第181話 進化の光 その3
ダブルトマホーク、そしてランサーによって磔にされたゲッターノワールとゲッターザウルスだったが、既にその拘束から脱しダメージも完璧とまでは言わないが十分に抜けていた。
『アヒャハハハハハハはッ!!! はぁー正義の味方、正義の味方は格好良いですねええッ!! 僕には理解出来ませんけどねぇッ!!!』
『うるせえよッ!! 黙ってろよッ!! この気狂いがッ!!!』
『ははははははははッ!! 僕が狂ってるなら貴方もですよッ!! 戦わなくてもいい所に頭を突っ込んで、それを狂ってると言わずなんというんですかあねええッ!!!』
ダブルトマホークとゲッタートマホークが何度もぶつかり合い火花を散らし、その合間合間からズィーリアスが念動力の矢を撃ち込む。
『……あんがとよ』
『ん、貴方は……知ってる気がする。それにリュウセイを傷つける者を……私は許さない。それだけ』
ゲッターD2だけではSRXを守りきれない、しかしかといってフェアリオンやアステリオンでは力が余りにも足りない。PTサイズでありながらゲッターと同等の力を持つズィーリアス、そしてレトゥーラの正体は依然分からないままだったが、イングラムと同様に武蔵はその正体に気付いた。
『……そう……か。お前だったのか……』
『武蔵……? 何を……』
お前だったのかという言葉は近くにいたラトゥーニの乗るフェアリオン・タイプSにも届き、ラトゥーニがどういうことかと説明を求める。
『今はそんなことを言ってる場合じゃねぇ、エキドナさん! シャインちゃん達を頼みます! オイラは何とかしてこいつを引き離します!!!』
ゲッターノワールはSRXを喰らい、トロニウムエンジンを取り込もうとしている。それをさせまいと武蔵はゲッターD2でゲッターノワールにタックルを叩き込み、いまだカメラアイに光が戻らないSRXから強引にゲッターノワールを引き離しに掛かる。
『おい、ラドラ。お前の考えている事を当ててやろうか?』
「ほう? 俺の考えが分かるのか?」
ゲッターザウルスと単騎で対峙するラドラにコウキが通信でそう問いかける。
『お前あれを鹵獲するつもりだろ?』
「……正解だ、どう見てもあれは恐竜帝国製……ならば俺が使えん道理はないからなッ!!!」
唸り声を上げて襲ってくるゲッターザウルスに負けない大声を上げながらラドラはゲシュペンスト・シグを操りダブルシュテルンを紙一重でかわし、頭部のバルカンを至近距離で撃ち込む。
『正気……なんだろうな、終わったら援護に行く、無茶をするなとは言わんが棺桶に飛び込むのは止めろ』
「誰に口を聞いている、それに……お前の援護など必要ない」
ファブニールをブレードモードへ変形させ、ダブルシュテルンを受け止めるゲシュペンスト・シグが僅かに首を傾げると背後から飛んできた銃弾がゲッターザウルスの胴を貫いた。
「ようやくお目覚めか、レーツェル」
『……すまん、不甲斐無い姿を見せた』
ツヴァイザーゲインの奇襲からアステリオン達を庇った事でダメージが深刻だったアウセンザイターがよろよろと立ち上がるが、右肩のシュルター・プラッテと、2丁あるランツェ・カノーネの1つは中ほどから折れて転がり、マントも焼け焦げて満身創痍に見えるがゲッター合金製の装甲は伊達では無く見た目よりダメージはずっと軽い。
「こいつを取り押さえるのを手伝え、百鬼帝国には過ぎた機体だ」
『お前……まさか』
「そのまさかだ、お前なら俺が何を考えているか分かる筈だ。支援を頼むぞ」
ゲシュペンスト・シグを改造するとしても既にラドラの手持ちのマグマ原子炉はない、それに加えて認めたくは無いがゲシュペンストでは力不足を感じている中で、目の前に恐竜帝国製のゲッターロボがある……自分達がダメージを受けたように少なくないダメージを受けているゲッターザウルスをここで逃がせば鹵獲のチャンスはない。
「ここを逃せば破壊するしかなくなるんでな、ここで決める。とにかく俺をあいつに取り付かせろ、そうすればなんとでもなる」
『……良いだろう、強力な機体が手に入るのならば文句を言う理由はない、その変わりに確実で決めろよ』
「当たり前だッ!!」
ダメージを受けてもなおゲッターザウルスは2体で相手をするには厳しい相手だ。だがオペレーション・プランタジネットで百鬼帝国の強大さを痛感した今、その強力な機体を鹵獲する機会を見逃すという選択はなく、鹵獲出来なかったとすればこれ以上強化される前にここで破壊するという決意を持ってラドラとレーツェルはゲッターザウルスへと向かって行くのだった……。
ゲッターザウルスを鹵獲する――ラドラの提案を受け入れたレーツェルではあったが、本当にそんなことが出来るのか? という疑惑がどうしても捨て切れなかった。それにツヴァイザーゲインの攻撃で攻撃手段であるランツェ・カノーネとシュルター・プラッテを失い、防御の要でもあるマントを失ったのは大きな痛手であり、プフェールト・モードへの変形も不能とアウセンザイターのコンディションは決して良い物ではなかった。
(これか、これが出来るからラドラはゲッターザウルスを鹵獲すると言ったのか……ッ!)
攻撃手段が限られているので支援に徹するしかないのだが、それ故にラドラが何故ゲッターザウルスを鹵獲すると言う事にあれほど自信満々だったのかをレーツェルは理解した。
『そこだぁッ!!!』
『ギャアッ!!』
『どうしたどうしたッ!! その程度かッ!!』
ゲッターロボと戦う為の知識を持ち、そしてメカザウルスの開発主任でもあったラドラはゲッターロボとメカザウルスの両方の弱点を熟知していた。
「そこだッ!!」
ランツェ・カノーネの銃弾がダブルシュテルンを振り被ってるゲッターザウルスの肘を撃ち抜いた。
『やりやすいなッ!! そのまま支援を続けてくれッ!!』
ゲッターロボを初めとしたゲッター系列の機体には一定の弱点がある。それは攻撃手段の多くが白兵戦であり、旧西暦の機体ゆえに武装から操縦に至るまでその多くがマニュアル操作であるが故に攻撃モーションに一定の隙があるのだ。その隙を見切る事が出来るパイロットであれば攻撃の予備動作を見て迎撃に出るのは不可能ではない。
『まずはそこだッ!!!』
ゲシュペンスト・シグが抜き放ったビームソードがゲッターザウルスの胴――即ちジャガー号に当たる部分へと突き刺さる。
『ギィッ!?』
距離を取ろうとしたゲッターザウルスだが、地面を蹴った姿勢のまま姿勢を崩し困惑の色を見せる。
『これだからAI制御は駄目なんだ。ゲッターの操縦はマニュアルでなければなッ!!』
ゲッターロボの最大の武器であり、最大の弱点――それは緊急分離、オープンゲットにある。そこを潰してしまえばゲッターロボの制御は大きく制限される。武蔵でさえもそれを熟知しており、攻撃を受ける際はそれらの箇所を外す事を無意識に行なっているが、AIに加えて念波によって遠隔操作をされているゲッターザウルスにはそんな考えは微塵も無く、最も受けてはいけない部分に攻撃を受けてしまったのだ。
『グルルルル……ッ!』
ゲッターの最大の攻撃パターンを潰され、オープンゲットもゲッターチェンジも出来なければゲッターザウルスは少し強力なメカザウルスに過ぎない。ラドラは冷静にそして確実に詰め将棋のように、ゲッターザウルスの能力を奪い取った。
『分かるだろう。お前も恐竜帝国の誉れある者ならば、何故そんな者に使われている?』
ゲシュペンスト・シグのエンジンが唸り声を上げるが、レーツェルにはそれが恐竜の鳴声のように聞こえた。
「誇りか……」
恐竜帝国であった事も教導隊であった事も、ラドラにとっては誉れなのだ。そんな誇り高い恐竜帝国のキャプテンだった男が、百鬼帝国に操られているゲッターザウルスを見てそれをよしとする訳がないのだ。
『そんな有様だからゲッターロボに恐竜帝国は敗れたのだ。己の誇りを貫き通す事も出来ん軟弱者がッ!』
ラドラの一喝と共に振るわれた拳がゲッターザウルスを殴り飛ばし、追撃にと貫手の構えで突き出されたゲシュペンスト・シグのエネルギークローをゲッターザウルスは片膝を付いたまま受け止める。
『ほう? 少しは見れた面になったな』
『グルルルッ! ゴガアアアアアアアアア――ッ!!!!!』
今までの咆哮の比ではない凄まじい咆哮が放たれ、緑だった瞳が怒りに燃えるように真紅へとその色を変える。そしてゲッターザウルスは左手を頭部へ伸ばし、額から伸びている角を根元から圧し折った。
『そうだ、それで良い。それでこそ誉ある恐竜帝国だッ!!』
『ゴガアアアアアアッ!!!』
地響きを立てて襲ってくるゲッターザウルスにラドラは恐怖すること無く、むしろ楽しむような様子さえ見せながらファブニールを振るう、ダブルシュテルンとファブニールがぶつかり合い凄まじい轟音と衝撃が周囲を駆け巡る。ゲッターチェンジなどできなくても関係ない、その爪を尾を、牙を振るいゲシュペンスト・シグへ攻撃を仕掛けるゲッターザウルスの姿は、百鬼帝国に操られていた先程までとは比べ物にならない活き活きとした動きを見せ始める。だがそれはラドラにとって不利な展開になったという事を示していた。
『キシャアアア!!』
『ぐうッ!!!』
百鬼帝国が操るゲッターザウルスはゲッターロボとしての戦いをしていたが、メカザウルスとして動き出したゲッターザウルスは獣そのものであり、肩に噛み付かれ投げ飛ばされて来たゲシュペンスト・シグの前にアウセンザイターが割り込み、ランツェ・カノーネを乱射する。
『シャアッ!!!』
オープンゲットが出来ないのならばと必中を確信した攻撃であったが、ゲッターザウルスは4つ這いになると獣その物の動きでランツェ・カノーネを回避する。
「ちいっ! 当たらんかッ! ラドラ、お前は大丈夫か!」
『ふん、問題ない……それにこれでいい、百鬼帝国の事だ。遠隔自爆装置でも組み込んでいるだろうが、メカザウルスの意思を呼び起こせばそんな物は無効化出来る。これで鹵獲の第1段階は完了した』
火花を散らしながら立ち上がるゲシュペンスト・シグから響くラドラの声は闘志に満ちており、まだ鹵獲することを諦めていないのがすぐに判る。
「今の状況で鹵獲なんて無理だろう! 破壊するしかないッ!!」
地響きを響かせながら激しく移動を繰り返すゲッターザウルスは武蔵が戦っていた時よりも俊敏で、攻撃の照準を合わせることすら困難だ。この有様で鹵獲なんて出来るわけないだろうとレーツェルが声を上げるが、ラドラは喉を鳴らして笑い出した。
『そんな勿体無い事をする必要はない』
「だが」
『そう騒ぐな。何、簡単な話だ。あいつよりも俺達の方が強いと分かればあいつも屈服する、レーツェル。まずはあいつを動けなくなるまで叩きのめすぞッ!!!』
レーツェルの返事も聞かずゲッターザウルスへ突貫するゲシュペンスト・シグの後姿を見て、レーツェルは止める事も出来ず無謀な特攻にしか見えないが、ラドラの支援を行う為にアウセンザイターをゲッターザウルスに向かって走らせるのだった……。
ずっとぼんやりとした思考の海の中にゲッターザウルス……いや、ゲッターザウルスに使われている3体のメカザウルスの意識は漂っていた。自分達が何の為に存在しているのかも判らず、命じられたままに戦い、そして気に食わない相手を打ち倒す事だけを考えて、それ以外の何かを考えることを放棄していた。
『分かるだろう。お前も恐竜帝国の誉れある者ならば、何故そんな者に使われている?』
その言葉に再び眠ろうとしていた意識がふと首を上げた。眠れ、眠れと従えという声が何度も何度も響き、その声の方が圧倒的に大きいのに、メカザウルス達は小さな人間の声に意識を完全に向けていた。
【知っている】
【ああ、知っている】
【俺達は知っているんだ】
ぼんやりとした人型の後に見えるその影に、メカザウルス達の意識は一気に覚醒した。鮮やかな紫の身体にコブラや蛇を思わせる頭部を知っている……恐竜帝国であるのならば、その姿を知らないわけが無いのだ。
『そんな有様だからゲッターロボに恐竜帝国は敗れたのだ。己の誇りを貫き通す事も出来ん軟弱者がッ!』
強烈な痛みに意識が完全に覚醒したメカザウルス達は脳内に響く声――百鬼帝国の思念波を弾き飛ばし、高速回転しながら迫ってくる爪を掴んで止めた。
『ほう? 少しは見れた面になったな』
挑発めいたその言葉が最後のトドメとなった。自分達を舐めるなと、俺達も誉ある恐竜帝国なのだと目の前の敵――メカザウルス・シグの幻を纏う人型だけを見つめて吼える。
【グルルルッ! ゴガアアアアアアアアア――ッ!!!!!】
意識が覚醒すれば侮られた事への怒り、操られたことへの自分への怒り、ありとあらゆる怒りがマグマのように燃えたぎっていた。人型の肩に噛み付きそのまま捻じ切ろうとしたが、黒い人型……アウセンザイターが割り込みそれを妨害される。
【グルルル、グガアアアアアアアッ!!!】
怒りに突き動かされ咆哮をあげた瞬間に紫の人型……ゲシュペンスト・シグの右拳がゲッターザウルスの顔面を貫いた。
【ギイイッ!!】
『そうだ、お前の敵は俺だッ!! 来いッ!!!』
人間の分際で馬鹿にするなと、俺を、俺達を舐めるなとメカザウルス達は吼える。ゲッターロボではない、そんなガラクタで俺達を倒せると思っているのかと怒りはどんどん激しく燃え盛る。
『うおおおッ!!!』
事実ゲシュペンスト・シグはゲッターザウルスの火炎の余波やその爪から放たれる真空波で切り裂かれ、見る見る間にズタボロになっていた。アウセンザイターの支援があるからこそ撃墜は間逃れていたが、それも時間の問題なのは明らかだった。だが、押されているのはゲッターザウルスのほうだった……。
【グルルウ……】
『どうした、死に体の俺が怖いとでも抜かすかッ!! この軟弱者がッ!!!』
それでもメカザウルス達は圧倒されていたのだ。メカザウルス・シグの幻を纏うゲシュペンスト・シグに、そしてそのパイロットであるラドラに恐怖したのだ。
【キシャアアアアアッ!!!】
『俺を舐めるなあッ!!! この小僧共がぁッ!!!!』
その咆哮に、そして肩部から叩き込まれたファブニールの一撃に……メカザウルス達は目の前にいるゲシュペンスト・シグとそれを操る男の正体に気付いた。誇り高き男、栄光のキャプテンラドラ――恐竜帝国伝説のパイロットが自分達の敵になっていると気付き、次の瞬間には闘志が一気に爆発した。
【グガアアアァアアアアアアアアッ!!!】
『そうだッ!! 全力で来いッ!!!』
異能を持つ地龍一族とそれに付き従うメカザウルスは恐竜帝国でも最下層だ。キャプテンに目を付けられる事も無く使い捨ての捨て駒、もしくは実験体である自分達をまっすぐに見ている……それに奮起しない者はいない。キャプテンを超える。己を認めさせる……ゲッターザウルスにもう百鬼帝国の言葉は届いておらず、百鬼帝国の呪縛から完全に抜け出し誇り高き恐竜帝国の者として、キャプテンラドラを超えるという純粋な闘志に突き動かされていたのだった……。
ゲッターザウルスの吐き出した炎でゲシュペンスト・シグの全身の装甲は融解し、内部装甲が露出していた。ラドラの言う通り完全に死に体であり、脱出するレベルの損傷を受けていたがラドラの目は爛々と輝き、被っていたヘルメットを投げ捨てそのままコックピットハッチに向かって投げ付けると、ガタの来ていたコックピットハッチが落下し、風がラドラの頬をなでる。
「ふうー……これだ。これでこそだ」
ラドラもまた闘争の中でしか生きれない男だ。人間に転生したから闘争本能は薄れているが、それでも恐竜帝国の記憶を持つラドラにはどうしても闘争本能という物があった。そしてそれを完全に押さえ込むのは不可能であり、そしてラドラ自身も抑えるつもりはなかった。
【グルルルルッ!!】
「ふん、軟弱者と言ったのは訂正してやる。お前も勇敢で誇りある恐竜帝国だ」
片目を潰され、腕も圧し折られてもなおゲッターザウルスは戦う意志を緩める事は無く、燃え盛る闘志を叩き付けてくる。その闘志に、自分が死ぬか、相手が死ぬかというギリギリの戦いにラドラは完全に酔いしれていた。
『ラドラ……』
「止まれと言うのなら消えろ、もうお前の支援は必要ない。俺とあいつらの戦いだ」
十分に支援は受けた事には感謝している。だが戦いを止めろと言うのならば消えろとラドラに言われたレーツェルは、ふっと小さく笑った。
『戦いを楽しむのは良いが、今はそんなことをしている場合ではない筈だ。自分が死ぬか、相手が死ぬかという戦いをカーウァイ大佐は許さんぞ』
「む……ふっ……そうだな。俺が悪かった」
その言葉で少しだけ意識が切り替わった。キャプテンラドラから、教導隊のラドラへと意識が切り替わった。そうなると周りの戦況も見えてくる。
『くそがッ!! 早く下がれッ!! 長くはもたねぇッ!!』
『レオナ! 何してる! 下がるぞ』
『で、でもタ、タスクが』
『大丈夫だ! ガンドロなら皆が撤退する時間くらい稼げるッ!! 早く行けッ!!!』
『タスク、僕も手伝うよ』
『リョウト……へっ! 助かるぜッ!!!』
エネルギーが枯渇しかけ盾になることしか出来ないジガンスクード・ドゥロと、マグマ原子炉のお蔭でまだ出力が安定しているヒュッケバイン・MK-Ⅲ・タイプM・タイラントが並び立ち、シャドウミラーの無人機と戦い、損傷が危険域に達したカチーナ達が撤退するまでの時間を稼ぐ。
『はーはぁ……はぁ……』
『マサキ、これ以上は危険にゃ!』
『うるせえッ!! 俺もサイバスターもまだまだ大丈夫だッ!!! 行くぜシロ、クロッ!!!』
サイバスターから翡翠の輝きが放たれ、ギャンランドから出撃して来た無人機達を飲み込むが撃墜するにはマサキのプラーナが余りにも足りていなかった。
『親父ッ!!』
『分かっているッ!!!』
ヴァルシオーネとゲッターVがサイフラッシュに飲み込まれた無人機を確実に仕留め、アステリオンとベルガリオンも弾薬が枯渇したのならばと攻撃手段を変えていた。
『飛ばしすぎだ! 私に速度を合せろアイビスッ!』
『ご、ごめん!』
ソニックブレイカーを同調させ、残りのエネルギーを大事に大事に使い撤退のための道を作ろうとしている。戦いの中による極度の集中状態で回りを認識出来ないでいたラドラは、自嘲気味に笑った。
「すまん、すぐに決着をつける」
『さっさと勝って来い、私達にはまだやらなければならないことがあるのだからな』
アウセンザイターから投げ渡されたのは轟破鉄甲鬼の斧だった……それを受け取ったゲシュペンスト・シグは、斧の切っ先をゲッターザウルスへと向ける。
「次だ。次で終わりだ」
どの道ゲシュペンスト・シグもゲッターザウルスも禄に動くだけのエネルギーは残されていない、これが最後だとラドラが声を掛けるとゲッターザウルスもダブルシュテルンを構え、雄叫びと共に突進してくる姿を見てラドラは小さく残念だと呟いた。もしもパイロットが居れば駆け引きもあっただろう……だがメカザウルスの頭脳にはそこまでの知恵は無く、力で捻じ伏せに来た。それがAIで制御されたメカザウルスの限界だった。
「悪いな、俺にも都合がある」
力任せの一撃を横からの一撃で弾き、振り上げた斧の一閃がゲッターザウルスの胴体へ深い傷をつけ、ゲッターザウルスは膝をつき、そのカメラアイから光を消した。
「お前にパイロットが居れば変わっていただろうが……勝負にもしもはない、むしろそんな有様で良く戦ったと俺はお前を賞賛しよう」
パイロットのいるメカザウルスとそうじゃないメカザウルスの戦闘力の差は生体パルスの差にある。パイロットがおらず闘争本能だけで戦っていたゲッターザウルスでは、十分にマグマ原子炉の力を引き出せなかった……それがゲシュペンスト・シグとゲッターザウルスの戦いの勝敗を分けたのだ。
「お前も良くやってくれた。休んでくれ……シグ、今までありがとう」
ラドラの言葉がゲシュペンスト・シグに届いたかは分からない。だがラドラの言葉に返事を返すように一度だけ唸るように機体を振動させると、その機能を停止させ沈黙した。L5戦役から共に戦い続けた相棒が力尽きた事にラドラは悲しそうに眉を細めたが、悲しんでいる時間も足を止めている時間もない。ラドラは躊躇う事無くゲシュペンスト・シグのコックピットから飛び出しゲッターザウルスの装甲へと取り付き、出っ張りに足を掛けてロッククライミングのように登っていき、ゲッターザウルスの頭部、ガリムのコックピットハッチを開いて身体を滑り込ませる。
『ラドラ、ゲッターザウルスは使えそうか?』
「問題ない。構造はゲットマシンというよりもメカザウルスに近い、操縦に関しては問題ない。すぐに戦線に復帰する」
アウセンザイターに守られている間にラドラは機能停止していたゲッターザウルスを再起動させ、モニターに再び光が灯る。握り締めた操縦桿からラドラにメカザウルスの意思が伝わって来た。
【俺達は戦える】
【俺達は出来損ないなんかじゃない】
【俺達は勝たねばならない、大事な者の為に……勝利しなければならない】
恐竜帝国の最下層である地龍一族、そしてそれに付き従ったメカザウルスがゲッターザウルスのベースになっており、一族の為に決して負けられないと言う執念めいた感情が伝わってくる。
「地球を守る為にお前の力を貸して貰うぞ、ゲッターザウルスッ!!!」
人間に対する怒り、ゲッターロボに対する恨みもゲッターザウルスの中にはあるのはラドラも承知している。だがラドラはそれを押さえ込み己の支配下においた、恐竜帝国のキャプテンとして暴走を繰り返すメカザウルスを制御して来たラドラだからこそ出来る力技……メカザウルスよりも己の方が上だと強引に生体パルスを流し込む事で、ゲッターザウルスを構成している3体のメカザウルスを捻じ伏せ、己の配下へとしたのだ。
【グルルルル、ゴガアアアアアアッ!!!】
ラドラが操縦桿に触れた事でマグマ原子炉が活性化したゲッターザウルスは、ゲシュペンスト・シグに与えられた損傷を瞬きの間に修復し力強い咆哮を上げる。それは己の力を誇示するような意志を感じさせながらも、ラドラを己のパイロットとして受け入れると言わんばかりの咆哮だった。力で破れ、意志で破れ、そしてラドラが自分達よりも上だと認めさせられたゲッターザウルスは従順であり、ラドラが思うがままに動いて見せた。その事にラドラは笑みを浮かべ、上空から無人機を吐き出し続けるギャンランドを睨みつけた。
「早速お前の力を見せて貰うぞッ!! ゲッタァァアアアア――ビィィイイイイムッ!!!」
ゲッターザウルスの放ったゲッタービームがギャンランドの強力なEーフィールドを貫き船体を襲う。その余りの破壊力にギャンランドを制御している量産型Wシリーズは防御を固めた。それによって無人機の出撃が止まりラングレー脱出を困難にしていた壁が1つ消え去った。だがラングレー脱出の為に立ちふさがる壁はまだ3つ残っているのだった……。
第182話 進化の光 その4へ続く
ゲッターザウルス戦はイベントでラドラの乗り換えイベントでした。ゲシュペンストシグの攻撃でゲッターザウルスのHPを規定まで削るとイベントで乗り換えとなるって感じですね。次回も強化イベントをやっていこうと思いますので誰が強化されるのか楽しみにしていてください。それでは次回の更新もどうか宜しくお願いします。
PS
ダブルオーガチャは1周で獲得出来たのですが、そのガチャの中でヤルダバオトとバンシイのSSRがでて来たのはでてくるのが遅いと思わず言ってしまいましたね。
視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか
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サイドまたは視点は必要
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今のままで良い