進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第25話 アイドネウス島の決戦 その2

第25話 アイドネウス島の決戦 その2

 

アイドネウス島を眼前に確認したハガネのブリッジはその凄まじい光景に言葉を失った。巨大な……それこそ島のような建造物がアイドネウス島の近くに浮上し、そこからメカザウルスが休む事無く出撃を繰り返している。そしてハガネがアイドネウス島の領海に侵入した事でメカザウルスの攻撃は当然ハガネにも向く、全方位からの集中砲火にハガネの船体が大きく揺らぐ。

 

「艦長! PTを迎撃に回しますッ!」

 

「ならんッ! 本艦はこのままのエシュリオン湾へ突入するッ!!」

 

「しかし! このままの勢いで攻撃を受けていたらいかにハガネとは言えッ!?」

 

「大尉ッ! 仮にこの場でPT隊を展開したとしてメカザウルスと戦えると本気で思っているのか!」

 

その一喝にテツヤは息を呑む、DCのAMとは異なりハガネのPT隊はその大半が陸戦用だ。この状況で出撃したとしても、まともに戦闘を行うのは不可能だ。

 

「主砲、副砲のエネルギー全てをエネルギーフィールドに収束! メカザウルスの包囲網を突破し、アイドネウス島に上陸する! 総員! 対衝撃、閃光防御ッ! 突っ込むぞッ!!!」

 

「りょ、了解ッ! 最大船速ッ! 攻撃と回避は諦めろ! 防御に集中して一気にアイドネウス島に上陸するッ!!」

 

ダイテツの命令を補足するようにテツヤの指示が飛ぶ、その言葉を聞いてダイテツは笑みを浮かべる。無謀とも言える突入、だが足を止めていてはメカザウルスにとっては良い的だ。リスクは承知で突っ込むしかない

 

「ま、待ってくださいッ! ハガネの出撃ハッチが開いていますッ!」

 

エイタの言葉から遅れて、ハガネのメインスクリーンに武蔵の姿が映る。

 

『ダイテツさん、テツヤさん、オイラが先に出る。奴らは必ずゲッターを追いかけてくる、そうすれば少しは安全に出撃準備が出来る筈だ』

 

「ば、馬鹿な! 何を言ってる!? この状況でエネルギーフィールドを解除出来る訳がないだろうッ!」

 

武蔵の言葉にテツヤがそう怒鳴りつける。出撃の為には1度エネルギーフィールドを解除するしかない、そんな事をすればハガネは一瞬で撃墜される。

 

「……武蔵君。ゲットマシンならばエネルギーフィールドを内部から突破出来るのか?」

 

『はい、今のゲットマシンなら出来ます』

 

武蔵とて馬鹿ではない、エネルギーフィールドを解除して出撃するつもりはなく、最大速度でエネルギーフィールドを突き破りそのままアイドネウス島に向かうつもりなのだ。破壊されてしまえば、再展開に時間が掛かる。だが、破壊が少なければそれだけ少ないエネルギーでエネルギーフィールドは復旧出来る

 

「判った、先陣は任せる」

 

ダイテツの指示が信じられず叫び声を挙げるテツヤ。だが武蔵はダイテツの言葉に笑みを浮かべ、任せてくれと返事を返す。それから数秒後格納庫からゲットマシンが飛び出していく

 

『うおおおおおおッ!!!』

 

最大加速で出撃したゲットマシンは途中で緑の光に包まれ、そのままの勢いでまるですり抜けるようにエネルギーフィールドを突き抜けていく、そのあまりに信じられない光景にテツヤが大きく目を見開く硬直する。

 

「大尉! 何を惚けているッ! 艦首トロニウムバスターキャノンの発射準備を始めろッ!」

 

そんなテツヤを見てダイテツの一喝と命令が飛ぶ、その命令を聞いて我に帰ったテツヤだが命令の内容に驚いた。

 

「し、しかし! この状況でDCの総司令部を「誰がアイドネウス島に向けて撃つと言ったッ!? 目標恐竜帝国拠点と思われる海上浮遊物ッ!」……了解しました! 艦首トロニウムバスターキャノンの発射準備を始めますッ!」

 

今は人間同士で争っている場合ではない、武蔵の言う通りだ。ダイテツは軍人として民間人を守る者としての指示を出した、それは連邦の意向とは異なる物だ。それでもダイテツは命令を覆すつもりは無かった、軍人としての責務を果たす。ハガネの敵はDCではない、人類に害を加える恐竜帝国なのだから……先陣を切って戦場に飛び出していたゲットマシンの姿を見て、ダイテツの中の迷いは完全に消え去るのだった……

 

 

 

 

総司令部でビアンは唇を噛み締めた。DCの兵士……いや、正しくはビアン派の兵士の気力は充実しているが、いくら気力が充実していても、メカザウルスと言う圧倒的攻撃力と防御力を持つ相手と戦っていれば精神は疲弊し、その動きも荒が目立ってくる。

 

(アードラー派は排除したが、この場合悪手だったか)

 

アードラー派はアードラーが集めてきた権力欲や金を求める……所謂傭兵や、連邦や宇宙統合軍で問題を起こした軍人がその大半を占めていた。その中でもビアンの思想に共感し、協力を申し出た兵は決して少なくは無い、だが今回のメカザウルスを相手にしては権力欲、金欲に駆られた兵士は使い物にならないと判断したのだが、それが致命的とまでは言わないが兵力不足を呼んでいた。

 

「……クロガネはまだかッ!?」

 

DCの旗艦となるべく開発されたスペースノア級参番艦「クロガネ」の発進準備はまだかとビアンが叫ぶ。本来はハガネにぶつける為に調整していたが、このままではアイドネウス島が落とされると判断したのだ。

 

「機材の積み込み完了及び、艦首超大型回転衝角の調整終了まで、380秒!」

 

(ギリギリか……)

 

アイドネウス島に近づいてきているあの海上拠点、それを破壊しない限りはDCに勝利は無い。少なくともメカザウルスの発進だけは阻止しなければならないのだ。

 

(どうするヴァルシオンで出るか……)

 

自分が出るか、それともシュウに出撃要請を出すかとビアンが悩み始めたその瞬間。オペレーターの悲鳴に思考の海から引き上げられた

 

「テンペスト少佐を庇い、エルザム少佐のガーリオンが大破ッ!」

 

「いかんッ! 各員エルザムの支援に……あれはッ!」

 

ビアンがエルザムの支援に向かえと指示を出そうとしたとその瞬間、ゲットマシンが凄まじい勢いで戦域に突入してきた。

 

『ゲッタァァーミサイルッ!!!』

 

ベアー号から放たれたミサイルがガーリオン・カスタム・トロンベを襲おうとしたメカザウルスを吹き飛ばす。

 

「「「「シャアアアーッ!!」」」」

 

『そうだ! こいッ! オイラについて来いッ!!!』

 

ゲットマシンの存在を確認するとメカザウルスはリオンやガーリオンに目もくれず、ゲットマシンの追走を始める。

 

「いまだ! エルザム少佐のガーリオンの回収命令を出せッ! 更に指示系統をアイドネウス島からクロガネに変更する! 総員移動を急げッ!!」

 

このままでは総司令部はメカザウルスの攻撃によって落とされる。アードラーたちを収容しているフロアは地下施設、念の為に緊急隔壁を降ろし、ビアンはアイドネウス島の基地を放棄して、クロガネに司令部を移す事を決めた。

 

「エルザム少佐のガーリオンの収容を確認しました!」

 

クロガネのブリッジに腰掛けた少女の言葉に返事を返し、モニターで戦況を見つめる。ゲットマシンの乱入から、メカザウルスの攻撃は明らかにゲットマシンに向けられている。この状況ならば合体するのが正しい選択だが、武蔵はまだそれをしていない。メカザウルスを引き付け、リオンやバレリオンの離脱する隙を作り出している。

 

「総帥! こちらに高速で接近する熱源あり……識別信号は……ハガネですッ! 後480秒で視認領域に入りますッ!」

 

ゲットマシンと武蔵がいるのだ、ハガネも接近して来ている事は判っている。この状況で己がすべきことは何だとビアンは己に問いかける……

 

(何を迷っている、何をするかなんて決まってるじゃないか)

 

自分は、DCは……いや、ビアン・ゾルダークと言う男は地球を護るために立ち上がった。何をいまさら立ち止まる必要がある?

 

「ビアン総帥、申し訳ありません。預けられた機体を失う事となりました」

 

「いや、構わん。よく無事だった」

 

ブリッジに上がってきたエルザムにビアンは笑みを浮かべる、機体の半分を食い千切れ掛けているのに奇跡的に生還したエルザム。これは運命が言っているのだろう、まだエルザムは死ぬべきではないと

 

「エルザム・V・ブランシュタイン、現時刻を持ってお前をクロガネの艦長に任命する。それに伴い指揮権もお前に譲渡する」

 

ビアンの言葉に顔色を変えるエルザム、ビアンはそれを見て笑いながらエルザムの肩を叩く

 

「後は任せる。何、心配するな。私は私の成すべき事をする」

 

「……了解しました、ご武運を」

 

「「「ご武運をッ!!」」」

 

最敬礼をしながら言うエルザム達に頷きビアンはクロガネの通路を格納庫へ向かって走る。エルザムならば指揮を任せることが出来る、それならば自分は何の憂いも無く出撃できる

 

「ビアン博士、ご助力は必要ですか?」

 

「……いや、今はいい、状況を見て出撃してくれ、それと……ここまで協力してくれて感謝する」

 

格納庫の前で待っていたシュウにそう告げて、ビアンは格納庫に入る。そこには何十人もの整備兵が出撃前のヴァルシオンの調整を行っていた。

 

「「「「総帥に敬礼ッ!!」」」」

 

ビアンに気付き最敬礼をする整備兵達の前を通り、ビアンはヴァルシオンのコックピットに身体を滑り込ませる。

 

「出力チェック、ゲッター炉心は出力30%で固定、システム順次起動」

 

ヴァルシオンのコックピットで起動シークエンスを進めていく、クロガネのメインモニターと同調しているヴァルシオン内部モニターには、メカザウルスからの四方からの攻撃をかわし、上空へと上昇していくゲットマシンの姿が映し出されている。

 

(そうだ、私は地球を護るのだ)

 

過去から訪れた武蔵によって、何よりも大事な思いを思い出した。そして何よりも、旧西暦に地球を救った英雄と肩を並べて戦える……ビアンは気がついたら獰猛なまでの笑みを浮かべていた。

 

「ふっ、私もまだまだ若いな」

 

『チェーンジッ!! ゲッタァァァーッ!!! ワンッ!!!!』

 

上空でマントを翻すゲッター1の姿を見て、ビアンは苦笑する。その姿を見て高まる心臓の音、言葉に出来ない高揚感。まだエンジンが温まっておらず、出撃出来ないがヴァルシオンの操縦レバーを握り締める。クロガネに収容した技術班、そしてキラーホエールに逃がした科学者達には自分が分析したゲッター炉心の設計図を渡している。最悪の場合、彼らが武蔵のゲッターを万全にしてくれるだろう。

 

(……覚悟は出来た)

 

戦争を起こした者として、地球圏を乱した者としてビアンは裁かれなくてはならない。だからその責任を果たす為に、自分は戦うのだ。地球圏を守護する剣として、地球を、人類に害をなす恐竜帝国と戦い果てる。それが自分の運命だとビアンは悟るのだった……

 

 

 

 

 

 

ゲットマシンからゲッター1へとチェンジさせた武蔵は目の前の惨劇を見て、ニューヨークでの戦いを思い出した。メカザウルスが闊歩し、建造物を破壊し、僅かに残った米兵がメカザウルスへと突撃し死に絶える光景。時代も、建造物も何もかも違うが、どうしてもニューヨークを思い出せさていた。

 

「行くぜぇッ!!!」

 

戦場をあえてゲットマシンで飛びメカザウルスを引き付けた。リオンやバレリオンではなく、ゲッターを狙う。それはメカザウルスの習性であり、存在理由であった。ゲッターロボを倒せ、それがメカザウルスの電子頭脳の根底にある。武蔵はそれをニューヨークでの戦いで把握していたのだ。マントでゲッターの身体を隠すようにし、一気に急降下する。凄まじい重力が一気に襲い掛かり、武蔵はそれを歯を食いしばり耐える。

 

「ゲッタァァァ……ビィィィムッ!!!」

 

マントに包まれたままゲッタービームを放つ、ゲッターウィングはただの飾りではなく、それ単体も耐熱防御や、ビームの防御能力を持つ防具でもある。そんなマントに包まれたまま、ゲッタービームを放つ。それは普通に考えればただの自殺行為だ、マントとゲッターの装甲でゲッタービームが乱反射を繰り返し、マントの隙間から縦横無尽にビームが飛び出す。

 

「ギシャア!?」

 

「ガアアアアッ!?!?」

 

「ギギャアアッ!?」

 

狙いを定めた攻撃ではない、マントと装甲で乱反射されたゲッタービームは無差別にメカザウルスを貫き爆発させる。

 

(ぐっ……! まだだッ!!)

 

武蔵はコックピットの中で必死に歯を食いしばる、乱反射したゲッタービームは容赦なくゲッターの装甲を抉る。そしてその熱量でゲッターのコックピットは真紅に染まり、武蔵の額には大粒の汗が浮かんでいる。コックピットにレッドアラートが灯ると同時にゲッタービームの照射を解除し、マントを開きマント内に篭もっていた熱を排出する

 

「おおおおーーーッ!! ゲッタァァーーーマシンガンッ!!!」

 

機体を反転させ、両手を突き出すと同時に腕部装甲から展開されたゲッターマシンガンの引き金を引く、狙いなんて定まるわけはない、急降下からの反転、普通の人間ならば重力でブラックアウトして当然の重力を武蔵は耐え切った。だが流石に平気とは言えず、視界が定まらない中で放たれたゲッターマシンガンの銃弾はゲッターを追って降下してきたメカザウルスバドを貫き、次々と破壊していく……

 

「正気か……!?」

 

その光景を見ていたテンペストもエルザムもそう叫んだ。どこの馬鹿が機体が傷つく覚悟でビームを放つ、下手をすればゲッターは爆発していてもおかしくない特攻に近い攻撃。それに加えて急降下からの反転、優れた重力装備があるならまだしも、ゲッターにはそれらがない。普通ならば気絶していてもおかしくない状況での攻撃。どの行動をとっても新西暦のパイロットならば実行しようとも思わない行動だ。

 

「邪魔だああッ!!!」

 

だが武蔵はそんなことはお構いなしでゲッターを走らせる、その先はランドリオンがメカザルス・ゼンⅡを近づけさせまいと攻撃している方向だ。滑走路に足跡をつけて走るゲッターはそのままの勢いで蹴りを入れて、拳を叩きつける。

 

「大丈夫か!」

 

「は、はい!」

 

「よっしゃ、それなら逃げろッ! ここはオイラが食い止めるッ!」

 

破損しているランドリオンを庇いながらゲッター1は両手にトマホークを持ち、向かってきたメカザウルスの尾や機械で出来た腕を受け止め、空いている方のトマホークでメカザウルスの首を絶つ。今までと打って変わり、静の構え。だが一度間合いに入れば、メカザウルスは避ける事も、逃げることも出来ずトマホークで両断される。

 

「総員、クロガネに集まれ!陣形の組みなおし、及び弾薬、エネルギーが不足している機体は補給に入れッ!」

 

本来ならば武蔵1人に任せるのは酷だ。だがゲッターは致命的なまでに連携と言うことには向いていない機体だった。単機での殲滅能力に特化しているからこそ、連携や協力すると言うことは前提にないのだ。だからこそ、武蔵を残して1度補給に入れと指示を出したエルザムの行動は間違いではない。だが不運だったのは戦艦から聞こえてきたエルザムの声に武蔵が足を止めてしまった事だ。

 

「あの声……エルザムさんか」

 

アイドネウス島の格納庫からゆっくりと浮上してきた、赤と黒のハガネに似た戦艦を見て武蔵の注意が一瞬だけメカザウルスから逸れた

 

「な……ッ!? ぐはあッ!!!」

 

「キシャアアアーッ!!!」

 

アイドネウス島の滑走路を突き破った拳がゲッター1を上空に殴り飛ばす。滑走路を破壊しながら姿を見せたのは、巨大な尾も、プテラノドンを思わせる装甲も無いが、紛れも無くメカザウルス・ラドの姿だった。

 

「ぐっ! このっ!!」

 

「「「「シャアアアーッ!!!」」」

 

バドが何十匹とゲッター1に組み付き、その動きを完全に封じ込め、アイドネウス島に上陸していた10体近いメカザウルスが口を大きく開き、火炎弾を発射しようとする。

 

「いかんッ! 対空砲座照準「舐めるなあああッ!!!」

 

火炎弾が発射され、ゲッターに命中したと思った瞬間。爆炎の中から凄まじい勢いでゲットマシンが飛び出してくる、その光景を見て思わずエルザムは絶句する。

 

「まさか!? あのタイミングで分離したのかッ!」

 

ゲッターロボは合体こそすれば無敵だが、戦闘機状態では攻撃力も防御力も低い、今の回避だってほんの少しでもタイミングがずれれば、ゲットマシンの撃墜と言う結果になっていただろう。だが武蔵はその卓越した操縦技術で紙一重でバドによる火炎弾の嵐を回避して見せたのだ。

 

「チェーンジッ!!! ゲッタァァァーーーッ!! スリィィィーッ!!!!」

 

「ギ、ギギャアアアアアアッ!?!?」

 

上空でゲッター3にチェンジし、その自重でラドを押しつぶす。だが武蔵の攻撃はそれだけでは終わらない、ラドの両足を掴み、滑走路に傷をつけながら高速で回転する。

 

「オッラアアアアアッ!!」

 

「ギギャァッ!?」

 

「ゴガアアッ!!」

 

ラドをハンマーのように使い、メカザウルスを文字通り叩き潰していく、その凄まじい光景はゲッター3の圧倒的な攻撃力をこれでもかと示していた。

 

「少佐、ハガネがエシュリオン湾に侵入してきます!」

 

「来たか! これより超大型回転衝角を用いて恐竜帝国本拠地への突撃を行うッ!! 各員、対衝撃、閃光防御ッ! 更にハガネに通信を繋げろッ!」

 

あの浮遊拠点を潰さない事にはメカザウルスの増援を止める事は出来ない、クロガネの艦首の対艦対岩盤エクスカリバードリル衝角だけで突破出来る確証も無かった。それゆえにエルザムはハガネを待っていたのだ、クロガネとハガネならばあの浮遊拠点を破壊出来る筈だ。ハガネはエシュリオン湾上空に滞空し、PTや特機を展開していく、その光景を見ながらテンペストに通信を繋げる。

 

「テンペスト少佐、判っていると思いますが、ハガネ及びその部隊への攻撃は禁止されています」

 

『……判って……判っている! 通信を切るぞッ!!』

 

苛立たしいと言わんばかりに通信を切るテンペストに僅かな不安を抱きながら、ヴァルシオンに通信を繋げる。

 

「総帥。出撃は間に合いそうですか?」

 

『すまないが、まだ時間が掛かる。このまま突撃してくれて構わない、クロガネ、ハガネによる攻撃の後出撃する』

 

ビアンの中では、既にハガネが協力する事は決定事項かとエルザムは苦笑する。だが他の軍人とは異なり、ハガネのクルーならば話は通じると思っているだけに、ビアンの意見にはエルザムも賛同していた。

 

「少佐、ハガネとの通信繋がります」

 

通信兵の言葉に顔を引き締め、モニターに映し出されたダイテツとの共同作戦を切り出すのだった……

 

 

 

 

 

武蔵から遅れること15分。ハガネはアイドネウス島に辿り着いたのだが、そこでダイテツ達を待っていたのは地獄と言う言葉さえ、生ぬるい地獄絵図だった。アイドネウス島の強固の城壁は既にメカザウルスによって破壊され、噛み砕かれたリオンや、爪で引き裂かれたガーリオン、尾で押しつぶされたであろうバレリオンやランドリオンなど酷い有様だった。

 

「うおおおおおーーーッ! 大雪山おろおぉぉーしッ!!!」

 

ゲッター3だけが縦横無尽に暴れ周り、メカザウルスの進撃を防いでいる。だが敵の数があまりに多く、完全にDCが窮地に追い込まれている、そしてやはりEOTI機関で開発されていたクロガネの姿もある。

 

「各員! 出撃ッ!」

 

出撃前のブリーフィングでDCとの共同作戦になるということ、そしてメカザウルス……恐竜帝国を滅ぼさない事には人類の未来はない。確かに思う所はある、だがそんな事を言っている場合ではないのだ。

 

「やはりDC側も同じ気持ちのようですね」

 

ハガネから出撃したPT隊に攻撃を加えないDC部隊。それはDCもまた、メカザウルス、恐竜帝国を倒さない事には人類には未来がないと判っているのだろう。ほんの僅かな動揺を見せたが、直ぐにハガネのPT隊も陣形に入れて一丸になってメカザウルスと戦っている。

 

「艦長! クロガネより通信です」

 

エイタの言葉にダイテツはメインモニターに回せと告げる。そしてモニターに映し出されたのはビアンではなく、艦長席に腰掛けたエルザムの姿だった。

 

『ダイテツ・ミナセ中佐。こうしてアイドネウス島に訪れたと言うことは、共に恐竜帝国と戦ってくれると言うことでよろしいのですね?』

 

エルザムの第一声は味方かどうかの確認であった。本来ならば、軍の命令を果たすのならば、DCと恐竜帝国が疲弊してから出撃する。だがこうしてアイドネウス島に現れたのは共に恐竜帝国と戦う事に他ならない、そう思っていても言葉で聞きたいと思うのは当然の事だろう。

 

「本艦はDCではなく、恐竜帝国と戦う為にアイドネウス島に来た。攻撃などを加えるのならば、本艦はこの海域より離脱する」

 

『……ふっ、嘘がお下手ですね』

 

艦首トロニウムバスターキャノンの膨大なエネルギー反応を感知したのだろう、エルザムはそう苦笑すると同時に頭を下げる。

 

『ご協力感謝します。それに伴い、1つ作戦に協力していただきたい。恐竜帝国の拠点からはメカザウルスが休む事無く出撃してきています』

 

それはダイテツも確認している、メカザウルス・バドやゼンと言う空戦型のメカザウルスに、海中から大型の陸戦型のメカザウルスも休む事無く姿を見せている

 

「先にあの島を落とすと言う事か?」

 

『察しが早くて助かります。本艦が活路を開きます、そしてその上でハガネによる全力攻撃を望みます』

 

それは本来ならばありえない提案だった。共通の敵がいるとは言え、元々は戦争をしていた者同士、それなのに自ら先陣を切るなんて普通は言えない、背後から撃たれる可能性は十分にあるからだ。エルザムの提案はダイテツに全幅の信頼を寄せてなければ出来ない提案だった。

 

「……判った、必ず本艦が恐竜帝国の拠点を沈める」

 

エルザムは言葉短く感謝の言葉を口にして、ブリッジの兵士に矢継ぎ早に指示を飛ばす。ダイテツもそれに続くように指示を出す

 

「艦首トロニウムバスターキャノン発射準備ッ!!」

 

「了解! エネルギーバイパス開放ッ!!」

 

「目標! 恐竜帝国本拠地ッ! 全砲門開けッ! これより我が艦は一斉砲撃の後、艦首超大型回転衝角を使用するッ!!」

 

「了解! 全部各砲塔発射準備ッ!!」

 

ダイテツとエルザムの指示が交互に飛ぶ、お互いのタイミングがあってなければこの攻撃は失敗する。クロガネとハガネの通信は今も繋がったままとなっている。

 

「艦首超大型回転衝角始動ッ!」

 

「了解! 回転衝角始動ッ! 機関最大戦速ッ!!」

 

エネルギーフィールドを展開したまま突っ込むクロガネの後を追ってハガネも前へ進む。

 

「スティール2より、DC、各機に通達ッ! 本艦の射線軸より離脱せよッ! 繰り返す、本艦の射線軸より離脱せよッ!」

 

全域通信がアイドネウス島に広がり、ハガネとクロガネの進路からPT、AMが姿を消す。

 

「各砲塔攻撃開始ッ!!」

 

「総員衝撃に備えよッ!!」

 

クロガネに備え付けられた全ての砲塔から圧倒的な弾幕が全てマシーンランドへと突き刺さる。メカザウルスが進撃を防ごうとするが、その圧倒的弾幕の前にクロガネ、ハガネに近づくことも出来ず爆散する。

 

「全速前進ッ! クロガネ突撃ぃぃぃッ!!!!」

 

エルザムの号令と共にクロガネが最大速度でマシーンランドへと突撃する。弾幕に抉られ、内部が見えているマシーンランドに対艦対岩盤エクスカリバードリル衝角が突き刺さり、容赦なくその装甲を削っていく

 

「発射10秒前ッ!」

 

「安全装置解除ッ!」

 

「了解ッ!最終安全装置解除ッ!!」

 

クロガネが離脱すると同時にハガネがオーバーブーストでマシーンランドへと突撃する。

 

「総員対衝撃、閃光防御ッ!」

 

「発射5秒前! 4! 3! 2! 1ッ!!」

 

「トロニウムバスターキャノン発射ぁぁッ!!!!」

 

クロガネのエクスカリバードリル衝角によって荒らされた箇所にトロニウムバスターキャノンが突き刺さり、マシーンランドが凄まじい振動と共に爆発を繰り返し、徐々に沈んでいく。その光景を見ていた全員が勝利を確信した時

 

「まだだっ!! 早く離脱するんだッ!!」

 

武蔵の怒声が周囲に響いたが、それはあまりにも遅かった。今だ煙が出ているマシーンランドから全方位にビームが放たれた……

 

「ぬっ! ぐううッ!!!」

 

「しまっ!?」

 

クロガネはハガネよりも先に離脱していたからか、後部に数発被弾しただけだ。だがハガネは前部から船底に被弾し、煙を放ちながら降下して行く

 

「ふっははははーッ!!! まだだ! まだ我が恐竜帝国は滅びんぞおおおおおおッ!!!」

 

マシーンランドを内部から破壊しながら、巨大なメカザウルスが姿を見せる。初めて恐竜帝国が現れた時の4つ首のメカザウルスの胴体の上には鋭い鉤爪を持つ異形の人型の姿。頭部はコブラを思わせる形状をした鬼のような顔……

 

「ゴール……」

 

それを見た武蔵はゲッターのコックピットで呟く、今新たに現れたメカザウルスの上半身、それはゴールを模した物であった。

 

「勝負だぁッ!! ゲッターロボ! そして人間共よッ!! このギガザウルス・ゴールの力を思いしるが良いッ!!!」

 

バットの雄叫びと共に放たれた何十発と言うビームが無差別にアイドネウス島に降り注ぐのだった……

 

 

第26話 アイドネウス島の決戦 その3へ続く

 

 

 




クロガネとハガネの連続攻撃は私の趣味です。クロガネもハガネも好きですしね、これはどうしてもやりたかった。マシンランドウ撃墜後、ギガザウルス・ゴール出現。ここからが本番になります、第二次OGとかの定番のMAP持ちの長距離射程と近接武器が強いボスユニットとなります。流石にHP回復とバリアはないですが、バットが確実に底力を持っているので強敵となるでしょう。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
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