進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第26話 決戦真ドラゴン! 復活のゲッターチーム その2

第26話 決戦真ドラゴン! 復活のゲッターチーム その2

 

人間には誰しも触れて欲しくない部分と言うものがある。インベーダー……コーウェンとスティンガーが行ったのは、竜馬達のトラウマでもあるミチルの死を利用した精神攻撃だった。

 

竜馬には死にたくない、助けて助けてと良いながら血塗れで迫るミチルの姿が……。

 

隼人には隼人は悪くない、悪いのは竜馬だと良い、しだれかかるミチルの姿が……。

 

弁慶には出来損ないでは無いと優しく何度も何度も言い、竜馬達を罵倒するミチルの姿が……。

 

武蔵にはミチルに告白され、そして早乙女博士にも祝福されるという夢を見た……。

 

武蔵の事をあまり知らないコーウェンとスティンガーだからこそ、都合のいい夢を見せた。だが竜馬達はそれに飲み込まれることは無かった……なぜならば知っているから、竜馬と隼人を救う為。合体を中断させ、自ら死を選び自分達を救ったミチルを知っているから……そして苦しみながら、自ら悪を演じた早乙女博士を知っているから……それは竜馬達の怒りと言う名の業火に油を注ぐだけだった。

 

「ドリルミサイルッ!!!」

 

「ジェットドリルッ!!!」

 

同時に放たれたドリルミサイルがダブルトマホークを構えていたメタルビースト・ドラゴンへと突き進む。命中の瞬間にオープンゲットしたメタルビースト・ドラゴンだが、コーウェンとスティンガーは自分達の策が何の意味も持たなかったことに困惑していた。

 

「何故だ!? 何故一瞬たりとも効かなかった!?」

 

「し、信じられない、何故なんだ!?」

 

訳が判らず困惑するコーウェン達だが、早乙女博士には判っていた。自分の元に訪れたのと同じく、ミチルが自らの死の真相を語ったのだと早乙女博士には判っていた。

 

「はーははははッ! 人間の業を甘く見ていたわッ! 行くぞ、スティンガーッ!」

 

だがそれが判っていても、それを口にすることは無い。最後まで悪の研究者としての仮面を被り続ける。

 

「チェンジッ! ライガーッ!!」

 

空中でライガーにチェンジし、ドリルをかざして突撃するメタルビースト・ライガー。真ゲッター2も迎え撃つようにドリルを突き出し、2機のドリルがぶつかり合う直前に隼人達は笑みを浮かべた。

 

「「「オープンゲットッ!!」」」

 

「なッ!! 「うおりゃあッ!!!」うわあああーーッ!!」

 

真ゲッター2の後ろから姿を見せたポセイドンの豪腕がライガーの顔面を捉え、壁に向かって殴りつける。

 

「スティンガー君ッ! オープンゲット、チェンジッ! ポセイドンッ!「はっ、てめえらで俺達に勝てると思ってんのかあッ!!」ぐああッ!?」

 

ポセイドンにチェンジした瞬間、上空から急降下してきた真ゲッター1の踵落としがポセイドンの頭部を捉え、下へと叩きつける。

 

「チェンジドラゴンッ! ゲッタァアアビイイームッ!!」

 

叩き付けれられる前にオープンゲットし、ゲッタービームを真ゲッターに向かって放つが、それは両腕をクロスしたポセイドン2が防御に入り、強固な装甲に弾かれ霧散する。

 

「ゲッタァアビィィイイイムッ!!!!」

 

「ぬああああッ!!!」

 

ポセイドン2の背後から姿を見せた真ゲッター1の腹部からの高出力のゲッタービームに飲み込まれ、メタルビースト・ドラゴンは今度こそ、地表にたたきつけられる。

 

「ば、馬鹿なッ! 何故こうも出し抜かれるッ!?」

 

「あ、ありえないありえないッ!」

 

インベーダーにとって武蔵はゲッター線の適合率の低い出来損ない。だが、今はどうだ? 完全に自分達を出し抜き、声も合図も交わさずに自分達を悉く上回っている。

 

「おらおらおらッ!!!!」

 

「くっ! オープンゲットも出来んッ!!「逃がさないぜッ!!」しまったあ……ッ!?」

 

メタルビースト・ドラゴンの足に巻きついたチェーン。それによってメタルビースト・ドラゴンがライガー2に引き寄せられ掛けた時。真ドラゴンの壁が爆発した。

 

「ゲッタァアアアアアーーーーッ!」

 

「な、ぐあっ!?」

 

壁をぶち破り姿を見せたゴール&ブライの体当たりを喰らい吹き飛ぶライガー2。その姿を見て早乙女博士は笑う、まだまだ自分は竜馬達を育てる時間があるのだと笑った。

 

「ふっはははっはあーーーッ!! これで2対2! 仕切りなおしと行こうではないかあッ!!」

 

ゲッターD2にはゴール&ブライが立ち塞がり、真ゲッターの前にはメタルビースト・ドラゴンが立つ。早乙女博士の言う通り、戦況は完全に仕切りなおしとなっているのだった……。

 

 

 

 

ゴール&ブライと対峙しているゲッターD2を見て、竜馬達は援護に向かいたいと思っても、執拗に襲ってくるメタルビースト・ドラゴンの攻撃に竜馬達の動きは完全に束縛されていた。

 

「くそっ! 厄介なッ!」

 

「隼人! 俺に任せろ! チェンジッ!! ゲッタァーーースリィィいいいいーーッ!!」

 

高速で空中を駆けるライガーを捕まえる為に重装甲のゲッター3にチェンジし、その細身のドリルを受け止めながら着地するゲッター3。そのコックピットの中で弁慶は力強く笑った。

 

『もう、教える事は無いよ。弁慶なら出来る』

 

(ありがとうございます、武蔵さんッ!)

 

時間の許す限り大雪山おろしを教えてくれた武蔵。今こそ、その思いに応えるべきだと弁慶は感じていた。

 

「直伝ッ!! 大雪山おろしぃぃいいいいッ!!!」

 

「ぐ、ぐおおおおッ!?」

 

それは紛れも無く完全な大雪山おろし……いや、新西暦での戦いを経て、より知識を深めた武蔵が弁慶に合うように教え、弁慶の為にアレンジされた大雪山おろし改とも言うべき一撃だった。

 

「がっはああッ!? 己ッ!」

 

空中でオープンゲットすることも許されず、真ドラゴンの壁に叩きつけられるライガー。その全身から火花が散るのを見て、弁慶は追撃の一撃を放つ。

 

「ミサイルストームッ!!!」

 

戦車部から射出された小型ミサイルの雨がメタルビースト・ライガーへと命中する寸前、ミサイルが空中で止まり反転し真ゲッター3を襲う。

 

「ぐうううッ! ちいっ! 鬱陶しいにも程があるッ!」

 

虫の息のゴールとブライの念動力によって射撃系の武器は自分へと跳ね返り、メタルビースト・ドラゴンの攻撃は加速、あるいは減速し、竜馬達を幻惑していた。

 

「武蔵! とっとそのくたばり損ない……おい、武蔵ッ! 武蔵ッ! どうしたッ!」

 

ダブルトマホークを構えたまま沈黙するD2の異変に気づき、竜馬が何度も声を掛けるが武蔵は返事を返さない。

 

「ははははッ! 死ねええッ!!!」

 

「武蔵ッ!! ぐうっ!?」

 

武蔵へゲッタービームが放たれるのを見て、真ゲッターが庇うがゲッタービームの直撃を受けてしまう。

 

「武蔵ッ! どうした武蔵ッ!!!」

 

「っ……竜馬……隼人……す、すまねえ、ちょっと意識が飛んでた……大丈夫だ」

 

武蔵からの返答はあったが、ぽたぽたっと何かが滴り落ちる音が竜馬達の耳には聞こえていた。

 

「おい、本当に大丈夫か!?」

 

「だ、大丈夫だ! ゴール達はオイラがなんとかするッ!」

 

だから大丈夫だと言う武蔵の声を竜馬は空元気だと悟っていた。いくらリミッターが付いたといえど、ゲッターD2のパワーは桁外れだ。それをフルパワーでこれだけ稼動させていたのだ……身体が限界を迎えるのは明らかだった。

 

「隼人ッ!」

 

「おうッ! チェンジゲッターアアアアッ!!」

 

このまま戦わせれば武蔵の命が危ないと竜馬達は危険を承知で、メタルビースト・ドラゴンを無視すると言う選択を取った。

 

「うおおおおおおーーーーッ!!!」

 

念動力で動きを止められるが、それを物ともせずゲッタードリルをゴールの顔面を貫いた。そしてそこに足を振り上げゴールの巨体を蹴り飛ばす。

 

「プラズマドリルッ! ハリケェェエエエーーーンッ!!」

 

更にそこにドリルハリケーンを叩き込み、ゴール達の姿を上空へと吹き飛ばす。

 

「オープンゲット! 弁慶ッ!!」

 

「おうッ! チェンジゲッタースリィィイイッ!!!」

 

オープンゲットし、ゴールとブライを追い抜こうとする真ゲットマシンをメタルビースト・ライガーが追う。

 

「させん。させんぞおッ!「させねえのはこっちだあッ!!」ぐうっ!? まだ動くかッ!」

 

メタルビースト・ライガーの足元にフィンガーネットが絡みつき、その巨体を引き摺り下ろす。

 

「うぐぐ……最後までオイラは戦うぞッ!! うおおおおッ!!」

 

滴り落ちる鼻血を拭い、裂帛の気合と共にメタルビースト・ライガーを引き摺り下ろし、マウントをとって豪腕を何度も振るう。メタルビースト・ライガーはフィンガーネットに絡め取られているので脱出も出来ず、その豪腕を何とかして防ぐしか出来なかった。

 

「うおおおおッ! 大雪山おろしいいーーーッ!!」

 

「「ギヤアアアアーーッ!?」」

 

押し潰しからの大雪山おろしで苦悶の雄叫びを上げ再び上空に巻き上げられるゴールとブライ。

 

「ゲッタァアアアキャノンッ!!!」

 

ポセイドン2の両肩には収納式のキャノン砲がある。そこから放たれた熱線がゴールの口の中に飛び込み、頭を跡形も無く消し飛ばし再生すらも阻害する。

 

「うっし、うがあッ!!」

 

「何時までも調子に乗ってるんじゃあないッ!!」

 

「うぐぐうッ!!」

 

メタルビースト・ライガーの膝蹴りを喰らい、今度は逆にポセイドン2がマウントを取られ、コックピットにメタルビースト・ライガーのドリルが迫る。両手で掴んでドリルを食い止めているポセイドン2だが、徐々に徐々にポセイドン号に迫るのを見て竜馬達は一刻も早く武蔵を助ける為に動き出す。

 

「竜馬! けりをつけろッ!」

 

「おうッ! こいつであの世に逝きやがれッ!! ゲッタァアアアビィィイイイムッ!!!」

 

「「げ、ゲッタァーアアアアアアアアア……」」

 

最後まで怨嗟の声を上げ、ゴールとブライはもがき苦しみながらゲッター線の光の中へと消し飛んだ。

 

「武蔵ぃッ! 今行くぜッ!!」

 

急降下した真ゲッター1の一撃をメタルビースト・ライガーはオープンゲットし交わす、だがそれを逃がさないと言わんばかりにオープンゲットし、ゲッターポセイドンにチェンジしたのを見て、竜馬達はあることに気づいた。

 

「おい、気付いたか」

 

「ああ、見たぜ」

 

「へっ、なら一気に決めるぜッ!!」

 

自分達よりもチェンジのタイミングが遅かった。ならばそこに割り込み、一気に片を付ける。竜馬達はコックピットの中で笑みを浮かべ、チェンジゲッター1と叫ぶのだった……。

 

 

 

スティンガー、コーウェン。インベーダーに喰われて変わってしまった友人達と共にゲッターロボに乗る。それはかつての早乙女博士の夢だった。

 

(こんな形で叶って欲しくは無かったがな……)

 

年老い、ゲッターロボに乗れないことを悲しみ、竜馬、隼人、武蔵に希望を見出しゲッターロボのパイロットに選んだ。今思えば、竜馬達は自分達の若い時に良く似ていたなとぼんやりと早乙女博士は感じていた。

 

「ふわははははッ! 初代ゲッターチームを舐めないで貰おうかッ! トマホークブーメランッ!!!」

 

両肩から取り出したダブルトマホークを動けないでいるゲッターD2に投げつける。

 

「やらせるかよッ! ゲッターサイトッ!!」

 

「ッははははッ!! やるな、竜馬ッ!!!」

 

「はっ! ったりめえだッ! 俺はジジイが選んだゲッターパイロットだぜッ!!」

 

その言葉に一瞬動きを止めて早乙女博士は獰猛に笑った。

 

「そうだ! ワシが選んだからこそ、お前の考えている事は手に取るように判るッ!!」

 

武蔵……ゲッター線の齎す運命によって、数奇な運命を背負ってしまった男。その運命を化した事を後悔し、そしてそれと同時に自分が作り出した最後のゲッターが武蔵の手に渡った事……それら全てがゲッター線が齎している事だと早乙女博士は感じていた。

 

「ゲッターキャノンッ!!」

 

ポセイドン2の両肩から放たれた高濃度に圧縮されたゲッターエネルギー弾。それは直撃すればドラゴンでさえも致命的になるほどに高密度に凝縮された攻撃だった。

 

「ぬうっ!? 早乙女博士ッ!」

 

「おうッ! オープンゲットッ!!」

 

「へっ! 逃がすかよ、隼人、弁慶ッ!」

 

「「おうッ!!!」」

 

コーウェンの声に従い反射的に分離し、ゲットマシンとなり真ドラゴンの内部を飛ぶと同時に真ゲッターもオープンゲットし、計6機のゲットマシンが複雑な軌道を描きながら飛び交う。

 

「オープンゲットッ!!」

 

そしてそこに分離したゲッターD2も加わり、9機のゲットマシンが飛び交い、それぞれの合体を妨害しようとマシンガンとレーザーの嵐が交錯しあう。

 

「早乙女博士、今だッ!」

 

「い、一気にき、決めよう!」

 

スティンガー、コーウェンの言葉にパイロットとして、そして研究者としての早乙女はNOを出したが、インベーダーとしての己はGOを出した。

 

(やりおるわッ!)

 

業と姿勢を崩し、ゲッターチェンジが出来ないと思わせ合体を誘発させる。竜馬達の策に引っかかっていると思いもよらないスティンガー、コーウェンに内心馬鹿めと思いながらレバーを引いた。

 

「「「チェンジドラゴンッ!!」」」

 

ライガー号とポセイドン号が合体し、ドラゴン号と合体しようとした瞬間。コックピットに赤い影が割り込んできた。

 

「へっ! 遅いんだよッ!!」

 

「「ば、馬鹿なッ!?」」

 

合体の間に割り込み、ライガー号とドラゴン号の間に割り込み真ゲッター1と合体を果たした竜馬達の声が早乙女達の耳を打つ。

 

「悪いな、俺達は目を瞑っても合体できるんだッ!」

 

(ああそうだ、お前達には過酷な訓練を課したなあ……許せよ、竜馬、隼人、弁慶……)

 

「研究チームと戦闘チームの違いって奴だ」

 

(そうだな、その通りだ、隼人)

 

「やっちまえ、竜馬ッ!!」

 

ドラゴン号の内部装甲が拉げ、身体が千切れる痛みに顔を歪める早乙女博士。だがインベーダーに寄生された身体は早乙女博士の意思に反して再生を果たし、爆発してドラゴン号から吹き飛ばされる中で完全に再生を果たし、真ドラゴンの壁に触れて新たなドラゴン号を生成し、その中に乗り込んで再び合体の為に空を舞う。

 

「何ッ!? うおッ!?」

 

ドラゴンの上半身と下半身に合体していたゲットマシンが動き真ゲッターを蹴りつけて再び浮上する。

 

「チェンジドラゴンッ!! ははははッ! 真ドラゴンの内部に居る限りワシらは不死身! お前達に勝機など最初から無いわッ! ゲッタービームッ!!!」

 

「させるかよ、ゲッタービームッ!!」

 

メタルビースト・ドラゴンとゲッターD2のゲッタービームがぶつかり、真ドラゴンの内部を翡翠の光で染め上げる。

 

「ぐうううッ!」

 

「まさか武蔵にここまでのパワーがあるとは!?」

 

「ぐあっ!?」

 

磁石の反発のようにメタルビースト・ドラゴンとゲッターD2が弾き飛ばされ、互いに爆発を繰り返し、真ドラゴンの壁に背中からぶつかる。ゴールとブライが居なくなった事で数の利を失った早乙女博士達だが竜馬達と武蔵との戦いは完全に互角であり、真ドラゴンでの内部での戦いはより激しさを増していくのだった……。

 

 

 

 

武蔵が不調に陥っていたのはゲッターD2のパワーだけではない、激しい頭痛に襲われていたのだ。竜馬達との戦いは無意識であわせていたが、真ドラゴンの内部に突入してからの記憶はあやふやで、今も自分が操縦桿を握っているのかどうなのかでさえも武蔵には判らなかった。

 

(うっ、うぐう……)

 

頭の中で様々な光景が浮かんでは消えていく……

 

青いアルトアイゼンが色んな機体を追い回し、リボルビングステークで刺し貫き破壊する光景。

 

月で共闘した蒼い機体の特機のパイロットだろうか、その若い男が叫ぶ姿。

 

ゲシュペンストの中から姿を見せる異形の姿……

 

(なんだ。なんだこれは……)

 

その光景はどれもが知らない筈なのに、リュウセイ達の姿を連想させる。そしてその光景はどんどん激しさを増していく……。

 

グルンガスト零式に良く似た赤と紫の特機が巨大な剣を振るう姿……。

 

西洋の騎士を思わせる特機がハンガーに固定される姿……。

 

エルドランドに良く似た戦艦が何かから逃げ回る姿……

 

そしてメタルビースト・SRXの姿までもが鮮明に浮かび上がる。

 

最後に鮮明に浮かび上がったのは培養液の中で眠る無数の人の姿だった……。

 

『武蔵、武蔵……囚われてはいけない』

 

(ご、號……?)

 

號の声が脳裏に響くと同時に武蔵を襲っていた。頭痛は消え去った……それと同時に意識がより鮮明になっていく。

 

『まだ、その時ではない、今は目の前の戦いに集中するんだ』

 

諭すように、落ち着けと言わんばかりに柔らかい声が何度も脳裏に響き、徐々に武蔵は落ち着きを取り戻していた。

 

(大きく深呼吸をして……ゲッターチームの……4つの心を……1つにするんだ)

 

武蔵が頭痛に苦しんでいる間にもゲッターD2は動いていたのか、いつの間にか真ゲッター1と並んで上空に浮いていた。

 

(思いを込めて……パワーを上げるんだ)

 

號の声が響く度に鮮明の脳裏に浮かんでいた光景は消えていく……それは號がまだ知るべきではないと武蔵の記憶から、その光景を消そうとしているような気がした。

 

「ストナアアアアーーーーッ!! サアアアアンッ!! シャ……「「キシャアアアーーーッ!!」」インッ!?」

 

真ゲッター1から今正にメタルビースト・ドラゴンに向かってゲッター線の塊が撃ち込まれようとした時。ゴールとブライの首が背後から真ゲッター1を襲い、ストナーサンシャインが明後日の方向に飛んで行く、それを見た武蔵は即座に操縦桿を動かしていた。

 

「うっ、うぐううううッ!!!!」

 

「む、武蔵ッ!? 何をするつもりだ!」

 

「止めろ! 死ぬぞッ!!」

 

自らストナーサンシャインの中に飛び込んだ武蔵は凄まじい痛みと熱に耐えながら、歯を食いしばりペダルを踏み込んだ。

 

「ストナアアアアッ!!! サンシャイン……スパァァアアアアックッ!!!!」

 

ストナーサンシャインとシャインスパークが融合し、尾を引きながらメタルビースト・ドラゴンへと突撃するゲッターD2。

 

「させるかぁッ! ゲッタァアアビィィイイイムッ!!!」

 

メタルビースト・ドラゴンはゲッターD2の突撃を食い止めようと頭部から高出力のゲッタービームをゲッターD2に向かって放つ。

 

「ば、馬鹿な!?」

 

「勢いが止まらないだと!?」

 

真ゲッター1とゲッターD2のゲッター線を放出し突撃するゲッターD2。ストナーサンシャインスパークは攻撃と防御を兼ね備えた最強の攻撃だ、だがゲッターD2もその高出力のゲッター線に焼かれてあちこちから火花を散らす。

 

「武蔵さん! 死ぬつもりですか!?」

 

「馬鹿野郎ッ! 死ぬつもりなんてねえッ!!」

 

死ぬつもりなんて無いと叫んだ武蔵だが、ゲッター線のエネルギーにゲッターD2の全身が焼かれ、灼熱地獄を味わいながらもその目は爛々と輝いていた。

 

(早乙女博士……さよならだな。もうゆっくり眠ってくれよ)

 

真ドラゴンの内部で戦い始めて、初めて明確になった意識で武蔵は早乙女博士への別れを心の中で呟き、最高加速のままメタルビースト・ドラゴンに向かってゲッターD2は体当たりを叩き込んだ。

 

「ぬ、ぬああああああああーーーッ!!!」

 

「う、うわああああああーーーッ!」

 

「お、おのれおのれ……武蔵。出来損ないのゲッターパイロット如きがあああああーーッ!!!」

 

メタルビースト・ドラゴンに体当たりしたゲッターD2の姿はメタルビースト・ドラゴンの中に吸い込まれるようにして消えた。その光景に竜馬達は息を呑んだが、次の瞬間ライガー号の体を引き裂き、ゲッターD2が再び姿を見せ、早乙女博士達の断末魔の叫びが響く中、姿を現したゲッターD2は弾丸のような勢いで3つの光へと分離する。

 

「オープンッ!! ゲェェット!!!」

 

ゲットマシンへと分離したゲッターD2がメタルビースト・ドラゴンから離脱し、真ゲッターの隣でゲッターD2へと合体する。

 

「ふっはははははーッ! 良くぞ、良くぞやった。竜馬、隼人、弁慶、そして武蔵よッ!!!」

 

ストナーサンシャインスパークの中で崩壊していくメタルビースト・ドラゴンの中から早乙女博士の嬉しそうな声が響いた。

 

「「「「早乙女博士ッ!!」」」」

 

「ふっふっふ……良くぞ、良くぞやり遂げてくれた。我が希望よッ! だが、これで戦いは終わりではないッ!!」

 

早乙女博士の一喝が真ドラゴンの内部に響き渡る。それは怒号ではあったが、竜馬達を思う響きをしていた。

 

「……ワシの引いたレールはこれで最後……だが、お前達の戦いはまだこれからだッ! これからはお前達で自らの運命を切り開けッ!! さらばだあッ!!! はははッ!! はーっははははははッ!!!」

 

高笑いの中メタルビースト・ドラゴンは炎の中に消え、爆発を繰り返す真ドラゴンの中から真ゲッター1とゲッターD2は、溢れる思いを無理矢理振り切って、早乙女博士の遺志を継ぐ為に飛び立つのだった。

 

 

 

真ドラゴンが爆発を繰り返すのを、タワーからの脱出艇の中から見た渓達は叫び声を上げた。

 

「親父ぃッ! 武蔵さんッ!!」

 

「くそどうなってるんだよッ!」

 

武蔵達を助ける為にロボット部隊が真ドラゴンに向かうのを見て、凱と渓も脱出艇を飛び出そうとした時。背後から肩を掴まれた、今この脱出艇にいるのは渓と凱……そしてもう1人だけ。渓と凱は笑みを浮かべながら振り返る、そこには想像通りの人物の姿があった。

 

「ご、號ッ!」

 

「お、お前! 目を覚ましたのかよ! 良かった」

 

意識不明だった號が目を覚ましたことに喜んだ渓と凱だが、號の悲しそうな顔を見て目を見開いた。

 

「ご、號? どうしたの?」

 

「渓……凱。俺達はいかなければならない」

 

「行くって……何処に行くんだよッ!」

 

外に出ようとする號の手を掴もうとする凱だが、振り返った號の顔を見て息を呑んだ。號の目からは涙が溢れていたのだ。

 

「行かないといけないんだ。俺達だけじゃない、竜馬も、隼人も、弁慶も……皆行かなければならない」

 

「だからどこへ!?」

 

「ついてくれば、判る。これは避けることが出来ない事なんだ」

 

悲しそうな顔をして歩き出す號の後を追って、渓と凱も歩き出した。その先で渓達を待つのは想像を絶する悲しみと永遠の別離なのだった……。

 

 

世界最後の日編最終話 さらば友よッ! 新たなる旅立ちへ続く

 

 

 




次回は世界最後の日最終話となります。ここまでお付き合いしていただき本当にありがとうございました。最終話でどんな結末が待っているのか、そしてその後に何が待っているのかを楽しみにしていてください。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
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