進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第195話 2つの再会 その2

第195話 2つの再会 その2

 

「どうだ? これが俺の自慢の紅茶だ。美味いだろう」

 

ティーポットを片手に自信満々という表情でユウキが胸を張る。だが……ある意味相手が悪すぎた、なんせ振舞っている相手は武蔵である。

 

「悪いけど、オイラ日本茶の方が好きだな」

 

「……そ、そうか……ッ」

 

がっくりと肩を落とすユウキだが、こればっかりは相手が悪すぎる。仮に竜馬でも同じであり、この紅茶の良さを理解するのは隼人くらいなものだろう。

 

「ユウキさんでしたわね、とても良いお茶ですね」

 

「ええ、とても美味しいですわ」

 

紅茶を理解しているシャインやレオナはユウキの紅茶の淹れ方を褒めるが、その隣ではエキドナがカップの中に砂糖とミルクをぶち込んでいる。

 

「お前、もう少し味わう方がいいぞ?」

 

「私は甘い方が良いんだ、武蔵もいるか?」

 

「あ、ください。エキドナさん」

 

シュガーポットをエキドナから受け取った武蔵はこれまた大量の砂糖とミルクをぶち込み、ユウキは口を開きかけては閉じ諦めたように椅子に腰を下ろした。

 

「しょうがないよ、ユウのお茶は美味しいけど、あたしも美味しいって事しか分からないし」

 

「カーラ……ああ、そうだな。ああ、分かっているさ」

 

紅茶に自信ありのユウキにとって致命的に相性の悪い面子がそろっていたのが原因であり、それなりに教養のある面子ならば茶葉やカップでの話も合ったが、それを理解するだけの教養が武蔵にはない、そして武蔵がそれを理解出来ないと分かっていればシャイン達もその話をしない……根本的に茶会に招待した面子の人選ミスである。

 

「それにしてもユウキがビアン博士の一派だったとは」

 

「敵陣に潜り込む必要があってな。文字通り命懸けだったが……それなりの情報は持ってこれたと思っている」

 

アーチボルドの部下として何度も対峙していたユウキとカーラが実は味方だったと言うのは、ブリット達にとっても驚きだった。

 

「ユウキ少尉がいたから我々はある程度先手を取って動けていたんだ。そこまで卑下する事はないだろう」

 

「しかしユーリア少佐、私は必要な時に必要な事を出来ませんでした」

 

「それでもだ。命を懸けてくれた者を責めるつもりはない、良くやってくれた」

 

珍しくカリスマが発動しているユーリアの言葉にユウキはありがとうございますと小さく微笑み、隣のカーラが面白くなさそうにするがポンコツ・鈍感・おしゃま・ヘタレと恋愛弱者しかいないのでカーラのその微妙な雰囲気の変化に気付いたのはレオナだけだったりする。

 

「……キョウスケ中尉大丈夫かな?」

 

「今はラミアさんがついてる。それに俺達じゃ止められない」

 

エクセレンがアインストに拉致されたという話はキョウスケにはしていない、だが虫の知らせなのだろう、点滴を引き摺りながら鬼気迫る表情で現れたキョウスケを止める術はブリット達には無かった。

 

「リョウが同じことをしたら殴ってでも医務室にほり込むんですけど……殴ってきましょうか?」

 

「止めろ馬鹿、キョウスケにトドメをさすつもりか」

 

「あだッ! あれ? カチーナさん。話し合いに行ってたんじゃ?」

 

拳を握り実力行使に出ようとしていた武蔵の頭を手にしていたバインダーで叩いて止めるカチーナに武蔵はブリーフィングに出てたんじゃ? と尋ねる。

 

「終わったからこっちに来たんだよ、あーユウキだったか、あたしにも茶をくれ」

 

ユウキに紅茶をくれと声を掛け、ユウキが用意した紅茶を口にしたカチーナはへえっと感心したように呟いた。

 

「クリスタルフラッシュか、この御時勢に良く用意出来たな、こんなもん」

 

「分かるのですか!?」

 

「そりゃ分かるだろ、ハーブみてえな柑橘系の香りと雑味の無い味っつたらそれくらいだろ。あたしはシルバーティップスが好きだけどよ」

 

「シルバーティップスですか、あれも良い茶葉ですよね。中々入手が難しいですが」

 

「クリスタルフラッシュも良い勝負だろ? 本当に良く仕入れたな」

 

「レーツェルさんのつながりでして」

 

「ああ……なるほど……んだよ、そんなギョッとした顔であたしを見てどうかしたか?」

 

ユウキと茶葉の話題で盛り上がるカチーナを信じられない者を見る目で武蔵達は見ており、それに気付いたカチーナがどうかしたか? と尋ねる。

 

「……カチーナさん、分かるんですか?」

 

「馬鹿にすんなよ、武蔵。あたしはこれでも家事一般全部出来るんだぜ? 滅多にやらないけどな、紅茶の淹れ方と茶葉だって詳しいんだぞ?」

 

粗暴な印象を受けるカチーナだが、実は家事一般は勿論嗜好品にも詳しく、性格上向いてないがどこかの大企業の令嬢並の教養を有していたりする。

 

「それでカチーナ中尉、今後の方針としては?」

 

「月面奪還組みと地球残留組に分かれることになるそうだ、2日の間には行動に出る」

 

プランタジネット失敗のダメージはまだ抜けていないが、万全な状態を整えている時間が無いという判断なのだろう。誰も口にしないが厳しい戦いになると誰もが覚悟している中、食堂の扉の開く音と共にざわめきが広がった。

 

「ずいぶんと騒がしいですがどうしたのでしょう?」

 

「もしかしてあれかな、カイさんとギリアムさんかな」

 

「……確かゲッターロボの操縦中に気絶したからとカーウァイ大佐が特殊訓練をすると言っていたが……」

 

半ば処刑が確定していたカイとギリアムが食堂に来たのだろうか? と武蔵達も出入り口に視線を向けて絶句した。

 

「……」

 

「……」

 

顔を真っ赤にさせたアラドとその背中に抱きつき、手と足でガッチリと引っ付いているゼオラと、どうしたものかという表情をしているラトゥーニとオウカ……控えめに言っても地獄の光景がそこに広がっていたのだった……。

 

 

 

 

 

食堂で一騒動起きている頃、格納庫でも一騒動起きていた……勿論それはシュウが連れてきたマリオンとラルトスの2人、魔改造師弟が揃ってしまった事が原因だ。

 

「すげえッ! マリーシショー! これすげえヨッ!! なにこれェッ!!!」

 

「試作超大型リボルビング・バンカーですわ。貴女の考えたテスラドライブ応用論を更に発展進化させたものですわ」

 

「マジで!? やっぱマリーシショーは天才ネ! 所で反動はどうなってるノ?」

 

「? 何を言っているんです? 反動に耐えれるフレームと装甲、それに衝撃を吸収するサスペンションさえあれば実質反動なんて無いですわ」

 

「その理論天才ネ!」

 

頭がおかしい会話を聞いて整備兵は勿論、ビアンと原住民ダンスを踊っているクロガネの整備兵も言葉を失った。

 

「俺達もまともじゃねぇって思ってたけど……」

 

「上には上がいるもんだなあ……」

 

「強化すれば実質無反動……」

 

反動を無効化するだけの装甲とフレーム、後サスペンションがあればいいと言うマリオンの理屈はとんでもない暴論だ。暴論なのだが……。

 

「「「「天才かよ……ッ」」」」

 

元々同じ穴の狢なのでマリオンの理論が実現可能かどうか、そしてそれを搭載出来る機体があるかどうかを考え実行可能という結論が出ればこの格納庫の整備兵はマリオンを天才と認めた。

 

「キョウスケ中尉、悪い事は言いません。新型機はビアン博士に依頼するべきだと思います」

 

その会話を聞いていたラミアは車椅子に乗っているキョウスケにそう忠告するがキョウスケは首を左右に振った。

 

「必要な力だ、エクセレンを取り戻すためにな」

 

「……すいません、キョウスケ中尉」

 

「いや、責めている訳じゃない。2人で会いに来ると言っていたんだ。その時に取り返すまでだ」

 

傷が痛むであろうがその目を爛々と輝かせているキョウスケにラミアは何も言えず、無言で車椅子の方向を変える。

 

「物凄い事になっていますが……? 後悔しませんか?」

 

「後悔はない、覚悟は既にしている」

 

アルトアイゼンの面影を残しつつも、全く別の機体になろうとしている己の愛機を見て、覚悟しているというキョウスケに今度こそラミアは言葉を失い、点滴終了のアラームがなったのを確認し車椅子を格納庫の入り口に向ける。

 

「点滴が終わったので医務室へ戻ります。よろしいですね?」

 

「駄目と言っても連れて行くのだろう? 俺自身が分かってる、今の状態では俺は戦えない。戦えるようになる為にも医者の言うことは聞くさ」

 

アルトアイゼンの修理……いや、強化が施されているのを見て安堵した様子のキョウスケを乗せた車椅子を押し、ラミアは格納庫を後にする。

 

(SRXチームも大変そうだな)

 

急ピッチで修理が行なわれているRシリーズとハンガーの前に集められているリュウセイ達を見て、なんらかのトラブルが起きたのかもしれないと感じたラミアはふと思い出した。

 

「そうだ、アンジュルグにデータが残っているかも……エキドナにも声を掛けてデータを吸い出しておくか」

 

量産型SRXのデータ、そしてそのパイロットとなる筈だったWシリーズのデータはアンジュルグに残っているかもしれない、確証は無いがSRXを修理、強化する手助けになるかもしれないとラミアは思い至り、キョウスケを揺らさないように細心の注意を払いながらも早足で医務室へと向かった。

 

 

ラミアが感じた通りSRXチームのミーティングが深刻な事態に陥っているというのは正しかった。シュウから渡された写真に残っていた巨大特機――外見的特徴からアルタードで間違いないと言うイングラムの言葉にリュウセイ達は驚きを隠せ無かった。

 

「SRアルタードって……マジなのか、教官」

 

「まだ俺の目で確かめていないから何とも言えんが……ほぼほぼ間違いないだろう」

 

SRXの完成形――SRアルタードが存在し、それがメタルビーストに変異している。勘違いならば良いが、イングラムのその深刻な表情にリュウセイ達も息を呑んだ。

 

「アルタードはイングラム少佐達がシャドウミラーと共に戦ったと言う未来の物でしょうか?」

 

「これも憶測だが恐らくはそうだろう、量産型SRXが製造されているんだ。完成形のアルタードが完成していてもおかしくはない」

 

量産型SRXが運用されていた未来なのだからアルタードが製造されていてもおかしくはないと言うイングラムの説明も一理ある。

 

「ラミアやエキドナ、バリソンには話を聞いたのですか?」

 

「ラミアとエキドナには聞いていないが、バリソンに話を聞いている。バリソン曰く、分からないそうだ」

 

「分からない? それはどういうことですか?」

 

「……SRXとリュウセイがベーオウルフによって倒された後の補欠のSRXチームとSRX計画の研究者は消息不明となっているとそうでな。開発していた基地も破壊されていてアルタードが完成していたのか、それともデータだけなのかも分からないそうだ」

 

平行世界の未来のリュウセイが乗る前提の機体なのだ。そのリュウセイが死んではプロジェクト自体が凍結された可能性もあり、詳細は不明。それにシャドウミラーと連邦軍が敵対関係にあれば詳しいデータがないと言うのも当然の話だ。

 

「SRXの修理・改修の為に現在量産型SRXのデータを準備して貰っているわ。でも招集をかけたのはそれが理由じゃない、これから私達は月面奪還班と地球残留組に分かれることになるけど……私達はこの……便宜上メタルビースト・アルタードをSRXを用いて撃破するという任務が与えられるわ」

 

メタルビースト・アルタードの撃破命令にリュウセイ、ライ、アヤの表情が強張る。だがそれも当然だ、メタルビースト・SRXの段階でゲッターD2がいてやっと互角、それをアルタードよりも劣るSRXで撃墜するのはかなりの無理難題だ。

 

「現状での勝算は?」

 

「約3割だ。この低確率をどこまで埋めれるかがこのブリーフィングの議題となる」

 

「教官、武蔵は協力してくれるのか?」

 

「いや、武蔵は月面奪還の最重要のキーマンになる。まだ確定では無いが、ヒュッケバインチーム、サイバスター、ヴァルシオーネ、グルンガスト等になると思われる。ビアン博士達も可能な限り戦力を地球に残す考えだが、ゲッターロボの力を借りれないのは間違いないと思ってくれ」

 

戦力が一切不明の敵、確実に戦力は龍虎鬼皇レベル……いや下手をすればそれを遥かに上回る力を有しているかもしれない相手との戦いに武蔵達の協力を得れないのにライとアヤは表情を強張らせたがリュウセイは掌に拳を打ち付けて力強く笑った。

 

「いつまでも武蔵に頼ってられねぇからなッ! 守られるだけじゃない、一緒に戦えるんだっていうのを証明してやろうぜ、ライ、アヤッ!」

 

「リュウセイ……ああ、そうだな」

 

「ええ、その通りよ」

 

リュウセイの言葉に迷いと不安を払拭したライとアヤも笑みを浮かべる。

 

(やはりリュウセイの存在は大きいな)

 

(この雰囲気をたった一言で払拭するんだものね)

 

絶望的な雰囲気を一瞬で霧散させた。まだ力不足は否めないが、間違いなくリュウセイは英雄の器であり、そしてどんな絶望的な雰囲気も一転させるムードメイカーであった。

 

「その意気だ、まずは予想されるアルタードの弱点と戦闘パターン、搭載されている武装についての予測を行なう」

 

「基本的な弱点はSRXと同じ、戦闘力は向こうの方が上だとしても相手は獣よ。人間の知恵を教えてあげましょう」

 

「「「了解ッ!」」」

 

イングラムとヴィレッタの言葉にリュウセイ達は力強く返事を返し、メタルビースト・アルタードへの対策会議を続ける。

 

 

 

 

 

リュウセイ達が格納庫でメタルビースト・アルタードについてのブリーフィングを行っている頃。食堂では微笑ましい者を見る目、嫉妬を感じさせる視線をアラドに向ける者がいるなど凄まじい状況になっていた。

 

「つまりなんだ、離れてくれないと」

 

「ういっす」

 

背中にしがみ付いているゼオラが少し動く度に胸が背中に当るのか百面相をしているアラドの顔は憔悴しきっていたが、それを笑うものは誰もいない。

 

「なぁゼオラ、少し離れないか?」

 

「……そうだよね、私性格ブスだもんね……アラドは私みたいなの嫌いだよね……」

 

「ちげえよ!? 俺そんな事言ってないぞ!?」

 

声を震わせすすり泣くゼオラと違うからなと必死に弁解するアラドのやり取りを見て笑える人間などいない。

 

「えっとつまり、依存してたのはアラドじゃなくてゼオラの方だったと?」

 

「……そうなりますね、カーラさん。それにその……ゼオラは……言いにくいんですけど、昔はもっと暗い性格でした」

 

「俺はゼオラは快活な性格だと思っていたが……」

 

ゼオラをよく知るオウカとラトゥーニはなんと言えば良いのかと困りきった表情を浮かべている。

 

「……オウカ姉様とアラドが仲良くしてるのを見て、オウカ姉様を真似するようになって、そこから今のゼオラみたいになったんです」

 

スクール時代からゼオラはアラドに強い感情を向けており、それに気付いていないアラドという図式だったと説明を受けてクスハがぽつりと私とリュウセイ君みたいと呟いた。

 

「何か言ったか? クスハ」

 

「ううん、なんでもないよ?」

 

クスハのなんでもないの言葉に武蔵とブリットはそうか? と首を傾げたが、一部の女性陣は何とも言えない表情を浮かべる。

 

(ちょっとやばめだな……どうするよ?)

 

(わ、私に言われてもな、そういう色恋は私は無理だ。だが無理に引き離したりすれば精神薄弱になりかねないな))

 

ポンコツユーリアは色恋の解決には役に立っていないが、ゼオラとアラドを引き離す危険性は理解していた。

 

(でもあの目……めちゃくちゃ怖いですわ)

 

(分かる……ハイライトさんがいなくなってる)

 

時折顔を上げるゼオラだが、その目に光は無く強い警戒心……いや、憎悪さえ感じさせた。アラドに依存、いや執着しているゼオラは、自分からアラドを奪う可能性のある者に強い敵意を見せていた。

 

「武蔵様。お茶でも用意しましょうか?」

 

「ん? 別にいいけど」

 

「いえいえ、お気になさらず。エキドナも手伝ってくれますか?」

 

「あ、ああ。手伝おう」

 

「ユウ、あたし紅茶もう一杯欲しいな」

 

「ん? ああ、今用意しよう」

 

シャインはエキドナを伴って席を立ち、カーラはユウキに紅茶を頼む。それを見てゼオラのシャインとエキドナ、そしてカーラに向けられる敵意は弱くなった。

 

「あれだ。アラド」

 

「うっす」

 

「お前はゼオラと同室で良いだろ」

 

「うえ!?」

 

「え? 良いんですか!?」

 

カチーナの言葉にアラドは声をあげ、ゼオラは喜色の満ちた声をあげカチーナへの敵意を薄める。

 

「今はヒリュウに空き部屋が無いからな、オウカだったか? お前も一緒だけど良いよな? 士官用の部屋になるけどよ」

 

カチーナの意図としては恋慕が暴走しかねないゼオラとアラドを引き離すより同じ部屋にした方がいいという物で、監視役としてオウカも間に入れる事にしたのだ。

 

「ありがとうございます。私はそれで構いません」

 

「決まりだな、じゃああたしの方から艦長に声を掛けとくわ」

 

そう言うとカチーナは逃げるように席を立ち食堂を後にした。どす黒い執着心と依存心を感じさせるゼオラには本能的な恐怖を感じさせ、逃げを打つのは当然の事だった。

 

「ラトも一緒に来る?」

 

「私はリュウセイの部屋に行くから」

 

ラトゥーニの言葉に食堂の時間が止まった。クスハやブリットが嘘だろって顔をラトゥーニに向ける中、ラトゥーニは邪悪さを感じさせる笑みで微笑んだ。

 

「最近寝てるリュウセイを見ないと寝れないから」

 

「「「「……」」」」

 

「武蔵様、おはぎで良かったですか?」

 

「ああ、ごめんな。ありがとうシャインちゃん」

 

「最近は色々と勉強して美味い緑茶を淹れれる様になったんだ。飲んでみてくれ、武蔵」

 

「へえ、それは楽しみですねぇ」

 

寝てるリュウセイを見ないと寝れない。それが意味するのは寝てる間に侵入しているという事で、ゼオラよりもよっぽど重いラトゥーニにブリット達は絶句し、その隣では武蔵がシャインからおはぎを、エキドナから緑茶を受け取り能天気に啜っていると中々にカオスな状況だった。

 

「……そう、後でそのリュウセイって人を紹介してくれるかしら?」

 

そして長姉としてオウカはリュウセイを見極めるためにも1度リュウセイを紹介してくれとラトゥーニに声を掛けた。次の瞬間武蔵が椅子を蹴り倒しながら立ち上がった。

 

「きゃっ! む、武蔵様、どうなさったのですか?」

 

「嫌な予感がする。ブリット! 悪いけどレフィーナさん達に上手く言っておいてくれ!」

 

武蔵はそう叫ぶとおはぎを頬張り、緑茶を一気に飲み干すと止める間もなく食堂を飛び出して行き、その様子にただ事ではないと悟ったブリット達も武蔵が飛びだしていったことを伝える為に食堂を飛び出して行くのだった……。

 

 

 

 

オペレーション・プランタジネットで負った傷を百鬼帝国の医療技術によって治療されたアクセルは既に万全な状態になっていたが、ヴィンデルの横槍、キョウスケを仕留め損ねた事……そしてアルフィミィに心の中を覗きこまれた事に対して強い憤りを感じており、アースクレイドルの安全な区域の中で単独行動をしていた。

 

「はぁい、アクセル。ちょっとお使いを頼まれてくれないかしらん?」

 

「……レモンか、量産型Wシリーズにでも頼むんだな、俺とて考えたいことの1つや2つある」

 

ヴィンデルは勿論レモンとも距離を取っており、同じアースクレイドルの中にいてもその姿を見ること事体稀であり、こうして姿を見せない事がヴィンデルへのアクセルの抗議の形だった。

 

「やっと見つけたのに随分な事を言ってくれるわねぇ、でもダーメ。これはアクセル、貴方にしか頼めないの」

 

レモンとてアクセルに思うことがあると言う事は十二分に理解している。だが今回の件はアクセルにしか頼めず、アクセルを探し回っていたレモンはアクセルにしか頼めないと口にすると、その言葉の中に真剣な物を感じやっとアクセルは顔を上げた。

 

「レモン、俺に何をさせたい」

 

「ちょっとね、お迎えに行って……「くだらん」ちょいちょい! 話は最後まで聞きなさいよ!」

 

不機嫌そうに背を向けたアクセルに背後から抱きついたレモンはアクセルの耳に口を寄せる。

 

(百鬼帝国にちょっと知られたくないのよ、かといって量産型Wナンバーズじゃ、難しい話は出来ないでしょ?)

 

百鬼帝国に知られたくない話と聞いてアクセルはやっとレモンの話を聞く気になった。

 

「何をさせたい」

 

「んースカウト♪ 私達の中で突発的な転移で消え去った機体……覚えてるかしら?」

 

レモンの問いかけにアクセルの脳裏を過ぎったのはメタルビースト・SRXとの戦いの中で現れた桃色の奇妙な存在の出現と、ゲッターD2、メタルビースト・SRX達の謎の共鳴現象の中に消えた機体の存在だった。

 

「……エクサランス」

 

「ビンゴ、その反応を感知したわ。迎えに行ってくれるわよね?」

 

レモンが胸の間から取り出したUSBメモリと起動カードをアクセルは乱暴に奪い取る。

 

「……ソウルゲインは」

 

「あれだけ酷使して使えるわけ無いでしょ。アシュセイバーかアースゲイン、好きな方に乗って良いわよ」

 

「龍王鬼達に見つかったら?」

 

「気分転換って言えば龍王鬼達なら通してくれるわよ、んじゃよろしくねえ~♪」

 

ひらひらと手を振り歩き去るレモンと渡されたUSBメモリと起動カードを交互に見つめたアクセルは、乱暴にポケットに突っ込み格納庫へ向かって歩き出した。それは奇しくも武蔵が何かの気配を感じ取りヒリュウ改の食堂を飛び出したのとほぼ同時刻の出来事なのだった……。

 

 

 

 

風蘭によって鳥獣鬼のパイロットであった鬼は龍王鬼の前で片膝を付き、深く頭を下げていた。

 

「お前は闘いに何を望む? 何ゆえ戦う?」

 

「より強き益荒男と戦う事、そして倒れるまでに息絶える事を望みます」

 

「はっはぁ! 分かってるな。くたばるなら戦いの中での熱を持ったまま死にてえよなあ」

 

強き相手こそ倒すべき相手であり、友である。強さこそを絶対とする龍王鬼は名もなき鬼の言葉に破顔した。

 

「面白い奴を拾ってきたじゃねえか、風蘭」

 

「こんな奴が埋もれているのは勿体無いでしょう? 龍王鬼様」

 

「違いねぇ! んで、お前は誰と戦ってそして死にたい?」

 

「リュウセイ・ダテです。私と空中戦で互角以上に戦ったあの男に私は勝ちたい」

 

「よーし、OKだ。お前は今日からそうだな……神雷鬼だ。神雷鬼と名乗れ、お前専用の百鬼獣も作ってやる」

 

神雷鬼……名前を与えられた瞬間に頭を垂れていた鬼に変化が起きる。筋骨隆々だった肉体が更に引き締まり、黒髪が鮮やかな金色に染まり額の巨大な角が更に鋭利で巨大な物になる。

 

「ありがとうございます龍王鬼様。この神雷鬼、貴方に最高の戦いを贈りましょう」

 

「そりゃ良いな! おう、風蘭。こいつの百鬼獣を手配してやれ、それと歓迎会の準備をしておけ」

 

新しい配下が出来た龍鬼は上機嫌で出て行く風蘭達を見送り、酒瓶の蓋を素手で捻じ切り中身を一気に飲み干し大きく息を吐いた。

 

「さてとぉ、あいつの強さを確かめるとするかねぇ」

 

龍王鬼なりの歓迎……それは龍王鬼とのタイマンだ。強さこそ全ての龍王鬼達らしい歓迎だ。

 

「あああああッ!!」

 

「はっはあッ!! 俺様に1発入れるとはやるじゃねえか! ええ! 神雷鬼ッ!!」

 

「ごばあッ!?」

 

ボロボロになりながらも執念で1発龍王鬼に拳を入れた神雷鬼は反撃の右ストレートを顔面に打ち込まれ吹っ飛んでいったが、倒れた神雷鬼は満足しきった顔で倒れていて、その顔を見た龍王鬼も満足そうに笑い戦いを見ていた闘龍鬼達に視線を向けた。

 

「馳走だ、馳走を準備しろ! 宴をやるぞ!」

 

子供のように楽しそうな笑みを浮かべ宴会をするぞと大声で叫ぶのだった……。

 

 

第196話 2つの再会 その3へ続く

 




愛が重いネガティブゼオラモードです。元の調子を取り戻すのはまだ先の事になりそうです、後ラトゥーニはややストーカースイッチONしておりますが、マイの存在に危機を感じているからですね。なおもう少しするとマイとラトでバトルになる予定です、それと次回はエクサランス組を再登場させたいと思いますので次回の更新もどうかよろしくお願いします。




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視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

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