進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第45話 戦う理由 その3

第45話 戦う理由 その3

 

両腕にブースター、そして鋭い大型クローを装備した恐竜を思わせる巨大特機――「ガルガウ」のコックピットでスキンヘッドの大男「ヴィガジ」は不機嫌そうに鼻を鳴らした。

 

「……フン、 流石は闘争本能だけを発達させた野蛮人共だ。折角回収したサンプルとバイオロイドが酷い有様だ」

 

破壊された量産型ヒュッケバイン・MK-Ⅲや、アーマリオンやガーリオンを見て、ヴィガジはセレヴィスシティの前に展開されている部隊を見て、吐き捨てるようにそう呟いた。

 

「しかもゲッターロボを確認したと思ったら出来の悪いデッドコピーではないかッ!」

 

ヴィガジが率いていた部隊は月で確認されたゲッター線反応を確かめる為にゲッターロボを誘き出す為に用意した大軍勢だった。しかし現れたゲッターロボは粗悪なデッドコピー、更に用意した軍勢はゲッターロボ以外の機体に破壊された。その光景にヴィガジの額には濃い青筋が浮かんでいた。

 

「メキボスの奴め……本当にゲッターロボ等存在するのか」

 

ヴィガジの所属する組織「ゾヴォーク」に伝わるゲッターロボ――それは始まりの地に住む住人に絶大な力を与え、そして害なす者全てを破壊する始まりの地の守護神にして破壊神と言われる古の巨人。しかしそれらはあくまで伝説であると言う考えが今の一般的なゾヴォークの考えだ。だが地球からゲッター線反応が感知された……それは伝説のゲッターロボが地球で新たに生まれたかもしれない。ゲッター線が再び地球から銀河系を制圧する為に動き出すかもしれない。それに危機感を感じた枢密院がヴィガジ達が属する「ウォルガ」に調査を依頼し、ヴィガジ達は地球圏にやってきていたのだ。

 

「これ以上ゼゼーナン達に好きにやらせる訳にはいかん。ゲッター線等が存在しない事を、俺が証明してくれるッ!」

 

ウォルガを差し置いて地球との交渉を任されたゼゼーナンだったが、「グランゾン」の攻撃によって調印式は失敗した。それによって地球人の危険性、そして攻撃性の高さが明らかになり、負傷したゼゼーナンが復帰する前に、ゾガルが再び動き出す前にウォルガによる、地球の武力制圧を行なうべきだとヴィガジは考えていた、だがありもしない、存在する訳もないゲッターロボ、ゲッター線に怯えているメキボス、アギーハ、シカログ、そして本国の枢密院にゲッターロボは存在しない、ゲッター線なんてもう完全に消え去っている。それを証明する良い機会を得る事が出来たとヴィガジは笑みを深めた。

 

「……このままあいつらが逃げ腰では出来る事も出来ない、ここで出るつもりはなかったが……貴様らの命と機体をいただくぞ」

 

ヴィガジの中では量産型ゲッターロボを見た段階で、ゲッターロボ発見の情報は既に誤情報になっていた。バルマーがゲッターロボGの設計図を入手したと言う情報はあったが、ゲッター炉心で稼動していないと言う段階でそれは出来損ないのゲッターロボだ。ホワイトスターを制圧する前にゲッターロボを確認したが、遠目で確認しただけであり、搭載しているゲッター線レーダーにも反応がなかった事から姿形をゲッタードラゴンに似せただけだと既に思い込んでいた。自分達の機体に搭載されているレーダーが旧式でゲッターD2のゲッター線を感知出来ていなかったなんて事はヴィガジは夢にも思っていなかったからだ。

 

「このガルガウの実戦テストを兼ねてなッ! まずは貴様からだッ!! 偽りのゲッターロボッ!!」

 

ゲッターロボの存在は宇宙に生きる者全ての根源的な恐怖と言っても良い。ゲッターロボなんて存在しなかったという事を明らかにさせる為にまずはゲッターロボを破壊し、その残骸を持ち帰る事を決めたヴィガジはPT達を無視し、一直線に量産型ゲッターロボに強襲を仕掛けた。最大加速からのアイアンクローによる質量と速度を生かした一撃。これで簡単に量産型ゲッターロボを破壊出来ると踏んでいたヴィガジだが、コックピットの中でヴィガジは感心したような呟きを漏らした。

 

「ほう? 見掛けだけではないということか」

 

『なろお!!』

 

ガルガウのアイアンクローを真っ向から受け止め、その突撃を食い止めている量産型ゲッターロボに姿形だけまねたと言う評価を改めた。

 

「だが、その程度でッ!!」

 

『うがあッ!?』

 

両腕の動きは止めても、ガルガウには尾がある。遠心力をつけた尾の一撃が量産型ゲッターロボの胴体を捉えボールのように弾き飛ばす。

 

「貴様だけは完全に破壊する。ゲッターロボの存在は害悪だからな」

 

例えゲッター炉心で稼動していないとしても、ゲッターロボの姿をしているだけで宇宙に住まうすべての民族にとって恐怖の象徴になる。ゾヴォークの人間として、ゲッターロボの存在はなんとしてもここで排除しなければならない相手だった。尾による一撃でゲッターロボだけではなく、他の機体も回避させる事で距離を強引に取らせ、確実に量産型ゲッターロボにトドメを刺そうとガルガウが倒れているゲッターロボに歩みを進めた瞬間。弾丸のような勢いでR-1が両腕を光らせ、ガルガウに挑みかかった。

 

『うおおおおッ!! T-LINKナッコォッ!!!』

 

「ふん、そんな機体でこのガルガウ……ぬおッ!?」

 

ガルガウの全長の半分も無いR-1の攻撃を避ける必要もガードする必要もないと判断したヴィガジだったが、凄まじい衝撃がガルガウに走り、ガルガウの身体は一瞬だが宙に浮いた。

 

「ちいっ! なんだ、あの機体随分と性能がぁッ!?」

 

続け様に撃ちこまれたヴァイスリッター改とゲシュペンスト・リバイブによるビームの一撃がガルガウの巨体を揺らした。

 

『つまらない物ですけどどうぞーッ!!』

 

『貴様が何者かは知らんが、好き勝手出来ると思わないことだッ!!』

 

「馬鹿な!? 何故だッ! ぐっ!?」

 

執拗に撃ちこまれるビームの一撃をガルガウのクローで防ぎながらヴィガジは強い混乱に陥っていた。数の不利は把握していたが、地球の機体は既に回収し、分析した結果。数が頼りの量産機であり取るに足らないと言う分析結果だった。故にガルガウの実戦テストと共に月面機体の製造工場を押収するつもりだった。勿論最大の目的はゲッター線とゲッターロボの有無の確認だが、それを差し置いてもガルガウ単騎で十分に達成出来ると考えていた。だがいざ戦闘になると地球の機体はヴィガジ達の戦力分析の結果を容易く上回っていた。

 

(ビーム吸収は問題なく稼動している、それなのに何故だ!?)

 

コックピットのコンソールを操作し、ガルガウのコンディションを確認する。ガルガウの装甲はビームを吸収し、損傷を回復させる特殊装甲で構築されている。故にビーム兵器には無類の強さを発揮するのだが、何故かヴァイスリッター改とゲシュペンスト・リバイブ(S)のビームは吸収出来ず、強い衝撃が続け様にヴィガジを襲っていた。

 

「ぬっぐうッ!!! ええい、調子に乗るなよ! この野蛮人どもがッ!!!」

 

腕部から放ったビーム砲でR-1達の動きを止め、ブースターで距離を取り1度仕切りなおすことをヴィガジは選ばされてしまった。だがそれはヴィガジにとってはマイナスではなく、プラスに働いた。ヴィガジという男の気質は粗暴で、そして直情型の気の短い男である。そして自分が地球人に負ける訳が無いという傲慢な考えもあったが、1度距離を取った事で冷静になり戦況を見詰めなおす事が出来ていた。

 

「ただの野蛮人ではないと言うことか」

 

追撃に放たれた砲戦仕様のゲシュペンスト・MK-Ⅲとヒュッケバイン・MK-Ⅲの実弾を防ぎながら、ヴィガジは目を細めた。ゲシュペンスト・MK-Ⅲ、ヒュッケバイン・MK-Ⅲは既に回収した機体だったが、街を背に戦っている機体はそれらの装備が全て異なっていた。

 

「なるほど、ベース機に装備を変える事で戦況に合わせて機体個性を変えるのか」

 

自分達が回収した機体はノーマルタイプの機体で性能はさほど高くないものだったとヴィガジは判断した。だが所詮は装備を変えたマイナーチェンジ機――警戒するべき機体は3体だけだと判断した。

 

「あの3色と白銀、それと黒いゲシュペンストだな。あいつらはなんとしても回収させてもらうとしよう」

 

ガルガウを殴り飛ばしたR-1。そして何故かガルガウのビーム吸収装甲を貫通するヴァイスリッター改とゲシュペンスト・リバイブ(S)だけが要注意するべき敵であり、それと同時に回収するべきだとヴィガジは考えていた。

 

「さあ行くぞッ! 最早油断などせんッ! 偽りのゲッターロボと共に今の内に貴様らを始末してやるッ!」

 

それ以外の機体は回収する価値も無い、量産型ゲッターロボと共に破壊してやるとガルガウのコックピットの中でヴィガジは吠え、ガルガウを再び量産型ゲッターロボに向かって走らせるのだった。

 

 

 

 

 

月面に響き渡る激しい追突音とミサイルの放たれる音、そして怪獣の雄叫びを聞いて武蔵は腰を上げかけたが、カーウァイに肩を掴まれ上げかけた腰を再び椅子の上に戻された。

 

「まだなんですか……」

 

「駄目だ。今回は私とお前は動かない。絶対にだ」

 

無人機は姿を消したが、怪獣のような特機1体にリュウセイ達は完全に苦戦を強いられていた。それなのにまだ動こうとしないカーウァイに武蔵は眉を顰めた。

 

「リン・マオからの連絡だ。動くんじゃない」

 

歯が砕けんばかりに噛み締めているカーウァイの言葉に武蔵は自分だけではない、カーウァイも出撃したいのを鉄の意志で押さえ込んでいるのだと判った。

 

「すんません」

 

「いや、良い。私も出撃出来るなら今すぐにでも出撃したいが……そうも言えんのだ」

 

数の利は完全にリュウセイ達が上だ。だが戦闘力では怪獣のような特機――「ガルガウ」の方が圧倒的に上だ。数の有利などは圧倒的な暴力で押し潰される。しかもガルガウと同格の能力を持った機体が後3体控えていることを考えれば、今武蔵とカーウァイが動く事はその3体を呼び寄せる事、そしてインベーダーを誘き寄せる事に繋がりかねない、だからカーウァイは武蔵に動くなと言ったのだ。

 

「ガルガウが出てきた以上、他の奴らもいるかもしれない」

 

「ガルガウ? あれがあの機体の名前なんですか?」

 

「ああ、細部は違うが間違いない。あちら側の世界で襲撃してきた異星人の特機だ」

 

「それって……シャドウミラーが結成された理由だって言うえっとえっと」

 

「『インスペクター』だ。査察官とはよく言った物だな……これではただの侵略者だ」

 

あちら側にいる間時間の許す限りイングラムと共に調べていた最初の襲撃者――その中のリーダー格4人の1人が駆っていたのが、細部こそ違うが「ガルガウ」だった。査察官を名乗っているが、やっている事は襲撃だとカーウァイは皮肉めいた口調で呟いた。

 

「……大丈夫なんですか?」

 

「大丈夫だ。ギリアムもいる、この状況もあいつがいれば切り抜けてくれるだろう。もし私達が動くとすれば……他の3体が出現するか、インベーダーが現れてからだ」

 

先に動いて他の機体を呼び寄せることになってはそれこそ月が死の星になる。仮に出撃するとしても、他の機体……「グレイターキン」「シルベルヴィント」「ドルーキン」あるいはインベーダーが出現するまでは動いてはならないとカーウァイは強い口調で武蔵を律した。

 

「了解です。それにしても随分と情報がハッキリしているんですね」

 

「ああ、かなり傲慢な性格だったみたいでな。自分達の機体の事を自慢げに語っていたそうだ」

 

「……馬鹿っすか?」

 

「自分達が負ける訳が無いという自負があったんだろう。それゆえに足を掬われたようだがな」

 

何度も戦闘を繰り返し、それこそ捨て駒戦法さえも交えて、集めた情報――それを元にシャドウミラーは戦闘力の差を引っくり返したのだ。

 

「嫌な流れになって来ましたね」

 

「ああ、捜索が終わったら1度ビアン所長と合流する必要があるな」

 

ホワイトスター周辺の捜索に来た武蔵とカーウァイ。だが宇宙では「インスペクター」「アインスト」「インベーダー」と地上の百鬼帝国と同格、いやもっとすれば百鬼帝国よりもやっかいな敵勢力が動き始めていた。通信で情報は送れるが、それとは別に今後の対策も考える必要がある――地球はビアン達が考えるよりも遥かに危機的な状況に追い込まれているのだった。

 

 

 

 

ガルガウの大型クローとジガンスクード・ドゥロのシーズアンカーが激突し、凄まじい轟音が月面に響き渡る。

 

『ぐぐっ、この馬鹿力ぁッ!!!』

 

機体のサイズはジガンスクード・ドゥロが上回っていたが、出力は完全にガルガウが上回っており90m近いジガンスクード・ドゥロが完全に押し込まれていた。

 

『しゃあ! そのまま押さえてろ! タスクッ!! リュウセイッ!』

 

『おうッ!! いっけえッ!!』

 

ガルガウとジガンスクード・ドゥロが力比べをしている間に真紅のゲシュペンスト・MK-ⅢとR-1がガルガウ目掛けて飛び掛る。

 

『う、嘘だろッ! 逃げろぉ!? うおあわああああーーッ!?』

 

しかし2機の拳がガルガウに届くことはなかった。ガルガウがジガンスクード・ドゥロを持ち上げ、力任せに振り回した事でカチーナとリュウセイは攻め込む事が出来ず足を止めるしかなかったからだ。

 

「なろおッ! それなら俺が相手だッ!!」

 

ジガンスクード・ドゥロをハンマーのように振り回しているガルガウに量産型ゲッターロボが手にしたゲッタートマホークで切りかかろうとした時――ガルガウのカメラアイが光り輝いた。

 

『アラド! 駄目だッ! 止まれッ!!』

 

『凄まじい悪意……罠よッ!!』

 

リンとラーダの声が響き、アラドが動きを止めた瞬間。ジガンスクード・ドゥロの巨体で隠されていたガルガウの胸部から生えるように出現していたビーム砲が周囲を焼き払った。幸いセレヴィスシティを直撃する事はなかったが、月面に深い傷跡を残したその威力にアラドは唾を飲み込んだ。

 

「あ、あぶねえ……直撃していたら消し炭だ……」

 

リンとラーダの警告がなければアラドはそのまま量産型ゲッターロボを突っ込ませ、ビーム砲――メガスマッシャーの前に自ら飛び出し量産型ゲッターロボと共に消し炭になっていただろう。

 

『思ったよりも武器が多彩ね……』

 

『ああ、それにパイロットの腕も相当良い……厄介な相手だ』

 

その外見とは信じられないほどに立ち回りが上手いガルガウにギリアムは無人機ではなく、パイロットが乗っていると確信していた。下手に攻撃すれば同士討ちになりかねない場所取りを続け、口からの火炎放射でこちらの動きを制限する。怪獣のような粗暴な外見からは信じられないほどに冷静に、そして数の不利を引っくり返す立ち回りを続けている。

 

『きゃあッ!』

 

『ううっ……これ以上は……』

 

『ぐっ! これは不味いですね……』

 

ジガンスクード・ドゥロと量産型ゲッターロボの動きを封じるためにはなったガルガウのアーマーブレイカーの雨。それによって装甲に細かい亀裂が走っているのを見てカチーナは舌打ちと共に撤退命令を出す決断を下した。

 

『ちいッ! ラッセルッ! レオナとリオをつれて下がれッ! お前も限界だッ!』

 

今の状態では装甲を削られているヒュッケバイン・MK-Ⅲでは一撃も耐え切れず破壊される。カチーナの命令に自分達も限界だと悟ったのか、ヒリュウ改の前方まで下がるリオ達。ガルガウはそちらに一瞬視線を向けたが、興味を失ったのか両腕のクローの先から高周波ブレードを展開し、唸り声を上げ尾を月面に何度も打ちつけ威嚇行動を行なう。

 

『ち、メカザウルスの真似事をするなら考え方もそうしやがれ! この化け物トカゲッ!!』

 

行動自体は威嚇行動だが、それは振りだけで下手に踏み込めば両腕の高周波ブレードで両断される。その光景が容易に想像出来、カチーナの悪態が響いた。

 

『でもちょーっと、これ不味くない? ギリアム少佐』

 

『ああ……状況は余りよろしくないな』

 

支援機が減ったことで弾幕が減り、Rー1、ゲシュペンスト・MK-Ⅲ、ヒュッケバイン・MK-Ⅲは前に出にくくなった。

 

『あからさまにギリアム少佐とエクセレンを警戒しているからな、どうするつもり? ギリアム少佐』

 

戦いの中でガルガウはビーム兵器を吸収するという性質が明らかになった。だが、ヴァイスリッター・改とゲシュペンスト・リバイブ(S)の攻撃は通る。ガルガウはそれを警戒し、ヴァイスリッター・改とゲシュペンスト・リバイブ(S)が攻撃しにくいように、ミサイルの雨をセレヴィスシティに向かって放ち、迎撃に回させ、そこを火炎放射による一撃で狙うと言う厄介な攻撃パターンを見せていた。

 

『いや、ただのビームが通用する訳ではない』

 

『こっちもみたいよん。ヴィレッタお姉様』

 

作戦会議をしている間もミサイルを迎撃し、タスク達が攻撃しやすいようにガルガウの動きに合わせて、射撃を繰り出し、その動きを僅かでも束縛し、その攻撃の軌道を逸らし続けているギリアム達は紛れも無くエースパイロットだ。その攻撃の中でギリアムとエクセレンはあることに気付いたのだ。

 

『ジェネレーターに直結したやつだけみたい。ビームを吸収する装甲を貫通するの』

 

『こっちもだな、動力の問題か』

 

ヴァイスリッター・改は本体とは別にアーマーの方にも動力をジェネレーターを装備している。それはヴァイスリッター本体のジェネレーターを機動力に回し、攻撃はアーマーのジェネレーターを使い攻撃と移動に使う動力を完全に分離させ、機動力と攻撃力の両立を目的とした強化アーマーだからだ。そしてゲシュペンスト・リバイブは言わずもがな反マグマプラズマジェネレーターによる圧倒的なエネルギーを攻撃に転用している。通常のビーム兵器とは違う事がガルガウの装甲を貫通出来る理由かもしれないとギリアム達は考えていた。

 

『ヴィレッタ。ミサイルの迎撃をラーダと2人で出来るか?』

 

『……良いわ。弾幕が少し弱まってきてる……これなら少し厳しいけれどやるわ』

 

『すまん。厳しいと思うが頼む、エクセレン。俺とお前のツートップで切り込む、ジガンスクード・ドゥロ、ゲッターロボ、R-1の進路を作るぞ』

 

『了解、私は何時でも行けるわよ』

 

『良し、では行くぞッ!!』

 

ゲシュペンスト・リバイブ(S)のフライトユニットが唸りを上げ、それに呼応するようにヴァイスリッター・改の可変式ウィングが展開され、次の瞬間には2機の姿は消え、白銀と漆黒の光がガルガウに向かって飛び立つのだった……。

 

 

 

 

ガルガウの巨体が前後左右から撃ちこまれるビームの嵐によって、右に左に大きく弾かれる。戦闘開始から放ち続けてきたアーマーブレイカーとホーミングミサイルの残り弾数が少なくなったその瞬間にセレヴィスシティの守りから、攻撃に転じたゲシュペンスト・リバイブ(S)とヴァイスリッター・改によってヴィガジが圧倒的に有利だった戦況が僅かにリュウセイ達の方に傾き始めていた。

 

「ぐうっ!? おのれッ!!」

 

一瞬だけ姿を確認出来たが、要注意するべきと考えていたゲシュペンスト・リバイブ(S)とヴァイスリッター・改が超高速飛行に加え、低空飛行と急上昇を組み合わせ、全方位からの射撃を撃ち込んできていた。

 

「この速度、シルベルヴィントに匹敵するかッ!?」

 

大型クローで直撃は防いでいるが、ゲシュペンスト・リバイブ(S)とヴァイスリッター・改の速度はシルベルヴィントに匹敵する物があった。その動きに翻弄され、ヴィガジの意識から一瞬ジガンスクード・ドゥロと量産型ゲッターロボが消えた。

 

「くらえッ!!」

 

狙って当てれないのならばとメガスマッシャーと火炎放射で広域に攻撃を繰り出そうとした瞬間。超精密射撃による狙撃が斜め下から掬い上げるように打ち込まれ、ガルガウの上半身がそれ、メガスマッシャーは明後日の方向に向かって放たれた。

 

『アラド! お前は右からだ!』

 

『了解ッ! ぶっこむぜッ!!!』

 

「ええいッ! 調子に乗るなよッ!! 旧式と偽者如きがッ!!」

 

アーマーブレイカーとホーミングミサイルを放ちながら弾幕と同時に煙幕を展開し、狙撃を防ぐと同時にジガンスクード・ドゥロと量産型ゲッターロボを向かい打とうとアイアンクローを振るった瞬間。ジガンスクード・ドゥロと量産型ゲッターロボは後方に跳んだ。

 

「なッ!?」

 

『うおおおおーーッ! ぶち抜けぇッ!!!』

 

『念動集中ッ! T-LINKナッコォッ!!!!』

 

『……これ以上お前の好きにはさせんッ!!』

 

ジガンスクード・ドゥロと量産型ゲッターロボの後ろに隠れていたR-1の拳がガルガウの左肘の関節をピンポイントで殴りつけ、そこに続けてゲシュペンスト・MK-Ⅲのライトニングステークがねじ込まれ、超高圧電流によって完全に左肘の関節が破壊され、飛び込んできたヒュッケバイン・MK-Ⅲの手にしているコールドメタルブレードをメガスマッシャーの砲身にねじ込まれ、メガスマッシャー砲が中ほどから吹き飛んだ。

 

「ぐあっ……己……こんな……」

 

今まで戦ってきた地球の機体が弱かったこともあり、単騎で制圧出来ると考えていたヴィガジ。その考え自体は間違いではない、しかし一般兵とL5戦役を潜り抜けたリュウセイ達では操縦技術から何もかもが異なる。それがヴィガジとの戦いの中でガルガウの行動パターン、攻撃手段を知り、少しずつ少しずつだがヴィガジのアドバンテージを奪った。その結果が、メガスマッシャーと左腕の完全破壊だった。

 

『……よ~う、いい加減頭は冷えたか? ヴィガジ』

 

「貴様……何の用だッ!?」

 

強引にガルガウに通信を繋げて来たメキボスの言葉にヴィガジが怒鳴り返す。

 

『おいおい……1人で抜け駆けしといて、しかもガルガウは大破寸前……その様で良くも偉そうに言えるな?』

 

「見ているならば、応援の1つにでも来たらどうだ」

 

『冗談だろ? リーダーさんよ。俺達はホワイトスターの制圧に来たんだぜ? 勝手に地球人に攻撃を仕掛けて、んで追詰められてる馬鹿を助ける道理が何処にあるよ?』

 

メキボスの挑発染みた口調に怒鳴り返そうとするヴィガジだが、左腕を失った事で攻撃と防御がその幅を失い。メキボスと話している間もガルガウを凄まじい衝撃が襲っていた。

 

「ゲッターロボは害悪だ! あれの存在を許してはならんッ!」

 

『可能なら交渉だったろうが、まぁ……偽者を見て腹が立ったって言う気持ちは判らんでもないがな。俺もここまで来て、無駄足だったなら怒りを覚えるだろうしな、だけどよ。俺達の見たゲッターロボは本物だろうよ』

 

ゲッター線反応を感知したのがメキボス達が派遣された理由の1つである。そこにゲッターロボの偽者を見つけ、もしそれが感知、発見されたゲッターロボとなれば完全な無駄足。ゼゼーナンがちょっかいを掛けているから、ゲッター線反応にも信憑性が出たが、それ自身もゼゼーナンの罠である可能性も捨て切れなかった。

 

「ならばお前も手伝え」

 

『おいおい、気持ちは判るが手伝うとは言ってねえ。俺達の出番はもうちょっと後の筈だぜ? 撤退するって言うなら手伝うが、それ以上戦うつうなら、1人でやれ、んで地球人に反撃されてくたばれ』

 

メキボスの言葉にヴィガジは最後通告をされているのだと悟った。独断専行、交渉等をしようとせずに殲滅を始めようとしたヴィガジにはメキボスに指摘されなくても判るほどに複数の命令違反を既に犯している。

 

「……む」

 

敬愛する自分達の最高指揮官が来る前にこれ以上の失態は重ねられない。更に言えばガルガウを失う訳にも行かない、ヴィガジは拳を握り締め、屈辱に身体を震わせながら呟いた。

 

『なんだ? 声が小さすぎて聞こえん』

 

「撤退支援を頼むッ!」

 

『了解、45秒後にフォトンビームを撃つ。それに合わせて離脱しろ。今度は助けねえからな』

 

その言葉を最後にメキボスからの通信は途絶え、ヴィガジは歯を噛み締めながら、残された右腕と尾でR-1達の攻撃を凌ぎ、離脱するタイミングを図っていた。そしてきっちり45秒後――メキボスの言う通り、月面上空から放たれたビーム砲がガルガウの前に撃ちこまれた。それによってR-1達の追撃が止まった瞬間に撤退の為に振り返った瞬間、ゲッターロボが強引にビームを突っ切ってガルガウに挑みかかった。

 

『逃がすかよぉッ!!!』

 

「貴様のせいでぇッ!!! 消え去れ! 滅びの化身よッ!!」

 

この時ヴィガジは1つミスを犯した、激昂する余りその叫びが月面全体に響いてしまったのだ。これによって、ガルガウにパイロットが存在していると言う事がヒリュウ改側に伝わる事になってしまった。

 

『がはああッ!?」

 

飛び掛ってきたゲッターロボにカウンターの要領でクローをつきたて、至近距離で火炎放射を浴びせるガルガウ。最初のクローで動力を破損していたゲッターロボは火炎放射に晒された事で爆発炎上を始め、ヴィガジは小刻みに痙攣し、爆発するゲッターロボを追撃に来たR-1に向かって投げつけ、ダメ押しのホーミングミサイルを撃ち込み爆発に紛れて月面から離脱した。

 

「メキボス……」

 

「よ、これに懲りたら独断専行は止めるんだな。行くぞ」

 

「……ああ。先に戻らせて貰う」

 

メキボスの指摘に全面的に悪いヴィガジは何も言えず、しかしメキボスと共に帰還する事は己のプライドが許さず、グレイターキンを追い抜いてアギーハ達の待つ宙域へと引き返して行った。

 

(偽者か……いや、止めとくか……嫌な予感がする)

 

月面で爆発炎上する量産型ゲッターロボ――あれはウォルガのデータベースにあったが、初代ゲッターロボであり、自分達が目撃したゲッターではない。更に言えば、肌に突き刺すような殺気を感じこれ以上深追いすれば自分まで危険に晒されると判断し、メキボスは量産型ゲッターロボの消火活動とパイロットの救助を行なっているヒリュウ改のクルーを一瞥し、その場から離脱するのだった……。

 

 

こうしてインスペクターとの地球人との最初の戦いは幕を閉じた……いや、この戦いにより戦禍の幕は開かれた。

 

地球では百鬼帝国の復活と暗躍。

 

宇宙ではインスペクターの襲来。

 

地球と宇宙で暗躍するテロリスト、そして人智を越えた謎の生命体であるアインストとインベーダーの存在――

 

地球圏に生まれた小さな戦火は今地球圏全てを燃やし尽くす業火となりつつあるのだった……。

 

 

 

 

第46話 戦う理由 その4へ続く

 

 

 




今回はここで終わりで、次回はシナリオエンドデモと武蔵とカーウァイの視点で話を書いて行こうと思います。インスペクター四天王は何故か書いていると、凄く仲が悪くなる不思議何故なんでしょうね? それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
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