進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第3話 シャドウミラー 

第3話 シャドウミラー 

 

格納庫に用意された簡易の机と椅子。向かい合うように座る武蔵達とヴィンデル、アクセルの両名。しかし、ヴィンデル達のほうに用意されていた椅子を武蔵の方に移動させ、机を挟んで向かう合うように座ったのは円満に会話を進めるだけではなく、自分達はそちら側ではなく、武蔵側だと言うイングラムとカーウァイの無言の意思表示だった。

 

「では改めて、シャドウミラー隊の指揮官を務めさせていただいております。ヴィンデル・マウザー大佐であります」

 

「実行部隊隊長アクセル・アルマーだ」

 

「申し訳無い、アクセルは少々ぶっきら棒のところがありますので」

 

敬語で対応しなかったアクセルのフォローに入るヴィンデルにカーウァイは気にするなと言う意図を込めて、手を上げて静止する。

 

「そう畏まる必要もあるまい。私は確かにカーウァイ・ラウだが……お前達の知るカーウァイとは違う」

 

「勿論俺もな。あくまで、この窮地を切り抜ける協力者として……もっと軽い対応で構わない。それにガチガチの規律を武蔵に求めるのも酷だ。そしてこの世界の俺達と俺達は違う、名前を公表するのも避けてもらおうか」

 

軍人としてではなく、あくまで協力者と言う対応で構わないと言うカーウァイ達にヴィンデルは内心で舌打ちをした。

 

(そう簡単に話は進まないか……)

 

ヴィンデルの考えではカーウァイもしくはイングラムを神輿として掲げたかった。最初は反乱を起したと追われている身のシャドウミラーだったが、イージス計画の失敗、そして化け物の台頭によって上層部を除き、シャドウミラーの行動は正しかったのではと言う風潮になりつつある、そんな中で地球圏の守護者であるカーウァイ・ラウ、そしてイングラム・プリスケンの名と姿を持つ者の存在は絶対的だ。姿を見せずとも、その声だけでも上層部の対応に不満を持ちながらも、泥舟に乗る訳には行かないと躊躇っている兵士達を抱え込むことが出来る。そこには複雑な政治的な思惑があるが、それに乗るつもりは無いと言う2人にヴィンデルは内心の苛立ちを隠しながらも笑顔で対応する。

 

「承知しておりますよ。それで武蔵君……だったね。君の乗る特機の事だが、いくつか聞いても良いかな?」

 

「はい、どうぞ。あ、でも……オイラ馬鹿だからそんなに専門的なのは判らないですよ?」

 

不安そうに言う武蔵にヴィンデルは内心で判っていると呟きながら、一番気になっていた事を尋ねた。

 

「あの機体には時空転移装置が組み込まれているのかな?」

 

アメリカから日本まで一瞬で移動してきた。それが時空転移システムであることは明らかだと考えていた、だから武蔵の返答は是と考えていたのだが、武蔵の返答は判らないだった。

 

「ゲッターD2についてはオイラも殆ど判らないんです……そのえっと「時空転移システム」ああ、それです。時空転移システムっていわれても全然ぴんと来ないですし……用はワープみたいな物ですかね?」

 

「だが転移を引きこしたのは紛れも無い事実だろう? お前の機体に搭載されているんじゃないのか?」

 

「いや、だからそのー、あれは見つけたばかりで……機体の全容はオイラも全然把握してないんですよ。その仮に時空転移システムとやらが搭載されていても、どうすれば使えるのかとかそう言うのはちんぷんかんぷんで」

 

期待外れの答えに眉がよるが、こんな事で起こっていては話が進まない。小さく深呼吸して、別の質問を切り出す。

 

「ではあの機体を見つけたという事は、あれは君の正式な所有物ではないと?」

 

「ゲッターロボは早乙女研究所所属の機体だ。そして武蔵はゲッターロボのパイロットであり、早乙女研究所の所属だ。そう言う意味では、武蔵の所有物になる」

 

民間人が持つべき力ではないと徴集しようとしたのだが、それに気付いたイングラムが武蔵に変わり答える。

 

「しかしそれでは見つけたというのはおかしいのではないですか?」

 

「……この世界に失われた時代と言うのはあるか?」

 

「旧西暦初頭からの歴史は伝わっておりませんが……まさかッ!?」

 

ここでその話を切り出してきたその理由を考えれば、ヴィンデルほど優秀な男ならば直ぐにその答えにたどり着いた。

 

「そうだ、武蔵は旧西暦の生き証人。ゲッターロボ……正しくはゲッター線によって時間を何度も越えている」

 

時空転移どころではない、時間移動者となれば武蔵とゲッターロボD2の価値と言うのは恐ろしいほどに跳ね上がる。

 

「時間移動は自由に出来るのかね?」

 

「いや、そのーあれなんですよ。自爆した時に気が付いたら別の時代に居るといいますか……死んだら生き返っているっと言いますか……ゲッター線に救われているといいますか……そのすいません、時空転移とかそれ以前の問題で、時間移動なんてどうすれば出来るのか判りません」

 

「そう……か。いや、気にしなくても良い、もしかしたらと期待しただけだ」

 

イージス計画実行の前に移動出来ればと一瞬期待した、あのイージス計画の失敗からこの世界はおかしくなった。ならイージス計画を阻止出来ればと考えるのは当然の事だった。

 

「それで俺とお前は何時出会ったと言うんだ?」

 

「あ、はい、えーっと、エアロゲイターと戦っている時に蒼い片腕の無い特機に助けられたんですけど、そのパイロットがアクセルさんでした。この船にはないみたいですけど……」

 

ギャンランドに今保有している戦力はヴィンデルの搭乗機の「グルンガスト」に、調整段階の「グルンガスト参式」それに加えて「アシュセイバー」と決して多くは無い。その中で蒼い特機と言えばグルンガストが該当する。

 

「蒼い特機……グルンガストではないのかね?」

 

ギャンランドの格納庫に固定されている左腕の無い、自身の搭乗機であるグルンガストを見ながら問いかけるヴィンデルに武蔵は違いますときっぱりと断言した。

 

「グルンガストならオイラも知ってますし……あの新型っぽいグルンガストは初めて見ますけど……あのグルンガストは「超闘士」って奴ですよね?」

 

「ああ、超闘士グルンガストで間違いない」

 

超闘士の2つ名も知ると言う事は、武蔵達がいた世界でもグルンガストが建造されていると言う証だった。

 

(世界は変わってもある程度は同じと言うことか……)

 

完全に未知の世界に旅立つよりも、ある程度事情が判っている世界となれば好都合だとヴィンデルが考えていると、武蔵が思い出したように手を叩いた。

 

「あ、ソウルゲインって呼んでいたような……」

 

ソウルゲインの名にヴィンデルとアクセルも眉が動いた。それはテスラ研で強奪と言う名目で受け取る予定だった最新鋭機EGシリーズ「アースゲイン」をアクセル用に再調整したワンオフ機の名前だったからだ。

 

「後は……ああ、そうだ。アクセルさんとあった時はゲッターロボに乗っていたんですけど、アクセルさんはD2もインベーダーの事も知っていて……オイラから聞いたってインベーダーの対処法を知ってましたね」

 

武蔵の言葉にヴィンデル達はアクセルと武蔵に何が起きたのかを理解した。

 

「なるほど……な。つまりこの世界で武蔵とアクセルが出会い、アクセルがL5戦役の真っ只中に移動してきた……と言う所か」

 

この世界でアクセルは武蔵からインベーダーの対処法を聞いた。

 

L5戦役の時に会ったが、その時武蔵はインベーダーの事も、アクセルの事も知らなかった。

 

だがアクセルは武蔵からインベーダーの対処法を聞いていたので、何故苦戦すると問いかける。

 

卵が先か、鶏が先かと言う話になるがタイムパラドックスが起きたと言うのがヴィンデル達の答えだった。

 

「つまり俺がソウルゲインを受け取った後に、お前がいた時代に転移する何かが起きたと言うことなのか」

 

「いや、オイラに聞かれても判らないですよ?」

 

武蔵は今の話を理解出来ていないのか困惑したままだが、今の話を聞いてヴィンデルとアクセル、そして通信で話を聞いていたレモンは既にある程度の話の流れを理解していた。中破したソウルゲインはアクセルが固執しているベーオウルフ……キョウスケ・ナンブとの戦いの結果であり、恐らく武蔵もその戦いに参加していたか、もしくは今シャドウミラーが決行しようとしているプロジェクト・EFの発動によってアクセルだけが時空を越えた。もしくはL5戦役の時に発見されなかっただけでギャンランドもL5戦役の時に出現していた可能性は十分にあった。

 

(十分な成果とは言い難いが、それでもこの少年の話は無駄ではないな)

 

あの化け物……インベーダーについて知っていて、そして自分達が今後歩むかもしれない世界の話を知っている。正直あまりに不確定ではあるが、時空転移が成功したとヴィンデルは受け取ることにした。

 

「それで、インベーダーとやらについてだが……あれは一体何なのだね?」

 

この世界の荒廃の理由の1つであるどんな物にも寄生する怪生物……アンノウンと呼称していたが、武蔵達はその正体を知っている様子なので何なのかと問いかける。

 

「あれはゲッター線に寄生しているって言う宇宙の生物で、生き物にも無機物にも寄生するらしいです」

 

「待て、ゲッター線と言うのはあのゲッターロボと関係があるのか?」

 

「……ゲッター線はゲッターロボの動力です。そしてインベーダーは生きる為にゲッター線を必要とします、それはインベーダーを誘き寄せる事に繋がると思います」

 

あの化け物が自壊するというのは何度も見ているが、生きるのに必要なゲッター線を得る事が出来ず体組織が崩壊したと言う事をヴィンデル達は初めて知った。だがそれと同時にゲッターD2を戦力として運用するのならばインベーダーを引き寄せるリスクを背負う必要があると言うことも理解した。

 

「それは必要なリスクとして受け取ろう。どの道、今の戦力では日本脱出など夢のまた夢だ。最後に聞きたいのだが……ベーオウルフは進化の使徒と言った、何か心当たりは?」

 

今までシャドウミラーを執拗に追っていたベーオウルフが目もくれずゲッターに襲いかかった。その理由を尋ねた、だがやはり武蔵はそれに付いて何の心当たりもなかった。

 

「判りません……ただ早乙女博士……ゲッターロボの開発者ですけど、ゲッター線が人類の進化を促したと……」

 

「エネルギーが人類の進化か……は、とんでもない事になってきたな。これがな」

 

自分達の理解を超える世界の話にヴィンデル達は頭を抱えたが、今までに幾度も無く、自分達の常識が崩壊する瞬間があった。ならば、そういうこともあるだろうと柔軟に受け止めることが出来ていた。

 

「それで早乙女研究所なんですけど……そとにある研究所。あれがそうですね」

 

「何? そうなのか?」

 

「はい、外観とは全く同じですし……もしそうなら整備する機械とか手に入るかもしれません」

 

ギャンランドも損傷している。このまま移動する危険性を考えるのならば、早乙女研究所で整備するのも1つの手段なのかもしれない。

 

「1度装備を整えて捜索に出るのも悪くないか」

 

「そうだな。どのみちこのままでは迎撃されるリスクがあり過ぎる」

 

日本は蔦の化け物……ベーオウルフが言うには新たな種「アインスト」の巣窟だ。このまま進むには危険すぎるが、どこでも補給出来ないと考えていただけに補給が出来る最初で最後のチャンスとなれば、リスクは承知で早乙女研究所を捜索する必要があるだろう。

 

「さてと。お前達の質問が終わったのならば、今度はこちらの番だ。よろしいか?」

 

「ええ。大丈夫です、私達に答えられる範囲であれば何でも答えましょう」

 

そう笑みを浮かべたヴィンデルだが、カーウァイに切り出された話に顔を歪めた。

 

「では聞こう、システムXN、アギュイエウスとリュケイオス……そしてヘリオス・オリンパスについて聞きたい」

 

それはシャドウミラーの最重要機密。それを知っていた、カーウァイとイングラムにヴィンデルは認識を改める必要があると理解するのだった……。

 

 

 

 

エルドランドに僅かに残されていたシャドウミラーの機密を切り出すと明らかにヴィンデルの顔色が変わった。

 

「……失礼ですが何故それを? エルドランド所属のR-SOWRDを所有していることと何か関係が?」

 

「俺達は新西暦から1度旧西暦に飛ばされ、空白の歴史を戦った。その中でエルドランドを発見したのだ。だが……その中に収納されてい

たSRXはインベーダーに喰われ、俺達はそれを破壊したが残骸を発見する事は出来なかった」

 

「……まさか、虚空から現れたSRXと言うのは……」

 

この世界でSRXが完成し、量産型SRXを作れたのは虚空から現れたSRXの残骸の解析が出来たからだ。だがそれは間違いなく、旧西暦でイングラム達が撃破したメタルビースト・SRXであると言うことは明らかだった。

 

「あくまで可能性の話だ。旧西暦で撃破されたメタルビースト・SRXが時空を越え、この世界に戻って来た。それによってSRXは完成したが、インベーダーも秘密裏に増えた。それが俺とカーウァイの見解だ」

 

卵が先か鶏が先か……そんな哲学的な話になってきた為武蔵は話を理解出来ず黙り込む、その姿を見ながらイングラムは話を続ける。

 

「旧西暦の空白の歴史ではインベーダーが大量発生し、人類は窮地に追い込まれていた。だが何らかの因果でこの時代と旧西暦が繋がり、それをイージス計画によって発生したエネルギーによって時空が歪み、インベーダーがこの世界に現れたと俺は考える」

 

「ありえない話ではないですね。イージス計画は時空を歪めて、地球を完全に遮断するというもの……時空を歪めることが前提なのですから、何が起きても不思議ではない」

 

そもそもシャドウミラーがイージス計画に反対したのはシステムXN、アギュイエウスとリュケイオスの3つの情報から時空を歪める危険性を考えたというのもある、無論それだけではないが、あまりにもリスクがありすぎた計画なのだ。

 

「イージス計画にシステムXN、アギュイエウスとリュケイオスの技術は使用されているのか?」

 

「一部流用されたと聞いております。あれはシャドウミラーが主立って進めたプランですが、あくまでテスラ研を開発拠点としておりました。政府から要求され、情報を渡した可能性はゼロではないです」

 

ヴィンデルの返答を聞いてイングラムは顔を歪めた。システムXN、アギュイエウスとリュケイオス……その何れも巨大な設備であり、移動させるのが困難であると言う一文が残されていた。

 

「その次元の裂け目は今も広がっているのか?」

 

カーウァイの言葉にヴィンデルもアクセルもその顔を歪めた。それを見れば裂け目が健在なのは明らかだった。

 

「ジュネーブで発令したイージス計画。その周辺はお前達の言うインベーダーの巣窟で、人間は誰も生き残っていない」

 

「……人はいないが、起動した装置が今も稼動していると言うことか……」

 

可能ならばその装置を破壊したいが、今の孤立無援状態では無茶を通り越して無謀だと判断し、今はジュネーブで暴走しているイージスシステムを放置する事を決めた。

 

「……時空転移装置はアメリカ……それもテスラ研か?」

 

そして今度はカーウァイがそう問いかけた、得た情報とギャンランドは向かおうとしていた場所……そしてエルドランドに残されていた情報からシャドウミラーの持つ転移装置の場所を予測していた。その問いかけにヴィンデルは流石ですと言って、転移装置の場所を明かした。

「ヘリオス・オリンパスはテスラ研に所属していた研究者ですので、必然的に転移装置はテスラ研にあります。そして私達はそこに向かうつもりでしたが……道中の救難要請に向かい、連邦の生き残りの罠に嵌り……アインストとインベーダーに追われる事になりました。そのままテスラ研に向かえば、テスラ研が落ちる危険性があったので、こうして日本に来れたのは幸いでしたが……日本はアインストの拠点となっています」

 

倒しても再生する奇怪なゲシュペンストの中に寄生していた触手型生物……アインストの拠点と聞いてイングラム達もその顔を歪めざるを得なかった。

 

「日本から脱出するのが困難と言うのは」

 

「敵の本拠地だからです。海沿いは特にアインストの包囲網が厳しくなっています」

 

敵に追われる状況でテスラ研に向かうのはヴィンデル達も避けたかった所だが、日本からアメリカに向かうのも困難を極める。

 

「それでも日本を脱出しなければならない、今でもアメリカで仲間達が戦っている。あいつらを死なせる訳には行かない」

 

「そう言うことです。だから協力をお願いします」

 

イングラム達も自分達の世界に戻らなければならない、その為には転移システムを持つシャドウミラーに協力する必要があるのは判っていた。

 

(アストラナガンが使えれば……いや、そんなことはいえんか)

 

まだアストラナガンの修復が完了していない以上、ゲッター線の暴走による時空転移ではなく、1度は元いた世界に転移していると言うシャドウミラーの転移装置を使うしかないとイングラムは考えていた。

 

「判っている、共に協力して日本を脱出しよう」

 

「その為にはまずは……早乙女研究所の捜索だな。武蔵頼めるか?」

 

「うっす! 構造はオイラが判ってますし、カードキーもあります。後は敵にだけ備えていけば、大丈夫だと思います」

 

武蔵の返答を聞いてからカーウァイがヴィンデルに視線を向ける。

 

「あまり時間を掛けるのはリスクがあり過ぎる。早急に早乙女研究所を制圧したい」

 

「判りました。僅かですが特殊装備があります、それで突入しましょう」

 

アインストがギャンランドが移動して来ている事を察知していない訳が無い。アインストの大群が押し寄せる前に早乙女研究所のバリアを再起動させる為に武蔵、イングラム、カーウァイ、そしてアクセルとヴィンデルの5人はギャンランドを早乙女研究所の前に残し、早乙女研究所に突入することを決めるのだった。

 

 

 

 

武蔵の持つカードキーで閉鎖されている早乙女研究所の中に踏み込んだ武蔵達は顔を歪めた。外観と違って、その内部は既にアインストの浸食を受けていたからだ。

 

「やはりか……既に寄生されている、どうする。このままでは危険だ、撤退するか?」

 

今まで見た早乙女研究所の中で一番綺麗だったが、壁や天井から見えている緑色の触手……アインストの体組織に、既に早乙女研究所はアインストの手中に落ちていることを全員が悟った。撤退するかと提案するアクセルに武蔵は大丈夫ですよと笑った

 

「そうみたいですね、でもまだ間に合うと思いますよ。侵食のペースが凄く遅いです、これなら奪還出来ると思います」

 

ゆっくりと浸食しているアインストの触手……だがその侵食のペースは非常に緩やかだった。これならばまだ奪還できるという武蔵の言葉を聞いたアクセルが顔を歪め、武蔵へと問いかける。

 

「なんとかなるって言うのは楽観的にいってるのか?」

 

「いえ、確信ですかね。ゲッタービームがアインストにも効果的でしたし、インベーダーほどではないと思いますけど、ゲッター線はアインストにも効果があると思います。だから、えっと……ここが1Fホールなので、ここ……早乙女研究所のメイン動力。これを再起動させて、研究所の中にゲッター線を張り巡らせれば……」

 

賢くないと言っていた武蔵だが、決して愚かではなく、自分の知りえる情報。持ちうる情報で最善の一手を考えていた、学校などで要求される頭の良さではなく、応用や閃きと言う意味での頭の良さを武蔵は持っていた。

 

「ゲッター線で研究所を消毒する事で私達は安全な拠点が手に入るという事か」

 

確実に安全とは言い切れないが、それでも少しの間でもゆっくりと身体を休めれる可能性と、機体を整備する時間が欲しいヴィンデルは武蔵の提案を呑むことにした。

 

「ただ、問題はメイン動力は早乙女博士のカードキーか、LV5のカードキーがないと起動出来ないんですよ」

 

自分のカードキーを見せる武蔵。そのカードキーにはLV3の文字が刻まれていた。

 

「つまり、地下に直行するのではなく、ほかのカードキーを見つける必要があると」

 

カーウァイの言葉に武蔵は頷き、出入り口の早乙女研究所の地図を再び指差す。

 

「研究室は2F、3Fにあります。そこはオイラのカードキーで開けれるから、まずはそっちを目指しましょうか、途中でセキュリテイがありますけど、2F・3Fの研究室なら開けれますし、いけるなら早乙女博士の私室を目指しましょうか」

 

壁に貼られた地図を引き剥がし、武蔵はそれを折りたたんでヴィンデルに渡す。

 

「どうぞ、持っていてください。もし、分断された場合は研究室で落ち合いましょう」

 

「了解した、そうならないことを祈るがね」

 

武蔵を案内人にして進めば迷うことも逸れることも無い、だがアインストの触手が侵入していると言う事は早乙女研究所の内部にも敵はいると言う事を証明していた。

 

「ならば急ぐとしよう。時間を掛けると敵に囲まれる」

 

「いいや、もう手遅れだな。これがな」

 

アクセルの言葉に顔を上げると、通路の壁に傷をつけながら触手が人型になったような異形が立ち塞がる。

 

「見たいですね。まぁ、それでも進むしかないんですけどね」

 

「その通りだな、これがな」

 

日本刀を構える武蔵とその隣でトンファーを構えるアクセル。音として認識出来ない奇怪な鳴き声が早乙女研究所に響き渡るのを合図に、武蔵達の早乙女研究所奪還作戦が幕を開けるのだった……。

 

 

第4話 早乙女研究所奪還作戦 へ続く。

 

 




何回もやっているバイオ的な話に再びチャレンジです。何事も挑戦するのは大事ですしね、そして今回の話は互いに核心には触れず、騙し騙しの情報交換となっております。日本脱出の為に互いに出し抜く隙を窺いながら手を組むという感じですね。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

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