第187話 敗走 その1
スペリオル湖へと進路を向けるハガネ、ヒリュウ改、シロガネ、クロガネの4隻の戦闘母艦の動きは極めて緩やかな物だった。百鬼獣とシャドウミラーの追っ手はいまも放たれており、負傷者が多く、機体の修理も必要と戦闘を行なえる状況ではないのは明らかでステルスシェードを展開し、動力が機能停止しない最低にまで絞り補足されるリスクを可能な限り低下させての行軍であり、速度を上げられないという焦り、敵機に補足されるかもしれないという恐怖の中、精神を削りながらブリッジ勤務を行なっていた。
「……スペリオル湖まで後4時間か……」
本来の速度で考えれば信じられないほどの低速での移動にビアンは小さく溜め息を吐いた。だが現状最善である以上文句は言えない、むしろここまで敗走しておいて死者がいないことが奇跡なのだ。これ以上を望むというのは明らかな高望みだろう……。
「ビアン、大丈夫か?」
「グライエンか……疲れはあるが問題はない、それより何のようだ? まだ交代の時間ではない筈だが……」
「そうは言ってもだ、敗走してからずっとブリッジにいるだろう。少し休むべきだ」
オートクルーズ機能があるからこそ最低限のクルーで運用する事が可能だが、クルーへの負担は必然的に大きくなる。ビアンの疲労を考え休めと言いに来たグライエンにビアンは肩を竦めて苦笑する。
「……お前にそこまで言われるほどに疲弊しているか」
「酷い顔をしているぞ、まだこれからなのだ。今は無茶をするときではない、先に休息に入ってくれていたバン大佐がもうじきブリッジに上がってくる手筈になっている」
「分かった……それならば休ませてもらう事にしよう」
バン大佐ならば自分の代わりに指揮を取れると判断したビアンはやっと艦長席から腰を上げて立ち上がる。だが疲労と疲弊によってふらつくビアンをグライエンが慌てて支える。
「大丈夫か!?」
「……流石に少し疲れたな……少しは明るいニュースもあれば話は違うんだがな」
ダイテツとキョウスケが一命を取り留めたと言っても予断を許さない状況だ。それに出撃出来る機体は極僅かしかなく、発見されれば誰かを犠牲にしなければ生き残れないと言う状況は精神的な疲弊を蓄積させる。
「いやすまないな、泣き言だった」
「構わない、弱音を吐くなとは言わんさ、とりあえず今は休め、目が覚めれば少しは状況が好転しているかも知れん」
根拠も何もない、正直気休めに等しいグライエンの言葉だ。それはビアン達も分かっているが、根拠のない希望に縋りたくなるほどにビアン達は追詰められていた。
「そうだな……それにまだ私達にはやらねばならん事がある」
「出来ればもっと効果的な場面で札を切りたかったが……そうも言ってられないからな」
偽のビアンを捉えてから鬼の存在を公表したかったビアン達だったが、ここまで大々的に百鬼帝国が動き始めたことを考えれば悠長な事を言っている時間はない。
「ビアン総帥、休んでください。ここは私に」
「すまないバン大佐、後は頼む。グライエン、悪いが肩を貸してくれ」
「構わんさ、こんな肩で良ければ幾らでも貸そう」
もう歩くのも辛い様子のビアンにグライエンが肩を貸してブリッジを後にする。
「流石グライエンだ、リリー中佐でなくて良かった」
「それは本人には言わない方が良いな、彼女はとても生真面目だが融通が聞かないからな。それより行こう。時間がない」
私室ではなく資料室に向かうグライエンにビアンは笑みを浮かべるが、グライエンはふうっと業と聞こえるような大きな溜め息を吐いた。
「協力してくれるんじゃないのかね?」
「どうせ1人にしても作業するなら1人より2人の方が早い、部屋で倒れられては困るのだよ」
「なら2人より3人だね、僕も協力しよう」
「ブライアン……出来るのかね?」
「出来るともさ、人の心を動かす演説は僕の得意分野だよ。ビアンのジャミングだって完璧じゃない、百鬼帝国に先に動かれると面倒だ」
先手を打ち流れを作る、その為の衛星へのハッキングであり全世界放送を妨害しているうちに百鬼帝国の存在を明らかにする。異星人の襲撃に未知の敵勢生物がいる中での公表はリスクの方が大きい、だが連邦に強い発言力を持つブライが動く前に手を打たなければ、今度は分断された上で罠の中に誘い込まれれば、次も全員が無事などという奇跡が起きるとは思えない。
「主導権を握らなければならない、連邦自体も少し分を弁えさせておくとしよう」
「OK-僕も乗るよ、最近の上層部は随分と好き勝手してるしね、1度凹ませておくとしよう」
「仕方あるまい、それが1番堅実な一手だからな」
連邦に泥を被せる事になるが、泥を被るのは一部の上層部とそいつらにとって都合の良い部隊だけだ。
「こういう時にシャイン王女がいてくれて良かったとおもうよ」
「一応彼女、国家元首なんだけどね……なんで戦場に居るのさ」
「あれだ、恋する乙女は止められんという事だ」
上層部は握り潰しに入るだろうがシャイン王女がいることで発言の信憑性は著しく高まり、そしてそこに武蔵も加わる事で武蔵の事を隠蔽していた上層部へヘイトが向かうことになるだろう。
「連邦軍を敵に回す事になるけど良いのかい?」
「元から敵だ、信用していない」
「余りにもハガネの戦力を削ごうとしているからな、上層部は敵認定して良いだろう」
呆れた顔をしているブライアンだが、ビアンとグライエンの気持ちも分かるので2人を止める事は無く2人と共に資料室へ足を向けるのだった……。
整備兵がフル稼働で少しでも機体の修理に務めている中。細かい微調整が必要なフェアリオンとビルドビルガーのパイロットであるラトゥーニとシャイン、そしてアラドの3人は整備兵に呼ばれて格納庫に訪れていた。
「……キアアアアアアアー」
「■▲☆!!!」
「もうだめだ……おしまいだあ……」
「ウソダドンドコドーンッ!!!!」
「フウウウウ――ッ!!! ぶっ壊れてやがるゼッ!!!」
「一週回って楽しくなってきたわねッ!!!」
「え、これ好きに改造して良いんですか!? やったぜッ!!!」
「うおおおおおんッ!!! ラルちゃんの最高傑作がアアアアアアアア――ッ!!!」
死屍累々の地獄絵図を見たシャインとアラドはラトゥーニに思わず視線を向ける。
「整備兵はずっとこんな人達だよ?」
「……ずっとかぁ……そっかあ……手遅れだったんだな」
「世の中凄い人達が居ますわね……」
元々機械オタクのような人間が整備兵になっているのだ。整備兵として活動している間に手遅れになってしまっていても決して不思議ではないが、ほぼほぼ全員が荒ぶる整備員になっているのは如何な物だろう。
「とりあえずビルガーの整備を……あ……」
「アラド、どうかした?」
ビルガーの固定されているハンガーを探していたアラドがあっと呟き、動きを止めラトゥーニがどうかした? と尋ねる。
「いや、俺がさ、ノイエDCに居た時に面倒を見てくれていた人が居たんだ。ユウキって言うんだけど」
「ハガネに居るって事はビアン博士の一派の人だと思うけど……」
「スパイだったと言う事ですか……どうしますか? 話を聞いて見ますか?」
ユウキに話を聞けばゼオラの事も分かるかもしれないと言う希望はアラドにもあったが、アラドは首を左右に振った。
「本当に良いの? ゼオラの事が分かるかもしれないよ?」
「確かに気になるさ、だけど今は俺達に出来る事をやらないとな」
特機は百鬼獣との戦いでほぼほぼ大破、急ピッチで修理を行なっているが戦闘に参加できるレベルになるまでは相当な時間が掛かる。百鬼獣相手では力不足が否めないがPTも対百鬼獣用にチューンナップすれば1体の百鬼獣に対してかなりの数を充てる必要があるが、倒せない事はない。
「それにブリーフィングルームで今後の話し合いもあるって聞いてるから、その時にでも聞くよ」
「……分かった、アラドがそう言うなら何も言わない。私達に今出来る事をしよう」
「そうですわね。正直かなり厳しい事になると思いますが……「無理ぃ!!!」……武蔵様?」
無理という武蔵の叫び声が聞こえ、シャインは話を中断して声の方に視線を向けるとゲットマシンから武蔵が這い出てくる姿が見えた。
「ラトゥーニ、アラド……その」
「行きましょう。武蔵があんな事を言うの珍しいですし」
「ちょっと流石に心配だよな」
自分達の機体のメンテもあるが、武蔵の反応が心配で3人が武蔵の方に足を向けるとすぐに異変に気付いた。
「……暑い」
「かなりの暑さですわ……」
「うへえ……こりゃきついわ」
アラドは制服のボタンを開けたが、ラトゥーニとシャインは流石にボタンを外すわけには行かず、ハンカチで汗を拭いながら武蔵のほうへと歩みを進める。
「無理か?」
「無理。暑すぎるし、なんかこう操縦系統が違うんだよなあ」
ゲットマシンはゲットマシンだったが、それはラドラが鹵獲したゲッターザウルスのゲットマシンであり、武蔵は格納庫の床に座り込んでスポーツドリンクを口にしようとし、ラトゥー二達の姿を見て慌てた様子で立ち上がる。
スポーツドリンクを口にしようとし、ラトゥー二達の姿を見て慌てた様子で立ち上がる。
「あぶねえからこっちに来ちゃ駄目だ! オイラが行くから離れろ!!」
武蔵の怒声にラトゥーニ達は慌てて離れ、しばらくすると首からタオルを下げた武蔵がゲットマシンのほうから歩いてきた。
「悪いな怒鳴っちゃって、怒ってたわけじゃないからな」
「いえ、武蔵様が心配してくれたのは分かりますが……何が危なかったのですか?」
「おう、ゲッターD2が動かないからさ、代わりにオイラがゲッターザウルスに乗れないかなって思って試してたんだよ」
さらりと武蔵は告げたがゲッターD2が動かないという言葉にラトゥーニ達の顔が凍りついた。今の最大戦力は間違いなくゲッターD2で、それが動かないと聞けば流石に動揺を隠しきれない。
「エネルギー切れがやっぱり?」
「まぁなぁ、ストナーサンシャインぶっ放しちまったしな」
「ストナーサンシャイン? もしかしてあの最後の技の事? そんなにエネルギー消費が激しいの?」
空間の裂け目と異形のドラゴンに向かって放たれたエネルギーの塊の事を思い出したラトゥーニがそう尋ねる。
「おう、ゲッターの切り札みてえなもんの1つだな、エネルギーを全部集束して撃ち込むんだよ。破壊力は見ただろ? 北米の地形を変えちまうくらいすげえもんさ」
圧倒的な戦闘能力を持つゲッターロボの切り札――地形を変え、周囲を吹き飛ばすほどの圧倒的な破壊力を見れば切り札というのも納得だ。
「ではゲッターは動かせないのですか?」
「んー全力戦闘は無理だけど明日には動くと思う」
「「「え?」」」
エネルギーが回復するのに1年はかかると以前シキシマが言っていたのに、武蔵は1日で動くと言うのでシャイン達が驚いた表情を浮かべる。
「ゲッター線を吸収したからさ、余裕はあるんだ。だけどそれを全身に回すのに1日かかるって感じらしいわ、オイラにゃ分からんけどさ。それでも百鬼獣が出てきたら不味いと思って乗れるのないかなーって思って、ゲッターザウルスを試したんだけど駄目だな、操縦系統が全然違うから操縦できねえわ。ほかにもゲッターVとか、ネオゲッターとゲッタートロンベもあるし、ほかに乗れる機体はいくらでもあるから大丈夫だけどな」
武蔵は大丈夫だと笑うが、武蔵ではない武蔵の姿に異様なゲッタードラゴンの姿を思い出し、一抹の不安を抱かずにはいられなかった。
「武蔵様、これから私の機体のメンテナンスがあるのですが、良かったら一緒に来てくれませんか?」
「ん? おう、良いぞ。行こう」
「良かったですわ、行きましょう」
「とっと、そんなに引っ張らなくても大丈夫だぞ?」
ゲッターから引き離すように武蔵の手を引いて歩き出すシャイン。武蔵からはその表情は見えないが、シャインの顔には強い焦りが見えていてラトゥーニとアラドにはゲッターを恐れているように見えたのだった……。
出撃可能なパイロットは現状極めて少ないと言わざるをえない。負傷者も多く、食事を取れる状況ではなく点滴で栄養を取っている者も多い。
「出撃可能なパイロットはこれだけか……」
「これだけとは言えんぞ、あれだけ派手に敗走してこれだけ残ってると言う事に感謝するべきだ」
部隊の編成をしているイングラムとカーウァイの2人は出撃可能な面子の少なさと、あれだけの敗走で死者が殆ど出ていない事と少数ながら部隊を展開出来る事に安堵していた。
「ゼンガー、レーツェル。悪いが数日はお前達は出ずっぱりになる、負担を掛けるが頼んだぞ」
「承知」
「お任せください」
特機の中で出撃可能なダイゼンガーとアウセンザイターを主軸に、PT隊はその支援に回すというのが今のカーウァイ達の最善手だった。
「イングラムはあの姿のR-SWORDを使わないのか?」
「使っても良いが、あれは因果を乱す……短時間なら良いが長時間は不味い」
因果を乱す……それはイングラムとギリアムの2人が恐れている事象を指している。
「世界の崩壊を早めると?」
「いや……別の世界の住人を呼び寄せかねない、戦闘に使うなら最大でも5分だ。それ以上は危険だ」
「となると主軸に据えるのは厳しいか、使うなら短期決戦の殲滅戦か」
「ああ、それがベストだろうが……俺はあれは余り使うべきではないと思っている」
イングラムがそう言うと同時に音を立てて扉が開きギリアムもその通りだと賛同する。
「もしもR-SWORDが変異したのが原因で武蔵が変化したのならば、いや、もっと言えばあの異形のドラゴンを呼び寄せたのならば容易に使うべきではない、これ以上敵が増えるリスクは避けるべきだ」
悪魔そのものの姿を見ればあの姿が人知を超えた存在であると言うのは明らかであり、イングラムとギリアムが使うべきではないと言うのにもゼンガー達も納得だった。
「カイとギリアムはこの後少し付き合え」
「は! しかし私には乗れる機体がありません、お役に立てるとは……」
量産型ゲシュペンスト・MK-Ⅲや、ガーリオンなどでは力不足だ。自分は役立たずと言いかけるカイだったが、カーウァイの獰猛な笑みを見て黙り込んだ。その顔はゼンガー達が知っているカーウァイの顔だ、人間やって出来ない事はないと否定や拒否を許さない悪魔の笑み。
「乗れる機体がない? 何を言っているカイ。あるじゃないか、飛びっきり物が」
「あー俺のグルンガストですかい? カーウァイ隊長。別に使うなら構いませんが」
「馬鹿を言え、戦力を減らしてどうする? ゲッターD2が動かないから武蔵が空いている。武蔵が乗れる機体はゲッターしかないからな」
ゲッターしかないと言う言葉に回れ右しようとするギリアムの肩をカイが後から掴んで止める。
「カイ……後生だ。勘弁してくれ」
「駄目だ、俺と一緒に地獄に落ちろ」
ギリアムを逃してなるものかと力を込めるカイはゼンガー達も見た事が無いほどに必死な物だった。
「ゲッターロボに乗れるようになってもらう、ゼンガーとレーツェルは1週間かかったが、今はそんな時間がない。今日1日で乗りこなしてもらう」
「「……了解」」
断る事のできない死刑宣告にカイとギリアムは敬礼し、ゼンガー達は心の中で南無と呟き2人を連れていくカーウァイを見送る。
「さてと編成だが」
「……この流れで話を進めるか?」
「仕方あるまい、時間が無いのだからな」
死地に連れて行かれているカイとギリアムを無視して話を進めるイングラムだが、言っている事は正論であり反論も無く作戦会議が続行されるのだが……。
「やはり補給の目処が立たないのが問題だな」
「ああ、それに整備が複雑な機体も多い……それらを解決する術が必要だ」
多くの負傷者と搭載機の多くが大破している。それらを整備・修理する人員、物資に加えて出撃可能な機体も補給の目処が立たず非常に苦しい状況へ追い込まれていた。だがそれを解決するべくある男が動いていた。
龍虎鬼皇とゲッターD2の戦いの余波で甚大な被害を受け、シャドウミラーの強襲と続けて襲撃を受け基地機能が停止していた伊豆基地がやっと復旧したその日に司令部に突如緊急アラートが鳴り響いた。
「何事だ!?」
「重力振反応と転移反応です! 司令部の正面に現れます!」
重力振と転移反応というオペレーターの言葉にレイカーの顔が鋭く引き締められた。
「グランゾン……ッ!」
群青の装甲を持つ重力の魔神とそれを操るシュウの来訪にレイカーの脳裏に一瞬最悪の予想が過ぎる。
『レイカー司令、ダイテツ中佐達の事で大事な話があってまいりました。少しお時間宜しいですか?』
だがシュウは敵対行動を見せず、連絡が取れなくなっているダイテツ達の事で話があると告げた。
「司令、罠かもしれませんぞ」
サカエがレイカーに罠かも知れないと進言する。確かにレイカー達とシュウの間には浅からぬ因縁がある。シロガネの轟沈にDC時代にビアンと共謀し、連邦軍に多大な被害を与えた事を考えれば信用していい相手ではない……少し考えてからレイカーはシュウへと返事を返した。
「……構わない、どこで話をする」
音信不通のダイテツ達の近況を知るため、そして今シュウの申し出を断れば孤立しているダイテツ達を助ける術がないと判断したレイカーは不安を感じながらもシュウの話を聞くことにした。
『司令部に窺わせていただきます』
「……分かった。待っている」
拒否出来る状況ではないとレイカーはシュウの申し出を受け入れる事になったのだが、このレイカーの決断がテツヤ達を救う事になる。
「夏喃、君の要求は通らないよ、帰りたまえ」
「何故だ、孫光龍ッ! ゲッター線を使う不躾な物を破壊しに行く事が何故許可されないッ!」
ダイゼンガーとアウセンザイターを襲撃するつもりだった夏喃は許可を出さないという孫光龍に詰め寄るが、孫光龍は口元に笑みを浮かべ、睨みつけている夏喃の殺気を完全に受け流していた。
「ダイゼンガーとアウセンザイターだったけ? 中々頑張ったじゃないか、だから様子見だよ」
「頑張った!? あれほど無様な戦いをしてもか!? ゲッターは絶対の守護者で無ければならないんじゃないのかッ!」
「勿論そうさ、だけどね。それだと武蔵にだけ負担を掛けるだろう? タツヒトの二の舞は避けなければならない、これは泰北も同意見だ、分かったら帰りたまえ」
シッシと手を振られ、夏喃は肩を怒らせて歩き去っていった。
「やれやれ、いつまで経っても気が短い奴だ」
「それもまたあやつの善き所よ、ワシらは感情の起伏が緩やかになっておるからの」
仙人になってもなお激情家の夏喃を是とする泰北に孫光龍は肩を竦めた。
「見極めると言ったが、それはいつまでじゃ?」
「ああ、僕には僕の考えがある。まぁそこまで遠くない内にとだけいっておこうかな」
飄々とした態度の孫光龍に泰北に目を細めた。
「擬似超機人を作るのは良いが、あやつの怒りを買うぞ?」
「……まぁ良いじゃないか、人間に少し力を貸すのもさ」
修復されている雀武王の隣には結界で隠された雀武王に似た超機人の姿があった。だが雀武王と比べると機械的なそれはバラルが回収していた鋼機人を改造して作り出した雀武王のレプリカだった。
「試練という鞭を与えたら、手助けという飴だろう?」
「なるほどなるほど善哉、善哉」
カッカッカと笑って歩き去る泰北の背中に鋭い視線を一瞬向けた孫光龍だが、その剣呑な雰囲気は一瞬で消えてまたいつもの飄々とした仕草が戻ってくる。
「まぁ僕も反対なんだけど、女神様がいうなら仕方ないじゃないか。やれやれ、さっさとダイゼンガーとやらを壊したいんだけどなあ」
夏喃を窘めた孫光龍ではあるが、その実孫光龍もダイゼンガーとアウセンザイターには腹を立てていたのだが、女神に駄目だと言われたらしょうがないと肩を竦める。
「大邪に皇帝も何とかしないといけないっていうのは分かってるけどさあ、ちょっと腑に落ちないよね」
バラルの仮想敵にゲッターエンペラーまで加えている女神に納得出来ないとしつつも、最終的な決定権はまだ女神にある以上仕方ないと呟いた孫光龍の姿も何時の間にか消え去っていた。バラルもまた1枚岩ではなく、大きな亀裂が出来つつあった。そしてそんなバラルと対抗する為に動いている2人だけのオーダーはと言うと……。
「あーくそ、文献も見難いんだよ!」
「はいはい癇癪しない、頑張って読み解いて探しましょうよ。亀と龍をね」
「……本当に今も存在してんのか? 霊亀皇も魁龍も」
「あると思った方が人生楽しいですよ? 希望を持って頑張りましょうよ」
かつてのバラルとオーダーとの戦いで失われた筈のバラルの旗艦「霊亀皇」そしてオーダーの旗艦である「魁龍」を捜し求めて、文献を読み解いているのだった……。
第188話 敗走 その2へ続く
と言う訳で今回も話が動きませんでしたが、ゲームで言う所の乗り換えイベント的な物をベースに考えて見ました。
ゲームで言えば今回ので武蔵・カイ・ギリアム・ラドラ・コウキでゲッターVとかに乗り換え出来るようになると言ったイベントですね。次回はエクセレン離脱に向けてと、ビアン達の演説を入れて行こうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。
PS
SSRセレクト交換は未所持の
グレートブラスターと拡散構造相転移砲
にしました。
視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか
-
サイドまたは視点は必要
-
今のままで良い