進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第15話 極めて近く、限りなく遠い世界から その3

第15話 極めて近く、限りなく遠い世界から その3

 

真ゲッターの隣に立つ黒いゲッターロボ……その登場で流れが大きく変わろうとしていた。

 

「!!!!」

 

荒々しい動きで戦場を駆け回り、スクラップだろうがメタルビーストだろうがお構いなしにゲッタートマホークで切り裂き、それこそ戦闘班でさえも巻き込みかねない荒々しい姿はゲッター1の姿も相まって鬼を連想させた。だがその荒々しさが無ければ敵が増え続けるという絶望的な連鎖を立ち切る事が出来なかった。

 

「動力炉を狙え! 融爆させるんだ!」

 

R-SOWRDから送られる情報を元に、戦闘班はエルアインスの動力部を狙い撃ち、爆発させることでメタルビーストと化したエルアインスを吹き飛ばす。

 

「よっし、これならいける!!」

 

「よく狙え、スクラップはすぐに爆発しない事を計算に入れろ!」

 

動力が爆発することでエルアインスの装甲は吹き飛び、インベーダーの生身が姿を現す。新西暦の技術で作られた装甲を破壊するのは確かに難しい、動力を破壊する事もステルバー達でも簡単ではない。

 

「囲めッ! 全方位から銃弾をたっぷり食らわせてやれッ!!」

 

メタルビーストの伸縮自在の両腕や、本来ありえない角度からの攻撃。それらを回避しながら動力炉だけを狙い撃ち爆発させ、装甲をえぐり取る。それによって攻撃が可能になっても装甲を破壊するのに弾やエネルギーを消耗しており、インベーダーを倒す火力が足りなくなる。だが装甲を破壊しなければまともにダメージを与える事もできないのも事実、編成を組んで装甲を破壊する者、トドメを刺すものに分かれるがそれでも一瞬の隙でロボット軍は簡単に大破にまで追い込まれてしまう。

 

「ぐうっ!? くそっ!!」

 

「無理をするな! 下がれッ!!!」

 

「駄目だ! 脱出しろッ!!」

 

 

「「え? うわああああああッ!!!「キッシャアアアアアーーーッ!!!」

 

今も弾薬を使いきった友軍の腕がインベーダーに引きちぎられる。即座にカバーに入るがそれらもまとめてゴールに踏み潰され爆発四散する!

 

「なにやってるゲッターチームッ! あの化け物を止めやがれッ!! ランバートッ!」

 

「おうッ!!!」

 

ゴールとブライを倒すにはステルバー達では戦力が足りない。ゴールとブライを抑えろと叫びシュワルツとランバートのステルバーが主軸になり徐々にメタルビースト・エルアインスの数を減らす。

 

『散れッ! 散開しろッ!!!』

 

タワーからの散開命令に陣形を組んでいた戦闘班がバラバラに逃げ出す。その直後密集していた地点が凄まじい音共に爆発する。

 

「……ちいっ! あっちまで喰われたかッ!!」

 

「間に合わなかったかッ! ちくしょうめッ!!」

 

4つの砲台を持つ異形の戦闘機が舞い上がり、スクラップ同然だった機体がインベーダーに破損箇所を補われ立ち上がる。

 

「ジガンスクードッ!」

 

「カーウァイ。気持ちは判るが、あれはジガンスクードではない」

 

「……くっ、判っている!」

 

コロニーで暮らしていたカーウァイにとって、ジガンスクードは連邦による支配の証。それと酷似したジガンスパーダの姿を見てカーウァイは僅かに平常心を失う、それは数秒にも満たない隙だったが、メタルビーストにとってその隙は格好のチャンスとなった。

 

「ギィイイッ!!」

 

「ぐっ!? どこからだッ!?」

 

ロックオンの音は響かなかったスクラップ同士の影から飛び出したビームの刃を出した、小型のビット。それがタイプSの背中を貫き小破させていた。

 

「新型か……不味いな」

 

戦況を分析している間もLシリーズの猛攻を防ぎ、合体を防ごうとしているイングラムだが、メタルビースト・ジガンスパーダ、メタルビースト・アシュセイバー、メタルビースト・ラーズアングリフの参戦によってイングラム達は今まで以上に分断され、苦しい戦況にと追い込まれ始めているのだった……。

 

 

 

 

タワーで指揮を執る山崎は戦況の悪さに顔を青褪めさせた。敵の数が余りにも多くそして巨大すぎる……。

 

『これ以上の交戦は危険です、神少佐』

 

「判っている! だがエルドランドは真ドラゴンと対峙する上で必要になる! 最悪だとしてもエルドランドを轟沈させなくてはならないッ!」

 

隼人の指示は理に叶っている。インベーダーがここまでエルドランドを奪取しようとするのはその技術を早乙女博士達が欲しているからだ。もし奪われ製造プラントを利用され新西暦の強大な力を持つ機体が次々にメタルビーストと化せば勝機は確実に失われる。

 

「敷島博士、ミサイルの準備は出来ていますか?」

 

「ミサイルだと!? そんな勿体無い事をするか、あのエルドランドは何としても回収するッ!」

 

「しかし!」

 

「大丈夫だ! ワシにいい考えがある」

 

敷島博士の良い考えに山崎は嫌な物を感じたが、エルドランドの希少性は山崎とて理解している。回収できるのならば回収したいと思うのは当然だ。

 

「各機に一時帰還命令を出せ、戦場を変える!」

 

「帰還命令!? メタルビーストをタワーに誘き寄せるつもりか!?」

 

敷島のまさかの提案に山崎は声を荒げるが、敷島博士は笑みを崩さない。

 

「BT-23にミサイルをありったけと、小型ゲッター炉心を積み込んだ。敵陣のド真ん中で爆破してやれ!」

 

「しかしそれでは神少佐達を巻き込む危険性が!」

 

「馬鹿もんッ! あいつらがそんな事に巻き込まれて死ぬ輩かッ! あいつらは水爆級の爆発の中心から生き延びた連中じゃぞ!」 

 

それとこれとは違うと感じた山崎だが、このままでは物量の差で押し潰されるだけだ。

 

「ぐっうっ!? 損傷率は!」

 

「げ、現在45%! これ以上の破損は任務に支障を来たしますッ!」

 

口論している間もメタルビーストの猛攻はタワーを襲い続けている。エルアインスのビームカノン、ジガンスパーダの胸部から放たれる広域のビーム。バリアなどを搭載しておらず、装甲の固さで耐えていたがここまで攻撃を続けれればタワーの耐久力を超えて大破する……。

 

「決断しろ山崎!」

 

敷島博士の急かす言葉に山崎は拳を強く握り締め、身体を震えさせながら指示を飛ばした。

 

「各機に帰還命令を! 真ゲッター、ゲッターロボに警戒の指示を! 敷島博士、それはすぐに出来ますか?」

 

「遠隔操作の準備は出来ておる。帰還次第吹き飛ばしてくれるッ!」

 

伝説のゲッターパイロット達だ。だから大丈夫と言う敷島博士の言葉を信じ、遠隔操作のBT-23による爆破はシュワルツ達が補給に戻ると同時に決行される事となるのだった。

 

 

 

 

墜落するなり連続で爆発するBT-23に武蔵達は戦闘所ではなく、巻き込まれないように必死に逃げ回っていた。

 

「きゃーきゃーッ! なんで!? あたし達を巻き込むつもりぃッ!!」

 

「大丈夫だ、ゲッターを信じろ」

 

「おーいッ!? 破片! 破片突き刺さったぞ!?」

 

「……ゲッターを信じろ」

 

「「信じられるかあッ!!!!」」

 

通信での爆破するの言葉に動揺していた渓達は次々爆発するBT-23に悲鳴を上げ、必死に操縦し爆発に巻き込まれないようにしている號のゲッターを信じろという言葉に信じられるかと怒鳴り返していた。

 

「あの糞爺ッ! やりやがったなあッ!?」

 

「叫んでいる暇があったら逃げろ弁慶ッ!!」

 

「タワーに戻ったらぶん殴ってやるッ!!!」

 

敷島博士のBT-23の爆破の雨に武蔵達もコックピットの中で怒鳴りまくっていた。特攻をよしとする敷島博士がオブザーバーに付くとトンデモナイ事になる。変態に技術と資金を渡してはいけないのだ。

 

「巻き込まれるぞぉッ!」

 

「!!!」

 

ブラックゲッターから返事は無いが、それでも通信は聞こえているらしく必死に逃げ回っている。いくらゲッターとは言え爆発に巻き込まれれば致命傷だ、操縦で必死に逃げ回るのが手一杯だった。

 

「「「グギャアアアアーーーッ!?」」」

 

「ゴアアアアア!?」

 

「オノレエエエエエーーーッ!?」

 

インベーダー達とゴールとブライの悲鳴、そして声も無く爆発に飲み込まれるゲッターG達。地獄絵図とも思える3分間が終わるとエルドランドが打ち上げられていた浜辺は元の面影ないほどに吹き飛んでいた。

 

「……はぁ……はぁ……し、死ぬかと思った」

 

「……あの爺殴り倒す」

 

「ゲッターを信じるんだ」

 

「「それはもういいッ!!!」」

 

若干と言うかかなり天然気質の號に渓と凱が怒鳴りつける中。ゲッターロボとブラックゲッターは既に行動に出ていた。

 

「おらあああああッ!!!」

 

「!!!!」

 

爆発し、吹き飛んだ肉片を回復させようと周囲のメタルビーストを取り込み、ゴールと再び合体したブライに組み付きその念動力の要である角をへし折ろうとする。

 

「元気ちゃん! ゲッターGを頼んだッ!!」

 

「ここできっちり潰せよ!!!」

 

ゴールとブライと対峙するのが真ゲッターからブラックゲッターとゲッターロボのタッグに変わり、真ゲッターがゲッターロボGに迫ろうとした瞬間空中からダブルトマホークが飛来する。

 

「ふっはははははっーーーッ!! お前達の思い通りにいくかなあッ!!」

 

「この声……早乙女ッ!!!」

 

「あいつまで出てくるのかよッ!」

 

上空から飛来したゲッタードラゴン。その中から響く早乙女博士の声に凱と渓は声を荒げたが號と武蔵達は冷静なままだった。

 

「落ち着け馬鹿者ッ! 音声だけだ、本人はここには居ない!」

 

「だよな、早乙女博士の気配がしない」

 

自分の声を聞かせることで冷静な判断力を失わせる作戦だと言われ、渓と凱はハッとした表情になる。

 

「落ち着いたな、いくぞッ!」

 

「「応ッ!!!」」

 

この乱戦冷静さを失えばそこから敗れる。武蔵と隼人の言葉で冷静さを取り戻した渓達は2機のドラゴンとポセイドン、ライガーへと向かい、武蔵達は再生しようとしているメタルビーストを粉砕しながらゴールとブライへと肉薄するのだった……。

 

 

 

 

 

BT-23の爆破の雨、それはメタルビーストに優勢な戦況を大きく覆していた。

 

「こいつら動きが鈍くなってる!」

 

「今がチャンスって事だな! 続けッ!!!」

 

補給を終えたステルバーを先頭に戦闘班とR-SOWRD、タイプSが武装を換装して再び出撃する。

 

「棚から牡丹餅か、カーウァイ。協力してくれ」

 

「判った」

 

BT-23の爆破によって周囲に散ったチャフとインベーダーを引き寄せる為の小型ゲッター炉心、それが爆発によって周囲に強力なジャミング効果を齎していた。

 

「シャアア?」

 

「ギィイイーーッ!?」

 

それは適切に対応すれば何の問題もない妨害だ。だがインベーダーは獣である、そしてメタルビーストになった事。新西暦の機体に寄生した事が完全に裏目に出ていた。

 

「シュワルツ! 俺はあの飛んでいる奴を落とす!」

 

「おう! 俺はあの青いのをぶっ潰すッ!!」

 

新西暦の技術で作られたレーダーなどはインベーダーによってその能力を最大限に引き出され、正確無比な射撃や神技めいた回避を齎した。だがそれらをOFFにすると言う知性はインベーダーには無く、ジャミング、ゲッター線の散布によってその正確さは見るも無惨な事になっていた。

 

「回復する前に押し切れッ! 回復したらまた劣勢に追い込まれるぞッ!!」

 

どこを狙っているのかと言う酷い射撃に、自ら当たりに来ていると言っても良い動き。今までの苦戦が嘘のようになっていた、だがそれは決して長時間続くものではない。今の内に少しでも戦力を削ごうと戦闘班は多少の被弾を覚悟でメタルビーストに掴みかかっていた。

 

「シャアアッ!!」

 

「どこを狙ってやがるッ!!」

 

4つの砲台から放たれる大質量の実弾は直撃すればステルバーを跡形も無く吹き飛ばすだろう。当たりさえすれば……だ。レーダーを失い、インベーダーの目による誘導も効果を発揮しない今、大火力のジガンテ・カンノーネは無用の長物となり、バレルロールで回避したステルバーはそのままメタルビースト・ジガンスパーダの上を取り、バトルモードに変形しその機体の上に飛び乗る。

 

「おらおらおらおらッ!!」

 

ハンドガンを両手に持ち出鱈目に乱射する。ジガンスパーダの強固な装甲を破るのは難しいが、その装甲から露出しているインベーダーだけを執拗に撃ち続ける。

 

「シャアアッ!」

 

「はっ! おせえッ!!」

 

インベーダーが痺れを切らし、頭を出して噛み付きに掛かった所をナイフで目を貫き、そのまま首を掴んで力を込めてへし折る。無論インベーダーはその程度では死なないが、数秒は動きを止めれる。

 

「くたばれえええッ!!!」

 

首が表れた部位にハンドガンをカートリッジ2本分全てを叩き込み、離脱する寸前にミサイルでダメ押しする。空中で爆発するジガンスパーダの暴風に煽られながらランバートはステルバーを急降下させる。

 

「おっらあああッ!!!」

 

背後からの飛び蹴りでメタルビースト・ラーズアングリフにたたらを踏ませる。

 

「!!!」

 

「うおっ!? 中々速いじゃないか」

 

振り返り様の裏拳を飛び退いて交わし、ナイフを構えさせる。ハンドガンの弾は既に使い切っている……ランバートに出来るのは白兵戦だけだった。

 

「ランバート、こいつを片付けたら行く! くたばるんじゃねえぞッ!」

 

「はっ! お前に心配されるほど耄碌してないぜッ!!」

 

メタルビースト・アシュセイバーと切り結んでいるシュワルツにそう叫び、ランバートはステルバーをラーズアングリフに向かって走らせる。

 

「!!!」

 

「へ、あめえッ!!」

 

スライディングの要領でラーズアングリフの股の下を潜り抜け、擦れ違い様にナイフを左膝の裏に突き立てる。

 

「!?」

 

「おらあッ!」

 

膝の後ろを攻撃された事でぐらついたラーズアングリフの頭部に回し蹴りを叩き込むが重量の差でステルバーのほうが弾かれる。

 

「ちっ」

 

「耄碌してないんじゃねえのか」

 

「うるせえッ! お前こそステルバーと同じくらいの大きさを相手にしてるんだ! さっさと倒せ!」

 

「そうしたいのは山々なんだがなッ!!」

 

「なんだこれは!?」

 

上空から降り注いだ6機の小型兵器。それを咄嗟に回避するが、ランバートもこれでシュワルツが相手を倒しきれない理由を悟った。

 

「ちっ、向こうが回復するまでに時間がねえって言うのによ」

 

「……相手を変えるぞ」

 

「……それしかねえな」

 

ランバートは射撃が得意でシュワルツは白兵戦を得意としている。それぞれの相手を交換する事を提案し、互いの機体を交差するように走らせランバートがメタルビースト・アシュセイバーを、シュワルツがメタルビースト・ラーズアングリフをそれぞれの相手に入れ替え、再び戦闘を開始する。

 

「ちっ、仕留めきれない」

 

「学習している……のか」

 

そしてRシリーズと対峙しているイングラムとカーウァイは徐々に焦りを覚え始めていた。最初は力押しだったLシリーズが明確な連携を組み始めたのだ。

 

「「「……」」」

 

そして他のメタルビーストと異なり、声も上げず冷静に立ち回る姿にイングラムは違和感を覚えていた。

 

(……何か引っかかる)

 

SRXは念動力者を必要とする。それゆえにワンオフなのだ、それなのに何故量産型SRXなどと言う暴挙に出たのか、そして何故今対峙しているメタルビーストが獣のような咆哮を上げないのか……。

 

(あと少し、あと少しで何か判りそうなんだ)

 

胸の中で何かが訴えかけている。それなのにそれが判らない、自分は知っている筈なのにそれが判らない。

 

「!!」

 

「ちっ!」

 

殴りかかってきたエルアインスの拳を受け止め、胴体部に膝蹴りを叩きこんで間合いを放す。

 

「こいつら……何を考えてる」

 

「「……」」

 

機体を破壊されても声もあげず、もくもくと再生するRシリーズ。そして再生する事に動きが良くなっている……。

 

(……ん?これは)

 

不気味さを感じ始めた頃。イングラムの視線がコックピット開け放たれたままのエルアインスに向けられた。

 

(ヘルメット……だけ?)

 

ヘルメットだけが転がっているコックピット。それが何か意味があるように思えたその時イングラムは全てを理解した。

 

「いかん! カーウァイ突っ込めッ!」

 

「どうした急に!?」

 

「こいつらは他の機体と違う! 特別製だ!!」

 

バルマーにあるバルシェムと同じ、必要な技能だけを与えられた人造人間。その知性を得たメタルビーストは恐ろしい速度で学習していたのだ。念動力を持つ人造人間を量産する技術があったからと想定すればSRXの量産に踏み切った理由も判る。

 

「間に合……「!!!」ぐっ……これはッ!?」

 

「障壁ッ!?」

 

エルアインスとエルドライが前に出た瞬間。R-SOWRDとタイプSの動きは止められた。PTさえも止める不可視の強力な念動フィールドに。

 

「「「グルルル」」」

 

「くそ! 遅かったッ!」

 

気付いた時はもう遅かった。インベーダーは念動力を持ち合わせる人造人間を完全に取り込み、巨大な繭のようなものを作り出しその姿を変貌させていく……念動力、そして限りなくトロニウムに近い出力を持つ動力を取り込み、量産型SRXは今までのメタルビーストを越えた別の存在へと変貌を遂げていたのだった……。

 

 

 

 

 

 

ブラックゲッターとの連携で武蔵達はゴールとブライを追い込んでいた。ゴールとブライの戦闘力は確かに高かった、だがそれを上回るコンビネーションと3人揃った事で新型炉心の力を発揮し始めたゲッターロボはゴールとブライの回復力を上回るダメージをゴールとブライに叩き込み続けていた。

 

「……あんなのが出来るものなの……」

 

「信じられねえ」

 

目も合わさない、言葉も交わさないそれなのにゲッターロボとブラックゲッターは完璧な連携をしていた。その動きに自分達がいかに未熟なのかと言う事を思い知らされた渓達は呆然とした様子で呟いた。

 

「!!!」

 

「ったく! こっちの事も考えやがれ!!」

 

「なんだ、泣き言か、情けない」

 

「無理なら変わるか?」

 

「いいえ! やります! やってやりますッ!!」

 

弁慶が必死にブラックゲッターの動きに付いていく中。ジャガー号の隼人とベアー号の武蔵は確信を深めていた、この操縦技術。言葉を交わさなくても連携を組む事が出来る。そんな事が出来る人間がそう何人もいる訳が無い……。

 

(やっぱり竜馬だよな。うん、間違いない)

 

(……竜馬。やはり生きていたのか)

 

言葉を交わしていないが南極の戦い、そして今回の戦いでブラックゲッターに乗っているのが竜馬だと2人は確信していた。

 

「……」

 

そしてブラックゲッターを駆る男……コート姿に首にマフラーを舞いた粗暴そうな大男……「流竜馬」も確信していた。

 

「……武蔵」

 

操縦の癖が出ているからこそ、ゲッターロボに武蔵が乗っていると竜馬は感じていた。

 

「……俺と同じなのか……武蔵」

 

自分は大量のゲッター線に飲まれ時間を飛んだのかと、竜馬も武蔵がニューヨークで自爆した事は記憶に強く残っていた。掛け替えの無い友人を失ったあの戦いを忘れられる訳が無い。

 

「……ぶっ殺してやる」

 

ゴールの姿も、ブライの姿も竜馬の人生を変えた存在と言っても良い。特にゴールに対しては恨みが深く、スパイクブレードで執拗にゴールの顔面を引き裂いた。

 

「使えッ!!」

 

念動力でへし折られたゲッタートマホークの代わりを要求もしていないのに新しいゲッタートマホークを投げつけられる。右腕を何度もゴールの顔面に打ちつけ、前を向いたままゲッタートマホークを左手で掴み、全力で振り下ろす。

 

「ギャァッ!?」

 

ゴールの顔面から鮮血が舞うと同時にブラックゲッターは地面を蹴り空中へ舞い上がる。その直後にゲッターマシンガンの乱射が竜馬によってボロボロにされたゴールの顔面を更に傷つけ容赦なく抉る。

 

「ゲッタァロボォオオオオッ!!!」

 

「……良い加減にくたばりやがれッ!!!」

 

苛立ちと怒り、そして殺意がない交ぜになり今まで沈黙していた竜馬の怒声が周囲に響き渡った。

 

「ギャァアアアアッ!!!」

 

最大速度で突っ込みながら叩き込まれた肘打ちにブライが苦悶の声を上げる。追撃に飛んできたゲッタートマホークがブライの首に突き刺さり、それに気付いた竜馬がそのゲッタートマホークでブライの首を掻っ切ろうとしたその瞬間。横殴りの衝撃に竜馬達は何が起きたのか判らないままゴールとブライから引き離されてしまった。

 

「シャアアアーー!!!」

 

「グルルルウォオオオオーー」

 

ゲッターロボ達が吹き飛ばされた瞬間にゴールとブライは海に飛び込み、そのまま姿を消した。インベーダーだからこそ、自らの生命を守る事を優先し、海の中に飛び込み姿を消したのだった。

 

「うおッ!?」

 

「な、なんだ!? 何が起きた!?」

 

「ぐ、ぐううう……ッ!? に、逃げられたのか!?」

 

不可視の何かの攻撃でブラックゲッター、真ゲッター、ゲッターロボが3機とも地響きを上げて戦場に転がる。即座に態勢を立て直した武蔵達だがゴールとブライの姿が消えたことに驚愕し、そして何が起きたのかが判らない武蔵達の耳にイングラムの声が響いた

 

「すまない! 間に合わなかった……」

 

間に合わなかった……その言葉の後に起きた地響きに武蔵は顔を上げた。ゴールとブライは姿を消した、だが太陽の光を背にして立つ巨大な巨人の姿に武蔵は目を見開いた。

 

「……え、SRX……」

 

細部は違う、だがそれは紛れも無くSRXだった。だが、その姿は生物的な意匠を持ち生理的嫌悪感を抱かせる不気味な姿をしていた。

 

「ガアアアアアーーーッ!!!」

 

周囲に響かせる凄まじい咆哮に武蔵達はコックピットで身体を竦めた。ゴールとブライの脅威は去った、だが現れた新たな脅威に武蔵は背筋に冷たい汗が流れるのを感じるのだった……。

 

 

第16話 極めて近く、限りなく遠い世界から その4へ続く

 

 




次回はSRX戦になります、今回はイベント的なものが続いておりますが、量産型SRXって敵としては最高だなと思いましたので登場させてみました。次回は総力戦でSRXとの戦いを書いて行こうと思います、それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
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