進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第153話 楽園からの追放者 その6

第153話 楽園からの追放者 その6

 

ゲッタードラゴンの装甲を身に纏ったようなゲッターザウルスを武蔵はトカゲゲッター、出来損ないと呼んだ。だがゲッターザウルスは決して出来損ないではない、アメリカでの恐竜帝国での戦いの後には様々な分岐が存在している。今フラスコの世界にいる武蔵も分岐の1つであり、そしてIFの存在である。勿論武蔵はそれを知る由もないが、ゲッター線に関わった者はその段階で様々な可能性を与えられる。

 

例えばだが、恐竜帝国の大侵攻を防ぐ為に自爆し、ゲッター線と一体化した武蔵がいる。

 

例えばだが、恐竜帝国・百鬼帝国が出現せず、インベーダーが出現し月面10年戦争に参加した武蔵がいる。

 

例えばだが、武蔵坊弁慶と呼ばれる女好きでだらしない武蔵がいるが、その実思慮深くゲッターロボの危険性を悟った者がいる。

 

例えばだが、血肉の君と呼ばれ634番という番号を与えられた人造人間の少女がいる。

 

そしてこのフラスコの世界へ流れ着いた武蔵がいる。

 

同じ「巴武蔵」あるいは巴の名を持たないがゲッター線にとって「武蔵」と言う存在は非常に大きく、ゲッター線の求める進化に大きく関わる存在である。

 

話を戻すがゲッターザウルスとはゲッター線の齎す可能性世界の1つ――流竜馬の息子である流拓馬が存在する世界、そして早乙女博士の最後のゲッターロボが真ドラゴンではなくゲッターロボアークというゲッターロボの世界。そしてその世界のゲッターと地球を滅ぼすための侵略者――アンドロメダ流国と戦う為に隼人が恐竜帝国にゲッターロボのデータを渡し、恐竜帝国が作り出したゲッターロボ――それがゲッターザウルスであり、開発者こそ違うが紛れも無く本物のゲッターロボなのだ。本来のゲッターザウルスと異なる部分があるとすれば……それは頭部に取り付けられた角状の制御パーツだ。

 

「悪くないな、ゲッターザウルスのコントロールはどうなっている?」

 

「問題ありません、こちらで完璧に制御出来ております」

 

武蔵、恐竜帝国、百鬼帝国同様……何らかの因果によってフラスコの世界に流れついたゲッターザウルスは百鬼帝国によって改造され、深海強襲戦闘母艦――水皇のブリッジから遠隔操作でコントロールされ、ゲッターD2と一見互角に見える勝負を繰り広げていた。ブリッジで騒ぎながらゲッターザウルスを操っている鬼達を共行王は冷めた目で見つめていた。

 

(どいつもこいつも見る目が無いの……万全ならばあのトカゲは勝てんというのに……)

 

自分と戦った時のゲッターD2とは見る影もないほどに弱体化していると一目で共行王は見破り、その原因がゲッター線不足という事も感じ取っていた。

 

(まぁ態々言うまでもなかろう。拾って来たからどの程度か見に来たが……期待外れじゃな)

 

ゲッターザウルスは深海に沈んでおり、それを回収したのは共行王だ。だからこそ暇つぶしという事で水皇鬼に乗り込み様子を見に来ていたがはっきり言ってアースクレイドルで暇を潰していたほうが面白かったと思うほどに落胆していた。

 

「お主ら」

 

「はい。なんでございましょうか? 共行王様」

 

「あのトカゲ、失いたくなければ状況はしっかり把握しておく事じゃな」

 

「は、はぁ?」

 

困惑している様子に鬼にも、ゲッターザウルスにも興味を失い、その瞳はゲッターD2へと向けられていた。確かに弱い、そして万全にも程遠い――だがだからこそ共行王には分かるのだ。

 

(くふふふふ……どうなるか楽しみじゃなあ)

 

今のゲッターD2は力を蓄えている段階だ。その力が解放された時、忌まわしき龍帝へと至るのか、それとも皇帝へと至るのか……はたまたそのどちらでもない存在へとなるのか共行王の興味はそれだけに向けられているのだった……。

 

 

 

ダブルシュテルンとダブルトマホークがぶつかり合い凄まじい轟音を響かせる。棍棒と斧がぶつかり合った余波が海上に浮かぶ基地の設備を破壊する。

 

「ちいっ! こいつ……思ったより強いじゃねえかッ!!」

 

【キシャアアアア――ッ!!】

 

武蔵はポセイドン号のコックピットの中で忌々しそうに顔を歪めた。確かにゲッターD2はエネルギーが枯渇しかけているが並の機体なんかよりも遥かに強い、そんなゲッターD2が押し込まれている。それを見て武蔵はゲッターザウルスは出来損ないではなく、ゲッターに匹敵する強大な力を持つ敵だと認めた。

 

「誰でもいい! 回収してくれッ!!!」

 

アンジュルグ・ノワールを片手で持ち上げ、キョウスケ達の方に投げ飛ばす。最初こそ救援を待とうとした武蔵だが、そんな悠長な事をいっていられる状況ではないと理解し、この戦いに巻き込まない為にアンジュルグ・ノワールを投げ飛ばしたのだ。

 

『っ! とっ! こっちは大丈夫だ! そっちに専念してくれ武蔵君ッ!』

 

投げ飛ばされたアンジュルグ・ノワールは武蔵と合流しようとしていたヒュッケバイン・MK-Ⅲ・タイプGトロンベが何とか空中でキャッチし、エルザムの大丈夫だと言う声を聞いて武蔵は獰猛な笑みを浮かべた。

 

「頼みましたよ! エルザムさんッ! 行くぜぇッ! トカゲ野郎ッ!!!」

 

【キシャアアアッ!!】

 

アンジュルグ・ノワールとエキドナがいれば巻き込まないように立ち回る必要があったが、エルザムに回収されたのならばもう何の心配もないと武蔵は操縦桿を握り締め、ペダルをより強く踏み込んだ。

 

「うおらあああああッ!!!」

 

雄叫びと共に振るわれたダブルトマホークがダブルシュテルンを中ほどまで切り裂く、それを見たゲッターザウルスは地面を蹴り後方へ跳ぶと同時に口を開き火炎放射を放つ。

 

「ゲッタァアアアアッ! ビィィィイイイムッ!!!」

 

頭部から放たれたゲッタービームと火炎放射がぶつかり合い爆発し、ゲッターD2とゲッターザウルスの姿が煙の中へと消える。

 

「オープンゲットッ!!」

 

【ッ!!!】

 

煙を切り裂き6機のゲットマシンが姿を見せ、音速で飛行しながらゲッターチェンジの姿勢に入る。

 

「チェンジッ! ライガァァアアアアアーッ!!!」

 

【キシャアアアッ!!!】

 

眩い蒼い装甲を持つゲッターライガー2とどこと無くライガーに似ているが猫背で、鋭い爪を持つゲッターガリムが空中で合体を果たす。

 

「ドリルアームッ!!!」

 

【ウルルルアアアアアーッ!!!】

 

高速回転するドリルと鉤爪がぶつかり合い、凄まじい火花を散らす。互いに背部のブースターで空を飛び鍔迫り合いをするが力が互角と分かると互いに蹴りを放ち強引に距離を取る。

 

「ゲッタァアア――ビジョンッ!!!」

 

【ガオオオオオンッ!!!】

 

武蔵の雄叫びとゲッターガリムの雄叫びが重なり互いの姿が無数に分かれ、残像を交えた高速戦闘が海上で繰り広げられる。

 

「ライガーミサイルッ!!」

 

【シャアアッ!!!】

 

蕾のようなマニュピレーターアームから放たれたミサイルと腕から放たれた三日月状のブーメランがぶつかり合い大爆発を起す。

 

「チェーンアタックッ!!!」

 

その煙を突っ切って鎖で繋がられたマニュピレーターアームがゲッターガリム目掛けて放たれる。だがゲッターガリムは跳躍し、それを避けると鎖の上に乗りその上を恐ろしい速度でゲッターライガー2の元へと走る。

 

【キシャアアアッ!!!】

 

鉤爪を回転させドリルの様にし攻め立てるゲッターガリムとドリルで鍔迫り合いをしようとするゲッターライガー2の姿が同時に陽炎のように消え失せる。

 

「プラズマドリルハリケーンッ!!!」

 

【ガアアアアアッ!!!】

 

全く違う所から現れたゲッターライガー2のドリルが高速回転し、ゲッター線を伴った嵐をゲッターガリムに向かって放つとゲッターガリムも同じ様に腕を回転させ暴風を作り出し、2つの暴風がぶつかり合い凄まじいエネルギーを発生させる。

 

【キシャアアアアッ!?】

 

【ゴガアアアアッ!?】

 

嵐に巻き込まれ爆発していく百鬼獣。そして量産型Wナンバーズの乗るエルアインス達が一瞬で残骸となり爆破する。

 

『各員何かに掴まれッ!!』

 

『敵機もまともに動けません、まずは自分達の身を守る事を優先してくださいッ!』

 

シロガネとヒリュウ改からレフィーナとリーの指示が飛び、グルンガストや、ジガンスクード・ドゥロと言う特機に掴まってその暴風雨を凌ごうとしているが、キョウスケとアクセル、そしてウォーダンとゼンガーは異なっていた。

 

『『うぉおおおおおおッ!!!』』

 

『打ち貫くッ!!』

 

『やれる物ならばやってみろッ! これがなッ!』

 

少し間違えば自分たちもこの暴風に飲まれて死ぬのにも関わらずアルトアイゼン・ギーガ、ソウルゲインの戦いはより激しさを増していく……いや、むしろその風を味方につけていると言っても良いだろう。

 

「はッ!!!」

 

アクセルの裂帛の気合と共に繰り出されたソウルゲインの拳をあえてブースターやスラスターを落す事で、風に乗ってアルトアイゼン・ギーガは避け、上を取ると同時に再びブースターを全開にし、上空からの最大加速による強襲を仕掛ける。

 

「この距離獲ったぞッ!」

 

「そう簡単に俺の首を取れると思うなよッ!!」

 

リボルビングバンカーに向かい瓦礫を蹴り上げる。それは一瞬の盾にしかならないが、その一瞬でソウルゲインはアルトアイゼン・ギーガの射程から逃れ、再び間合いを取り直す。

 

「おおおッ!!!」

 

「でやああッ!!!」

 

そして再び加速し、風の影響などないと言わんばかりに紅と蒼の閃光はぶつかり合う。エクセレン達にとっては脅威であるゲッターライガー2とゲッターガリムの作り出した嵐を攻撃と守りその両方に使い、空中で巻き上げられた百鬼獣達を踏み台にし、縦横無尽の鋭角な軌道を繰り返し、激しい戦闘を繰り広げる。

 

「チェストォオオオオオッ!!!」

 

「ぬおおおお――ッ!!」

 

アルトアイゼン・ギーガとソウルゲインと異なる立ち回りをしているのはグルンガスト参式・タイプGとスレードゲルミルだ。特機もPTもお構い無しに巻き上げれる暴風の中、風の影響などないと言わんばかりにどっしりと構え凄まじい剣撃の応酬を続ける。

 

永遠とも思える暴風は実際はそれほど長くは無く、突如オープンゲットしたゲッターライガー2とゲッターガリムによって突然消え、はるか上空でゲッターポセイドン2とゲッターメガロンへと合体し地響きと共に着地した2機によって風の影響は完全に消え去っていた。

 

「うおらあああッ!!!」

 

【キシャアアアッ!!!】

 

武蔵とゲッターメガロンの凄まじい雄叫びと強固な装甲に拳を叩きつけあうことで発生する轟音と凄まじい振動、それと共に戦況も大きく変わろうとしていた。

 

『百鬼獣と量産機の数が減った! 勝負所だッ! アクセル達を捕らえるぞッ!』

 

『ちっ……流れが変わったな……』

 

ゲッターライガー2とゲッターガリムの作り出した暴風で百鬼獣と量産型Wナンバーズの操るエルアインス達は消えていた。そうなれば数で上回るハガネ達の方が圧倒的に有利という状況でアクセルが舌打ちした時――凄まじい豪雨が島へと降り注いだ。

 

『雨? ゲッターの影響?』

 

最初は巻き上げられていた海水が降り注いでいると誰もが思った。だがそれは間違っていた、雨が降り機体が濡れ始めると百鬼獣達もソウルゲインもアルトアイゼンもその動きが急速に鈍くなり始めた。

 

『なんだこれは!? 何が起きている!?』

 

『動力、システム共にダウンだと!?』

 

必要最低限の機能を残し、次々とシステムダウンする機体の中で龍虎王は膝をついて、それでも天を見上げ凄まじい唸り声を上げる。

 

『龍虎王、どうしたの何かいるの!? ブリット君』

 

『わ、分からない! どうしたんだ龍虎王ッ!』

 

『……いる! 雲の中だ! 何かでかいのがいるぞッ!!! 来るッ! 皆気をつけろッ!』

 

困惑するブリットとクスハの声を遮り、リュウセイがそう叫んだ時だった。雲の切れ間から巨大な蛇がその顔を見せたのは……。

 

『くふふふ、なるほどなるほど、お主中々やるのう……んふふふふ』

 

蛇の姿からは想像も出来ない妖艶な声が全員の脳裏に響いた。耳ではない、頭の中に直接蛇の声が響いたのだ。

 

『覚えてるぞ、この声……この姿……』

 

『超機人 共行王ッ!!』

 

サマ基地で戦っていたイルム達はその蛇が鯀鬼皇と饕餮鬼皇と同じ、悪の超機人である事を知っている。乱戦で疲弊している時に自分達を確実に仕留めに来たのかと誰もが身体を強張らせる。

 

「てめ……共行王。何しにきやがった……」

 

そんな中機体を軋ませながら立ち上がったポセイドン2から武蔵の声が響くと共行王はからんと笑った。

 

『んふふふ、そんなに警戒する事も無かろう? 何をしに来たかと問われればそうじゃなあ……手打ちにさせに来たとでも言おうかのう?』

 

その言葉と共にソウルゲイン、スレードゲルミル、そしてゲッターザウルスの身体を水球が包み込み上空へと持ち上げる。一瞬誰もが共行王の言葉の意味を理解出来ず硬直したが、人知を超えた力で上空に持ち上げられたソウルゲインから響いたアクセルの怒声で我に帰った。

 

『貴様何をする!』

 

『無粋な横槍を入れてくれるな! 共行王ッ!!!』

 

確かに窮地に立たされた事はアクセルもウォーダンも認めるところだ。だが永遠の闘争の世界を作ろうとしているのだ。戦いの中で死ぬ事は既に受け入れている……だからこそ共行王の横槍に2人は本気で怒っていたが、共行王はそんな2人の怒気と殺気を受け流し、飄々とした態度を崩さず、聞き分けの無い子供に言い聞かせるような口調で口を開いた。

 

『何をではない、このような狭く、詰まらない場所での決着など見ておって飽きた……ゆえに手打ちじゃ』

 

本来共行王はこの戦いに割り込むつもりは無かった。だが互いに因縁がある中、こんな無人のしかも狭い基地の中での決着など詰まらないと思いこうして顔を見せたのだ。

 

『てめ、ふざけんなよッ! 何様のつもりだッ!』

 

『何様と問われれば超機人であるとしか言えぬが……ここで私とも戦うかえ? 人間?』

 

紅い瞳が細められほんの僅かだけ共行王の放った殺気に共行王に噛み付いたカチーナはヒュっと息を呑んだ。文字通り蛇に睨まれた蛙状態のカチーナ達を見下ろしながら共行王は高らかに笑う。この場の生殺与奪の権利を持つ者は共行王に他ならず。もしも抗おうとすれば海上というこれ以上ないホームグランドに陣取っている共行王に抗う術などない……。

 

『箱舟の長よ、どうするえ? 私はどちらでも構わんぞ? 手打ちにするも……ここでお前達が死に絶えてもどちらでも良いぞ』

 

共行王の言葉で海面が盛り上がり、巨大な無数の槍が基地を覆いつくし。返答次第ではそれら全てがハガネ、ヒリュウ改、シロガネに向かって放たれる事は明白だった。

 

『何を勝手なことをッ!』

 

『やかましいぞ、小童。お前の命を賭ける場所はここか? ならばここで死ね。しかしそうではないのならば私に任せておけ』

 

命を賭ける戦場か? と共行王に問われたアクセルは言葉を呑んだ。確かにキョウスケはこの場にいる――だが己が命を賭けるに相応しい戦場か? と言われれば絶対に違うと言えた。そしてそれはウォーダンも同じであったし、そしてダイテツ達も同じだった。武蔵の救出は始まりであり終わりではない、そう考えればダイテツの返答は決まった。

 

『了解した。この場の戦いはこれで終わりだ』

 

『くふふふ、物分りが良いな、やはり人間はこれくらい素直の方が可愛げがあって良い。ではこの戦い、この私共行王が預かった。ではな』

 

その言葉と共に共行王達の姿は消え、残されたのはボロボロの基地と中破、あるいは大破したPT隊だけだった……。だがこの乱戦、ゲッターD2と互角の戦力を持つゲッターザウルス、ソウルゲインとアクセル、そしてスレードゲルミルとウォーダン――百鬼獣の群れと量産型Wナンバーズの大軍。それらと戦って全員生存かつ武蔵を救出する事も出来た……それだけで勝利と呼べるだろう。

 

『これよりハガネ、シロガネ、ヒリュウ改は着水する。その後救助部隊が向かうまで各員待機せよ』

 

ダイテツの命令に返事を返す気力は誰も無く、ほぼ機能停止している己の機体のパイロットシートに背中を預け深い溜め息を吐くのだった……。

 

 

 

 

 

共行王の放った雨でシステムダウンし、自力で機体から出る事が出来ないキョウスケ達がそれぞれの戦艦に戻るまでには2時間程時間が掛かった……だが完全にシステムダウンしていた事を考えれば2時間で外に出る事が出来れば完全に御の字であると言う事は全員が理解しており、むしろなんの問題も無く外に出れた段階で十分だと考えている節さえあった。

 

「ギリアム。ちゃんと説明してくれるのだな?」

 

「ええ、今話せる限りの全てをお話します」

 

アクセル達と再会した事が鍵だったのか、ギリアムが世界から話す事を禁じられていた物が話せる様になっていた。それもいつまで続くか判らないと言うこともあり、オペレーション・プランタジネットの前に、機体の修理で動けない間に話を整理し、全員で共用するべきだという話になったのだ。

 

「バリソンも話をしてくれるな?」

 

「ええ、それで信用してくれるのならば」

 

ラミアとエキドナが知らない話はバリソンから聞き、シャドウミラー隊、そしてあちら側の話を聞き対策とまでは言えないがあちら側で起きていた事はこちら側でも起きる可能性がある。それを事前につぶせるのならばと……あちら側の話を聞くべきだとダイテツ、レフィーナ、リーの3人が判断したのだ。

 

「どうした? ブリーフィングルームに集合の筈だが?」

 

ブリーフィングルームに続く道で人だかりが出来ているのに気付きギリアムがそう声を掛けると、列の外側にいたライが振り返った。

 

「いえ、その……とても不味い状況になっていまして」

 

「不味い状況? 何が起きていると言うんだ。通してくれ」

 

ギリアム、カーウァイ、バリソンの3人が人垣を抜けて騒動の中心へと向かい。絶句した……何故ならばエキドナがシャインにフルスイングのビンタを喰らい尻餅をついて倒れている所だったからだ……。

 

「……おい、武蔵。お前あれ止めて来いよ?」

 

瘴気染みた気配を纏っているシャインを見て、武蔵に止めて来いよとカチーナが言うが武蔵は首を左右に振った。

 

「え、無理。怖い」

 

だが武蔵は即答で無理、そして怖いと告げた。ミチルが激怒している時と似た様な雰囲気を纏っているシャインは武蔵から見ても恐ろしかったようだ。

 

「武蔵でも怖い物があったのか……」

 

「そりゃオイラでも怖い物くらいあるぞ……リュウセイよぉ」

 

恐怖を克服しているように見える武蔵だが、本気で怒っている女性は勿論苦手だしそれ以外にも怖い物は幾らでもある。だがそれを我慢して戦う術を身につけているだけであり、武蔵と言えど怖い物はあるし苦手な物だって存在している。

 

「いや、でも確かにあれは怖いと思うわよ……」

 

「確かにな……」

 

男性陣は勿論女性陣も怖いと感じるほどにシャインの威圧感は凄まじかった。笑顔だが、目が全く笑っていない。それが恐怖を呷り誰も近づけなかった、そしてエキドナもまさか年端も行かない少女のビンタで吹っ飛ぶと思っていなかったのか目を白黒させながらシャインを見つめていた。

 

「今ここで誓いなさい。もう決して武蔵様を裏切らないと……もしまた裏切ったら私が貴女を殺します。何をしても、どんな手段を使っても貴女を必ず殺します」

 

淡々としているがそれが逆にシャインの本気を物語っており、武蔵達からは背中しか見えないが……エキドナがマジ泣き一歩手前の表情をしており、周囲に助けを求めるような視線を向けているが誰もがそっと目をそらした。

 

「……返事は? それとも返事をしないと言うことはまだ裏切るつもりという事でしょうか?」

 

絶対零度の最後通告にエキドナは目に涙を浮かべ声を上げた。

 

「誓います。私はもう裏切りませんッ!」

 

「ならば許しましょうか……でも次はありませんよ?」

 

ゾッとするような冷たい声色に誰もが身震いした。天真爛漫な少女というのがシャインの印象だったが、その印象を全て塗りつぶす女帝のカリスマを見せ付けていた。後ついでに10代前半の少女に泣かされる20代前半の女性を見て何とも言えない表情を浮かべる者もいたが、自分が今のシャインの前にいたら同じ反応をすると思ったのかエキドナを笑う者はいなかった。

 

「エキドナの件は私がお預かりします。それでよろしいですね?」

 

誰も駄目とは言えなかった。シャインの言葉には絶対的な力があり、それを覆す事が出来る人間なんて誰もいなかったのだ。

 

「あ、武蔵様。ブリーフィングルームに参りましょう」

 

そしてシャインはというとエキドナの裏切らないという言葉と、誰も反論しないのに満足したのか武蔵の姿を探し、その姿を見つけると満面の笑みを浮かべて武蔵の元へと駆け寄った。

 

「え、あ……うん」

 

打って変わって明るい声色で武蔵の手を掴んで歩いていくシャイン――あまりに強烈な二面性に誰もが言葉を失った。二重人格とも受け取れる変わりように末恐ろしいなという声があちこちから上がるが、武蔵と一緒というのでシャインは満足しており、その言葉を右から左へと聞き流し鼻歌交じりで上機嫌で武蔵は困惑した素振りを見せながらもシャインと共に歩いて行き、その後姿をキョウスケ達は何とも言えない表情で見送る。

 

「武蔵愛されすぎてない? あれやばいわよ」

 

「……そうだな」

 

シャインの暗黒面を見たキョウスケ達はシャインの武蔵への執着を目の当たりにし、身震いしながらブリーフィングルームへと足を向けた。

 

「何をしてるエキドナ……?」

 

ビアンと連絡していた都合もあり最後にブリーフィングルームに向かっていたユーリアがへたり込んだままのエキドナにそう声を掛ける。

 

「た、立てない……腰が抜けた。ユーリア……手を貸してくれないか?」

 

シャインの迫力に腰が抜けた涙目でエキドナは這ってユーリアに近づき、手を貸してくれと告げた。

 

「……そこまでか?」

 

「インベーダーより恐ろしかった……」

 

ユーリアは呆れた様子で手を貸しながらどれくらい怖かったんだと尋ねるとエキドナはインベーダーより恐ろしかったと返事を返し、ユーリアは引き攣った表情のままエキドナを立ち上がらせブリーフィングルームへと向かうのだった……。

 

 

 

 

第154話 世界を流離う者 その1へ続く

 

 




今回はここまでですね。ゲッターザウルスを百鬼帝国が運用している事、そしてシャインだけどダークサイドに落ちてると、エキドナさんシャイン王女が怖くて泣くって言うところをメインにして見ました。次回はギリアムをメインに話を進めて行こうと思います、独自設定なども多くなると思いますが、次回の更新もどうかよろしくお願いします。

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
  • 今のままで良い
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