第23話 楽園と地獄への旅路 その2
ギャンランドと地下のリュケイオスをリンクさせ、時空転移システムの最終調整をしているレモン。だがその表情にいつもの飄々とした色は無く、追詰められた必死の表情をしていた。
「レモン、まだなのかッ!?」
「うるさいわね! 喚くだけなら馬鹿でも出来るんだから黙ってて頂戴ッ!!!」
怒鳴り込んできたヴィンデルに対して怒鳴り返すレモン。そのあまりの剣幕にヴィンデルは言葉に詰まるのと同時に、レモンでも想定していなかったイレギュラーが発生しているのだと悟った。
「何があった?」
「転移軸全然安定しないのよ……多分だけど、ベーオウルフのせいよ」
ベーオウルフが現れる前に転移させたストークとライノセラス――残るはバリソンを待ってギャンランドと言う段階だったが、ゲシュペンスト・MK-Ⅲ……いや、最早ゲシュペンスト・MK-Ⅲだった物の影響でリュケイオスの転移計算がぐちゃぐちゃになってしまっていたのだ。
「今のまま転移をすれば……私達は何処にもいけず消滅するわ」
「……ツヴァイのアギュイエウスを使えばどうだ?」
「駄目よ、それはもう試している……少なくともあの化け物を弱らせないことには転移は不可能よ」
レモンの視線につられてヴィンデルもモニターに視線を向けた。ソウルゲインとゲッターD2を赤子のように捻る異形の化け物――「アインストヴォルフ」をレモンもヴィンデルも忌まわしげに睨み付ける。
「最後まで私達の邪魔をするかッ! ベーオウルフッ!!」
「もう私達に出来るのは武蔵とアクセルがベーオウルフを弱らせてくれる事を祈るか……時空の狭間に消えることを覚悟して転移するか……その2つに1つしかないわ……」
ここまで順調とは言わないが、それでも計画通りに動く事が出来ていた。だが最後まで自分達の前に立ち塞がり、最後の希望である時空転移システムすら妨害するベーオウルフ……。様々な障害を乗り越えてきた……だが最後の最後までシャドウミラーの前に立ち塞がるのはベーオウルフ……キョウスケ・ナンブの存在なのだった……。
獣のような唸り声を上げて飛び掛ってくるゲシュペンスト・MK-Ⅱだった物の頭部パーツを参式斬艦刀で切り裂き、素早く反転すると同時にグランスラッシュリッパーを射出するゲシュペンスト・タイプSのコックピットでカーウァイは忌まわしげに顔を歪めた。
「最悪の展開になってきたな、イングラム。まだ大丈夫か?」
『最悪の事態は想定していた、ENを使う武器は使っていないからまだ問題は無い』
「そいつは良い事だ、だが何時までも実弾も実体剣も持たないぞ」
『……ああ、弾切れを起せばエネルギーを使わざる得なくなる。そうなれば、俺達の敗北は決定だな』
アインストヴォルフの細胞が分裂し、姿を現したゲシュペンスト……いや僅かにゲシュペンストの面影を残すだけのアインストの動きは素早く、自分の体組織を切り離してスラッシュリッパーのような形状にして飛ばしてくる。
『すいません、全て迎撃できませんでしたッ!』
エキドナからの謝罪の通信が入るが、何十と言う数のスラッシュリッパーを全て迎撃出来るわけが無い。過半数を空中で迎撃してくれたからこそ、イングラムとカーウァイは頭部のバルカンによってスラッシュリッパーの迎撃が出来ていた。
「ちいっ! 鬱陶しいッ!!!」
「弾切れ……ッ! くそッ!!」
体組織で作られたスラッシュリッパーは当然アインストの意志に誘導され、何処までも追いかけてくる。頭部バルカンで迎撃していたが、それも弾切れを起こし、カーウァイは舌打ちと共にショットガンを打ち込みスラッシュリッパーを迎撃する。
「レモン! まだ転移に時間は掛かるのか!?」
『ごめんなさい! あの化け物のせいで演算式が狂っているの! 武蔵とアクセルがあれを何とかしないと、転移してもどこに飛ぶか判らないわッ!!』
とっくの昔に8分は過ぎている……それなのに転移の指示が出ないことに苛立って怒鳴ったが、やはり思った通り転移が出来ない状況に追い込まれていた。
「ゲシュペンストを撃破して、武蔵達の支援に入るしかなさそうだな」
「ああ……だがそれも上手く行くかな……」
「「「「静寂なる世界の為に……」」」」
無機質に静寂なる世界の為にと言って自分達を取り囲むアインストの姿……倒しても倒しても、アインスト・ヴォルフから生成され、襲い掛かってくる。もう何十機と行動不能にしている筈なのに、一向に数が減らない。
「これがアインストの言う新たな種と言うことか?」
「もしそうだとしたら、最悪だな。こんな物はただの悪夢に過ぎない」
キョウスケが言う新たな種と言うのがアインストから作り出される人の形を模しただけの化け物だとすれば、それは人間では無い。
「静寂なる世界か……どういうことか、今初めて理解したッ!!」
「…………」
ビームソードでコックピットを貫かれ、沈黙した後爆発するアインスト。その姿を見てカーウァイはキョウスケの……いやアインストの掲げる静寂なる世界と言うものなのが何なのかを理解した。
「同種だけになれば争う事も、諍いも無くなる……確かに静寂なる世界だな」
「だがそれは如何なる進化も発展も無い、袋小路の世界だな」
キョウスケの言う静寂を乱す存在……それは意見の対立によって戦争を行う人類の事を指し示していると仮定すれば、答えは出てくる。
静寂なる世界とは、アインストだけに埋め尽くされ王である「キョウスケ」を頂点とし、あらゆる諍いも争いも無い、意見の対立も無い文字通り完全なる静寂の世界……。いやそれは世界とは言わない、ただの入れ物に過ぎない。進化も発展も、何もかもが無くなった袋小路の世界……それがアインストの望む世界だと予想をつけたイングラムとカーウァイ、そしてそんな2人の話を聞いていたエキドナも怒りにその顔を歪めた。
『私は……そんな世界は嫌ですね……やはりあの化け物はここで倒していかなくてはならないッ!』
人形のようだったエキドナがはっきりとした意志を示した……それはエキドナ・イーサッキと言う個が目覚めた瞬間だった。
「ああ、エキドナお前の言う通りだ。そんな世界は俺達もお断りだ、いや、そんな物を世界とは呼ばない」
「その通りだ。無茶だとしても、ここであの化け物は潰していくッ!」
静寂なる世界を作り出そうとするアインストヴォルフを潰して行かなくてはならない。あれはこの世界に存在して良い存在では無い……倒しても切が無いアインストを無視して、アインストヴォルフへとR-SOWRD達は突撃する。すべての大本はキョウスケに寄生しているアインスト……そしてアインストヴォルフだ。それを倒さない限りは転移も出来ず、敵は増え続ける。リスクを承知でイングラム達はアインストヴォルフへと攻撃を仕掛ける。ブラスターキャノンが、ファントムフェニックスが、R-SOWRDの放ったビームライフルがソウルゲインとゲッターD2に攻撃を仕掛けていたアインストヴォルフの側面から襲い掛かる。僅かに損傷を与えたが、即座にその傷を回復させたアインストヴォルフの胸部が怪しく光った。
「避けろぉッ!!!」
武蔵の咄嗟の避けろと言う叫び声に反射的に回避運動に入ったイングラム達、そのコンマ何秒の動きがイングラム達の命を救った。
『邪魔をするなあアアアアッ!!!』
空気を焼き払い、自らが作り出したゲシュペンストをも飲み込むエネルギー波が地表を抉り、テスラ研へと向かう。
「しまった、搬入口がッ!」
「くそっ! お前の方が邪魔だぁッ!!」
それは不幸にもテスラ研の搬入口に直撃し、大爆発を起こす。それを見た武蔵がゲッターD2を走らせる。
『進化の使徒よ……我らに力をッ!!!』
「うっがあッ!? ぐ、ぐぐぐっ!? くそッ!? 何がどうなってやがる!?」
武蔵の困惑した声が周囲に響く、だがそれも無理は無い。地表を砕き背後から現れた尾がゲッターD2を絡め取りゲッター線を吸収していた。その予想外の攻撃に武蔵と言えど反応出来なかった、そして100Mを越える巨体の尾に絡め取られたとなれば、さすがのゲッターロボも単独での脱出は困難を極めていた。
「撃てッ! 武蔵を救出しろッ!!」
「ゲッター線を吸収させるなッ!!」
尾の溝にゲッター線を示す翡翠色のエネルギーが張り巡らされ、アインストヴォルフの全身から翡翠色のエネルギーが零れるのを見て、尾に攻撃を仕掛けるイングラム達。
「くそッ! 武蔵! お前も抵抗を止めるなッ!」
「やってます、やってますけど! どんどんゲッターのパワーが低下してるんです!!」
総攻撃を受けていても、ゲッターを絡め取っている尾は全く緩む事無く、むしろその力をより強くしている。
「コード入力ッ! ファントムフェニックスッ!!」
尾を攻撃しても埒が明かないと判断したのか、エキドナがアインストヴォルフの顔面に攻撃を仕掛けた……しかし、それはアインスヴォルフにダメージを与えることは無く霧散する。
『邪魔をするな、人形風情があああああーーーッ!!』
「あぐうっ!? う、うううッ!?」
アインストヴォルフの巨大な両手がプロトアンジュルグを掴み、両手で握り締める。
「うわああああーーッ!!!」
プロトアンジュルグの装甲が軋み、機体の各所が加えられる圧力に耐え切れず爆発を繰り返す。
『消え去れええッ!』
その雄叫びと共にアインストヴォルフが更に力を込めようとした瞬間――紅蓮の不死鳥が舞った。
『ぐ、ぐおおおおッ!?』
突然の強襲、そして目を狙われた事によるキョウスケの苦悶の悲鳴が響き、雲の切れ間から戦乙女が舞い降りてきた。
「間に合ったようですね、アクセル隊長。遅れましたが、W……ラミア・ラブレス。合流しました」
プロトアンジュルグとは違う、鮮やかなピンク色の装甲を持つ機械仕掛けの戦乙女の放った炎の不死鳥の嘴が、的確にアインスト・ヴォルフの目を撃ち抜き、エキドナと武蔵を救っていた。
「遅いが、良いタイミングで来た! そのままベーオウルフの目を狙えッ! このまま一気に攻め込むッ!」
「この好機を逃がす訳には行かないッ!」
「ああ、ここで決める!」
終始圧倒されていたアインストヴォルフとの戦い……その中で生まれた初めての好機を逃がさない為にイングラム達は一気にアインストヴォルフへと飛び掛るのだった……。
アインストヴォルフにエネルギーを吸い取られ、まともな稼動が出来ないゲッターD2を必死に操り、武蔵は墜落してきたプロトアンジュルグを受け止めていた。
『エキドナさん! エキドナさん、大丈夫ですか!?』
「……うっく……武蔵か……あ、ああ……何とか無事だな……」
武蔵の声がプロトアンジュルグに響き、意識を失っていたエキドナは意識を取り戻した。だがモニターは全て停止し、操縦桿を動かしてもプロトアンジュルグは再起動する様子もない。
(無理もないか……)
あの巨体に握り潰されそうになっていたのだ。正直良く爆発しなかったと思うべきだとエキドナは感じていた。
(W-17が来た……だから大丈夫だ)
完成したアンジュルグと、バリソンが運転してきたトレーラーがギャンランドに回収されるのを見て、エキドナはもう自分の役目は終わったと判断した。
「機体がもう駄目だな……武蔵私の事はいいから、戦線に……『何言ってるんですか! 動かない機体に乗ってたら死ぬに決まってるでしょう! こっちに乗り移ってください! 死んだら駄目だッ!』……」
プロトアンジュルグのコックピットに向けられるドラゴンの腕……それを見てエキドナはどうすればいいのか判らなかった。役に立たない兵器は廃棄されるだけ……そう思っていた。だが死んだら駄目だと言う武蔵の言葉にエキドナはどうすればいいのか判らなかった。
「私は生きていても……良いのか?」
『良いに決まってるッ! アクセルさん達が化け物を弱らせてくれたから、もうすぐ転移システムが使えるって連絡がありました。早く乗り移ってくださいッ!』……判った」
自爆をしてレモン達の助けをしようと思っていた。だが武蔵の生きろと、死んだら駄目だと言う言葉にエキドナは緊急脱出のレバーを引き、ドラゴンの手の平に飛び移ると、ライガー号のコックピットが解放され、エキドナはその中に身体を滑り込ませた。
『悪いですけど、操縦桿とかは握らないでください、シートベルトをつけて我慢しててください』
「ああ、判った。私は何もしない」
初めて乗り込んだドラゴンは新西暦のコックピットに慣れているエキドナにとって未知の存在だった。触らないでくれと言われたが、操縦がわからない機体を動かす訳には行かないと武蔵に言われた通りシートベルトを締める。
『凄い乗り心地が悪いですけど、我慢しててくださいよッ!』
ドラゴンが起き上がると同時に飛翔する。我慢していてくれと言われたが、エキドナはその急上昇の重力に耐え切れず、悲鳴を上げる間もなく意識を失った。
「武蔵、戦えるのか!」
『大丈夫ですッ! エキドナさんも無事です』
戦線に復帰したゲッターD2を見てアクセルは小さく笑みを浮かべた。ラミアの奇襲によって、アインストヴォルフにダメージを与える事が出来た――回復はされているが、それでも明らかにアインストヴォルフの勢いは弱くなっている。
「あのまま奴が力をつければ、奴は間違いなく俺達にとっての脅威になる。判るな?」
『大丈夫です。言いたい事は判りますから』
「そう言うことだ。今ここで奴を倒す……ッ!」
アクセルはそう言うとソウルゲインのモニターに視線を向けた。
「残り時間は127秒……奴を倒して転移する……どうする? ギャンランドに戻るか?」
『冗談、ここまで来たら最後までやりますよ』
既にイングラム達はテスラ研の敷地内に撤退している。ならば武蔵とアクセルの選択肢は1つだった。
「認証コードOK、起爆時間セット……タイムラグは5秒……とんだ博打だな、これが」
『ゲッターで運べば、秒もかかりませんよ』
「ああ。乗り心地は最悪のタクシーだが……我慢してやるさッ!! 行くぞ武蔵ッ!」
『おうッ!!』
アインストヴォルフに向かって駆け出すソウルゲインとゲッターD2を見て、レモンから慌てて通信が繋げられる。
『ちょっと待って! すぐ私達が跳ぶ番なのよッ!? ベーオウルフを倒すよりも戻ってくる方が確実よ!?』
「後顧の憂いは断っておかねばならん。奴は危険な存在だ……ここで仕留めるッ!」
『転移の瞬間に攻撃されても困るでしょう? 大丈夫ですよ、アクセルさんとエキドナさんと一緒に戻ります』
『言っても無駄か……馬鹿が』
『……もどれよ、武蔵』
アクセルと武蔵には何を言っても無駄さと判断したのか、イングラム達はそう言うと黙り込んだ。だがそれは武蔵ならば確実に戻ってくるという無言の信頼の現われだった、
『その憂いって、ベーオウルブズの事かしら? それとも……』
『どちらも、だ。俺達が行った後、リュケイオスには確実に消えて貰わねばならん……不確定な要素は可能な限り取り除く……そのイレギュラー足り得る、こいつはなッ!」
『静寂なる世界を乱す者は修正するッ!!』
胸部にエネルギーを溜め込むアインストヴォルフを見て、武蔵とアクセルは確信する。キョウスケは既に人智を越え、ゲッター線を取り込んでアインストも超越した……ここで倒さなければ、時空転移を獲得して何処までも追ってくると直感で確信したのだ。
『残り時間109秒……乗り遅れないでよ、アクセル、武蔵』
「俺達の事は気にするな、先に行けッ!!」
『大丈夫ですよ。オイラもアクセルさんもちゃんと戻りますからッ!』
その通信を最後にレモン達からの声は途絶えた。恐らく転移したのだろう、それを確認すれば残る不安要素はアインストヴォルフだけだった。
『行くぜぇッ!!!』
『進化の使徒ぉおおおおッ!!!』
ソウルゲインに向けていたエネルギーの放出口。それをゲッターD2が近づいてきているのを感知すると、その砲身をゲッターD2に向けた。
『オープンゲットッ!!!』
今正に光線が放たれると言うタイミングでゲッターD2がゲットマシンへと分離する。目標を失った事で、アインストヴォルフはソウルゲインにその砲口を向けた。だがそれは明らかなミスだった……。
「しつこい男は嫌われるぞッ! ベーオウルフッ!!!」
懐に飛び込み様に叩き込まれた膝蹴りで砲口を無理やり逸らされ、光線は明後日の方角に向かって打ち込まれた。
『チェンジッ! ポセイドンッ!! ゲッタァアアアサイクロンッ!』
上空でポセイドンにチェンジし、そこから放たれた暴風がアインストヴォルフを飲み込み、その巨体を上空に向かって打ち上げる。
『フィンガーネットッ! アクセルさんッ!!』
「いい距離だッ! これがなぁッ!!!」
フィンガーネットで絡めると同時にソウルゲインに向かってアインストヴォルフを投げつけるポセイドン。そしてその先で待ち構えていたソウルゲインの回し蹴りが剥き出しのアインストヴォルフのコアにめり込んだ。
『こいつはおまけだッ! もって行きやがれッ! ストロングミサイルッ!!!』
「貫け、青龍鱗ッ!!」
『が、ガアアアアーーーッ!?』
態勢を立て直す間もなくストロングミサイルと青龍鱗の直撃を受けたアインストヴォルフは胸部が破壊され、大きく仰け反る。
「武蔵ッ!」
『判ってますッ!!』
『「地獄へ落ちろぉッ!!!」』
ソウルゲインとポセイドンの体当たりを喰らい、アインストヴォルフはテスラ研の搬入口へと叩き落される。
『……どういうことだ。静寂を乱す箱舟は何処だ!?』
落とされた場所で困惑するベーオウルフの声が響いた。そこにあるはずのギャンランドがない……最初からここにはいなかったのか、自分が誘い込まれたのかと混乱するベーオウルフにアクセルが挑発の言葉を投げかける。
「転移したのさ」
『……転移だと……?』
「そうだ、そして俺達も行く、新たなフロンテイアへッ!」
『だけどお前に行く所は地獄だッ! 今まで皆を苦しめて、そして色んな人を殺したことを悔いろッ! アインストッ!!』
満月を背後にしたソウルゲインとポセイドン2のカメラアイが力強く輝いた。
「リミット解除ッ! コード麒麟ッ!!!」
ソウルゲインの全身の水晶体が光り輝き、アインストヴォルフに向かって急降下する。
『死ぬのは貴様だッ! アクセル……アルマァァァアアアアアーーッ!!!!!』
アインストヴォルフの両肩が開き、エネルギー状のクレイモアがソウルゲインに向かって撃ち出される。
『アクセルさんはやらせねえッ!!!』
「すまん……武蔵ッ!! 恩に着るッ!!!」
命中する寸前の所でポセイドン2が割り込み、両腕をクロスさせクレイモアの弾雨からソウルゲインを庇う。
『アクセルさんッ! 後は頼みましたよッ!!!』
クレイモアの射出が終わると同時にポセイドン2がソウルゲインの腕を掴み、反転しながらソウルゲインをアインストヴォルフに向かって投げつける。
『己ぇえええええーーッ!!!』
だがアインストヴォルフも好き勝手させる訳がない、急加速して突っ込んでくるソウルゲインに向かって再びクレイモアを射出する。
「ぐっ……くそっ! ソウルゲイン……俺を……勝たせてくれぇえええッ!!!」
ポセイドンが耐えたクレイモアよりも数も威力を劣っているが、それでもクレイモアの威力は凄まじくソウルゲインの装甲が容赦なく抉られる。レッドアラートを響かせるコックピットの中でアクセルは己を勝たせてくれと相棒の名を叫んだ。
『うぐああああああッ!?』
『アクセルさん、極めちまえッ!!!』
クレイモアを射出するアインストヴォルフの動きが止まった。着地したポセイドン2のゲッターキャノンの直撃を受けて僅かに硬直した隙にソウルゲインがアインストヴォルフの懐に飛び込んだ。
「でやああああああーーーッ!!!」
裂帛の気合と共に振るわれた一閃がアインストヴォルフの胸部と頭部を完全に打ち砕き、バランスを上手くとれず地面に叩きつけられそうになるソウルゲインをポセイドン2が受け止める。
「ベーオウルフ……俺の……俺達の勝ちだッ!」
1人では決してアクセルはアインストヴォルフには勝てなかった。だが、武蔵とポセイドン2の存在がアクセルを勝利へと導いた。
「俺は、俺達はこの世界と決別する……貴様はそこに這い蹲って吼えているがいい、リュケイオスが燃え尽きる業火の中でなッ!!」
リュケイオスが起動し、ソウルゲインとポセイドン2を光の中に包み込む……それは時空間転移の光だった。
『ふざけるなあッ! 進化の光はッ! 俺達のものだああああッ!!!』
胸部と頭部を再生させながらアインストヴォルフはソウルゲインとポセイドン2の元へと走る。転移をさせまいと、あるいは転移する世界に己も連れていけと言わんばかりにその両手を伸ばし、ソウルゲインとポセイドン2を掴み取ろうとする。
『オイラは誰の者でもない、オイラ自身の物だッ! 今まで殺してきた人達の事を悔いてあの世へ行けぇッ!!』
「行き掛けの駄賃だ……その首貰うぞッ! ベーオウルフ……いや、キョウスケ・ナンブゥッ!!」
玄武剛弾、そしてゲッターキャノンの砲弾がアインストヴォルフの両腕を打ち砕き、コアを打ち砕くと同時にソウルゲインとポセイドン2は転移の光の中に消え、今まで暴虐の限りを尽くしてきたアインストヴォルフもまたリュケイオスの爆発によって生まれた業火の中へと消えていく……最後までアクセルの名と進化の使徒と叫びながら、その全身を地獄の業火に焼かれ、細胞の欠片も残さず燃え尽きるまでの間アクセルと武蔵への恨みを叫び続けているのだった……。
だが武蔵とアクセルは知る良しもない、最後までアインストヴォルフと戦っていたことで、想定していた転移軸からずれると言う事を……
アクセル・アルマーはL5戦役最中の月面へと跳ばされ武蔵と出会う。
そして武蔵は……ゲッター線がたどり着く、1つの袋小路の未来へと流れ着くのだった……。
第24話 地獄 へ続く
OG2編序ももうすぐ完結。次回の話でOG2序は終わりなので、最終話は本日23時に予約投降で投稿させていただきます。ちょっと予約投稿はあんまり使ったことがないので不安要素ではあるのですが、日曜日からのOG2・本編の為に使いたいと思います。
シャドウミラー
インベーダーズ
そして百鬼帝国
が暗躍し、本来の時間軸と外れたOG2の世界がどんな物になっていくのかを楽しみにしていてください。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。
視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか
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サイドまたは視点は必要
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今のままで良い