進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第30話 これから

第30話 これから

 

ライノセラスの格納庫に収容された赤い特機を見上げるバン。モニター越しにも感じていたが、時代に逆行しているとも言える無骨なデザインだ。

 

(……これをどこから持ち出したのだ、総帥は)

 

巨大な熱源と言う事で異星人を警戒した。だが現れたのは見たことも無い特機であり、しかも総帥が乗っている。全く似ていないが、もしかしたらヴァルシオンのプロトタイプなのかもしれない……そんな事を考えながら部下と敬礼し、総帥が降りてくるのを待つ、赤い特機の腕が腰の辺りに伸ばされ、黒いベルトの帯のような部分が左右に開く

 

「よっと、大丈夫ですか? ビアンさん」

 

「……判っていたことだが、乗り心地は最悪だな」

 

……バンを含め、このライノセラスに乗っている兵士はビアン親派だ。そのビアンが剣道の胴を身につけ、マントを首元に巻いた……何とも言えない姿をした青年の肩を借りて出てくる姿を見て一瞬思考が停止した。

 

「バン大佐、すまないな。急に押しかけて」

 

「いえ、問題ありません総帥。それよりも負傷の方は大丈夫なのですか?」

 

頭に包帯を巻いている姿を見て負傷の具合を尋ねる。ビアンは問題ないと笑い、肩を貸している武蔵の方に手を向ける。

 

「巴武蔵君だ。決起の前、そうだな。大佐がアイドネウス島を発った後に現れた少年だ」

 

「……何か訳ありと言う事ですね」

 

どう見ても武蔵は軍人ではない、かと言ってアードラー副総帥が集めてきた民間人とも思えない。この空気は命のやり取りをする戦場にいた者でしか出せない空気だ

 

「どうも、武蔵です。よろしくお願いします」

 

「ああ、よろしく」

 

親衛隊であるLBでもなく、そして軍人でもない少年。彼が自分の判断で総帥を救助して、逃走して来たと言う可能性もあるか……

 

「私と武蔵君、そして大佐だけで話をしたいのだが」

 

「判りました、進路を地下隠しドッグへ向けろ。連邦の警邏に注意を払え」

 

本隊から離脱したのはバンのライノセラス1番艦とその配下の2~4番の計4艦だ。収容しているAMの数はかなりの数になるが、それでも戦闘を避けるべきだとバンは判断した。DCが倒れ勢いに乗っている連邦と事を構えるのは危険だ、行けるという空気に満ちた戦場と言うのは予想だにしないビッグキリングが潜んでいる場合がある。細心の注意を払うべきだとバンは判断した。

 

「了解です、大佐」

 

「うむ。頼んだぞ、では総帥、武蔵。こちらへ」

 

内密な話となれば私室しかないと判断し、バンはビアンと武蔵を案内し格納庫を後にするのだった……

 

「コーヒーで宜しいですか?」

 

「ああ、それで構わない。武蔵君もそれでいいかね?」

 

「え、あー砂糖をぜひ」

 

体格こそ立派だが、子供かと苦笑し自分とビアンの分はブラックを、武蔵には砂糖とミルクをつけて出す。

 

「良くぞご無事でした」

 

「ふっ、武蔵君のおかげとしておこうか……ヴァルシオンを破壊したのは武蔵君だが」

 

その言葉に思わず眉が動く、ヴァルシオンを破壊した……つまり武蔵は連邦からの逃亡兵と言うことなのか?

 

「誤解させてしまったな、そういう訳ではない。元々は民間人として私とエルザムが保護したわけなのだが……その前に大佐はメカザウルスを知っているか?」

 

「……連邦が配信している情報によればDCの最新兵器と言う事らしいですね」

 

「それを信じているか?」

 

ビアンの言葉にバンはまさかと返事を返す。生物と機械の融合……しかもその生物が恐竜と来た、ビアンが天才だとしても恐竜を復元する事など出来るわけが無い。更に言えば、その情報には繰り返しビアンの名前とDCが上げられていた

 

「連邦の愚かさが良く出ていると思いましたよ」

 

バンの言葉にビアンはその通りだなと笑うが、次の瞬間鋭い目付きになる。その雰囲気の変化を感じ取りバンもその顔を引き締める。

 

「大佐……いや、民族解放軍リーダーバン・バ・チュン君に問いたい事がある」

 

その言葉に今ビアンが必要としているのは、DC大佐としての己ではなく、民族解放軍を指揮していた時の自分なのだとバンは理解した。

 

「……アメリカが1度消滅したと言うのは知っているか?」

 

「………」

 

ビアンの問いかけにバンの返答は沈黙。沈黙と言うのは時に饒舌に真実を語る物だ、ビアンはその沈黙を肯定と受け取った

 

「滅びの光と救済の光と言う伝承なら知っております、インディアンに代々伝わる物ですが……実はこれがアメリカを中心とした都市伝説のように広がっているのです」

 

民族解放そして反連邦として活動している時に、2つの部族が口論をしていた。その理由は全てを滅ぼす緑の光、全てを救う緑の光。互いの部族に伝わる伝承として、そしてまた互いの部族に伝わる物が間違っているという理由でもめにもめたのだ。

 

「私は部族の民間伝承と考えていました」

 

旧西暦から新西暦に変わる時に消えた物と言うのは数多く存在する、その中で消えて行ったもの、また口伝でも良いと伝わった物は多く存在する。

 

「興味を持って調べてみたのですが、アメリカを中心とする一部の部族、それもかなり年老いた者が夢で見たという話を良く聞きました。予知夢、もしくは恐怖による夢とも思い、それらを昔話として語ったのではと私は考えました。ですが、そうではないようなのです」

 

くだらないと一瞥するにはあまりにもリアル。そしてその夢は民族解放軍を率いている時にバンもまた見たのだ……

 

「魂に刻まれた記憶とでも言うのでしょうか……それとも土地の記憶とでも言うのでしょうか……それらは時々顔を見せるようです」

 

年代も場所も違うのに、滅ぶ街と緑の光を見るらしいですと告げるとビアンは思案顔でそうかと呟く

 

「どう思う、武蔵君」

 

「……オイラが原因ですかね。ニューヨークのど真ん中で自爆した訳ですし」

 

2人の話の内容が理解出来ないバンは1口コーヒーを口に含んでから小さく息を吐く。

 

「どういうことですかな?」

 

「……メカザウルスと言うのは旧西暦に人類を滅ぼそうとした爬虫類から進化した者達の尖兵だ。ああ、判っている、何を馬鹿なと言いたいのだろう。だがこれは事実だ、何故ならばここに生き証人がいる」

 

その言葉に咄嗟に武蔵に視線を向ける。武蔵はバツの悪そうな表情をしながらも頷く

 

「旧西暦の人間……とでも言うのですか?」

 

「ああ、そうなるな。NYで、メカザウルスと戦い、自爆した武蔵君は気がついたらアイドネウス島にいた。それは持っていた物などで証明されている」

 

……ビアン総帥が生きていたのは正直嬉しい、だが私の予想を超える話を告げられ正直混乱している。

 

「総帥はこれからどうするおつもりですか?」

 

「決まっている、人類を滅ぼす外敵と戦う。そのためにゲッターロボの修理を第一に考えているが、調べたい事もある」

 

その目に宿る強い決意の光を見て、バンはビアンの為に尽力する事を決めた。

 

「連邦では無理だと言う事ですか」

 

「いや、連邦にも骨のある物はいる。だが今回は見極めが思うように行かなかった」

 

それは言うまでも無く、恐竜帝国、そしてメカザウルスと言う存在のせいだろう……あんな存在がいればビアンの思い通りに話が進まなかったのも納得だ。

 

「連邦が私が死んだと発表したのは好都合だ。表立って動くのは難しいが、裏で動くには死んだ事にしている方が都合がいい」

 

それは自身が死んだ事で動き出す者がいる……それを聞いてバンは眉を顰めた

 

「アードラーですね?」

 

「ああ、あの男の頭脳は優秀だったが、権力欲と自己顕示欲に満ちている。私が死んだ事にすれば、表立って動くだろう……計画は狂っているが、今の段階ならばその狂いも利用して修正をする。地球を護る剣を見出すという目的を果すまでだ」

 

本来の歴史とは異なる流れ、ビアン・ゾルダークの生存によって、これからこの世界の流れは大きく変わり始めるのだった……

 

 

 

 

 

薄暗い部屋の中をディスプレイの光だけが照らし出す。椅子に腰掛けディスプレイを見て腕を組んでいるのは白い連邦の制服に身を包んだ、どこか影のある紫の髪をした男の姿だった、そしてディスプレイに向けられる視線は喜んでいいのか、それとも嘆くべきなのか、何とも言えない色を宿していた。男の名は「ギリアム・イェーガー」テンペスト、エルザムと同じくかつて教導隊に籍を置いた凄腕のPTパイロットだ。

 

「メカザウルスと聞いてまさかと思っていたんだがな」

 

DCの拠点にハガネが突入しビアン・ゾルダークを倒したと言うのが連邦が発表したシナリオではある。そして、メカザウルスはビアンが作り出した無差別テロ兵器と発表した。だがそれを聞いてギリアムともう1人は何を馬鹿なと鼻を鳴らした物だ

 

「……ゲッターロボ……竜馬……いや、違うな」

 

人の口に戸は立てられぬ、そしてまた隠蔽した筈の情報も全てを隠し切れる訳ではない。衛星で記録された戦闘データであるがゆえでぼんやりと記録された物だが、ハガネと共に行動している特機の姿にギリアムは目を見開いた。それはもう会えない筈の仲間の機体だったからだ……

 

「……隼人でもないな、これは……武蔵か」

 

機体の操縦にはその人物の癖が出る。衛星で記録され、ぼんやりとした姿だったとしてもその姿を、その操縦の癖が判らないはずは無い。

 

「恐竜帝国は滅んだらしいが、ゲッターロボは消息不明……か」

 

出来ればゲッターロボとそしてゲッターロボを操縦するパイロットに会いたいなと呟くギリアムだったが、新しく入った情報に目を細める

 

「シュトレーゼマンの配下の研究所が壊滅……か、きな臭いな」

 

シュトレーゼマンは反EOTIの代表者とでも言うべき男だ。だが、その性質上異星人についての知識は凄まじい、それだからこそ徹底抗戦を掲げたビアンとは相容れなかった。そんな男の膝もとの研究所が壊滅、しかも生存者は無しと来た

 

「そう言えば、大量の機材が運び込まれていたらしいな」

 

それに整備兵も熟練と呼ばれるレベルの者が何十人と配属されていた……それらも全員死んでいるが……この事件の前に配属されている事も確認している。

 

「……何かしでかしたか」

 

運び込まれていたのは、PTで言えば100機近い機体を1から組み上げることが出来るだけの資材だ。何かを作ろうとし、そしてそれを何者かに奪われたと考えるのが妥当だろうか……

 

「っといかん」

 

考え事に没頭していて気付かなかったが、さっきから何度も腕時計のコールがなっていた様だ。今から出発しても待ち合わせ時間には間に合わないな……待ち合わせをしている人物の気性の荒さを思い出し、ギリアムは慌ててPCからフラッシュメモリを取り出して部屋を出る

 

「随分遅かったわね」

 

「申し訳ない。少し調べている事があってね」

 

古びれたバーに向かい、老いた店主と待ち合わせをした1人の女だけがいる。そんな廃れたバーにギリアムが訪れると先に待っていた目付きの鋭い、金髪の美女が非難の声を出す。

 

「お詫びにここの代金は全部俺が持とう」

 

その言葉にその女は小さく笑みを浮かべる。老いた店主の酒とつまみを注文する

 

「ビールとジャーキー……か、仮に女優としている者が頼むものではないな」

 

「うるさいわよ、ギリアム」

 

ギリアムのからかいの言葉に女は鋭く目を細める。ギリアムはやれやれという素振りで手を上げると店主は何かを察しして厨房へと消える、それは店主に離れろという合図であり、この店が裏の情報の交換場所と知る客の間に伝わる合図だった。

 

「……まだ注文が来てないんだけど」

 

「飲む前に聞いてもらう必要があるからな、元百鬼帝国の胡蝶鬼」

 

もう捨てたはずの経歴、そして名前を告げられ女の顔色が変わる。今まではやる気が無いという感じだったのだが、冷酷とも言える気配を身に纏った。

 

「その名を出すという事は何か判ったんでしょうね?」

 

この女の名はアゲハ・キジマ……若くはあるが女優としての地位を持つ少女だ。その女王とも言える美貌を歪め、ギリアムを見つめるアゲハにギリアムは1枚だけ印刷した写真を見せる。

 

「……! ゲッターロボ……いえ、でもGじゃないわね。これは旧ゲッターロボね」

 

「そうだ。それがアイドネウス島近辺で目撃されている」

 

「私のような迷い人が現れたって事ね」

 

「そういうことだ、現にメカザウルスの事も知ってるだろう」

 

ギリアムとアゲハだけではない、この世界にも次々と迷い人が訪れている。そしてそれは決して、味方とは言い切れないのもまた事実だった。

 

「もしも、誰かが接触してきたら頼む」

 

「……まぁ角こそ無いけど、生前のままだしね。判ったわ、でも惚けるわよ」

 

それでいいとギリアムは返事を返す。姿こそは生前……いや、別の世界の己のものであり、角こそないがその容姿は以前のままだ。そしてアゲハとギリアムが顔見知りなのは、胡蝶鬼を知るギリアムが探りを入れに来たからでもある。

 

「メカザウルス、恐竜帝国と来たら百鬼を警戒するのは当然よね」

 

「……ああ。出来れば俺の思い過ごしであって欲しいと願っているがな」

 

新西暦とは違う歴史を知るからこその警戒、そしてそれを伝えることが出来るものが限られているからこその焦りだ。

 

「まぁ覚えてはおくわ」

 

アゲハはそう告げると灰皿を頂戴と呼びかける。それが店主を呼ぶ合言葉となっている、ゆっくりとした仕草で灰皿を置き、ギリアムとアゲハの前にビールを置く

 

「車で来たんだがな」

 

「付き合いなさいよ。1人で飲んでも味気ないんだから」

 

そうは言うがアゲハの願いはそこではなかった。誰も自分を知らない孤独、知ってるけど、知らない世界、自分だけが独りぼっち……その恐怖を知るギリアムと話をしたい、それだけで。最優秀女優賞の受賞パーティを抜け出して来たのだ、これではい、さようならじゃ抜け出した意味がない。立ち上がろうとしたギリアムの手を掴み、椅子に座らせるアゲハにギリアムは疲れたように溜め息を吐き、ビールのジョッキを手にするのだった。

 

 

 

 

武蔵とビアンがバンと合流してから1週間が経った。予想通りと言うべきか、マイヤー亡き後の統合軍はアードラーの率いるDCに取り込まれる形になった

 

「些か不味い展開だな」

 

連邦軍本部であるジュネーブの近くにある独立国家「リクセント公国」にアードラーの命令で攻め込んだDC、そして齢12歳でありながらリクセント公国の現国家元首である「シャイン・ハウゼン」は連邦の極東支部に保護されたのだが、保護された場所が悪すぎた。

 

「アードラーを迎え入れたのは失敗だった……か」

 

権力欲や金欲に塗れた奴は、それを持つものを嗅ぎ分ける嗅覚でも持っているのかアードラーの言う、連邦の協力者がいる場所が極東支部。そしてシャイン皇女は浚われてしまった……

 

「急がねば……」

 

アードラーが研究していたゲイムシステム。その生体ユニットとしてシャイン皇女は狙われた、未来予知を持つシャイン皇女をゲイムシステムと組み合わせればそれは無敵の機体になる。その提案を1度蹴ったビアンだから判る、アードラーはシャイン皇女をゲイムシステムの生体ユニットにするつもりだと。あの手の狂人は自分の計画を実行する為ならば、どんな手も使う。その頭脳を利用しようとしたのだが間違いだったかとビアンは呟き、頭上を見上げる。目の前に広がるのは天井だが、ビアンの視線にはその先に浮かぶものが見えていた

 

「……今が好機と見たか」

 

DCが倒れると同時に地球圏に現れたネビーイーム……異星人の機動要塞の出現。それは武蔵には伝えていないが、ビアンが危惧した異星人の襲撃が現実になったという証拠だった。本当ならネビーイームの対策をしたい、だがアードラーが動き回っている以上先にアードラーを何とかしなければ背後から撃たれる可能性がある

 

「……間に合うか……いや、間に合わせてみせる」

 

リオンやガーリオンでは、アードラーの一味と思われるので表立って動けない。今、ビアンの手元にあり、自由に動かせるのはゲッターロボしか存在しない。だがそのゲッターロボも応急処置の状態で戦い続けた事で今は修理中だ。その中でもジャガー号の状態は酷いもので、元々ボロボロだったのを無理に動かしていたツケが今回って来ている。

 

「総帥、エルザム少佐との連絡がつきました」

 

「そうか、悪いがこっちに回してくれ」

 

この基地のオペレーターにそう頼む。するとゲッターの修理を進めていた端末の画面が切り替わり、クロガネと繋がりエルザムの姿が映し出される。

 

『ビアン総帥。ご無事で何よりです』

 

「はは、武蔵君に責任を感じるならば生きて償えと怒られたからな」

 

冗談めいた口調にエルザムは武蔵君らしいと笑う、だが近況報告の為だけにエルザムとの連絡を取ろうとしたわけではない。

 

「マイヤーと共に死ぬつもりだったのだが、1人だけ生き延びてすまない」

 

『いえ、父は本懐を遂げたと思っております。どうか御気になさらず』

 

エルザムはそうは言うが、自分の思想に共感し戦争を起こしたマイヤーが死に、自分だけが生きているとなると罪悪感が重く圧し掛かってくる。

 

『もし責任があるとお考えならば、どうか生きて償ってください。それが何よりも我が父への手向けとなるでしょう』

 

武蔵と似た言葉だ。だがこうして生き延びた以上死と言う償いではなく、生きて償う事を心に決める

 

「今私と武蔵君はバン大佐の所にいる。悪いが合流してくれ、アードラーを止めるにはお前の力が必要だ」

 

『了解しました。クロガネの進路をそちらに向けます、ではビアン総帥。これ以上は通信を傍受される危険性がありますので』

 

そう告げて通信を切るエルザム。再びゲッターの修理に戻ってみたが修理状況は良い所7割と言うところだ。せめてもの救いはゲッター線が最大まで貯蔵されている点だろう。機体が本調子とは言えずとも、エネルギーが最大になっていれば出来る事もある。勿論ビアンとて完璧な修繕を諦めたわけではないが、いかんせん時間がない。

 

「エルザムが合流するまでにはゲッターの修理を終えておきたい物だ」

 

マイヤーが死んだと言うことは今統合軍の指揮を取っているのはリリー・ユンカース中佐だろう。彼女は誰よりもマイヤーを慕い、そしてビアンとマイヤーの願いにも共感していた。そんなリリーがアードラーに協力するわけが無い、彼女と行動を共にしているゼンガー・ゾンボルト少佐も同じだろう。

 

「……何とか連絡がつけば良いのだが」

 

それも今の段階では難しい、可能ならば何とかして接触を取りたいのだが……連邦から追われている以上それもまた難しい。死んだ事になったから出来る事もあるが、それ故に出来ない事も多い。だがそれでもビアンはやり遂げなくてはならない……弱音を吐いている時間は無いと再びゲッターロボの修理を再開するのだった……

 

「な、無理はいわねえ。お前さんにゲッターは無理だ」

 

「まだまだあ……」

 

「いやあ、やる気は買うぜ? でもよ無理だって死んじまうよ」

 

そして武蔵はと言うとビアンが作成したゲッターロボのシュミレーターでゲッターロボに乗れるかもしれない者を探していたのだが、その結果は死屍累々と言う余りに悲惨な結果だった。全員が戻すか、白目を向いて倒れている。そして今も涙を流しながら、シュミレーターに乗り込もうとする男を武蔵は止めていた。これ以上は死んでしまうという判断からだ。だが余りに悲惨すぎる光景を見て、初めて武蔵は自分やリョウや隼人が如何にに異常だったのかを思い知るのだった。

 

「どれ、私が乗ろう」

 

「……大丈夫ですか?」

 

「問題ない、見ているがいい」

 

自信満々にシュミレーターに乗り込むバンを見送る武蔵、そしてシュミレーターが緊急停止するまで後1分45秒……倒れていたバンの部下達が座り込み頑張ってください大佐と応援する姿を見ながら、武蔵はタオルやスポーツドリンクの準備を始めるのだった……

 

 

第31話 VSゲッターロボ その1へ続く

 

 




今回はちょっと伏線を用意してみました。あとバンさん好きだけど、なんかふわふわしててごめんなさい。次回はちょっと話を飛ばして書いていこうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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