第17話 悪魔王の名を冠した戦神 その3
武蔵やイングラムが時間、そして世界間の移動をしているのは武蔵達の推測通りゲッター線が大きく影響していた。武蔵は知る良しも無いが、正史の武蔵は恐竜帝国への特攻で死に、ゲッター線と融合し遠い未来で武蔵艦長となりゲッターエンペラーの指揮を取る存在となっていた。しかし世界とは無数の姿を持ち、恐竜帝国へ特攻した時にゲッター線の適合率が低く、エンペラーによって適合率を高める為に異なる世界へこの「巴武蔵」は送り出されていた。そしてそんな武蔵の成長具合を見極める為に、ゲッターエンペラーは常に武蔵の側にいる、ゲッターエンペラーは過去や未来と言ったそんな陳腐な言葉で説明出来る存在ではない。そこにいるだけで、過去にも未来にもそして平行世界にも膨大なゲッター線と共に同時に存在している。ゲッターエンペラーの纏うゲッター線とゲッター線が同調すれば、過去にも未来にも繋がるゲートは開く。
武蔵が初めて世界を超えた時……それは恐竜帝国に特攻し、3基のゲッター炉心をメルトダウンさせ、それによって発生した膨大なゲッター線によって新西暦――「フラスコの世界」へ跳んだ。
そして2度目に世界を超えたのは、ゲッターエンペラーから武蔵への贈り物……ゲッターエンペラーに成れなかったゲッター聖ドラゴンが支配する世界を見た異なる「流竜馬」が駆った「新ゲッターロボ」の炉心を内蔵した始まりのゲッターロボのシャインスパークによって発生した膨大なゲッター線の流れによって世界ではなく、時間を越えた。その時にゲッターエンペラーは武蔵ほどでは無いが、ゲッター線に適合出来る2人の亡者を生き返らせ、共に送った。
そして3回目は「真ドラゴン」「真ゲッター」「ゲッターロボD2」と特別な……そう、世界の分岐点となる特別なゲッターロボが3体揃った事により、武蔵は再び世界と時間を越え、この「極めて近く、限りなく遠い世界」へと足を踏み入れた。
だが、時間を、そして世界を超えることを許されたのが何故、武蔵だけと言えるだろう?
機会とは誰にも、そしてどんな存在にも等しく与えられる。例え、それが破壊しか齎す事が出来ないとしても……機会と言うのは誰にも、等しく与えられ、そして奪われる。
「……識別コードSR……002……間違いないわ。エルドランドに保有されてた量産型SRXよ」
エネルギーの塊――「ドミニオンボール」の直撃を受けて墜落したギャンランドのレモンから全員にあの量産型SRXがどこに存在した物なのかが告げられた。
「エルドランド……やはりあれは呪われた黄金郷だったか……」
過去の世界でブラックゲッター、真ゲッター、ゲッターロボの3体のゲッターロボのフルパワーのゲッタービームによって消し飛んだように見えた量産型SRX――本来ならば、その段階で消し飛んでいただろう。だが、インベーダーに寄生されていたこと、そしてレモンが作り出した念動力を内包したWシリーズを取り込んだことにより、膨大なゲッター線の海に落ちて世界を超えた……それがこのメタルビースト・SRXだった。少し猫背になり、呼吸を繰り返す姿は鋼の戦神と言われたSRXの面影は何処にも無い、だがインベーダーに寄生されてもなお、そのゴーグル型のフェイスパーツや、巨大な腕がこの存在がSRXだと言う事を示していた。
「がはあっ!?」
その醜悪な姿に困惑していると凄まじい追突音と武蔵の苦悶の声が周囲に響き渡り、ゲッターD2の姿が瓦礫の中に消えた……メタルビースト・SRXとの距離は十分に離れていた……では何にゲッターが弾き飛ばされたのかが判らなかった。だがそれは次の瞬間に強制的に理解させられた……。
「跳べッ! 薙ぎ払われるぞッ!!!」
それは今の面子の中で唯一空を飛行しているプロトアンジュルグの中のエキドナだけが、その全貌を見る事が出来た。メタルビースト・SRXの丸太のような腕が凄まじい速度で伸び、エキドナの声でバーニアで飛んだ全ての機体の足元を薙ぎ払った。
「……なんと言う速度だ。あの質量で殴られればひとたまりも無い」
質量と速度……それがPTや特機での白兵戦の攻撃力を決める。鈍重な見た目からは信じられない速度で伸びた両腕の薙ぎ払いにはイングラムやカーウァイと言えど、その背中に冷たい汗が流れたのを感じた。
「……シャアアアーーッ!!」
攻撃に手応えが無かった。その事に避けられたと理解したのだろう、メタルビースト・SRXの両足の装甲が展開し、そこから不気味に蠢く目が生えたミサイルが無数に姿を見せる。
「いかんッ! イングラムッ!」
「判っている! 全員避けようなどと思うな、迎撃に出ろ!」
インベーダーの細胞に寄生されたミサイルにはジャミングや回避と言う物は何の意味も無い。目があるのだ、当たるまでそれこそ迎撃されない限りは何時までも追いかけてくる。メタルビーストのミサイルを防ぐ1番確実な方法は迎撃だ……だが、メタルビースト・SRXのミサイルの弾幕は凄まじく、迎撃出来たのは最初の内で何時までも降り注ぐミサイルの豪雨にR-SOWRDを初めとした機体は飲み込まれ、爆煙の中にその姿を消すのだった……。
レディバードの操縦室でミズホの顔が蒼白になり、その場にへたり込んだ。
「そ、そんな……ラウルさん……フィオナさん」
あのミサイルの雨に飲み込まれては助からない……それが判ったミズホは2人が死んでしまったと思い、その場に座り込んで動けなくなってしまった。だがラージは違っていた……。
「爆発反応が余りにも少ないッ! 無事です! 泣いている暇があったら熱源反応の捜索をッ!」
「……ッは、はいッ!!」
ラージの怒声にミズホは咄嗟に返事を返し、ゲッターD2の分析で大半が故障してしまったレーダーの中で無事な物を探して、熱源反応の
捜索を再開する。
(……確かに凄まじい爆発でした……でもそれだけだ)
核プラズマジェネレーターで起動しているグルンガスト零式を初めとした特機に、時流エンジンが爆発したと考えればこの辺り一体が吹き飛んでいてもおかしくは無い。だから、ラウル達が無事だと信じる。
「ラウル! フィオナ! 返事をしてください!」
ラウルとフォオナの名前を叫びながら熱源の捜索を続ける。その時、ラージ達の耳に何かを咀嚼する音が響いた。
「……まさか」
「いいえ、そんなはずはありません!」
ミズホがラージが全てを言う前にその言葉を遮った。咀嚼音に最悪の予想が過ぎったのはミズホも同じだ、だがそれでもラウル達は無事だと2人は信じたかった。そして煙が張れ、目の前の光景が露になった時ラージもミズホも込み上げてくる吐き気を抑える事が出来なかった。
『アアアア……』
『ゴキリ、メキャ……バキバキ……グチャグッチャ……』
弱々しいメタルビースト・クロガネの鳴き声と、そんなメタルビースト・クロガネの船体にかじりつき、装甲を噛み砕き捕食しているメタルビースト・SRXの姿。無造作に引きちぎられたインベーダーの触手、そしてオイルとは別に吹き出る紅い液体……。
「うっうえ……おええ……」
「ぐっぷ……おええッ!!……こ、これは厳しいですね」
それは獣が自ら打ち倒した獲物を捕食する光景に良く似ていた。だがメタルビースト・SRXはわざとゆっくりと喰らい付き、メタルビースト・クロガネを苦しめているようにラージには見えた。
「……やはり、無いですね」
吐き気を堪えながら漸く回復したモニターで周囲を確認する。ミサイルが着弾し、罅割れている大地がモニターに広がるが機体の残骸はどこにも無い。
『ラージ・モントーヤ君とミズホ・サイキさんでいいわね。レディバードのエンジンの状態を確認して』
「……レモン・ブロウニングさんですね。少し待ってください……」
徐々に通信も回復してきたのか、レモンの言葉に返事を返しレディバードの状態を確認するラージ。
「問題ないです。すぐにでも飛び立てます」
『OK、とは言え、今すぐに出発すればメタルビースト・SRXに襲われるわ……タイミングを見て一気に離脱するわよ』
ギャンランドとレディバードが離脱する準備が出来れば、戦闘区域から離脱した所で機体を回収して逃亡することも出来る。メタルビースト・SRXの機動力がどれほどの物かはわからないが、戦艦のオーバーブーストには追いつけないだろうとラージは考えていた。
『ゲッタァアアアドリルッ!!!!』
『ギャアアアアアアア―――ッ!!!』
地面を砕き、姿を現した蒼いゲッターロボがメタルビースト・SRXの特徴的なフェイスパーツにドリルを突き刺す。高速回転するドリルに抉られ、装甲の残骸と体液を撒き散らしながらメタルビースト・SRXは顔面に組み付いているゲッターライガーを引き離そうとする。
『オープンゲットッ!!!』
だがメタルビースト・SRXの触手がライガーに触れる前に戦闘機に分離したライガーは一気に危険域から離脱する。漸く視界を取り戻したメタルビースト・SRXの目の前に広がったのは、自身を飲み込まんと迫る熱線と燃え盛る紅蓮の不死鳥の姿だった。
『ブラスターキャノン発射ッ!!!』
『ファントムフェニックスッ!!!』
「そうか、そう言う事だったんですかッ!」
地割れの中から飛び出した光線と燃え盛る不死鳥を見て、ラージは何故エクサランスの反応が無かったのかを理解した。最初に吹き飛ばされたゲッターD2が最初に現れたときと同じ様に、地面を砕き地下からエクサランス達をミサイルの豪雨から救い出したのだと今初めて理解した。
『シャアッ!!』
だがメタルビースト・SRXも何時までも好きにさせている訳が無い。雄叫びと共に目視出来るほどの強力なバリアを発生させ、ブラスターキャノンとファントムフェニックスを防ぐ、だが防いだ事で生まれたエネルギーの余波で視界を失った。メタルビーストの脅威はその闘争本能にある。だが、理知的に物を考える事が出来ず本能的に攻撃はかわすが、避けた後にどうなるかと言う事を考える知恵は無かった
『リミット解除ッ! コード麒麟ッ!!!』
瓦礫を砕き、弾丸のような勢いで姿を現したソウルゲインの右肘の聳弧角が煌き、メタルビースト・SRXの左腕を肩から両断する。
『もういち……ぐっ!?』
『キシャアアアアアアーーーッ!』
返す刀で右腕を落とそうとしたソウルゲインだが、念動フィールドに動きを封じられ、がらあきのソウルゲインの胴体に向かって胸部から凄まじい勢いで伸びた触手に弾き飛ばされる。しかし垂直に吹っ飛ばされるソウルゲインの中でアクセルは獰猛な笑みを浮かべていた。
『掛かったな、この阿呆がッ!』
ソウルゲインが弾き飛ばされるのは計算の内。だからこそ自己再生能力を持ったソウルゲインが選ばれたのだ。そして、弾かれる前提で追撃に出たアクセルは簡単にソウルゲインの姿勢を立て直させ着地させる。
『この一太刀に全てを賭すッ!!!』
その瞬間反対側の地面が砕け、ブレードモードに変形したR-SOWRDを携えたグルンガスト零式が凄まじい勢いでメタルビースト・SRXへと肉薄する。
『一刀両断ッ!! チェストォオーーーーーッ!!!!』
『が、ガアアアアアアーーーッ!?』
ガードの為に振り上げた右腕はR-SOWRDから伸びた光の刃に切り裂かれ、左腕同様肩から切り裂かれる。
「行ける……これなら行けるッ!」
不意打ちに近いが、これでSRXは両腕を失った。これなら勝てる、これなら行けるという希望がラージ達の中に生まれたが、それが一瞬で絶望に塗りつぶされる事を今のラージは勿論、計画通りにメタルビースト・SRXの両腕を奪えた武蔵達も知る良しも無いのだった……。
世界と世界の境目の中を進むピンク色の不気味な球体状の何かは、下腹部にある瞳を光らせ、歓喜の声を上げた。
「見つけた……見つけた……やっと見つけた……ッ!!!」
その不気味な形状に反して、その声は妙齢の女性を連想させる柔らかな声だった。
「進化の光……私が求める力……ッ!」
世界を彷徨い、そして長い時を放浪してきた「それ」はもう何をすればいいのか、何を為せば良かったのか……それすらも理解出来なかった。ただ、進化の光――即ちゲッター線を手にすることで新たな進化を果たそうとしていた。
「そうすれば……私は帰れる……造物主の元へ……」
長い時をこの闇しかない、時空の境目を彷徨い続け、元の姿を失い、そして己が何をするべきなのかも見失った。
「進化、新しい……進化をッ!」
この闇の中を、無数に存在する世界をさすらい、その世界に適合する為に進化を続け、その姿は見るのもおぞましい異形へと成り果てた。
そしてそれが自力での進化の終着点だった。
「……私は誤りでは無い……もっと進化すれば……私はッ!」
何をすればいいのか、何の為に存在していたのか? それすらも思い出せないが、「誤り」と自身の存在を否定する誰かの声を聞いた。
そして己に呼びかける何かを聞いた……そして己は何をすれば良いのかを見失った……。それから気の遠くなる年月を彷徨い、流離い、迷い続けてきた。だが今やっと己が何かを知れるチャンスを手にしたのだ。
「……門、そして進化の光……それを我が手に……」
世界と世界を隔たれる壁を破壊し、アインスト、インベーダーが欲し続ける。進化の光――即ちゲッターD2を手中に収めんと動き出す。
「……須く過ちは存在する。過ちがあるからこそ、真実が存在する……そして、真実を知るため、私は行かねばならない……創造者の下へ……門と、鍵、そして進化の光を手に……世界を、時間を……越える」
己が何者なのか……?
何の為に作り出されのか……?
それを知る為に彷徨い続け……。
己の元の姿をも失った……。
「資質」「可能性」「全能者」「神」のギリシャ語を与えられた。「デュミナス」は今度こそ、己の求める答えを手にする為に……再び世界の壁を破り、新たな世界へと出現するのだった……。
1度はメタルビースト・SRXに勝てる……誰もがそう思っていた。だがそれは余りにも楽観的な思い違いだったと言うのを全員が痛感していた。
「ちくしょうめ! この化け物ッ!」
「キシャアアアーーーッ!!」
ポセイドンと両腕で殴り合いをしているメタルビースト・SRX。そう、「両腕」で殴り合いをしているのだ。ソウルゲインの麒麟、R-SOWRとグルンガスト零式の一太刀を受けて肩から切断された両腕は既に再生しており。その伸縮自在の両腕で武蔵を苦しめていた……。これが最初のように、連携を組む事が出来ていればここまで武蔵が苦しめられることも無かっただろう――だが武蔵は今や完全に孤立し、メタルビースト・SRXとのタイマンに追い込まれていた。
「ラトゥーニッ! もう限界だ! レディバードに戻るぞ!」
「くっ……嫌だッ!」
「嫌じゃないわ! ここで死ぬつもりッ!?」
「……うっ、ううう……帰還する……」
ボロボロに装甲を損傷させた2機のエクサランスに両脇から抱え上げられるようにして、R-1・カスタムも無理やりレディバードへと着艦する。その後をすぐにグルンガスト零式、R-SOWRD、ゲシュペンスト・タイプSがバックアップに入り追撃を防ぐ。
「くっ……面妖な……ッ!」
「物量戦に持ち込まれるとはな……こんなのは想像もしていなかった」
「泣き言を言っている場合では無いがな……」
だがフォローに入ったグルンガスト零式、R-SOWRD、ゲシュペンスト・タイプSも既に装甲があちこち損傷しており、弾薬、エネルギー共に危険域に入ろうとしていた。
「「「「シャアアアーーーッ!!」」」」
そんなイングラム達の前に立つのは無数のメタルビースト……しかし、ただのメタルビーストでは無い、ラトゥー二の乗っていたR-1と似たシルエットに一部簡略化された装甲、そして両腕のトンファーはインベーダーの細胞によってチェーンソーのような不気味な音を立てている……「メタルビースト・エルアインス」両腕のシールドユニットにインベーダーの頭部を生やし、背中に背負っている砲門をこちらに向ける「メタルビースト・エルツヴァイ」そして上空を旋回し、完全に制空権を奪い、上空からインベーダーに寄生されたミサイルの雨を降らせる「メタルビースト・エルドライ」……そう、それらは全てメタルビースト・SRXを構成している量産型Rシリーズ……それがメタルビーストへと変貌した姿だった。
「クロガネを喰らっていたのは、この為だったと言う訳だッ!」
数えるのも馬鹿らしくなるミサイルの雨を引きつけ、ショットガンで誘爆させ、僅かに生まれた隙を突いてビームソードで切りかかる。
「ちいっ! 化け物は化け物らしくしていれば良い物をッ!」
「ッ!」
だがそれは即座にメタルビースト・エルアインスのガードに入った、エルツヴァイに防がれ、その巨大な盾で殴りつけられる。
「無理をするな、イングラム」
「……すまん。助かった」
メタルビースト・エルアインスの追撃は、タイプSが入った事で防ぐ事が出来たが数の暴力で押されれば、流石のイングラムとカーウァイと言えど劣勢に追い込まれてしまっていた。
「……く、すまない、エネルギー切れだ……帰還する」
ハイパーブラスターで幾度も、進撃を防いでいたグルンガスト零式だが、ついにエネルギー切れを起こし、残されたエネルギーでギャンランドへと帰還する。
「不味いな、このままだと全滅だ……」
確かに一騎当千のエースパイロットが揃っている。だが倒しても倒しても増え続け、更に倒す度に前よりも強くなるメタルビースト・Rシリーズを前に流石のカーウァイも気持ちがくじけかけていた。
「メタルビースト・SRX……あいつが厄介だ」
メタルビースト・Rシリーズは通常のメタルビーストと比べて再生能力は格段に低く、機体の半分も吹き飛ばせば動かなくなる。だがその分連携能力に秀でており、瞬発力に長けたメタルビースト・エルアインスを切り込み隊長にし、メタルビースト・エルツヴァイ、ドライの2機がバックアップとフォローに入る事で油断をすれば一瞬で切り込み、こちらの装甲をずたずたにし、その後の飽和射撃で完全に足止めしてくるという極めて厄介な連携をする。そしてそんなメタルビースト・Rシリーズは今もメタルビースト・SRXからどんどん生まれ続けている――。
「今はまだ、メタルビースト・SRXが増えるという事にはなっていないが……」
「何れなりえる可能性がある……」
恐らくあのメタルビースト・Rシリーズは今はまだ、練習個体なのだ。メタルビースト・SRXを母体にし、増えて行くための最初の実験段階……ここでメタルビースト・SRXを倒さなければ大変なことになるのは判っている……が、問題なのはその再生能力。ここで倒さなければ、いずれはメタルビースト・SRXが増えることになる。しかし……それが判っていても、雪崩のように増え続けるメタルビースト・Rシリーズ。そしてどんな致命傷も即座に回復させるメタルビースト・SRXを今この場にて倒すには火力も手数も足りていなかった。
『ぐ……くそっ! 限界かッ!?』
『アクセル隊長! 1度お戻りください、殿は私が務めます』
『……ちいっ! 屈辱だッ!』
何とかメタルビースト・Rシリーズの包囲網を抜けようとしていたソウルゲインとプロトアンジュルグだが、倒しても倒しても増え続けるメタルビースト・Rシリーズを前に機体の各部が焼き付き、ソウルゲインが膝をついた。
『撤退準備は出来てるわよ! 戻って、これ以上はどうしようもならないわッ!』
『各員撤退! この場は離脱するッ!』
レモンとヴィンデルの撤退命令が下される。これ以上は戦えない、これ以上戦っていても、物量差で押し込まれてインベーダーに食われて果てる。
「オイラは何とか自力で脱出します! 早くッ! この場所から離脱してくださいッ!」
「シャアアアーーッ!!」
「舐めんなあッ!」
だがメタルビースト・SRXに取り込まれそうになっている武蔵を残してはいけない。何とかして、メタルビースト・SRXを引き離そうとしたその時――それは現れた。
「な、なんだあれは……」
「……生き物? しかしあれは……まるで機械の様な……」
突如メタルビースト・SRXとゲッターポセイドンの上空に湧き出るように現れた奇妙な建造物……それは、腹部にある目を、ゲッターロボに向ける。
「……その進化の光は私のもの……オオオ……進化の光よッ! 私を導きたまえッ!!!」
激情に駆られた女性の叫び声が周囲に響くと同時に、異形の物体が光り輝いてギャンランドを包囲していたメタルビースト・Rシリーズを全て消し飛ばし、ポセイドンを取り込もうとしていたメタルビースト・SRXも吹き飛ばした。
「武蔵を助けたという訳ではなさそうだな」
「ああ。あいつもまたゲッター線を狙う者か……」
アインスト、インベーダー、そして今時空を越えて現れた奇妙な存在――それら全てがゲッター線を欲している。
「……進化の光……私を……私を導いてくれ……創造主の下へ……私が……私が生まれた理由を知る為に……」
「な、なんだ!? ゲッター炉心のパワーがッ!?」
謎の生き物と共鳴するようにゲッターD2の全身からゲッター線が溢れ出した。
「シャアアアーーーッ!!」
そしてそれに共鳴したのか、メタルビースト・SRXも全身から禍々しい色のゲッター線を放出させる。
「ぐっ、制御出来ない……ッ!」
「扉……進化の光よ……私に新たな進化をッ!!」
「ゴガアアアアーーーッ!!」
困惑する武蔵の声と、歓喜に震える女の声、そしてメタルビースト・SRXの雄叫びが重なった時。凄まじいゲッター線が周囲に満ち、凄まじい音と共に謎の生物とメタルビースト・SRXをどこかへと消し飛ばした。
「転移したのか?」
「……武蔵! 武蔵! 大丈夫か!」
「な、なんとか……でも炉心が停止しちゃって動けないです……すいません、回収よろしくお願いします……」
その言葉と共に武蔵は沈黙した、どうやら意識を失った様子だ。
「……い、今のは一体……」
「判らないけど今がチャンスよ。ゲッターロボを回収して、この空域から離脱するわよ!」
いつまたメタルビースト・SRXが襲ってくるか判らない、いやメタルビースト・SRXだけならいい、ここにゲシュペンスト・MK-Ⅲも加われば、全滅は間逃れない。何が起きたのかを追求するのは後にしてレモン達はゲッターD2を回収して、この場から逃げることを選択するのだった……。
「……シャドウミラー隊のギャンランド、未知の特機を発見しました。転移反応も感知しました」
『よし、良くやった。基地へと帰還せよ、シャドウミラー討伐に乗り出すぞ』
「……はい、すぐに帰還します」
『ははは! これで世界は元に戻る! 我々が救世主となるのだッ!』
しかし武蔵達は知らない、この地獄を作り出した者達が自分達こそが世界を救うという妄執に囚われた者達が動き出そうとしている事を武蔵達は知らないのだった……。
第18話 分岐点 へ続く
デュナミスついに登場、でもこの段階ではフィオナはまだ転移しません。転移するのはもう少し後ですね、メタルビースト・クロガネが消え、代わりにメタルビースト・SRXが誕生。そしてデュミナスも降臨、このデュナミスはOGよりではなく、Rよりで行こうと思います。ちょっとOG外伝のデュナミスの終わりもホムンクルストリオの終わりも納得していないので、ここも変えます。救済ルートになるのかどうかはまだ未知数ですが、OG外伝の終わり方にはならないとだけはいっておきます。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。
後はそうですね。
序は後8話ほどで完結予定となります。現在はOG2・本の執筆を徐々に始めておりますので、もしかすると来週もどこかで追加更新か、連続更新に踏み切るかもしれません。
視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか
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サイドまたは視点は必要
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今のままで良い