進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第2話 堕ちた箱舟/狂う孤狼

第2話 堕ちた箱舟/狂う孤狼

 

 

ギャンランドの司令室にいたヴィンデルとレモンは驚愕に目をも開いた。翡翠色の光を纏った巨大な特機が突如ギャンランドを庇うように現れたのだ。冷静なヴィンデルとレモンでさえも、驚くのも当然だった。

 

「レモン。あの機体の照合データはあるか?」

 

「逆に聞くけどあると思う?」

 

ざっと確認しただけで70m強の超巨大特機だ。あんな物が開発されていると言う話は大佐であるヴィンデルさえも聞いた事が無かった。

 

「聞いた感じだとバリソンの救援みたいだけど……どう思う?」

 

「全面的に信じる事は出来ない」

 

「でしょうね、バリソンとも連絡が付かないしね。とりあえず、味方とは言い切れないけど支援してくれるって思えば良いんじゃない? 最悪全てが終われば処分すれば……「オープンゲットッ!! チェンジッ! ライガアアアアーーッ!』……ごめん、私あのパイロット……味方にするべきだと思う」

 

特機が破裂したと思った瞬間戦闘機になり、その戦闘機が再び合体するが、その姿は先ほどの紅い特機と異なり、眩しいまでの蒼い特機だった。

 

『ドリル……アタァァックッ!!!』

 

背中のブースターを全開しにクロガネと共にギャンランドを追っていた戦艦に突撃する。高速回転するドリルの一撃は戦艦の横っ腹を貫き、爆発炎上を繰り返し轟沈させていく。その凄まじい速度と攻撃力にはヴィンデルさえも目を見開いた。

 

『チェンジッ! ポセイドンッ!! こいつを喰らえッ!!!』

 

「やるうっ! 凄いわね、あの特機!」

 

興奮したレモンの声。だがそれも無理はない、背中に背負っていたミサイルを持ち上げブリッジに叩き付け1発で轟沈させる。更に自分は再び分裂し、空中で紅い特機へと再合体を果たす。

 

『ダブルトマホークッ! ランサアアアアーーーッ!!!!』

 

両肩から無数に斧を取り出し投げつける紅い特機。それはインベーダーもアインストも容赦なく両断し撃墜していく、そのパワー、3つの姿を持つ汎用性の高さ……どれをとっても1機で戦況をひっくり返すだけのパワーを秘めている。今の劣勢に追い込まれているシャドウミラーにとって可変する巨大特機……「ゲッターD2」の戦力は何をしても欲しい戦力であった。

 

「ちょっと待って、アンノウンが更に接近……これ……この識別番号は……」

 

「どうした? 友軍機か?」

 

「友軍は友軍だけど……この識別番号はありえちゃいけないのよ。この識別信号は……エルドランドの機体よ」

 

「何?」

 

最初の時空間転移の実験で消えたエルドランドの識別信号を持つ機体と聞いてヴィンデルも顔を顰める。

 

「もう直ぐモニターで確認出来るわよ……っ! ヴィンデル、あれは……」

 

「げ、ゲシュペンスト・タイプSだと!?」

 

既に製造ライン、設計図までも失われ存在しない筈のゲシュペンスト・タイプSの登場にヴィンデルとレモンは顔を歪めた。

 

『ヴィンデル大佐! 良かった間に合った』

 

「その声、バリソンか!? そのタイプSはどうしたのだ!」

 

レプリカはシャドウミラーも所持しているが、その性能はタイプSには程遠い。だからこの機体もレプリカだとヴィンデルは判断していた、だが次の返答に息を呑んだ。

 

『私の機体だ、ヴィンデル・マウザー大佐』

 

「……か、カーウァイ・ラウ少将! 少将なのですか!?」

 

その声を聞き違える者はシャドウミラーにはいない、カーウァイ・ラウとタイプSは絶対的なシャドウミラーの象徴だからだ。例え処刑される光景を見ていても、それでもその声を聞けば、生きていたのかと言う希望が頭を過ぎる。

 

『いいや、私は特殊戦技教導隊隊長カーウァイ・ラウ大佐だ。少将ではない、それよりもだ。これより貴艦を援護する、早急に撤退準備を進めろ』

 

その言葉を最後に通信は途絶えた。驚きに席を立ったヴィンデルだったが、倒れこむように司令席に座った。

 

「これはまさか……転移者か?」

 

「ありえりるわ。シャドウミラーを結成する前のカーウァイ少将は特殊戦技教導隊の隊長だったしね」

 

レモンの返事を聞いてヴィンデルは静かに笑い出した。最初は囁くような声だったが、今は司令部に響き渡るほどの大きな声だった。

 

「これは兆しだ。やはり我々の計画は成功する!」

 

あの特機も世界を超えて現れた機体だとすれば情報が無いのも納得だ。R-SOWRDもゲシュペンスト・タイプSも存在しない筈なのに、目の前にある。それらも世界を超えてきたと考えれば全ての辻褄が合う……それは不安のあるプロジェクトEFと同等の技術を持っている可能性がある。そうなれば今の不安定な技術もより安定するかもしれない、仮にそうではなかったとしてもカーウァイの存在はシャドウミラーの士気も上がる。たった3機の増援だがヴィンデル……いや、この世界の人間にとっては万に匹敵する応援なのだった……。

 

 

 

 

テスラドライブを搭載しているR-SOWRDとタイプSだったが、イングラムとカーウァイの2人はテスラドライブを使わず、ホバーで戦場を駆けていた。その理由はインベーダーとクロガネに制空権を取られていては、ゲッターD2クラスの機動力が無くては蜂の巣にされてしまうからだ。

 

「ターゲットロック……ファイヤッ!!」

 

「「「ギギャアアアアーーッ!?」」」

 

至近距離からのショットガンの掃射を叩き込み、蜂の巣になったインベーダーを踏みつけタイプSは飛び上がり、グランスラッシュリッパーを投擲する。

 

「「「!!?」」」

 

関節部が蔦のような生物に覆われているゲシュペンストを胴体から両断するグランスラッシュリッパーだが、触手が両断された上半身と下半身を繋げ、即座にビームライフルを撃ちこんで来る。

 

「ちっ、思ったより再生能力が高いな……」

 

「インベーダークラスか……厄介だな」

 

インベーダーの回復力を上回れる武装を多数装備しているR-SOWRDとタイプSだが、植物に寄生されているゲシュペンストはPTの装甲と武装を使う分だけ、インベーダーよりも厄介な相手だった。

 

「ダブルトマホークッ!!」

 

「「「「キシャアアアーー!?」」」」

 

武蔵が凄まじい勢いでインベーダーを撃墜しているが、撃墜した以上の数がメタルビースト・クロガネから出撃している。

 

「人類の希望が敵の手に落ちたか……」

 

3隻の地球の希望であるスペースノア級。その1隻がインベーダーに寄生されている光景はイングラムでさえもショックを隠せないでいた。

もう1隻のハガネもゲシュペンストに寄生している植物に奪われているとなれば敗走に追い込まれるのは当然だった。

 

「状況は最悪だな、バリソンの事もある。長くは持たんぞ」

 

傷口が開き意識を失っているバリソンを横目で確認するカーウァイ。呼吸が浅く、額に大粒の汗が浮かんでいるのを見れば一刻も早く治療を受けさせる必要があるのは明白だった。

 

「だが倒しても倒しても切りが無い、次から次に沸いてくる」

 

「……それにクロガネを今撃墜するのも不可能だろうな。チッ、完全な負け戦だ」

 

ただの負け戦ならまだしも、撤退戦となればその難易度は段違いに跳ね上がる。しかも戦力差が20対200では余りにも状況が不利すぎる……。不幸中の幸いはインベーダーと化け物同士も争っていて、三つ巴の形式になっている事で戦力がどちらかに集まる事が無く、辛うじて挟撃や挟み撃ちを回避し、自分が戦っている相手をインベーダーや、化け物に押し付けることで戦力図をある程度コントロール出来ている事だろう。

 

『失礼、シャドウミラーの技術顧問レモン・ブロウニングよ。カーウァイ大佐、今私達の戦力の指揮権をそっちに移譲するわ、上手く使ってくれるとありがたいのだけど、大丈夫かしら?』

 

ハッキングしてきて強引に通信を繋げて来た女にカーウァイは眉を細めた。この乱戦で集中力を削ぐような真似をする事をされた事に不快感を覚えるのは当然の事だった。

 

「部下を貸し与えてくれるというのはありがたいが、指揮権の混線に繋がるぞ」

 

『その心配はないわ、こっちの戦力としては殆どが無人機よ。あの紅い特機と一緒の機体だけが有人機だからね、命令に逆らわないわ』

 

だから上手く使ってくれと言って通信を繋げて来た時同様返事も聞かず通信を遮断される。

 

「なるほど、倫理感は吹き飛んでいると見て間違いないな」

 

「……それほど追詰められていると言うことか」

 

エルドランドに残されていた僅かな情報にある。人造人間、恐らくシャドウミラーの戦力の大半はその人造人間なのだろう。

 

『『『『ご命令を、カーウァイ少将』』』』

 

その無機質な声にカーウァイは眉を顰めながらも、今はこの状況を切り抜けるのが最優先だと判断した。

 

「スプリットミサイルが残っている者は一斉掃射。その後、ポイントB-00に再集結。1度仕切りなおしだ、弾幕を張れ」

 

『『『『了解』』』』

 

雨霰のように降り注ぐスプリットミサイルの弾幕。それらを掻い潜り、1度戦況を立て直す為に後退するイングラムとカーウァイ。

 

「警戒は緩めれんな」

 

「だろうな、ツートップで動くしかあるまい」

 

今は指示に従ったが、それは一時的なもの。人造人間を戦力に使うシャドウミラーにまともな倫理感を期待する事は出来ない、この場を切り抜けた場合、そのままシャドウミラーとの戦いになる事を想定し、カーウァイは指示を出すが、ゲシュペンストと行動を共にする事は無く、むしろゲシュペンストを囮として使う事を決めるのだった。

 

 

 

 

 

戦況はゲッターD2、R-SOWRD、タイプSの参戦によって僅かに変わり始めていた。アインストに対する知識は足りていないが、インベーダーには武蔵達のほうが専門家だ。数の多い、インベーダーを抑える事で戦況は徐々に劣勢から均衡状態になりつつあった。

 

「チッ、クロガネが相手かよ……やりにくいったらねえぜ」

 

ポセイドン号の中で武蔵は珍しく苛立ちを隠せない様子で舌打ちを打った。クロガネは武蔵にとっては特別な戦艦だ、なんせ自分の恩人と言える人物が全員乗り込んでいるのだ。なによりも大事にしたい、それがクロガネだった。そんなクロガネがインベーダーに寄生され、おぞましい姿に変わっているのは武蔵と言えど容易に受け入れる事が出来るものではなかった。

 

『このまま戦況を維持出来れば、ギャンランドは撤退できる。深追いはしなくて良い』

 

エキドナからの通信に武蔵は小さく深呼吸をし、冷静になれと自分に言い聞かせる。インベーダーの大半は撃墜した、包囲網も確実に穴が出てきている。このままここに残り最後まで戦うことの愚かさは単細胞と言われる武蔵でも十分に理解していた。

 

(今のままじゃ無理なのはオイラでも判ってる)

 

圧倒的に不利な状況だ。ここでクロガネに固執すれば撃墜されるのは自分だと理解していた。引き際を見誤る事ほど愚かな事は無い、ましてや今の機体コンデイションを考えれば、正直良くここまでの大群と戦えたと言うレベルだった。

 

(……ゲッター線が安定しない、それに……オイラもか、当然だよな)

 

真ドラゴン、メタルビースト・ドラゴン、ゴール&ブライと言う規格外の化け物と連戦した後なのだ。ゲッター炉心の出力は安定せず、武蔵は勿論イングラムやカーウァイも疲労が蓄積している……無理をせず離脱するのが1番の正解だというのは武蔵にも判っていた。

 

(文章通信……あまり信用するな……か、了解)

 

あくまで人間同士と言う事で協力しているだけで、心を許すなと言う2人からの通信を承諾した物の……武蔵と言う人間は根本的に人に甘い部類の人間だ。

 

「あぶねえッ!」

 

例え警戒しろと言われていても、目の前で攻撃されそうな相手がいてそれを見逃すと言うことは出来なかった。

 

『……何をしてる』

 

庇われたエキドナの心底困惑している声を聞きながら武蔵はプロト・アンジュルグをその背中に庇う。

 

「腕も足も無ければそれ以上戦えないだろうが、下がったほうがいい」

 

『……いや、武器は残っている。最後まで戦う』

 

「死ぬぞあんた!? 判ってるのか!?」

 

『死ぬまで戦えというのが命令だ。それを反故にするつもりは無い』

 

「正気かよッ! あのギャンランドとかに戻れよ!」

 

『退却命令は出ていない、私はギャンランドへは帰還しない』

 

完全に武蔵とエキドナの意見は対立していた。だがそれは当然と言っても良いかもしれない、エキドナ……W-16はあくまで兵器であり、代わりがある。ここで死んだとしても何の未練も恐怖も無いのだ。だが武蔵はエキドナを人間だと思っている、だからこそ死なせたくない――武蔵とエキドナお互いの認識の差が大きな壁となっていたのだ。

 

「アラート!? ぐうっ!?」

 

突如コックピットに鳴り響いた警報に顔を上げると蒼い流星が上空から突撃してきた。それを咄嗟に受け止めるゲッターD2だが、大きく後方に弾き飛ばされた。すぐ体勢を立て直したが、目の前にいるPTに武蔵は目を見開いた。

 

「……見つけた、見つけたぞッ!! 進化の使徒ぉッ!!!」

 

「……アルトアイゼンッ!? キョウスケさんか!?」

 

蒼いアルトアイゼンのカメラアイが真紅に輝き、それに呼応するかのようにゲシュペンスト達がシャドウミラーではなく、インベーダーに襲い掛かる。

 

「我らを認めよッ! 我らアインストこそ新たな種ッ! 進化の光の後継者だッ!! その英知をッ! その力を我らにッ!!!」

 

ゲッターD2に襲いかかるアルトアイゼンのパワーは凄まじく、サイズ差が3倍近くあるのにゲッターD2が押し込まれていた。

 

「何を言ってる!? オイラには意味が判らないッ!」

 

「ゲッター線……全ての生命の根源ッ! 我を認めよッ! 進化の使徒よッ!!!」

 

キョウスケの声で喋っているが、その言葉は支離滅裂であり、全く意思疎通が出来ないでいた。

 

「ベーオウルフッ!!」

 

片腕を失ったプロト・アンジュルグがミラージュソードで背後から切りかかるが、アルトアイゼンはゲッターD2のほうを向いたまま、裏拳でミラージュソードごと残された腕を肘まで粉砕する。

 

「ぐうっ!? なんと言うパワーッ! これほどまでにッ!」

 

「邪魔を……するなあッ!!!」

 

音を立てて開いた肩パーツ、そこから放たれたベアリング弾の嵐がプロト・アンジュルグだけではなく、インベーダーをも巻き込み周囲に破壊の嵐を巻き起こした。

 

「破壊魔等ではない! 我らこそが正当なる後継者ッ! さァ!! 進化の光を我が手にッ!!」

 

リボルビング・ステークをゲッターD2に突き立てようとしたその時。ゲッターD2の姿がゲッター線の光に包まれた……。

 

「何だ、何が起きて……」

 

「ぐっぐううッ! 何故! 何故拒むッ! 我らは正当なるッ!」

 

「これ……転移反応!? ヴィンデル、アクセル! なんでも良いから掴まって! 跳ばされるわよ!」

 

「は、ははははッ! やはり転移能力を持つ機体ッ! ははッ! ははははははッ!!!!」

 

「ゲッター線め、ここまで状況をかき回すかッ!」

 

「……なんだこの光は……温かい……」

 

戦場全てを照らすゲッター線の輝き、それはインベーダー、アインスト、そしてシャドウミラーを包み込み……光が晴れた時戦場は静寂に包まれていた。そこにいた全ての機体がゲッター線によってここではないどこかへと飛ばされていた。僅かに残る光の残滓……それだけが、ここにゲッターロボがいたと言う証なのだった……。

 

 

 

 

 

ギャンランド全体に走る振動にヴィンデル達はそれぞれの席から転がり落ち、ギャンランドの床に横たわっていた。

 

「あいたた……ちょっと、ヴィンデル大丈夫?」

 

「ああ、大丈夫だ。それに……最高の気分だ……身体は痛いがな」

 

ヴィンデルは頭を振りながらゆっくりと立ち上がる。外部モニターには中破したプロト・アンジュルグ、転移を巻き起こした特機。そしてR-SOWRD、タイプSの姿が映されていた。

 

「アクセル、そっちは大丈夫か?」

 

『……ああ。ベーオウルフと化け物共の反応はあるか、ヴィンデル』

 

頭を押さえているアクセルの問いかけにヴィンデルは首を振った。

 

「いや、敵の姿は無いが……その代わり現在地でさえも不明だ」

 

『ちっ、どうなっている』

 

「紅い特機が転移システムを内蔵していたようだ。意図してない転移だが、逃げ切れたと思えば悪くなかろう」

 

クロガネに加えて、ベーオウルフまで出現したのだ。あのままでは全滅していた、そう考えれば現在地は不明だが逃げ切れたと思えば悪くは無い。

 

「……凄く悪い知らせよ。現在地は日本、浅間山上空。見覚えの無い研究所も発見したわ」

 

「日本か……ステルスを展開後、ギャンランドを着陸させろ」

 

日本……それはベーオウルブズの拠点にして、蔦の化け物の発生地である。囲まれた状況から離脱出来たが、その反面ベーオウルブズの拠点に乗り込んでしまったことを意味していた。

 

「ま、あのままじゃラングレーは愚か、テスラ研にも辿り着けなかったし……ベーオウルブズはアメリカ、少し時間の猶予もある。装備とかを整える時間が出来たと思いましょうか」

 

後ろ向きに考えても仕方ないと笑うレモンにその通りだなと頷いたヴィンデルはブリッジを出て行く。

 

「あの特機のパイロット達と通信をしてくれ、敵陣のど真ん中でいがみ合う事も無い。ここは協力し合って日本脱出を提案するべきだ」

 

「はいはい、大将が動いて信頼を得ると、お手並み拝見と行くわね。ヴィンデル。会談の場所は格納庫にするわね」

 

レモンに見送られヴィンデルは無人の通路を早足で進んでいく。

 

「話し合いか、今は必要なことだな」

 

「ああ。日本を脱出するには戦力が足りん、それに……転移能力を持つ機体だ。システムXNの安定を高めるのにも使えるだろう」

 

転移システムを持ちながら圧倒的能力を持つ特機。そのパイロットは何としても味方にしたい、ゆっくりと開いた格納庫。その先に見える5人の人影にヴィンデルは笑みを浮かべ、表面上は友好的な態度を示す。

 

「この度は救援していただき感謝します。シャドウミラー隊司令ヴィンデル・マウザー大佐であります、カーウァイ・ラウ少将、イングラム・プリスケン中佐どうぞこちらへ、W-16はバリソンを医務室へ運べ」

 

「了解です」

 

あくまで自分は下なのだと、警護を崩さずギャンランドの中に招き入れるヴィンデルを見つめながらアクセルは入ってきた5人……W-16とバリソンを除いた面子を見て、目を細めた。

 

(SRX計画の主導者にして行方不明のイングラム・プリスケン中佐に、随分と若いが死んだ筈のカーウァイ・ラウ少将か……)

 

その内の2人は見覚えがあったが、最後の1人には呆れた表情を浮かべざるを得なかった。剣道の胴にマントにマフラー、それに安全ヘルメットと余りにもあれな服装にアクセルでさえも目を見開いた。

 

「転移者であれば良いがな」

 

寝転がっていたコンテナの上から飛び降り、アクセルはヴィンデルの元へ足を向けた。

 

「シャドウミラー隊隊長アクセル・アルマーだ。今回は助かった」

 

「アクセルさん?……月で会いましたよね?」

 

月であったの言葉にヴィンデルは笑みを深め、武蔵に視線を向けた。

 

「君があの特機のパイロットだね?」

 

「は、はい、巴武蔵です。ヴィンデルさんで良いんですよね?」

 

役職ではなく、さん付けに少し眉を細めたヴィンデルだが、イングラムが直ぐにフォローに入った。

 

「武蔵は軍人ではない、あくまで民間の協力者だ。軍の規約に当て嵌めるな」

 

「それは失礼しました。よろしく、武蔵君。それで……アクセルと何処で出会ったのか、それと君の特機について詳しく話を聞きたいな」

 

「あ、はい。判りました、オイラ達もどうなってるのか、状況を知りたいですし、情報交換よろしくお願いします」

 

規律に厳しいヴィンデルだが、貴重な情報源かつ、戦力を失うつもりはないのか不器用ながらに笑みを浮かべ、武蔵もそれに笑みを浮かべ返し握手を求めるのだった……。

 

 

 

第3話 シャドウミラー へ続く

 

 




今回はゲッター線によって強制引き分けルートです。PS2版のOG2では直ぐ転移しますが、今作はそうはしません。オリジナルルートで話を進めていく予定です。Wシリーズと武蔵とかもやりたいですしね。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

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