進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第1話 歴史の差異

第1話 歴史の差異

 

全身に走る痛みに顔を歪めながら身体を起こしたパイロットスーツの男。だがその瞬間に頭の後ろに銃口を当てられ即座に両手を上げる。

 

「悪いな、いくつか質問したいことがある。シャドウミラー隊、ヨーロッパ部隊バリソン隊隊長「バリソン・ロックフォード」で間違いないな?」

 

「……はい、その通りです。カーウァイ少将」

 

声の主が何者かと言うのは直ぐに判った。だからこそ、質問を全て肯定した。

 

「悪いが誰かと勘違いしていないか? 私は確かにカーウァイ・ラウだ。それは認める、だが私の階級は「大佐」だ。少将ではない」

 

「……申し訳ありませんが、お顔を拝見させていただいても宜しいでしょうか? 武装は全て解除されているようですし、素手で抗うつもりも自決するつもりもありません」

 

「どうする?」

 

「警戒は緩めれんが……話がこれ以上進まないのも困るな」

 

もう1人いるな……3体の機体を確認しているので、特機かPTのパイロットだと当たりをつける。

 

「悪いな、反乱を起こした相手となれば警戒しないわけにはいかない、ゆっくりと振り返れ」

 

もう1人の男の指示に従い銃口を向けているカーウァイ少将を見てバリソンは目を見開いた。

 

「わ、若い!?」

 

「……26だからな。若いのは当然だが?」

 

少しむっとした様子だが、バリソンの知るカーウァイ・ラウは48の初老の男だった。だからこそ、20代のカーウァイを見て驚愕するのは当然の事だった。

 

「ど、どういう……」

 

「落ち着け、そうだな俺達は……別の世界、別の時間軸からこっちに来たと聞いたら信じるか?」

 

青い髪の男にも見覚えがあった。だがこの男も数年前に行方不明になっている……それを知っているからこそバリソンは信じられないという表情で口を開いた。

 

「イングラム・プリスケン中佐でしょうか?」

 

「……確かに俺はイングラムだが、俺は少佐だ」

 

自分の知る2人よりもはるかに年が若いということに混乱するバリソンを見て、カーウァイは額に向けていた銃口を下ろして、腰のホルスターに戻した。

 

「混乱している所悪いが、私達も状況を理解していない。そして君もだ、互いに情報を交換する事それが有意義だとは思わないか?」

 

「……は、はい、了解です」

 

敬礼しカーウァイの提案を呑んだバリソン。それを確認してからイングラムが立ち上がり、周囲を警戒していた特機に声を掛ける。

 

「武蔵、お前も1度休憩しろ、食事の準備も出来た」

 

『了解です、直ぐ降りますね』

 

膝を付いた特機から降りてきたのはまだ歳若い少年だった。しかしその服装が余りにも……そのなんだ。独創的でバリソンは口を開きかけて閉じることしか出来ないのだった……。

 

 

 

 

焚き火を4人で囲んで座り、緊急キット内の温めるだけのスープと乾パンを口にする武蔵達。

 

「美味い……ちゃんとした食事は久しぶりだ」

 

「……非常キットの物だぞ?」

 

「それでも今の俺にはご馳走です」

 

スープを涙を浮かべながら口にするバリソンに武蔵達は何も言えない、武蔵の世界から転移してきたが、その世界と同じ位荒れ果てているが、状況はそれよりも悪いのかもしれないとイングラム達は認識を改める。

 

「貴重な食糧感謝します」

 

お手本のような敬礼をするバリソンにイングラム達も敬礼を返す。

 

「さて腹も膨れた所で情報を整理したい」

 

「はい、おれ……失礼しました。私のほうも情報を整理したいと思います」

 

「楽に喋ってくれて構わない、ほかに生き残りもいないかもしれないんだ。階級で蟠りは作りたくない」

 

カーウァイの言葉に少し悩んだ様子のバリソンだったが、おっかなびっくりと言う感じで敬語をやめる。

 

「それで構わない。それで何があったんだ?」

 

「はい、連邦政府のイージス計画の失敗によって化け物が無数に現れるようになったのです。そいつらは人間も機械もお構い無しに喰らい仲間を増やし、一気に人類は窮地に追い込まれました」

 

イージス計画……聞き覚えのないプロジェクトだが、それが何かの防衛計画なのは判った。

 

「イージスと言えば、アイギスの英語読みだが……それを聞く限り何かの防衛計画ではないのか?」

 

「防衛計画と言えば聞こえは良いですが、実際は地球の外に住む人類を全て見捨て、地球をバリアで覆うという計画だった。俺達シャドウ

ミラー隊はそれに反攻して……失礼しました。つい口調が」

 

「いや、構わないそれほどの激情と言う事は俺にも判る。しかしコロニー全てを見捨てるか……」

 

「地球政府ならやり兼ねんな……」

 

「マジですか?」

 

「ああ、やりかねない。大体地球連邦なんて癒着で腐りきっているしな」

 

しかし腐りきっているとは言え、地球圏の外の人間を全て見捨てるとは計算外だったがとイングラムとカーウァイは肩を竦めた。

 

「その反乱でシャドウミラー隊総帥「カーウァイ・ラウ」少将は投獄され、見せしめで処刑、更にその搭乗機のゲシュペンスト・タイプSも破壊されました」

 

自分ではないとは言え、処刑されたと聞いてカーウァイの目が細まる。

 

「あーっとバリソンさん? この世界ではエアロゲイターは来なかったんですか?」

 

「エアロゲイター? それは知らないが……異星人か?」

 

武蔵の質問に答えたバリソンの言葉を聞いて、イングラムは何かに納得したように頷いた。

 

「なるほど、この世界はエアロゲイターではなく別の異星人の襲来によって分岐した平行世界と言うことになるようだ」

 

イングラムや武蔵達が来たのはエアロゲイターが先に訪れ、それによって作られた歴史。

 

だがバリソンの世界は先にインスペクターと言う異星人が訪れ、そこから分岐した世界と言うことだった。

 

「驚かないのだな、バリソン」

 

平行世界と聞いても驚かないバリソンに不思議そうに尋ねるカーウァイ。だがバリソンは当然と言う顔をしていた。

 

「ヘリオス・オリンパスが時空間転移装置を研究していましたから。その本人は時空間転移で姿を消しましたが、その装置を使う事を考えています」

 

「時空間転移装置でインベーダーを追放するのか?」

 

「……いえ、俺達シャドウミラー隊は自分達の育った世界を放棄する事を決定しました」

 

自分達の育った世界を捨てると言う決断をしなければならないほどに、この世界の人類は追詰められていた。

 

「それはお前達だけでか?」

 

「時空間転移システムは不安定で、成功する保障はありません。それに……イージス計画に反対した俺達は反逆者ですし……それに何よりも……蔦のような体組織に操られたゲシュペンストがいましたよね? それらにスペースノア級を3隻奪われた今。俺達に出来る事は逃げることだけです」

 

「クロガネも!? ビアンさんやエルザムさんは!?」

 

「ビアン・ゾルダークはインスペクター事変で行方不明だ。それにエルザムなんて……何十年も前に死んでいる」

 

「嘘だろッ!? じゃあ、ゼンガーさんは!? カイさん、ギリアムさん、ラドラは!?」

 

自分の知り合いが死んでいると聞いてバリソンに詰め寄る武蔵。バリソンはそれに驚きながらも武蔵が名前を挙げた人物について自分の知っている全てを答えた。

 

「ゼンガー少佐はアースクレイドル事変の後消息不明、カイ少佐はシャドウミラー隊に協力してくれたがジュネーブ攻防戦で戦死なされた。ギリアムとラドラと言う人物については俺は知らない」

 

「マジか……じゃあ、リュウセイやライ、アヤさんは?」

 

「リュウセイ・ダテ、アヤ・コバヤシなら知ってる。SRXのパイロットだな……だけど、リュウセイ達も既に戦死しているよ……ライディースはヒュッケバインの起動実験に失敗して死亡した筈だが……」

 

「信じらんねえ……マジかよ」

 

知り合いが殆ど死んでいると武蔵は深く肩を落とした。

 

「量産型SRXが成功したらしいが、それはどうやって成功したんだ?」

 

「なんでそれを……SRX計画は失敗の繰り返しだったらしいが、なんでもある日突然SRX計画が軌道に乗ったと聞いています。噂では、時空の裂け目から大破したSRXが現れたとか……」

 

大破したSRXに強烈に嫌な予感を感じたイングラムはそれを詳しく問い詰めた。

 

「大破とはどんな感じでだ?」

 

「両腕が大破していたと……後は……確か奇妙な生物片が付着していたと……」

 

奇妙な生物片と聞いて武蔵達も突然現れたSRXが何なのかを理解した。

 

「あの時の……メタルビースト・SRXなんじゃ」

 

「可能性はある。残骸は確認していないからな」

 

「インベーダーが現れたのは、メタルビースト・SRXが原因と言うことか……」

 

今度は自分が付いていけない話をし始めたイングラム達。だがその内容を聞けば、うっすらとは話を理解出来た。

 

「まさか、あの化け物を知っているんですか?」

 

「……ああ、インベーダーと言うゲッター線と言う放射能で生きている生物だ。なんにでも寄生するのはあいつらの特徴だ、そして私達はエルドランドと言うトライロバイト級の中で量産型SRXと、R-GUN、2機のR-SOWRDを発見している。R-SOWRDは1機は持ち出したが、それ以外インベーダーに寄生されたがな……エルドランドの名前に聞き覚えは?」

 

「エルドランドは最初に転移を行った戦艦です。私達は失敗したと判断して、時空間転移システムにはより慎重になる事を決定した事件です」

 

「……なんとも皮肉な話だな」

 

エルドランドが武蔵の世界に飛び、そこでインベーダーに寄生され、戻って来たことでSRX計画が進んだが、インベーダーが蔓延る事になったというのは余りにも皮肉な話だった。

 

「そうだ、キョウスケさんは?」

 

「……キョウスケ・ナンブは討伐隊「ベーオ・ウルブズ」のリーダーだ。あいつに殺された仲間は数知れない、SRXも、グルンガストも、全部、全部あいつに殺されたんだ」

 

「嘘だろ……本当にどうなってるんだよ」

 

信じれない、いや信じたくない現実の数々に武蔵だけではなく、イングラムとカーウァイも黙り込んだ。その時、中破していたゲシュペンスト・MK-Ⅱの通信機が音を立てる。

 

「これはSOS信号ッ! 行かない……っと」

 

「その身体で無茶をするな。武蔵、イングラム」

 

「了解した。俺達で向かおう、生き残りがいるのならば合流して情報を整理したい」

 

「そうですね。えっとバリソンさんは……「タイプSに乗せる。改造しているからコックピットに余裕があるからな」……助けてくれるんですか?」

 

まさか助けてくれると思っていなかったバリソンは救出の話をしている武蔵達の顔を見上げた。バリソンの視界に広がったのは当たり前だと言って頼もしい笑顔を浮かべるイングラム達の姿なのだった……。

 

 

 

 

地球の切り札たるシロガネ、ハガネ、クロガネの3隻のスペースノア級。だがそれは既にアインスト、インベーダーのそれぞれの陣営に1隻ずつ奪われ、残ったシロガネはイージス計画の失敗をシャドウミラー隊のせいにし、保身に回りたい軍上層部の手によって運用されていた。

 

「ぐうっ! やはり振り切れんか!」

 

ギャンランドの艦長席で痩せぎすの目付きの鋭い男が艦に走る振動に眉を顰めながら叫んだ。

 

「最初は何とかなるかもって期待したけど、無理ね。このままだと轟沈するか……喰われて終わりよ」

 

オペレーター席の扇情的な衣装に身を包んだ赤髪の女性が肩を竦めながら呟いた。

 

「ちいっ、読み違えたッ!!」

 

「相手の方が一歩上だったわね。でもまさか……生き残っていたサンフランシスコを丸々囮にするなんて思ってなかったわ」

 

「あの外道共目がッ!! それほどまでに己の責任を追及されたくないかッ!! ぐっ! レモン! 出撃可能な機体は!」

 

指揮官席の男……「ヴィンデル・マウザー」がオペレーター席の「レモン・ブロウニング」に怒鳴るように尋ねる。

 

「量産型Wシリーズが乗ったエルアインスとゲシュペンストは全部出撃させたわ。でも……何時までも持つか……残ってるのは調整段階のグルンガスト参式とグルンガスト、それとアシュセイバーとプロトタイプのアンジュルグって所ね」

 

特機が2体残っているが、そのどちらもメンテ段階であり、エネルギーの補充などが済んでいない。サンフランシスコの救援要請を確認し、機体よりも救難物資を優先したツケが回ってきていた。

 

「パイロットは温存しろ、何としても本艦はクロガネを振り切るぞッ! 最悪の場合ギャンランドを捨てるッ!」

 

「そうなるわね。一応シャドウミラー隊にはSOSシグナルを出したけど……正直間に合っても戦力の差で全滅ね」

 

今ギャンランドはインベーダーに寄生されたクロガネとインベーダー、そしてアインストに寄生された量産型ゲシュペンスト・MK-Ⅱを初めとした無数のPTに追われていた。

 

『ヴィンデル! 俺が出る!』

 

「馬鹿を言うな! ここでお前まで失えば我が隊は全滅するのだぞ! アクセルッ!」

 

格納庫からの通信にヴィンデルが怒鳴ると格納庫のアクセルも怒鳴り返す。

 

『それならどうしろと言うんだ! 大将であるお前を失っても俺達は全滅だぞッ!』

 

どちらも正論である、だからこそ互いの話し合いは平行線を辿るしかない。

 

「Wー16を出すわ。あの子なら指揮官タイプだから上手く立ち回ってくれるはず」

 

「……人形に私達の命運を預けるというのか?」

 

「人形なんて言わないでくれる? あの子は優秀よ。私達は死ぬ訳には行かない、なら生き残る可能性を最大限に掴むのが大事でしょう?」

 

レモンの言葉にヴィンデルもアクセルも口を紡ぐしかない。今ギャンランドに乗っているのは指揮官が3人、その誰もがここで倒れる訳には行かない人材だ。

 

「出撃を許可する。だが機体はどうする?

 

「プロト・アンジュルグを使わせるわ。W-17用に調整する必要があるしね、と言うわけよ、聞こえてたかしら? W-16……いいえ。エキドナ・イーサッキ」

 

『はい、全て聞いておりました。レモン様、ヴィンデル様、アクセル隊長。どうかこの場は私にお任せください』

 

凛とした女性の声がブリッジに響く、その言葉を聞いてヴィンデルは眉を顰める。

 

「良いか、お前はクロガネの追撃を何をしても食い止めろ。それがお前の存在理由だ、良いな」

 

『はい、存じております。コードATAも使用許可が下りております、最悪の場合はクロガネもろとも自爆します』

 

エキドナの言葉にヴィンデルは満足そうに頷いた。彼の理想とする永遠の闘争……だがそれはコントロールされたものでなくてはならない。今のような生存競争であってはならないのだ、上司の命令に逆らわず、疑問を持たない。自爆しろと言う命令にも迷う事無く頷く、そう言う面ではWシリーズにはある程度の評価を下していた。

 

「エキドナ、気をつけてね」

 

『はい、W-16。必ずや貴女方の命令を達成して見せます』

 

ギャンランドから飛び立つ灰色の装甲を機械仕掛けの翼を持つ、北欧神話のヴァルキリーのような姿をした機体が飛び立った。その姿をレモンは少しだけ寂しそうな視線で見つめたが、それは数秒の事で直ぐに冷静な光が祖の目に宿る。

 

「この位置からだと、ラングレー基地が一番近いわ」

 

「……廃棄された連邦基地か、まともな補給など期待できんが……テスラ研に乗り込む前の拠点としてはいいだろう。本艦はラングレー基地へ向かう、Wシリーズは何としてもギャンランドを死守せよ」

 

インベーダーとアインストに追われるシャドウミラー本隊はラングレー基地に進路を向けるが、無論その先にもインベーダーとアインストの包囲網は出来上がっている。それを見てレモンは私達もここまでかしらねと心の中で呟きながらも、生き残る為の最善の一手を考え僅かでも包囲網が薄い部分にギャンランドの機首を向けるのだった……。

 

 

 

 

あちこちから響く友軍機の爆発音にもプロト・アンジュルグのパイロット……エキドナ……いや、W-16は眉を細める事も無く、また悲しむ訳でもなく、冷静に戦況を見極めていた。

 

「A1からA-5は前に出て、コードATA起動。それ以降のナンバーズはギャンランドの撤退支援だ、一時包囲網を抉じ開ける」

 

『『『『『了解』』』』』

 

何の感情もない無機質な声による返答が響き、W-16の指示通り5体のゲシュペンストがインベーダーとアインストに寄生されたゲシュペンストを巻き込み自爆する。

 

「シャドウランサー射出」

 

それと同時にプロト・アンジュルグの腕から射出されたエネルギー状の槍が爆煙を突き抜けてきたインベーダーを貫き、体液を撒き散らしながら墜落していく、その姿を何の感情も宿らない瞳で見つめながらギャンランドの位置を確認する。

 

(戦闘開始から約一時間……包囲網は以前突破できず……退却予想時間には後3時間必要……)

 

人造人間であるW-16はそこまで計算した所で結論を出した。今残っている友軍機24機ではこの包囲網を突破できず、クロガネの進撃も防ぎきれず近いうちに全滅するという結論を下した。

 

「A-12、クロガネの射撃軸の前へ、ギャンランドを死守せよ」

 

『了解』

 

クロガネの連装砲の直撃を受けて消し飛ぶゲシュペンストの残骸が直ぐ近くを通るが、顔色1つ変えずW-16は指示を出し続ける。自分の敬愛する創造主を護る為に、そして自らが生み出された理由を貫く為に……だがインベーダーに寄生されたクロガネからはひっきりなしにインベーダーが出撃し、アインストもその数を増やし続けている。どう考えても勝てる訳の無い負け戦……その圧倒的な物量の差に想定時間よりも早く友軍機は撃墜され、あるいはインベーダーに寄生された。

 

「ぐっ! 損傷率……60%……これ以上は無理か」

 

地上空中からの執拗な射撃にプロトタイプのアンジュルグでは耐え切れる訳も無く、徐々に装甲を削られていく、W-16は早々に諦め、クロガネとの距離を確認する。

 

(ギリギリ組み付けるか……クロガネだけでも落とす)

 

コードATAを入力しようとしたその時コックピットにアラート音が響き渡った。その音に顔を上げたW-16の視線に広がったのは翡翠色の流星の輝きだった。

 

『ゲッタァアアアーーービィィィイイイムッ!!!!』

 

翡翠色の流星だと思ったのは見たことも無い特機の姿だった。プロト・アンジュルグを庇うように蝙蝠のような翼を広げ、腹部から放たれた光線がインベーダーを跡形も無く吹き飛ばす。

 

『よっしゃ! おい、あんた大丈夫か?』

 

接触通信ではない、外部スピーカーで声を掛けてくる特機。その声からは男だとW-16は判断した、だがその声と照合するシャドウミラーの構成員の記録は無い、勿論その機体もだ。

 

「救出感謝する。ダブリュ……いや、エキドナ・イーサッキだ。お前は何者だ?」

 

コードネームを名乗りかけ、即座にレモンに与えられた名前を名乗る。

 

『オイラは武蔵、えっと……バリソンって人に言われてきた。もう少しでオイラの味方も来る、だからそれまでよろしく頼むよ。えっとエキドナさん?』

 

バリソン……バリソン・ロックフォード少佐の事かと思い、どこかの試作機のパイロットを味方にしたとW-16は判断した。

 

「了解した。我々の目的はギャンランドのこの空域からの離脱だ、その後我々も離脱する」

 

『簡単に言うなあ……完全に囲まれてるぜ?』

 

「それでもだ。我々は命令に従わなければならない、それが兵士と言うものだ」

 

『あ、オイラそう言うの関係ないから、つうか兵士でも軍人でもないし』

 

「は?」

 

武蔵の言葉にW-16は自分でもこんな声が出たのかと言う声を出していた。

 

『大体誰かに命令されるって言うのがオイラは気に食わないし、自分が何をしたいか。ようはそれだろうよッ! ま、離脱は手伝うけどなッ!!』

 

ダブルトマホークと叫び巨大な戦斧を装備する紅い特機。その後姿をW-16は呆然とした様子で見つめながらも、その特機の圧倒的な戦闘力を見て、完全には味方ではないにしろ有効に使うべきだと思い、ATAの入力モニターを元に戻しインベーダーの包囲網に身を投じた特機の後を追わせるのだった……。

 

 

第2話 堕ちた箱舟/狂う孤狼へ続く

 

 




エキドナさん登場ですね。ただいまの段階では武蔵との相性は間違い無く最悪でしょうね……いや、と言うかシャドウミラー全体と相性が悪いかな?武蔵だとね。この出会いがどうこの世界を変えていくのか、そしてインベーダーに寄生されたクロガネを見て武蔵が何を感じるのか、そこを楽しみにしていてください。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

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