第190話 愛する者の為に その2
ラミアと話をしている途中に急激に意識が遠くのを感じたエクセレンは、気がついたらヴァイスリッターのコックピットに座っていた。
「……ここは……『お待ちしておりましたの、エクセレン』……そう、そういう事なのね。ラミアちゃんには悪い事をしたわね」
自分がどこにいるのか分からず困惑していたエクセレンだったが、脳内に響いたアルフィミィの声に自分が何故ここにいるのかを理解し、真剣に相談しようとしていたラミアに悪い事をしたわねと呟きながら指をコンソールの上に走らせる。
(……駄目ね、通信は無理か)
救難要請を出そうとしたが、当然アルフィミィがそれを許すわけも無くジャミングによってハガネに連絡を取る事も難しく、ラングレー基地の戦いでの損傷を考えれば救援が来る可能性も窮めて低かった。
「それでアルフィミィちゃんは私に何のようなのかしら? こんな所に態々呼び出して、そっちも大分しんどいんじゃない?」
ペルゼイン・リヒカイトの装甲の一部は融解しており、ラングレー基地で見た強化態……背中の翼も肩部の副腕も消失しており、今の姿は初めてエクセレン達がペルゼイン・リヒカイトに遭遇した時の物と殆ど同じだった……違う点があるとすれば、胴体や肘が鋭利になっており、意図的に翼や背中の副腕を隠しているようにも見える。
『お互い様ですの、少々龍神のゲッター線は強すぎましたの』
お互い様とのアルフィミィの言葉にエクセレンは顔を強張らせた。お互い様と言うがヴァイスリッター改のダメージは深刻であり、本来の機動力は期待出来ない。ラングレー基地で酷使したオクスタンランチャー改は装備しておらず、武装はパルチザンランチャーを装備しているが、カスタムタイプではなく汎用装備の物でありペルゼイン・リヒカイトに対しては余りにも火力が貧弱である。只でさえ薄い装甲はチョバムアーマーで仮修理を施されているだけであり、恐らく一発でも被弾した段階でヴァイスリッター改は撃墜されるような最悪のコンディションだった。幾らエクセレンのパイロットとしての腕前が優秀でも、この状態の機体でペルゼイン・リヒカイトと戦うのはただの自殺行為だった。
「それで? 私も無茶できるわけじゃないから帰してくれるなら帰して欲しいんだけど?」
『それは駄目ですの、大事な用があってお呼びしたんですのよ?』
駄目元で帰してくれないか? と問いかけたエクセレンだが、当然アルフィミィの返答はNOであり、ヴァイスリッター改のコックピットでエクセレンは深い溜め息を吐いた。
『迎えに来ましたの、エクセレン』
「私を迎えに? 何の為に」
『エクセレン……貴女は私、私は貴女ですの』
「何を馬鹿な……とは言えないのよね……本当に貴女は何者なのよ?」
エクセレンは自分だと、そして私はエクセレンだと言うアルフィミィの言葉に、何を馬鹿なとは言えなかった。本能的、それとも魂の部分とでも言うべき部分で、エクセレンはアルフィミィと深い繋がりがあるのを感じていた……それはレモンに感じたのと似通って、シンパシーと言える何かを感じていた。
『……それを説明するのは難しいですの、でも……分かる筈ですの?』
「まぁ……分かるっちゃあ分かるんだけど……他に言える事はないの?」
口で説明するのは難しいというアルフィミィの言葉もエクセレンには分かっていた。それでも時間稼ぎという目的で敢えて問いかけると、アペルゼイン・リヒカイトはまるで少女のような素振りで首を傾げた。
『……私はエクセレン、貴女とキョウスケが欲しいんですの』
「……キョウスケが欲しいって……じゃあやっぱりラングレーに来たのは……」
『……成り行きがあって戦う事になりましたが……私としては助けに来たつもりでしたのよ?』
何を馬鹿なと思うかもしれないが、アインストは確かに百鬼獣とシャドウミラーの無人機、そしてインベーダーを主な敵としていた。攻撃されたので反撃してきていたが、積極的にハガネ達に攻撃する事はなかった事をエクセレンは思い出した。
「助けてくれたのは嬉しいけど……でも今はそうじゃないのよね?」
『……そうですの♪ 本当はキョウスケも呼びたかったのですが……今呼んでしまうと死んでしまうかもしれないので……先にエクセレンをお迎えしようと思いましたのよ?』
「私はそっち系の趣味はないんだけどなあ……」
冗談のつもりで同性愛の趣味はないと言うエクセレンに対し、アルフィミィは楽しそうな笑い声を上げた。
『……私はキョウスケを愛するように、エクセレンも愛してますのよ?』
「え? バイなの?」
『……多分そうだと思いますの、でも……今迎えに来た目的は違いますの。キョウスケの命の炎はしっかりと燃えてますので、だから死ぬ事はありませんの……安心して大丈夫ですのよ?』
「でも変わりに私を殺すんじゃないの? 死んでも生き返るとか言ってなかった?」
死んでも生き返るから大丈夫と繰り返し言っていたアルフィミィに大丈夫しかないと言われても不安しかない……それにエクセレンはピリピリとした雰囲気が頬を伝うのを感じ、これ以上の時間稼ぎも難しいと悟った。
『……エクセレンとおしゃべりするのは好きですのよ? だからもーっとゆっくりお話しましょう。そして2人でキョウスケを迎えに行きましょう?』
「……あら、もっとゆっくりしてくれても良いのよ? それに貴方がこっちに来るっていうのはどうかしらん?」
『うふふふ、私邪魔されるの好きではありませんの……だから1回おしゃべりは終わりましょう? エクセレン』
雰囲気が変わって行くのを感じエクセレンは覚悟を決めてヴァイスリッター改に駄目元でパルチザンランチャーを構えさせる。そしてそれと同時にペルゼイン・リヒカイトもオニレンゲを異空間から引き出してゆったりと構えた。
「悪いけど、私はそっちに行くつもりはないわ」
『……構いませんのよ……無理にでも連れて行くだけですの、貴女の意志は関係ありませんですの♪』
無邪気の中に隠れている狂気……そして狂気の中にもある好意、相反する感情を隠すつもりもないのか、向き出しの感情を叩き付けてくるアルフィミィに恐怖を感じながら、エクセレンはたった1人でペルゼイン・リヒカイトとの戦いに身を投じる。どれほど恐ろしくてもエクセレンは戦える……全てはキョウスケの為だ。アルフィミィは確実にこの後にキョウスケを狙う……ほんの僅かな時間稼ぎで良い、キョウスケが目を覚ますまでの僅かな時間で良い、それを稼ぐ為にどれほど絶望的な状況であっても、エクセレンは恐怖に屈する事無く戦う事が出来るのだ、愛する者を守る為に……。
アースクレイドルの製造ラインは現在シャドウミラーが提供したアシュセイバー、ランドグリーズ、アースゲイン、エルアインス等の製造を停止し、別の機体の製造を行なっていた。
「アードラーに今だけは感謝しても良いな」
「あんな男に感謝する必要があるのかい? パパ」
製造ラインを見ていたイーグレットにウルズがそう声を掛ける。
「ウルズ、来ていたのか。すまないな、考え事をしていた」
「構わないよ、パパ。それよりも……あれは本当に役に立つの?」
ウルズの視線の先は製造ラインに乗っている機体……量産型ゲッターロボGの骨組みがあるが、ウルズの視線は懐疑的だ。
「確かにゲッター炉心を詰んでいないゲッターロボGは戦力としての価値はそうない。マシンセルを搭載したとしてもだ」
「じゃあなんで作っているの?」
「勿論それはマシンセルを投入するためだ」
「……?」
ウルズは貴重なオリジナルであり、イーグレットはウルズの育成に余念が無い。自分で考え疑問を口にするウルズの頭をイーグレットは優しく撫でる。
「ゲッター炉心は貴重な物であると同時に危険な物だ、容易に使えばどんな想定外を引き起こすか想像も付かない、だが恐れていては折角の宝も持ち腐れになる。データを得るためには、多少のリスクは承知でそれを使う必要もあるのだよ。アンサズやスリサズに先行試作型の量産型ゲッターロボGにマシンセルを投入した物を与える。ウルズよ、2人の監視として付いてくれるな?」
「それは構わないけど……出撃命令は出ていないよ?」
「分かっているさ、だがアウルム1達が偵察に出る。これは何かあると考えている。何もなければそれで良いが……頼めるな?」
疑問系だが、ウルズはイーグレットの頼みを断れない。それに頼られていると言う実感がウルズの頬を緩ませる……作られた存在であれどその仕草は人間そのものであり、コーウェンとスティンガーの技術提供によって完成したマシンナリーチルドレンの完成度は、イーグレットから見ても満足行くものだった。
「では任せたぞ、ウルズ」
「うん! 任せてよパパ」
胸を叩いて出て行くウルズを見送り、イーグレットの視線は再び製造ラインへと向けられる。
「アンサズとスリサズは替えが効く、最悪次のナンバーの製造を考えるか」
1度破棄し、作り直したアンサズとスリサズにベルゲルミル・タイプDを与え、これでも負けるくらいならアンサズとスリサズには期待は出来ないかとウルズに向けていたのは違い冷酷な笑みを浮かべ、出撃していくベルゲルミル・タイプGと2機のタイプDを見送るのだった……。
白刃が煌き、高出力のビームを真正面から両断する。両断されたビームが背後の海面に着弾し水柱を上げる音を聞きながらアルフィミィはペルゼイン・リヒカイトを操り、飛んで来たミサイルを素手で掴んで爆発させる。
『……やっぱ駄目か』
フルパワーのビーム、スプリットミサイルによる煙幕を重ね、背後を取ったヴァイスリッター改だったが、ペルゼイン・リヒカイト……いや、アルフィミィはそれに惑わされる事無く、ヴァイスリッター改の姿を捉え、既に臨戦態勢に入っていた。
「いいえ、今のは良い線行ってましたのよ?」
フルパワーモード、そしてスプリットミサイルを目隠しにし、背後に回るというエクセレンの考え自体は悪くない。惜しむらくはアルフィミィ、そしてペルゼイン・リヒカイトの圧倒的な反応速度にあった。
「その機体で良くやりますの」
『愛は無敵って知ってる?』
からかうようなエクセレンの言葉にアルフィミィはむうっと口を細めた。アルフィミィが求めてやまないもの……それを持っているエクセレンが恨めしかった、何故同じ存在の筈なのに自分とこうも違うのかと僅かな嫉妬心を抱く、だがアルフィミィは決して感情的になる事は無く、冷静さを保っていた。
「……それを知る為にキョウスケとエクセレンが欲しいのですの」
『愛は拘束する物じゃないのよ? アインストなんか止めてこっちに来なさいな』
オニレンゲの一撃を舞うように回避し、6連装ビームキャノンを放とうとするが……その左腕からビームが発射される事は無かった。
『ッ!?』
そもそもヴァイスリッター改も大きな損傷を受けていたのだ、そんな状態で戦闘を行なう事体が無謀でありむしろ今まで良く持ったと言うべきなのだ。6連装ビームキャノンの砲身が吹き飛びヴァイスリッター改の動きが一瞬硬直する。
「……ふふふ、その手癖の悪い左腕をまずは貰いますの」
『きゃあッ!?』
一瞬の閃光が走りヴァイスリッター改の左腕が宙を舞い、それが爆発した事でヴァイスリッター改は大きく姿勢を崩した。
「……ッ! うう……本当にその有様で良くやりますの……ッ」
これが好機とエクセレンを捕らえようとしたアルフィミィだったが、上空から急降下して来たパルチザンランチャーBモードの弾頭に背中を撃ちぬかれ、たたらを踏んで動きを止める。
『はぁ……はぁ……そう簡単に私はやられないわよ……アルフィミィちゃんッ』
今のエクセレンは手負いの獣だ、本来のお調子者の仮面すら脱ぎ捨てて本気でアルフィミィを倒そうとしている。
「……愛、愛ですの……私もそれが欲しい……だからまずは……エクセレン、貴女ですのッ!」
『だからなんでそこで私が欲しいってなるのよ!』
パルチザンランチャーの散弾がペルゼイン・リヒカイトの装甲を抉るが、自己再生能力によって受けたダメージは即座に修復し、逃げに回るヴァイスリッター改をペルゼイン・リヒカイトは執拗に追い回す。
「……キョウスケはエクセレンが好きですのよ、なら私がエクセレンになればキョウスケは私は愛してくれますの」
ゲッター炉心を得て人間に近づいても、アルフィミィの考え方はアインストだ、アインストの考え方しか出来ない。キョウスケが欲しい、でもキョウスケは自分を見てくれない、ならキョウスケが見ているエクセレンになればいい。じゃあエクセレンになるにはどうすれば良いかと考え、エクセレンを取り込もうと考えたが、アルフィミィはエクセレンも好きなのでエクセレンが消えてしまうのは困る。
「……足りない部分を貰いますの、貴女から……そうすれば私はエクセレンになれますのよ?」
『……アルフィミィちゃんに何が足りないのかは分からないけど……アルフィミィちゃんは私にはなれないわよ』
「……いいえ、なれますの。だって私はエクセレン、エクセレンは私ですの! 私に足りない物をエクセレンは持ってる、エクセレンにもってない物を私は持ってる、交換ですのよ」
半壊したヴァイスリッター改は完全に勢いの乗ったペルゼイン・リヒカイトを止めることは出来ない。パルチザンランチャーも右腕1本では保持しきれず、反動の少ないビームを放つが、反動が少ない分威力も乏しいビームではペルゼイン・リヒカイトの突撃を止めるのには至らない。
「……まずは邪魔なそれを貰いますのッ!!」
白刃が煌きパルチザンランチャーの砲身が両断され、それを見てエクセレンは咄嗟にパルチザンランチャーを投げ捨てようと操縦を行なう。
『反応が鈍いッ! くううッ!!!?』
辛うじて投げ捨てたが、ここで損傷のツケが回って来た。エクセレンの操縦からかなりのラグの後、ヴァイスリッター改はパルチザンランチャーを投げ捨てた。至近距離の爆発は回避したが、それでもヴァイスリッター改の右肘から先は爆発に飲み込まれて吹き飛んだ。両腕を失い、辛うじて浮遊している状態のヴァイスリッター改のコックピットの中でエクセレンは頭を振り、失いそうになる意識を必死に繋ぎとめるが……それは最早無駄な抵抗だった。両腕を失い、武装はスプリットミサイルのみ……そんな状態のヴァイスリッター改では、ペルゼイン・リヒカイトと戦うのは勿論逃げることすら不可能だった。
『くっ!! なんか段々分かって来たけど……随分と趣味の悪いことをするわね!!』
アルフィミィの激情、そしてエクセレンが感じているシンパシー、キョウスケへの執着……戦いの中でエクセレンはうっすらとアルフィミィの正体に気付きかけ、アルフィミィはそれを言わせまいと一瞬で間合いを詰めた。
「……エクセレン、一緒に行きましょう」
もう抵抗できないヴァイスリッター改の頭部をペルゼイン・リヒカイトが掴み、自爆なんてさせないように至近距離の思念波でエクセレンの意識を刈り取る。
『……ごめ……キョ……ケ』
カメラアイから光が消えたヴァイスリッター改をペルゼイン・リヒカイトがその両腕で抱きとめる。
『しょ、少尉!!』
『アルフィミィッ!! エクセレン少尉を返しやがれッ!!』
エクセレンの必死の時間稼ぎは後ほんの少しだけ足りなかった……後ほんの数分耐えれれば結果はまた違っていただろうが、幸運の女神はアルフィミィに微笑んだのだ。
「……御機嫌よう、キョウスケに伝えてくださいの、今度は2人で迎えに行きますのと」
戦う事も出来たが、アルフィミィはエクセレンを連れ帰る事を優先した。そしてペルゼイン・リヒカイトがヴァイスリッターを抱き抱えていることで攻撃が出来ないR-1やフェアリオンを見つめたアルフィミィは勝利を確信した笑みを浮かべ、キョウスケに伝言を伝えるようにとリュウセイ達に告げ転移でその場を後にするのだった……。
エクセレンが飛び出して行き、すぐにリュウセイ、ラトゥーニ、シャイン、アラド、マサキ、リューネ、リョウト、リオ、マイ、アイビス、スレイの11人は出撃したが、エクセレンがどこに向かったのか分からず分担して捜索に向かうことになった。その理由はヴァイスリッター改の移動した痕跡が無く、スペリオル湖からどこへ向かったのか分からず、予想される進路で2人ずつ分かれて捜索を行う事になったのだ。その道中で戦闘反応を感知して、リュウセイとラトゥーニ、そして2人と近い範囲を捜索していたアラドとシャインの2人の計4人が戦闘区域に辿り着く事が出来たが一歩遅かった。
『くそッ!! 追いきれなかったッ!!』
『アルフィミィに連れ去られて……ッ』
半壊したヴァイスリッター改を抱き抱えて空間の裂け目に飲み込まれるようにして消えていったペルゼイン・リヒカイト。後ほんの少し早ければ救出出来たかもしれなかった事にリュウセイは叫び声を上げ、シャインは苦しそうに眉を顰めた。
「2人で迎えに行くって……まさか……」
『最悪の結果が考えられる……キョウスケ中尉になんて言えば……』
2人で迎えに行く……武蔵達から聞いていたアインストの生態。それを考えればアルフィミィに連れ去られたエクセレンがどうなるのか……最悪の結果即ちアインストにされる可能性があった。
『ビーコンを! マサキ達をこっちに呼んで……なんだッ!?』
『敵機反応……ッ! 私達と同じでエクセレン少尉の戦闘反応を感知されたんだわ』
『くそッ! そんなことをしている場合じゃねえって言うのにッ!!』
今ならばまだエクセレンを助けれるかもしれないという状況での敵機の熱源反応にアラドが声を上げた、熱源反応の方にビルトビルガーを反転させ、次の瞬間にアラドの怒りは急速に冷えた……。
「ぜ、ゼオラ……ッ!!」
数体のエルアインス、鳥獣鬼の後に黒い外套を身に纏ったビルトファルケンの姿を見つけ、アラドの胸中にやっと、やっとまた会う事が出来たという喜びが広がる……だがエクセレンの事もあるのにゼオラに気を割いている時間はない……救えるかも分からないゼオラよりも、今はエクセレンを優先するのが正しい筈だ……自分の事よりもエクセレンの事を優先するのが1番の正解だと分かっている。
『アラド! ビルトファルケンを「撃墜するんですよね……」撃墜!? 何言ってる! 今度こそ助けるんだよッ!! やる前に諦めんなッ!!』
「え? 撃墜じゃ……それにエクセレン少尉だって」
リュウセイからの撃墜の指示だと思ったアラドは驚きに顔を上げる。
『まだエクセレン少尉がアインストになるって決まったわけじゃねぇ! やっと見つけたんだろッ! 今度こそ取り戻すんだよッ!!』
『……これが多分最後のチャンス……次はない、今度こそゼオラを取り返そう』
『時間はありますわ! 3分……いや……4分ッ! 4分の間は百鬼獣の増援はありませんわ! 男ならこの4分で決めるんですわッ!!』
「リュウセイ、それにラトゥーニ、シャイン王女……ああ、言われるまでもねぇッ!! 今度こそゼオラもオウカ姉さんもセロ博士も取り返すッ!!」
これが最後のチャンス……百鬼帝国の存在が明らかになり、プランタジネットで百鬼帝国も少なくないダメージを受けている。そうなればコウキの言っていた通りに鬼への改造が始まる……鬼になっては殺すしかなくなる。この最後のチャンスを死んでも掴むとアラドは大きく吼える。
『俺達がフォローする! アラド、お前はファルケンに取り付けッ!』
「了解ッ!! 行くぜッ! ゼオラァアアアアアアッ!!!」
R-ウィング、フェアリオンの支援を受けてビルトビルガーは弾丸のような勢いでビルトファルケンの元へと向かう。
「……」
ファルケンに突撃してくるビルガーをゼオラは何の感情も宿していない瞳で見つめる。朱王鬼の掛けた術はその効力は完全に発揮し、今のゼオラは戦闘技術だけを残した人形状態……である筈だった。
「……ド……ラド……ア……ラ……ド?」
その黒く澱んだ瞳に僅かに知性の色が現れたが、再びその知性の色は深く澱んだ闇の中へと沈み、ゼオラはファルケンの操縦桿を握る。だがその手は僅かに震えていた……それはアラドを殺せと言う朱王鬼の命令を拒否しているゼオラの心の表れであり、弱々しいがゼオラが朱王鬼の術に抗おうとしている確かな証なのだった……。
第191話 愛する者の為に その3へ続く
と言う訳で今回も少し短いシナリオでしたが、シナリオデモなのでお許しください。次回からは戦闘描写を多くするので文字数が増える予定ですし、難易度マシマシの敵も出ますしきっと大丈夫ですね。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。
PS
イベントガチャは最後までオーシャンパンチでした。無念
視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか
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サイドまたは視点は必要
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今のままで良い