進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第17話 夢の残滓 その1

第17話 夢の残滓 その1

 

エアロゲイターとの戦いが終わった後。姿を消したクロガネとビアン達は各地を転々としながら、早乙女博士の遺産を探していた。

 

『ビアン博士、バミューダトライアングル中のゲッター線反応はやはり研究施設でした』

 

「そうか。御苦労。捜索班に撤退命令、その後私達で再突入する」

 

ビアンの言葉に捜索班が了解と返事を返し、通信が切断される。クロガネのメインモニターには大量の×印が打たれていた。それら全てはアイドネウス島での武蔵の特攻の後に世界各地に出現したゲッター線の反応だ。

 

「ビアン総帥。また突入するおつもりですか?」

 

「そうだが? 何か問題でもあるかな? リリー中佐」

 

ビアンの言葉にリリーは溜め息を深く吐いた。止めたいと思っても止めるだけの理由がどうしても思い浮かばない、今新西暦でゲッターロボを深く理解しているのはビアンだけだ。ビアンが行かなければ何も判らないからビアンが向かうしかないのだ。

 

「仕方なかろう、ユーリアの事もある」

 

「……それはそうですが……」

 

ユーリアが武蔵に淡い恋心を抱いていたのはビアン達も周知していた。しかしユーリア自身がその感情を知らなかった事もあり、恋に発展する事はなかったが、武蔵が消えた今。今ビアンの次に熱心に武蔵を探しているのはユーリアだろう。

 

「……よろしくお願いします」

 

「構わないとも、私も武蔵君が死んだなんて思っていないからね」

 

艦長席を立ってビアンは格納庫に向かう。シーリオンを改造した捜索艇の側では既にユーリアが準備を始めていた。だがその容姿は大きく変わっていて、前はショートカットだったが、武蔵が見つかるようにと願掛けでその美しい金髪を伸ばしていた。今は肩の所まで伸びているが、それが男装の麗人という印象を与えていたユーリアを美しい美女へと変えていた。

 

「ビアン総帥」

 

カッと敬礼する姿を見る限りでは既に精神面は回復したと思えるが、ビアン達は知っている酷い不眠症を抱え、睡眠薬が無ければ眠れない今のユーリアの状態は決して良いものではない。だがそれを知っていても、ビアンはそれを口にしない。

 

「恐らく今回は武蔵君の痕跡を見つけることは出来ないだろう。それでも構わないかね?」

 

「……はい、大丈夫です」

 

武蔵が姿を消したのはアイドネウス島周辺。探すのならばアイドネウス島周辺になる、武蔵が姿を消して1ヶ月……どこかに流れ着いている可能性を考慮して最初の2週間はアイドネウス島周辺を探していたが、今はアイドネウス島が連邦軍が駐在しているが、それらはレイカーを始めとした武蔵捜索隊なので大人しく手を引いたのだ。

 

「でも、もしもと言う可能性もあります」

 

「そうだな、ゲッター線は何を起すか判らないからな。行くぞ」

 

「「「はっ!!」」」

 

敬礼しシーリオンに乗り込みビアン達はバミューダトライアングルの近郊の海へと出撃して行くのだった……。

 

「ゼンガー、エルザムは?」

 

「ゲッターロボシュミレーターに篭もりきりだ」

 

「そうか、些か根を詰め過ぎだな」

 

座禅を組んでいたゼンガーに声を掛けたラドラはそのままゼンガーの隣に腰掛ける。

 

「皆、武蔵が消えたことに少なからずショックを受けている」

 

「1ヶ月だ、それくらいで人の傷は癒えないさ」

 

たった1ヶ月で親しい友人が死んだかもしれないと言う現実を受け入れる事は出来ない。どこかで生きている……そう願いたいのは当然の事だ。

 

「エルザムもユーリアも思っているのだろう、あの時武蔵が1人で無ければとな……」

 

「仕方ない事だ。ゲッターロボに乗れるのは本当に限られた人間だからな」

 

ラドラはそう言うが、ラドラならば間違いなくゲッターロボを操る事は出来た。それでも乗り込まなかったのはゲシュペンストに拘り過ぎた事が原因だ。ラドラもそれが判っているから声のトーンが僅かに落ちた。そんな時ふと視線を上げてゼンガーとラドラは驚きに目を見開いた。

 

「武蔵は生きている……俺はそう……武蔵ッ!?」

 

「馬鹿なッ……俺は夢でも見ているのか……ッ!?」

 

ゼンガーとラドラの前を通り過ぎ、格納庫の中を歩く武蔵の姿を見て、慌てて立ち上がりその場に向かう。だが武蔵に追いつくことが出来ず、武蔵はそのまま壁の中に溶けるように消えていた。

 

「幽霊……なのか」

 

「いや、そんなはずは無い、あるものか……武蔵が死んでいるなんて……」

 

だが事実目の前で武蔵は消えた……ラドラとゼンガーは今の目の前で起きた事が信じられず、呆然とした様子で格納庫の壁に触れていたのだった。

 

「武蔵君!?」

 

「む、武蔵!?」

 

バミューダトライアングルに沈んでいた早乙女研究所に乗り込んだビアン達の前にも武蔵の姿は現れていた。そしてその姿を追いかけるが、追いつく事が出来ずゼンガーとラドラ同様目の前で消えた武蔵に驚き目を見開いた。

 

「今のは……幻なのか……」

 

「でも、あれは……確かに武蔵でした」

 

間違いなく武蔵は目の前にいた。それは夢でも幻でもない、ビアンを含めた全員がそれを見ていた。そして武蔵が消えた場所は巧妙に隠された格納庫の入り口で、ビアン達がその場に立ったことで扉を開いた。

 

「これは……ゲッター2……なのか」

 

そこには両腕を失ったゲッター2が項垂れるようにハンガーに固定されていた。

 

「武蔵はこれを教えてくれた?」

 

「……判らない、判らないが……回収しよう」

 

武蔵の事は気になる、だが両腕無いとは言え完全なゲッターロボ。テスラ研に預けているプロトゲッターとは比べられない完成度を持つそれを見たビアンは武蔵の事を後回しにし、ゲッター2の回収作業を始めた。だがこの日からオペレーションSRWに参加したメンバー、その中でも中軸を担っていたハガネ、クロガネのクルーの前に武蔵が現れると言う怪奇現象がおき始めることとなるのだった……。

 

 

 

 

伊豆基地ではオペレーションSRWの活躍もあり、計画続行されていたSRX計画の量産機のその1号機の建造が始まっていた。北米のラングレーでも同じくATX計画の続行……ではなく、次期トライアルの再開に向けての量産型ゲシュペンストMK-Ⅲの計画が本格始動し始めていた。

 

「どうだ、リュウセイ。アルブレードの具合は?」

 

量産型SRX計画のその1号機はR-1をデチューンした通称「アルブレード」と言う事もあり、R-1のパイロットのリュウセイがシミュレーターでの稼動データ集めを行っていた。

 

「ううーん、実際に乗ってないから何ともいえないけど……ちょっと軽いよ」

 

「そりゃ当然だろ、R-1のパワーを再現した量産機となればトライアウトで落選するよ。R-1として考えないで、PTとして考えたらどうだ?」

 

「……結構良い感じだと思う。パワーに欠ける分瞬発力がありそうだ。ただ両腕のブレードトンファーがちょっと軽すぎるかな? もう少し重いほうが機体制御が楽かもしれない」

 

「なるほどなるほど、ありがとう。シュミレーターから降りてくれ」

 

ロブに言われてシュミレーターを降りたリュウセイがロブへと笑いかけようとしたが、その顔が凍りついた。

 

「む、武蔵ッ!!!」

 

「え? 武蔵! お前帰って……」

 

通路を歩いていった武蔵をリュウセイとロブは確かに見た。慌ててシュミレータールームを出ると武蔵が曲がり角を曲がる姿が見えた。

 

「「い、いないッ!?」」

 

同時に駆け出し、すぐに武蔵の後を追ったリュウセイとロブだが、武蔵の姿は無かった。

 

「マジか……噂は本当だったのか……」

 

「……いいや、俺は信じねえ。武蔵は死んでなんかねえッ! 教官もだッ!!」

 

ハガネ、ヒリュウ改の関係者の前に武蔵が現れ消えていくと怪奇現象の噂はリュウセイも聞いていた。だが実際のこうして見てみると武蔵が死んだのではと言う説が急に現実味を帯びてくる。

 

「どうした? 何を騒いでいる?」

 

「リュウセイ。オオミヤ博士と揉めているのか?」

 

「ヴィレッタ隊長……それにライ……いや、その……」

 

武蔵の姿を見たと言い出せず口ごもるリュウセイにヴィレッタとライはロブに声を掛ける。

 

「どうした? アルブレードの調子はそんなに悪いのか?」

 

「まだシュミレーションの段階と聞いていますが……リュウセイは量産機の開発に携わるのは初めてだったな。あまりオオミヤ博士に文句を言う物ではないぞ」

 

リュウセイがRー1の量産機の開発の事で文句を言っていると思ったライがそう窘める。

 

「いいえ、違います……武蔵です。俺もリュウセイも武蔵を見たんです」

 

その言葉にヴィレッタとライは顔を顰めた。

 

「ブリーフィングルームの前は誰も通っていないぞ?」

 

「……でも確かに見たんだ。あれは武蔵だった……」

 

武蔵を見たというリュウセイ。その姿にライは監視カメラを指差した。

 

「なら映像を見て見ましょう。ヴィレッタ隊長お願い出来ますか?」

 

「ええ、良いわよ。そっちのほうがリュウセイも納得するだろうしね」

 

大尉の権限で監視カメラの映像データをブリーフィングルームのモニターに映し出したヴィレッタとライ。だが2人の表情も強張った……

 

「武蔵……そんな馬鹿なッ!?」

 

「……信じられないわね」

 

監視カメラにも通路を歩く武蔵の姿は映っていた。そしてブリーフィングルームの前で翡翠色の光に包まれ、その姿を消していた。

 

「……この件は他言無用よ。ダイテツ中佐とレイカー司令には伝えておくけど、いらない不安は煽らないで頂戴」

 

「「「了解」」」

 

固い口調のヴィレッタにリュウセイ達は呆然とした様子で返事を返す事しか出来ず、納得できないものがあるのはその表情から判っていたが頷いた。

 

「そうか……伊豆基地でもか……」

 

「伊豆基地でもと言いますと?」

 

「うむ。北米のラングレー、イカロス基地のヒリュウ改でも武蔵君の姿は目撃されている」

 

レイカーの言葉にヴィレッタは眉を細めた。MIA認定の武蔵だが武蔵と伴に戦った大半がそれを信じていない。だがアメリカ、そして小惑星帯のアステロイドベルトに存在するイカロス基地でも目撃されたとなると死んだ武蔵が現世をさまよっていると言う話も信憑性を帯びてくる。

 

「……クロガネでも目撃されている」

 

世界を転々としているクロガネでも目撃されたという話が出れば、ますます武蔵の死亡説が信憑性を帯びてきた。

 

「とりあえずだ、この件は他言無用だ。判ったな、大尉」

 

「は、了解しました」

 

武蔵が生きていると信じている者が多い中、死んだかもしれないと言う話が出るのは今の連邦の情勢上宜しい物ではない。敬礼し退室するヴィレッタを見送りレイカーは溜め息を吐いた。

 

「それで……君は私に何を言いたい?」

 

『……』

 

背後に現れた気配に振り返るレイカー。そこには武蔵が無言で佇んでいた……初めて聞いたという反応をしたが、レイカーは数日前から武蔵の姿を見ていた。

 

「恨み言があるのなら、ワシは謝罪しか出来ん」

 

『……』

 

1人で死なせてしまったことに恨みでもあるのかとレイカーは武蔵に声を掛ける。だが武蔵は何も言わない、ただその目に焦りの色を浮かべ、レイカーを見つめ続ける。

 

「地球圏にまた何か大きな事件が迫っているのか?」

 

『……こくり』

 

その言葉に頷いた武蔵はゲッター線の光となって消え去った。

 

「……警告してくれたのか、急げと……」

 

L5戦役が終わってまだ1ヶ月と少し、だが新たな戦いが迫っていると警告してくれた武蔵にレイカーは感謝し、司令室の背もたれに深く背中を預けるのだった……。

 

 

 

 

 

ラングレー基地で行われているゲシュペンスト・MK-Ⅲの設計は今任務が無いキョウスケ達が協力していた。

 

「わーお、やりい、私の言ってた武装が採用されてるわ」

 

「可変式のビームランチャーか、ラドム博士も今回は本気と見た」

 

「アルトアイゼンでもかなり本気だったと思うけどね」

 

トライアルの再試行で今度こそゲシュペンスト・MK-Ⅲの名を得ると気合を入れているマリオン博士にキョウスケは苦笑する。

 

「今回は素体をベースに作戦に応じて装甲と武装を変更する事で汎用性を高めるという物だからな」

 

「そーそー、射撃型に私の意見を取り入れてくれたのは嬉しいわ」

 

今回のトライアウトに参加するゲシュペンスト・MK-Ⅲはノーマル、射撃型、格闘型の3種類を参加させる事になっている。ヒュッケバイン・MK-Ⅱを上回る汎用性と装備を与える事でトライアウトを確実に合格するつもりなのだ。

 

「ノーマル型ってさ、あれよね。普通のゲシュペンストと外見的には変わらないけど……」

 

「そのスペックは桁違いだ。量産型ゲシュペンスト・MK-Ⅲが量産されれば前のような事にはなるまい」

 

L5戦役の最大の失敗は上層部の混乱と、利益だけを追求した一部の高官の暴走だ。だがL5戦役でそれらが死んだ事で、レイカーを始めとした交戦派が力をつけたのは大きいだろう。

 

「そういえば、あの噂……聞いた?」

 

「……ああ。武蔵の事だろう」

 

武蔵の姿を見たと言う話はキョウスケ達も知っていた。キョウスケ達が直接見たわけではないが、ブリットとクスハが見たと青白い顔でブリーフィングルームに駆け込んできたのは記憶にも新しい。

 

「おいおい、あんまりその話をするなよ。キョウスケ、エクセレン」

 

背後から聞こえてきた声にキョウスケとエクセレンは驚きながら振り返った。

 

「カイ少佐、それにギリアム少佐。何故ラングレーに……」

 

カイそしてギリアムの2人がラングレーにいる事を聞いていなかったキョウスケは思わずそう尋ねていた。

 

「ん? なんだ聞いて無いのか? ゲシュペンスト・MK-Ⅲのデータの一部にリバイブを使いたいと言う事でな」

 

「テスラ研でオーバーホールを受けている間。俺達も開発に関わる事にしたのだ」

 

旧西暦の技術を流用しているゲシュペンスト・リバイブのメンテは並みの設備では出来ず、アメリカのテスラ研で行われている。その間カイとギリアムはやる事が無いと言う事で、マリオンの要請もありラングレーに訪れていたのだ。

 

「カイ少佐。ラトちゃんは?」

 

「ラトゥー二か、あいつは日本だ。まぁそのあれだ……判るだろ?」

 

口ごもるカイにエクセレンは楽しそうに笑った。日本を発つ前に大分良い関係になっているように見えたリュウセイとラトゥー二の事を考えて伊豆基地に残してきたのだろう。

 

「カイ少佐、やるうッ!」

 

「別にそう言う訳ではないのだが……まぁ良いだろう。それでキョウスケ、エクセレン。ゲシュペンスト・MK-Ⅲの件はどうだ?」

 

ラトゥー二の話を強引に打ち切り、MK-Ⅲのことを尋ねるカイ。

 

「そうですね、やはりトルクがかなり良いですね。それに反射速度も良いです」

 

「それに汎用装備の多さが魅力よね。フライトユニットをメインにして色々換装できるって言うのが良いですよ」

 

「ほう、それは楽しみだ。試作機も出来ているらしいし、少し乗らせてもらうか。なぁ? ギリアム……ギリアム?」

 

ギリアムの名を呼んだがギリアムが返事を返さない事に怪訝そうな顔をするカイ。ギリアムの視線の先を見てカイも目を見開いた。

 

『……』

 

「「「「む、武蔵ッ!?」」」」

 

キョウスケ達を見つめる武蔵の姿がそこにはあった。だが瞬きの間にその姿は消えていた……。

 

「キョウスケ……見た?」

 

「あ、ああ……見た」

 

「嘘……幽霊……?」

 

「……噂には聞いていたが……初めて見たな」

 

「そうですね。怖いというよりも驚きました……」

 

武蔵がハガネ、ヒリュウ改のクルーの前に現れると言う話は聞いていたが、直接見たのはこれが初めてで、歴戦の兵士たるカイ達でさえも言葉を失った。

 

「キョウスケ少尉、ああ、カイ少佐達も来てくれたのですね。丁度良かった、これからゲシュペンスト・MK-Ⅲの……どうしたんですの?」

 

「武蔵がいた……」

 

「なるほど、あの噂は本当だったと言う事ですか、ならなおの事急いでください」

 

武蔵がいたと驚いているキョウスケ達に急げと言うマリオン。その顔を思わず見つめたキョウスケ達にマリオン博士は肩を竦めた。

 

「武蔵が出て来たということは、危機を知らせているのでしょう。ならば私達に立ち止まっている時間はありませんわよ」

 

マリオン博士の言い分は冷酷だが、確かにその通りだと思わせた。地球の事を誰より思っていた武蔵。そんな武蔵が現れたと言うこと事態が地球に危機が迫っているのかもしれないという警告だと受け取る事も出来た。

 

「だから私達は武蔵が帰ってきた時、もう彼1人に何もかもを押し付けないように戦力を整えておく事ですわ」

 

マリオン博士の言葉に頷き、キョウスケ達は少しでもゲシュペンスト・MK-Ⅲの完成度を高める為にデータ取りの為の模擬戦を始める為に機体へと乗り込む。

 

「ギリアム少佐は機体が無いのでもう暫くお待ちください」

 

「いや、構わないよ。考え事をしたいと思っていたからな」

 

機体が無いことを謝罪するマリオン博士に気にする事は無いと返事を返し、データ観測室に足を向けるギリアム。だがその顔は険しく、そして誰にも聞かれることが無いが小さくある言葉を呟いていた。

 

「XNガイスト……」

 

その言葉が何を意味するのか、そしてギリアムが何を考えているのか……それは誰にも判らないのだった……。

 

 

 

 

執務室に書類を捲る音だけが響き続ける。その部屋の主……グライエン・グラスマンの顔は悲壮感に満ちていた。

 

「生き残りはいないのか……」

 

グライエンが今行っているのは、ゲッターパイロットであった。「流竜馬」「神隼人」「車弁慶」の血縁者の捜索だった。グライエンもまた武蔵の死を信じておらず。武蔵が戻って来た時の為にと行動に出ていた。

 

『ブライ議員の提唱する。英雄機ゲッターロボの量産計画の……第一次計画の可決が今賛成多数で決定しました。開発にはテスラ研や、マオ社、そしてイスルギ重工など各工場の垣根を越えて行われるようです』

 

『ゲッターロボによって地球は救われました。私達にゲッター線を扱う技術は無いですが、各企業の技術を結集すれば、ゲッターロボに負けない機体が出来ると私は考えています』

 

『ブライ議員はムサシ・トモエについてどうお考えですか?』

 

『勿論地球を救ってくれた尊敬に値する英雄だと思っています。MIAと聞いておりますが、彼が見つかる事を私も心から祈っております』

 

「ふん、あの議員か……まぁ……」

 

TVで見ていた国会の話を聞いて自分ではないが、ゲッターロボの素晴らしさが広がるのはいいと笑ったグライエンだった。

 

「ん? ブライ……?」

 

だがその議員の名前が何故か頭の中で引っかかっていた。ハーバード大学を卒業し、AT企業で働いた後、議員に立候補した。今ではアメリカを代表する議員の1人だ。

 

「何故だ、何故こんなにも胸騒ぎを覚える?」

 

今までこんな事は無かった。何度も会談をしたし、互いに議論も交わした。その時にこんなに嫌な予感を感じた事は無かったのに何故とグライエンは首を傾げていた。

 

『グライエン議員。シャイン・ハウゼン国家主席が参られました』

 

「ああ、そんな時間か、すぐに行くと返事をしてくれ」

 

会議の後に訪れると聞いていたが、こんなにも早いとはと肩を竦めグライエンは書類を片付けて席を立つ。自分が感じた胸騒ぎは気のせいだと考えて、だがそれが自分の第六感による警告だと気づいた時……それは何もかもが手遅れになった後であった。

 

『まだ声は届かぬか、仕方あるまい』

 

そしていそいそと部屋を出て行くグライエンを見つめる早乙女博士の存在にグライエンは最後まで気付く事は無いのだった……。

 

 

 

第18話 夢の残滓 その2へ続く

 

 




今回は武蔵のいない新西暦の話でしたが、ゲッター線が武蔵の姿をしてあちこちに出没。これが何を意味しているのかそれはOG2編で明らかにしたいと思います。次回は今回の話で出なかった人達の話を書いて、また真ゲの世界の話に入って行こうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

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