進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第16話 悪魔王の名を冠した戦神 その2

第16話 悪魔王の名を冠した戦神 その2

 

遠くに見えるメタルビースト・クロガネ。そして無数のインベーダーに、メタルビースト・ゲシュペンストに囲まれた輸送機とそれを守っている3体の機体を見て武蔵はポセイドン号の中で安堵の溜め息を吐いていた。

 

「ふー、間に合って良かったぜ」

 

レディバードからの救援信号を受けてギャンランドはすぐにレディバードに向かっていたが、メタルビースト・クロガネから出撃した飛行型インベーダーに囲まれ、動きを完全に制限されてしまった。

 

「武蔵、先に時流エンジンチームに合流して」

 

「ええッ! それ、大丈夫なんですか!?」

 

プロト・アンジュルグ、R-SOWRD、ゲシュペンスト・タイプS、そしてゲッターD2と飛行出来る戦力はこれだけだ。単独で飛行出来ない参式、零式、そしてソウルゲインはギャンランドの上にゲッターD2が運ぶ事で戦闘出来ていたが、その変わりにギャンランドの速度は著しく制限されてしまっていた。そんな中でゲッターD2が離脱すれば更に劣勢に追い込まれるのは明らかだった。

 

『時流エンジン開発チームと合流出来なきゃ意味ないわ! それにこれだけの面子がいるから大丈夫。先に合流して守ってあげて』

 

『そう言う訳だ。それに、お前がいないくらいでどうこうなりはしない』

 

『時流エンジン開発チームと合流出来なければ、この戦いも全て無意味になる。行ってくれ』

 

アクセル達の言葉を聞き、それでも武蔵は僅かに躊躇いが残る。

 

『俺達は問題ない、このインベーダーは弱い。こいつら程度に遅れは取りはしない』

 

『あの時のインベーダーの方がよっぽど強かった。だから心配ない』

 

「……判りました、先に時流エンジン開発チームと合流します」

 

イングラムとカーウァイの言葉を聞いて、やっと武蔵はギャンランドから離脱し、時流エンジン開発チームのいるレディバードの方に向かったのだ。だがやはりと言うか、この世界のインベーダーはゲッター線に飢えていることもあり、執拗に攻撃を受けるのでライガーで地中を進んでこなければ、ここまで早く合流は出来なかっただろう。

 

「R-1……か」

 

エクサランスという機体がいるのは聞いていたが、まさかそこにR-1がいるとは思っていなかった武蔵は少し驚いた。この世界のリュウセイは既に死んでいると聞いていたが、それでもR-1が動いているのを見ると懐かしい気持ちになるのはしょうがない事だった。

 

『あ、あんたがシャドウミラーからの応援か!?』

 

「おうよ、良く踏ん張ったな。後はオイラとゲッターロボに任せてくれッ! あんた達はその輸送機を守ってくれれば良い!」

 

今までエクサランスたちを狙っていたインベーダーは今はそちらに目もくれない。ゲッター線が極めて少ないこの世界でゲッター線を豊潤に内包したゲッターロボはインベーダーにとって格好の餌だ。ここに武蔵とゲッターがいるだけで必然的にインベーダーを誘き寄せる。

 

『ひ、1人で「オラァッ!!!」……え、すご……』

 

ダブルトマホークの一振りで飛びかかったインベーダーを纏めて消滅させる光景を見て、1人では無理だと言おうとしたフィオナは息を呑んだ。エクサランスとは……いや、フィオナ達が知るどんな特機よりもゲッターロボのパワーは凄まじかった。

 

「インベーダー退治の専門家のオイラに任せておきな! 行くぜッ! ゲッタァーバトルウィングッ!!!」

 

音を立ててゲッターD2の背中に蝙蝠を思わせる翼が現れ、70mを遥かに越える特機が浮かび上がり、全身をゲッター線の光が包みこんだ。その瞬間、ゲッターD2の姿はラウル達の視界から音も無く消えさるのだった……。

 

 

 

 

 

ラウル達は目の前の光景を最初信じられなかった。目の前にいた70mを越える特機が音も無く消えたと思った瞬間、空中に翡翠色の光が縦横無尽に駆け回り、その光に触れたインベーダーは一瞬で跡形も無く切り刻まれる。しかも再生する事無く消滅するのを見て更に目を見開いた。

 

「すげ……なんだよ。こんな特機がいたのかよ……」

 

「……シャドウミラーの秘密兵器なのかしら?」

 

呆然とした様子で呟くラウルとフィオナの声を聞きながら、ラトゥーニの視線は鋭い物になっていた。それはゲッターロボが憎いと言う訳では無い、そのありえない性能を見ての物だった。

 

(違う、あれは私達の技術ではない)

 

外見は確かに均整の取れたシルエットをしている。だが、装甲を良く見ると不恰好になっている部分もある、更に言えばボルトやナットが露出している部分もあり、それは新西暦の技術を考えればありえないほどにずさんな施工技術だった。

 

『スピンカッタアアーーッ!!!』

 

『ギギギ……ギギャアアアアアアーーーッ!?』

 

空中から突然現れたと思えば、両腕の側面のチェーンソーでメタルビースト・ゲシュペンストを切り裂きながら押さえつけ、オイルやインベーダーの体液でその真紅の装甲を染め上げる光景は凄惨な殺人現場を連想させる。だがラトゥーニが不思議に感じたのはそこではなかった。

 

(何故叫ぶ必要がある?)

 

あの機体には通信機の類が積んでいないのかもしれない。だからスピーカーで周囲に響くような大声で喋っていた……そう仮定すればあの機体に使われている技術は最新の物ではない。むしろ旧式の物なのかもしれない……考えれば考えるほどラトゥーニにとってゲッターロボと言う機体は謎の存在に見えた。それに彼女にはどうしても引っかかることが合った。

 

【インベーダー退治の専門家】

 

あの機体のパイロットはそう言ったのだ。その生体を理解出来ず何百人も喰われた、ありとあらゆる軍事基地が壊滅的な打撃を受けてやっと、やっと目玉を潰せば徐々に弱体化するということが判明したのだ。だがそれには連邦の戦力の3割と引き換えに得た情報だった……

 

「貴方は何者なの……?」

 

エクサランスも確かにインベーダーに有効打撃を与えていた。だがゲッターロボはそれを遥かに上回っていた、インベーダー退治の専門家……その名の通りインベーダーはゲッターロボに触れれば蒸発するように消えるか、それとも巨大な戦斧に引き裂かれて消滅するか、ビームで焼き払われるかのいずれかだ。PTとも特機とも違う技術で作られているゲッターロボにラトゥーニは驚愕と共に恐怖を感じていた。だがそれでもその口元は冷ややかな笑みが浮かんでいた――それはリュウセイの仇を討つ為に利用出来る存在を見つけたと言わんばかりに歪み切った嘲笑なのだった……。

 

 

 

 

 

 

レディバードのコックピットにいたラージは信じられないと繰り返し呟いていた。

 

「す、スペースノア級の倍近い出力を記録している……そんな信じられない、一体何を動力にして、いや、それだけの出力に耐え切れる素材なんて……」

 

本来エクサランスの稼動データを取るはずの観測機は今や全てゲッターロボに向けられているが、その全てが殆ど役立たずになっていた。テスト機の分析用の観測機を多数積んでいるレディバードの観測機が観測不能になる……そのありえない現象にラージは興奮を隠せないでいた。

 

「あの機体のエンジンを分析出来れば、時流エンジンは……完「ラージさんッ!!」み、ミズホ? どうしたんですか」

 

「さっきから何回も呼んでます!」

 

興奮しきっていてミズホに呼ばれていた事に今気付いたと言わんばかりにラージはその目を見開いた。

 

「すいません、つい……」

 

未知の機体、そしてその出力とパワーにラージは完全に飲まれていた。あれを理解出来れば、時流エンジンは完成する。マッドな部分のあるラージはその好奇心を抑え切れなかったのだ。だがミズホはそれ所ではなかった、怒り心頭という様子でラージを突き飛ばし、レディバードの操縦席に腰掛ける。

 

「ああ、待ってください! 今記録中で「それ所じゃありません!!」

 

観測機をOFFにしようとするミズホを見て、慌てて止めに入るラージだがミズホに睨まれて言葉に詰まった。

 

「クロガネがこの空域に侵入してきます! 繰り返します、クロガネがこの空域に侵入して来ます」

 

「ク、クロガネ!? そんなまだ時間が……」

 

ミズホの言葉を聞いて、慌ててレーダーを確認するラージ。すると確かにクロガネがこの空域に接近して来ている事は明らかだった。

 

「高エネルギー反応感知! クロガネの主砲が発射されます! 皆さん1度レディーバードに帰還……『ゲッタァアアアーーービィィィイイイムッ!!!!!!!!』

 

ミズホの声を遮る武蔵の雄叫び、ゲッターD2の腹部から放たれた高出力の光線がレディバードを狙ったクロガネの主砲と空中でぶつかりあう。

 

『む、無茶だ! 戦艦の主砲と力比べなんてッ!? 死ぬぞッ! 無茶は止めるんだッ!』

 

『死んじゃうわよッ!!』

 

ラウルとフィオナが無茶だと止めろと叫ぶ中。1つだけゲッターロボの出力を記録していた観測機が警報を鳴らした。

 

「そ、そんな……クロガネの出力を2倍……いや、これは6倍近い出力だ!?」

 

それはスペースノア級を遥かに上回るエネルギー反応であった。そんな出力を出せる特機なんてありえないとラージはこの時ばかりは興奮ではなく、恐怖した。それは目の前で弾け飛ぶ観測機を見て、こんな物を人間が作れる訳が無いと感じたのだ。

 

『フルパワーだッ!!! ぶち抜けぇッ!!!』

 

『ぎ、ギギャアアアアアアーーーーッ!?』

 

クロガネの主砲を貫き、そのままクロガネの艦首に直撃したゲッタービーム――その放出の余波なのか、全身から翡翠色の光を放つゲッターロボの姿は完全にラージ達の理解を超えていた。こんな機体がおいそれと開発できる訳が無い……機械である筈なのに、ラージ達にはその蝙蝠を思わせる翼も相まってゲッターロボが悪魔のように見えていた。

 

「一体あれはどこからやってきたんですか……」

 

最初に考えていたシャドウミラーの秘密兵器と言う考えは既にラージの頭の中からは消えていた。爆発炎上するメタルビースト・クロガネとその痛みによって苦悶の声が響き渡る。その身の毛もよだつ雄叫びにラウル達は恐怖を隠せないでいた。

 

『……なんだよ。マジか……』

 

『信じられない……ここまでのパワーがあるなんて……本当に信じられないわ』

 

ラウルとフィオナの茫然自失という声がレディバードの中に響く。だがそれはラージもミズホも同じ気持ちだった……今まで何度も自分達の理解を超える光景を見てきたつもりだ。だが今回はそんな甘いものではなかった……今までの自分達の常識、苦しみながら築いてきた全てが崩されたように感じた。

 

『何とか間に合ったみたいね、でも状況は悪いわね』

 

『クロガネか……相手にとって不足なし! 我が斬艦刀の錆にしてくれるッ!』

 

『時間を掛けている場合では無い、速攻で決める』

 

ギャンランドが到着し、そこから様々なPTや特機が着地する。その中でレディバードの近くに着地した2体を見てラージ達は正気に戻った。

 

「ゲシュペンスト……それのタイプSですか、はは……もう何でもありですね」

 

「あっちはR-SOWRD……もう存在しない筈なのに……」

 

もう存在しない筈のR-SOWRD、そしてゲシュペンスト・タイプSを見てラージとミズホは乾いた笑い声を上げた。上げざるを得なかった、なぜならば……その2機から聞こえてきたパイロットの声が既に死人とされている人物達の声だったから。

 

『間に合ったようで何よりだ、イングラム。このまま、押し返すぞ』

 

『ああ、だが……俺達の思い通りに行くとは思えないな。嫌な予感がさっきから消えない……』

 

反逆の首謀者として処刑された筈のカーウァイ・ラウ少将の声と異星人との戦いの中でMIA……死体は確認されていないが死んだとされているイングラム・プリスケン大佐の声に……そして今もなお蝙蝠の翼を羽ばたかせ、インベーダーと戦い続けるゲッターロボを見て、助けに来てくれたはずなのに、それが死神によって現世に連れ戻された冥府の住人のように思えてしまったからだった……。

 

 

 

 

 

RーSOWRDのコックピットの中でイングラムは信じられない気持ちを隠せないでいた。

 

「……R-1なのか? まさかRシリーズまで量産していたのか?」

 

量産型SRX、3機のRシリーズの特徴を持つ廉価版の機体はエルドランドで目撃していたが、まさかR-1と瓜二つの機体を見ることになるとは想像もしていなかった。

 

(細部は少し違うな……R-1の改良機……か?)

 

頭部のセンサーや胴体回り、そして両腕の装甲が変化している事に気付き、それが装甲をオミットされているのではなく、より強化・発展している事に気付き、あのR-1がイングラムの知るR-1の改良機である事は明白だった。

 

「なるほど、世界を多く巡っているが……こんなことは初めてだな」

 

「ギャアアッ!?」

 

考え事をしている間のイングラムの手足は動き続け、今も迫ってきたインベーダーの頭部にビームライフルを突きつけ、ゲッター線を打ち込み抵抗も反撃もさせずに消滅させる。

 

『この場は私とイングラムがフォローする。アクセルとウォーダン、それと武蔵はクロガネを潰してくれ』

 

『ふっ、了解。あれだけの大物だ……異論は無い』

 

『承知ッ! ウォーダン・ユミル。参るッ!!!』

 

『……ここでぶっ潰してやるぜッ!』

 

特機であるソウルゲイン、グルンガスト零式に加えて、ゲッターD2も加われば、メタルビースト・クロガネを撃墜することは容易い。

 

『眼前の敵は全て打ち砕くッ!! ブースト・ナックルッ!!』

 

『玄武剛弾貫けぃッ!!!』

 

『ダブルトマホーク……ランサアアアーーッ!!!!』

 

零式とソウルゲインの拳を追い抜いて、ダブルトマホークの嵐がメタルビースト・クロガネを襲いエネルギーフィールドを完全に砕く、そしてがら空きの船体に零式の拳と高速回転しながら突き進むソウルゲインの拳が命中し、その船体に風穴を開ける。

 

『ギャァアアアアッ!』

 

『アクセルさん、行きますよッ!』

 

『おう! 頼むぞ、武蔵ッ!!』

 

地面を疾走するソウルゲインが跳躍し、それをドラゴンが持ち上げてメタルビースト・クロガネの上空まで運ぶ。

 

『ここで良い、次はウォーダンだ』

 

『了解ッ! 離しますよ』

 

ドラゴンがソウルゲインの手を放すとソウルゲインは頭を下にしてメタルビースト・クロガネへと急降下する。

 

『遅いッ! そんな鈍らで俺を捉えれると思うなよッ!! ぬおおおおーーーッ!!!』

 

対空砲火そしてインベーダーの触手をかわし、ブースターで更に加速したソウルゲインの踵落としがブリッジを粉砕する。

 

『この程度では回復するか、ならば……再生出来ぬほどに叩きのめすまでッ!!』

 

破壊されたブリッジが回復し、怒りの色を浮かべた黄色の瞳がソウルゲインを睨むが、アクセルはその程度に気圧されるほど甘い男ではなく、上下左右から迫る触手をかわしながらソウルゲインの拳と蹴りがメタルビースト・クロガネの装甲を粉砕していく。

 

「……すげ……いや、もう俺達の理解を超えすぎだろ……」

 

「助かった……って思って良いのよね?」

 

1度は死を覚悟したラウルとフィオナは圧倒的な攻撃力でメタルビースト・クロガネを攻撃し続けるソウルゲインに驚きを隠せないでいた。そして更にその驚きはウォーダンの攻撃によって加速する事になる。

 

『オオオオオーーーッ! 斬艦刀ッ! 一刀……両断ッ!!!!』

 

『ゴガアアアアアアーーーーッ!?!?』

 

ドラゴンによってメタルビースト・クロガネの頭上まで運ばれたグルンガスト・零式の零式斬艦刀がメタルビースト・クロガネの艦首を両断し、クロガネの最大の特徴であるエクスカリバー衝角を両断する。

 

『ちっ、流石に仕留めきれないか』

 

地響きを立てて着地したグルンガスト零式のコックピットの中でウォーダンは舌打ちする。確かに艦首エクスカリバー衝角は零式斬艦刀で両断したが、即座にインベーダーの触手が伸び落下しそうになったエクスカリバー衝角と融合し、回復しようと船体へと引き寄せる。

 

『いいや、上出来だ! エキドナッ!』

 

『はっ、コードファントムフェニックス……貫け、紅蓮の不死鳥よッ!!!』

 

『ギャアアアアーーーーッ!?』

 

だがそれをアクセル達が見逃す訳も無く、プロトアンジュルグの放った燃え盛る炎の不死鳥が結合しようとしていたインベーダーを焼き払い、エクスカリバー衝角が音を立てて今度こそ崩落した。

 

『ゲッタァビィィイイムッ!!!』

 

アクセル達がメタルビースト・クロガネの無力化を出来た理由はやはり、ゲッターD2の存在が大きかった。あちこちにゲッタービームを打ち込み、ゲッター線にインベーダーを引き寄せる事で、本来メタルビースト・クロガネを護衛するインベーダーを誘き寄せることに成功していたのが大きい。

 

「落ち着いて処理をしろ、インベーダーの結合が緩んだ所を狙え」

 

『は、はい! 判りましたッ!』

 

『了解ッ! いくわよッ!』

 

ゲッター線を久しぶりに供給した事でインベーダーの体組織の結合が緩んでおり、攻撃力こそ上がっているがその分通常のインベーダーよりも遥かに耐久度が落ちていた。そこを狙えば、楽に撃墜出来る。それにより、メタルビースト・クロガネに巣食っていたインベーダーはその数を減らし、アクセル達がメタルビースト・クロガネに組み付くことが出来る事となったのだ。

 

「この調子なら……ッ! 皆! メタルビースト・クロガネから強大なエネルギー反応! 気をつけ……きゃあああーーッ!?」

 

「ラウル! フィオナ! 緊急回避! いそい……うわあああーーッ!?」

 

ギャンランドのレモン、そしてレディバードのラージからの警告が発せられたが、それは間に合わず、周囲を薙ぎ払う膨大なエネルギーを内包した複数の球体があちこちに向かって放たれ、メタルビーストも、武蔵達もお構いなしに薙ぎ払った。

 

「いっつうう……フィオナ。大丈夫か」

 

「こっ、こっちは何とか……ラトゥー二は大丈夫?……ラトゥー二?」

 

爆風によって弾き飛ばされたがラウルとフィオナのエクサランスは健在だった。そしてアクセル達もメタルビースト・クロガネの船体に乗り込んでいたが、奇跡的に損傷は軽微だった……そしてラトゥー二のR-1も健在だったが、その精神はそうではなかった……。

 

「はーッ……はーッ……」

 

R-1のコックピットの中でラトゥーニは何度も深呼吸を繰り返した、だが何度深呼吸をしても息苦しさは変わらず、怒りのあまり目の前が真紅に染まっていた。それでもまだ自制心が働いていた――本当ならばその姿を見た時に、それを穢したインベーダーを殺す為に飛び掛っていただろう。たとえ、それが自分の命と引き換えであったとしても……

 

【落ち着いたか?】

 

「……うん。ありがとう、マイ」

 

だがその激しい怒りはマイによって制された。自分達が命を賭けても倒すべき相手はあれではない、リュウセイを殺したキョウスケだと……その言葉によってラトゥーニは冷静さを取り戻していた。

 

【まだ。全てを使い果たす時では無い】

 

「……うん。大丈夫、もう大丈夫だから」

 

切り札を切り、全てを燃やし尽くす時は今では無い。それを思い出した事により、ラトゥーニの精神は再び氷のように冷ややかな物となっていた。

 

『う、嘘だろ……あれって……』

 

『りょ、量産型……SRX……』

 

『やはりか……あの時仕留め損ねたSRXだ……』

 

『生き残っていたのか、厄介な相手がいた物だ』

 

メタルビースト・クロガネからゆっくりと這い出す巨大な特機の影……ゴーグルを思わせる独特なフェイスパーツ――力強さとたくましさを兼ね備えたその腕は悪魔を思わせる歪んだ爪を伴った異形の腕へと変貌を遂げていた――そして蝙蝠を連想させる不気味な翼……確かに全体的な姿はインベーダーに寄生されておぞましい姿へと変わっている。だがその姿は紛れも無くSRXの物であった。だが、それは決してそれはSRXではなかった。

 

「コハアア……」

 

おぞましい吐息がラウル達の神経を逆撫でする。今までのインベーダーとは比べ物にならない圧倒的な威圧感と存在感……そして見ているだけで吐き気を催す醜悪な姿――それがかつてはこの世界の希望の戦神だったとはこの場にいる全員が想像も出来なかった。

 

「ゴガアアアアアアアーーーーーーッ!!!」

 

メタルビースト・クロガネを破壊し、地響きを立てながらメタルビースト・SRXが咆哮を上げる。だがその姿はより進化を果たし、とある世界では「DiSRX」と呼ばれた存在に似ていながらも、全く異なる姿をしていた。「アストラナガン」を取り込んだようにも見える異形のSRXと呼べる存在だった……。それは過去の世界で自分を仕留めることが出来なかった武蔵達を挑発するかのような、それとも自分はここにいると誇るかのようなそんな雄叫び上げるのだった……。

 

 

第17話 悪魔王の名を冠した戦神 その3へ続く

 

 




メタルビースト・クロガネは資金と強化パーツを落とすだけ、大本命はこのメタルビースト・SRXですね。正直この段階では倒しきれる相手では無いので、半分イベント戦闘みたいな部分もあります。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
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