第22話 楽園と地獄への旅路 その1
ピーターソン基地にアインストも連邦も全てが集まっていたのかギャンランドは何の妨害も無くテスラ研に辿り着いていた。
「……酷い物ね」
「ちっ、余計な事しかしない狂犬共が……」
外側の綺麗さと打って変わってその内部は腐敗した死体や、脳漿、そして鮮血で染め上げられていた。アースゲインとソウルゲインを奪取したブラッドハウンドの仕業だろう。レモンとヴィンデルは顔を歪めてテスラ研の地下へ足を向ける。
「地下に辿り着いたらすぐにシステムXNの起動を始めろ。時間が無い」
「そんな事言われなくても判ってるわ」
ラトゥーニの捨て身の特攻でゲシュペンスト・MK-Ⅲとキョウスケ・ナンブはあの化け物の口の中に消えた。だが死んではいない……ピーターソン基地から飛び立つ時、コックピットブロックから蔦が伸び、その身体を修復しているのをレモンもヴィンデルも見ていたからだ。
「出来ればバリソンが戻るのを待ちたいんだけどね」
「……W-17とアンジュルグ、ヴァイサーガの回収に向かわせたんだったな。だが間に合わなければ置いていく」
「貴方が勝手に計画を変えてくれたせいでこうなってるのよ? もしもバリソンや、「ラミア」がいれば、エクサランスを失う事はなかったのよ?」
レモンの言葉にヴィンデルは顔を歪める。R-1改、2機のエクサランスが加わり、ソウルゲイン、グルンガスト参式、ゲッターD2、R-SOWRD、ゲシュペンスト・タイプSと戦力が充実した。それに慢心し、本来の計画を変更したのはヴィンデル自身だ。その計画の変更の結果がエクサランスと時流エンジン開発チームの死亡と言う結果を齎していた。
「今度は計画通りに動いて貰うわ。システムXNとリュケイオスの安定稼動を確認後、量産型Wシリーズとゲシュペンスト・MK-Ⅱを搭載したストークから順番に転移、バリソンが戻ったらウォーダンとグルンガスト参式、プロト・ヴァイサーガやプロト・アースゲイン、ラーズアングリフ、ジガンスパーダを搭載したライノセラスの転移、最後に私とヴィンデル、それにアクセルと武蔵達とウォーダン、エキドナ、ラミアを乗せたギャンランドで転移後。リュケイオスを爆破するわ」
「……最悪の場合は転移の順番を変更する。良いな」
「ええ、それに関しては私も同意見。でも何もないのに、転移の順番は変更しないわ」
時流エンジン開発チームを失ったのはヴィンデルの独断だ。それがあるからレモンの強硬姿勢にヴィンデルは文句を言えなかった……レモンの言う通りアンジュルグやヴァイサーガを回収していれば、時流エンジン開発チームを失う事が無かったという可能性はヴィンデルにも十分に判っていたからだ。
「じゃ後は私1人でやるから邪魔しないでよね」
「……ああ。私は転移した後の事を考えることで忙しいのでな」
吐き捨てるように言って出て行ったヴィンデルを見送り、レモンはリュケイオスの調整を始める。
「ヘリオス・オリンパスがいないんだから成功率なんて低いのにね」
リュケイオスとアギュイエウスにヘリオス・オリンポスの生体データをリンクさせる事で安定した転移を行う。だがヘリオス・オリンポスは実験中の事故で単独転移をしてしまい、今も行方不明だ。その中での転移の成功率は決して高くは無い、むしろ失敗の確率の方が高いくらいだろうが……それでもこの世界に未来が無い以上それに縋るしかなかった。
「どこまで連れて行けるかしらね……」
ヴィンデル達が囮になる事で集めた戦力は膨大だが、それらすべてを転移する事は恐らく不可能。
「良い所5割かしらね……」
レモンの計算では転移が完了する前にゲシュペンスト・MK-Ⅲの修復が終わり、襲撃してくる事は間違いない……そうなれば転移の成功率は更に下がる。
「……でもその方が良いのかもしれないわね」
少なくとも武蔵達はギャンランドから離れた場所に転移したほうが良い。そしてそこにエキドナが居れば、なおレモンにとっては良い。
「親離れしてくれたほうがいいものね」
エキドナに芽生え始めている自我……それはレモン達の側にいては決して開花しないだろう。エキドナがW-16では無い、本当の意味でエキドナ・イーサッキになる為には自分達の側から離れる必要があるとレモンは考えていた。
「……こんな事を思ったら駄目だけど、ベーオウルフには来て欲しい物ね」
計画通りに話が進んだら困るのだ。プランを崩壊させ、レモンの望む結果に至るにはゲシュペンスト・MK-Ⅲとベーオウルフの存在が必要だった。そしてここまで共に戦ってくれた武蔵達と穏便に分かれるためにも、転移の準備が完了する前にベーオウルフの襲撃があって欲しいとレモンは願ってしまうのだった……。
レモンが転移システムの設定を行っている間、イングラム達は最後の休息を取っていた。今まで共闘してきたが、転移が可能になればシャドウミラーとイングラム達はどうやっても相容れない……敵対するのは確実の事だった。
「最後まで補給をしてくれるとは予想外だったな」
「そうだな、最悪の場合は補給も修理も無いと踏んでいたからな」
ピーターソン基地を突破し、そしてテスラ研に辿り着いた段階で拘束あるいは、補給を意図的に遅らせられるという可能性をイングラムもカーウァイも考えていたが、予想に反してR-SOWRDもゲシュペンスト・タイプSも補給も修理も万全に行われ、ワンオフ機なので流石に予備パーツなどは用意されなかったが、武装の予備は簡易修理キットである「リペアキット」「プロペラントタンク」などを多数搭載した旧式ではあるが輸送機も回されていた。
「……レモンなりに餞別と言うことなのだろうな」
ヴィンデルやアクセルのいるギャンランドから離れた区画に用意された格納庫、そして苦しい懐事情なのに少なくとも5回は全力戦闘だけの弾薬を積み込んでくれていた。
「意図してない所だが、これも武蔵の人徳と言うところにしておくか」
シャドウミラーには純粋な人間と言うのは少ない、だから武蔵に説得して仲間にしろと冗談で言っていたが、まさか本当に成功しかけるとはイングラム達も夢にも思っていなかった。
「……イングラム少佐、カーウァイ大佐……武蔵はその……大丈夫でしょうか?」
笑い合っている時にエキドナが尋ねて来て、流石の2人も真顔になった。
「そうだな、やはりそれなりに堪えているようだ……なんだかんだいっても、武蔵はまだ17歳だからな」
「武蔵には会えませんか?」
「気持ちは判るが、今はそっとしておいてやって欲しい」
「そうですか……その……心配していたとだけ伝えてくだされば良いので……その、失礼します」
ぺこりと頭を下げ引き返していくエキドナ……その顔には確かに武蔵を心配する色が浮かんでいた。打算も計算も無く、ただ純粋に武蔵を心配していると言うのがイングラム達にも判った。
「……武蔵の人徳と言って馬鹿に出来ないな」
「人の姿をしていれば魂は宿る……エキドナもそうなのだろう」
エキドナはWシリーズの人造人間である。だが、今のエキドナの表情はどう見ても、1人の人間にしか見えなかった。
「……引き抜くか?」
「乱戦になって機会があれば連れて行こう。世界を超える上のリスクを承知でな」
「世界を超えるリスク?」
「そうだ。世界には修正力と言うものがある……異物が混じれば世界はそれの排除に動く」
イングラムの説明を聞いてカーウァイは何か思い当たる節があったのか顔を顰めた。
「まさか執拗なインベーダーの攻撃や、ゼンガーがアインストになったのもか?」
「恐らくな……俺達を殺害する事で世界の流れを正しく修正しようとしたのだろう。あの怪物……ドラゴノザウルスと言うのだが、あいつも……過去の世界で見たことがある」
「思いっきりSFの世界になってきたな……それでそれをこのタイミングで話してきた真意は何だ?」
タイムダイバーとして世界を時間を旅してきたイングラムだからこそ、それを理解していた。そしてそれをこのタイミングで話した理由は何だ? とカーウァイが問いかける。
「仮にだ。俺達がいた世界に戻ったとしよう。そうなった場合、異物は「シャドウミラー」そして俺と、武蔵、そしてカーウァイの3人になる。これを修正する世界の力が働いた場合……俺達は記憶の一部を喪失する可能性が高い」
「……記憶を失うというのか?」
「ああ。俺たちはシャドウミラーの戦力も、その思想も知っている。だがそれを知られていると都合が悪いとなると、そこら辺の記憶は間違いなく消される。世界と言うのは不条理を、そして世界を変える事を嫌うからな」
「……つまりそれは私達の世界にシャドウミラーが辿り着くのが正しい歴史と言うことなのか? 私達はシャドウミラーが起こすであろう災害を知っていても何も出来ないと言うのか?」
「それは判らない……だが、あの世界には平和を願う者達が居る……俺達の記憶が仮に世界に封印されたとしても……大丈夫だ。きっとあいつらならやってくれる」
「……そうか、そうだな」
永遠の闘争を受け入れる人間などあの世界にはいない。世界の平和を願い、地球を護りたいと願う者がいる……だから大丈夫だとイングラムは笑う。
「俺達は俺達に出来る事をする……生き残って元の世界へ帰るんだ」
鳴り響く警報、それは襲撃を意味していた。ここが最後の命の張り所……ここを無事に切り抜けて、元の世界へ戻る。辿り着いてみせると決意を新たにする。
「返すぞ、お前はもうエアロゲイターじゃない。私はそれを確信した」
「ふっ……まだ疑っていたのか?」
投げ渡されたハンドガンを自らのホルスターに納めイングラムは皮肉げに笑う。
「返すタイミングが無かっただけさ」
「警報って事は敵ですか!?」
部屋を蹴破って出来た武蔵にイングラムとカーウァイは顔を見合わせ合い笑った。
「そうだ。ここを切り抜けて、俺達は元の世界へ帰る」
「もうこれ以上誰1人欠ける事無くな……行くぞ、武蔵」
「ういっすッ!!」
仲間達にもう1度会う為に……そして世界へ迫る脅威を伝える為に、武蔵達はこの世界で最後の戦いにその身を投じるのだった……。
出撃した武蔵達を出迎えたのは無数のアインストに寄生されたゲシュペンスト・MK-Ⅱ……らしき、PTの姿だった。
「ここまで、変異しているか……外道共が」
らしきと表現したのはその腕や足が生物的な意匠を施された、アインストのようなものに換装されていたからだ。その姿はPTと言うよりかは、PTを模した生物と言っても過言では無い。だからアクセルの外道と言う発言も決して間違いでは無かった……。
『隊長。ゲシュペンスト・MKーⅢの姿は確認出来ません、やはりピーターソン基地で消滅したのでは無いでしょうか?』
「奴を侮るんじゃない、確実に奴は生きている。俺達をこの場に足止めする為に先遣隊を送り込んで来たに過ぎない」
『……オイラもそう思いますね。嫌な予感がさっきから消えないですし……確実に来ますよ』
武蔵も、アクセルと同意見だった。さっきからゲッターD2の出力が異様に向上している……それは恐竜帝国に初めて遭遇した時や、イングラムがアストラナガンに取り込まれた時と同じ……ゲッターロボが警戒しろと武蔵に教えているのだ。
『武蔵の予感は当たるからな……ならばゲシュペンスト・MK-Ⅲが現れると見て間違いなかろう』
『……最後に立ち塞がる相手としては相応しい、ここで倒して何の憂いも無く転移するとしよう』
ここまで幾度も無く自分達の前に立ち塞がったゲシュペンスト・MK-Ⅲを……そしてベーオウルフを倒して何の憂いも無く転移するとアクセル達が闘志を燃やす中、ギャンランドのレモンから通信が入る。
『闘志を燃やしている所悪いけど、転移システムが安定起動するまでの8分間。テスラ研への侵入を防いでくれないと、ベーオウルフを倒しても私達は何処にも行けないわ。そこを念頭に入れて敵を倒すよりも、テスラ研への侵入を防いで頂戴。残り2分になったら連絡するからテスラ研の敷地に戻って来ること、良い? 乗り遅れたら置いて行くわよ』
この戦いは決して敵を殲滅する為の戦いでは無い。時間を稼ぐ為の戦いだとレモンは念を押す、ここにいる面子は頭に血が上りやすい。深追いしすぎて、転移に間に合わないという事態を防ぐ為に口調をきつくして、暴走しないようにととことん念を押す。
「そこまで言われれば、馬鹿でも判る。武蔵、俺とお前で前に出て、ゲシュペンストを潰すぞ」
『アクセル話聞いてた?』
「判っているさ、だが篭城すれば良いと言うものでは無い。転移する寸前にベーオウルフに襲撃されても困る、俺と武蔵が前に出ていればベーオウルフも食いついてくるだろう。あいつを止めなければ安心して転移など出来ない」
ベーオウルフも食いついてくるだろう。あいつを止めなければ安心して転移など出来ない」
『何を言っても無駄って事ね、判ったわ。こっちでカウントダウンするから、アクセルがヒートアップしてたらソウルゲインを回収してテスラ研まで離脱してきてくれるかしら武蔵』
『了解です。じゃあ、行きましょうか、アクセルさん』
テスラ研の敷地からゲッターD2とソウルゲインが出ると同時に、テスラ研を取り囲んでいたゲシュペンスト・MK-Ⅱが一斉に動き出した。それは誰が見ても、ゲッターを取り押さえようとしている動きにしか見えなかった。
『エキドナは武蔵のフォローに、イングラム達は敷地内への侵入を防いでくれるかしら?』
「言われなくても判っている。それよりも、俺達の乗る船を忘れるなよ」
『大丈夫よ、ちゃんと準備をしてるからね。要らない心配はしないで、テスラ研を守る事に集中して』
レモンはそう告げると通信を切断する、転移の準備の為に無駄話をしている余裕がないと言うことだろう。
「世界で1番長い8分間か……」
「ああ、だが……俺達に負けは無い」
確かに敵の数は多い、だがそれだけだ。再生しようが、合体をしようが、知性がなければ脅威では無い。策略も何もなしに突っ込んでくるゲシュペンスト・MK-Ⅱの群れを見てイングラムとカーウァイは薄く笑う。
「ただの獣にくれてやるほど、この首は安くないぞ」
「そう言う事だ。獣は獣らしく、這い蹲って逃げ惑っていろ。この畜生共が」
敷地に近づく間もなく、コックピットを打ち抜かれ沈黙するゲシュペンスト・MK-Ⅱ。
「おらおらおら! オイラ達の邪魔をすんじゃねえッ!!」
「貴様ら等俺達にとっては何の脅威でもない。これがな……」
テスラ研に続く道路の前に立ち塞がるゲッターD2とソウルゲインの前に、ゲシュペンスト・MK-Ⅱは次々にスクラップへと化していく、数は圧倒的に劣っている武蔵達だが、個人の戦闘力の差によって数の劣勢を覆し有利に戦いを始めていた……。
『アクセル隊長! ゲシュペンスト・MK-Ⅲらしき影を確認ッ! 早い……ッ!? 後30秒で目視が可能です』
上空で警戒と武蔵とアクセルが仕留め損ねたゲシュペンスト・MK-Ⅱを倒していたエキドナから緊急通信が入る。そしてエキドナの報告通り、ゲシュペンスト・MK-Ⅲが姿を現した……。
「逃がさん……憎み合う……世界を……広げる者達……進化の使徒よ……俺は創らなければならない……世界を……静寂で満たさなければならない……そのために……お前を逃がすわけにはいかんのだぁッ!!!」
途切れ途切れで聞こえてくるキョウスケの声……それが今武蔵達の前に立ち塞がる異形の影がゲシュペンスト・MK-Ⅲであると言う事を示していた。
「おいおい……マジかよ……」
「あの化け物に食われたからか……一気に変異が進んだという事か……」
その姿は既にゲシュペンストから程遠い、アインストと化した参式と同じ様に僅かにアルトアイゼンの面影を残すゲッターD2よりも遥かに巨大な異形の姿に流石の武蔵とアクセルも息を呑んだ。
「お前達は……望まれていない……世界を創る……だから……撃ち貫く……そして進化の光を手にし……俺達が新たな……種となるのだ」
「こ、この反応は……!? ゲッターロボの倍近い出力よ!? 一体どうなってるのよ!?」
全身から禍々しいオーラを放つゲシュペンスト・MK-Ⅲに全員が気圧される。それだけのプレッシャーをゲシュペンスト・MK-Ⅲは放っていた。
「この短時間でここまで変異したか……化け物め」
「……こりゃあ今の段階で勝てるとは思えないなあ……」
武蔵でもさえも気圧され、今の自分たちでは勝てないと認めざるを得なかった。
「レモン、転移まで後何分だ?」
『……6分よ、バリソンが合流するまで後2分……転移の準備が終わるまで4分……』
「計画通りに行ってと言うことだな? まだ伸びる可能性も十分にあると思った方が良いか?」
『……言いにくいけどそうなる可能性はあるわ、攻撃を受ければ準備も遅れるから』
ただ耐えるだけでは転移の準備が終わらない可能性もある……ここにいる全員を圧倒するプレッシャーを放つゲシュペンスト・MK-Ⅲにこの場にいる全員の背中から冷たい汗が流れた。
「お前達は……純粋な生命体には成り得ん。俺が……そう、俺こそが……正当なる進化の光……の後継者……ッ!」
ゲッターD2を見て狂気めいた事を言うキョウスケにアクセルが言葉を投げかける。
「何故貴様はそこまでゲッターロボに固執する? 貴様は……ゲッター線に何を見ていると言うんだ……そこまでの力を得てもなお、何故貴様はゲッター線を必要とする……?」
「創造……する……望まぬ世界を……破壊……ククク……フフ、フフフフ……創造と破壊、破壊と創造……創造は破壊……破壊の創造……そして……進化の光を使い……理想郷を……新たな世界を……作る」
「ちっ……こちらの事を理解しているかどうかも怪しいか。化け物が……ッ!」
「何を言ってるか全然、これっぽっちも理解出来ないけど……てめえにゲッター線はわたさねえッ!! ラトゥーニちゃんの変わりだ。てめえを殺すぜ、化け物がッ!」
ソウルゲインとゲッターD2が前進し、それを見てレモンが声を荒げる。
「アクセル、武蔵ッ!? どうするつもりッ!?」
「言った筈だ。……決着をつけていくとな……」
「オイラにも判る、こいつは存在しちゃいけない、ここで倒して行かないと大変な事になる。ゲッターがそう言っている……」
『ゲッターがそう言ってる? 何を言っているの武蔵』
「言葉では説明できないのさ、俺も武蔵もな……ここでベーオウルフを倒すぞ、武蔵」
「了解、皆の仇は取らせてもらうぜッ!!!」
『各機展開! 噛み砕けッ!!!』
キョウスケの号令によって、今までとは比べ物にならない動きで動き始めるゲシュペンスト・MK-Ⅱ。そしてソウルゲインとゲッターD2に飛び掛るゲシュペンスト・MK-Ⅱ……いや「アインストヴォルフ」……ここに極めて近く、そして果てしなく遠い世界での最後の戦いの幕が切って落とされるのだった……。
そして一方テスラ研に向かってトレーラーを走らせているバリソンの方でも問題が発生していた。
『バリソン少佐。コンテナハッチを開放を望みます』
「おいおい!? 馬鹿言ってんじゃねえぞ!? もうテスラ研は目の前なんだぞ!? ラミアッ!」
アンジュルグのコックピットから機械的に出撃許可をと言う女性の声にトレーラーを運転しているバリソンは声を荒げた。
『ベーオウルフに襲われていると言う報告は私も聞きました。リュケイオスに損傷を受ければ転移の安定性は更に低下します、アンジュルグならばすぐに戦闘に合流出来ると判断しました』
「いやいや、待て、レモンの調整も受けずに戦うつもりか? そいつは無謀って言う物じゃないのか?」
ラミアを止めようとするバリソンだが、ラミアは自分の意見を曲げない。
『どうしてもハッチを開放しないと言うのならば、コンテナを破壊してでも出撃します』
「あーッ! もう判ったよ! ハッチを開放すればいいんだな!!」
『はい、すいません。バリソン少佐』
解放されたトレーラーのコンテナ部から飛び立つアンジュルグをバリソンはあきれた目で見つめた。
「……いや、あながち間違いじゃねえかもしれないな……っし、俺も気合を入れていくかッ!」
連絡が通じないのもそれだけギャンランドが窮地に追い込まれていると言う証かもしれない。そう考えればラミアの判断は決して間違いでは無い、ギャンランドが撃墜されても、転移システムが破壊されてもバリソン達は負けなのだ。それを防ぐ為に戦力を送り込むのは当然の事なのだから……。
第23話 楽園と地獄への旅路 その2へ続く
次回はアインストヴォルフとの戦闘をメインに書いて行こうと思います。ここはアニメの要素を少し付け加えるかも知れませんね、次回で転移までして、OG2本編に入る前に武蔵だけが別の世界に迷い込んだと言う話を入れたいと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。
視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか
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サイドまたは視点は必要
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今のままで良い