そして 誰もいなくなった   作:たゆてー

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そして 誰もいなくなった 最終話


そして 誰もいなくなった 最終話

深夜1時。

だいぶ眠い。

今のところ異常はない。犯人も手を出しにくいのだろうか。

 

今、魔理沙が眠っている。私が眠れるのは次回って帰ってきた後だ。

 

フランも起きている。結局フランはあの後5時間ほど眠っていたので、今では食堂で見張る係の補佐をしている。

 

静かな夜。空気。いまだに解けない緊張。

ウトウトした。ちょっとだけ、寝ようかな。

 

遠くで叫ぶ声。

 

 

 

 

……ん?

声?

 

霊夢「魔理沙ッ!」

 

魔理沙「ん………なんだ、もう交代か?」

 

霊夢「違うの、なんだか叫ぶ声が聞こえたの!」

 

異常だ。異常が起こったんだ。

 

魔理沙「わかった、行こう。フランもついてこい!」

 

私たちは部屋を飛び出し、叫ぶ声がしたと思われる方向へ走った。やがて、着いた。

 

レミリア「咲夜、咲夜ッ!」

 

そこには倒れている咲夜が。しかし反応がない。

 

魔理沙「レミリア、一体どうしたんだ!」

 

レミリアは首を横に振りながら答えた

 

レミリア「分からないの…!私が見た時には既に倒れて…!」

 

レミリアは咲夜の首元を触る。

 

レミリア「だめ、咲夜だめよ、こんなところで死んだらだめッ!」

 

レミリアの意思とは反対に、どんどん冷たくなっていく。

 

フラン「お、お姉…様……」

 

フランが今にも泣きそうな表情でレミリアを見つめる。

 

 

 

 

 

 

やがて、レミリアは咲夜を揺するのをやめた。

 

 

悲しい空気が満ちる。

 

 

霊夢は、もう、何も考えられなくなっていた。

 

 

また、大切な友達を、失った。

 

 

なのに、涙が出てこない。

 

 

ただ、ただ、心にまた一つ穴が空いた。

 

 

咲夜は、もういない。

 

 

魔理沙「レミリア、一旦食堂に戻るぞ」

 

レミリア「…………」

 

魔理沙「レミリア!」

 

レミリア「…………」

 

魔理沙「〜〜〜ッ!っほらッ!」

 

魔理沙がレミリアの服の襟を掴む。

 

魔理沙「わかってただろッ!覚悟もしてただろッ!」

 

魔理沙が叫ぶ。

 

魔理沙「いいか、よく聞けお嬢様。ここではっきり言わせてもらうが、私達じゃ犯人に敵わないッ!」

 

レミリア「………」

 

魔理沙「だから、もう仇を取ろうとか考えるなッ!明日になったら何とかして逃げるぞッ!いいなッ!」

 

魔理沙はそう言うと、咲夜を担ぎ、食堂に行った。みんなも後についてった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜の2時。食堂。

入り口のドアを完全に締め、窓もガムテープで塞いだ。狙撃を防ぐためだ。

 

レミリアは、ずっと咲夜の側にいた。

 

一言も喋らないが、咲夜をずっと撫でていた。

 

それを尻目に、魔理沙は議論を始めた。

 

魔理沙「恐らく、犯人は手段を選ばなくなってきている可能性がある」

 

魔理沙「"しっかり者が周りを探索、魔物に襲われ4人になった"これが今回になるはずなのに、魔物なるものがどこにもいなかった」

 

霊夢「…たしかに、不思議ね。とすると、もう………」

 

魔理沙「ああ、もう殺され方がわからない」

 

レミリア「…いいえ、違うわ」

 

レミリアが口を開いた。

 

霊夢と魔理沙、フランはレミリアの方を見る。

 

魔理沙「…何が違うんだ?」

 

レミリア「その魔物が、私̀だ̀か̀ら̀よ̀」

 

ギョッとする。魔理沙が聞く。

 

魔理沙「…どう言うことだ?」

 

レミリアは今にも途絶えそうな弱々しい声で答えた。

 

レミリア「私は、油断していた。手分けして探そうなんて考えてしまった。その結果がこれ。咲夜を死に追いやったのは私なの…」

 

レミリアの目に涙が滲んでいる。フランもだ。

 

レミリアは、精神的にも限界のようだった。まるで、生きる気力を感じられない。

 

レミリア「あなたたち、もう寝ていいわ。もし侵入してくるならガラスを割るか、扉を開けなければならない。そんなの音で気づくわ」

 

レミリアは続ける。

 

レミリア 「咲夜がこうなった理由は多分、犯人のせいじゃない。この子、毎晩私の代わりに気を張り詰めていてくれた。過労が原因だと思う」

 

レミリアは目線を咲夜に落としたまま、そういった。

 

レミリア「私がもっと、咲夜の事を考えてあげたら、こんな事にはならなかった…」

 

沈黙。

 

 

 

その中で、レミリアは衝撃的な発言をした。

 

 

 

 

 

レミリア「それと、蒸し返すようだけど、犯人はやっぱり、私̀た̀ち̀の̀中̀に̀い̀る̀わ̀」

 

 

 

 

 

 

……え?どういうこと?

 

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙「…根拠は?」

 

レミリア「考えてみなさい、これだけガムテープを貼った中で手を出すのなんて遠距離武器だけだわ。既に狙ってきてもおかしくないはずなのに、そんな音もしない。それ以外でも、完全密室だったり、いつのまにか毒を盛られていたり。その中で核心に近づけるのは妖夢の時じゃないかしら。気配に敏感な、ましてこんな危機的状況の中であの子が見知らぬ犯人に不意を突かれて殺されるなんて事、ありえないわ」

 

レミリア 「しかも、幻想的な存在である私達のことをここまで知れるのは外の世界の住人な訳がないわ。だから、殺せるのは私たちの中にいるの」

 

私たちの、中にいるの?

 

魔理沙「そんな、みんな見てたじゃないか。どうやっても不可能だって事も確認しただろ?」

 

そうだ。そのはずだ。と言っても、気を失ってたから分からないけど……

 

レミリア「私の中では、霊夢、あなたが犯人だと思うわ」

 

霊夢「!?」

 

魔理沙「…そんな訳がないだろ。霊夢は…」

 

レミリア「幽々子の時。あれが可能性になるんじゃないかしら」

 

違う。私はやってな————

 

魔理沙「無理だ。10分ごとに見てたんだぞ?できるわけが」

 

レミリア「もし、10分以内で可能だったら?」

 

魔理沙「!?」

 

レミリア「幽々子はあの時気力を失ってた。抵抗するかしら?私ならもうしないわ。今、わかったもの。大切なものが無くなった。もう生きていたくないってね」

 

フラン「!お姉様……!」

 

レミリア「大丈夫よ、フラン。今は貴女を残して死のうなんて考えていないわ。貴女だけは絶対…」

 

レミリアはフランを落ち着かせ、話を続けた。

 

レミリア「どう?これなら可能じゃないかしら」

 

魔理沙「………」

 

待って。待って魔理沙。私はやってない。お願い信じて。フランも。そんな目で私を見つめないで。お願い。

 

魔理沙「…いいや、霊夢は、誰も殺してない。今はまだ根拠は無いけど、霊夢は誰も殺してない」

 

レミリア「そうかしら。最近なら、チルノに対して過剰な攻撃を容赦なく加えたそうじゃない。それに、紫にだって当たれば即死する札を投げつけたりしたらしいじゃない。そんな命を軽率に見ている者が、誰も殺してないなんて、信じられる訳がないと思わない?」

 

レミリアは霊夢に視線を移す。その目は、虚ろだったが、明らかに軽蔑をしているような目だった。

 

霊夢「………ッ!」

 

レミリア「まあ、もういいわ。私にとって、もう誰が犯人なのかなんて、どうだっていいわ。私はもう疲れた。無理よ。こんな中で正気でいろだなんて」

 

レミリアは再び咲夜に目線を落とし、最後に言った。

 

レミリア「今日はもう寝ていいわよ。私が起きててあげる。フランも寝なさい」

 

フラン「でも…」

 

フランが反論しようとする。が、レミリアはそれを制した。

 

レミリア「…いいのよ。犯人は物音を立てずにこの部屋に来ることができない。心配しなくても大丈夫よ」

 

レミリアは軽く笑う。

 

魔理沙「…そう…だな。霊夢、寝ようか」

 

霊夢「……うん」

 

フラン「お姉様…おやすみ」

 

レミリア「はい。おやすみフラン」

 

レミリアは優しい笑顔で答えた。

 

そして、レミリア以外は眠りに落ちた。夜の3時の出来事だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝。

霊夢は目が覚めた。ガムテープの隙間から光が見える。

時計を見る。朝の8時。少し遅くなった。

近くで泣いている声が聞こえる。何だろう。その方に目をやる。

 

レミリア?

 

フランが抱きしめてる。

 

………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………。

 

レミリアも、か。

 

その顔は、血の気も完全に無くなっていた。少しだけ、弱々しい笑顔だった。

 

魔理沙「………」

 

霊夢「魔理沙………」

 

魔理沙「………"優しい妖怪世話をして、疲労で倒れて3人になった"……」

 

魔理沙は静かに呟く。

 

魔理沙「……行こう。今日でなんとか脱出するんだ」

 

霊夢「…………」

 

もう、何も喋ることができない。

もう、心が傷つく事もない。

もう、なんだっていい。

 

 

私には、魔理沙が居てくれれば。

 

魔理沙が、私を守ってくれる。

 

 

魔理沙「フラン……行くぞ」

 

魔理沙は力無く、フランを呼んだ。

 

フラン「やだッ!お姉様………ッ!」

 

フランはレミリアから離れようとしない。これ以上言っても無駄そうだ。

 

魔理沙はため息をついた。

 

魔理沙「………気持ちが落ち着いたら、この館を出て真っ直ぐ行った海岸まで来てくれ」

 

魔理沙はフランを引き剝がす事はしなかった。フランはまだ精神が幼い。ダメージも大きいだろう。魔理沙は帽子を深くかぶると、霊夢を呼んだ。

 

魔理沙「霊夢。行こう」

 

霊夢「…うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

館から出て、真っ直ぐ歩いた。

 

どちらも喋らない。

 

静かに2人は歩く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうして、こうなってしまったのだろう。

 

皆、ここに来た時。

あんなに笑顔が溢れていたのに。

あんなに楽しそうにしていたのに。

私も、楽しい7日間が始まると思ってた。

 

 

 

でも、違った。

 

 

 

怖くて、悲しくて、悔しくて。気が狂いそうで。

 

そんなのが一杯詰まってた。

 

日常を崩された。またあの頃に戻りたい。今度はみんなと楽しく過ごしたい。

 

大妖精。

私の中では存在が薄くて、特に気にかける事も無かった。

 

紫。

胡散臭くて、すぐおちょくってくる。うざくてたまらなかった。

 

チルノ。

チルノは正直、その時の私にとってどうでもよかった存在。

 

妖夢。

だらしない事が嫌いで、だらだらする私にとって、妖夢の注意はとてもうるさかった。

 

幽々子。

紫と同じようにふらりと現れては、言葉巧みに惑わせてくる。ずっとイライラしてた。

 

咲夜。

私の行動をとにかく邪魔してくる。早く居なくなって欲しくてたまらなかった。

 

レミリア。

お嬢様気取りで、いつも見下してきた。つまらない、腹が立つ。いつか殴ってやろうと思ってた。

 

 

 

みんな、私の日常を邪魔してくる人達。居なくなってくれれば嬉しいはずなのに。

 

 

 

——そのはずなのに。

 

 

 

 

失って気づいた。私はみんなが気に入っていたんだ。

失って、こんなにも悲しくなるなんて思いもしなかった。

 

私は、愚かだ。

二度と会えなくなってからこんな事に気づくなんて。

 

そんな自責の念がこみ上げる。

涙が出そうになる。

それを堪える。

 

霊夢「…私は泣かない。泣いたらだめよ、私」

 

私が泣いてしまえば魔理沙に迷惑がかかる。

 

生きたい。生きて帰って、それから泣こう。

 

それまでは、魔理沙と一緒に頑張ろう。

 

 

 

私は、そう決意した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙「……さて、この壊れた船を修理して脱出しよう。周りに木とかないか?」

 

魔理沙があたりを見回す。それにならって私も見る。

 

霊夢「…見た感じ見当たらないわ。倒れた木とか探してみましょう」

 

魔理沙「そうだな。行くか」

 

 

そういえば、レミリアが"犯人は私たちの中にいる"って言ってた。

 

私は違う。

 

魔理沙も違う。魔理沙の行動はレミリアによって監視されてたし魔理沙はまずありえない。

 

だとすると、フランという事になるけど。幼いけれど500年近く生きている。本当はもっと考えているのかもしれない。

 

 

 

 

……ん?

 

そういえば、フランだけ能力の有無を聞いていない。

 

フランがもし、能力を発動できていたとしたら…!

 

霊夢「魔理沙」

 

魔理沙が振り向く。

 

魔理沙「ん?どうした霊夢」

 

霊夢「犯人はフランかもしれない!」

 

魔理沙「…んー、なんでだ?」

 

霊夢「昨日、能力が使えるか話し合ったわよね。フランだけ、能力の有無を聞いていないわ!」

 

魔理沙「……たしかにな」

 

霊夢「フランの能力なら、どんなに遠隔でも使える!誰かの目になる事が出来たのなら、密室で殺す事も……!」

 

魔理沙「………ちょっと見てくる。霊夢はさっきのとこで待っててくれ」

 

魔理沙は霊夢に拳銃を渡した。

 

霊夢「魔理沙、これはあなたが………」

 

魔理沙「いや、これは霊夢が持っててくれ。もし違った時、これを持ってるとフランが落ち着かないだろう。それに犯人がお前を狙う可能性があるから、襲われそうになったら迷いなく撃て」

 

そういうと、魔理沙は館へ走っていった。

 

魔理沙「すぐ戻るから、さっきの場所から動くなよッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フラン「お姉様……」

 

 

 

 

 

フラン、どうすればいいの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

怖い。

 

怖いよ。

 

怖い怖い怖い。

 

フラン壊れちゃいそう。

 

 

 

 

 

 

フラン「お姉様……」

 

 

 

 

 

 

どうしてこうなったの?

 

 

 

 

 

 

誰のせいなの?オネエサマをこんなにしたのはだれのせいナの?

 

 

 

 

 

オネエサマをコんナにしたヤつはダレなノ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

———ゆるさナい。

 

ゆるさナいゆるさナいゆるさナい。

 

ゆルさナいゆルサナいユルサナい。

 

ユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ

 

殺す。

 

フラン「………アはッ……」

 

ころすころすころす。

 

フラン「アははハははハハはハッ!」

 

ヒキチギッテヤル

 

ナイゾウヲヒキズリダシテヤル

 

オネエサマヨりザンコクに

 

フラン「あハははハはハはハハはハははハハ!」

 

モう、ゼンブコワレテシマエ。

 

フランは手を開いた。

 

メはドコ?ユルサナイヤツのメはドコ?

コワシテヤル。

コワシテヤル。

 

 

フラン「あアアあアあアああアアアアあッッ!」

 

 

バサっ!

 

上から何かがかぶさる。

 

………熊?

 

 

トスッ。

 

 

フラン「……あア?」

 

首に何かが刺さる。

 

血が噴き出る。

 

意識がかすれる。

 

フラン「アあ……オネエ……さま………」

 

鈍い音。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

館内に誰かが入ってくる。

 

魔理沙だ。

 

食堂に行く。

 

 

 

 

 

魔理沙「…………………」

 

 

 

 

 

レミリアの上に乗るように倒れているフラン。フランに被さるようにある熊の毛皮の絨毯がフランの血で赤く染まっていく。

 

魔理沙「………………ッ」

 

 

魔理沙はひるがえし、館を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊夢「はぁ…」

 

霊夢はため息をつく。

フランが犯人だったら、どうしよう。

魔理沙、死んじゃうのかな。

 

相手は吸血鬼。何も持たない魔理沙は死んじゃうよ。

 

お願い、フランを連れて帰ってきて。それが何よりの安心になるから。

 

私たちの中に犯人はいないっていう何よりの証明になるから。

 

 

 

魔理沙の声が聞こえる。

 

魔理沙「霊夢ー、大丈夫かー?」

 

魔理沙が帰ってきた!

魔理沙の方を見る。

 

 

 

 

フランは、いない。

 

 

 

 

………どういう事?

 

 

霊夢「魔理沙、フランは?」

 

魔理沙は視線を落とす。

 

魔理沙「…いや、もう死んでいたよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

え?

 

え?

 

え?

 

魔理沙はなんで生きてるの?

 

フランが死んでいたって事は近くに犯人がいたという事。

 

魔理沙も一緒に殺されてもおかしくない。

 

嘘。

 

嘘だ嘘だ嘘だ。

 

 

 

じゃあ犯人は………!

 

 

魔理沙「霊夢……材料を探しに——」

 

 

魔理沙に向けられる銃口。

 

魔理沙「………霊夢?」

 

 

 

死にたくない。死にたくない。

魔理沙が、魔理沙が…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

み̀ん̀な̀を̀殺̀し̀て̀い̀た̀ん̀だ̀。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙「霊夢……どうした?危ないぜ」

 

 

霊夢「とぼけないでッ!」

 

霊夢は叫ぶ。

 

霊夢「魔理沙がみんなを殺したんでしょッ!」

 

魔理沙「霊夢お前、何を言って——」

 

霊夢「やめてッ!来ないでッ!」

 

 

撃ちたくない。

撃ちたくない。

 

魔理沙は私の最後の、大切な親友。

殺したくない。

 

でも私も死にたくない。

死ぬのはいやだ。

死ぬのはいやだ。

 

殺されるのは嫌だ。

 

殺される。

殺される。

 

死ぬのは痛い。

死ぬのは怖い。

 

死なれるのは辛い。

死なれるのは悲しい。

 

 

魔理沙「霊夢。一旦落ち着け。その銃口を下に向けてくれ…」

 

魔理沙が近づいてくる。

 

霊夢は首を振って後ずさる。

 

 

霊夢「いや…いやぁ……来ないで……」

 

手が震える。

 

魔理沙「霊夢、私じゃない。私はみんなを殺してないよ……」

 

魔理沙がさらに近づいてくる。

 

撃たなきゃ死ぬ。

撃たなきゃ死ぬ。

撃たなきゃ死ぬ。

 

息が荒くなる。

 

殺したくない。

殺したくない。

 

殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

死̀に̀た̀く̀な̀い̀。

 

 

 

 

魔理沙「霊夢ッ!」

 

霊夢「来ないでって言ってるでしょッ!!!!」

 

銃声。

 

魔理沙の腹部に当たる。

 

魔理沙「ぐぅっ……」

 

魔理沙が呻き声をあげる。

 

魔理沙「れ……いむ……!おち…ついて…くれ…!」

 

死にたくない

 

霊夢「やめてッ!!!!」

 

銃声。

 

魔理沙の足に当たる。

 

魔理沙「あがッ………!」

 

魔理沙が崩れかける。

 

魔理沙「霊夢ッ……私は……ちが……」

 

それでも近づこうとする魔理沙。

 

 

死にたくない

 

 

霊夢「あぁああぁあぁああぁあぁぁぁああッ!」

 

 

銃声。

銃声。

銃声。

 

腕、足、肩に当たる。

 

魔理沙「れ………い………」

 

——銃声。

 

心臓に直撃した。

 

魔理沙が倒れる。

 

 

霊夢「あッ………あぁあッ……」

 

拳銃がその場に落ちる。

 

 

霊夢「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!!!!」

 

 

全てを、失った。

 

 

全部全部、失った。

 

 

 

大切な、私を大切にしてくれていた親友も、殺してしまった。

 

 

 

もう私の中には、何も無い。

 

 

 

霊夢「あぁああぁあぁああぁぁッ……!うぁぁあぁああぁぁあぁぁああぁ………」

 

 

涙が止まらない。

 

 

最後の詩が思い出される。

 

いたずら坊主が焚火して

火種がはぜて1人になった

 

私が。私が元凶だったんだ。

 

わたしのせいで、みんなしんじゃったんだ。

 

大妖精も、紫も、チルノも、妖夢も、幽々子も、咲夜も、レミリアも、フランも、そして魔理沙も。

 

私が今までみんなを蔑ろにしていたから、神様が奪ってしまったんだ。

 

霊夢「ぐぅぅ………ひっく……うぅ……」

 

思い出される親友の最期。

 

『霊夢ッ……私は……ちがう…』

 

親友なのに。親友なのに。

私は自分の事に必死で信じてあげられなかった。考えてあげられなかった。

 

霊夢「うぁぁあぁぁあぁぁああああぁぁ………!」

 

 

ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。

 

私が全部悪かった。

 

私が何もかも悪かった。

 

意地を張って。自分勝手で。素直にならなくて。

そんなエゴのために、みんなに迷惑をかけてきた私が悪かった。

 

だから神様、一度でいいからみんなを元に戻して。お願い。

 

 

 

 

時に現実は非情だ。人が後悔するのは行動した後でしかない。

 

もう、誰も戻らない。

 

もう、何も変わらない。

 

 

 

 

 

 

全て、終わってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時が経ち、霊夢は1人ぼんやり座っていた。

 

とっくに冷たくなった親友。

 

打ち寄せる波が、親友を濡らしていく。

 

 

霊夢「…………………」

 

 

霊夢は最後の詩を思い出していた。

 

1人の寂しい妖怪さん

さいごの1人が火種を飛ばし

とうとうお山はだあれもいない

 

霊夢「………………………………」

 

 

霊夢は拳銃を拾う。

 

 

撃ち尽くしたシリンダーに、ポケットから一つ、弾を装填する。

 

 

霊夢「………………………………」

 

 

シリンダーを合わせる。次に弾が飛ぶように。

 

 

霊夢「………………………………」

 

 

霊夢は拳銃をこめかみに当てた。

不思議と怖くない。

 

 

霊夢「………………………………」

 

 

これで、また。

みんなと会える。

 

 

力がこもる。

引き金を引く。

 

耳の近くで聞こえる。撃鉄が動く音。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

銃声。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???「…いむー、れいむー…」

 

誰かが私を呼ぶ。目を開けてみる。

 

 

目の前に魔理沙がいる。

 

霊夢「………!?」

 

 

霊夢は思わず飛びのく。

 

 

ゴンッ!

 

 

何かが頭にぶつかる。

 

咄嗟に後ろを向く

 

 

霊夢「……木の壁?」

 

魔理沙「どうしたんだよいきなり。びっくりしたぜ」

 

霊夢は辺りを見渡す。見慣れた場所。

博麗神社だ。

 

霊夢「私……なにして……?」

 

魔理沙が答える。

 

魔理沙「あー?そりゃ寝てたんじゃないのか?」

 

状況がわからない。

 

霊夢「ていうか、魔理沙なんで生きて……」

 

魔理沙は不機嫌そうな顔になった。

 

魔理沙「おいおい、勝手に私を死んだことにしないでくれよ。大丈夫かお前?」

 

霊夢はきょとんとした。よくわからない。

 

魔理沙「ああそうだ。伝言のために来たんだった。霊夢、一昨日紅魔館から食料盗んだだろ?あれでレミリアがカンカンになってよ、多分そのうちここに殴り込みに来ると思うぜ。それを伝えに来たんだ」

 

紅魔館から食料?なぜそんな前の話を……?

 

魔理沙「まあ、私は優しいからな。私もお前からちょっとだけ盗んでバツが悪かったからさ、殴り込みに来たら私も加勢してやるぜっ!」

 

と言い、魔理沙はニシシと笑った。

 

……………

 

夢、だったのか…………

 

………良かった………

 

その時。

 

魔理沙「うわっと………!」

 

霊夢は魔理沙に飛びついた。

 

霊夢「魔理沙ッ………!」

 

涙が溢れる。

 

魔理沙「っとと、ほほう、そんな抱きつくほど嬉しいか!そーかそーか!ってお前、ぶははははははははっ!泣くほどかよーっ」

 

生きて、いてくれた。

私の大切な親友。

 

霊夢「魔理沙……ありがとう……」

 

魔理沙「礼にはっ…くくっ……及ばないぜ……?ぶはっ………」

 

霊夢は魔理沙から離れた。

 

魔理沙「はーっ、珍しい事もあるもんだな!霊夢から抱きついてくるなんてさ」

 

霊夢「…誰にも言わなくていいからね」

 

魔理沙「わかってるわかってる。こんなかわいい霊夢の一面を知っているのは私だけで充分だしな!」

 

霊夢「あと、加勢してくれるって話だけど」

 

魔理沙「おう、私に任せとけ!」

 

霊夢「あー、大丈夫よ。私1人でなんとかするわ」

 

予想外の答えに魔理沙がきょとんとする。

 

魔理沙「へ?」

 

その間に、遠くからレミリア達が飛んできた。

 

レミリア「霊夢ーーーッッッ!!」

 

ものすごいスピードで着地する。明らかにキレているのがわかる。

 

レミリア「霊夢………私がこの2日間どんな苦しい思いをしたか貴女にわかるかしらぁ……?」

 

咲夜「そうです。お嬢様はこの2日間パン一枚で三食を………」

 

レミリア「咲夜!それは言わなくていいっ!」

 

霊夢は食料を持ってレミリアの前に歩いていく。

 

レミリア「な、なに?目の前で食べて自慢する気?ふざけないで———」

 

霊夢は食料をレミリアに突き出した。

 

 

 

 

霊夢「ごめんなさい。これ返すわ」

 

 

 

 

 

レミリアと咲夜はきょとんとしている。

 

レミリア「あぇ…?あ、ああっ、うん……」

 

魔理沙が再びきょとんとしている。

 

咲夜「……?貴女ほんとうに霊夢?」

 

霊夢「何よ。なんかおかしい事した?」

 

レミリアはキョドりながら答えた。

 

レミリア「いやおかしくは無いけど、決しておかしくは無いのだけれど、貴女がやるとおかしいわっ!むしろ恐怖を感じる…」

 

レミリアは若干引き気味だ。

 

レミリア「ま、まあ、ここまで大人しく返されると何も言えないわね……。それじゃ咲夜、帰るわよ」

 

咲夜「は、はい!」

 

2人は帰っていき、再び魔理沙と霊夢だけになった。

 

魔理沙「霊夢……?お前ほんとどうしたんだ?」

 

霊夢「いや、まあ、色々あったのよ」

 

魔理沙「霊夢がここまで改心するなんて……どんなことかおしえてくれよ」

 

霊夢「嫌よ。話すのも嫌なんだから」

 

魔理沙は腕を組み、うーんと考えていた。やがて思いついたように喋り出した。

 

魔理沙「それじゃ、弾幕ごっこで決めよう。私が勝ったら話してもらうぜ!」

 

弾幕ごっこ、か。久々に聞いた気がする。

 

霊夢「それでいいわ。私が勝ったらもうその事について一切触れない事ね!」

 

そして弾幕勝負が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊夢「むぅ……まさか全てかわされるなんて」

 

結局負けた。

 

霊夢「しょうがないわ。話してあげる。はぁ…」

 

魔理沙「あー、霊夢?」

 

霊夢「ん?」

 

魔理沙が頬をかきながら言う。

 

魔理沙「すまん、本当は10発くらい当たってたんだ」

 

霊夢「へ?」

 

じゃあなんで落ちてないの?

 

魔理沙「いやぁ、今日の霊夢、弾幕の威力が無いに等しいレベルで弱かったから、当たった事に気付かなくてな。ついでだから最後までやっちゃおうと思って言わなかったんだ」

 

霊夢「えぇ…?」

 

魔理沙「今日お前本当に大丈夫か?すごくおかしいぞ?熱でもあるのか?」

 

 

 

 

霊夢は、少し思い出す。

 

みんながあの館で死んだ時。私はすごく後悔した。辛かったし、悲しかった。これから生きてく上で必ずまたその場面に出会う。

 

でも。

その時に。

 

後悔しないように、今居てくれる友を、大切にしておけばって思ったんだ。

 

霊夢「…魔理沙。昨日の宴会の時の答え、変えてもいい?」

 

魔理沙「昨日の?ああ、私が死んだら〜ってやつか」

 

霊夢「まあ、静かになるのはそれはそれでいいけど。やっぱりあんたがいないと寂しいわ。だから、死んだら、以前に、死んでほしくない」

 

魔理沙「………そうか。…ありがとな」

 

魔理沙は箒に乗る。

 

魔理沙「そんじゃこれから図書館に用事があるんで、これでおさらばするぜ」

 

霊夢「うん。気をつけてね」

 

魔理沙「はははっ、やっぱ今日のお前、なんか面白いなっ!」

 

魔理沙は紅魔館に向かって飛んで行った。

 

霊夢「ふう……」

 

紫「随分丸くなったのね」

 

後ろから紫の声。霊夢は振り向く。

 

霊夢「私も考えが変わったのよ」

 

紫「ふふっ、それは何よりだわ。ここに置いとくわね。お金」

 

霊夢「え?ああ、ありがと」

 

紫「それじゃあねー」

 

紫はスキマの中に隠れた。

 

お金を見る。少し量が多めになっている。

 

霊夢「さて………買い出しに行かなくちゃね」

 

 

 

もう悲しい後悔なんてしたくない。あんな辛い気持ちになりたくない。

 

その為には。

 

 

 

 

 

 

 

——今を、後悔の種にしない事だ。

 

 

 

そして、誰もいなくなった。—完—




「そして誰もいなくなった」東方project版、ここまで読んで頂き、ありがとうございました!
ちょっと暗い感じの、まあそこまで読み応えもない話数ですいません!
この作品を書こうと思ったきっかけはもちろん、「そして誰もいなくなった」を見たからです。はい。
なぜ東方と合わせてみたのか、ですが、その頃の自分、「そして誰もいなくなった」を見たときに「うわあ、めちゃくちゃ面白いなぁ」って思いまして、ハーメルンでそれの二次創作をさがしていたんです。で、その頃には既に東方projectにどハマりしてまして、東方projectでの「そして誰もいなくなった」が見たいなぁって思ったんですね。
しかし、探しても探しても完結しているものがなく、1話で終わっていたりとかしているものばかりだったんです。それから、「早く更新されないかなぁ」とかずっと待ってました。が、一向に更新されることもなく………
それならばと、自分で書いて自己満足すればいいんじゃないかと思って、ようやくiPhoneのメモにちょこちょこ書き始めたわけです。
しかもこの作品を書こうと思ったのは本当にかなり前なんですよね。2年か3年前だったか…
その時に初めて1話、2話序盤まで書いたんですけど、それから他の事が忙しくなって、今までずっと触っていなかったんですよね。だから最近になって残りを書き始めた時、「うわ、2、3年前の私の文章力、低すぎ…」(今もですけど)って思って多少書き直しました。
まあ、そんなこんなで書けて満足です!本当は自己満足な部分が強かったので投稿する気もさらさら無かったのですが、完結している作品も多分今も無いと思ったので、せっかくならと投稿させていただきました。
自分と同じ気持ちを持つ人がいて、そのお役に立てれれば光栄です。
今も、メモに完全にオリジナル(東方関連ですけど)の小説を書き貯めているので、完成次第投稿しようかなと考えています。まあ、何日、何ヶ月、何年後になるかは分かりませんけどね。

それでは、後書きも丁寧に読んで下さりありがとうございました!またどこかでお会いしましょう!
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