進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第18話 予想外の再会 その9

第18話 予想外の再会 その9

 

 

この場にいる全員が喜びとそして驚愕でその目を大きく見開いた。半年の間探し続けたゲッターロボ……それが自分達の目の前にいる。角が折れて、全身に亀裂が走っているがそのたくましい姿と味方を鼓舞する力強さは全く損なわれていなかった。誰もが声を掛けたい、だが声を掛けては消えてしまう……そんな気がして声を掛けれない中ゲシュペンスト・リバイブ(S)のギリアムから広域通信が繋げられた。

 

「……すまない、助かった」

 

ギリアムの言葉に気にするなと言わんばかりに右手を上げたゲッターロボに向かって地響きを立てて、ゲシュペンスト・MK-Ⅲ・タイプSと切り結んでいた剣角鬼が襲い掛かる。いや、剣角鬼だけでは無い、鳥獣鬼、半月鬼、猿鬼が自分達が相手をしていたグルンガスト、アルブレード、R-GUNの攻撃を受けながらもゲッターロボに向かって走り出した。この場にいる全ての百鬼獣が一斉にゲッターロボに襲い掛かる、如何にゲッターロボが強くても全方位からの同時攻撃は捌ける物では無い。

 

「やらせるなッ! あの化け物の動きを止めろッ!!」

 

カイの指示が飛ぶがそれよりも早く、エクセレン達は動き出していた。だが百鬼獣は被弾などお構いなしにゲッターロボに襲いかかり、その手にした武器をゲッターロボに向かって振り下ろした。

 

「武蔵いッ!!」

 

ボロボロのゲッターロボでは勝てないと感じたのかアルブレードのリュウセイがその名を叫んだ。その瞬間ゲッターロボはマントで身体を覆うと、ソニックブームを起こしながら上空へと舞い上がる。

 

「ゴガアッ!!!」

 

「キュアアアアーーーッ!!!」

 

「ギギーッ!!」

 

それを見て半月鬼達もゲッターロボを追いかけて上空に向かって急上昇したと思った瞬間。すべての百鬼獣がどす黒い体液と苦悶の鳴き声を上げて墜落していく、一瞬何が起きたか分からなかったがゲッターロボの両手にゲッタートマホークが握られているのを見て、やっと何が起きたのかを理解していた。

 

「は、早いッ!?」

 

「は、早いだけじゃないですよ。パワーも段違いに上がっている!?」

 

驚愕するエクセレン達も無理は無い、ゲッターロボのやった事は単純に言うと誘き寄せて、同時に攻撃した。口にすると簡単に聞こえるが、目視……いや、レーダーでやっと感知出来るような超スピードで上空に逃れると同時に急反転し、追いかけてきた鳥獣鬼の顔面に飛び蹴りを叩き込み、地面に向かって蹴り落とすと同時に急降下し、ゲッターロボを攻撃しようとし、追いかけてきた半月鬼達の前を通り過ぎる瞬間にゲッタートマホークで切り裂いて、ダメージを与えつつ鳥獣鬼に追撃の踏みつけを叩き込みながら着地する。それから少し遅れて深い切り傷を受けた半月鬼達も地響きを立てて墜落してくるのを見て、キョウスケ達は大きく目を見開いた。やっている事は単純な事、だがそれら全てが圧倒的に早く、そして恐ろしい破壊力を秘めていたからだ。

 

「強い……あの時よりも遥かにッ!」

 

「ビアンの元に保護されていたのか?」

 

L5戦役の時のゲッターロボよりも遥かに強い、その強さに驚愕するキョウスケと、クロガネに回収されていたのかと疑うヴィレッタ。

 

「ギ、ギギィッ!?」

 

そんな疑いの視線を全く気にも留めず、ゲッターロボが足に力を込めて鳥獣鬼の胸部を踏み潰そうとした瞬間。何かに気付いたかのようにゲッターロボは鳥獣鬼の上から飛び退いた、まるで見えない何かがそこにいるかのように周囲を警戒しているゲッターロボの姿を見てカイがギリアムに通信を繋げた。

 

「ギリアム! 何かやばい! 早くシャイン王女をハガネへッ!」

 

『カイ……すまない、この場は頼んだッ!』

 

「ラミアちゃんも機体の調子がおかしかったら1回着艦してくれても良いわよ」

 

『いいえ、大丈夫でありんす。それに……今は撤退できる状況ではありんせん……』

 

暗闇から浮き出るように1体の百鬼獣が姿を現した。左右のこめかみにあたる位置から直線と半月状の角を生やし、その手に死神を思わせる鎌を手にした百鬼獣 四本鬼と、その後に立つ2体の豪腕鬼と1体の猿鬼を見てキョウスケは顔を顰めた。

 

「レーダーに何の反応もなかっただとッ!?」

 

『熱源反応も何もありませんでしたよ中尉!?』

 

テロリスト達が使う物と同質、いやそれよりも高性能のジャミング装置を搭載しているかもしれない百鬼獣の登場にキョウスケ達の背中に冷たい汗が流れた。こうして姿を現したのは4体だが、この闇の世の中にはもっと百鬼獣が隠れているかもしれない……闇夜の中の恐怖と言うものを感じていた……。

 

『まだ戦えるな、ならば何を倒れている』

 

四本鬼の底冷えするような言葉に倒れていた鳥獣鬼達はオイルを撒き散らしながら立ち上がる。

 

『戦え、死ぬまで戦い続けろ。お前達の代わりなど幾らでもいる。戦え、戦い続けろ。それが出来なければ……死ね』

 

音も無く振るわれた鎌がゲッターロボに胸部を踏み潰されていた鳥獣鬼の首を跳ねる。2~3度痙攣し倒れて爆発した鳥獣鬼の姿に戦っていたとは言え、気分の悪い光景を見たイルム達の顔が歪んだ。

 

『行け、戦え。何を立ち止まっている?』

 

びくりと身体を竦ませた半月鬼達はアルブレードや、アルトアイゼン目掛け走り出す。その姿は恐怖に怯える人間そのもので、鎌を持つ四本鬼が指揮官であると言うことを嫌でもキョウスケ達に悟らせていた。

 

『四本鬼……ゲッターロボ。貴様の首を貰い受けるッ!』

 

エネルギー状の蝙蝠の翼を作り出しゲッターロボに向かって切りかかる四本鬼とそれを迎え撃つようにゲッタートマホークを振るうゲッターロボ。リクセント近郊で始まった戦いはゲッターロボ、そして四本鬼の登場でより激化していくのだった……。

 

 

 

 

ハガネに着艦したゲシュペンスト・リバイブS。それと同時に格納庫は一気に慌しくなっていた。だがそれも当然だ。異形の特機の襲来、キョウスケ達が奮闘しているが異形の特機の方が格段に強く、頭数を増やさない事には撃墜の危機が付き纏っていたからだ。

 

「ゲシュペンスト・リバイブS着艦確認しました!」

 

「医療班はシャイン王女の手当てをッ!」

 

「ライディース少尉、ラトゥーニ少尉! 機体の準備は完了しています。すぐにでも出撃出来ますッ!」

 

「すまない、助かるッ!!」

 

「着替えている時間は無いッ!!」

 

スーツの上着だけを脱いでゲシュペンスト・MK-Ⅲ・R02カスタムに乗り込むライとゴスロリドレスのまま量産型ヒュッケバインMK-Ⅲに乗り込んだラトゥーニはすぐに出撃準備を整える。リクセントからここまで飛行してきたゲシュペンスト・リバイブSに補給しようとし整備班が駆け寄るが、それはギリアムによって制された。

 

「燃料は問題ない! すぐに出る!」

 

「りょ、了解! 全員避難室へ向かえ! 少佐達が出撃するぞ!」

 

整備班達が避難所に駆け込んだの確認してからギリアム達は再度出撃していく姿をハガネのブリッジからダイテツは鋭い視線で見つめる。

 

「大尉、あの特機の戦闘記録を取り続けろ。あれは危険だ」

 

「了解ッ!!」

 

L5戦役の時から半年しか経っていないが、それでもPTやAMの開発技術は格段に向上した。奢っている訳では無いが、メカザウルスならば勝てるだけの機体性能を持つ機体も複数開発されていた。ゲシュペンストMK-Ⅲ等がその筆頭であるはずなのに、戦闘は互角――いや、僅かにキョウスケ達が押されていた。

 

『エクセレンッ! 援護を頼むぞッ!』

 

『えっ!? ま、まさか突っ込むつもりッ!?』

 

『シャアアアーーッ!!』

 

ゲッタートマホークに切り裂かれ、少なくないダメージを受けているはずなのに全く留まる素振りを見せない猿鬼に突っ込んでいくアルトアイゼン……だがその装甲はあちこちが凹んでいて、既に少なくないダメージを受けているのが容易に見て取れる。

 

『ぐうっ!? こいつグルンガストと互角かッ!?』

 

『泣き言を言ってないで食い止めろッ! イルムガルトッ!!』

 

『簡単に言ってくれるぜ少佐ぁッ!』

 

『『ゴアアアアアーーッ!!!』』

 

機体の全長ほどの腕を持つ豪腕鬼に立向かうグルンガストとゲシュペンスト・リバイブK。攻撃力は向こうが完全に上回り、装甲は互角と言っても損傷を回復する謎の合金で形成されている百鬼獣とでは徐々にグルンガスト達が劣勢に追い込まれ始める。

 

「主砲! 副砲! 照準を巨大な腕を持つ鬼に合わせッ! てえッ!!!」

 

『主砲撃てッ!!!』

 

だが豪腕鬼は他の鬼よりも巨大であり、その巨大さゆえにハガネとシロガネの援護射撃が入り、カイとイルムはギリギリの所で踏み止まる事が出来ていた。

 

『打ち抜くッ!!!』

 

『計都羅喉剣ッ!!!』

 

豪腕鬼がよろめいた隙を見逃さず、ゲシュペンスト・リバイブKが両腕を放電させ、そしてグルンガストが計都羅喉剣を手に切りかかった瞬間。1体の豪腕鬼がもう1体の豪腕鬼を蹴り飛ばした。蹴り飛ばされた豪腕鬼は放電しているリバイブKの拳に胸部を貫かれた上に計都羅喉剣に切り裂かれ痙攣し爆発する。

 

『ぐうっ!?』

 

『ぐあっ!? や、やべえな。これは……』

 

至近距離で豪腕鬼の爆発に飲み込まれたリバイブKとグルンガストの第一装甲は完全に融解し、第二装甲にも亀裂が入っていた。

 

『シャアアアーーッ!!』

 

そしてそれを見逃さないと言わんばかりに雄叫びを上げて豪腕鬼が飛び掛ったが、その顔面にハガネから出撃したゲシュペンスト・リバイブSの腰部レールガンが炸裂し、豪腕鬼の名を示す豪腕は空を切った。

 

『大丈夫か!?』

 

『ああ、すまんな。まさか味方を盾にするなんてな』

 

ゲシュペンスト・リバイブSが加わった事で豪腕鬼とグルンガスト達の戦いはイーブンへと戻った。

 

『リュウセイ!』

 

『ラトゥーニか!? すまねえ。助かった』

 

猿鬼の猿の様な動きに翻弄されていたリュウセイとアルブレードに猿鬼の投げた木の実型の爆弾が炸裂する寸前でヒュッケバインMK-Ⅲの放ったフォトンライフルが爆弾を貫き爆発した事でアルブレードは爆弾の直撃から逃れる事が出来た。

 

『リュウセイ、突っ込みすぎだ。ライは私と支援、ラトゥーニはリュウセイとセンター。行けるか?』

 

『了解です、隊長』

 

『はい、大丈夫です。任せてください!』

 

「すまねえ、ラトゥーニ。迷惑をかける』

 

『大丈夫、一緒に戦えば負けない』

 

アルブレードとヒュッケバインMK-Ⅲをセンターに据え、R-GUNとゲシュペンスト・MK-Ⅲ・R02カスタムが支援に入った事で猿鬼との戦いは劣勢から一気にリュウセイ達の優勢へと変わった。だが猿鬼は牙を剥き出しにて、アルブレード達への威嚇を止めない。その姿は一種に憐れささえ感じさせるほどに鬼気迫るものだった。

 

『そんなにもあいつが怖いのかよ……』

 

『同情するなリュウセイ。同情すれば死ぬのはお前だぞ』

 

念動力が日に日に増しているリュウセイには猿鬼の怯えと恐怖がまるで自分の事のように伝わって来ていて、その顔を歪めさせたが、ライに警告され、リュウセイは深呼吸をする。目が開かれた時にリュウセイの目に同情の色はなく、燃えるような闘志の色だけが浮かんでいた。

 

『行くぜ、ラトゥーニ!』

 

『うんッ!!』

 

『キキーーーーッ!!』

 

アルブレードとヒュッケバインMK-Ⅲが同時に地面を蹴り、猿鬼に向かって駆け出す。そして猿鬼も負けないと言わんばかりに雄叫びを上げて、アルブレード達に向かって、鋭い爪を向けて走り出した。

 

『ゴガアッ!』

 

『……早い。だがそれだけだッ!』

 

そして上空で半月鬼とドッグファイトを繰り返しているアンジュルグは意外な事にアンジュルグが優勢だった。

 

(A-2、B-5……D-6)

 

確かに半月鬼は早い、だがその動きは一種のロジックで定められていて、ラミアにその動きを読むことは容易い事だった。

 

『シャドウランサーッ!』

 

『ぎゃっ!?』

 

自分から当たりに来たかのように顔面に被弾し、硬直する半月鬼にミラージュソードを手にしたアンジュルグが斬りかかる。

 

『貴様は死ね』

 

自分が死ぬかもしれないのに何でギリアム達を庇ったのか、それが理解出来ないでいるラミアは半分憂さ晴らしのように半月鬼へとミラージュソードを振るった。

 

『……ギギィ……』

 

『ふー……』

 

そして剣角鬼とゲシュペンスト・MK-Ⅲとの戦いは剣豪同士の戦いのように静かなものだった。互いに剣を構え、剣が振るわれると同時に互いの装甲に傷をつける……ほんの少しでもミスをすればその瞬間に両断されるという異様な緊張感を持った戦いの中で優勢だったのはブリットだった。

 

(早い、確かに早いが……それだけだ)

 

ブリットの脳裏に浮かぶのはガーリオン・カスタム・無明を操るムラタの姿……確かに剣角鬼は大きく、そして剣の威力も高い……だがそれだけだった。

 

『シャアッ!!』

 

『ちえいッ!!』

 

抜刀されたシシオウブレードが剣角鬼の剣を中ほどから両断し、即座に上段から振り下ろされたシシオウブレードが剣角鬼の頭から股下まで振り下ろされ、左右に分割され爆発した剣角鬼。その爆発音から一気に戦いの流れが変わり始めるのだった……。

 

 

 

 

一閃にしか見えない鋭い戦斧の一撃に四本鬼はその顔を歪めた。ゲッターロボの脅威をブライから聞いていた四本鬼だが、内心はブライが必要以上にゲッターロボを警戒しているだけだと感じていた。だがこうして実際に戦って、四本鬼はそれが嘘でも偽りでもない事を感じていた。

 

(強い……なるほど、これがゲッターロボか)

 

角が折れ、全身に亀裂に走っている損傷から満身創痍に見えたが、それすらも偽装であると感じた。百鬼獣 四本鬼は旧西暦と新西暦の技術のハイブリッドであり、その性能は従来の百鬼獣よりも遥かに上だ。しかしそんな四本鬼が押し込まれていることに気付き、四本鬼の背中に冷たい汗が流れた。

 

(なるほどな……良い経験だ)

 

新西暦で生まれた四本鬼にとってゲッターロボの恐怖なんて、ただの脅し話にしか思ってなかった。しかしそれが嘘でもなんでもなく事実だと悟ると四本鬼はこの情報を百鬼帝国を持ち帰る事を決意した。

 

「ちいっ!」

 

「ッ!!」

 

首を刎ねに来るゲッタートマホークの勢いは早まり、その中に蹴りや拳が織り交ぜられると一気にゲッターロボの脅威は跳ね上がる。

 

「ッ!? ぐっ!?」

 

腕の装甲から生えるように現れたゲッターマシンガンで殴打され、しかもそこから放たれたマシンガンの銃弾の嵐に四本鬼の装甲が容赦なく抉られる。咄嗟に翼を使ってゲッターロボから逃げる四本鬼だが逃がさないと言わんばかりに投げつけられたトマホークブーメランが肩に突き刺さり高度が落ちる。

 

「ぐっ!? この化け物がッ!!」

 

地面にクレーターを作りながら走ってきたゲッターロボの右拳が顔面に叩きこまれ、激しい振動と衝撃に四本鬼は思わず悪態をついたが、その直後に叩き込まれた膝蹴りに打撃以上の振動にコックピットの中で四本鬼は何度も頭を打ちつけていた。

 

(こ、こいつ何者だッ!?)

 

ゲッターロボが強いとは聞いていた。しかしその強さは四本鬼の想定を遥かに越えていた、戦えば戦うほどに、戦う時間が伸びるほどにゲッターロボの攻撃は洗練されて行き、四本鬼の攻撃も防御も完全に読んでいると言うばかりに防がれ、いなされ強烈な痛打を叩き込まれ四本鬼はまともに反撃も出来ない状態に追い込まれていた。先ほど感じた良い経験など言っている場合ではなく、自分の死が近づいているのを四本鬼は感じていた。

 

『エクセレン、ここへ撃ち込めッ!!』

 

『OKッ!!!』

 

『が、ガアアアアーーーッ!!』

 

リボルビングステークを胴体に突き刺され、逃げる事が出来ない猿鬼を持ち上げるアルトアイゼンに向かって、ヴァイスリッターがオクスタンランチャーEモードを撃ち込む。

 

『ギ、ギャアアアアーーーッ!?』

 

『これで決めるぞッ!!』

 

『んふふ、任せてッ!!』

 

オクスタンランチャーEモードで焼かれ、暴れている猿鬼をリボルビングステークで突き刺したまま、上昇するアルトアイゼン、それに合わせるようにヴァイスリッターがビームを放射したまま急降下し、リボルビングステークとオクスタンランチャーに挟み込まれた猿鬼は胴体で両断され爆発炎上する中アルトアイゼンとヴァイスリッターは爆煙を突きって姿を現し、猿鬼から離脱する。

 

『これが俺達の……』

 

『切り札よん♪』

 

アルトアイゼンもヴァイスリッターも少なくない損傷を受けながらも猿鬼を撃破する。

 

『イルム、行くぞッ!!!』

 

ゲシュペンスト・リバイブKのアッパーが豪腕鬼の胴にめり込み、くの字に身体が折れた豪腕鬼の顔面にゲシュペンスト・リバイブKの固く握り締められた右ストレートが叩き込まれ、豪腕鬼の巨体がグルンガストに向かって殴り飛ばされた。

 

『計都羅喉剣ッ! 暗ッ! 剣ッ!! 殺ッ!!!』

 

横薙ぎの一閃が豪腕鬼の背中に叩き込まれ、即座に切り上げられた計都羅喉剣の一撃で豪腕鬼の巨体が上空に跳ね飛ばされる。

 

『出力調整、照準固定ッ! 受けよッ! メガバスターキャノンッ!!』

 

『あ、アアアアアア……』

 

反マグマプラズマジェネレーターによって齎されるエネルギーを使ったメガバスターキャノンの青白い光に飲み込まれ、豪腕鬼は呻き声を上げながら光の中へと消えて行った。

 

『リュウセイッ!!』

 

『よっしゃぁッ!!!』

 

ヒュッケバインMK-Ⅲとアルブレードが同時に跳躍し、猿鬼の胴体に飛び膝蹴りを叩き込んだ。そして着地と同時にGリボルバーをそれぞれの両手に持って乱射する。

 

『ライ、あわせなさい』

 

『了解です。隊長ッ!』

 

パルチザンランチャーをフルパワーモードにし構えるR-GUN、そして腰を落としてハイゾルランチャーの衝撃に耐える構えをするゲシュペンスト・MK-Ⅲ・R02カスタム。

 

『キキィッ!』

 

体勢を立て直した猿鬼がアルブレードとヒュッケバインMK-Ⅲに飛び掛った瞬間。弾かれたようにアルブレードとヒュッケバインMK-Ⅲが左右に分かれ、猿鬼は2機の後から放たれたパルチザンランチャーとハイゾルランチャーの光の中に飲み込まれるが倒すまでにはいたらなず、全身から煙を放ちながら転がり出た猿鬼の目の前に広がったのはアルブレードとヒュッケバインMK-Ⅲの足だった。

 

『どりゃあッ!!! 行くぜッ! ラトゥーニッ!』

 

『うんッ!』

 

顔面への飛び蹴りから着地と同時に左右から叩き込まれる回し蹴りにボロボロになっている猿鬼の身体が弾き飛ばされる。

 

『モードTPP、ブラスト・トンファーセットッ!』

 

『ライトニングブローセットッ!』

 

プラズマステークを応用したアームガードを展開したヒュッケバインMK-Ⅲと両腕にトンファーをセットしたアルブレードが同時に地面を蹴り、吹き飛んだ猿鬼の懐へと飛び込んだ。

 

『オラオラオラオラッ!!!』

 

『モーションデータ。ラーニング……行けッ!』

 

左右鏡合わせのように完璧に動きのあった連続攻撃が猿鬼に叩き込まれ、見る見る間に猿鬼の装甲がボコボコに凹んでいくのを見て、ライもヴィレッタも驚き半分呆れ半分だった。SRXチームのリュウセイと教導隊のラトゥーニが訓練を共にすることは無い、では何故ここまで息のあった連携が出来るのかと言うと単純な話である。休暇の度にリュウセイの家に入り浸り、ユキコに気に入られ何時の間にか自分の部屋まで用意されていたラトゥーニはリュウセイの家にいる間殆ど毎日と言って良いほどにバーニングPTをやりこんでいた。それがリュウセイとラトゥーニの完璧な連携の種だった。

 

「行くぞ、ラトゥーニッ!』

 

『うん! 行くよッ!!!』

 

完璧に息のあったアッパーカットが猿鬼の顎を打ち抜くと同時にアルブレードとヒュッケバインMK-Ⅲは同時に足を振り上げ、猿鬼を上空に向かって蹴り上げる。蹴り飛ばされた先にはアンジュルグに追詰められていた半月鬼がボロボロの有様で浮いていて、その上空には満月を背にしてミラージュアローを構えているアンジュルグの姿があった。

 

『舞え、紅蓮の不死鳥よッ!!!』

 

『『ギャアアアアーーッ!!!』』

 

半月鬼と猿鬼の姿が重なった瞬間に上空から放たれたアンジュルグのファントムフェニックスが猿鬼と半月鬼の胴体を同時に貫き爆散させる。

 

『ぶっつけ本番だったけど、行けたな。ラトゥーニ』

 

『うん♪』

 

アルブレードとヒュッケバインMK-Ⅲがハイタッチをかわし、その上からをアンジュルグの翼から零れるエネルギー状の翼が降り注ぐのだった……。

 

「引き際だな」

 

連れて来た百鬼獣は全滅した、これ以上戦えばゲッターロボとそしてPTに囲まれると判断した四本鬼の行動は早かった。ボロボロの四本鬼をゲッターロボに組み付かせると同時に自爆装置を起動させ、自身は脱出装置で脱出する。爆発の中に飲み込まれるゲッターロボの背後に四本鬼はリクセント公国から逃亡して行くのだった……。

 

 

 

 

ゲッターロボV・スカーフェイスの中で武蔵は小さく溜め息を吐いた。リクセント……いや、シャインを守れた事、そしてリュウセイ達に怪我人がいないということに安堵の溜め息とそして百鬼獣を操っていた鬼を取り逃がした事に対する落胆の念が込められた溜め息だった。

 

「逃がしちまったか……しかたねえかな」

 

武蔵が以前戦った百鬼獣は半壊し、インベーダーに寄生されていた。その時のイメージがどうしても拭いきれず、攻め切れないでいたゲッターロボV・スカーフェイスは終始様子見に近い状態であり、最初から本気で攻めていれば撃墜出来たのにと思いながらゲッターウィングを身体に巻きつけ上空へと舞い上がる。

 

「武蔵! 武蔵なんだろッ!?」

 

その場から飛び去ろうとするとエルアインスに似た機体から自身を呼ぶ声がして、武蔵はその場にゲッターロボV・スカーフェイスを留まらせる。

 

「これだけ派手に出て来て、はい、さようならはないでしょ武蔵? 顔くらい見せて行きなさいよ」

 

「そういうこった。それともお前は武蔵じゃないのか?」

 

エクセレンとイルムガルトにも言われ、武蔵はコックピットの中でううーむと腕を組んで唸る。

 

「別にまた出て行くと言うのなら止めはしない、だが顔を見せるくらいはしたらどうだ?」

 

「生きていたという事を知らせてくれるだけで良いんだぞ?」

 

ここまで言われれば武蔵としても顔見せくらいならと思うが、それが出来ない理由があった。

 

(アンジュルグ……だったよな)

 

ハガネとシロガネと共にいる天使の様な機体……シャドウミラーの機体であるそれがここにある。ヴィンデル達にハガネとシロガネと行動を共にしていると知られる訳にはいかない武蔵は機体を反転させる。その直後ハガネの外部スピーカーから幼い少女の声がゲッターロボV・スカーフェイスに向かって響いた。

 

『武蔵様、お気をつけて……今はまだ会えないと言うのならば私は待ちますわ、どうかお気をつけて、そしてリクセントは何時でも武蔵様の味方であるということを忘れないでください』

 

ハガネのブリッジから喋っているシャインの声に武蔵は一瞬だけ通信機の電源を入れる。今はまだ再会する事は出来ない、だけどここまで心配してもらい、そして自分の身を案じてくれている相手に何も言わずに去る事が出来るほど武蔵は薄情な人間ではなかった。

 

「また今度会おうぜ。まだ今のオイラはやることがあるんだ、だからごめんな。オイラは行くよ」

 

その一言だけを言い残し、武蔵とゲッターロボはその空域から離脱して行くのだった……。

 

「行っちまったか……正直駄目元で声を掛けたけど、やっぱ駄目だったな」

 

「武蔵のいうやることと言うのは間違いなく……この化け物ですね」

 

「恐らくそう見て間違いないだろう。各機、残骸の回収後ハガネとシロガネに帰還するぞ」

 

リクセントでテロリストと共に現れた謎の特機、そしてそれと戦う為に現れたゲッターロボ――新西暦で再び戦いが始まろうとしている。そして武蔵は自分達の前に姿を現す事は無いが、それでもどこかで戦っている。

 

「また会おうって言っていたんだ。そう気を落とすなよ、リュウセイ」

 

「大丈夫だぜ、ブリット。今の声を聞けば分かる……武蔵が生きていて、元気だって判れば今は良いさ」

 

「そう言うことだ。武蔵が今度俺達の前に現れるまでに俺達はもっと力をつけなければならない。あの時の二の舞にならない為にな」

 

L5戦役では正直武蔵にずっと助けられていた。今度は自分達が武蔵を助けれるように力をつけようと口にするライの言葉にリュウセイは頷き、ラトゥーニ達と共にハガネへと帰還する。

 

(あれがゲッターロボと武蔵か……データに残されていたゲッターD2とは違うが強力な機体である事は間違いないな)

 

飛び去っていくゲッターロボをジッと見つめるラミアだったが、空中に浮かんでいるゲッター線の光が消えると踵を返し、ハガネと引き返していくのだった……。

 

 

 

第19話 思い へ続く

 

 




戦闘終了後。武蔵は離脱、次回からはまたゼオラ達を出しながら、武蔵達の話も少しずつ書いて行こうと思います。ここから暫くはゲーム基準の話で、テスラ研とかの話も入れつつ、武蔵の合流の為の話を作って行こうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。


PS

スパロボDDの迎撃戦は以下のスコアとなりました。

エリア1

R-1・ヴァルグレイブⅳ・ノワール2・紅蓮弐式

スコア約8万

エリア2

サイバスター・グランゾン・ボルテスV・ディーダリオン

スコア約7万

エリア3

ノワール1・ゼロリベリオン・コンバトラー・コンパチカイザー

スコア約11万

エリア4

真ゲッター・ヴァルグレイブ1・ダイターン3・ユニコーン 

スコア約7万


エリア5

マジンカイザー・ガオガイガー・フリーダム・Zガンダム

スコア約5万

Aランクに浮上できたのでまずまずかなあと思うことにしております。

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
  • 今のままで良い
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