進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第21話 早乙女の遺産 その2

第21話 早乙女の遺産 その2

 

早乙女研究所の爆発から逃れる為に後先考えずに最大出力で飛び立ったドラゴンⅡ。ポセイドンのコックピットの中では武蔵が背もたれにめり込みながら必死に両手を操縦桿に伸ばそうとしていた。

 

「うっ、うぐうぐうううう……ッ!!!」

 

今もドラゴンⅡは上空に向かって上昇を続けている。このままでは生身で大気圏を突破する事になると必死に操縦桿に手を伸ばし続ける武蔵。

 

「う、うおおおおおおーーーッ!!!」

 

雄叫びと共に殴りつける様に操縦桿を握り締め、思いっきり後ろに引いた。それでやっとドラゴンⅡは動きを止め、上空に静止した。

 

「うっぷ……こ、こいつはやべえ……」

 

滴り落ちてきた鼻血をマントで拭う。確実にドラゴンⅡの性能に自分が追いついていない事は明らかだった。

 

「……だけどこれなら戦えるッ!」

 

ゴールとブライ、それに生きているかもしれないメタルビースト・SRX――そして真ドラゴン。その圧倒的な性能を持つ敵とも戦えると武蔵は確信した。

 

「……ん、これは……」

 

ドラゴンⅡのモニターやレーダーはゲッターロボよりも遥かに優れていた。遠く離れた場所にあるゲッター線反応も探知していた……そしして真ゲッターの後継機と言うこともあり、真ゲッターの情報も納められていた。そしてそれが何を意味するかと言うと……。

 

「真ゲッター、それにクジラ……元気ちゃん達かッ!? 場所はッ!」

 

コンソールを操作し、より詳しい場所を導き出そうとした武蔵の顔は驚愕に染まった。

 

「ニューヨーク……はっ、本当に……何の因果だか……」

 

自分が死んだ場所で元気達が戦っている。それを知った武蔵はペダルの上に慎重に足を乗せ、そして操縦桿を握り締める。

 

「行くぜ、ドラゴン。オイラに力を貸してくれ」

 

武蔵の言葉に答えるようにドラゴンの目が光り輝き、ドラゴンはゲッター線の光で空中に幾何学模様を描きながら光速でニューヨークに向かって飛び立つのだった……。

 

 

 

 

時間は少し遡り、クジラがニューヨークへと向かう道中にまで遡る。

 

「……」

 

イングラムは無言でエルドランドから回収できた情報を分析していたが、その結果はあまり良い物ではなかった。3機のゲッターロボによるフルパワーのゲッタービーム、そしてメタルビースト・SRXのメタルジェノサイダーの衝突の余波であの海岸はその形状を大きく変えていた。そしてそれに巻き込まれたエルドランドもまた、最も重要な部分である操舵室の破損により、得れた情報は余り多くない。

 

(……なるほどな)

 

だがそれでも得れた情報はイングラムにとって非常に有意義な物であった。

 

(連邦軍特別任務実行部隊シャドウミラーか、役割は……ハガネ達に似ている)

 

突出戦力を持ち、地球圏の平和の為に尽力したのは間違いない。だが何らかの理由があり、反乱を起こして敗北寸前まで追い込まれている。部隊もその大半を失い、とある科学者による人造人間を主力にしていたと言うところまでは判っている。

 

「ベーオウルブズ……か、生憎聞き覚えは無いな」

 

「だろうな、俺も無い」

 

連邦軍には特殊任務遂行の為の3つのウルブズがあると言う噂がある。だがその性質上、表立って動く事は無く、隠密部隊と言っても良いだろう。

 

「クライウルブズなら知っているがな」

 

「作戦の後詰め部隊だな、創立には私も関わっていたから知っているが……後のウルブズは知らないな」

 

「だが少なくとも、並の部隊ではあるまい」

 

あれだけの量産機、最新鋭機を揃えていたシャドウミラーを壊滅させたのだ。並大抵の部隊ではないということは明らかであり、僅かに調

べることが出来た情報は2つだけだった。

 

「ベーオウルフと、ゲシュペンスト・MK-Ⅲが最優先ターゲットとなっているが、俺達の世界でも、まだMK-Ⅲは開発段階だ。しかも量産などもされていない」

 

「数年単位の未来の世界と言う話だな」

 

エルドランドは、MK-Ⅲが正式採用され、そして量産された世界であると言うことが判明した。しかし、どれだけの戦力差があったのか、何と戦ったのは不明のままだ。

 

「それと……テスラ研に転移装置を配置しての世界からの逃亡を試みたとある」

 

「そこまで追詰められたのかと驚くのと同時に、そこまでの技術があったのかと驚かされるな」

 

「全くだな」

 

アストラナガンを有するイングラムは時空転移を可能としているが、それと同じ技能を平行世界とは言え自分達も良く知る世界で開発されたということにイングラムもカーウァイも驚きを隠せないでいた。

 

「アギュイエウスとリュケイオス……そしてその製作者のヘリオス・オリンパスか……」

 

それらが非常に重要なキーワードであると言うことはイングラム、そしてカーウァイも感じていた。

 

「……ちっ、これ以上は無理か」

 

「やはり全てが判るとまでは行かなかったか……」

 

「操舵室が無事ならばもっと判ったんだがな、もしくはこのPCの性能の悪さだ」

 

結局判らない事が判っただけであり、イングラムは肩を落としながらPCの電源を落とし、USBメモリをPCから引きぬいた。新西暦に戻る事ができれば、より詳しく解析することも出来る。イングラムはそう考えていた。

 

「あ、イングラムさん、ラウさん。大将が呼んでます、ブリッジまで来てくれますか?」

 

古田に呼ばれ、イングラムとカーウァイはデータ室を後にする。

 

「すまないな、イングラム、ラウ。タワーからの連絡だが、ニューヨークで高密度のゲッター線反応と、救難要請が出ている。隼人はこれが武蔵さんではないかと考えて俺達の派遣を決定したと言う話はしたな?」

 

「ああ。覚えている」

 

エルドランド周辺の捜索は隼人達が続行し、弁慶達はニューヨークの救難要請とゲッター線反応の捜索に向かっている所だ。

 

「親父、武蔵さんが危ないかもしれないから急ごう」

 

「判ってる、判ってるさ渓。だがこれが罠の可能性も捨て切れない、慎重に動く必要がある」

 

武蔵がいるかもしれないと焦っている様子の渓に弁慶だけではなく、イングラムとカーウァイも危機感を抱いた。

 

「武蔵ならそう簡単には死なないさ、まずは落ち着いて冷静に対応するべきだ」

 

「私も同意見だ」

 

「……う、判ったよ」

 

弁慶だけではなく、大人の2人にも言われ漸く渓も自分が焦りすぎだと気付いたのか、納得する素振りを見せた。

 

「良し、古田、凱。SOS反応はどうなってる!」

 

「は、はい、今探しています……あった」

 

古田と凱がキーボードを操作し、SOS反応を探し始める。

 

「大将! メタルビーストだッ! SOS反応はメタルビーストの真下だッ!」

 

凱の報告に弁慶も顔色を変えた。もしも武蔵がいたらと思えば最早その命は風前の灯だ。

 

「出撃だぁッ! 全員急げえッ!!」

 

武蔵を死なせる訳には行かないと弁慶は声を張り上げ、ブリッジにいた全員は出撃準備を始める。

 

「ラウ、判ってるな?」

 

「ああ。出来すぎてる」

 

武蔵を死なせる訳には行かないとそればかりに考えが偏っている弁慶達に危機感を覚えた。イングラムとカーウァイの2人は少し遅れて格納庫に向かった。

 

「すまない、動力が不安定だ。少し出撃が遅れる」

 

「安定次第、私達も出撃する。先に行ってくれ」

 

「仕方ねえな、渓! ゲッター2で援護してくれッ! 俺達はビートで出るッ!」

 

クジラから真っ先に出撃していくゲットマシン、そしてそれから遅れて出撃するビートを見送り、イングラム達はそれぞれの機体の中で状況を確認する。2人の頭の中には、SOS反応は罠であり、そして後詰めが現れると言う確信があるからこその出撃タイミングのずらしなのだった……。

 

 

 

真ゲッター2の援護もあり、アスファルトを破壊し地下へと突入した弁慶達。そんな弁慶達を出迎えたのは、小型インベーダーの群れだった。

 

「ちくしょう、やっぱりいやがったかッ!!!」

 

BT-23の主武装であるガトリングを放ちながらSOS信号の元へ走るBT-23。その先に行かせまいとするインベーダーに弁慶達はこの先に武蔵がいると反ば確信していた。

 

「ここから先はビートじゃ進めませんッ! 大将、どうしますかッ!?」

 

「決まってるだろッ! 団六、一緒に来い! 古田はここでインベーダーを食い止めていてくれッ!!」

 

古田の返事も聞かず、マシンガンをそれぞれ2つずつ担いで、団六と弁慶は薄暗い地下を走る。

 

「武蔵さんッ!!」

 

そして見えた扉を蹴り開けた弁慶は愕然とした。

 

「い、犬?」

 

そこにいたのはついさっきまで生きていたと思われる国連の制服を身に纏った兵士の死体が2つ。そして元気良く鳴く子犬の姿なのだった……。

 

「くそッ! このままじゃキリが無いッ!!」

 

一方その頃渓達は地下にいるのが武蔵だと思い込んでいることもあり、メタルビースト、そしてインベーダー達との戦いを繰り広げていた。

 

「このままじゃ、大将も武蔵さんも……っ!」

 

「そんなのは判ってるよッ!!」

 

SOS信号があったこともあり、広域攻撃をメインとしているゲッター3、そしてゲッタービームを多用するゲッター1が使えず。ゲッター2もゲッタードリルと打撃だけではメタルビーストも、インベーダーも倒し切る事が出来ず、徐々にジリ貧になっていた。

 

「……渓ッ!」

 

「えっ!? うわあッ!?」

 

アスファルトをぶち破り姿を見せたメタルビーストに気をとられた瞬間、今まで対峙していたインベーダーの口から吐き出した粘液でゲッター2は雁字搦めに絡め取られてしまう。

 

「渓! すぐに合流するッ!」

 

「数が多いッ!?」

 

クジラから出撃していたタイプS、そしてR-SOWRDからカーウァイとイングラムの声がする。オープンゲットも走り出すことも出来ない現状に渓の中に焦りが生まれる。

 

「動けッ! 動けッ!!!」

 

必死に操縦桿を動かし、ペダルを踏み込むが、その間もインベーダーの口から吐き出された粘液でゲッター2は繭のような姿になりつつあり、自力で脱出するのは不可能に近い状況になっていた。

 

「キシャアアアアッ!!!」

 

「うっ!?」

 

メタルビーストの鋭い鎌がジャガー号に振り下ろされるのを見て、渓は反射的に目を閉じた。

 

「……何が……?」

 

だが何時まで待っても衝撃も何も来ないことに不信感を覚え、目を開いた渓。そこにはゲッター2に鎌を振り下ろそうとしていたインベーダーの顔面にゲッタートマホークが突き刺さっていた。

 

「まさかッ!? 竜馬ッ!」

 

地下から脱出したBTー23から弁慶がそう叫んだ瞬間。遥か上空から漆黒の影……ブラックゲッターがその鋭い眼光を光らせ、戦場に舞い降りるのだった……。

 

 

 

 

クジラから僅かに送れて出撃したイングラム達は何処に隠れていたのかと思わずにはいられない無数のインベーダーに囲まれていた。

 

「やはり罠かッ!」

 

「武蔵も恐らくいないだろうなッ!!」

 

ショットガンによる面射撃で容赦なくインベーダーを吹き飛ばし、倒しきれないのは承知で廃墟を駆け抜け真ゲッターの元へ走る2機のPT。

 

「あれはッ!」

 

「ブラックゲッター……竜馬かッ!?」

 

巨大インベーダーに囲まれていた真ゲッターの前に舞い降りたブラックゲッターは、そのままゲッタートマホークをその手に握り締め、真ゲッター2に向かって投げつける。

 

「キシャアアアッ!?」

 

それは僅かに真ゲッター2を掠り、背後にいたインベーダーに顔面に突き刺さる。それを確認すると同時にブラックゲッターは駆けだし、最初にトマホークを突き刺したインベーダーからトマホークを抜き、そのまま返す刀で首を刎ねて真ゲッター2に向かって走る。

 

「ッ!」

 

ぶつかる寸前に真ゲッターがオープンゲットし、ブラックゲッターの突撃を回避したがそれはオープンゲット出来なければ、そのまま追突しかねない勢いだった。

 

「や、止めろぉッ!!」

 

ブラックゲッターの余りに荒々しい戦いに真ゲッターを囲んでいたメタルビーストはその姿を流体に変え、廃墟の中に隠れる。だがブラックゲッターはそんなのお構いなしで、廃墟に拳を叩き込み、蹴りを入れ、トマホークでビルを破壊する。

 

「止めろぉッ! 武蔵さんがいるかもしれないんだッ! 竜馬ぁッ!!」

 

「親父ッ!? 地下に武蔵さんはいなかったのかッ!?」

 

「止めろぉッ! 竜馬ぁッ! 頼む止めてくれえッ!!!」

 

渓が武蔵がいなかったのかと尋ねるのも無視して、竜馬に必死に止めるように懇願する弁慶。突如上空を舞う影が弁慶達の視界に影を落とした。

 

「……なんだありゃあ……ッ!?」

 

「ど、ドラゴンッ!? で、でもあれは……」

 

「し、真ゲッターにも似てやがるッ! どうなってんだよこれはぁッ!!」

 

突如上空から急降下してきた真ゲッターにも、ドラゴンにも似た新たなゲッターロボに弁慶達は混乱する。だが1人だけ、この場にいる1人だけが……號だけが動揺も驚きもせずにただ淡々と舞い降りたドラゴンを見つめていた。

 

『竜馬、そこら辺にしておけよ。やりすぎだぜ』

 

『……武蔵か?』

 

『おう、丈夫で長持ち、ついでに間抜けの武蔵さんだぜ』

 

「武蔵さんだッ! 武蔵さんが生きてたんだッ!」

 

「よ、良かった……良かったぁ……」

 

その声は紛れも無く武蔵の声で、この廃墟の中に武蔵がいるのではないか思い心配に思っていた渓達は安堵の声を口にした。

 

「……武蔵。てめえ、何処に行ってやがった?」

 

「はは。オイラも訳わかんねえよ。ゲッター線に包まれたと思ったら変な場所にいたんでな」

 

それぞれコックピットから竜馬と武蔵が顔を出した事で、一時街中での戦いは中断された。

 

「……俺達はこのまま待機しよう」

 

「そうだな。そうするべきだな」

 

既に渓達はゲットマシンから降りてしまっている。敵地の中でのありえない行動にイングラムもカーウァイも顔を歪めたが、もう降りてしまっている以上また戻れという事も出来ず、互いの機体にショットガンを握らせ周囲の警戒を始めるのだった。

 

 

 

 

クジラの周辺をブラックゲッター、ドラゴンⅡ、そしてタイプS、R-SOWRDが並び立ちインベーダーの襲撃に備える中。竜馬、弁慶、武蔵はクジラの装甲の上で話をしていた。

 

「弁慶、てめえは相変わらず詰めが甘い。そんなんじゃあ、インベーダー共に足元を攫われるぜ」

 

「……竜馬……」

 

「おいおいおい、もっとほかに言う事があるんじゃねえのか?」

 

弁慶への叱責を始める竜馬に武蔵が割って入る。それに竜馬は舌打ちし、空を見上げる。

 

「生きてたんなら、生きてるくらい言いやがれッ! この大馬鹿野郎ッ!!!」

 

「はは、本当そうだよな。その通りだ、オイラが悪い。すまなかった」

 

「……そうじゃねえ、そうじゃねえよ……ああ、くそ……なんていえば良いのかわからねえ」

 

頭をかきむしる竜馬は深く溜め息を吐いて、武蔵に視線を向ける。自分よりも更に若い武蔵の姿にまだ学生の時だった自分達の姿が脳裏を過ぎる。

 

「……すまなかった。1人で……戦わせて、その挙句……あんなことになっちまってよ。全部俺のせいだ……許してくれ武蔵……俺が悪かった……」

 

「良いって、オイラも悪いのさ。でも……おめえも良く生きてたぜリョウ」

 

懐かしい渾名に固い表情をしていた竜馬の顔が僅かに緩む。それがチャンスだと思い、弁慶も口を開こうとしたが、武蔵に向けていたのとは違う鋭い眼光を向けられ、弁慶は思わず怯んだ。

 

「虫も殺せねえようじゃあ、インベーダーは倒せねえ、敵を見たら容赦するな。殺せ」

 

「……早乙女博士もよく言ってたなあ、そうやってよ」

 

「……武蔵、お前今の状況を知らないのか。ジジイが何をやったのか?」

 

「ある程度は聞いてるぜ、でもよ……まぁ、信じたくねえって言うのが本音だよ」

 

武蔵の言葉に竜馬は苛立ちを隠せないでいた。それは武蔵の性格も、隼人の性格も知っているから――甘ちゃんとは言え、今の状況を知ってこんな言葉を言うとは竜馬には思えなかった。つまり、意図的に情報を封鎖されていると言う結論に至ったのだ。

 

「武蔵に何も伝えないと隼人が決めたのか?」

 

「い、いや、そう言うわけじゃねえ」

 

「そうだ、オイラはちゃんと隼人からある程度の話は聞いてる。お前の事も、博士の事もな。それを聞いた上で、オイラは博士を信じたかった」

 

「……相変わらず甘ちゃんだな。お前は」

 

「ははは、人はそう変わらないさ。それよりも、見てくれよ。元気ちゃんがあんなに元気そうだ」

 

犬と戯れている渓達を見つめて微笑む武蔵に竜馬は毒気を抜かれたように苦笑し、渓に視線を向ける。

 

「……?」

 

見られているに気付いた渓が顔を上げ視線が合うと竜馬は視線を逸らした。

 

「伝説の男……流竜馬か」

 

「何考えてるの凱?」

 

クジラの上から自分達を見ている竜馬を見て凱は不思議そうな顔をする。

 

「なんかよ、合点がいかなくないか? だってよ、流竜馬は重量子爆弾の爆心地にいたんだろ? そりゃ生きていたのは嬉しいさッ! 味方になってくれりゃぁ、これ以上頼もしい味方もいねえ。だけどよ、40の親父には見えんぜ。どうなってるんだ」

 

竜馬が生きていたのは嬉しいが、とても隼人や弁慶と同じ歳には見えないと熱弁を奮う凱。だが渓は逆に不思議そうな顔をする。

 

「武蔵さんがいるじゃん? あの人だって本当は40代だろ?」

 

「そ、そりゃあそうだけどよ……武蔵さんはタイムスリップして戻ってきたから……あ」

 

「そうだよ、きっとそれが答えなんだよ。凱、竜馬さんもタイムスリップして戻ってきた。だからきっとまだ若いんだよ」

 

「そうかあ? そうだとしてもなんか納得行かないんだよなあ」

 

何故竜馬が若いのかと言う謎をどうしても解き明かしたい凱と、武蔵と言う前例がいると言う渓。まだ納得してない凱だが、強引に話を切られ、肩を落としながら子犬を抱きかかえるのだった。

 

「あの時俺は見た……凄まじいゲッター線の中で俺はなにかを見た」

 

「ああ、オイラも見た。あんまり覚えてないけど、確かに何かを見た」

 

竜馬と武蔵は互いに同じ物を見ていたはずなのに、それをどうしても思い出せないでいた。

 

「俺の意識は宇宙の中を駆け巡り、様々な命を見た。お前はどうだ? 武蔵」

 

「オイラ? オイラは気が付いたら未来にいたぜ?」

 

「……あの見たことの無いロボットもその関連か?」

 

「うん、未来のロボットでオイラの転移に巻き込まれたって感じかな?」

 

「ゲッター線め、訳の判らない事をしやがるぜ」

 

ゲッター線がなにかしたんだなと竜馬は割り切り、話を再開する。

 

「俺は月の廃棄されたゲッターロボの中で目を覚ました。俺はそこでゲッターを修理し……そして戻って来たんだ」

 

「なるほどな、オイラと似たようなもんか」

 

「そういえば武蔵さん、あのゲッターロボは?」

 

「おう、ドラゴン2って言うらしい、早乙女博士の……遺言と共に、オイラが飛ばされた廃墟の基地の中に眠ってたよ」

 

「ジジイの遺言だと?」

 

「後で聞かせて……な、なんだッ!?」

 

「凱! 渓ッ!! 犬から離れろぉッ!」

 

武蔵達の話が一区切りを迎えた時。突如弁慶が叫び声を上げる、それに驚いた渓と凱が抱えていた犬を手放す。

 

「「アアアアーーーッ!」」

 

「い、インベーダーだッ!?」

 

「い、犬に化けてやがったのかッ!」

 

空中で子犬はおぞましい音を立てて変異していく、それを見た渓達は慌ててインベーダーから走って逃げ、クジラへと駆け込む。

 

「くそっ、やっぱりかッ! 竜馬ッ! 武蔵さんッ!」

 

「「おうッ!!!」」

 

弁慶の声を聞く前に竜馬と武蔵はそれぞれのゲッターに向かって駆け出していた。

 

「くそ、やっぱりかよ。ちくしょうめッ!」

 

死んだ国連の兵士の死体はまだ温かかった。つまり死んだ直後であることを弁慶は理解していた。子犬がインベーダーに変異していることも考えていたが、外にいるインベーダーの可能性もあることもあり、その両方に対応できるように考えていたが、やはり子犬がインベーダーだったようだ。

 

「古田ぁッ! クジラを浮上させろッ!」

 

「りょ、了解ッ! うわあああッ!?」

 

即座に浮上命令を出す弁慶だが、それよりも早く凄まじい衝撃がクジラを襲った。それは、SOSを出していた死体と共にいた子犬……それがインベーダーへと完全に変異し、クジラが浮上する前に沈めようと襲い掛かった衝撃だった。

 

『武蔵! 早くゲッターに乗り込めッ!』

 

『やはりこれは罠だッ!』

 

子犬がインベーダーに変異するのと同時に、廃墟から凄まじい数のインベーダーが姿を現す。

 

「「キシャアアアーーッ!!!」」

 

2体のインベーダーの咆哮が合図だったように、無数のインベーダーの襲撃が始まる。因縁の地ニューヨークでの激戦の幕が上がるのだった……。

 

 

 

第22話 早乙女の遺産 その3へ続く

 




ここで1度話を切って、摩天楼の決闘、南海を断つ邪神と話を続けて行こうと思います。もうすぐ世界最後の日編も完結ですが、最後まで応援よろしくお願いします

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
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