進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第185話  進化の光 その7

第185話  進化の光 その7

 

 

戦う意欲を失っていた龍王鬼だが、突如コックピートシートから身体を起こしラングレー基地の上空に視線を向けた。

 

「おいおいおい……俺様と戦った時は三味線を引いてやがったかあッ!!!」

 

圧倒的な威圧感を放つゲッターD2……その圧力は伊豆基地と戦った時とは比べ物にならない程の存在感であり、龍王鬼を持ってしても容易な相手ではないと一目で判る。だからこそ、龍王鬼はあの時は手を抜いていたのかと一瞬怒りを露にしたが、それは本当に一瞬の事だった。

 

「い、いや、俺様の気のせいか」

 

龍王鬼と戦っていた時よりも遥かに力が上昇しているのを見て、先ほど吹き上がったゲッター線の光の柱に何か関係があることに思い立った龍王鬼は気のせいかと呟いた。

 

『そりゃそうよ、武蔵は三味線を引くようなタイプじゃないわ。気の回しすぎね、ヴィンデルの邪魔で苛立ってるのは分かるけど少しは落ち着きなさい』

 

ヴィンデルの奇襲で苛立っているから落ち着けという虎王鬼の言葉に龍王鬼は深い溜め息を吐いた。

 

「すまねえ」

 

『良いわよ。あたしもヴィンデルのは許してないし』

 

戦いに横槍を入れる……それは戦いを誉れとする龍王鬼達にとっては許せない事だ。正々堂々と戦い、真っ向から相手を打ち倒す。それが龍王鬼にとっての誇りであり戦いなのだ。それを邪魔する物は龍王鬼にとって最も唾棄するべき相手だ。

 

『見ておきなさいよ、これがきっと最強状態のゲッターロボよ』

 

「おお、そうするぜ。肌にびんびん来る……あのゲッターと武蔵と戦ったら楽しいだろうなあ……」

 

牙を剥き出しにして笑う龍王鬼の顔に先ほどまでの不満の色は無く、むしろ最強状態のゲッターD2を目の当たりに出来ると言うことに歓喜の表情を浮かべていた。

 

 

 

 

 

「……行くぜ、兄弟」

 

一撃でメタルビースト・ドラゴンを屠ったゲッターD2――その力は凄まじく、これが本当の力なのかと武蔵でさえも驚いていた。だが1番武蔵が驚いていたのはそのパワーを自分が完全に操れている事だった。

 

『武蔵君! 我々は撤退を始める! 支援は出来るか!』

 

「大丈夫ですよ! 任せてください、ビアンさんッ!! しゃあッ!! 行くぜッ!!!」

 

ヴィンデルの奇襲のダメージを考えればこれ以上戦えないのは武蔵にも分かっていた。全員が無事でこの場を脱出する為にゲッターの力が必要であり、この場に出現したアインストとインベーダーを引き寄せるのもゲッターの役目だと分かっていた。

 

【シャアアアアッ!!!】

 

【■■ッ!!!】

 

フルパワーのゲッターD2のエネルギーに魅かれ、メタルビースト・ライガーとアインストの群れが一斉に地面を飛び立ち、ゲッターD2へと向かう。

 

『武蔵ッ!! 今行くッ!!!』

 

『武蔵様ッ!!』

 

1人で相手をするのは不可能だと判断したカーウァイが援護に向かうと叫び、上下左右すべてを覆いつくすインベーダーとアインストの群れがゲッターD2に向かうのを見たシャインが悲鳴にも似た声で武蔵の名を叫んだ。次の瞬間ゲッターD2の姿がゲッター線の光に包まれ、凄まじい速度で移動する。余りの速さに空中に複雑な幾何学模様が描かれ、はるか上空にいたゲッターD2は地面を削りながらゲシュペンスト・タイプSの前に着地し、ゲッターD2に向かったメタルビースト・ライガー達は全て一瞬の内に両断され空中に爆発の花を咲かせた。

 

『は……は?』

 

ゲッターD2の強さを見てきたカーウァイでさえも思わず言葉を失う超スピードとパワー、何が起きたのか分からないほどの動きだった。

 

「カーウァイさん、オイラは大丈夫ですよ。皆の撤退支援を頼んます、敵は全部オイラとゲッターが引き受けますからッ!」

 

疲弊しているカーウァイ達を見て自分に任せろという武蔵。つい先日までのゲッターD2を見ていれば何を言っているとカーウァイも激怒しただろう。だが今のゲッターD2を見れば任せても大丈夫だと思わせてくれた。

 

『頼む……そろそろ我々も限界だ』

 

「任されましたッ!!」

 

力強く踏み込んだゲッターD2の姿が掻き消え、地上に翡翠の線を残しながら恐ろしい速度で駆け回る。

 

『すげえ……』

 

『圧倒的だ……これがフルパワーのゲッターロボ』

 

空を飛ばなくても、いやライガーにチェンジしなくても目視するのがやっとの超スピードにタスクとリョウトは言葉を失った……余りにも強すぎる。ゲッターロボが機動兵器の枠組みを超えた超越存在だと言うのを改めて思い知らされる形になる。

 

『何を呆けてやがる! 撤退するぞッ!! 武蔵! 悪いけど任せるぜッ!!!』

 

「分かってます! 早く! まだまだ出てきますよッ!!!」

 

ゲッターD2のパワーが上がったという事はゲッター線を求めるインベーダーとアインストの出現を早める事だ。ゲッター線の光に包まれ消滅したインベーダーとアインストと異なる個体が再び姿を見せる。

 

「分かったら早く撤退をッ!!」

 

【ゴガアアアッ!!!】

 

「舐めんなあッ!!!」

 

周りの残骸を取り込み巨大化したメタルビースト・ポセイドンの拳を受け止め、翼を広げて飛翔するゲッターD2はメタルビースト・ポセイドンを振り回し始める。

 

「うおらあああああああッ!!!」

 

雄叫びと共にメタルビースト・ポセイドンを百鬼帝国に投げ付け、百鬼帝国の高度が著しく落ちた。

 

「舐めてんじゃねぇぜッ!!!」

 

メタルビースト・ポセイドンの直撃で外装が破壊された百鬼帝国を見て武蔵はざまあ見やがれと笑う。本当ならここでしとめておきたかったが下手に固執すればみんなが危ないと判断し武蔵は追撃を断念し、その判断は正しかったとすぐに明らかになる。百鬼帝国と陸皇鬼が水に包まれ姿を消す。共行王の水を使った転移であり、近づけば武蔵とゲッターD2もどこかに飛ばされていた可能性が高く、絶好の好機を逃しはしたが追撃を断念した武蔵の選択は正しい物であった。

 

『武蔵様! 危ないッ!!』

 

「お、おおッ!?」

 

【キシャアアアアアッ!!!】

 

シャインの警告のすぐ後にタスク達が相手をしていた巨大インベーダーが伸ばした触手がゲッターD2に足に巻きつき、一気にその身体を地表に向かって引き摺り下ろす――今までのゲッターD2ならばそれは得策だったが、今のゲッターD2にそれは悪手だった。

 

「オープンゲットッ!!!」

 

ゲットマシンに分離し触手による拘束を回避し、ゲットマシンは機首を下にして急降下する。

 

「チェンジッ!! ライガァアアアアアアア――ッ!!!」

 

今までに無い俊敏な動きでライガー号・ポセイドン号・ドラゴン号の順番に合体しゲッターライガー2へと姿を変えるとドリルを下にしインベーダーへと突撃する。

 

【シャアアアアッ!!!】

 

だが複数のインベーダーが合体した巨大インベーダーは触手の壁を作り、網目状の触手でゲッターライガー2を捕らえようとする。

 

「どこを見てる! オイラはここだぜッ!!!」

 

【ギッ!? ギギャアアアアアアッ!!!】

 

ライガー2の姿が掻き消え、背後からドリルアームで貫かれたインベーダーが苦悶の声を上げる。だがライガー2の攻撃はこれに留まらず巨大インベーダーを取り囲むように無数のゲッターライガー2がその姿を見せる。

 

「ドリルミサイルッ!!!!」

 

全方位からのドリルミサイルに全身を貫かれ巨大インベーダーは身体を維持出来ず、その身体を液状へと変え地中へと逃亡を図る。

 

「オープンゲット! チェンジッ!! ドォォラゴォォオオオンッ!!!!」

 

だがそれよりも早くオープンゲットからのドラゴンへの再合体を果たしたゲッターD2の頭部から放たれたゲッタービームがインベーダーが隠れようとした亀裂に炸裂し、インベーダーは再度苦悶の声を上げて翼を生やした姿へと変異し上空へと逃れる。

 

「オープンゲットッ!!! チェンジポセイドンッ!!! くたばりやがれえええええッ!!!」

 

だがそれよりも武蔵の方が圧倒的に早かった。飛行型へ変異したインベーダーの上からストロングミサイルを脇に抱えたポセイドンが急降下し、ゼロ距離で起爆させ巨大インベーダーを消し飛ばすと同時に再びオープンゲットし、煙を突っ切って姿を現す。

 

「チェンジッ!! ドラゴォォオオオンッ!!! ダブルトマホーク……ブゥウウウウメランッ!!!!」

 

身体を大きく逸らしながら投げ付けられたダブルトマホークはゲッター線の竜巻となり、空を飛び交うインベーダーとアインストを薙ぎ払いながら百鬼帝国とぶつかった事で半壊しているメタルビースト・ポセイドンへと向かった。

 

【ギ、ギギャアアアアアアッ!?】

 

全身を切り裂かれたメタルビースト・ポセイドンは断末魔の悲鳴を上げながらゲッター線の光に包まれ消滅する。

 

『圧倒的だな……今の内に撤退するッ! 急げッ!!』

 

『シャイン王女、武蔵の事を考えるなら早く避難を』

 

『え、ええ! 分かりましたわ!』

 

『お前も来い、ユウキ』

 

『了解』

 

『殿は私が務める! 早く下がれ! 近くにいれば武蔵の邪魔になる!』

 

圧倒的な力を持つゲッターD2に注意が集まり、これが無事に全員が生きて撤退する最後のチャンスだと判断したイングラム達は次々に帰還する。その姿を確認した武蔵はゲッターD2を操り、メタルビースト・ポセイドンを撃破し戻って来たダブルトマホークを両手に握らせるとまるでワープしたかのように一瞬姿を消した。

 

 

 

 

『……これはこれはお久しぶりですの』

 

「おう、また会ったな」

 

『む、武蔵……すまない……助かった』

 

「いいっすよ、それよりキョウスケさん達を頼みます。オイラはこいつを何とかするんで」

 

ペルゼイン・リヒカイトにトドメを刺されそうになっていたヴァイサーガの前に割り込んだゲッターD2はダブルトマホークで鬼菩薩を受け止め、ラミア達に逃げるように声を掛ける。

 

『んー年貢の納め時かしらねぇ』

 

「それなら投降しちゃったらどうです?」

 

『それもありかもねえ……ま、命あっての物種って言うしね。助けてくれてありがとね~ほら、行くわよ。エクセレン』

 

『え? マジで手伝ってくれるの?』

 

『ここで見捨てたら私武蔵に見捨てられるでしょ? まだ死にたくないのよね。私』

 

半壊してはいるがまだ飛行能力の残っているヴァイスリッター改とヴァイスセイヴァーが大破しているアルトアイゼンを両脇から抱え、先頭をヴァイサーガが守りながらハガネへと帰還する。

 

「追わないのか?」

 

『……私は馬鹿ではありませんからね。ここで下手に手を出せば死ぬのは私ですのよ』

 

「そうかい、そいつは正解だなッ!!!」

 

ペルゼイン・リヒカイトの方を向きながらも、片手でダブルトマホークを背後に向けて振るったゲッターD2の後で強烈な金属音が響き渡る。

 

『ぬううッ!! おのれッ!』

 

大剣をダブルトマホークで両断され、そのまま肩に命中したダブルトマホークの一撃で地面に叩き付けられたツヴァイザーゲインはあちこちから火花を散らし、ダブルトマホークが命中した肩はそのまま拉げて少なくない損傷を受けていた。

 

「不意打ちはオイラにゃ利かないですよ、ヴィンデルさん」

 

必中を確信した転移による強襲を仕掛けたツヴァイザーゲインを目視する事無く迎撃したゲッターD2。豊潤なエネルギーを得たゲッターD2の能力は格段に上昇しており、転移による強襲にもタイムラグなしで反応する事が出来ていた。

 

「これ以上やるって言うなら……命を奪う事になるぜ」

 

『……良いだろう……今は引いてやる……だが後悔する事になるぞ、私の命を奪わなかった事をな……』

 

トドメを刺さなかったのは甘さではない、ツヴァイザーゲインの再生能力、そして転移能力を加味すれば武蔵と言えど其方に集中する必要がある。ツヴァイザーゲインに集中出来るのならば武蔵はここでヴィンデルを殺す事も当然視野に入れることが出来たがそれが出来ない理由があった。

 

『……やっぱり上手く行きませんのね』

 

「そういうこった。どうするよ、オイラとやるのか?」

 

ペルゼイン・リヒカイトに隙を見せるのを嫌い、ヴィンデルを撤退させたに過ぎない。力関係はほぼ均衡しており、隙を見せるのを最小限にするにはこれしかなかったのだ。

 

『……いいえ、止めておきますわ』

 

そして今度はペルゼイン・リヒカイトとアルフィミィを相手に戦うつもりだった武蔵だが、アルフィミィは驚くほどあっさりと撤退を選択した。

 

『……では御機嫌よう。またお会いしましょうですの』

 

溶けるように消えていくペルゼイン・リヒカイトに拍子抜けした武蔵だが、これでひとまず全員撤退させれたと安堵した……安堵してしまった。

 

『ベーオウルフウウウウッ!!!!』

 

『アクセル隊……うぐうッ!?』

 

『キョウスケはやら……きゃああッ!?』

 

アルフィミィに心を覗かれ半狂乱状態のアクセルは本能……いや執念に従いアルトアイゼンへと突撃を仕掛けた。ソウルゲインに気付き迎撃に出たヴァイサーガの五大剣が胸部に突き刺さっても、お構いなしに突進しヴァイサーガの顔面に左拳を叩き込みそのまま殴り飛ばし、キョウスケを守る為オクスタンランチャー改を盾にし割り込んだヴァイスリッター改に向かって突き出したままの左拳を開き、青龍鱗を放ちヴァイスリッター改を弾き飛ばす。

 

『貴様はここで死ねえええええええッ!!!』

 

ヴァイスリッター改が弾き飛ばされた事でアルトアイゼンを支えきれなくなったヴァイスセイヴァーが倒れ、アルトアイゼンが一瞬宙に浮いた。その一瞬で脚部を崩壊させながら踏み込んだソウルゲインの回し蹴りがアルトアイゼンを捉える。

 

『キョウスケェ!!!』

 

アクセルの血を吐くような叫びとエクセレンの悲鳴に続き強烈な破砕音が響き振り返った武蔵の視線の先には、ソウルゲインの左足回し蹴りを辛うじてリボルビングバンカーで防いだ物の天高く蹴り上げられたアルトアイゼンの姿があった。

 

「ちくしょうッ! しくじった!!!」

 

アクセルが意識を失い、ソウルゲインが動く様子がないので後回しにしたのが裏目に出た。慌ててソウルゲインを止めに入ろうとした武蔵だったが、距離が余りにあり過ぎた……後コンマ1秒か、2秒……瞬きほどの時間があれば埋めれた時間だがアルフィミィを警戒し、アクセルを警戒していなかった武蔵には埋めきれない時間だった。

 

『うおおおおおッ!!!』

 

跳躍し雄叫びと共に振り下ろされた拳がアルトアイゼンの頭部を打ち砕き、コックピットのほんの少し手前で停止しソウルゲインの瞳から光が消えた……本能で動いていたアクセルの限界が来たのだろうが、それに安堵している時間はない。武蔵は即座にキョウスケの救出に向かおうとしたが強烈な敵意を感じてその足を止めた。

 

「まさか……ッ! 嘘だろッ!?」

 

虚空に黒い穴が空き、そこから黒いコールタールのような物が零れ落ち、アインストとインベーダーが融合したロスターがその姿を見せる。

 

「誰でもいい! キョウスケさん達を回収してくれッ!!!」

 

『俺が行くッ! 武蔵! お前はあれを何とかしろッ!!!』

 

『くそがッ! こんなタイミングで出てくるなッ!』

 

武蔵の叫びに応えたのはゲッターザウルスを鹵獲したラドラとボロボロだがまだ動く余力を残している轟破・鉄甲鬼を操るコウキだった。ヴァイスリッター改を轟破・鉄甲鬼が回収し、ゲッターザウルスがアルトアイゼンのコックピットブロックとヴァイサーガを回収する。ロスター出現の異様な雰囲気の隙を突いてスレードゲルミルがソウルゲインとヴァイスセイヴァーのコックピットを回収する姿が見えたが、武蔵にそれをとどめている時間はなかった。

 

「フルパワーだッ!!! ゲッタァアアアアアア……ビィイイイイイムッ!!!!」

 

今までの比ではない破壊力を秘めたゲッタービームが空間の裂け目に向かって放たれる。

 

「マジかよ……ッ! これでもパワーが足りないのかッ!!」

 

紛れも無く今出来る最大攻撃だった。だが時空の境目はいまだ健在であり、このままロスターが現れれば皆発狂する。だが時空の境目を消滅させる術がないと焦る武蔵の耳をテツヤの怒声が打った。

 

『武蔵!! トロニウムバスターキャノンを撃つッ!! 離れろッ!!!』

 

「テツヤさん!? 分かりましたッ!!!」

 

翼を広げゲッターD2が漆黒の裂け目から離れると同時にトロニウムバスターキャノンが時空の境目に向かって撃ち込まれる。

 

(駄目だ、パワーが足りないッ!!)

 

トロニウムバスターキャノンはたしかに時空の裂け目に届いていたし、ロスターを消滅させていた。だがそれでも力が足りていない、まだ漆黒の裂け目から這い出ようとしている悪意を押し戻すには力が足りないのを武蔵は感じ取っていた。

 

「……なんだ……ありゃあ……なんだ……なんだ……これは……オイラは……「俺」は……こんなの知らないぞ……」

 

漆黒の穴を内部から突き破ろうとする腕を見た瞬間――武蔵の脳裏に数多の光景が浮かんだ……知らない、知らないはずなのに……武蔵はそれを知っている……ずっと……そう、ずっと前から知っているのだ。

 

「こいつをッ! こいつらをこの世界に踏み入れさせるわけには行かないッ!!」

 

武蔵ではない「武蔵」がその存在を知っている……決して存在してはならないその存在を知っている……。

 

『不進化態ッ!!! ここはてめえらの来る世界じゃねぇッ!!!!』

 

発せられた声は紛れも無く武蔵のものであったが、武蔵よりも若く感じる声だった……武蔵も「武蔵」も「ムサシ」も「634」も知っているのだ。この「存在」だけは許してはいけないのだ。ゲッター線の進化に最も深く関わり、そしてその進化の根底に存在する筈でありながらまったく異なる道を歩んでいる武蔵だから、本来存在しない記憶を……はるか過去の記憶を時空の境目に見たのだ、夢か現は分からない……だが確かに武蔵は漆黒の空間の裂け目の奥に見たのだ。

 

生物と機械の中間のようなゲッタードラゴンを……

 

百鬼獣とメカザウルスに似ているがより生物的な奇怪な化物を……

 

頭部と両腕だけが完全体であり、それ以外は驚くほど貧相な何かを……。

 

【『「ぅ……うぉおおおおおおおおおお―――ッ!!!!」』】

 

一瞬のフラッシュバックだったが故に、その光景は幻のように消え去った。だが分かっているのだ、今開いたこの空間の裂け目が開いてしまえば、その奥にいる何かがこの世界に現れてしまえば……取り返しの付かない事になると本能で武蔵は悟ったのだ。武蔵1人で出来るかどうかは分からない、だが今のゲッターD2ならば出来るかもしれない……そんな一筋の希望に武蔵は縋るしかなかった。

 

「オイラ1人じゃゲッターの力は完全には引き出せねぇッ!! だけど諦めてたまるかよぉッ!!!」

 

3人揃っていない今の状態では完全な力は引き出せない、だが今1番ゲッターのパワーを引き出せるのはこれしかなかった。旧西暦での真ドラゴンの内部での戦いで真ゲッターが見せた技に武蔵は賭けた。

 

(……リョウ……隼人……弁慶……オイラに力を貸してくれッ!!!)

 

「ストナァァアアアアアアアア――ッ!!!」

 

頭上で手を合わせたゲッターD2の間に光り輝く球体が作り出され、それは徐々に光を高め巨大化する。

 

(ぐっ……だ、駄目だ……コントロールしきれないッ!!!)

 

その圧倒的なエネルギーを押さえ込むには武蔵1人では力が足りなかった。仮にストナーサンシャインを作る事が出来たとしても狙った場所に打ち込めるか、いや、それ以前にコントロールできずエネルギーが暴発するするんじゃないかという不安が武蔵の胸中を埋め尽くした時……無人の筈のドラゴン号、ライガー号に誰かの背中が映し出された。顔は見えない、だが誰が乗っているかが武蔵には分かった。

 

「ありがとよ、兄弟……」

 

言葉は無くとも、顔は見えずとも分かるのだ……魂で繋がった兄弟を武蔵が間違えるわけが無い、消えかけた闘志が再び燃え上がり、武蔵の中の不安を打ち消す。

 

「サァアアアアンッ!!!!」

 

頭上から胸の前に両腕が動かされ、手の間のエネルギーは赤く輝き、周囲のエネルギーを吸収しながらその輝きを強くし、ゲッターD2を光り輝かせる。

 

「シャィイイイインッ!!!!」

 

ゲッターD2が腕を突き出すと限界まで高められたエネルギーが凄まじい勢いで射出され時空の裂け目に飛びこみ、今正に空間を引き裂きこの世界に現れようとした生物のような意匠のゲッタードラゴンの頭部を消し飛ばしながら、その存在を再び時空の境目の奥深くへと弾き飛ばす。

 

【ギギャアアアアアア――ッ!!!!】

 

断末魔――いやよくも邪魔したなという怒りに満ちた咆哮が響く中、ストナーサンシャインの圧倒的なエネルギーは這い出ようとした異形――不進化態もろとも時空の境目内部から空間を焼き尽くし、ラングレー基地の上空にガラスの罅割れのような亀裂が走る。

 

「離脱だッ!! 巻き込まれるぞッ!!!」

 

武蔵の一喝と共にハガネ、クロガネ、ヒリュウ改、シロガネはラングレー基地を離脱し、その後を追うようにゲッターD2も離脱し数秒後凄まじい爆発がラングレー基地跡地を焼き尽くすのだった……。

 

 

 

 

第186話  進化の光 その8へ続く

 

 




今回は武蔵オンリーだったので行間を空けることで対応してみました。ゲッターチェンジアタック、ストナーサンシャインの解禁によりパワーアップですが、原作よりも酷い被害を受けプランタジネットの失敗となりました。次回は後処理の話を書いて行こうと思います。
それでは次回の更新もどうか宜しくお願いします。

追伸少しだけ宇宙最後の三分間を見たので「不進化態」をINさせました。これは良い、インスピレーションが沸いてくるのでOG外伝とかでもチラッと出しても良いかなと思っております。

おまけ

ゲッターザウルス

旧西暦から流れ着いたゲッターロボ。見かけはゲッタードラゴンの装甲を纏ったメカザウルスだが、列記としたゲッターロボである。
マグマ原子炉とゲッター炉心の二重動力であり、ゲッターD2に匹敵するパワーを持つが、メカザウルスの起動には生体パルス、簡単に言えば生命力が必要でありゲッターロボ以上にパイロットを選び、操縦系もメカザウルス基準なのでラドラ以外に乗れるパイロットが存在せずラドラの単独運用となっている。マグマ原子炉は恐竜帝国でも忌み嫌われていた地竜一族に従っていたメカザウルスの物が運用されており、強烈な自我を持ち合わせ、パイロットの闘争本能を増大させるがラドラはその肥大した闘争本能を完全に制御し、ゲッターザウルスを支配化においている。

ゲッターザウルス

HP14000(21000)
EN410(580)
運動性165(190)
装甲2200(2700)

特殊能力

オープンザウルス(確率回避)
HP回復(大)
EN回復(小)

ダブルシュテルンブーメラン  ATK3100
ダブルシュテルン ATK3500
格闘 ATK3900
火炎 ATK4200
ゲッタービーム ATK5000

フル改造ボーナス

ゲッタービームの威力+200 EN+20 全ての武器のCT率10%UP


ゲッターガリム

ゲッター2、ゲッターライガーに当る形態。メカザウルスがベースの為生物的な意匠を持ち、機械とは思えない柔軟な動きが持ち味。
両腕の爪は両方ともドリルに変形可能であり、爪とドリル、そしてスピードを生かした白兵戦に長けている。


ゲッターガリム

HP13000(17000)
EN410(610)
運動性225(255)
装甲1800(2100)


特殊能力
オープンザウルス(確率回避)
マッハスペシャル改(確率回避)
ザウルスビジョン(待機後超低確率で再行動)
HP回復(大)
EN回復(小)


爪 ATK3300
ガリムドリル ATK3600
クローミサイル ATK3800
プラズマクローハリケーン ATK4000
ガリムコンビネーション ATK4500



ゲッターメガロン

ゲッター3、ゲッターポセイドンに当る形態。下半身は鋸のような車輪、上半身は重厚な装甲を纏った重装甲形態。
ゲッター3やポセイドンのように腕が伸びたり、フィンガーネット等は搭載しておらず、重厚な装甲を生かした突撃とどっしりとした体形から放たれる安定感抜群のマグマ弾とマグマミサイルが武器。

HP13000(24000)
EN410(600)
運動性135(170)
装甲2600(3000)


特殊能力
オープンザウルス(確率回避)
HP回復(大)
EN回復(小)


ナパームシャワー ATK3000 着弾点指定型MAP
格闘 ATK3500
突撃 ATK4200
マグマ弾 ATK4500




RーSWORD・シーツリヒター


R-SWORDとアストラナガンが融合した形態。アストラナガンのフェイスパーツを仮面の様に装着し、両肩は鋭角な複数の結晶体へと変化し、両手・両足は元のR-SWORDから鋭い鉤爪を持つ装甲によって延長され、PTサイズから準特機サイズまで巨大化している。背中には特徴的なアストラナガンの翼を持ち、アストラナガンを武装のように装備した形態。R-SWORDから一転し、イングラムの武器である射撃にメインの武装を持ち、広域殲滅、面攻撃に特化している。アストラナガンのティプラー・シリンダーを稼働率20%で得ており、転移能力と時空を歪めての障壁発生能力、ゲッター合金製の装甲とゲッター炉心と機動兵器とは思えないほどに多数の能力を持つが、その存在自体が時間、次元を歪めかねないのでシーツリヒターの形態は5分が限度だとイングラムとギリアムが口にするほどである。なおシーツリヒターはドイツ語で審判の意味を持つ

イングラムの気力が150以上 そのステージで2機敵機を撃墜している場合特殊コマンド融合によりシーツリヒターへと変化する。


HP7800(10130)
EN550(750)
運動性190(270)
装甲1700(2100)

特殊能力

湾曲フィールド・G 3000以下のダメージ無効
瞬間転移 30%の確率で攻撃を完全回避
HP回復(小)
EN回復(大)


武装
フォトン・バルカン ATK3000
ラアムライフル ATK3200
Z・Oカリバー ATK3800
アトラクター・シャワー ATK4000 時機中心型MAP
T-LINKフェザー ATK4400
ガン・ファミリア ATK4900
エメトブラスター ATK5100
アキシオンスマッシャー ATK5800

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
  • 今のままで良い
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