進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第156話 紅の雨 その1

第156話 紅の雨 その1

 

ビアン達のテスラ研奪還作戦において過剰な戦力は断られたが、2人だけゼンガー達に同行を許された者がいた。

 

「……すーはー……すー……は―」

 

「流石に緊張するわね」

 

アイビスとツグミの2人だけがゼンガー達と共にクロガネに向かい、そしてスレイと合流しテスラ研奪還作戦に最初から参加することになったのだ。

 

「作戦はまだ定まっていないが、主戦力になるグルンガスト参式・タイプGとゲッター1・トロンベは鈍足だ。突入経路を作って貰うことになるだろう」

 

「……よろしく頼むぞ」

 

「よし、では行くぞ」

 

カーウァイの言葉に頷き、ゼンガーとエルザムの2人がそれぞれの機体に乗り込み、ヒリュウ改から飛び出し海上で待機しているキラーホエールへと着艦する。

 

「ツグミ、持って行け」

 

「これは……コウキ、貴方のIDカードじゃない。どうしてこれを?」

 

「警備主任の特注のIDカードだ。ある程度近づけてからアステリオンにインストールしろ。そうすればテスラ研製の無人機は機能を停止する、そこをハッキングしろ」

 

「簡単に言ってくれるわね……でもありがと、大事に使わせてもらうわ。アイビス、行きましょう」

 

「う、うん! コウキ博士、行って来るよ」

 

「気をつけてな、カザハラ博士達を頼んだ」

 

コウキに見送られアステリオンにアイビスとツグミが乗り込み、同じ様に出撃する。

 

「カーウァイ大佐。お気をつけて」

 

「隊長。お力になれず申し訳ありません」

 

「気にする事はない。またお前達の力を借りる事もあるからな、ではな」

 

武蔵の救出で大破したゲシュペンスト・リバイブ(S)と仮修理で無茶をし続けたリバイブ(K)は完全に大破し、カイとギリアムに見送られカーウァイもゲシュペンスト・タイプSへと乗り込み、テスラ研奪還作戦へと動き始めるのだった……

 

「お肉だと思うんですよ」

 

「いや、それだと足りないな。私達基準ではぜんぜん全く持って足りていない」

 

「……本当ですか?」

 

「ああ、だからそうだな。山盛りのご飯とおかずを持っていった方が良いと思う」

 

「そうですわね。そうしましょうか」

 

エキドナが記憶を失っている時は意見の対立をしていたが、記憶を取り戻した後のエキドナはかなり理知的で、武蔵へ持っていくおかずという事でシャインと揉めることは無くなっていた。

 

「ああいう所を見ると年上って感じがするけど、それ以外がな」

 

「……かなりギャップがありますよね」

 

だがそれは食事に関係する部分だけで、それ以外の部分はかなりシャインに押されているので、何とも言えない感じだが……強いて言えば戦闘に関係するので栄養とかには詳しいが、それ以外はかなりポンコツというようだ。

 

「武蔵様ー♪ お食事を持って来ましたわ」

 

「ご飯とおかずを優先して持って来たが、足りなかったら言ってくれ」

 

「いや、オイラ自分でやりますよ?」

 

「良いんですわよ、座っててくださいな」

 

1国の王女なのにこれでもかというくらい武蔵に尽くしているシャイン……と言うよりも武蔵に何もさせないようにしているようにも見えなくも無い。

 

「どうぞどうぞ」

 

「うん。ありがとな、シャインちゃん」

 

「牢屋で食事もかなり制限されていた筈だ。まずは食べて体力を回復させるといい」

 

「分かりました、そうします」

 

美女と美少女に尽くされているのは羨ましいと思えるが、明らかにダークサイド的な雰囲気をシャインが持っているので羨ましいというよりも、恐ろしいという気持ちが強くなるなと様子を見ていたイルムとタスクはくわばらくわばらと呟いて食後のお茶を口にする。

 

「リュウ、ご飯にしよう」

 

「あ、ああ。分かったぜ、マイ」

 

マイに手を引かれ食堂にやって来たリュウセイはかなり困惑気味の表情を浮かべている。

 

「……なんかさ、凄くドロドロして来てると思うんっすよ」

 

「……んなもん言われなくても分かってるぜ、タスク」

 

武蔵がいなかった数日でかなりリュウセイの周りは変化しており、武蔵からすればなんでラトゥーニじゃなくてマイと一緒なんだと困惑の色を浮かべる。

 

「武蔵、一緒で良いか?」

 

「んんーー? オイラは別にかまわねえよ? 食事は大勢の方が楽しいし美味いからな」

 

食事は大勢の方が楽しいし、美味いと言われればシャインは不満を感じながらも頷くしかない。

 

「なんか……随分と仲良くなってないか?」

 

少し考える素振りを見せてから武蔵は随分とマイと仲良くなっているなと言うと、マイが満面の笑みを浮かべた。

 

「リュウは私を助けてくれたんだ。リュウは優しいから好きだ」

 

にぱっと幸せそうな表情を浮かべるマイを見て武蔵は困惑しながらリュウセイに視線を向ける。

 

「……何があったんだ? 別人みたいになってないか?」

 

「……いや、俺も良く分かってないんだが……あれだ、武蔵がシャドウミラーに捕まってる時に色々あったんだよ」

 

捕まっていたのは数日だが、その数日でマイが別人になってるなと武蔵はやや怪訝そうな表情を浮かべ、リュウセイに何があったのかと問いかけ、リュウセイは色々あったんだよと前置きしてから話し始めるのだった……。

 

 

 

 

 

武蔵がシャドウミラーに連れ去られ、クロガネのビアン達が捜索しているとは言え、ハガネとヒリュウ改の雰囲気は最悪だった。

シャドウミラーであったが、自分達を守る為に自爆したラミアの真意が判らず、そして記憶喪失だったエキドナもまたシャドウミラーであり、ゲッターを機能停止させ、武蔵が連れ去られた要因となったが、涙で濡れた謝罪の手紙が残されており本意でなかった事は明白で……では何故そんなことをしたのか、何が目的だったのか……それすらも分からず恨むべきなのか、それとも何か複雑な事情があったのか……だがラミアとエキドナは既におらず、それを問いただす事も出来ず……武蔵がリマコンされるかもしれないと焦りが募り、ハガネとヒリュウ改全体の雰囲気を悪くしていたのだ。

 

「……」

 

そして何よりも武蔵がいるときは明るく華の様な笑みを浮かべていたシャインの表情が曇っているのも大きかった。

 

「シャイン王女。ご飯を食べないと駄目ですよ」

 

「そうだぜ、俺達と一緒に飯に行こう。な?」

 

「……アラド、ラトゥーニ……そう……ですわね。行きますわ」

 

アラドとラトゥーニに連れられて食堂に行くシャイン王女を見かけたクスハはその後ろ姿を見送った後に、大きく息を吐き目を伏せた。そしてクスハが目を開いた時、その目には確かな覚悟の色が浮かんでいた。

 

「なぁライよ。隊長とケンゾウ博士は隠し通せって俺達に言った、俺達もそうするつもりだった……だけどよ武蔵の事を考えると本当に俺達のやろうとしている事は正しいのか?」

 

「それは俺達の中に、いや伊豆基地の中に百鬼帝国のスパイがいることを疑っているということか?」

 

ライの言葉にリュウセイは一瞬言葉に詰まる素振りを見せ、首を左右に振った。

 

「違うのか?」

 

「……いや、正直分からないんだ……エキドナもラミアも悩んでいるのが凄く伝わって来たんだ……本意じゃない、こんな事したくないって言うのが本当に嫌って言うほどに伝わってきたんだ……だから俺達がやろうとしている事は本当に正しいのか? 無理矢理戦わせて、言う事を聞かせて……それが正しいのか? 俺はそうは思えないんだ」

 

高まり続けるリュウセイの念動力はラミアとエキドナの強い悲しみを感じ取っていた。ラミアとエキドナの強い悲しみと苦しみをマイも抱くのではないかとリュウセイは考えたのだ。

 

「……確かに一理ある。それにラミアとエキドナの事を考えれば隠し通すのも不可能に近いだろう」

 

リュウセイが卓越した念動力で人の感情をダイレクトに受けているのと同じで、クスハやブリット達もそれらを感じ取らないとは言い切れない……ラミアとエキドナの事を考えれば隠し通す事の方がリスクが高い事はライも認めざるを得なかった。

 

「1度隊長と少佐を話をしよう。取り返しの付かないことになる前にな」

 

「ライ、すまねえ……俺だけじゃ無理なんだ……教官と隊長になんて言えば良いのか分らないんだ」

 

ライが立ち上がったのを見てリュウセイは自分だけでは無理だと頭を下げる。

 

「気にするな、俺達はチームだ。助け合う物だろう? 行こう、リュウセイ。俺だって隊長達の決断が正しいは思っていないからな」

 

部屋を出たリュウセイとライは個室のチャイムを押そうとしていたクスハとかち合った。

 

「クスハ少尉……? 俺達に何か用か?」

 

思い悩むような表情を見せたクスハだったが意を決したようでリュウセイとライに視線を向ける。

 

「あの子の……マイちゃんの事で話をしたいんです」

 

クスハ自身も悩んだ上で、こうしてリュウセイとライに話を聞きに来たのだろう……何か分かるまでは帰らないと訴えているクスハの目を見て、ライも隠し通すのは無理だというのを感じ取った。

 

「すまないが、今は俺達は何も言えないんだ……だがマイに関しては俺とリュウセイも思う事はある。だからその事を今から隊長達と話をしてくるつもりだ。だから今は何も言わずに、俺とリュウセイを通してくれ」

 

「クスハ、俺もライもマイを悪いようにはしねぇ……ちゃんと事情も説明する。だから少し待っていてくれ」

 

クスハが覚悟を決めたのと同じ様に、リュウセイとライもマイをこのままにしておけないと思って行動に出ようとしているのを見たクスハは2人の前からそっと横に移動し、リュウセイとライが通路を走っていく姿を見送るのだった……。

 

 

 

 

マイの部屋からはいくつも目覚まし時計の音が響いていた。深い眠りに落ちれば悪夢を見る……だからそれを避ける為に何個も目覚まし時計を配置し、事実それで何度もマイは目を覚ましていた。だが……今回は深い、深い眠りに落ちておりマイは目覚ましの音で目覚める事がなかった……

 

『マイ……マイよ。やっとまた会えたな』

 

「あ……あああ……止めろ、止めてくれ、私に話しかけないでくれッ!」

 

闇の中で椅子に座り向かい合うレビとマイ。穏やかに声を掛けてくるレビだが、マイは自分と同じ顔をしたレビを見て恐怖し、声を掛けないでくれと絶叫する。

 

『そんなに怖がらなくても良いだろう。私はお前、お前は私、同じ存在なのだぞ。何故私を拒む?』

 

「ゆ、夢を見た……私……私は……アヤ達の敵だった……私、私が傷つけたんだ……」

 

『ほう。その夢を見たか……なるほどなるほど……だから私を拒むのか』

 

マイの言葉を聞いてレビは猫のように悪戯めいた笑みを浮かべた。

 

『確かに私はジュデッカを駆り、アヤ、そしてリュウセイと戦った』

 

「ならお前が、私の夢に出てくるのはアヤ達とまた戦えと言うためか! い、いやだ! 私は戦い『誰が戦うと言った阿呆が』……は?」

 

レビが夢に出てくるのは自分とアヤ達を戦わせようとしていると思っていたマイだったが、完全否定され思わず間抜けな声を出す。

 

『確かにただ倒されたのならば、憎みもしただろう、恨みもしただろう、だがな……見ろ。あの光を』

 

「……あれは……リュウセイ?」

 

闇の中だからこそなお輝く翡翠の輝き――それがリュウセイの念動力の残滓であると感じ取ったマイにレビはその通りだと頷いた。

 

『光だ。私はあの光に救われたのだ……だからこそ欲しいんだ、あの光がッ! お前は欲しくはないのか? あの光が』

 

「ッ!」

 

レビの言葉にマイは息を呑み、レビはそれを返事とした。

 

『欲しいだろう? あの光を自分の物だけにしたいだろう?』

 

違うと否定する事がマイには出来なかった……欲しいと、あの光を自分の物にしたいと思ってしまったから……。

 

『沈黙は肯定だ。何を躊躇う、何を迷う? 欲しいのならば、己の物にすればいい、あいつは男で私は女。愛する事に、欲する事に何故躊躇う?』

 

水にたらした墨汁のようにレビの言葉はマイを蝕む、狂おしいまでの渇望が己の中に沸いてくるのをマイは感じた。

 

『私ならばリュウセイをお前の物に出来るぞ? 私を受け入れろ、マイ』

 

伸ばされたレビの手――それを掴めば、それに触れればリュウセイを自分の物に出来る……震える手でレビに手を伸ばしかけたマイだが、その手を掴み胸に抱え込むようにしてレビから距離を取った。

 

「だ、駄目だ……だってリュウセイはラトゥーニが……私の友達が好きなんだ……」

 

自分よりも先にラトゥーニがリュウセイのそばにいた、だから自分が割り込み余地なんて無いのだとマイは言うが、レビはそれを鼻で笑った。

 

『何故1人しか駄目なんだ?』

 

「え?」

 

『だから何故1人しか選ばれないのだ? おかしくないか?』

 

「え……え?」

 

『好いた者を2人で囲う、何故それが悪い?』

 

「え、え……駄目じゃないの?」

 

『知らんな、ただ自分達が幸せならばそれで良いのではないか?』

 

レビの言葉がマイには理解出来ない。おろおろするマイを見て、レビは笑ったのだが……その顔は次の瞬間に鬼の形相になった。

 

『また貴様かッ!! 何度も何度も鬱陶しいなッ!』

 

【鬱陶しいのはお前だ。こいつがいれば私は選ばれない……故に抹殺する】

 

『やってみろっ! 私はお前などには消されないッ! 何一つ成し遂げる事が出来なかった敗北者にはなぁッ!!』

 

【黙れ……精神態如きが】

 

『お前も似たようなものだろう? 良く言えた物だなッ!』

 

レビと黒い影のぶつかり合いによって生まれた余波はマイに襲い掛かった。

 

『貴様がここにいると言う事はまたリュウセイを襲いに来たか、亡者如きが』

 

【黙れ、私は今ここで生きている……なら私/私達はリュウセイと共にいたいッ!】

 

異常な念動力のぶつかり合いが精神の中で起きたマイは絶叫し、跳ね起きるように身を起した。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

息が出来ず何度も何度も酸素を吸おうとするが呼吸が出来ず。半ばパニックを起したマイの背中に小さな手が触れる。

 

「マイ! しっかりなさいませッ!」

 

「マイ……どうしたの? 大丈夫?」

 

2人の呼びかけで落ち着きを取り戻し、徐々に呼吸が整って来たマイは2人にどうして自分の部屋にいるのかと首を傾げた。

 

「……ラトゥー……二? それにシャイン王女……どうして……私の部屋に……」

 

「貴女が魘されているのが聞こえたから……」

 

「勝手に入って申し訳ありませんでしたわ……ですが大丈夫でございますか……?」

 

本当に心配そうに尋ねてくる2人を見て、アヤと一緒にいるような安心感を得たマイだったが、ハッと我に帰りベッドから立ち上がる。だが自分の体重を支えきれずよろめき、ラトゥーニに身体を支えられる。

 

「大丈夫? 今アヤ大尉とリュウセイを呼んでくるからまだ寝てたほうが……」

 

アヤとリュウセイを呼んでくるとラトゥーニが口にすると、マイはラトゥーニの腕を振り解いてよろめきながら歩き出す。

 

「行かないと……早く行かないと……」

 

焦点の合わない瞳、そして異常な力――それはリュウセイがロスターに引き寄せられた時と同じ症状だった。

 

「マイ……まさか……ッ! ラトゥーニ! 警報をッ!」

 

「分かってます! シャイン王女ッ!」

 

ラトゥーニが警報を鳴らすと同時にマイの姿は溶けるように消え去った。

 

「な、何が起きたんですの……」

 

「転移……した?」

 

目の前にいたマイが消え去り、呆然とするラトゥーニとシャイン。目の前で人が消える……その異様な光景にラトゥーニとシャインは完全に思考が停止してしまっていた。

 

「どうした!? 何があった」

 

丁度その時近くに居たのかイングラムがマイの部屋に駆け込んで来て何があったのかとシャイン達に尋ねる。

 

「前のインベーダーとアインストが融合した化け物が出た時みたいにマイがおかしくなったのですの」

 

「それで私達の目の前から急に消えて……」

 

ラトゥーニとシャインも何が起こっているのか分かっていないが、リュウセイがおかしくなった事件。生きている者を道連れにして死のうとする化け物であるロスターの話はイングラムも聞いていた。Dコンを取り出して艦内放送を行なおうとしたイングラムだが、それよりも先に警報が鳴り響き、艦内放送が行なわれる。

 

『マイがアルブレードに乗って出撃した! 正気を失っている模様! 出撃可能な者はアルブレードを追えッ! 繰り返す! アルブレードを追え! この症状はロスター出現の際と酷似している! 細心の注意を払ってマイの追跡を行なうんだ!』

 

焦った様子のテツヤの緊急放送が鳴り響き、イングラム達は弾かれたように格納庫へ向かって走り出す。

 

「教官、ラトゥーニにシャイン王女も来てくれたのか!」

 

「リュウセイか、アヤはどうした!」

 

「アヤ大尉は既に出撃し、我々も追う所です!」

 

パイロットスーツを来たライが更衣室から飛び出しヘルメットを被りながらイングラムへ状況を説明する。

 

「分かった。ラトゥーニ、シャイン王女も手伝ってくれ、生身で転移するところを見たのだろう。ならばスピードに優れたフェアリオンの力が必要だ」

 

「りょ、了解ですわ。参りましょう」

 

「行きましょう、シャイン王女」

 

姿を消したマイを追ってリュウセイ達はそれぞれの機体へと乗り込み出撃していく……しかし待ち構えていた者はロスターではなく、愛ゆえに現世を彷徨う悲しき者、そしてある意味ロスターよりも醜悪で邪悪な存在である事をリュウセイ達は知る由もないのだった……。

 

 

 

赤黒い念動フィールドに包まれた状態で海上に佇む漆黒のPT――ズィーリアスの瞳が赤く輝き、その翼を大きく広げる。その動きに呼応するように念動フィールドが解除された。それはまるで誰かを招き入れるような動きだった……。

 

「来る……」

 

『倒さないと……』

 

「思い出してきたんだ……リュウセイ、リュウセイ……生きてる、生きてるんだ。リュウセイが生きてるんだ……」

 

『今度こそ守るんだ。守られるんじゃない、私が……私達が守るんだ』

 

漆黒の装甲が少しずつ剥がれ、その下にある赤と青が姿を見せる……剥がれ落ちたのは塗料ではない、レトゥーラの記憶を縛る一種の呪であり祝福だった。黒が消える事にズィーリアスの姿にノイズが走り、レトゥーラも痛みに顔を歪める。

 

「うっ……痛い……」

 

『消える……私達が消える……これ以上は駄目だ』

 

存在を曖昧にする術が消えればレトゥーラは消え去らねばならない。何故ならばこの世界にはレトゥーラの元になった2人が存在し、まだ生きているから……世界は同一存在を拒む。2人が生きている以上レトゥーラの存在は曖昧で、そして自我はあやふやだ。その不安定な中でも狂おしいまでに、いや実際に狂っているのだろうレトゥーラはリュウセイを求め、そして彼を守る事を願う。

 

「お前達では守れない、だけど私達でも守れない」

 

『消えろ、消えてしまえ……ああ、恐ろしい、私達はお前達が恐ろしい』

 

存在することが許されぬ、それはレトゥーラとて分かっている。感じるおぞましさも恐怖も全ては存在してはいけない者が存在しているからこその痛みであり、恐怖であった……だがそれでも愛する事を、守りたいと思うことを止める事が出来ないのだ。

 

それがレトゥーラ――デュミナスによって狂愛の名を付けられた死者、狂うほどに愛し、だが愛すゆえに狂わざるを得ない者、それが復讐の果てに死した者が眠る事を許されず、再び現世に彷徨い出た事によって背負わなければならない業なのだった……

 

 

 

第157話 紅の雨 その2へ続く

 

 




レビ、敵になれではなくリュウセイを好きなのだろう?欲しいのだろうとマイを惑わすポジに変更。なのでレビと知り飛び出すのではなく、レトゥーラに誘い出されたという感じになります。後は敵としてはアギラも出してSRXも再登場させて、マイの好感度を一気に限界突破させて、序盤の流れに持って行こうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。

PS

ダブルバーニングファイヤー狙いのラストガチャ20連

アルドノアゼロ
目からビーム×2
ブラックホールクラスター

可もなく不可もなくでした。

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
  • 今のままで良い
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