進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第115話 地獄門 その8

第115話 地獄門 その8

 

イングラムとカーウァイはシャドウミラーの事を口にしなかった。それを話してはいけない事だという2人からの無言の合図だと武蔵は判断していた。

 

(しかし、どうなることやら)

 

ウォーダンもそうだが、少しずつシャドウミラーが動いて来ている。本格的な侵攻が近いというのは武蔵も感じていたが、ロスターに百鬼帝国、ノイエDCにアインストとインベーダー、そしてインスペクターと敵が余りに多すぎて、シャドウミラーだけにあたれないと言う状況はかなり不味い物に分類されるだろう。

 

(……逆に考えろって事かねぇ)

 

敵が多いからシャドウミラーも思うように動けないと考えるべきなのかもしれない。しかし本当はもっと深い考えがあるかもしれない……だが武蔵にはイングラムやビアン達の深い考えはまるで理解出来ず。もうなるようになれと思うことにしていた。

 

『さてと、話を戻そうかの』

 

「すまないな、シキシマ博士」

 

イングラム達と話をしている間待っているだけだったシキシマにダイテツが謝罪の言葉を口にするが気にすることはないと笑った。

 

『さてと武蔵、リ・テク、そしてワシらLTR機構ではある結論が出てるのだが、お前に聞きたい』

 

「オイラにですか?でもオイラそんなに難しい事は判らんよ?」

 

『なに、簡単な話じゃよ。旧西暦で超能力者は何人くらいいたかの?』

 

超能力者と言われ、はっ?と、武蔵は間の抜けた返事を返し、うんうんと唸り、コウキに視線を向けた。

 

「超能力者っていたっけ? コウキ?」

 

「フィジカルお化けなら何百人もいたがな。そういう系統は知らん」

 

「んじゃラドラは?」

 

『俺も知らん、お前と言うか俺達も含めて基本的にフィジカルに全振りだろ?』

 

「フィジカルの意味は判らんけど、なんかちょっと馬鹿にされてる気がする」

 

「『気のせいだ』」

 

旧西暦トリオの結論は超能力者は知らないと言う物だった。と言うかフィジカル馬鹿という面ではラドラとコウキも武蔵と良い勝負なので馬鹿にしているわけがないので武蔵の馬鹿にされてる気がするのは完全に気のせいだったりする。

 

『となるとシキシマ博士の説が近いかもしれませんね』

 

『うむ、カチーナ中尉』

 

『あん? なんだよ』

 

『お主の言う、なぜ超機人が旧西暦に存在しなかったのか、それを答えよう。答えは簡単――旧西暦の人間は超機人のパイロットの適正が絶望的に無いんじゃ』

 

絶望的に無いと断言するシキシマだが、絶望的に無いと言われても兵器なのに何故?という言葉が脳裏を過ぎる。

 

『超機人は強念者、つまり念動力者が乗らないと、その人の生命力を吸います。つまり、念動力者以外が乗ると死にます。そして武蔵さん達は完全にフィジカルに全振りしてますから、適性がないのでしょう』

 

「ねえ?それ馬鹿にしてる?オイラ達が脳筋って言ってない?」

 

『良く判ったな武蔵、賢いぞ』

 

シキシマの歯に衣を着せぬ物言いに武蔵ははぁっと溜め息を吐いて脱力した。

 

「まぁ判らんでもないよな?」

 

「だな。頭が良い人間とかはいたが、超能力者なんていなかった。仮にそういう奴がいたとしてもすぐ死ぬだろ?」

 

「うんうん、すぐ死ぬと思う。隼人とかIQ300あったけど、基本的に肉体派だしな」

 

『簡単に言うとだな、仮にも人界の守護者である超機人が戦う為に人を何百人も殺していては本末転倒、そしてゲッターロボが存在するから復活しなかったんじゃろう。旧西暦の人間はフィジカルに、新西暦の人間はメンタルに特化してるという事じゃろう』

 

強靭な肉体と桁並外れた精神力を持ち合わせているが、超機人を起動させる能力は無いのが旧西暦の人間の特徴で、ある意味旧西暦という苛酷な環境で生きる為に高い身体能力を持ち合わせている。

 

それに対し、新西暦の住人で身体能力が高いと言っても旧西暦の人間にはまるで届かないが、そのかわりに念動力などの超能力に目覚めたのだろうとシキシマは考察を口にする。

 

「ちょっと思う事はあるが……」

 

「ある程度は納得出来ますね」

 

環境に応じて進化した形が超機人に適応出来なくなったというシキシマの仮説は多少強引な所はあるが、ある程度納得できる物であった。

 

『とりあえず、超機人に関してはこれで終わりとして、武蔵さんは百邪に関して何か知ってる事はありませんか? アインスト、そしてインベーダー、更にロスターに関して何か知ってることとかはありませんか?』

 

超機人とゲッターロボに関してよりも今知りたい事としてエリがそう尋ねる。

 

『待て待て、ワシはまだゲッターロボの事を聞きたい』

 

『後にしてください、ずいぶんと話をしたでしょう』

 

『いやしかしだな』

 

『後にしてください』

 

きっぱりとエリに言われしょんぼりとしたシキシマは明らかに落ち込んだ素振りを見せながら椅子に腰を降ろし、ダイテツから提供されたゲッターロボの解析データを分析し始める姿は哀愁さえ漂っており、その背中を見たキョウスケ達は何とも言えない表情をしながらアインストやインベーダーの話を始める武蔵とエリの会話に耳を傾けるのだった……。

 

 

 

 

インベーダー、アインスト――その何れもが未知の敵であり、今地球圏に数多存在する外敵の中で最も危険だとエリは考えていた。だから武蔵に知ってることはないか? と尋ねたのだ。

 

『インベーダーはゲッター線に寄生してる化けもんで定期的にゲッター線を吸収しないと消滅するからゲッター線を求めてて、生き物、無機物なんでも取り込んで変異するからとにかく厄介な化け物ですね』

 

武蔵の話を聞いてエリは遺跡で発掘された百邪のデータと合致する点があると頷き、自分が調べている物と合致していると頷いた。

 

『でもさ、気になっていたんだけどよ、なんで今までインベーダーが確認されなかったんだ?なんでも吸収してエネルギーに変えるならもっと目撃されてないとおかしくないか?』

 

タスクの疑問は当然の事のように思えたが、武蔵とエリにとっては違う内容だった。

 

「簡単な話です。地球に餌が無ければインベーダーが地球に拘る必要はない。元々ゲッター線は宇宙からの放射線、宇宙こそが彼らのホームグラウンドと言う訳ですね」

 

『……待って、それだとオイラが悪くない?』

 

ゲッター線を再び地球に持ち込んだのは武蔵だ。地球圏にインベーダーが出現したのは自分のせい?と武蔵が呟いたが、エリは首を左右に振った。

 

「仮に武蔵さんのゲッターロボが原因だったとしてもそれは微々たる物の筈です。百邪としてインベーダーが記録されているので考えられるのは1つ……」

 

「一定周期」

 

「その通りです。キョウスケ中尉、恐らくインベーダーは一定周期で地球圏に来てゲッター線が集まっているか確認しているでしょう。恐らくアインストも同じはずです」

 

百邪はその名の示す通り最低でも100通りの異形や化け物の姿が記録されており、インベーダーとアインストは一定周期で確認されているとエリは説明する。

 

『周期ねぇ……アインストもインベーダーも何を求めて地球に来るんだ?』

 

『え? いや、ゲッター線でしょ? イルムさん』

 

『アラド違うぜ、インベーダーもアインストもゲッター線に弱いんだよな? 武蔵』

 

『はい、特にゲッターD2みたいな規格外なゲッター線を貯蔵しているゲッターに近づけばそれだけで吸収し切れなくて消滅するレベルですね』

 

武蔵に確認を取ったイルムは武蔵の返答を聞いてその眉を細めた。

 

『近づいたら消滅するのに何でアインストとインベーダーはあんなにも武蔵に近寄るんだ?何か文献にそれらしいヒントはないのか?』

 

言うならば武蔵とゲッターD2は誘蛾灯だ。近づけば燃え尽きる、仮に燃え尽きなくとも致命的なダメージを受ける。そんなゲッターに挙って近づく理由はなんだ?とイルムがエリに尋ねた。

 

「そればかりは何とも……シキシマ博士はどうですか?」

 

「んー?適合出来る個体を増やそうとしてるんじゃないか? 近づいて焼かれて、生き残った個体をベースにして増殖すればそのゲッター線にある程度抵抗できる個体もその内生まれるんじゃないか?」

 

ゲッターロボと直接関係がないのでシキシマの反応は投げやりだったが、ある意味的を得ていた。適合できないのならば適合できるまで進化する……単純だが、それゆえに正しい行動だった。

 

「適合した個体って正直洒落にならない事ない?」

 

「俺はインベーダーって奴は見たことないけどよ、アインストはかなり厄介だったよな」

 

ゲッター線に弱いと言う弱点が弱点で無くなり、ゲッター線を吸収し強化された固体が生まれる――それはただでさえ強いアインストやインベーダーが更に強化されるという事を意味していて、エクセレンも流石に普段のお調子者の仮面が剥がれ落ち、真剣そのものの表情を浮かべる。

 

『アンザイ博士。ロスターは百邪の記録にあるのかしら?』

 

「いえ、ありませんね。全く新しい個体――インベーダーとアインストの融合個体のようですが、本来は敵対存在同士、その命は極端に短いと推測されます」

 

『まぁ勝手に消滅したしなぁ……しかし、インベーダーとアインストが融合するとかどういうことだよ? あいつらってめちゃくちゃ争っていたんだけどな』

 

「化けもん同士が潰しあってくれれば楽なんだけどな。合体して思念波で動けなくした挙句、道連れにするとか良い加減にして欲しいぜ」

 

「確かに遭遇したくない化け物ですね」

 

インベーダーとアインストの融合個体――生命として不完全で消滅する定めにあり、周囲の生命体を吸収して道連れにする。余りに悪辣なその行動にカチーナが舌打ちをし、ラッセルもそれに同意した。下手に近づけば取り込まれる、近づかなくても思念波でネガティブな感情が増幅され、悲痛な叫び声に精神を抉られる――インベーダーとアインスト以上に遭遇したくない化け物だ。

 

『仮に其方で出現したとしたら、対応できるのはラドラくらいだと思うぞ』

 

「俺か?何か理由でもあるのか?」

 

自分を名指しされた事で理由があるのか?とラドラがコウキに尋ねる。

 

『オイラとコウキが干渉を受けなかったんだ。だから多分ラドラも大丈夫だと思うって言う話だ』

 

「多分がつくのか……余りにも不確定要素が多すぎるな」

 

「ああ、出来れば合流して行動を共に出来るのがベストなんだが……リー中佐、そこはどうですか?」

 

『当面は無理だカイ少佐。プランタジネットの為に戦力強化や作戦を遂行する為に奪われた基地の奪還作戦などが多数ある……分断行動は続くな』

 

敵は余りにも強力で、そして戦力を2つに分けざるを得ないほどに劣勢に追い込まれている。状況は悪化の一途を辿るばかりでアインストとインベーダー、そしてロスターに対する決定打が無いヒリュウ改の面子の顔色が曇る。だがそれにエリが待ったを掛けた。

 

「龍虎王は恐らくアインストとインベーダーに対しても強く出れる筈ですよ」

 

「そうか、龍虎王はアインストやインベーダーと戦っていたって言っていた筈だ!」

 

エリの話を聞いてブリットが声を上げる。龍虎王の話が確かならば、龍虎王はアインストとインベーダーと戦う術があり、その力量はゲッターロボに匹敵する筈だ。

 

「それにゲッター炉心を解析すれば、ゲッター炉心もワシらでも作れるじゃろ。そうなればある程度は何とかなるんじゃなかろうかの?」

 

龍虎王とシキシマによるゲッター炉心の複製。それが戦力を分散しなければならない今のダイテツ達にとっての希望となるのだった……。

 

 

 

一方その頃アースクレイドルでは……プロトゲッターロボの残骸を前に龍王鬼が上機嫌に笑っていた。

 

「はっはははッ!!良いぜ良いぜ、良くやった! アーチボルドッ!!!」

 

「ど、どうも、龍王鬼さん」

 

バンバンと背中を叩かれ、骨が軋み、強制的に酸素を吐き出すことになりアーチボルドが苦しそうに顔を歪めていた。

 

「はい、お疲れ様。よく持って帰ってきてくれたわ」

 

「虎王鬼様、でも私達の持って帰ってきたものは同じのもあって」

 

労ってくる虎王鬼にノイエDCの部隊長がビクビクした様子で返事を返す。アインストとプロトゲッターから命からがら逃げてきたノイエDCの部隊が持ち帰ったゲットマシンはイーグル号3・ドラゴン号2・ベアー号1・ライガー号2とジャガーとポセイドンが無かった。厳密に言えばプロトタイプの物なので正規のゲットマシンでは無いが、その形状からの予測になるがどれもまともに揃っていない事を理由に罰せられるかもしれないと脅えていたのだが、虎王鬼はそんな部隊長に柔らかく微笑んだ。

 

「危険な状況だったと風蘭から聞いてるわ。本当にお疲れ様だったわ、龍!私達の区画の所で休ませてもいいわよね?」

 

「おう、良いぜッ!温泉に入って、酒飲んで飯食って来いッ!」

 

「と言うわけよ。ほら行った行った」

 

正当な労働には正当な報酬を命がけでプロトゲッターとゲットマシンを持ち帰った功績を認め、龍王鬼はノイエDCの兵士達に休むように大声で口にし、不安そうな表情を浮かべていたノイエDCの兵士達は安堵の表情を浮かべ、虎王鬼に促され龍王鬼達の区画へと向い、その姿を微笑を浮かべながら見ていた虎王鬼は今度は服が汚しながらゲットマシンを調べているレモンにその視線を向けた。

 

「どう?レモン。何か役に立ちそう?」

 

ノイエDCの兵士が持ち帰ったゲットマシンを調べているレモンに虎王鬼がそう尋ねると、レモンは子供のようなキラキラとした目で虎王鬼へ微笑みかける。

 

「何か所じゃなくて最高よ……ありがとう虎王鬼」

 

「良いわよ、だって私達友達じゃないの」

 

アーチボルド達が持ち帰ってきたプロトゲッターロボは凄まじい戦果として認められていた。そもそも百鬼帝国からすれば念動力者でなければ操縦できず、下手をすればパイロットを殺す龍虎王にさほど興味は無く、龍虎皇鬼、朱玄皇鬼の百鬼帝国製の超機人四邪の超鬼人の完成度を高め、共行王達の四罪、四凶の超機人を完全にする為の五行器のデータを取る為にだけに欲していたのだ。言うならばデータ取りの為のサンプル程度の価値しかない超機人に対して数十体のプロトゲッターロボ。そしてダブりはあるが大量のゲットマシンとそのどちらに価値があるかなんて言うまでも無いだろう。

 

「それで龍王鬼。それは我々も貰って良いのかね?」

 

「無理にとは言わないが、私も欲しいものだな」

 

ヴィンデルとイーグレットの言葉に龍王鬼は牙を剥き出しにして笑う。

 

「独占するつもりはねぇ、俺らが3体、後はお前らで話し合って分ければ良いだろ? そっちで勝手に話し合ってくれや」

 

ゲッターロボと言っても不完全な試作品、そしてその上半壊しているので修理して使うのも難しく、炉心とゲッター合金がメインとなるだろう。龍王鬼には大して興味も無いもので、闘龍鬼達の百鬼獣改造に使えれば良いかくらいにしか思っておらず、その殆どをヴィンデルとイーグレット達に渡すと話をしているとそこに別の声が割り込んできた。

 

「待て待て、ワシもかませい」

 

「そうそう、私もね」

 

共行王と饕餮王も格納庫に顔を出した。半壊していてもゲッターロボにはそれだけの価値があるのだ。

 

「1体貰おうかの、取り込めばワシはもっと強くなれるッ! あの忌々しい仙人共に報復をッ!!」

 

特に饕餮王の有様は酷かった。片目がつぶれ、右腕は肘から先が無く、血を流しながら片足を引き摺っていた。それでも憎悪を滾らせ、左腕にちぎれた女の腕を握り締め狂ったように笑っていた。孫光龍との戦いに饕餮王は破れ、命からがら逃げて来ていたのだ。確かに強化されていたが、それでも孫光龍の方が圧倒的に強かった、

 

「1人で行くからだよ、爺。なんで私にも声を掛けなかった?」

 

「ひゃひゃひゃっ、てめえの獲物をなんで他人に渡さなきゃならんのじゃ?」

 

孫光龍を初めとしたバラルの仙人は饕餮王と共行王にとっては怨敵。それを他人に殺されては良い気分になる訳が無く、単独行動に出た饕餮王だが、共行王も同じ事をしたかと長い髪を翻し、悪かったねと謝った。

 

「私も同じ事をすると思うわ」

 

「じゃろうじゃろう? 誰だってそうするわい。さて、龍王鬼よ、ワシらにも1機ずつ寄越せ」

 

「ちっ、しゃあねえなあ。持っていけや、貸し1つだぜ?」

 

龍王鬼の言葉に饕餮王と共行王は笑う。

 

「おうさ、ちゃんと返してやるぞ。取り込んでゲッター合金の力を手に出来ればな」

 

「そういうこと、上手く行くことを願っているんだね」

 

札を貼り付け自分が狙いをつけたプロトゲッターロボを回収し、2人とももう用はないと言わんばかりに背を向けて歩き去っていく。

 

「俺はこれとこれ、んでこいつ」

 

「……良いの? 龍王鬼?」

 

特に損傷の酷い物を回収する龍王鬼にそれで良いのか? とレモンが思わず問い掛けた。

 

「元々俺様はゲッターなんてもんには興味はねぇ。敵としては別だがな、なんか使い道あるだろくらいにしか思ってねえからこれでいい。虎もそうだろ?」

 

「ええ、それで良いわよ」

 

虎王鬼の了承を聞いて龍王鬼はヴィンデルとイーグレットに指を向けた。

 

「状態が良いのをくれてやるんだ、俺様の頼みも聞いてくれるよな?」

 

その言葉にヴィンデルとイーグレットはやられたと理解し、レモンは口元を押さえてころころと笑っていた。先に粗悪な物を選び、二人に状態の良い物を残した。いらないと口にしていても、それを取引に利用する強かさがあった。

 

「良かろう。俺は何をすればいい」

 

「おう、イーグレット。てめえの所の不気味な餓鬼とあの下種が若返らせて生き返らせた婆を動かすな、どうしても戦場に出したいなら俺にまず言え」

 

「……了解した。では俺が先に選んでも?」

 

「おう、てめえが先に了承したからな」

 

ヴィンデルが悩んでいる間にイーグレットが条件を飲み、比較的状態の良いプロトゲッターを選ぶ。

 

「そう焦らなくても良いわよ? どの道解析しないと使えないし、すぐに使えるわけじゃないからどれも一緒よ」

 

「……そうか、ならば良い。それで俺はどうすれば良いのだ?」

 

「ヴィンデルはよ、量産型Wナンバーズって言うのを機体と一緒に貸してくれや、後は俺様がいない時はオウカ達の保護、それさえ徹底してくれれば良い」

 

龍王鬼に出された条件はさほど重い物ではない。むしろ替えの利く量産型Wシリーズなんて何体出しても痛くはないし、オウカ達の保護というのも自発的に動かないゼオラが強姦されないか見守る程度でそれほど面倒な事ではない、それに面倒を見るのはレモンなのでヴィンデルには何の痛手もない。

 

「了解した。それでいい」

 

「話が早くて助かるぜ。後はそうだな、アクセルの奴を留めておくのもそろそろ限界だろ? あいつが出る時にヤイバでも闘龍鬼でも好きなほうを連れて行けよ。俺様が許可する」

 

アクセルがキョウスケと戦う事を望んでいるが、あれやこれやと理由をつけてとめてきたが、ソウルゲインの修理が終わった今それを止め続けるのも難しく、ヒリュウ改に何時襲撃を仕掛けるか判らない状況だ。

 

(……そうだな、悪くない)

 

アクセルを止める事が出来るのはヴィンデルとレモンくらいだが、ヴィンデルはまだ大きく動くつもりが無く、レモンはあくまで学者で研究者なので戦場に出すには不安が僅かに残る。Wシリーズは論外で、アクセルと同等かそれ以上の力を持つヤイバと闘龍鬼が同行してくれればやりすぎる事無く止めてくれることだろう。

 

「2人とも借りても?」

 

「それはお前の好きにしてくれて良いぜ」

 

どちらか1人ではなく、2人借りても良いと言う言葉を聞いてヴィンデルは悪くないと微笑み龍王鬼の話を受け入れ、自分達の取り分のゲッターロボに印をつけて格納庫を後にする。

 

「そろそろ我々も本格的に動く事になる」

 

「でしょうね、でもハガネとヒリュウ改はどうするの?」

 

「そこはブライが何とかしてくれる手筈になっている。我々のシナリオは変らない」

 

アインスト、インベーダーとあの世界で散々苦汁を舐めさせてくれた敵が出現している事を考えれば、キョウスケがアインストに寄生される前にこちら側に引き込めれば態々殺す必要も無い。そしてゲッターD2に仕込んだ遠隔操作装置で機能停止に追い込み回収してしまえば戦力的にシャドウミラーを止めれる勢力はどこにも存在しない。

 

「耐え忍んできたが、それももうじき終わる」

 

「そうね、後は上手く行くかどうかは天のみぞ知るって所かしらね」

 

地下に潜み、ありとあらゆる勢力に手を貸し、頭を下げ、己の矜持を曲げた。それでもそれだけ耐え、やっと自分達が表に立つ時が来たと邪悪な笑みを浮かべ歩き出すヴィンデルの背中を見つめながらレモンも歩き出す。口にはしなかったが、そんなに自分達の思い通りに行くかしらと言いたげな表情を浮かべているのだった……。

 

 

 

116話 隼と継ぎ接ぎ/撃ち貫け奴よりも早く その1へ続く

 

 




今回はインターミッションのラストなので少し短めの話となりました。次回はオリジナル要素を交えてのサマ基地攻防戦とビルガーの初陣、そしてヒリュウ改の方では皆大好きアクセルとソウルゲインに来てもらおうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。


PS

コスモノヴァと陽電子砲をGETしてニコニコのところで期間限定のストナーサンシャインに絶望中

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
  • 今のままで良い
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