130話 暴虐の超機人/闇からの呼び声 その5
クロガネ、ハガネ、シロガネの3隻のスペースノア級とヒリュウ改の全戦力を注ぎ込むことで鯀鬼皇と饕餮鬼皇の2機の超機人を退ける事は出来た。だがその事に笑みを浮かべている者は誰1人として存在していなかった……直接戦ったからこそ、その力を目の当たりにしたからこそ、撤退に追い込むことが出来た理由が判ってしまったからだ。
「全然本気じゃなかったな。ラドラ、カイ」
「……ああ。あいつらはまだ余力を残していた、それと慢心していたからこそ付け入る隙があったが……」
「次はないだろうな」
鯀鬼皇は確かに異形の巨人ではあったが、神を名乗るだけの知性と大局観を持ち合わせていた。そして堂々と鬼は敵であると言い放った性格から、恩義に厚くもあり、そして人のあり方を賞賛して見せた。確かに敵ではあるが、今回の戦いはあくまで見極める為の物で、本気で戦うつもりは無かったとギリアム達は分析していた。
「化け物ではあるが、それなりの敬意は抱けるな」
「指揮官、指導者としては紛れも無く1級品だな。同じ超機人であったとしても饕餮鬼皇は品性が違う」
その話にゼンガーとエルザムも加わる、鯀鬼皇は己の敗北を認め、最後まで堂々と勝利した武蔵達を賞賛し消えていった。それはゼンガーから見ても潔いものである種の尊敬と共感を抱く性格をしていた。それに対して饕餮鬼皇は下品であり、女を犯しながら喰うのが好きだと公言し、事実ヴァルシオーネ達を追い回していた姿も見て、嫌悪感を抱いたクルーは少なくない。しかしそれでいて強さは別格で、精神を喰らうという性質上かなりの難敵である。今回は慢心していたからこそ勝機があったが、最初から全力で来られていては苦戦は必須だった。
「ゼンガー。お前達は何か知っているんじゃないのか?」
「いや、俺達も調べている段階で有力な情報はない。とりあえずビアン博士がこっちに来てから……「このクソ親父ィッ!!!」
リューネの怒声が響きゼンガー達が振り返ると見惚れるような右ストレートでビアンを殴り飛ばした姿のリューネ、そして殴られた勢いで回転しながら吹っ飛ぶビアンの姿に誰もが声を失った。
「歯ぁ食いしばれ! 親父ぃッ!!」
「待って! リューネ待ってくれ! 死ぬ! それ以上は殴ったら死ぬッ!!!」
「リューネ嬢! 落ち着くんだ!」
バンと武蔵が怒り狂うリューネを必死に宥めようとするが、怒髪天を付いているリューネは止まる気配がない。
「……世界を取れる右だ。良い拳だ……」
「このクソ親父ぃッ!!!」
鼻血をダクダクと流しながらサムズアップし崩れ落ちるビアンとその言葉に更に怒りを燃やすリューネ。
「ストーップ! マジで死ぬッ! マジで死ぬからッ!!!」
「離せ武蔵ぃッ!!! 殴り足りないッ!!」
「ここでビアン総帥に死なれる訳にはいかんのだッ!!」
自分の愛娘に撲殺寸前に追い込まれているビアン、そしてそんなビアンにトドメを刺そうとするリューネに武蔵とバンはリューネを羽交い絞めにし、無理やりビアンから引き離しに掛かった。
「ビアンさんを医務室へッ!!」
「急げッ!」
「シャアアアアアーッ!!!」
「「長くは持たないッ!!!」」
武蔵とバンの2人を持ってしても長くは持たないと聞いて、LB隊が担架にビアンを乗せ全速力で去っていく。
「なんだろうな……クロガネのイメージが崩れた」
「……そうだな。見ない間に何があったんだろうな……」
リュウセイ達が今のやり取りを見て何とも言えない顔をする。ちなみに現在進行形でトロイエ隊の生き残り達はというと……。
「はぁーッ!? レオナのやつ彼氏を作ってやがるぞ!?」
「いえいえ!? 何をッ!?」
「根掘り葉掘り全部聞きますわ!」
「……喪女を馬鹿にしてるでしょ? ねぇ、そうなんでしょ?」
「隊長、何で幼女に負けてるんですか……」
「駄目だ、へタレが過ぎる……」
「ポンコツが過ぎる……駄目だわ」
レオナとユーリアがボロボロにされている光景が繰り広げられており、女3人寄ればかしましいと言うが、そんなレベルではない喧騒が広がっていた。
「あれがあたし達が苦戦したエリート部隊か……」
「いやん、良いんじゃない? あれくらい明るいほうが私は好きよん。カチーナ中尉」
DC戦争時に苦戦した連中があんなのになってるのかと脱力するカチーナに対して、明るくて良いじゃないと笑うエクセレンだったが、次に格納庫に響いた声にその顔を引き攣らせた。
「明るい事は良い事だとは思わないかね。この劣勢、それに嘆き、憂い、絶望するよりもよほどいい」
低いトーン、そして決して大きな声ではないが格納庫にいる全員に聞き取りやすい口調に振り返り、嘘だろと言う表情を全員が浮かべた。立派な口髭に鮮やかな銀髪、痩せ気味だがその内は鍛えられている事が判る、鋭い視線からは信じられない柔らかい口調でその男は自分の名を口にした。
「初めましてになるな。L5戦役の英雄にこうして会えるとは感無量だよ。グライエン・グラスマンだ、かつてはウィザードとまで呼ばれはしたが、今は鬼になにもかも奪われた敗北者だ」
安全保障委員会委員長であり、ビアン、マイヤーと同じく異星人との徹底交戦を掲げ、シュトレーゼマンと対立していた鷹派の最重鎮議員……それがクロガネにいる。それが意味している事は1つだけだった。
「鬼はそんな所にまで手を伸ばしてるのかよ……」
「……流石にこの状況は楽観視出来ないわね」
連邦議会の重鎮でさえ成り代わられている――その事実はハガネ、クロガネ、ヒリュウ改のクルーに重い絶望を与えるのだった……。
ビアンが意識を取り戻してからすぐにそれぞれの戦艦のブリーフィングルームでの話し合いになったが、その場の空気は非常に重い物なっていた。
「黒いゲッターロボによる私の屋敷の襲撃はビアン達による救出活動だった、あと一歩遅ければ私は死んでいただろう」
淡々と語るグライエンの言葉の中には隠しきれない悔しさや怒りが滲んでいた。クロガネに身を潜め、生き延びる事は出来たがグライエンもまた地球圏の事を思う1人の漢であり、逃げ回る事に悔しさを感じていたのは明らかだった。
『グライエン議員、1つ聞いてもよろしいか?』
「ダイテツ中佐、何かな? 私に答えられる事ならば答えるが……」
『何故狙われたか、貴方はその理由を知っているのですか? 正直に言えば、貴方は鷹派だ、穏健派のブライアン大統領とは反りが合わない人物の筈。それなのに何故1番最初に襲われたのですか?』
穏健派で有名なブライアンと鷹派のグライエンの相性は最悪だ。政敵としてブライアンを失脚させるとしても、今はそれらしい素振りが無い事をダイテツは疑問を抱き、その理由を問いかけた。
「私の家には代々旧西暦の資料が伝わっている。その内容はゲッターロボとゲッター線に関しての物だ、そしてその中には当然――百鬼帝国の指導者の名も記されている。百鬼帝国が本格的に動く時に私は邪魔者でしかないだろう、それが理由だと私は考えている」
百鬼帝国の指導者の名を知っている――グライエンの言葉は衝撃的であり、それと同時に希望を与える物だった。
『それならばグライエン議員、その人物を糾弾すれば良いのでは?』
『そこを切っ掛けに百鬼帝国を……』
若いレフィーナとリーはその人物を糾弾すればいいと口にする。鬼と判っている人物がいれば、それを叩けばと思うのは当然の事だが……。
「グライエン議員。ご意見をよろしいでしょうか?」
「君は?」
「ギリアム・イェーガーと申します。階級は少佐、所属は情報部となります」
「ギリアム少佐、あの名高い教導隊出身か、構わない。君の意見は何だ?」
「ビアン博士、そしてグライエン議員――そんなお2人が尻尾を掴んでいるのに公表しない、いや公表出来ない。現政府の中でも重要人物にして、社会的地位がある人間が鬼の指導者であれば、下手な糾弾は自らの首を絞める事になる。そして私も独自のルートで旧西暦の資料を集めておりますが……その中で気になる人物の名がありました」
ギリアムは百鬼帝国の首領の正体を掴みかけていたと聞き、ブリーフィングルームにざわめきが広がる。
「ギリアム、知っていたの?」
「ああ……可能性は極めて高いと言える。だが……これを公表する事は文字通り諸刃の剣となる。だから俺は黙っていた、百鬼帝国の脅威が広がると知った上でだ、これを公表すれば……俺達全員の首が飛びかねない」
教えたくても教えられず、ハガネのクルー達全員が路頭に迷う、あるいは投獄されるリスクを背負えなかったとギリアムは深刻な表情で次げた。
「マジかよ……そんな重要人物なのか」
「一体誰……確かに限られてくるけど……」
「それだけの人物が敵とは思いたくはないな」
それだけの権限を持つ人間となればかなり限られてくる。しかしそんな相手が敵だと思いたくないと言うのは誰だって同じ事だ、下手をすれば自分の家族が人質になるかもしれないと考えれば、ギリアムが口に出来なかった理由も納得が行く。
「ここまで来てしまったんだ、もう教えたほうが早いのではないか? ビアン所長」
「うむ……明確な証拠はないのだが……限りなく黒と言っても良い人物だ、今後関わる事もあるだろう。ダイテツ達はどうする? 知りたくないと言うのならば……私はそれを尊重しよう。何とか早い段階で失脚あるいは正体を明らかにさせてみせる」
正体を暴いてみせるというビアン。確かに普通に考えれば知らずにビアン達が正体を暴くのを待つのが得策だろう……だが敵は強く、ビアン達でさえ敗れる可能性がある、そしてその中で敵を味方と思い込む事の方が恐ろしいとダイテツ達は考えた。
『……教えてくれビアン。我々の中にいる真の敵を』
『私達ならば大丈夫です。教えてください』
『覚悟は既に出来ております。勿論私だけではなく、この場にいる全員が』
成り代わりを知り、上層部が鬼に変わっていると知っている自分達ならばどんな人物が鬼の首魁でも動ずる事はないと口々に言い、グライエンとビアンはそこまで言うのならば教えることにした。
「良いだろう。ならば君達の覚悟を認め教えよう……鬼の首魁にして、連邦評議会の中枢人物……その名をブライと言う」
ブライの名を聞いて信じられないと言う顔をする者の中でギリアムだけが驚いた様子を見せなかった。その様子を見てカイがまさかとギリアムに視線を向け問いかけた。
「まさか……ギリアム」
「ああ、その通りだ。俺の掴んだ正体もブライ議員だ」
穏健派にして慈善事業家、そしてアメリカで圧倒的な政治基盤を持つ大人気議員――ブライが百鬼帝国の指導者であると言う事実に誰もが言葉を失うのだった……。
アメリカを代表する連邦議員と言えばブライ。それは誰もが知っている話だ。スポーツマンであり、企業家であり、そして慈善事業も積極的に行い、国民の支持が圧倒的に厚く、そして政治に興味の無い物でもブライの名を知らない者はいないと言っても良い名政治家が百鬼帝国の指導者。その言葉に誰もが信じられないと言う表情を浮かべた。
「俺から言わせて貰えばブライ議員とブライ大帝は全く同じ顔をしているし、体格も殆ど同じだ。それに喋り方の間の取り方、そして演説
能力――俺の記憶の中のブライと全てが同じだ」
元百鬼帝国の構成員コウキの言葉に続くように武蔵も口を開いた。
『オイラは直接的には知らないけど、百鬼帝国の指導者がブライって言う奴なのは間違いない。ついでに言うとオイラ達は化け物になっているブライと戦ってる』
『ああ、その通りだ。顔はあの化け物と良く似ている』
武蔵とカーウァイの言葉も重なり、ブライ議員=ブライ大帝という可能性がかなり信憑性を帯びてくる。
「本当なの? コウキ博士」
「まず間違いないだろうな。直接会った事は無いが……あの顔を、あの気配を俺は間違えん。間違いない、断言出来る。ブライ議員はブライ大帝だ」
間違いないと断言するコウキにブリーフィングルームに重い沈黙が広がる。政界だけではなく、軍上層部、そして世論にも絶大な発言力を持つブライが鬼である等とそう簡単に受け入れられる物ではなかった。
「成り代わられた……と言う訳ではなさそうですね」
「ああ、ブライは俺やラドラと同じパターンだと思っている。武蔵やカーウァイのようにそのまま時間を移動している者、そして俺やラドラのようにこの時代の俺達自身とも呼べる存在に憑依している者だ。いつそうなったのかは判らんが……お前達の知るブライと今のブライは違うと言うことだ」
今までの旧西暦からの使者の事を分析するとコウキの言う通り、自身の肉体で時間移動している武蔵とカーウァイと、意識いや、魂と言うべき物が新西暦の自分に憑依しているパターンの2通りある。そしてブライは後者であるとコウキは断言した。
『ではコウキ博士は慈善事業家として有名だったブライ議員と百鬼帝国のブライ議員は別人であると言うのか?』
「ああ、俺は子供の時、ラドラは青年の時だったな?」
「その通りだ。俺は軍学校で意識を取り戻した」
同じ死者でもその記憶を取り戻した時期が違う。ブライも若い時は確かに慈善事業家でそして地球の為に行動していたかもしれない、何時鬼のブライの意識と記憶を取り戻したかが不明瞭だが、今のブライと過去のブライが違うと言う言葉に説得力があった。
「だとしてもよ、ブライ議員が鬼の首領ならこっちの手札は全部筒抜け、そして向こうはこちらの妨害を幾らでも出来る。これをどうやって覆すというの?」
クルーや隊のメンバーが解散させられる可能性もある。余りにも劣勢、そして追詰められた状況にどうするの? とヴィレッタが珍しく弱気な事を口にした。
『それに関してだが、そこは心配する必要はないだろう、ブライの性格を考えればまずそれはない』
「グライエン議員、何故断言出来るのですか?」
『簡単な話だ。あの男はプライドの塊だ、そして人間を見下している。どこまで行っても鬼である自分が人間に負ける訳が無いと考えている筈だ、故にこちらの戦力を分散するとは思えない。そしてあいつはゲッターロボを恐れている、仮にハガネやヒリュウ改が分散されたとしたら、ダイテツ中佐達はそれを黙って受け入れる訳が無いだろう? となれば打って来る手としてブライが最も避けたいものはなんだと思う?』
ブライが最も避けたく、そして追詰められたダイテツ達が打つであろう一手――と聞いてキョウスケが小さく呟いた。
『中枢への武蔵と共に強行突破』
『その通り、あの男は自分の思い通りに政治と軍を動かそうとしている。その中で一種の愚連隊とも言えるハガネやヒリュウ改は最も恐れていると言っても良いだろう、仮にその一手を打ってくるとしてもそれを切るのは自分が完全に政界と軍部を掌握した時だ、今はアインスト、インベーダー、そしてインスペクターと御せぬ敵が多くいる。そんな中でそれらと戦うハガネ達の動きを束縛する事はないだろう』
百鬼帝国の戦力を持ってしても御せぬ相手がいる限りは大きく動く事はないとグライエンは断言した。
『では私達に出来るのは百鬼帝国が本格的に侵略活動に乗り出す前に、ブライ議員が鬼であるという事を明らかにする事と言う事ですね?』
『それもあるが、レフィーナ艦長。もっとも優先するべきなのは戦力だ、百鬼獣、超機人、そしてインスペクターや人知を超えた数多の化け物に対抗できる力――それが今必要なのだ』
優先すべきはブライの正体を暴く事ではなく、百鬼帝国とも、そして百鬼帝国と協力している超機人、そして異星人であるインスペクターを退け、アインスト、インベーダーとも戦えるだけの力だとビアンはしっかりとした口調で告げた。
『ビアンのおっさんよ、それならゲッター炉心を量産すればいいじゃねえか、あんたは作れるんだろ? PTには搭載できないとしても、特機に搭載出来るならかなりの戦力UPになるだろ?』
『普通に考えりゃそうだよな、どうなんだよ、ビアン博士』
マサキの意見に賛同したカチーナや、ゲッター炉心を使えばと考えている者がその目を輝かせるが、ビアンは首を左右に振った。
『ゲッター炉心は量産が効かない、その上出力にブレがある。仮に作れたとしてもそれこそ機動兵器に使用出来ない低出力の可能性もある』
「テスラ研と同じパターンか、ゲッター炉心は作れば作るほどに安定度が下がる。この謎を解決しない事には安定して動力として使う事は出来ない」
『しかし反マグマプラズマジェネレーターはマグマ原子炉の再入手が難しいから、作る事はまず不可能だ』
テスラ研でゲッター炉心を研究していたコウキ、反マグマプラズマジェネレーターでゲシュペンストを特機クラスに強化したラドラも新たにマグマ原子炉を入手できないから作る事が出来ないと言う中、ビアンがこれを見てくれと前置きしてから1つの図面をモニターに映し出した。
「これは……エンジン?」
「新型のエンジン……いや、これは構造が……」
『この構造はゲシュペンスト……いや、それよりも回路が複雑だ……』
『親父、なんなんだよ、これは』
モニターに映し出された図面を見て、それがエンジンだと悟る者、それが何か判らず困惑する者と反応が二分される。そんな中リューネがこれがなんなのか?とビアンへと問いかける。
『青いゲッターロボを見ただろう? 電撃を操るバン大佐が乗っていたゲッターロボのエンジンがこれだ』
超機人、妖機人との戦いの中で電撃を操り、高い攻撃力と防御力で常に先陣を切り戦っていた特機の姿が全員の脳裏を過ぎった。
「ゲッターロボに似てるなって思ったけど、あれもゲッターロボだったのか……」
「まぁどう見ても3機合体だったしな、あれもビアン博士が建造したゲッターロボなのかもしれないな」
『なんだよ、ゲッター炉心が作れないって言っておきながらゲッターロボが出来てるんじゃねえか』
『でも安定して戦力として運用出来るなら頼もしいと思いますよ』
ゲッターに似ていると感じたとリュウセイや、ネオゲッターをビアンが作ったゲッターロボだと判断したイルム。ゲッター炉心を量産できないとしておきながら完成してるじゃないかというカチーナにゲッターロボが戦力になるなら頼もしいというブリット。
『だがゲッターロボの動力はゲッター炉心の筈、これを使う事が出来るのですか?』
『使えない物を見せられてもな……』
「ビアン博士、説明が足りないぞ。これは何なのかを説明してくれ」
「興味深い構造をしてますが……なんですの?」
ゲッターロボとゲッター炉心は繋がりが深い、そのエンジンと聞いて使えないのではないか? というキョウスケと渋い顔をするカイとギリアム、パイロットであり科学者のコウキとマリオンはそれがただのエンジンではないと悟り、なんなのかを説明してくれと告げる。
『これはプラズマボムスという動力になる。旧西暦で開発された高圧電流によってゲッター炉心に匹敵するパワーを発揮する動力だ、失われた時代を生き延びた研究者の1人が未来への希望とし、この設計図、そしてネオゲッターロボを残しておいてくれたのだ』
『もしもインベーダーが復活し、あるいはインベーダーに匹敵する脅威が再び人類に迫った時――それらに抗う力として、そして未来への希望として残してくれた。その科学者の名はタチバナ、そしてヴァート・ドレイファス、そして神隼人。早乙女研究所にかつて所属した研究者、そして武蔵君と同じゲッターチームの1人によって作成された物だ』
旧西暦に作られ、未来への希望として残されたネオゲッターロボとプラズマボムス――それはゲッターD2に続き、数少ない百鬼帝国に手痛い反撃を与える事が出来る可能性を秘めた動力なのであった……。
月から地球へ向かうシャトルの中でブライは百鬼帝国の工作員に化粧を受けていた。インスペクターに囚われ、数人の交渉に向かった議員とインスペクターの危険性をアピールする為の化粧だ。
「こんなものでどうでしょうか?」
「うむ、悪くはないな。良い具合だ」
他の議員と違いブライは仮病だが、それを欺くだけの演技力をブライは当然有しており、他の議員は催眠術を掛けられているので自分で口を開く事もない。
「大帝。ハガネを初めとした戦力が伊豆基地に集まって来ておりますが、いかがしますか?」
ブライがホワイトスターにいた間の報告を聞いているブライに鬼の1人がそう問いかける。
「何もせんよ、ハガネはまだ泳がせる。伊豆基地のレイカーは抑え込む必要があるがね」
「……よろしいのですか? 分散させるのでは?」
「ははははははッ! そんなことをすればインスペクターやシャドウミラーにぶつけられんではないか。頭を使え、確かにハガネやヒリュウ改の戦力は脅威だが、所詮は人間よ。洗脳する事は容易い、その上情という下らん物に惑わされる。今は見極める時だ」
ハガネやヒリュウ改の船員を鬼とするのが最善なのか
それともシャドウミラーとノイエDCを鬼とし戦力に加えるべきなのか
インスペクターと手を組み、ゾヴォークに復帰し宇宙へ進出するのか
ブライが取れる道は数多あり、そのどれもが今の戦力ならば実現可能だとブライは考えていた。
「ゆえにワシが打つ手は1つしかない、ブライアンを引き摺り落とす。もう十分に準備は出来ている」
「ではミッション・ハルパーを実行するという事ですね、大帝」
「その通りだ。ブライアンを引き摺り落とせば政治の場も、軍備もワシの手中だ。精々連邦を上手く利用し、ワシの部下にするに相応しい物がどこなのかを見極めるとしよう、なんせ不愉快な寄生虫にアインストにバラルと戦うべき相手は山ほどいるのだからな」
ブライは大局を見据えて笑う、なにかもかも利用し、そして長い時間を掛けて準備を進め、自分の社会的な地位も高めた。
「ワシを殺せば反逆者、ワシを告発すれば気狂い、あやつらはワシに手を出す事はできんよ。精々利用させてもらうとしよう」
己の大願を叶える為に何かも利用し、あるいは裏切り、またあるいは協力し、時には下げたくない頭も下げる。旧西暦で何もかも自分で出来る、成し遂げようし、その結果が部下の暴走とゲッターロボへの敗北を呼んだとブライは考えていた。
「敗北を知ったからこそ、ワシは油断も慢心もせん、今度こそ全てを手にして見せるッ!」
何もかも上手く行っている者ほど脆いものはない、敗北を、挫折を、屈辱を知ったブライに油断も慢心も無く、ただあるのはすべてに勝利し全てを手中に収めるという底なしの野心、そしてその野心をかなえる為の手段を全てブライは手にしている。
「さぁ地球へと急ぐのだ! 地球を今度こそ我ら百鬼帝国の物とする為にな!」
「「了解!」」
シャトルから見える地球を見て獰猛に笑ったブライはその手を地球に伸ばし、握り潰すように右拳を握りこむのだった……。
131話 暴虐の超機人/闇からの呼び声 その6へ続く
ハガネ達の強化フラグ、プラズマボムス。これでOG外伝や、第二次OGでの戦力の底上げが可能になると思います。
次回はもう少しクロガネとの話を書いた後ににエクセレンがアルフィミイに誘い出されるシナリオに入って行こうと思いますが、そこも大胆に変えて行こうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。
後スパロボDDの魂の三周年ガチャで
プログレッシブナイフ連続攻撃(2号機)とガズラ・スーファーの2枚の期間限定を入手できたので、戦力UPが出来そうです。
視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか
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サイドまたは視点は必要
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今のままで良い