第14話 強襲
マーシャル諸島近海を進むハガネのブリッジには普段見ない組み合わせがあった。ラトゥー二とシロとクロと武蔵と言う、異質すぎる組み合わせである
「……DCは、AMのほかに連邦軍の機体を使っている事があるから、気をつけて」
ラトゥー二が武蔵達に説明しているのは、識別信号の話だった。コウキとカザハラの改造で更にアップデートされた
「大体は所属基地で部隊コードで判別すればいいニャ?」
「いや、でもよ、クロ。奪われた機体だと、そのままだろ? そこの所はどうすれば良い?」
「……そこは対処が難しいけど、通信コードは判ってないと思うから、通信コードで確認を取るって言う方法もある」
なるほどなるほどと頷く武蔵とシロとクロ。そんな4人(内2匹は猫)をブリッジのメンバーは微笑ましそうとでも言うような表情で見つめていた
(……ラトゥー二が、ジャーダ少尉や、ガーネット曹長以外の人とこんなに喋るなんて珍しいわね)
特にオペレーターのリオは微笑ましそうに、その光景を見つめていた。ただし猫もいるので、やや複雑と言う感じだが
「いや、すまねえな。ゲッターにはこういうの全然入って無くてなあ」
「……大丈夫、これを組み込めば、判るよ」
南鳥島で助けられた事もあるラトゥー二は武蔵と話す事も多い、ジャーダやガーネット共武蔵が仲が良いのが理由だと思うが、武蔵の雰囲気と言うのは妙に親しみを持てる……そんな空気を纏っている
「……お前達何をしているんだ?」
休憩から帰ってきたテツヤがそう問いかけた瞬間。ラトゥー二は黙り込んでしまう、武蔵はそんなラトゥー二を見て苦笑する。
「オイラとクロとシロに敵機のデータを用意してくれてたんだ。ゲッターにそういうの付いてないから、目で見て判断してるだけだし」
武蔵の説明になるほどと納得した様子を見せ、テツヤは自分の席に腰掛ける。いずれ、ハガネを出るとしても共に戦う間の連携は必要不可欠だからだ。
「このデータをサイバスターのコンピューターに組み込めば戦闘がやりやすくなるニャ」
「お? じゃあオイラのゲッターにも入れてくれるか?」
OKにゃと返事を返すシロとクロ。そして猫にPC操作を頼む武蔵……その異様な光景にテツヤは顔を歪める。
「ふふん、私達は使い魔だからニャ。ただの猫と違うのニャ!」
「……西洋の魔女が使役する下級悪魔の事……」
ラトゥー二の補足にテツヤはますます顔を引き攣らせる、堅物なテツヤにはシロとクロの存在は中々許容できない物のようだ。
「ふふふ……テツヤ大尉って、そっちの方面の話は苦手みたいですね」
「あ、ああ……そう言う事は士官学校では習わないしな」
リオにからかう様に笑われ、テツヤは気まずそうに笑う。そんな様子を見ながら武蔵は座っていた椅子から立ち上がる。
「じゃあ、シロクロ、オイラのも頼むよ」
「……私が見てあげようか?」
「おお、良いのか、そりゃ助かる。早速行こうぜ」
混乱しているテツヤに背を向け、シロとクロを肩に乗せて武蔵とラトゥー二はハガネのブリッジを後にする。だが新たな脅威はハガネの直ぐ側まで迫っているのだった……
ラトゥー二とシロとクロに敵機のデータをゲッターにインストールしてもらった武蔵は、ベアー号のコックピットに背中を預け考え事をしていた。
「うーむ……どうしたものか」
テンペストやエルザムと言ったエースパイロットと呼ばれる相手と対峙し、武蔵は自分とそしてゲッターロボの弱点を感じていた。武蔵が戦ってきたのメカザウルスは良くも悪くも、力押しでありそこに駆け引きと言う物は余り存在しなかった。だがこの時代で武蔵が得意としてきた力押しの戦法は通用しないと言う事を嫌と言うほど思い知らされていた。緩急の付いた動き、正確無比な射撃、それらはゲッターに乗って戦っている時に体験した事の無い未知の戦闘だった。野性的な勘を持つリョウならば、直感で戦う。それは武蔵も同様だが、直感では対処しきれない相手が多すぎる。
「……隼人がいてくれたらな」
脳裏に過ぎるのはいけ好かないが、それでも友人としてやってきた隼人の姿。隼人ならば、ゲッター2を乗りこなし、そしてサイズが違ったとしてもPTと戦う事が出来ただろうと武蔵は思わずには居られなかった……
「いけねえ、いけねえ」
今は隼人も居ない、リョウもいない……いや2人からすれば自分が居なくなったのだ。自分で望んで、リョウと隼人に未来を託したのだ……それなのに何を弱気になっているのだ。
「なんとかする方法はあるはずだ」
アイドネウス島を脱出した時よりもゲッターの調子は良くなっている。確かにPTとの戦いは自分には辛い物だが、何とかなる。そう自らを鼓舞した武蔵はゲットマシンを降りようとして、ふと気付く。
「あれ?」
ジョナサンとコウキにメンテナンスと修理、そして改良を施されたゲットマシン。時間的な問題でパイロット保護装置を搭載する事は出来なかった(武蔵本人が必要ないと言ったのもある)沢山の計器の中の1つのゲージに武蔵の視線が止った。
(増えてる……?)
それはゲッター線の貯蔵量を示すゲージ。今まではゲージのメモリの4分の1部分を行ったり来たりしていたのだが、何故か今はメモリの半分までゲッター線が増えていたのだ。
「どうしたんだろうな?」
何で急にと思いながらも、改良で調子が良くなったのだと前向きで受け取ることにした武蔵の耳に男女の声が飛び込んでくる。
「俺に何か用か?」
声の聞こえたほうに視線を向けるとクスハとマサキがいた。何の話をしているのか? と興味を持った武蔵は食堂に向かう前にそちらに足を向ける
「おう、クスハ、マサキ。どうかしたのか?」
「あ、武蔵君。丁度良かった、武蔵君も探してたの」
クスハの弾ける笑顔に武蔵は思わず自分の顔を指差して、オイラも? と呟く。クスハは満面の笑みで武蔵君もだよと告げる。
「こないだの診断結果で2人とも体調が良くなかったから、特製ドリンクを作って来たの」
「お、おーそう言えば頼んでたな。ありがとう」
社交辞令じゃなかったんだと笑った武蔵とマサキにクスハがグラスを差し出してくる
「へー、独創的な色をしてるな」
「見た目は悪いですけど、効き目はありますから」
「いやー良薬は口苦しって言うしなッ! 早速頂くよ」
武蔵は満面の笑みで受け取る、だがマサキはどうしてもそのグラスを受け取る事が出来なかった。独創的な色と告げたが、どどめ色で見ただけでやばいと一目で判る。顔が引き攣っているのを見て、クスハがそうフォローをする
(いやいや、見た目が問題なんだけど……怪しげな粒粒が入ってるし……)
見た目が悪いってレベルじゃねえよと心の中で呟きながら、隣の武蔵を見ると腰に手を当ててそのグラスを一気飲みしている
「ぐっぐっ……ぷはあーッ! おー案外行けるなッ! お代わりあるかい?」
「は、はい! 勿論! どうぞどうぞ」
武蔵のグラスにクスハが嬉々として注ぐのを見て、見た目ほど味は悪くない? と警戒しながらマサキはグラスを手にする。だがその色と怪しい見た目にどうしても飲むと言う勇気が沸かない。
「マサキ、人の好意を無にするのはよくニャいニャ」
「武蔵は平気そうに飲んでるよ」
物凄く美味そうに飲んでいるので、見た目ほど悪くないのかもしれない。マサキはそう思い、グラスを口につける
「……うっ……」
「ん? マサキ。どうした?」
クスハと武蔵が見つめる中。マサキは急に苦しみ出し、格納庫の上に倒れる。
「な、なんなのッ!?」
そしてそれと同時にハガネの緊急警報が鳴り響くのだった……
降下カプセルによって降下したAM部隊がハガネの前面に展開する。コロニー統合軍……「トロイエ隊」が操る、宇宙戦特化型のコスモリオンによる部隊だ。
「よろしいのですか、隊長? 我々の任務は、降下部隊の護衛と新型AMの受け取りです」
トロイエ隊に所属する「レオナ・ガーシュタイン」は隊長である「ユーリア・ハインケル」に確認を取るが、ユーリアは返事を返さず、ハガネの包囲網を狭めるように指示を出す。
「任務が終り次第、直ぐに宇宙に帰還せねばなりません。ここで時間を無駄にする訳には……」
「私はエルザム様から報告があったハガネとゲッターロボに興味がある。彼らがどれだけの力を持っているのか、この目で確かめたい」
レオナの言葉を遮るようにユーリアが告げる、だがレオナはその言葉を聞いて僅かな焦りの色を見せる。
「しかし、早くDC部隊と接触しなければ……」
「融通の利かない所は相変わらずだな、レオナ・ガーシュタイン。やはり血筋は争えんか?」
ユーリアの言葉に一瞬言葉に詰まったあと、レオナは自分の考えを口にする
「私は総司令から与えられた任務を確実に遂行したいのです」
「良いか、レオナ。我がトロイエ隊は、マイヤー総司令をお守りするためにいかなる敵とも戦わねばならない、だから新たな敵との戦闘は
我等の力を向上させるまたとない機会だと思え。特に、ハガネにいるゲッターロボはあのエルザム様が強敵であり、なんとしても説得したい相手と言っていた。ならばその力を見て見たいとは思わないか?」
ユーリアの言葉にレオナは少し考え込む素振りを見せたあと、判りましたと返事を返すのだった。
「……出てきたか、あれがゲッターロボか」
ハガネから出撃したPTの中に浮かぶ3色の戦闘機。変形合体すると聞いていたが、本当に戦闘機なのだなと呟く
「試作機や試験機を前線に投入するなんて、それほどまでに彼らの戦力は困窮しているのでしょうか?」
浮遊しているとも取れるゲッターロボではなく、ハガネから出撃したPTを見てユーリアに問いかけるレオナ。ユーリアはその言葉を聞いて笑みを漏らす
「宇宙戦闘仕様で出撃している我等に言えた事では無いぞ? ゲットマシンのデータ取りを忘れるなよ」
「隊長。それほどまでにあのゲットマシンと言う物は警戒するべきなのですか?」
とても戦闘に耐えるようには思えないと告げるレオナ。ユーリアはその言葉を聞いて笑う、確かに見た目はとても戦闘に耐える物ではない。更に言えば何故飛べるのかと思わずにはいられない作りだ
「レオナ、油断はするな。あのエルザム様があそこまで注目しているのだ、何か秘密があると思え」
ユーリアはレオナをそう叱責し、PT1体に付き2機による攻撃を徹底せよと命令を下すが、ゲットマシンだけには4体で包囲せよと命令を下す。勿論自身もその中に含んでだ、レオナはユーリアの指示に腑に落ちない点を感じながらも指示に頷き、ハガネへとコスモリオンを走らせるのだった。
ラングレー基地から運ばれてきた2機のゲシュペンストMK-Ⅱは今までメッサーに乗っていたジャーダとガーネットの機体になり、イルムがグルンガストに乗り換えた事で空いたヒュッケバイン009はラトゥー二が乗ることになった。戦力的には格段に上昇している筈だったのだが、ハガネは劣勢へと追い込まれていた。
「ちいっ! ここまで分断してくるかッ! 大丈夫か! ガーネットッ!」
「な、何とかッ! っと!」
コロニー統合軍のエリート部隊でありトロイエ隊の錬度は想定以上に高く、そして連携をさせない事を重視し、ハガネのPT部隊は完全に分断されていた
「各員。冷静に対応せよ、良いか勝機はある。僅かなチャンスを見逃すな」
イングラムからの通信がハガネの部隊全員に伝えられる。2機による連携攻撃はミサイルにより足を止め、レールガンによる狙撃。それを素早くスイッチする事で足止めと破壊を同時に行っていた。イングラムの言うチャンスは役割が交代する瞬間……それも殆ど一瞬に等しい。
「でも教官。武蔵は……」
「ふっ、ほっておけ。あいつは自分で何とかする。それよりもビルドラプターの攻撃で戦線を崩せ、合流する機会を作るのを忘れるな」
4機のコスモリオンの猛攻撃に晒されているゲットマシンを見て、リュウセイが心配そうに告げるが、イングラムはほっておけとリュウセイに指示を飛ばす。2機による攻撃は弾幕に呼ぶに相応しい猛攻撃だ、だが相手に好き勝手されて撃墜されるわけには行かない
「そこだ! ファイナルビームッ!!!」
グルンガストの胸部から放たれた熱線が僅かにコスモリオン同士の連携を分断する。その一瞬の隙を突いて、ジャーダとガーネットのゲシュペンストが合流し、M950マシンガンの弾幕を張る。
「見たな、リュウセイ。ゲットマシンの他に飛行できるビルドラプターで合流する機会を作れ、相手は確かにエース部隊だ。だが相手は宇
宙戦仕様だ、大気圏での戦闘は前提にされていない。その面ではお前が有利だ、やってみせろ」
「りょ、了解ッ!」
了解と返事を返すリュウセイだが、味方と敵を瞬時に見極め、合流の経路を作る。その難易度の高さに冷や汗を流す、だがチャンスはある。イングラムに言われたとおり良く観察すると確かにコスモリオンの動きは鈍い所がある、後はセンサーを確認しながら攻撃を放つタイミングを見計らうだけだ
「へっ! 行くぜええッ!!!」
視界の隅でゲットマシンが海中へと突っ込んでいく、今まで上昇したり旋回したりしたのに、急な急降下は完全にコスモリオン達の包囲網を突破していた。
「ッ! そこだッ!!!」
その突然の急降下によって発生した気流の変化でコスモリオンの動きが一瞬乱れた。その一瞬を見逃さず、アンダーキャノンを放つ
「リュウ! ありがとう! ライッ!」
「了解です! 大尉ッ!」
アヤのゲシュペンストとシュッツシバルトが合流したのを確認するのと同時に、リュウセイはビルドラプターを変形させる
「ッ!?」
「貰ったッ! 行けッ!!」
左右から挟撃を放とうとしていたコスモリオンの目の前でPT形態に変形する。飛行能力を失い降下していくビルドラプターにコスモリオンは一瞬硬直する。降下していく衝撃に顔を歪めながらリュウセイはビルドラプターを操作し、M-13ショットガンの引き金を引いた。狙ったわけでは無い、弾幕でコスモリオンの追撃を防ぎ一箇所に留める。それがリュウセイの狙いだった
「ライ! 頼んだッ!」
「ふっ、任せろッ!」
ツインビームキャノンの掃射でコスモリオンが2機姿勢を崩す、それを確認しながら機体を反転させ、何とか足から着地させるリュウセイ。そして姿勢を崩しているビルドラプターにシュッツバルトとゲシュペンストが支援に入る、こうなるとコスモリオンも追撃を仕掛ける事が出来ず、一時上空へと離脱する。
「随分と無茶をしたな」
「いや、何度か武蔵が同じような動きをしてるのを見てるからな」
「……全く、でも良い判断よ」
ライの問いかけにリュウセイは苦笑しながら返事を返す。ゲッターの変形パターン、そして合体パターンを見ていた。ゲッターが出来るなら自分も出来ると思い挑戦し、そしてそれを成功させた……それはリュウセイのパイロットとしての腕が確実に成長していると言う証だった。
ユーリアは自らのミスを感じていた。ゲットマシンはゲッターに合体させなければ脅威では無い、分離形態のうちに確保する事が出来れば無力化させるのにもっとも効率の良い方法として聞いていた。そしてそれを実行していたのだが、コックピットの中でユーリアは笑みを浮かべたのだ。
(良い腕をしている)
あんな戦闘機で4機のコスモリオンによる攻撃をかわし続ける武蔵の腕にエルザムが認めたのも納得だ。だがユーリアはまだゲッターと言うのを理解していなかった、まさか自ら海中に突っ込んでいくそんな行動に出るとは思っておらず反応が遅れたのだ。
「追えッ!!」
自らも追いかけながら叫ぶ。だが急降下していくゲットマシンのスピードには追いつけない
「ブーストナックルッ!」
「T-LINKリッパーッ!!」
合流しつつあるハガネのPT部隊による援護射撃も入り、ゲットマシンに追いつけない。いや、追うことに恐怖したのだ。この勢いで海中に突っ込むと言う事は鉄の壁に自ら飛び込むのと同意儀であり、その事に恐怖したユーリアは機首を上昇させ追撃を中断させたのだ。
「チェーンジッ! ゲッタアアアーッ!!! ワンッ!!!」
水柱を上げながらゲットマシンが海中へと消える。そして海中から弾幕が放たれる
「くっ! 合体を許したかッ!!」
海面を割って現れたゲッター1が両手にしたマシンガンによる弾幕。特機サイズの攻撃にユーリア達は回避することしか出来ない
「トマホークブゥゥメランッ!!!」
しかしゲッターの攻撃はそれでは終らない、マシンガンを収納すると同時に飛翔し、両手の斧を投げつけてくる。リオンと同等のサイズの斧が突っ込んでくるのは恐怖であった。エルザムが危険と告げた理由をユーリアは今理解した
(恐ろしい機体だ)
あの運動性能に加えて、一発でもかすればリオンを粉砕する攻撃力。それはいかにエースパイロットと呼ばれるユーリアにとっても、動きを硬直させるだけの威圧感を持っていた。
「……流石エルザム様が脅威と言っただけの理由はある。総員撤退だ」
これ以上は危険と判断し、部隊に撤退指令を出す。今回はあくまで様子見だ、これで深追いし、負傷するのはユーリアにとっても本位では無い。機体を反転させ即座に戦闘空域から離脱していく、あくまで本来の任務はDCと合流し、新型AM「ガーリオン」を受け取ることにある。これが命じられた戦闘ならば、最後の1機になるまで戦ったが、偵察目的で深追いはしない。
「隊長。ライディースがハガネに乗っていました」
「……そうか……」
自らの総司令であるマイヤーの息子がハガネに乗っている。自分は交戦しなかったが、このような場所で再会した事にレオナは少なくないショックを受けている様子だった。
「レオナ、私達は総司令に与えられた指令を全うするのだ」
「……はい」
トロイエ隊は数少ないビアンとマイヤーの真意を知る部隊だ。自分達が為すべきことを忘れるなとレオナに命じ、ユーリアは合流地点に向かってコスモリオンを向かわせていたのだが……
「「「ギシャアアアアアッ!!!」」」
「な、何ッ!?……くっ! 総員反転! この空域から離脱するッ!」
「隊長しかし! 離脱する先にはハガネがッ!」
「仕方ない! 我等は全滅するわけにはいかんのだッ!!!」
突如海中を割って現れた異形によって、撤退を妨害されハガネのいる空域へと追い込まれることになるのだった……
トロイエ隊が離脱し、ブリッジが着艦命令を出そうとした時。ハガネのレーダーに反応があり警報を鳴らす
「今度は何だッ!」
「この空域に急接近してくる物体を感知しましたッ! 先ほどの部隊ではありませんッ!」
エイタの報告にブリッジに緊張感が走り、PT部隊に警戒指令を出す。
「識別信号はどうなっている?」
ダイテツが険しい顔でエイタに尋ねる。このタイミングでの増援、トロイエ隊と言うエリート部隊を囮にした。次に現れる敵に警戒するのは当然の事だった
「……識別信号は不明ッ! 熱源反応は特機クラスですッ!」
「何が現れるというんだ……ッ!?」
そしてハガネが警戒する中。海面の上を滑りながら禍々しいオレンジ色の特機がハガネの直ぐ側に現れる。その威圧感は凄まじく、ブリッジだけではなく、リュウセイ達にも緊張が走る。
「な、なんだよ。あの巨大ロボットは……」
「な……なんだ、あいつはッ!?」
ゲッターも40M級の特機でかなり巨大だが、今現れた特機は60m近い。その巨大さに戦場に緊張感が走る。赤とオレンジの威圧感を与えるカラーリングに、不気味さを与える4つの複眼……機体の巨大も相まって凄まじい存在感を持つ特機だった。
「グランゾンでも、エアロゲイターの機体でもない……DCの新型か、警戒を緩めるな」
イングラムからの通信に続き、オープンチャンネルで特機からの通信が入る。
「初めまして、諸君。私がDC総帥ビアン・ゾルダークだ」
機体から入った通信と映像は紛れも無くビアンの姿でハガネそしてPT部隊に驚愕が広がる。
「び、ビアンっていったわね。本物ッ!?」
「さ、さあな……ホログラフィかもしれないぞ」
ガーネットの叫びにジャーダが軽口を叩くが、それはそうあって欲しいと言う願いの表れであるのは明らかだった。
「あの機体は実体ッ! 本物のビアン・ゾルダークッ!」
「ど、どうしてDCの総帥がこんな所に……」
直ぐにラトゥー二の分析結果が伝えられる。何故、どうしてと言う疑問が全員の脳裏を過ぎる
「……久しぶりだな、ビアン・ゾルダーク」
「まったくだな、ダイテツ・ミナセ。ヒリュウの進宙式以来か?」
同じくオープンチャンネルで通信を入れるダイテツに、ビアンは笑みを浮かべながら返事を返す。
「ここに現れた目的は何だ?」
「決まっているだろう?この私が直々に赴いた意味が判らないわけではあるまい。最後のチャンスを与えに来たのだよ」
「チャンス……だとッ?」
「そうだ。己の運命を選ぶ最後のチャンスだ。我が軍門に降りるか、それともここで死を選ぶか……選択は2つに1つだ」
静かに告げるビアン。機体の威圧感もあり、誰もが動く事が出来ない中。ただ1人だけが動き出すッ!!!
「うおおおおおおッ!!!」
「ふっふふふ、来るか。武蔵君」
ゲッタートマホークを手にヴァルシオンに切りかかる。ビアンはそれを見て、ヴァルシオンが手にしてたディバインアームで受け止める。
「ビアンさん、こんな形で残念だよ」
「ふふふ、残念と思うことは無いぞ武蔵君? 私がここに来たのは君を迎えに来たと言うのもある」
ビアンの言葉にハガネのPTがゲッターの方を見る。スパイと言うのを疑っているわけでは無い、テンペスト、エルザム、そしてビアン……DCの関係者全員が武蔵を説得に来ている。それだけDCでも重要視される立場に武蔵がいたと言う事に驚いていたのだ
「迎えか……そうだな。ビアンさんが戦争なんてしなければ……オイラはついていったかもしれないな。あんたには本当に感謝しているし。でもな……戦争をしているあんたにはついて行けない」
「ふ、ふふふ……ハーッハハハハハッ! そうだ。君ならそういうと思っていたッ!!!」
高笑いをしたビアンはディバインアームを振るい、鍔迫り合いをしているゲッターを吹き飛ばす
「来るが良い。ハガネ、そしてゲッターロボ。ここで私を倒せばこの戦争は終るぞ? 平和を取り戻したいのだろう? ただし、お前達にこの究極ロボ「ヴァルシオン」を倒す事が出来ればの話だがな」
ビアンの挑発するような言葉にダイテツが指示を飛ばす。
「全機ヴァルシオンへの攻撃を開始せよッ!!」
その指令を合図にPT部隊、そしてゲッターロボがヴァルシオンへと向かっていくのだった……
第15話 強襲その2へ続く
今回はここで区切りがいいので、ここできりたいと思います。次回からオリジナル要素をかなり入れていく予定です、ユーリア達トロイエ隊が遭遇した物はなんなのか、そしてゲッターが加わっているハガネの部隊とのヴァルシオンの対決がどうなるのか、そこらへんも楽しみにしていただければ幸いです。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか
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サイドまたは視点は必要
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今のままで良い