進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第14話 極めて近く、限りなく遠い世界から その2

第14話 極めて近く、限りなく遠い世界から その2

 

エルドランドの周辺を警戒していた號達に落ち度はなかった。ただ、今回はインベーダーが一手上回っていたのだ。

 

「號ッ! こいつらより武蔵さん達をッ!」

 

「判っているッ! だがこうも……ぐうっ!?」

 

身体を周囲に同化させ、人間に牙を向けること無く破壊されたPTに取り付きメタルビーストへと変化させた。気付いた時にはエルアインスを初めとしたエルドランド周辺の破壊されたPT群は全てメタルビーストへと変貌していた。

 

『作業班は全員タワーへと帰還せよ! 戦闘班は緊急出撃! 回収班のフォローに回れ!』

 

タワーから命令にPTの回収をしていた部隊が回収作業を中断して撤退していく。だがその背後でトレーラーに詰め込まれていたPTがインベーダーに浸食され、メタルビーストへと変異していく。

 

「親父! 親父も早くタワーに!」

 

『駄目だ! 現場を任された以上追いそれと撤退出来るかッ!!』

 

BT-23でメタルビースト・エルアインスに攻撃を仕掛ける弁慶。だが、旧西暦と新西暦では根底から機体スペックが余りにも違いすぎた。

 

「號ッ! ゲッター2……うわあッ!」

 

「駄目だ! オープンゲットしたらその瞬間に潰されるッ!」

 

上下左右からの執拗な砲撃、そしてメタルビーストに変異したエルアインスがどんどん飛び立ち始めている。直線的な機動力ではゲットマシンでエルアインスを振り切れるが、そこから合体に持ち込めるかと言うと別問題であった。

 

「このままメタルビーストを制圧するッ!」

 

ゲッターサイトを構えさえメタルビースト・エルアインスに切りかかろうとするが、メタルビースト・エルアインスはその攻撃を嘲笑うかのようにかわし、背負っているビームカノンによる一斉砲撃を叩き込んでくる。

 

「ぐううっ!」

 

「うわあッ!」

 

「ちくしょうッ! このままじゃ不味いぞッ!」

 

エルアインス自体は量産機に過ぎない、だがそれは新西暦を基準にしたものであり旧西暦で考えれば最新鋭機に匹敵するスペックを持っている。それが何十機と舞い上がり、戦闘態勢に入れば真ゲッターでさえも翻弄される。

 

「くそったれ、数で押し潰しにきやがって!」

 

「ちいっ、落ち着け! フォーメーション、4-4ー7! 隊列を乱すな、冷静に対応しろ!」

 

タワーの戦闘班であるシュワルツ達もエルアインス達の動きに翻弄され、思うように行動出来ていない。余りにもステルバー達とエルアインスたちでは隔絶した戦力の差があった。

 

「「ゴガアアアアアアーーーッ!!!」」

 

エルアインスに翻弄される號達の耳に響いた獣の咆哮。地面を蹴り、空中から狙いを定めていた機体を一閃で破壊した異形と噛み砕き爆発させた2つの影……。

 

「ゴールッ!」

 

「それにブライだと!? くそったれ! 話には聞いてたがあんな化け物なのかッ!」

 

南極で戦ったゴールとブライ、それが融合した状態ではなくそれぞれが真ゲッターと同等のサイズで2足歩行で地響きを伴って出現する。

 

「ッ! ゲッタービームッ!!!」

 

何かに気付いた號が頭部のゲッタービームを上空目掛けて放射する。そこにエルアインスの姿はなかったが、ゲッタービームで引き裂かされた雲の切れ間から赤、青、黄色の機体がそれぞれ姿を見せた。

 

「馬鹿なッ! あれがまだ存在している訳が無い」

 

「ゲッターロボGッ!!」

 

地球荒廃の原因となったゲッター線、その中でも取り分け憎悪を集めるゲッターロボ……ゲッターロボGのドラゴン、ライガー、ポセイドンが現れたのと、エルドランドが爆発し、ゲッター2、ゲッター3、そして2機の漆黒のゲシュペンストが現れるのと、その4機を追ってエルドランドから出現した4機のメタルビーストが出現したのはほぼ同時のタイミングだった。どちらも助けたいと思っているが完全に分断されている状況にこの戦場にいる全ての人間が全滅を一瞬覚悟したのだった……。

 

 

 

 

インベーダーに片っ端から喰われメタルビーストに変貌していくPTの残骸、そして3機のゲッターロボG、ゴールとブライの出現。2時間に満たない時間でエルドランド周辺は地獄と化していた。

 

「隼人、先にゲッターGを潰すぞッ!」

 

「判っているッ!」

 

ゴールとブライも驚異だが、武蔵と隼人は真っ先にゲッターロボGを潰す事を選択した。エルドランドから持ち出したコンテナを海の中に沈め、殆ど同時にゲッターGに向かって機体を走らせていた。野生と知性が両立したゴール、ブライ共に厄介だが、それ以上にゲッターロボGの驚異は上だった。

 

「ッ!!!」

 

「舐めんなッ!!」

 

地面を削りながらポセイドンの放ったフィンガーネットを回避し、残骸を絡め取ったフィンガーネットを掴んでゲッター3の馬力で引き寄せようとするが、それよりも早くドラゴンのダブルトマホークがフィンガーネットを根元で断ち切り、ライガーがジェットドリルをゲッター3目掛けて撃ち込む。

 

「ゲッタービームッ!!!」

 

「サンキュー隼人ッ!! ゲッターアアミサイルッ!!!」

 

ジェットドリルはゲッター2の目から照射される牽制用のゲッタービームで爆発し、返す刃でゲッターミサイルがドラゴン達に向かうがドラゴン、ライガーは上空に舞い上がりそれを回避し、ポセイドンはその強固な装甲でゲッターミサイルを完全に防いでいた。

 

「くそったれ、かてえなぁ」

 

「戦闘用のゲッターロボだからな、あくまで宇宙開発目的で作られた俺達のゲッターよりも強力だ」

 

新西暦で戦った量産型Gよりも遥かに強力なゲッターロボGに舌打ちする武蔵。冷静に自分達のゲッターよりも強力だという隼人もその顔は苦悶に満ちていた。

 

「くそっ! こいつらに集中させてはくれないわなッ!! がっ!?」

 

「武蔵ッ!? ぐあっ!?」

 

武蔵と隼人がゲッターGを集中的に狙おうとするが、それをそのまま許すほどメタルビーストと化したPTは甘くは無い。背後から飛来したブーメランと、メタルビーストと立ち上がったばかりの戦車を人型にしたような機体の巨大なキャノン砲がゲッター3とゲッター2を襲う。

 

「!!!」

 

「!!!」

 

体勢を崩したゲッター2と3にゲッタービームとチェーンアタックが叩き込まれ、武蔵と隼人を凄まじい衝撃が襲い掛かる。

 

「くそっ、隼人、こいつやけに強くないかッ!? それともゲッターGって言うのはこんなにも強いのか!?」

 

ジュネーブで戦ったゲッターGよりも遥かに強いと隼人に叫ぶ武蔵、隼人はゲッター2の体勢を立て直させながら冷静に告げる。

 

「更に改造されていると見て間違いないな」

 

量産機のはずだが凄まじい出力を持つゲッターG達。オープンゲットと再合体する気配は無いが、それぞれの機体の威圧感が半端ではない。

 

「単独操縦じゃ無理があるか……」

 

「これは想定していなかったからなッ!!」

 

上空のメタルビースト・エルアインスのG・リボルバーやG・レールガンによる妨害を潜り抜けて、ゲッターGを倒すには単独操縦のゲッターでは明らかに不可能だった。

 

「隼人ッ!」

 

「ちいっ!!」

 

イングラムとカーウァイだけでRシリーズを抑える事など出来るわけも無く、パワードパーツを装着したエル・ツヴァイのハイゾルランチャーの散弾を回避する武蔵と隼人だが、よけた先では照準を合わせていたエルアインス達のツインビームカノンの雨が降り注ぎ、爆発と飛び散った残骸がゲッター2、3の装甲を容赦なく抉る。

 

「PTって言うのは相当に厄介だな!」

 

「本当はこんなに強くない筈なんだけどなッ!!」

 

PTを知らない隼人はこれがPTの基本的な能力だと判断していたが、それは間違いでインベーダーに寄生された事で出力が上がり、特機相当のパワーをエルアインス達もLシリーズも発揮していた。

 

「!!!」

 

「ぬあああッ!! がっッ!?」

 

「武蔵ッ! くっ! 邪魔だッ!」

 

ポセイドンと力比べしているゲッター3の背中に容赦なくPTの弾丸が叩き込まれ、それを防ごうとしたゲッター2はドラゴンのダブルトマホークで弾き飛ばされる。

 

「……こりゃあマジで厳しいなあ」

 

「少しでも数を減らさない事には勝機はないぞ……」

 

200近いPTが少しずつだがメタルビーストに変化し、ドラゴン、ライガー、ポセイドンにゴールとブライと言う圧倒的な力を持つ存在の支援をする。それに対してタワーの戦力は100にも満たない。

 

「なぁ、なんとかしてこっちに乗り移れねえ?」

 

「……俺も出来る事ならそうしたいがなッ!!」

 

「そんな事をやってる隙はねえなあッ!!」

 

PTからの弾雨とその間隙を狙って強烈な一撃を叩き込んでくるドラゴン達。2人で何とか姿勢を立て直しているからこそ、追撃こそ防いでいるが……それでも徐々に悲鳴をあげる機体に武蔵と隼人は背中に冷たい汗が流れるのを感じるのだった……。

 

 

 

 

 

R-SOWRDを駆るイングラムは少しでも早くRシリーズを行動不能にさせるべく行動していたが、メタルビースト・エルアインスによる妨害に思うように動けないでいた。

 

「ちっ、不味い」

 

最初は素体だったが、今ではツヴァイとドライがパワードパーツをエルドランドから持ち出して装備していた。外に運び出したにも関わらず、それはエルドランドが量産型SRXの運用母艦であるからこそパワードパーツにも何個もの予備が用意されていた証拠だった。

 

「「「!!!」」」

 

「舐めるなッ!!」

 

量産型R-SOWRDも基本的なスペックはツヴァイ、ドライと大差は無い。だがR-SOWRDとR-GUNはイングラムが自身の為に設計した機体だ、その機体スペックは全て知り尽くしてあり、基本的な癖も全てイングラムにあわせている。だからこそ、数の暴力に見舞われても直撃を回避して立ち回ることが出来ていた。

 

「リュウセイ達が相手ならば話は違うが、獣に負ける俺ではないッ!」

 

拳を黒く光らせて突っ込んできたアインスの胴体に蹴りを叩き込み、その勢いで離脱しながらマグナライフルをハイゾルランチャーに向かって叩き込み、爆発させる。だが即座に回復するのを見て再び舌打し、上空から飛来したストライクシールドを素早く後退しながらかわしつつバルカンでアインスの突っ込みを防ぎ、R-GUNのビームカタールソードと鍔迫り合いをする。

 

(……さすがの俺でも厳しいぞ)

 

Lシリーズの4機と戦いながらエルアインスの弱点を調べると言う事をしているイングラムの額に大粒の汗が浮かんだ。

 

「ぐっ! おおおおおーーーッ!!」

 

「トマホークブーメランッ!!!」

 

ガトリングガンとゲッタートマホークはエルアインスを切り裂き破壊しているが、飛行出来なくなっただけで着地と同時に肉体を再生させ再び走り出す。

 

「ガアアアアアーーッ!!」

 

「ゴアアアアアーーーッ!!」

 

暴れ回るゴールとブライに真ゲッターも追い込まれ始め、ロボット部隊もエルアインスに追詰められていた。

 

「ここかッ!」

 

「ッ!?」

 

エルアインスの構造を分析し弱点である箇所をイングラムは見出していた。マグナライフルの銃口をフライトユニットと機体の隙間に向け引き金を引く、着弾した瞬間。大爆発を起こし、墜落するエルアインスに弱点の箇所をイングラムは確信した。

 

「背中の飛行ユニットの隙間を狙え! そこが動力が集中しているッ!」

 

機体の動力源とテスラドライブの動力源、その箇所を攻撃されれば、機体のエネルギーが逆流し爆発する。

 

「なるほどな! まだ動ける奴は残骸のフライトユニットを破壊しろ! シュワルツッ!」

 

「おうよッ!!」

 

変形したステルバーがエルアインスに突撃し、擦れ違い様にガトリングでフライトユニットを破壊する。

 

「これで流れは変わるか、後は「イングラム、私はどうすればいい」……助かる。あの機体の強化パーツを破壊してくれ」

 

1対4の戦いに再び挑もうとしたイングラムの前にゲシュペンスト・タイプSが割り込む。その姿に小さく安堵の溜め息を吐き、どうすればいいかをカーウァイに伝えるイングラム。

 

「合体を阻止する為か」

 

「ああ。ここにSRXが現れたら俺達は全滅するぞ」

 

R-GUNもある、量産型とは言えSRXがこの戦場に現れれば、R-GUNを砲撃形態にして大出重金属粒子砲が文字通り火を噴くだろう。それが直撃すれば真ゲッターでさえも危ない。それを防ぐには再生されるとしてもパワードパーツを破壊し、完全な形での合体を阻止し、欠落した部分をインベーダーに補わせ完全体でのSRXの出現を防ぐ必要がある。

 

「渓達には悪いが、あっちはあっちで何とかしてもらうしかない」

 

「そうだな」

 

エルアインスの弱点が判明したとは言え、戦車の機体「ランドグリーズ」バックパックを背負った「アシュセイヴァー」の2機体は少数とは言えまだ稼動している。しかもあの2体は量産機ではなく、正式採用機機体を簡略化されておらず、スペックもエルアインスよりも遥かに上だ。それらを相手取りながらゴールとブライと戦うのは無謀だ、だがそれ以上にSRXを降臨させてはいけないという事がイングラムを動かしていた。

 

(もしも、最悪の場合に備えなければ)

 

SRXは最悪の場合敵陣の真ん中で自爆する事を考えられていた、もしもその機能があれば何も出来ずに死ぬ。それだけは防がなくてはならない、その為には戦闘班を見捨てる事も選択肢にイングラムは入れなければならなかった。

 

(アストラナガンが使えれば……)

 

今もなお亜空間で眠る己の半身が使えれば、こんな事にはならないのにとイングラムは歯を噛み締める。

 

「俺はアインスとR-GUNを狙う」

 

「了解した私はツヴァイを優先的に潰す」

 

「ああ。頼むぞッ!」

 

ドライはメタルビーストではその性能を万全に引き出せないのか、動きが鈍い。なら今はドライを度外視してツヴァイとアインスを潰す。SRXになる場合、ドライは最悪無くても大丈夫な部位だ。メイン動力が集まっているツヴァイを潰せば最悪の展開は消える、それだけを考え漆黒の2機の猟犬は地面を蹴り、それぞれのターゲットにした機体に突き進んでいくのだった……。

 

 

 

 

 

 

凄まじい爆発音がし、ゲッター2が左腕を失い大きく弾き飛ばされる。その姿に気付き、ゲッター3が両腕を伸ばしゲッター2を空中で受け止め、最大速度で一時ドラゴン達と距離を取る。

 

「隼人ぉッ!!」

 

「ぐっ、すまん。武蔵、やはり実戦を離れて長いのが響くな」

 

隼人は確かに優れたパイロットだ。だがやはり実戦を離れて長い時間が過ぎていた……その為に集中力を最後まで保てず、集中力が切れた瞬間にドラゴンとライガーの攻撃で大きく機体を損傷していた。

 

「くそっ、乗り移らせる隙もねえ」

 

「心配するな、まだ戦える」

 

戦えるというが、ゲッター2の最大の武器のドリルを失えば、ゲッター2に出来る事は殆ど無くなったと言ってもいい。

 

「撃墜されるのを覚悟でオープンゲットするか」

 

「空中で乗り移れるか……?」

 

「無理でもやるしかある……ちいっ!!」

 

ポセイドンがストロングミサイルを背負い振りかぶるのを見て、ゲッター2とゲッター3は弾かれたように距離を取る。しかし、ゲッター2と3を合流させまいとライガーとエルアインスがゲッター2を追い回し、ゲッター3はドラゴンとポセイドンに集中攻撃を受け、ゲッター2に近づく事が出来ない。

 

(やばいやばい)

 

ドリルを失ったゲッター2はバランスを崩していて、最高スピードで走る事が出来ない。それでも何とか逃げ回れているが、それも何時までも持たないだろう。だからと言ってイングラム達に助けを求める事も出来ない……武蔵はドラゴンとポセイドンと戦いながら、どうすればいいかを考え、一か八かオープンゲットをしてかく乱してその間に乗り移らせるという博打に出ようとした。

 

『武蔵さん! 頼みますッ!!』

 

「弁慶ッ!?」

 

ヘリモードに変形したBT-23がドラゴン達の間に向かって飛び、弁慶がBT-23から飛び出した。

 

「おおおおおーーーッ!?!?」

 

まさか飛び出てくるとは思わず、機関砲を乱射しながら突撃し無理やりドラゴンとポセイドンの包囲網を抜けて弁慶を受け止める。

 

「ば、馬鹿かッ!?」

 

「大丈夫です! それよりも爆風に気をつけてください!」

 

イーグル号に乗り込んだ弁慶の言葉と同時に操縦者を失ったBT-23が墜落し、大爆発を起こす。

 

「うおっ!?」

 

「ありったけのミサイルを積んできましたからね! それよりも今がチャンスだッ!」

 

チャフなども積み込んでいたのかドラゴン達の動きが凄まじく鈍くなった。

 

「隼人ッ! 乗り移れッ!!」

 

叫ぶと同時にオープンゲットし、レバーを最大噴射に押し込む。

 

「おうッ!!」

 

そして隼人もジャガー号から這い出し、ゲッター2に向かって突き進むジャガー号に向かって跳んだ。

 

「うッ! うおおおおおおおーーーーッ!?!?」

 

卓越した反射神経でジャガー号の外部メンテナンス用の取っ手を掴んでいるがマッハで飛ぶゲットマシンの外部に晒されている隼人が雄叫びを上げる、そうでもしなければ意識を飛ばしてしまいそうだったから、意識が何度も飛びそうになりながらもジャガー号のコックピットに滑り落ちるように乗り込む。

 

『大丈夫か!?」

 

「危うく死ぬ所だ。馬鹿野郎」

 

そんだけ言えるなら大丈夫だなと笑う武蔵に隼人は呆れながらジャガー号の操縦桿を握り締める。

 

(懐かしい、何もかも懐かしい)

 

自分の青春そのもの、辛い事も楽しい事も、悲しいことも共に分け合った相棒がそのままの姿でそこにある。

 

『弁慶! 行くぜぇッ!』

 

『了解ッ! チェンジッ!!!』

 

何もいわなくてもどうすればいいかは身体が覚えている。レバーを倒し、ペダルを踏み込む。

 

『ゲッタァアアアッ!! ワンッ!!!』

 

懐かしい衝撃と共にゲッター1が戦場に舞う。竜馬ではないが、3人揃ったゲッターロボに乗るのは久しぶりだった。

 

「弁慶! 情けない真似をすればゲッター2に変わるからなッ! みっともない操縦を見せるなよッ!」

 

『行けるところまで行こうぜ! 3人揃ったゲッターロボの力を見せてやろうぜッ!』

 

『……はいッ!! 武蔵さん、隼人ッ!! 行くぜええッ!!!』

 

3人揃ったゲッターロボ、その目が力強く輝き、ゲッターロボの内部で何かが脈打つように動き出した事を武蔵達の誰も気づく事は無いのだった……。だが確かに、ゲッターロボに埋め込まれている何かがゲッターロボの中で大きく脈打ち始めるのだった……。

 

 

 

 

 

エルアインスの数は減ったが、ゴールとブライは全くの無傷で健在だった。前は3対1ですら不利だったのに2対1では勝ち目などある訳が無かった。

 

「ぐうっ! 渓、凱、大丈夫か」

 

「うっ……な。何とか、でもこれ以上は不味いよ」

 

「くそ、大将達もギリギリだしな」

 

装甲のあちこちが凹み、亀裂の走っている真ゲッターは片膝を付いていた。

 

「ギッギッギ」

 

「ゲッタァ……ロボォ……ッ!」

 

縦横無尽に駆け回るゴールと念動力を駆使するブライを相手にするだけでも困難なのに、そこにメタルビーストの群れが加われば號達では対処し切れなかった。

 

「このままでは……」

 

それ以上號が口にすることは無かったが、何を言いたいかは渓も凱も判っていた。応援は望めない、周りは囲まれオープンゲットすら出来ない。このままではそう遠くない内に撃墜される……3人の脳裏に最悪の予想が過ぎったその時、白刃が真ゲッターの顔の横を通過してゴールの額に突き刺さった。

 

「え、ゲッタートマホーク!?」

 

「どこからッ!?」

 

武蔵達はドラゴンと戦っているので武蔵達ではない、どこから飛来したゲッタートマホークに渓達が困惑する中。號だけが頭上を見上げる、それと同時に太陽の光を遮って黒い影が真ゲッターの前に舞い降りた。

 

「あいつはッ!」

 

「南極のッ!」

 

真ゲッターの前に立ち塞がった黒いゲッターロボの登場によって、エルドランドを巡る戦いは更なる混迷を極めていくのだった。

 

 

 

第15話 極めて近く、限りなく遠い世界から その3へ続く

 

 




次回は本格的な戦闘回と量産型SRXの降臨くらいまでを書いて行こうと思います。元々ハードモードの世界最後の日なので少し難易度を上げるだけで自動的にルナになるので丁度いいですね。それでは21時の更新もどうかよろしくお願いします。

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
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