進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第39話 進化の光を求める者 その4

第39話 進化の光を求める者 その4

 

コロニーの近くで翡翠色の閃光から姿を現したゲッターD2のダブルトマホークの一閃と、ゲシュペンスト・タイプSのブラスターキャノン改がコロニーに組み付こうとしたインベーダーにむかって放たれる。

 

「こいつでとどめだッ!」

 

『消えうせろッ!!!』

 

『『『キッシャアアアーーー!?!?』』』

 

ストーンヘンジから出現し、ホワイトスターを目指して移動していたインベーダーだが、その数を減らされると一転しコロニーに向かい出したのを見てを武蔵とカーウァイは必死にインベーダーを追い、コロニーの一歩手前でインベーダーに追いつき、インベーダーにトドメを刺すことに成功していた。

 

「ふいー、危ない所でしたね」

 

『ああ、だが一息ついている暇も無いぞ』

 

「……これってかなり不味い感じですかねえ」

 

コロニーから出撃してくるコスモリオンやガーリオン。その姿は明らかに友好的ではなく武器をその手にしている。

 

『コロニーの近くでこれだけドンパチをやれば、敵対行動と取られるだろう。逃げるぞ』

 

「うっす」

 

『そこの機体! 所属と名前を……ま、待てッ! 追え、追えッ!!!』

 

警告を告げてくるガーリオン達に背を向けて、武蔵とカーウァイはコロニーを後にして逃亡する事になったのだった。

 

「さてと、これからどうします? 月は近いですけど……オイラ達がどこか身体を休めれる場所はありますかね?」

 

ヒリュウ改の救出に成功し、そしてインベーダーに襲われかけたコロニーを救う事も出来た。だがその対価として武蔵とカーウァイは宇宙での活動母艦であるアルバトロスと離れすぎてしまっていた――アルバトロス級に戻るにはゲシュペンスト・タイプSの推進剤も酸素も持たない。ゲッターD2で運ぶにしても、酸素がギリギリすぎる。

 

『そうだな。アルバトロス級とは離れすぎてしまったし……1度ビアン所長に連絡をとる事にしよう。アインストの事も伝えたいしな』

 

「じゃあ、お願いしてもいいですか?」

 

『ああ、私の方が上手く説明出来るだろう。武蔵は周囲の警戒をしておいてくれ』

 

カーウァイがクロガネ改と通信をしている間。武蔵は周囲の警戒をしながら、先ほど倒したインベーダーの事を考えていた。

 

(なんでインベーダーが新西暦に……あの石ころの輪が理由なのか?)

 

ストーンヘンジから出てきたアインストで武蔵とカーウァイはあちら側の世界でキョウスケを狂わしていた存在の事を思い出した。しかしそれに続くように現れたインベーダー……それがどうしても理解出来なかった。

 

(宇宙のどこかにゲッター線があってインベーダーがまだ存在しているのか? ううーん。わかんねえ……)

 

旧西暦で竜馬達が真ドラゴンを使いインベーダーを消滅させる計画を立てていたのは知っている。だがそれが決行される前に武蔵はあの世界を旅立ったので、どうなったのかという経過を知らない。ゲッター線を得る事が出来なければインベーダーは消滅する――そう考えれば新西暦まで生き残っていたインベーダーという線はない。

 

『武蔵、ビアン所長を連絡がついたぞ。セレヴィス・シティの旧マオ社の格納庫で1度匿ってくれるそうだ。ただヒリュウ改がこっちに向かってるそうなので急いで欲しいそうだ』

 

「ういっす。じゃあ、そっちに行きましょうか」

 

『ああ、考えなくてはならない事はあるが――まずは身体を休めることにしよう』

 

カーウァイの先導で初代ゲシュペンスト達が製造されていたマオ社の旧ラインに向かって武蔵は移動を始めたのだが、突如その動きを止めた……。

 

『どうかしたか?』

 

「いえ、誰かに見られている気がして――気のせいかな?」

 

見られている気配を感じ振り返った武蔵だが、その周辺には何の姿も無く気のせいだったかと苦笑した。

 

『インベーダーとアインストのせいで気が立っているんだろう。そういう事もあるさ』

 

「ですかね――すいません。行きましょう」

 

ヒリュウ改に見つかる訳には行かないと武蔵とカーウァイは急いでその場を後にしたのだった。だが武蔵の感じた視線は間違いではない、ただ余りにも距離が離れていて、その姿を確認出来なかったのだ。だが確かに武蔵達を見つめている影は存在していた……。

 

『見つけた、ゲッターロボだ。しかし、マジでいるとはな……正直誤認だと思ってたぜ』

 

『へえ……本当にゲッターロボがいたんだねえ……正直眉唾ものだと思っていたよ。ね、シカログ』

 

『……』

 

『ええい! 貴様らはウェンドロ様が嘘を言っていたとでも思っていたのか!』

 

『ああ、うるせなあ。ヴィガジ――でもよ、ゲッターロボだぜ? 何千年も前に銀河系を支配しかけた悪魔のマシンだ。そんなもんが存在するなんて思わないだろうが』

 

『それは……そうだがッ』

 

『ゲッター線に触れた者は破滅する。こいつを忘れるなよ、ヴィガジ。アギーハ、シカログ。俺達は予定通りネビーイームを制圧するぜ』

 

『OK、あたしに異論はないよ。ゲッターロボに近づくなんてあたしは嫌だしね』

 

『……』

 

『シカログも言ってるよ。大隊が全滅する覚悟をしろってさ』

 

『だよなぁ、ったく、地球圏の査察に加えてゲッターロボのパイロットを説得しろなんて無茶な命令にも程があるぜ……』

 

ぼやく男――メキボスが駆る蒼い機体「グレイターキン」が動き出し、それに付き従うように両腕がブレードになっている下半身の無い機体「シルベルヴェント」と、緑の屈強な機体「ドルーキン」が逃げるようにその場を後にする。だがヴィガジという男が駆る黄色の恐竜の様な特機――「ガルガウ」だけは月の側面に向かって隠れるように移動するゲッターロボとゲシュペンストを忌まわしげに見つめていた。

 

『ヴィガジ。仮に戦うとしても、今は無謀だと判ってるだろうが』

 

『ちっ、貴様に言われんでも判っているわッ! メキボスッ!!』

 

メキボスに指摘されやっと反転したガルガウがグレイターキン達と合流し、その場を後にするのだった。

 

 

 

 

武蔵とカーウァイとの通信を終えたビアンは、そのまま保留状態で待っていてくれた協力者に向かって頭を下げた。

 

「すまないな、リン社長。ご迷惑を掛ける」

 

『なに気にしないで欲しい、ビアン博士』

 

L5戦役の後からビアンが積極的に動き、協力者としたリン・マオ。彼女が協力してくれているからゲシュペンスト・MK-Ⅲ、そしてヒュッケバインMK-Ⅲをビアン達が手に出来ていたのだ。

 

「この借りは必ず返す」

 

『何十分過ぎるくらい助けて貰っているさ』

 

「……くれぐれもヒリュウ改には内密で頼む。まだ武蔵君達は表舞台に出る訳には行かないのだ」

 

『言われなくても判ってるさ、ではなビアン博士。余り話を続けていると補足されてしまう』

 

「ああ。そうだな、だがリン社長。気をつけて欲しい、宇宙は今地球以上に危険な状態となっている。最悪の場合は常に想定しておいて欲しい」

 

『……判った。忠告感謝する、ビアン博士』

 

その言葉を最後にモニターは沈黙した。ビアンはそれを見て、小さく溜め息を吐いて背もたれに背中を預けた。

 

「宇宙の状況は最悪だ。武蔵君とカーウァイ大佐を送り出して正解だった。イングラム少佐、気分はどうかな?」

 

「……最悪だが、色々と思い出したぞ。アインスト……そうだ。アインストだ、あちら側でキョウスケを狂わせ、ゼンガーを取り込んだ生命体――それがアインストだ」

 

通信の中で告げられたアインストの名前。武蔵とカーウァイと同様でイングラムもあちら側の記憶を取り戻していた。

 

「俺を取り込んだと言うのか?」

 

信じられないと言う顔をするゼンガー。だが事実だとイングラムはきっぱりと告げ、平行世界のゼンガーがどんな末路を辿ったのかを告げた。

 

「ああ、グルンガスト・参式に寄生し、そのままお前も取り込んだ筈だ。最終的には鬼のような姿になり、カーウァイに解放されていた」

 

「……そう……か」

 

解放された――それがカーウァイが手に掛けたという事であり、ゼンガーは小さくそう呟き目を閉じた。

 

「これで得心が行った」

 

「ああ、カーウァイ大佐は俺達の事を考えてくれていたのだな」

 

「いつまでも心配をかけて情けない限りだ」

 

アインストがこの世界で現れないと言う保障はない。あの世界のようにゼンガー達がアインストに取り込まれないように、アインストに敗れないように厳しく鍛え上げる事がカーウァイからゼンガー達に出来る事だったのだ。

 

「……しかし、それが本当ならばとても大変な事になるのでは? 中国で出現したアンノウン――あれがアインストなのですよね?」

 

「ああ。もうこの世界でアインストは動き出している。キョウスケ達やダイテツ中佐に1度警告しておく必要があるが……」

 

そこでイングラムは口を閉じた。ここでイングラムがハガネのクルーの前に現れればそこから済し崩しに武蔵の事まで明らかになるだろう。まだ武蔵、イングラム、カーウァイの3人が生きていると言う事を隠しておきたいと言うのはイングラムだけではない、ビアン達も同様だった。

 

「イングラム少佐は1度私のアジトで降ろそう。勿論R-SWORDと共にだ」

 

「すまない、迷惑を掛ける」

 

イングラムを1度ケルハム基地の近くのビアンの親派の拠点に下ろし、そこから改めてケルハム基地へとクロガネが進路を取る事で話は決まった。その直後クロガネのブリッジに警報が鳴り響き、ビアン達の顔が険しい物に変わった。

 

「何事だ!」

 

「アンノウン――いえ、アインストの反応を感知ッ! ケルハム基地へと進軍中ッ!」

 

リリーの切羽詰った報告を聞いて即座にビアンは指示を飛ばす。

 

「ゼンガー、エルザム、ラドラは出撃準備ッ! イングラム少佐には悪いが、アジトのポイントを教える。自分で其方へ向かって貰えるか?」

 

「ああ、言われなくてもそうするつもりだった。俺の事は気にせずケルハム基地へ向かってくれ」

 

「ゼンガー達が出撃後クロガネはケルハム基地へと向かう! 総員戦闘準備ッ!」

 

イングラムの了承を聞き、ビアン達は戦闘準備を整えていく、いまケルハム基地には戦闘には耐えれない状態のハガネが停泊している。あの世界のようにハガネをアインストに強奪される訳には行かないとクロガネはイングラムとR-SWORDを残し、最大戦速でケルハム基地へと向かった。しかし、ケルハム基地へ向かわなかったイングラムもビアンのアジトに向かい、そこで戦闘に巻き込まれることになる。

 

『R-SWORD。イングラム中佐か……全くやっとソウルゲインの修理が終わるという段階でお前に遭遇する事になるとは……』

 

近づいてくる熱源を探知して出撃したのか、ビアンのアジトの前でソウルゲインがイングラムを待ち構えていた。

 

「……アクセル、そうだ。お前はアクセル・アルマー。やっと思い出したぞ、貴様の顔を」

 

ボロボロで片腕の無いソウルゲインを見て、イングラムはアインストに続き、更なる記憶を取り戻した。シャドウミラーの隊長――「アクセル・アルマー」の名と顔を今はっきりと思い出していた。

 

『思い出した? ああ、なるほどそう言うことか。お前も俺と同じで少し記憶を失っていると言う事か――それならば好都合。ここで消えてもらうぞッ! イングラム・プリスケンッ!!』

 

「悪いがそれはこちらの台詞だッ! 貴様らの存在は世界を乱すッ! ここで死んでもらうぞッ! アクセル・アルマーッ!!!」

 

眩いまでの蒼と闇を思わせる黒が交差する。フラスコの世界でのシャドウミラーとの戦いはR-SWORDとソウルゲインの戦いから始まり、そしてそこからシャドウミラーの本格的な介入が幕を開けていく事となるのだった……。

 

 

 

 

 

ケルハム基地に停泊しているハガネとそしてそのクルーは満身創痍一歩手前という有様だった。そしてその格納庫ではハガネとケルハム基地の整備班がフル稼働で大破寸前の機体の修理を行なっていた。

 

「キョウスケ、また見に来てるのか?」

 

「イルム中尉。ええ、嫌な感じがどうしても拭えないんです」

 

昨日の早朝からキョウスケは言葉に出来ない奇妙な感覚を味わっており、何度も格納庫に足を向けてアルトアイゼンの修理の様子を見に来ていた。

 

「俺のグルンガストの次くらいに重傷なんだ。アルトは動かせねえぞ」

 

龍虎皇鬼によって容赦の無い攻撃を受けたグルンガストは全身の装甲の破損にくわえ、胸部の装甲の破損状態でのファイナルビームの使用によってファイナルビームの発射不可に加えて変形不能。そしてそれに加えて駆動系がボロボロと動かせる状態ではなく、そしてアルトアイゼンも腕を掴まれたまま投げ飛ばされた事で肩部からフレームが歪み、その挙句跳弾を受けながら至近距離でスクエアクレイモアを打ち込んだ事で頭部センサーに加えて、コックピットも拉げ、工具でコックピットを切り開かれ救出されたキョウスケの頭には今も痛々しく包帯が巻かれている。

 

「予備パーツがあるのですぐに回復すると思ったのですが……」

 

「無茶が過ぎたな。幾ら予備パーツがあっても無理しすぎだ」

 

フレームから歪んでしまえば幾ら予備パーツがあっても修理には時間が掛かる。不幸中の幸いはゲシュペンスト・MK-Ⅲのパーツの流用が効くので肩部をまるまるゲシュペンスト・MK-Ⅲの物に交換する事で通常の修理よりも短時間で済む点だろう。しかしそれでも数日の缶詰は避けられなかった。

 

「強かったな、あいつら」

 

「……ええ。成す術も無かった」

 

皆が捨て身で戦い、それでも龍虎皇鬼は倒せなかった――それ所か姿を変えてハガネまで轟沈寸前に追い込んだ。百鬼帝国の将軍四邪と名乗った事からあの強さの鬼が後もう2人は最低でも存在すると言う事を示していた。龍虎皇鬼の圧倒的な強さ、どう足掻いても勝てないと言う絶望感――それをキョウスケ達は味わっていた。

 

「DC戦争時にゲッターロボと戦ったDC兵の気持ちが判った気がします」

 

「ああ。なるほど、確かにそうだろうな」

 

自分達のどんな技術も押し潰す圧倒的な力の顕現――それがゲッターロボであり、龍虎皇鬼だった。だがそれでもキョウスケ達の心は折れていない、確かに完膚なきまでに負けた。だが次は勝つという闘志に燃えていた。

 

「しかしキョウスケが嫌な予感がするとか、不吉だな」

 

「……ただの思い過ごしで……ではないようですね」

 

思い過ごしであれば良いとキョウスケが口にした瞬間。格納庫に警報が鳴り響き、キョウスケが溜め息を吐いた。

 

「グルンガストもアルトも使えねえ! 俺はヒュッケバイン・MK-Ⅲで出る。お前はゲシュペンスト・MK-Ⅲ・タイプAを使えッ! 整備班が準備してくれてる筈だッ!」

 

「すいません、助かりますッ!」

 

一気に慌しくなる格納庫の中でキョウスケとイルムは臨時の代替機であるゲシュペンスト・MK-Ⅲとヒュッケバイン・MK-Ⅲの元へと走り、慌しく出撃する。

 

「ダイテツ中佐。ケイハム基地は全精力を向けて、ハガネとハガネのクルーをお守りします」

 

「……いや、その必要はない。ハガネも出撃させる」

 

「し、しかし! ハガネは戦闘に耐えれる状態では!」

 

不安そうな若い司令にダイテツは大丈夫だと笑う。

 

「ワシもそしてハガネのクルーもこんな窮地は何度も潜り抜けている。だから大丈夫だ」

 

「……判りました。しかし私達共も守られるわけではありません。共に戦います」

 

ハガネの轟沈寸前と聞いて確かに連邦軍全体の士気は落ちている。しかし全てが全て戦意を失ったわけではない、キョウスケ達同様不屈の闘志を抱き、戦う決意を持つ男達が確かにケイハム基地にも存在しているのだった……。

 

 

 

 

 

 

辛うじて浮遊していると言う状態のハガネを守るようにハガネのPT隊が出撃し鉢合わせたのは中国で出現したアンノウンの群れだった。

 

「……間違いない。あの時のアンノウンだ」

 

ケイハム基地を包囲するように展開されているアンノウンの部隊にキョウスケは顔を歪めた。中国で戦った時よりも戦力が低下していて、そしてキョウスケ含むパイロットも疲弊している状態で戦うには厳しいとキョウスケはゲシュペンスト・MK-Ⅲのコックピットの中で顔を顰めた。

 

『でも、 奴らがどうしてこんな所にッ!?』

 

『ここは遺跡じゃない。あの基地に何かあるというのでしょうか?』

 

『化け物に理論的な物を求めるんじゃない、ブリット、ライ。キョウスケ、先陣は俺が切る』

 

「了解です。カイ少佐」

 

中国で出現した際は遺跡があった。しかし、今回は遺跡は当然無い。何故アンノウンが出現したのかという謎はある、だが襲ってくるのならば戦うしかない。

 

『私達はどうすればいいでしょうか! カイ少佐ッ! キョウスケ中尉ッ!』

 

ケイハム基地から出撃してくるゲシュペンスト・MK-Ⅲ、ヒュッケバイン・MK-Ⅲの若い隊員から指示を求める声が響いた。

 

『お前達はアンノウンとの戦闘経験がない。基地を防衛しながら支援を行ってくれ。狙うのはアンノウンの胸部の赤黒い球体部だ』

 

『『『『了解です!』』』』

 

4機の支援機がカイの指示に従って隊列を組んでいるのを見ながらキョウスケは上手いと感じていた。ケイハム基地の司令の面目も潰さず、そして若い隊員にアンノウンへの戦闘経験を積ませ、戦闘データを記録させる。正直アンノウンの手数、そして戦略が不明な部分もありケイハム基地の戦力を減らす訳には行かないのでカイの指示は最も理に叶った物であった。

 

(俺を見ている?)

 

アンノウンが自分を見つめているような気がして、其方を向いた瞬間アンノウン――アインスト・クノッヘンが顔を動かし、ゲシュペンスト・MK-Ⅲに視線を合わせてきた。

 

【……コノホシ……カラ……】

 

「また言葉を……ッ!? 聞こえたか皆」

 

自分を見るように動き、そして声を発したと言う事に冷静なキョウスケも驚き声を上げた。中国の時よりも鮮明で、まるで耳元で言われたかのようにはっきりと聞こえたからだ。だから皆にも聞こえていたと思ってそう尋ねたのだが、帰ってきた返答にキョウスケは驚きを隠せなかった。

 

『え!? な、何を言っているんですか?』

 

『声なんて聞こえなかったですよ。キョウスケ中尉』

 

『おい、キョウスケ大丈夫か? 前もそんな事を言ってただろ?』

 

ブリット、ラトゥーニ、イルムに言われて自分以外の誰にも聞こえていなかったと言う事に驚きを隠せなかった。

 

「ブリット、お前には聞こえなかったのか?」

 

『は、はい。敵意みたいのは感じますけど……声は聞こえていないです』

 

念動力者であるブリットなら聞こえているかもしれないと思い改めて尋ねたが、ブリットの返答は敵意は感じるが声は聞こえないと言う物だった。

 

(念動力の有無は関係ないのか?  だが、何故俺とエクセレンだけが……)

 

中国でもエクセレンと自分だけが聞こえていた。念動力者でもない何故自分とエクセレンだけが聞こえていたのか? 自分達とアンノウンには一体何の関係性があるのかとキョウスケは戦闘中だというのにその理由を考えずにはいられなかった。

 

『ラミア、ラトゥーニ。音声は記録出来たか?』

 

『いえ』

 

『私の方も何も記録されていません』

 

ライが念の為にラミアとラトゥーニに音声が記録されているかと尋ねるが、2人も音声が記録されていないと返事を返す。

 

「すまない、俺が気にしすぎているようだ」

 

自分にだけ聞こえていた声が勘違いだとキョウスケは口にしたが、間違いなくキョウスケにはその声が聞こえていた。何故自分にだけ声が聞こえているのか、キョウスケはこの戦いの中で明らかにしてみせると意気込みゲシュペンスト・MK-Ⅲの操縦桿を握り締めた。

 

『スティール2より各機へッ!  友軍機と協力し、ハガネとケイハム基地を守りつつ、アンノウンを撃破せよッ!』

 

『キョウスケ、今は戦闘に集中しろ。良いな?』

 

「了解……!」

 

テツヤから戦闘命令とカイからの忠告にキョウスケは了解と返事を返したが、どこから自分を見つめている視線を感じ、嫌な胸騒ぎがキョウスケの中から消える事が無いままにアインストとの戦いの幕が切って落とされるのだった……。

 

 

 

第40話 進化の光を求める者 その5へ続く

 




今回はインターミッションなので戦闘描写はありません、その分次回の分にガッツリと戦闘描写を書くつもりです。クロガネもこの段階で登場させるつもりなので、文字数はかなり多くなると思いますが、頑張って行こうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。


それとノワールガチャの結果
ダブルトマホークダークネス2枚
ゲッタービーム1枚
天井でギガントミサイルストーム

となりましたので、日曜日の固定に加えて、月・火・水・木の4日を追加で更新しますのでお付き合いの程、どうかよろしくお願いします。

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
  • 今のままで良い
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