランー、霊夢少し休むから待っててくれないかー!」

 

霊夢「……………はぁ」

 

朝の9時頃。ここに来てから実に15時間が経過。

霊夢は少し目を瞑った。今はこの現実から逃れたい。霊夢は少しずつ眠りに落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊夢は目を覚ました。少しスッキリした。

みんなで一緒にいる間は大丈夫。殺される心配もない。

 

魔理沙は起きた霊夢に気づいた。

 

魔理沙「おはよう霊夢。少しスッキリしたか?」

 

霊夢「そうね。おかげさまで。」

 

魔理沙「そか。昨日といい今日といい、相当な事が起きたからな。疲れるのも無理ないぜ」

 

霊夢は自分と同じように座っているレミリアと幽々子とフランを見た。

幽々子は何やら考え込んでいるようだ。頭の回転が速い幽々子が、こんなに考えるそぶりを見せるのは初めてだ。

 

フランは焦点の合わない目でどこかを見つめていた。意外だ。フランは能力ゆえにこういう状況は見慣れてるのではないかと霊夢は思っていた。

 

レミリアは、不安げな表情で静かに時計を見ていた。時刻は午前11時。自分と同じように時間が早く過ぎないか思っているのだろうか。

 

そうだ。3人が周辺の捜索に出てもう2時間だ。この島はさして広くない荒野だ。3人なら1時間もあればすぐ見回れるはずだ。

 

レミリア「3人とも遅いわね……」

 

レミリアが口を開いた。

フランの目に正気が戻る。

幽々子がふと顔を上げる。

 

魔理沙「そうだな…そろそろ帰ってきても良い頃だが」

 

霊夢は嫌な予感がした。もしかしたら、あの3人が……

 

その霊夢の考えを読むように、幽々子が話し出した。

 

幽々子「次は"舟出ししようと浜に来てひっくり返って7人になった"ね。でも大妖精と紫を詩通りに殺したのに今更一気に3人殺すのは考えづらいわ」

 

レミリア「そうね…」

 

幽々子「それに、舟なんて見つけたらあの子達だって警戒するわ。確実にその場所に犯人がいる事になるもの」

 

霊夢はその話を聞きながらフランの方を見た。何かに怯えているかのような感じがした。

 

霊夢「ねぇレミリア。フラン、なんか怯えてるよ?」

 

レミリア「ああ、フランはね、というか吸血鬼はとてつもない恐怖を感じると身体能力の一つがずば抜けて高まるの。人間でいうアドレナリンね。私は運がすごく良くなるけど、フランは誰かの"目"になる事が出来るの」

 

魔理沙「へぇ…面白いなそれ。レミリアに至っては能力で運命変えられるからそれめちゃくちゃ意味なさそうだけど」

 

レミリア「うっさいわね。私のことはいいの。ただフランはそれでよく自分の目線と誰かの目線が混ざっちゃうからちょっと混乱しちゃうのよ」

 

霊夢「まあ、今は特に関係ないわね。それで、船を見つけたら犯人の居場所が特定できるの?」

 

幽々子「それはわからない。そこまで犯人も馬鹿じゃないと思うわ」

 

ここで魔理沙が、何か思いついたような顔をした。

 

魔理沙「…まてよ?犯人を突き止めるならまだ方法があるぜ」

 

皆が魔理沙の方を見る。

 

魔理沙「その前に、なぜここで能力、魔法が使えないか、それについての考察を話させてくれ」

 

幽々子「……ここが外の世界と呼ばれる場所だって事かしら」

 

魔理沙「うわお、もう思いついていたのか。そうだ。幽々子が言った通りだ。」

 

霊夢「…根拠は何なのさ?」

 

魔理沙「考えられる根拠は2つ。一つは、みんな重々わかってると思うが能力、魔法が使えない事。」

 

レミリア 「…確かにそうね。外の世界では幻想そのものがない。だから幻想的な現象の象徴である能力や魔法が使えない」

 

魔理沙「そうだ。でもまあ、そんな能力を持つ妖怪がいたなら話は別だけどな。それともう一つ」

 

魔理沙「海がある事だ」

 

幽々子「そうね。幻想郷に海はない。それが一番大きいんじゃないかしら」

 

魔理沙「そうだな。んで本題に戻すが、外の世界では超常現象を故意に起こすことは出来ない。つまり、何かしら物理的に攻撃する必要があるんだ」

 

魔理沙「つまり、私達に接近してくる奴が犯人という事になるわけだ」

 

霊夢「物理的な攻撃?そんな一般人が妖怪レベルに通用するわけないじゃない。それこそ毒とかでやらないと殺す事は出来ないわ。まさか殴り殺すなんてどんなに不意をついたって無理だし第一気配で気づくわよ」

 

魔理沙「うっ……まあそれもそうだな…」

 

魔理沙は残念そうな顔をする。霊夢は否定したのはいいが結局犯人を捜す方法を否定してしまったことに気づき、余計不安が高まった。

 

そんな時、幽々子が口出しをした。

 

幽々子「いいえ。魔理沙の言う事はいい線を行っている。たしかに物理的に殺す方法は不可能に近いわ。でも他に方法がある」

 

幽々子はレミリアの方を見る。

 

幽々子「それについては貴女の方がよく知っているはずだわ」

 

レミリア「…まあそうね。霊夢、魔理沙、貴女たち"拳銃"って知ってる?」

 

魔理沙「?」

 

霊夢「?」

 

2人とも知らないようだった。

 

レミリア「そうね。簡単に言えば人間の何十倍の力で、更に遥か遠くから攻撃できる外の世界の武器ね。これなら恐らく頭すら貫くことができるわ」

 

魔理沙と霊夢は目を丸くする。

 

魔理沙「そっ…そんな恐ろしい武器が外の世界にはあるのか…?」

 

霊夢「信じられない…そんなので狙われたら私達なんて…!」

 

レミリア 「まあ一瞬で終わるわね。ただ一直線にしか飛ばないから当たらなければどうって事ないけど」

 

そこで幽々子が口を開いた。

 

幽々子「それよ。一直線にしか飛ばないから、この館の壁を跨いでの攻撃はできない。見つけるのも簡単。飛んできた方向に必ず犯人はいるから、そこを突き止めれば良いのよ」

 

レミリア「なるほど。それなら———ってフラン?どうしたの?」

 

霊夢はフランの方を見た。すごく震えている。

目元を見ると涙が滲んでいて、引きつった表情をしていた。

 

どうしたのだろう?

 

 

フランが弱々しい不安そうな声で話す。

 

フラン「お姉様ぁあぁ……フラン、おかしくなっちゃったのかなあぁあぁ……?」

 

レミリアがフランの元に行く。

 

レミリア「どうしたのよフラン。何か——」

 

レミリアが何かに感づいたような顔をした。

 

 

 

レミリア「フラン貴女…何を感じ取ったの?」

 

フラン「わかんないぃい……わかりたくないぃぃいぃい……」

 

レミリア「落ち着きなさい。貴女は私がいる限り怖がる事は無いのよ?」

 

フランはゆっくりとレミリアを見た。

 

フラン「フランね……一瞬だけど見たの」

 

レミリアは促した。

 

レミリア「何を?」

 

フランは震えた声でゆっくりと話した。

その言葉に誰もが凍りついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フラン「チルノちゃんが死んだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

—————え?

 

そんなはずは無い。だって3人で行ったのにチルノだけ死ぬだなんて。

 

嘘だ。

 

フラン「お姉様ぁああぁ……怖いよ…怖いよぉ…!」

 

レミリアはフランを力強く抱きしめた。

 

レミリア「大丈夫、そんな訳がないわ。3人で居るのにチルノだけがそんな事になるだなんてありえないわ。フランは今ちょっと不安定になってるだけよ。だからそんな想像をしてしまうのよ」

 

フラン「でも……目の前に船があって、視界が地面に落ちたよ……?」

 

レミリア「大丈夫、大丈夫よ。チルノには咲夜がいるじゃない。あの子なら時を止めずとも相当な実力があるわ」

 

嘘だ。そんなのにやられる3人じゃない。

 

その時だった。

 

咲夜「お嬢様ー!ただいま戻りましたー!」

 

帰ってきたようだ。なんとも無かったようだ。

 

レミリア「おかえり咲夜。妖夢もご苦労さ……ッ!」

 

レミリアの動きが止まった。食堂の入り口で話しているせいかここからだとよく見えない。霊夢は席を立ち、食堂の入り口に向かった。しかし、そこには———

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レミリア 「…咲夜あなた、チ̀ル̀ノ̀は̀ど̀う̀し̀た̀の̀?

 

 

 

 

 

 

 

 

咲夜「…申し訳ありません。実は途中、なぜか全員はぐれてしまって…、妖夢は見つけることができましたが、チルノだけいくら探しても見つからないのです」

 

フラン「あ……あぁあ……!」

 

レミリアは目を伏せた。フランの異変に気付いた咲夜は咄嗟にレミリアに聞いた。

 

咲夜「お嬢様、まさか…」

 

レミリアは首を横に振った。

 

レミリア「ええ。そのまさかよ。フランが見たわ。その光景を」

 

フランがその場にうずくまる。頭を抱え、ただただ震えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嘘じゃ、無かった。

 

また1人、死んでしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後すぐ、チルノは見つかった。

 

 

 

 

 

 

 

あっけないほど簡単に見つかった。

 

 

 

 

 

 

 

既に息は途絶えていた。

壊れた船を隣にして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、再び食堂に集まった。

 

レミリア「さて、咲夜、改めて今日の捜索について説明しなさい」

 

皆が咲夜の方をみた。

 

咲夜「はい。今朝の出来事の後、私と妖夢とチルノはお嬢様の命により捜索に出ました。初めは3人であたりを警戒しながら島の端まで向かいました」

 

幽々子「その時点で何か変な事はあったりした?」

 

咲夜「いえ、雲一つない良い天気だったので、この時点では人を見たり気配は感じ取れませんでした。それから島の端にたどり着いた後、海岸沿いにこの島を一周しました。一周した後、少し館の方に歩いてまた更に一周…を繰り返して館に戻ってきました」

 

レミリア「この時点では何もなさそうね。どこからチルノや妖夢が居なくなったの?」

 

咲夜「館に戻る前です。突然霧が立ち込めてしまい、視界が奪われました。私は襲撃に備え、皆に離れぬよう言いましたが、襲撃はなく、霧が晴れると既に2人とも居ませんでした。それから私はチルノと妖夢を探し始めました」

 

レミリア「なるほど。ここまでで良いわ。それで妖夢。あなたはどうしたのかしら?」

 

今度は妖夢の方に目が向く。妖夢はオドオドしながら答えた。

 

妖夢「わっ、私も咲夜さんの声を聞いてその場から動きませんでした。同じように、霧が晴れると周りに誰も居ませんでした」

 

魔理沙が口を開いた。

 

魔理沙「ふむ。それならチルノもそうなったんだろう。しかし妙だな。突然霧が立ち込めるだなんて。ここが外の世界なら誰かが煙玉やらなんやら投げたんだろうが……それすら気付くことがないなんてありえないぜ」

 

レミリア「そうね。咲夜ならそんなもの見逃すはずがないもの」

 

 

しんと静まり返った。恐らく誰もがどうやったか考えているのだろう。その時。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙「なぁ、咲夜。お前が犯人か?」

 

突然の衝撃的な発言に誰もがビクッとした。

 

咲夜が犯人?なぜ?

 

咲夜「……なんのつもり?」

 

魔理沙「煙玉やらなんやら投げて気づけるのはお前だけ。じゃあお前が投げれば誰も気づかないよな?」

 

レミリア「魔理沙。咲夜な訳がないわ。動機がなさすぎる。あり得ないわ」

 

魔理沙「どうだろうな。周りからの信頼を維持しておけば犯人扱いされないだろうしな。動機がない理由だって無いだろ?」

 

それを聞いた霊夢は少し腹が立った。この魔理沙の発言は咲夜を馬鹿にしている。

 

霊夢「ちょっと魔理沙、あんた咲夜に対してその発言はおかしいんじゃない?」

 

魔理沙が霊夢の方を見る。霊夢はその表情を見てハッとした。なんだか焦っているような表情。

 

あれだけ私を気遣ってくれた魔理沙もやっぱり不安だったんだ。

 

咲夜が私を制してくる。

 

咲夜「霊夢、別に私は気にしてないわ。大丈夫よ。…魔理沙、続けて」

 

魔理沙「……それに、能力が使えないとは言ったが、あくまで自己申告しただけだ。本当に使えないのかどうかなんてわからんだろ?」

 

レミリア「私は確実に使えないわ。使えるならここまでの運命を全て書き換えているわ」

 

咲夜「私は断言できません。実際時を止めてもそれを証明してくれる人はいないので」

 

魔理沙「私ももちろん使えないぜ。使えるならとっくに脱出してるしな」

 

幽々子「私も証明は無理ね。でも使うことは無いわ」

 

妖夢「私は能力というより剣術なのでなんとも言えないです」

 

レミリア「というか捜索してる間は私と魔理沙、霊夢、フラン、幽々子はここから一歩も外に出たりなんかしてないからまずあり得ないわね」

 

皆の目線が一気に2人に向く。

 

魔理沙「…消去法で咲夜か妖夢ということになるな」

 

妖夢がビクッとなる。

咲夜は態度に出ていないが内心ひどく驚いているように見える。

 

魔理沙「どっちの話を聞いても正直どっちが最も疑わしいのかは分からん。ただ能力の点からして咲夜が嘘をついているのなら他の2人を離れ離れにし、煙玉を打つ事が可能だ。」

 

そうなれば咲夜が一番可能性が高い。毒を入れる事だって、密室を作る事だって。むしろ3人の中で抜群にそれをこなすことができる。霊夢は咲夜に疑惑の念を抱いた。

 

咲夜「…………ッ!」

 

レミリア「…………………」

 

これには流石にレミリアも否定できないだろう。否定できる材料がない。

犯人であるには、まさかこの人がと思われなければならないと誰かが言っていた気がする。

 

もし咲夜が能力が使えて、犯人だったとしたら、レミリアはどうするのだろうか。擁護するか、排除するか……

 

レミリア「はぁ…………」

 

レミリアはため息をつくと席を立った。近くに立て掛けてある棒を持ち、咲夜の方に歩いていった。

 

魔理沙「おい……何をする気だ?」

 

フラン「お姉様……?」

 

それを無視するように、レミリアは咲夜に近づいていった。立ち止まると、その棒を咲夜に思いっきり振りかぶった。

 

レミリア「…さようなら、咲夜」

 

咲夜「!?」

 

レミリアの目の色が変わる。殺す気だ。霊夢は突然の事に驚き思わず叫んだ。

 

霊夢「やめてッ!」

 

フラン「お姉様ッ!」

 

そんな言葉など聞こえていなかった。

 

レミリアは無慈悲に咲夜めがけて思いっきり棒を振り下ろした。

 

 

—続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回は今回よりちょっと長いかも
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