進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第16話 極めて近く、限りなく遠い世界から その4

第16話 極めて近く、限りなく遠い世界から その4

 

鋼鉄の巨神……リュウセイがそう呼んだほどにSRXの姿は力強さと味方を鼓舞するたくましさを持っていた。だがいま自分の前に立ち塞がるSRXは悪鬼その物だった。

 

「「「グルルル……グオオオオオオオーーーーーッ!!!!」」」

 

3重に重なった獣の唸り声。それは戦場を震わせ、その場にいる全員の足を地面に縫い付けた。ゴールとブライを恐れずに戦っていた武蔵達の足でさえも止める恐ろしい威圧感。音を立てて動き回る黄色の複眼に見つめられた者は心臓を鷲づかみにされたような感覚を覚えていた。

 

「SRXがあんな姿になるなんて……ッ」

 

特徴的なゴーグル型のフェイスパーツ全面を覆い尽くす無数の黄色の複眼には見る者全て生理的な嫌悪感を与えた。

 

そして左腕は通常の人型だが、右腕はインベーダーに浸食され、不気味な胎動を繰り返す。

 

膝から下は3本の鉤爪付きの悪魔を思わせる物へと変異し、その背中からは今正に蝙蝠を思わせる1対の翼が音を立てて生えてきた。

 

「……DiSRXッ……」

 

イングラムは歯を噛み締めながらその名を呼んだ。量産型SRXはインベーダーに浸食され、そしてメタルビーストと化す事でDiSRXとでも言うべき姿に変貌を遂げていた。その余におぞましい姿にインベーダーに慣れているシュワルツ達でさえも息を呑んだ。だが次に目の前に起きた光景に目を見開いた

 

「ふっははははは、素晴らしい! 素晴らしいぞッ! これ……「グルオオオオーーーッ!!」なにいッ!?」

 

メタルビースト・SRXはゲッターロボでも、ステルバーでも無く、早乙女博士の声を放つドラゴンを無視して、一際奥にいたポセイドンに牙を突き立てる。

 

「己ッ! 何を考えている!!」

 

「シャアアアーーッ!!」

 

ポセイドンに早乙女博士が乗り込んでいたのか、明らかに焦った声を出しながらメタルビースト・SRXに応戦するポセイドン。

 

「ッ! 各員撤退! ゲッターロボ、真ゲッターを残しタワーへ退却しろッ!!」

 

「何を言ってる! 今ここに早乙女がいるんだ! ここで戦わないで何時戦うんだッ!」

 

「黙れ! 状況が変わったッ! いかんッ!」

 

その光景を見て我に帰った隼人が戦闘班に退却命令を出す。その命令を不服としたシュワルツの怒声が飛んだが、それを隼人は最初は窘めようとしたが、メタルビースト・SRXの背中の翼から放たれた光弾の嵐に何の命令も出せず、弾雨の雨に飲まれる。

 

「ぐ、ぬおおおおおおッ!?」

 

「シャアアアアッ!!」

 

そしてメタルビースト・SRXに組み付かれていたポセイドンもライガーの部分から両断され、ドラゴン号に変形したゲットマシンが上空へと逃れる。

 

「「「「オープンゲットッ!」」」」

 

そして武蔵達もその弾幕から逃れる為に分離し、急上昇する。弾幕を避けきれず爆発するロボット部隊を助ける事も、救う事も出来ず、それでもここで全滅する訳には行かないと非情の判断を下し、一部の飛行できる機体と共に上空へと逃れる。

 

「インベーダーではない、まさか、全く異なる進化を遂げたのか!?」

 

ドラゴン号の中で早乙女博士が声を上げる。上位種であるインベーダーに寄生されている早乙女博士を襲う、それはインベーダーではありえない事だった。だが早乙女博士達は知る良しも無いが、エルドランド……それを所有する組織「シャドウミラー」は「W」シリーズと言う人造人間の作成に成功していた、そしてそのWシリーズの中で正式なナンバリングではないが、Wシリーズを作成した科学者の意向で試験的に作成された念動力を種有したWシリーズのテスト型がLシリーズのコックピットには組み込まれていた。それを取り込んだ事でインベーダーは念動力を手にし、そして自我を芽生えさせた。自分達がこそが上位種であると、そして自分達こそが更なる進化を遂げる者なのだと傲慢にも考え、それは早乙女博士に反旗を翻した。だが決して人類の味方と言う訳でもない、インベーダーも、人間をも越える存在として生まれ変わったプロトWシリーズはSRXと、インベーダーと融合し最狂最悪の悪鬼として産声を上げたのだった……。

 

 

 

 

 

弾幕の雨をオープンゲットしてかわした武蔵達だが、自分達が攻撃を避けたあとを見て絶句していた。

 

「ひでえ……」

 

「なんてパワーだ……」

 

地形が変わってしまうどの強烈な攻撃に武蔵と言えど大きく目を見開いた。渓達の姿も、シュワルツ達の姿も確認出来ない。あの弾幕の雨に飲まれてしまったのかと最悪の予想が脳裏を過ぎった。

 

「武蔵さん! 良かった、無事なんだね!」

 

「元気ちゃん、良かった……號と凱は!?」

 

「お、俺も無事です! 間一髪でしたけど」

 

「……あれを野放しにすることは出来ない」

 

號と凱からの返答もあり武蔵はほっと安堵の溜め息を吐いた。その直後黒い影が急降下していくのが見えた……ブラックゲッターだ。あの凄まじい攻撃力を見ても、恐れずに向かっていくのを見て武蔵も操縦桿を強く握り締める。

 

「私達はどうすればいいですか?」

 

「……戦闘班の捜索を行えッ! 救助できる者を何としても救え! 俺達はあの化け物を押しとめる!」

 

空を飛ぶ事で弾雨を回避したロボット軍の生き残りに救助命令を出した隼人はそのまま弁慶に指示を出す。

 

「弁慶! ゲッター1だッ! 空を飛べないと不味い!」

 

「了解ッ! チェンジゲッタァアアーーッ! ワンッ!!」

 

ブラックゲッターの後を追うようにゲットマシンも急降下し、ゲッター1へと合体を果たしメタルビースト・SRXへと突貫する。

 

「チェンジッ! ゲッタァアアーーワンッ!!!」

 

その後を追うように號達も真ゲッター1へと合体し、メタルビースト・SRXと戦う為に3体のゲッターロボ……いや、更なるゲッターの姿があった・

 

「諸君、ここは一時休戦と行こうではないか」

 

「早乙女ぇ! お前どの口が言ってるのか判ってるのか!?」

 

渓が雲の間から姿を見せたゲッタードラゴンを見て怒鳴り声を上げる。だが武蔵達は冷静だった……いや、冷静にならざるを得なかった。地上の戦闘班ともタワーとも連絡が取れず、今の戦力は乏しい。そんな中でいがみ合いをしている場合ではないと、怒りで頭の中が埋め尽くされようとしていても、僅かにまだ冷静な判断を取ることが出来ていた。

 

「……あの機体を倒すまでと言うことか?」

 

「その通り、ワシもその間はお前達を攻撃しない。それでよかろう? それとも、あれを野放しにするか?」

 

早乙女博士の挑発するような言葉に渓達と隼人は唇を噛み締めた、私怨ではなく、ここは大局を見ろと言わんばかりの口調に苛立ちを覚えた。だが早乙女博士の言っている事は決して間違いではなかった。

 

「早乙女博士、頼むぜ」

 

「ふっはははははッ! 相変わらずお前は甘いな武蔵ッ! だがあの化け物を倒すまでは味方よ、信用するがいいッ!!」

 

そしてブラックゲッターロボ、真ゲッター、ゲッターロボ、ゲッターロボGの4機によるメタルビースト・SRX討伐が幕を開けた。

 

「SRXと同じならバリアを持っているはずだ! だから気合を入れてぶん殴れッ!!」

 

ベアー号からの武蔵の助言、それを聞いて4つのゲッタートマホークがメタルビースト・SRXに向かって振り下ろされる。

 

「何ィッ!?」

 

「……ッ!?」

 

「ここまでの力の差があると言うのか!?」

 

だがメタルビースト・SRXはその場から殆ど動かず、念動力だけでゲッターロボ達のゲッタートマホークを耐え切った。そしてバイザー型のフェイスが光り輝き、そこから放たれた光線がブラックゲッターをボールのように弾き飛ばす。

 

「竜馬ぁッ! ぐおっ!?」

 

「親父ィッ!? うわああッ!?」

 

「ぐっ……なんてパワーだッ!」

 

至近距離からのハイ・フィンガーランチャーでゲッターロボが弾き飛ばされ、動揺した一瞬の隙を突いて叩き込まれた回し蹴りで真ゲッターロボも瓦礫に背後から叩き付けられる。

 

「舐めるなあッ!」

 

ダブルトマホークを振るうゲッターロボGだが、念動フィールドに弾かれ、右腕のインベーダーの部分から伸ばされた刃に柄の部分を残して切り落とされる

 

「シャアアアアアーーーッ!!!」

 

「ぬ、ぬああああーーーッ!?」

 

SRXの胴体が開き、そこから顔を出したインベーダーがライガー号に噛み付き放電し、早乙女博士の苦悶の声が響いた。

 

「「トマホークブーメランッ!!」」

 

だがそこに真ゲッターとゲッターロボの投げつけたトマホークブーメランが飛来し、インベーダーの首を切り落としゲッターロボGを解放する。

 

「おおおらああああああッ!!」

 

ひらっきぱなしの胴体に向かってブラックゲッターが駆け出し、スパイクブレードを胴体に突き刺す。

 

「ギギュアアアアアアッ!?」

 

「うるせえ! 黙ってろっ!」

 

スパイクブレードを何度も突き刺し、ゲッタートマホークを胴体に押し込み胴体が閉じないようにしたが、それ以上はメタルビースト・SRXもさせないと言わんばかりに再び念動フィールドを展開しブラックゲッターを弾き飛ばした。

 

「竜馬! 大丈夫か」

 

「うるせえッ! 話してる暇があったらさっさとあのデカブツを倒しやがれッ!」

 

弁慶の言葉に怒り心頭と言う感じで返事を返す竜馬だが、本当にその通りだ。SRXは全身が武器と言っても過言ではない、それがインベーダーと融合した事でその破壊力は格段に上昇している。今はまだ完全にインベーダーがその体を理解していないが、もしも完全にSRXを把握してしまえば勝ち目は限りなく低くなる。

 

「シャアッ!!」

 

脚部のシャッターが開き、そこからインベーダーに寄生されたミサイルの雨が降り注ぐ。

 

「號ッ!」

 

「……ゲッタァビィィムッ!!!」

 

インベーダーが寄生しているから逃げても何処までも追いかけてくる。真ゲッターの頭部ゲッタービームがミサイルを打ち落とすのを見て隼人と竜馬が声を荒げた。

 

「馬鹿がッ! 相手の思う都合だッ!」

 

「ひよっこ共があッ! 状況判断も出来ねえのかッ!!!」

 

その怒声に渓達は何で怒られたのか一瞬理解出来なかった。だがすぐに怒鳴られた理由を悟ってしまった……ミサイルが打ち落とされたことで発生した煙で視界を完全に奪われてしまっていたのだ。

 

「しまっ! ぐふうっ!?」

 

「う、うわあーーーッ!?な、何!? 何が起きて……」

 

煙に紛れて突っ込んできたメタルビースト・SRXの豪腕でブラックゲッターが上空に殴り飛ばされ、真ゲッターロボは至近距離のガウンジェノサイダーの放射でエルドランドに叩き付けられる。

 

「リョウ! 元気ちゃんッ! うおっ!?」

 

「ちいっ、こんな隠し球まであるのか……」

 

「こいつはかなり不味いぜ……」

 

異形の右腕から出現した剣……インベーダーの細胞で作られたZ・O・ソードが赤黒く輝き、そこから放たれた念動刃に弾き飛ばされるゲッターロボ。そして背中の翼から射出されたガンビットがメタルビースト・SRXの周辺を飛び交い始める。徐々に、徐々にだがSRXの能力を引き出し始めたインベーダーに武蔵達は背中に冷たい汗が流れるのを感じるのだった……。

 

 

 

 

 

瓦礫の中から手が出現し、そこから這い出るようにタイプSとステルバー達が姿を見せた。メタルビースト・SRXの弾雨が着弾する寸前ブレードモードに変形したR-SOWRDの一閃で地下に隠れた戦闘班とカーウァイ達は間一髪で直撃を回避していた。

 

「すまない、助かった」

 

「……いや、あの場合はああするしかなかった……だが、駄目だな。変形機構はやられた……ちいっ、PTモードに変形出来ない」

 

自身が作り出したクレーターの中で動く事ができないブレードモードのRーSOWRD。だがそれは無理もない、元々完全に製造されていなかったのをこうして運用している段階で不具合があるのは当然。それなのに変形し最大出力で攻撃を繰り出せば不具合が重なり動けなくなるのは当然だった。

 

「くそったれ、状況はどうなってやがるッ!」

 

激しい爆発が続き、状況が全くつかめないことにシュワルツが怒りの声を上げる。

 

「落ち着け、タワーとの連絡も取れない。それに負傷者が多数だ、ここは冷静に動くべきだ」

 

地下に隠れたとは言え、メタルビースト・SRXのパワーは凄まじかった。地下に隠れた戦闘班の大半の機体が行動不能に陥っていた、辛うじて動く事が出来ると言うのがシュワルツとランバートのステルバー、そしてゲシュペンスト・タイプSだった。

 

「イングラム、本当にPT形態には変形出来ないのか?」

 

「出来るならとっくにしている。量産型だから構造が脆いんだ、くそっ、やはり再建造するしか……なんだ!?」

 

その時地響きを立てて、メタルビースト・R-GUN、そしてメタルビースト・R-SOWRDが姿を見せ周囲を物色する。自分達を探しているのかと息を潜めたイングラム達だが、2機のメタルビーストのとったあまりにおぞましい行動に息を呑んだ。

 

「く、喰ってやがる」

 

「共食いだと……そんな事例は今までない筈だ」

 

メタルビーストR-GUN達は最初の弾幕で行動不能になったメタルビースト・アシュセイバー達やインベーダーをその牙で引き裂き、おぞまし音を立てて捕食していた。インベーダー同士の融合は何度も合ったが、捕食と言うのは初の出来事だった。

 

「消滅していない」

 

「……本当に捕食しているとでも言うのか……」

 

メタルビースト・R-GUN、R-SOWRDに食い殺されたインベーダーは消滅せずに、その躯をその場に晒している。2機のメタルビーストの行動は今までのメタルビーストの中でも類を見ないを見ないもので、何をしようとしているのかイングラム達は理解出来ないでいた。

 

「「!!」」

 

だが突如2機のメタルビーストが地面を蹴り空を走る。見つからなくても良かったと思ったのは束の間、変形したメタルビースト・R-SOWRDがメタルビーストSRXの手に収まったのを見て、イングラムは何をしようとしているのか理解した。

 

「シュワルツ! ランバート! 動かせる機体を全部動かして、R-SOWRDを運べッ! あいつら……ここら辺を吹き飛ばすつもりだ!」

 

Z・O・ソードと合体したR-SOWRDの刀身が赤黒く輝くのを見てシュワルツ達も顔を青褪めさせる。

 

「運んで何とかなるのか!?」

 

「出力は負けるかもしれんが、R-SOWRDをフルドライブさせて直撃だけは回避するしかあるまい」

 

避ける事も、逃げる事も出来ない絶望の一撃、幸いな事にメタルビーストを喰らってもエネルギーが万全ではなかったのか念動フィールドを全開にしてゲッターロボ達の攻撃を防いでいる今なら間に合う。

 

「だが、こんな馬鹿でかい剣をどうやって振るう!?」

 

「真ゲッターロボのパワーなら可能だ! 急げぇッ! 間に合わなくなるッ!」

 

R-SOWRDの出力を全開し、エネルギーの充填を始める。放熱を始めるR-SOWRDを生き残りの機体で担ぎ上げ、真ゲッターの元へと運ぶ。

 

「やばいぜッ!? あいつとんでもない事をするつもりだッ!」

 

「ぬ、うおおおおおおーーーッ!!!」

 

メタルビースト・SRXの異常なエネルギーの高まりに気付き、ゲッターロボ達が必死に攻撃を繰り出す。

 

「回復スピードが速すぎる!?」

 

「だ、駄目だ。もう間に合わないッ!」

 

「諦めんなッ! リョウッ!」

 

「おうッ!!!」

 

確かにメタルビースト・SRXの念動力は強力だった。だが決して貫けない訳ではない、だがダメージを与えても即座に回復するそのインベーダーの特性が決め手を欠けさせていた。一瞬でメタルビースト・SRXを消滅させるだけのパワーが無ければ回復してしまう、それがわかっていても武蔵達は諦めない。そもそも絶望的な戦いなど何回も経験してきている。この程度で諦める柔な心では無かったのだ。

 

「シャアアーーーッ!!」

 

それはあくまでメタルビースト・SRXの回復力を前にしては微々たる物で、恐れる必要も無い攻撃だった。だがそれが重なれば、メタルビーストとは言え生き物だ。鬱陶しいと言わんばかりに触手による薙ぎ払いがブラックゲッターとゲッターロボに向けられるが……。

 

「ワシに刃向かうとは良い度胸よッ!!! 消え失せいッ!!!」

 

「ギギャアアッ!?」

 

背後からのシャインスパークの直撃でメタルビースト・SRXに初めて大ダメージが与えられた。

 

「ぬうっ! ふっはははは、ここまでのようじゃな。エルドランドはくれてやる! さらばだッ!!!」

 

しかし反撃に繰り出された触手が胴体に絡みつき、凄まじい放電をゲッターロボGに流し込む、その放電に耐えられないと判断したのと、これ以上深追いをするのは危険だと判断したのか早乙女博士はオープンゲットし、ドラゴン号だけで戦場を離脱する。

 

「くそ、早乙女ッ!!! 逃げるな!!」

 

ゲットマシンなら撃墜する好機だった、だがメタルビースト・SRXから射出されたビットが飛び交い、逃げるゲットマシンに向かって叫ぶしか出来ない渓。しかし早乙女博士の攻撃は決して無駄ではなく、反撃の好機を號達に与えてくれた。

 

「使え! ゲッターチーム!!」

 

ビットを回避しながらR-SOWRDを運んできてシュワルツ達がブレードモードのR-SOWRDを真ゲッターに向かって投げる。

 

「號ッ! R-SOWRDを使えッ! このままでは全滅だ」

 

「……判ったッ!」

 

地面に突き刺さったR-SOWRDに気付き真ゲッターがその柄を掴み持ち上げるのと、メタルビースト・SRXがメタルビースト・R-SOWRDを振り上げるのは殆ど同じタイミングで次の瞬間、世界が軋むような音を立てて2つのR-SOWRDから伸びたエネルギー刃の刀身がぶつかり合い、凄まじい爆風が巻き上がるのだった。

 

 

 

 

 

エネルギー同士がぶつかることで生まれた雷と爆風で視界が遮られ、何もかもが判らなくなる中。武蔵は気付いていなかったが、武蔵の身体をゲッター線の翡翠の光が包み込み始めていた。

 

「弁慶! ゲッタービームの出力を最大にして待機ッ!」

 

「おうッ! エネルギーは全部こいつに使うッ!!」

 

隼人と弁慶、そして自身の声がどこか遠くに聞こえる。ぼんやりしている訳ではないのに、それが自分の事のように武蔵は思えなかった。

 

【……し……むさ……】

 

(なんだ……これ……)

 

誰かがどこかで呼んでいる……ぼんやりとした意識の中で武蔵はそれを感じていた。

 

「!?!?」

 

「ぐっ!? なんとか……なった……か」

 

R-SOWRD同士のぶつかり合いは双方大破、そしてイングラムは気絶、メタルビースト・SRXの片腕を吹き飛ばすと言う合い打ちになったが、メタルビースト・SRXの腕に即座にメタルジェノサイダーモードに変形したR-GUNが収まる。

 

「フルパワーだッ!! 弁慶! 號ッ! 合わせろッ!!!」

 

「……了解ッ!」

 

「こっちはいつでもいけるぜッ!!!」

 

メタルジェノサイダーモードの一撃を防ぐにはこれしかないと、ブラックゲッター、ゲッターロボ、真ゲッターロボの腹部が解放され、炉心と直結されたビーム発射口が姿を見せる。

 

「「「ゲッタァアア……」」」

 

「ウルルル、ウオオオぉオーーーッ!!!」

 

互いの発射口に膨大なエネルギーが集まり……そして殆ど同じタイミングでゲッターロボ達とメタルビースト・SRXは攻撃に動き出した。

 

「「「ビイィィィムッ!!!!」」」

 

「ガアアアアアアーーーッ!!!」

 

3つのゲッタービームとメタルビースト・SRXのエネルギーも借りたメタルジェノサイダーがぶつかり合う。

 

「う、うおおおおーーーッ!?」

 

「がっ、ぐうう、ランバートッ! シュワルツッ!!」

 

ぶつかり合いで生まれた暴風に弾き飛ばされたステルバーをゲシュペンストが受け止めるが、タイプSにもエネルギーの余波が襲い掛かり、その装甲を容赦なく削り、耐え切れなくなりタイプSも吹き飛ばされるが逆にそれが幸運を呼んだ。吹き飛ばされた直後にタイプSが立っていた場所にエネルギーのぶつかり合いで生まれた雷電が炸裂したからだ。もし踏み止まっていれば、間違いなく3人とも死んでいた。

 

「う、ウオオオオオオオオーーーッ!!!!」

 

「オオオオオーーーッ!!!」

 

「いっけええええッ!!!」

 

そして永遠に続くかと思われたゲッタービームとメタルジェノサイダーのぶつかり合いはメタルジェノサイダーの放射が僅かに弱まった瞬間に、一気にゲッタービームが押し込みメタルビースト・SRXはゲッタービームの光の中に消えた……。

 

「はぁ……はぁ……な、何とか倒したか。隼人、武蔵さん。無事か?」

 

「俺は大丈夫だ。武蔵、お前は……武蔵?」

 

「武蔵さん?」

 

だがメタルビースト・SRXを倒しても万事解決と言う訳ではなかった。

 

「おい、武蔵。ふざけているのか? 返事をしろ!」

 

「武蔵さん!?」

 

隼人と弁慶の様子がおかしいのに渓達も気付き武蔵の名を呼ぶが、武蔵からの返答は無く漸くノイズが収まりベアー号の中がイーグル、ジャガー号に映し出されたとき……。

 

「む、武蔵さんがいないッ!? そんな……何が起きてるんだ!?」

 

「……馬鹿な……これはどういうことだッ!!!」

 

映し出されるベアー号の中に武蔵の姿は無く、シートベルトも締められた状態のまま武蔵の姿はこつぜんと消えているのだった……僅かに残されたベアー号の中を舞う翡翠色の粒子……それだけがベアー号に残された物なのだった……。

 

 

第17話 夢の残滓 その1へ続く

 

 




メタルビースト・SRXを一時撃退しましたが、武蔵消失。次回はちょっと旧西暦から離れて話を書いてみたいと思います。
それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。


おまけ


メタルビースト・SRX

極めて近く限りなく遠い世界の1つで建造された量産型SRXにインベーダーが寄生し、メタルビーストへと変貌したSRX。本来ならばインベーダーとしての上位種である「早乙女博士」「コーウェン」「スティンガー」の始まりのインベーダーには向かうことは無いが、アインス・ツヴァイ・ドライに組み込まれていた念動力搭載型Wシリーズを取り込んだ事で自我及び強力な進化が促され、始まりの3体のインベーダーに対して反旗を翻した。同じく量産された量産型RーGUN、量産型R-SOWRDと行動を共にしており、R-GUNとの広範囲攻撃、R-SOWRDとの強烈な攻撃により真ドラゴン以上の脅威となっている。3体のゲッターロボとの攻撃で姿を消したが、撃墜されたという証拠は無い……。
近距離~遠距離を完全にカバーする武装の豊富さ、そしてインベーダーと融合した事で一部生物的な攻撃方法を獲得し、その姿はSRXと言うよりもアストラナガンと融合したDiSRXに近い姿となっている。


HP????(30万)
EN650
装甲1800
運動性175

特殊能力
念動フィールド(強) 3000以下のダメージを無効にする。
HP回復(特大) ターン開始時にHPが50%回復 ※特定条件達成でHP回復(中)にダウン
EN回復(特大) ターン開始時にENが50%回復 ※特定条件達成でHP回復(中)にダウン


テレキネシスミサイル(MAP) ATK2100
ガウンジェノサイダー ATK2500
ザインナックル ATK2900
テレキネシスミサイル ATK3000
インベーダーブレードキック ATK3200
ハイ・フィンガーランチャー ATK3400
触手 ATK3500
ドミニオンボール ATK3900
噛み付き ATK4000
ガンスレイブ ATK4400
Z・O・ソード ATK4800
メタルジェノサイダー ATK5100
メタルデッドスラッシュ ATK6500

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
  • 今のままで良い
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