進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第12話 13年前の悪夢 その4

第12話 13年前の悪夢 その4

 

地響きを上げゴールとブライに向かって駆けて行く黒いゲッターロボ。ブライが印を結んで吹雪を起こすが、そんな事は黒いゲッターロボ……ブラックゲッターには何の障害にもならなかった。

 

「ギャアアッ!!?」

 

雪原にブライの悲鳴が木霊する。厚い吹雪で何が起きているのかは判らないが、その悲鳴からブラックゲッターがブライに組み付いたのは明らかだった。

 

「弁慶。黒いゲッターロボって……知ってるわけねえわな」

 

「はい。ゲッターロボは13年前の早乙女の乱で殆ど失われてますから、俺が早乙女研究所の地下で見つけた練習機がこの世界に存在する最後のゲッターロボです」

 

早乙女研究所の地下で弁慶が見つけ、渓を救出するために使った錆びだらけのゲッターロボが恐らくこの世界で最後に現存する量産型ゲッターロボの一機だと弁慶は告げた。

 

「!!」

 

吹雪の壁を突っ切ってブラックゲッターロボが武蔵達の場所まで弾き飛ばされてくる。着地する時の構えを見た武蔵はまさかと呟いた。

その構えに武蔵には見覚えがあったからだ。そしてブラックゲッターがゲッター3を睨むと同時に、肩から取り出したゲッタートマホークを全力でゲッター3に向かって投げつけた。

 

「あいつ! やっぱり敵なのッ!」

 

突然の攻撃に渓が声を荒げたが、武蔵は全く動揺せずゲッターアームをブラックゲッターに向かって伸ばした。それは互いに互いを攻撃しているように渓達には見えていた。だがそれは渓達が本当のゲッターチームを知らないからこそであり、そして本物のゲッターチームである隼人がもしこの場にいれば、同じ行動をしていた。

 

「「ギギャアアッ!???」」

 

「え?」

 

互いの攻撃は僅かにそれぞれから外れ、氷塊から顔を出したメカザウルスと百鬼獣の頭部を同時に粉砕していた。

 

「號! カーウァイさんは南極基地に! こいつ陽動だッ!!」

 

大将首自らが陽動になり雑魚が観測基地のゲッター線を狙う。セオリーとは逆の戦い……ゴールとブライの姿が化け物だからそんな知性が無いと思い込んだのが失敗だった。氷塊から顔を出したメカザウルスも、百鬼獣も明らかに水中戦に特化した姿をしている。最初からゴールとブライは陽動で、吹雪を駆使し足止めと通信の妨害をするためだけにこの場にいた。

 

「それは判る……だが」

 

「武蔵さんたちだけじゃ」

 

號達はゴールとブライと言う強大な敵を前に、ゲッターロボだけを残す事に難色を示した。だが武蔵は渓達の心配を豪快に笑い飛ばした。

 

「大丈夫さ、あいつがいる」

 

「……」

 

ブラックゲッターに視線を向けるゲッター3、そしてブラックゲッターもゲッター3を見つめていた。そこに言葉は必要ない、武蔵だから、そしてブラックゲッターを操る男だからこそ……これ以上の戦力は必要ないのだ。

 

「判った。すぐに合流する」

 

「カーウァイさん!?」

 

「観測基地を潰されてゲッター線を吸収された方が危険だ。急ぐぞ」

 

雪煙を上げて観測基地に引き返していくゲシュペンスト。その姿を見て真ゲッター1も翼を広げ観測基地へ引き返していく。

 

「さてと、やるか」

 

「……」

 

ゲッター3の問いかけにブラックゲッターは何のリアクションも示さず、ゲッタートマホークを手に走り出して行った。

 

「ったく、少し見ないうちに随分と無愛想になっちまって」

 

「武蔵さん……もしかしてあのパイロットに心当たりが?」

 

「ねえわけじゃないけど、確証は無いから言わない。さて、こっちも気合入れるぜッ! とっととゴール達をぶっ飛ばして元気ちゃん達と合流するぜッ!」

 

武蔵は確証が無いといったが、本当は確信していた。あの黒いゲッターロボを駆る男が竜馬であると、だが竜馬が何も言わないのなら無理に聞き出さない。今はこうして長い時を、時代を隔てて再会出来た。それだけで良いと、武蔵は思ったのだ。

 

「ほどほどにな」

 

「相手が相手だからそれは聞けない相談ですねえッ!」

 

操縦桿を握り締め武蔵は笑う、それは渓が見た事が無い獰猛な笑み……まだ武蔵達が3人揃っていた時の笑みなのだった……。

 

 

 

 

「バトルウィィングッ!!!!」

 

雪原に號の叫び声が木霊し、真ゲッター1のバトルウィングが縦横無尽に暴れ回り、観測基地に近づこうとしていたメカザウルスや百鬼獣を容赦なく引き裂きバラバラにする。

 

「ちいっ!」

 

「くそっ! こいつら厄介すぎるッ!」

 

號と渓の舌打ちが同時に響いた、バラバラに引き裂かれたメカザウルスと百鬼獣の切断面からインベーダーが伸び、メカザウルスと百鬼獣が融合し、全く別の化け物へと変異する。

 

「凱! 避難はどうなってる!」

 

「今でやっと半分だ! クジラにどんどん移動して貰ってる!」

 

號が観測基地に戻った時にはロボットが出撃していた。氷海から姿を見せる百鬼獣とメカザウルスに観測基地の隊員はシェルターを出て防衛とクジラへの避難を始めていたが、それでもまだ完全には完了していない。

 

「ゲッタービームは使えない」

 

「ゲッター2も駄目だし」

 

ゲッタービームを使えば避難している隊員がゲッター線に被爆してしまう、ゲッター2なら移動するだけでその暴風で人を弾き飛ばすだろう。ゲッター3で動かず防御するという方法もあるが、敵に対する攻撃の決め手が足りない。

 

「無理をするな、足止めはこっちでする」

 

「だが……」

 

「心配するな、まだルーキーに心配されるほど衰えては居ない」

 

避難が完了するまで真ゲッターはまともに戦えない。それならばとカーウァイが前に出るが、ゲシュペンストにはゲシュペンストである問題があった。それは攻撃力不足と言うあまりに深刻な問題だった。

 

「ちっ、やはり決め手が足りん」

 

インベーダーが寄生しているメカザウルスと百鬼獣の装甲を破壊することは出来る。だが肝心のインベーダーを倒すには攻撃力が不足している。フルパワーのブラスターキャノンならば消し飛ばすことが可能だ。だが、チャージと冷却の時間を考えれば使うわけにはいかない。

 

「……ターゲットロック、ファイヤッ!」

 

最後のスプリットミサイルのコンテナを射出と同時にパージし、雪原に突き立っていた百鬼獣が使っていた三日月刀を拾い上げメカザウルスの頭を跳ねる。

 

「シッ」

 

その一太刀で使い物にならなくなった三日月刀を投げすて、プラズマスライサーを再生しようとしていたインベーダーの頭部につきたて、高圧電流で焼き尽くし、崩れ落ちたインベーダーを蹴って蜻蛉を切って自身に迫っていた熱線を回避するタイプS。

 

「すげえ、どんな操縦技術があればあんなのが出来るんだよ」

 

凱が呆然とした様子で呟いた、スプリットミサイルの射出と同時に動き出し、1分弱で2体を屠り、次の反撃の準備をしているゲシュペンストに自身との比べようが無いパイロットとしての力量を見せ付けられていた。

 

「……駄目だ、やはりあの機体では倒せない」

 

「ちっ、鬱陶しいな」

 

號が言う前にカーウァイ自身が気付いていた。倒した2体が別の個体を融合し、また別の存在へと変異する。確かにカーウァイの操縦技術、そしてゲシュペンストの性能でインベーダーを含む百鬼獣、メカザウルスとも互角に戦えていた。だがあくまでゲシュペンストの装備は新西暦準拠の装備……すなわち自分と同等のサイズの敵と戦う前提で設計されている為決め手に完全に欠いていた。

 

「使えッ!!」

 

「ッ! ありがたいッ!!」

 

観測基地のロボットが投げ渡してきたアサルトマシンガンを空中で受け取り、そのままメカザウルス目掛けてフルオートで連射する。

 

「ギギャアア!?」

 

「これは助かるッ!」

 

手持ちのビームライフルは2丁あるが、まだ敷島博士が構造を理解していない為換えのエネルギーパックが無く、思うように使えないことで必然的に近接に攻撃手段が限られていたが、旧西暦の銃器を手にしたことでカーウァイの卓越した射撃も使えるようになった事で戦術の幅が倍以上に広がった。

 

「……しかし、思ったよりも効くな」

 

しかし攻撃手段が広がったが、その代りにトリガーを引くたびに相棒を伝わってくる衝撃に顔を顰めたが、これだけの火力が無ければメカザウルスや百鬼獣、そしてインベーダーとの戦いは出来ないのだろうとカーウァイは身を持って知った。

 

「スラッシュリッパーGOッ!」

 

コンテナから射出されたスラッシュリッパーが雪原を切り裂きながらメカザウルスの足に傷をつける。自重に耐え切れず首が下がったメカザウルスをゲッターサイトが文字通りの死神の鎌となりその命を刈り取る。

 

『皆! 観測基地の人は全員保護しました! クジラはこれから出航します! 団六!』

 

『必要な物資は既に全て回収しました! 全力でやってください!!』

 

古田とリーダーの言葉、それは號達が待ち望んでいた物だ。クジラが浮上すると同時に真ゲッターが立ち上がる。

 

「ゲッタァァァ……ビィイイイムッ!!!」

 

今までのフラストレーションを晴らすように頭部から放たれたゲッタービームがメカザウルスと百鬼獣を焼き払う。

 

「好機ッ!!」

 

今まで抜くタイミングを計っていたプラズマカッターを装備し、タイプSと真ゲッター1は同時に走り出す。時間を掛ければ融合して再生される。それを防ぐ為には速攻しかないと號とカーウァイは判断した、そしてなによりも武蔵達のいる方向から響く轟音に、合流するべきだと判断したのだ。

 

「速攻で蹴りをつける」

 

「言われるまでもないッ!」

 

ゲッターサイトとプラズマカッターの煌きが雪原をまばゆく照らし出すのだった……。

 

 

 

 

號とカーウァイは戦闘の激しい音から武蔵達がピンチに陥っていると感じていた。だが実際はそうではなかった、優勢なのは武蔵達の方であった。

 

「オラオラオラァッ!!」

 

「!!!」

 

ブラックゲッターとゲッター3のコンビネーションは完璧であり、全くのタイムラグも言葉も必要ない。互いに何が必要か、そして何をすれば良いのかが判っていたのだ。

 

「……まさか、そんな……」

 

「これはほぼ、決まりと言っても良いだろうな」

 

ゲッターロボに乗っている弁慶もイングラムも感じていた。武蔵とここまで完璧に息を合わせることが出来る人物は2人しか居ない、1人は勿論「神隼人」そしてもう1人は行方不明の「流竜馬」しかいない。恐竜帝国と戦い、そして友情を育んできた3人に言葉が必要ないのだ。

 

「あんまり突っ込むなよッ!」

 

「ガアアアアッ!」

 

ゴールの豪腕の直撃を喰らい掛けていたブラックゲッターの足にゲッターアームが巻きつき、戻る勢いでブラックゲッターを引き寄せると同時に、引き寄せた勢いで半回転しブラックゲッターをゴールとブライ目掛け投げつける。

 

「「!?」」

 

まさかの攻撃にゴールとブライが一瞬困惑した隙にブラックゲッターはゴールの背中の上に着地し、その上を凄まじい勢いで走りブライの背後の組み付いた。そして大きく肘を振り上げると何度も何度もブライの頭に肘打ちを叩き込む。

 

「ギッ! がアアッ!!」

 

リズミカルに、そして一切の容赦も手加減も無い肘打ちの雨にブライの額が割れ、どす黒い血液が流れ出すがそれでもブラックゲッターは動きを止めない所かその動きは激しさを増す一方だ。

 

「シャアア!「おいおい、オイラを忘れんなよッ! ゴールゥッ!!」

 

口から触手を伸ばしてブラックゲッターを捉えようとした瞬間。ゲッター3が高速でゴールとブライの前に突っ込み、固く握り締めたゲッターアームでゴールの顔面を容赦なく穿つ。

 

「ギャアアアアッ!」

 

「っと、逃がしはしねえよっ!」

 

もんどりうって倒れようとしたのをゲッターアームをゴールの胴体に巻きつけるようにして防ぎ、ジャガー号の機首を挙げ、至近距離でマシンガンの掃射を容赦なく打ち込む。

 

「ガアアアアッ!?」

 

苦しみ悶えるゴールに武蔵は一切の容赦は無い。ここで殺してやる、逃がす物かと言う明確な殺意がゴールに向けられる。

 

「ギャアアッ!!?」

 

そしてブライに組み付いているブラックゲッターはその両腕の鋭いスパイクをブライの角に何度も何度も叩きつけ、その左角を根元から容赦なく叩きおり、残された右角に視線を向ける。

 

「「ガアアアアアアッ!!!」」

 

だがその瞬間ゴールとブライの雄叫びが響き渡り、氷海から姿を見せたインベーダーの触手がゲッター3とブラックゲッターを背後から締め上げ、ゴールとブライから引き離す。

 

「オープンゲット! チェンジッ!」

 

ゲッター3は即座にオープンゲットする、その凄まじい勢いに弁慶とイングラムはブラックアウトしかけたが、それでも反射的にレバーを叩きつけるように倒す。

 

「ゲッタァアアワンッ!! おらああッ!!」

 

空中でゲッター1に変形し、反転しながら投げつけられたゲッタートマホークがブラックゲッターを締め上げていたインベーダーを両断する。

 

「!!」

 

「ギャアアッ!」

 

そしてブラックはインベーダーに突き刺さったままのゲッタートマホークを握り締め、インベーダーを両断すると腕の横の刃で十字に切り裂き、再びゴールとブライに肉薄する。

 

「「シャアアッ!!!」」

 

しかしゴールとブライも近づけさせれば再び先ほどの二の舞と理解しているからか、インベーダーが寄生したミサイルを乱射し近づけさせまいとする。

 

「ゲッタァアアマシンガンッ!!」

 

武蔵がそうはさせまいとゲッターマシンガンを乱射する。それはブラックゲッターの装甲をかすめながらミサイルを貫く、1発とも完全に被弾していないが確実にマシンガンの弾丸はブラックゲッターの装甲も抉っていた。だがそれでもブラックゲッターは足を止めない、背後に目があるような……いや、違う。武蔵が自分を撃つ訳が無いと判っている信頼の証がそこにはあった。

 

「ギャァッ!」

 

スパイクで顔面を貫かれたゴールが苦悶の声を上げるが、そんなことはお構いなしに即座に振るわれた膝蹴りがゴールの顎を蹴り砕き、だらしなく開いた口に足をかけ口を引き裂き、ゴールの口に足をかけと跳躍したブラックゲッターのスパイクがブライの首を狙う。

 

「ゲッタァアアアッ!!!」

 

そしてブライも迎え撃つといわんばかりに両腕を振り下ろそうとした瞬間。ブラックゲッターは上半身をそらすようにしてその鋭い鉤爪を交わす、そしてブライの目の前に広がったのは高速回転する鉄の刃。

 

「ギャアアアアアアッ!!!」

 

ゲッタートマホークが目に突き刺さりブライの悲鳴が木霊する。ブラックゲッターを目晦ましに、投げつけたゲッタートマホーク。それがブライの顔面に突き刺さっていた。

 

「すげえ……こんなの何の打ち合わせも無し出来るものなのか……」

 

目の前で繰り広げられる光景に、弁慶もイングラムも驚愕した。言葉を交わさすに、そして殆ど一瞬で互いに何が必要なのかを判断し、それを実行に移す事が出来る初代ゲッターチームの神技とも言うべきコンビネーションに言葉も無かった。

 

「ギャアアッ!」

 

行がけの駄賃と言わんばかりに更に目に付き立てられたスパイクによる切り傷にブライは苦悶の声を上げ、両手で目を押さえた。

 

「ゲッタァアアビイィィームッ!!!」

 

「!!!」

 

上空からのゲッター1とブラックゲッターのフルパワーのゲッタービームの照射。それはゴールとブライを溶かし、焼いていたが残された右角が輝くと吹雪が一瞬巻き起こりその姿を隠した。

 

「なろお……いねえ?」

 

ほんの一瞬でゴールとブライの姿は消えていた。何の気配も無く、レーダーに反応もない。

 

「逃げられたようだな」

 

「あの巨体が何処に……」

 

「……あっちも行っちまったな……」

 

あの一瞬でどうやってあの巨体が消えたのだと武蔵達が考えている間にブラックゲッターはゲッターウィングを身体に巻きつけ、遥か遠くの空へと消えて行った。

 

「しゃあねえ、まぁ、とりあえず全員無事だったということだけでよしとしようぜ」

 

「そうだな、突発的な遭遇戦を切り抜けれただけで良かっただろうな……」

 

「武蔵さん、あの黒いゲッターロボのパイロットは竜馬なんでしょうか?」

 

「さぁな、ま、インベーダーと戦ってりゃあその内会えるさ」

 

全員が竜馬であると言う確信を得ていたが、姿を見ないうちは何ともいえないと笑い。ゆっくりと向かってくるクジラとその護衛をしている真ゲッター1の姿を見て、南極での戦いが終わったと一息つくのだった……。

 

 

 

 

久しぶりの操縦にも拘らず、メタルビーストを15機撃墜し、ゲッターパイロットとしての腕前は健在と言う事をタワーの戦闘班に見せ付けた隼人は私室で武蔵の連絡を聞いていた。

 

「そうか、南極の基地は破棄になったか……だがそれも仕方あるまい」

 

まさかのゴールとブライの復活。映像として残されている巨体を見て、よく3機だけで持ち堪えたと隼人は笑った。

 

『いやあ、多分だけど……リョウが助けてくれた』

 

「何? それは本当か?」

 

『いや、多分がつくぜ? 構えとか操縦の癖はリョウだっただけで、黒いゲッターロボに乗ってた、あとでそっちも映像を送る』

 

先にゴールとブライの映像を送ったと言う武蔵。危険度の高い物を先に送ったと考えればそれは間違いではないだろう。

 

「あとで確認しておこう。悪いが、南極の観測隊を連れて1度タワーに帰還してくれ、調査を手伝って欲しい」

 

『調査?……正気か? 大丈夫か? なんか悪いものでも喰ったか? それとも疲れてるのか? ちゃんと寝てるか』

 

武蔵、弁慶を含め脳筋しかいないクジラクルーに調査を頼むと聞いて武蔵は隼人が疲労か、それとも悪い物でも食べたのかと心配になった。

 

「ああ、別にお前に調べろと言っている訳ではない。イングラムとカーウァイの2人が必要なんだ」

 

『……何を見つけた?』

 

イングラム達を名指しする事で武蔵も何を見つけたのか、それを理解した。自分が新西暦に言ったのと同じ様に、新西暦の物が旧西暦に現れたのだと……。

 

「崩壊したPTだったか? それらしい物の残骸が……ざっと121機。真ドラゴンの捜索中に発見された」

 

『はぁ!?』

 

「だから121機。まるで杭打ちのような物で抉られるように破壊されている物と、ベアリング弾か? それで蜂の巣にされている機体だ」

 

杭打ち機、そしてベアリング弾……その2つを武器とする機体を武蔵は知っていた。キョウスケが乗るアルトアイゼン……その姿が脳裏を過ぎった。

 

『……ゲシュペンストか?』

 

もしやその残骸がエアロゲイターが複製した機体かもしれないと思い、ゲシュペンストか? と尋ねると隼人は書類を捲りながら自分も確認しながら武蔵に詳細を伝える。

 

「いや、ゲシュペンストにはあんまり似ていないな。背中にフライトユニットらしき物を装備していて、カノン砲を2門背負っているバイザー型の頭部をしている機体だ、他にも色々発見されているが、これが一番多い。次は戦車を人型にしたような物が2機、巨大な刀の残骸が1つ。それと背中にバックパックを背負った青い機体が1つ、後は4つの砲門を持つ巨大な戦闘機が1つだ。写真を後で送信する、映像で確認を取った後、ポイントA-47に来てくれ、タワーもそちらに向かう」

 

『了解した。それで何を調査するんだ?』

 

「海上に突然出現した巨大な戦艦だ。色は緑、形状は流線型。中を調べようにもロックで侵入出来ない、だが外見はほぼ完璧だ。もしかすればイングラムが動かせる機体があるかもしれないと思ってな」

 

『まぁ、その可能性はあるか、名前とかは判ったりするのか?』

 

武蔵の問いかけに隼人はそれも判っていると返事を返した。

 

「敷島博士が回収したPTから情報を収集した。殆ど大破しているから詳しい情報が不明だが「エルドランド」と呼称されていたらしい、俺たちにとっては未知の情報に満ちた黄金境……まさしくエルドランドだ」

 

『エルドランドね、判った2人に聞いておくよ』

 

「ああ、頼んだ。また1500に連絡する」

 

しかし武蔵は知る良しも無い、この時代に流れ着いた箱舟が武蔵の知る新西暦から流れ着いた物ではなく、極めて近く、そして限りなく遠い世界から楽園を目指して旅立った箱舟であると言う事を……しかしそれを武蔵が知るのは、ここより遥か未来の出来事なのだった……。

 

 

第13話 極めて近く、限りなく遠い世界から その1へ続く

 

 




ここでオリジナルを続けます。極めて近く、限りなく遠い世界。そして捜索隊が見つけた物からもう何かは判ってますね? ですがここはお口チャックでお願いしますよ? それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

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