進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第196話 2つの再会 その3

第196話 2つの再会 その3

 

光1つ無い闇の中に似つかわしくない女の声が響き渡る。それは闇の中で幾重にも重なり、何十人も同時に喋っているような奇妙な声色となっていた。

 

「ラリアー、ティス、デスピニス……貴方達にお使いを頼みたいのですが良いですね?」

 

「「「はい!」」」

 

その奇妙な声の主――桃色の奇妙な球状の生き物の問いかけに頭を垂れていたラリアー達は嬉しそうに返事を返す。

 

「私を1度時空の狭間へと追いやった鍵の1つがこの世界に現れようとしています。それを回収に向かって欲しいのです」

 

「あたい達にお任せください! デュミナス様! 今度は上手くやります」

 

即座に任せてくれと声を上げるティスにデュミナスは柔らかい声をティスへと向ける。

 

「SRXに関しては貴方達の非ではありません。気にすることはありませんよ」

 

「で、でも……僕達がコントロール出来なかったせいで」

 

「良いのです。あれは元よりそういう存在なのです、支配出来るなどと私も思っていません」

 

自分達の失敗でメタルビースト・SRXが大破し、敬愛する創造主であるデュミナスが苦労しアルタードを用意した事を知っているラリアー達は申し訳なさそうにする。だがデュミナスは終始柔らかい声で気にする事はないと3人を励ますような口調で声を掛ける。

 

「時空の裂け目は何を呼び出すか分かりません。貴方達に与えるのは試作タイプの機械人形です……無茶が効くような機体ではありません、もしも不測の事態に陥った場合は鍵を確保する事は諦め戻ってきてください。分かりましたね?」

 

終始ティス達を気遣う言葉を投げかけるデュミナスにティス達は再度任せてくださいと声を揃えて口にし、デュミナスの前を後にする。その姿をデュミナスは心配そうに見つめていた。その姿は異形の物だが、紛れも無く子を持つ母の姿なのだった……。

 

 

 

 

 

虚空に紫電が走り、それが徐々に徐々に大きくなり一際大きな閃光となるとガラスの割れるような音と共にエクサランス・ストライカーフレームとレイディバードが轟音と共に姿を現した。

 

「う、うぐっ……!!」

 

浮遊していたレイディバードと異なり、パイロットであるラウルが意識が失っていたエクサランス・ストライカーフレームは姿勢制御が出来ず墜落した時の衝撃でラウルは苦悶の声と共に意識を取り戻した。

 

「こ、ここはどこだ……!?  お、俺達はどうなったんだ……ッ!?」

 

暫く墜落時の衝撃に悶えていたラウルだが、徐々に意識がはっきりとしてくる。

 

「フィオナはッ!?  ラージとミズホッ!? それに武蔵達はッ!?」

 

ピーターソン基地での戦い――武蔵達とシャドウミラーとの共闘……そしてその場に現れた数多の異形の姿……そして光の中に消えた妹であるフィオナを乗せたエクサランスの姿を思い出し、ラウルは悲鳴にも似た声で応答を求める。

 

『うう……うっ……ら、ラウルさん……聞こえますか……ミズホです』

 

「ミズホッ!! ラージはどうしたッ!?」

 

ミズホからの応答を聞いてラージはどうしたのかと叫ぶラウル。するとすぐにエクサランスのコックピットにラージの声が響いた。

 

『そ、そんなに怒鳴らなくても聞こえてますよ、ラウル』

 

「ラージッ! ああ……良かった……フィオナのエクサランス、それにゲッターロボの反応はないか!? 俺の方でも捜索するがレイディバードの方でも頼むッ!」

 

エクサランス・ストライカーのレーダーの捜索範囲に反応がないが、それでも諦めず捜索を行いながらラージとミズホにも反応を探してくれと声を上げる。

 

『は、反応はありません……』

 

「もう1回! もう1回調べてくれ!! きっと機械が故障してるんだ! 近くに反応はある筈ッ! だから頼むッ!!」

 

ミズホの震える声で反応がないと言う言葉にラウルはもう1回調べてくれと声を上げるが、ラージがそれに待ったを掛けた。

 

『無駄です、ラウル。1号機の時流エンジンはあの時暴走をしていました……恐らく彼女は……』

 

「う、嘘だろ、そんな……ッ! 嘘だって言ってくれッ!  ラージ!!」

 

ラージの言葉の先を聞きたくないラウルは大声でその言葉を遮ろうとする。

 

『う……ううう……ッ!』

 

「な、泣くなミズホ! ふぃ、フィオナは無事だッ! 絶対……あいつが……し……」

 

すすり泣くミズホに向かってフィオナは無事だと言いながらも、ラウルの冷静な部分がそれを否定している。だが肉親が信じたくないと言う情の部分がそれを認めない。相反する感情でぐちゃぐちゃになっているラウルにラージが冷酷な言葉を告げる。

 

『ら、ラウル……気持ちは分かります。ですが……ピーターソン基地の状況を思い出してください。そして1号機が受けていた損傷……時流エンジンの暴走……そ、それらか……判断すれば……フィオナは……死んだんです』

 

死んだと告げるラージの言葉にラウルの声が震える。認めたくなかった現実が言葉となってラウルを浸食する……だがラウルも認めたく無かっただけでラージの言葉が事実だと認めざるを得なかった。

 

「ら、ラトゥーニに……フィオナも死んだ……ッ!! お、俺は何も出来なかったッ!!!」

 

ベーオウルフを倒す為にラトゥーニは自ら異形の口の中に飛び込んで死んだ。そしてフィオナも最後まで自分達の身を案じ、少しでも暴走の被害を抑えようとして死んだ……。

 

【しっかりね……おにい……ちゃん……】

 

「ち、ちきしょう……ッ!  ちきしょうッ! ちきしょぉぉぉぉぉぉおッ!!」

 

遺言めいたフィオナの言葉が脳裏を過ぎり、ラウルは己の無力感を吐き出すように叫び声を上げた。

 

【キシャアアアアアッ!!!!】

 

【……】

 

その叫びに反応したのか、それとも時流エンジンの反応に引かれていたのかは定かではない。だがラウルの目の前にトカゲ型のインベーダーとクノッヘンが姿を現す。

 

「ッ!! インベーダーッ!! アインストッ!!」 

 

文字通り半身であるフィオナを失い、己の無力感に苛まれているラウルは冷静さを完全に欠いていた。

 

『駄目です! ラウルさんッ! 今のエクサランスではインベーダーとアインストを相手にするのは危険すぎますッ!!』

 

『ラウルッ! ラウルッ!!! 話を聞きなさいッ!! ラウルッ!!!』

 

ラージとミズホの制止の言葉すらその耳に入らず、激情に身を任せエクサランス・ストライカーを操りインベーダーとアインストへと向かって行くのだった……。

 

 

インベーダーとアインストは1体ずつしかいないとは言え、インベーダーとアインストの特徴は数が多いことだ。間違いなく戦闘中に増援が現れるというのは分かりきっていた。

 

「ラウルさん! ラウルさん!! 帰還してください! ラウルさんッ!!」

 

レイディバードからミズホがラウルに必死に呼びかけるが、ラウルは完全に冷静さを欠いているのかエネルギー配分も考えずエクサランス・ストライカーでインベーダーへと攻撃を仕掛ける。

 

「駄目ですね、今のラウルは冷静さを欠いています。僕達が何を言ってもラウルの耳には届かないですね、ミズホ。僕達は準備をしましょう」

 

「ラージさんッ! ラウルを見捨てて逃げるって言うんですか!?」

 

準備の言葉にミズホはラージがラウルを見捨て、自分達だけで逃げようとしていると勘違いし声を荒げる。

 

「僕がラウルを見捨てるわけが無いでしょう? エネルギー切れを起さなければラウルは冷静にならない。この状況でエネルギー切れを起せば僕達全員が死にます。フィオナに助けられた命をこんな所で捨てるわけには行かないんです……僕達全員で生き残るんです、ミズホ」

 

表面上は冷静だが、固く握り締められている拳から血が滴り落ちているのを見て、ラージもまたラウルと同様に激情を抱えながらもそれを鉄の理性で押さえ込んでいるとミズホは理解した。

 

「ごめんなさい、酷いことを言いました」

 

「気にしていませんよ、それよりも急ぎましょう。思った以上にラウルの暴れっぷりが凄いです」

 

ラージの視線の先では胸部装甲を展開しチェストスマッシャーを放ち、インベーダーを消し飛ばしているエクサランス・ストライカーフレームの姿があった。

 

「急ぐって回収の準備ですか?」

 

「違います、フライヤーフレームを射出する準備です」

 

「フライヤーを!? あれはまだ調整段階で……ッ! それに戦闘時の換装なんて不可能ですよ、それにどうしてそんな事をする必要があるんですか!?」

 

ラージのやろうとしている事が戦闘時の換装であり、何故そこまでする必要があるのかと声を荒げる。

 

「ミズホ。いつまで動揺しているんですか、周囲を見て何も気付かないんですか?」

 

「周り……? ラージさん何を……?」

 

「いいから落ち着いて周りを見るんです。それで僕の言わんとしている事が分かる筈です。先に準備をしています、状況を理解したら手伝ってください」

 

フィオナの事で冷静さを欠いていたミズホは最初はラージの言葉の意味を理解していなかったが、周囲をさっと見渡しおかしな点にすぐ気付いた。

 

「……トレントがいない!? ここは……どこなんですかッ!?」

 

「ええ、トレントの姿がないんですよ。これは異常です、ですが……アメリカである事は間違いない筈なんですがね……ッ」

 

巨大な樹木の姿に変異したアインストの姿がない。海岸線にはトレントが密集しており、内陸部からは常にトレントの姿が見えていた。それが見えていない事に気付いたミズホは初めて自分達が置かれている場所の異常性に気付いた。

 

「ラージさん、私は何をすれば!?」

 

「フライヤーフレームに内蔵されている予備動力の電源をONにしてください。僕はストライカーフレームのET-OSをコピーして調整し、フライヤーフレームにコピーします」

 

「それをしてもフライヤーフレームにストライカーのET-OSに適合するか……ッ」

 

「そこはラウル次第です、冷静さを取り戻してくれれば……なんとかなる筈です。問題は……相手がラウルの冷静さを取り戻すのを待ってくれるかです……新入りですよ」

 

今も怒りに身を任せて必要以上に火器を使い、アインストクノッヘンを追い回しているラウルに冷静さを取り戻せと声を掛けるのは酷だと言うのはラージも分かっている。だがラウルが怒りに身を委ねていては全滅は免れない……だがラウルが冷静さを取り戻すよりも先に新入り……ハガネの捜索を行っていた量産型百鬼獣である鳥獣鬼が雄叫びを上げながらその姿を現すのだった……。

 

 

 

 

 

「うぐッ! なんだこいつ……ッ!? 新型のアインストか!? それともインベーダーかッ!?」

 

上空から姿を見せるなり羽を射出して来た鳥獣鬼にラウルが反応出来たのは奇跡的だった。コックピットに突き刺さる筈だったその羽をクラッシャーアームを盾にすることで防いだラウルだったが、反撃にクラッシャーアームを鳥獣鬼に向け、コックピットに鳴り響いたレッドアラートに慌ててモニターへ視線を向けた。

 

「クラッシャーアームが破損ッ!? くそッ! これじゃあ完全にデッドウェイトじゃないかッ!?」

 

エクサランス・ストライカーフレームの最大の特徴は花弁状の巨大な右腕のクローアームによる絶大な攻撃力だ。だが破損し動かなくなれば、クラッシャーアームはエクサランス・ストライカーの動きを著しく低下させる重りに過ぎなかった。

 

『キシャアアアッ!!!』

 

「うわッ!? くそッ!? こいつはメカなのか!? それとも生き物なのかどっちなんだッ!!」

 

機械とは思えない柔軟な動きで間合いを詰め、激しく爪を振るってくる鳥獣鬼にラウルはなんなんだと声を上げる。アインストともインベーダーとも違う未知の脅威である百鬼獣を目の当たりにし、ラウルはやっと冷静さを取り戻した。

 

『ラウル。ラウル聞こえますか?』

 

「ラージか!? こいつはなんだ!? アインストか、インベーダーかッ!?」

 

『その様子なら冷静さを取り戻したようですね、良かったです。その敵に関しては一切の情報がないので何かとは言えませんが、生きている機械とでも言う所ですね』

 

「生きてる機械!? メタルビーストじゃないのか!?」

 

あちら側で何度も見たインベーダーに寄生されたメタルビーストじゃないのか!? と問いかけながらも、ラウルは目の前の鳥獣鬼はメタルビーストではないと言うことは十分に理解していた。

 

『今は正体不明と言う事でいいでしょう、それよりもフライヤーフレームを射出します。ストライカーフレームをパージして換装してください』

 

「簡単に言いやがってッ、そう簡単な話じゃないぞ!?」

 

『シャアッ!!!』

 

火炎放射、爆発する羽を射出し、エクサランス・ストライカーのフレームを容易に引き裂く鋭い鉤爪――動かないクラッシャーアームを抱えて戦える相手ではないと言うのはラウルも分かっていた。

 

「すぐに射出してくれるのか?」

 

『閃光弾が搭載されているのでそれを目晦ましで射出します。効果があるかは分かりませんが……相手が生き物なら効果はある筈です』

 

ラウルの問いかけに返事を返したのはミズホだった。レイディバードに搭載されている閃光弾で支援してくれるという言葉にラウルは小さく笑みを浮かべた。

 

「分かった! 何とかして引き離す、そのタイミングで閃光弾を射出してくれッ!!」

 

クラッシャーアームを失ったエクサランス・ストライカーフレームで鳥獣鬼と戦うのはかなり不利だが、ここまで間合いを詰められてはストライカーフレームをパージし、攻撃能力が極めて低いコアファイターでは対抗できない……何とかして距離を取る必要があった。

 

『シャアアッ!!!』

 

「くっそッ!! こんな所で死ねるかよッ!!」

 

抉りこむように突き出された右鉤爪を頭部を傾ける事で回避し、そのまま背部のブースターで加速し頭部のブレードを鳥獣鬼に突き刺す。

 

『グギャアアアアッ!!!』

 

「おおおッ!!!!!」

 

本来の使用用途とは異なるが、完全なクロスレンジに踏み込まれたエクサランス・ストライカーフレームに出来る反撃はこれだけだった。

鳥獣鬼の強固な装甲と、自滅覚悟の加速に挟まされた頭部ブレードは嫌な音を立てて拉げ始める。

 

「うおおおおおッ!!!」

 

どうせ折れるのならばと覚悟を決めたラウルはエクサランス・ストライカーフレームの頭部を勢いよく振り、鳥獣鬼の胸部に真一文字の傷を刻み付ける。

 

『キシャアアッ!!!』

 

だがその程度の傷で動きを止めるほど、百鬼獣は甘い存在ではない。鈍く光る爪をエクサランス・ストライカーフレームに突き立てようと踏み込んでくる鳥獣鬼を見て、ラウルは自分の死を覚悟したがモニターの端にきらりと光る物を見て笑みを浮かべた。

 

「勝利の女神は俺を見捨てて無かったッ!!」

 

光る物……それは鳥獣鬼の胸元に深い傷痕を刻みつけたエクサランス・ストライカーフレームの頭部ブレードだった。左腕を伸ばし頭部ブレードを掴んだエクサランス・ストライカーフレームは突き出された鳥獣鬼そのまま折れた頭部ブレードを鳥獣鬼の目に突き立てた。

 

『グギャアアアアッ!!!!』

 

流石の鳥獣鬼も片目を潰されては苦悶の悲鳴を上げて大きく仰け反った。その大きな隙をラウルを見逃さず足の甲のブレードを展開し、抉りこむように鳥獣鬼の胸に刻まれている真一文字の傷を広げるように回し蹴りを放った。

 

『アアアアアアア――ッ!!!』

 

余りの激痛に大きく叫び、血飛沫とオイルを撒き散らし、エクサランス・ストライカーフレームから逃げるように翼を広げて上空へと逃げた。

 

「ラージ! ミズホッ! 今だッ!!」

 

『ラウルさん、 MCデータを送りますッ!』

 

『2回目はありませんからね! 1回で決めてくださいよ、ラウルッ!!』

 

閃光弾を使う予定だったが、相手が逃げた事でより確実な換装が可能となった。レイディバードから送られて来た換装プログラムを起動し、ラウルはエクサランス・ストライカーフレームのパージの準備に入る。

 

『ハッチ開きますッ!』

 

『レイ・トレーサー作動ッ!  行きますよ、ラウルッ!』

 

レイディバードから放たれたガイドビーコンを確認し、ストライカーフレームからアージェント・ヘッドを分離させ、アージェント・ファイターへ変形する。

 

『フライヤー、射出します!  ガイダンス・リンク!』

 

「フライヤー・インサート!!」

 

重厚な緋色の装甲のストライカーフレームから、青と白を基調にしたスマートなフォルムのエクサランス・フライヤーへと合体し、デストラクション・ライフルを構えさせながらラウルはラージとミズホの乗るレイディバードに通信を繋げる。

 

「ラージ、ミズホ! そっちからあの化物の位置を確認できるか!?」

 

フライヤーフレームへと換装したが、ストライカーフレームで消耗したエネルギーは半分も回復しておらず、空中戦に特化しているであろう鳥獣鬼と同じ土俵で戦うのは不可能だとラウルは判断したのだ。

 

『そこから狙撃するんですか!? ラウルさん、そんな事出来るんですか!?』

 

「やるしかないんだよッ! ミズホ!」

 

デストラクションライフルのMAXモードを起動し、銃身を展開させ時流エンジンと直結させて銃口を空に向けるエクサランス・フライヤー。確かにラウルは狙撃は得意ではない……だがここで鳥獣鬼を逃がし、増援を呼ばれるのならば……リスクは承知で1発勝負を挑むという博打に出るのが今のラウルの最善策だった。

 

『上空で小刻みに動いて……? ラウル気をつけてくださいッ!!』

 

「ああ、俺も確認したッ!!」

 

鳥獣鬼が上空で羽を撒き散らし、それが空中で次々に爆発する。羽を回避しながら残り僅かなエネルギーを集束させるエクサランス・フライヤーだが、コックピットにはエネルギーの枯渇を示すレッドアラートが灯り始めていた。

 

「急いでくれ! 長くは飛んでいられないッ!!!」

 

ストライカーフレームでの暴走がここで大きく響いていた。理論上は無限動力の時流エンジンだが、まだ未完成の時流エンジンはそこまで完成していない……今は時流エンジンと予備動力で稼動している。時流エンジンは停止寸前で、稼動する予定の無かったフライヤーフレームのエネルギーも満タンとは程遠い。とてもではないが、鳥獣鬼の無差別爆撃を何時までも回避している余力は無かった。

 

『エネルギーパターン補足! ラウルさん、座標を送りますッ!』

 

『ですが相手は移動を繰り返しています! 最終的に物を言うのはラウルの勘ですよッ!!』

 

「ああ! 分かっているッ!!」

 

送られて来た座標はいまも小刻みに変わり続けている。それも縦横無尽に、そして何の予備動作も無く凄まじい距離を移動することもあれば動くと見せかけて動かない事もある……厄介なのはラウルも分かっていた。だが……勝算がない訳では無かった。

 

「メタルビーストやインベーダーと比べればッ!!」

 

あの世界で何度も戦ってきたインベーダーやアインスト……それらの動きと比べればまだ鳥獣鬼の移動は常識の範疇にあった。武蔵やカーウァイ、イングラム程ではない……だがラウル達も化物と戦い続けて来た専門家なのである。新西暦の人間と比べれば……いや、この言い方は正しくない、アインストやインベーダーと戦った経験がない新西暦の人間と異なり化物とは戦いなれていたのだ。

 

「ディストラクションライフル。最大出力……発射ッ!!!」

 

『グッグギャアアアアアアアーッ!!!』

 

鳥獣鬼の動きを予測して放たれた熱線が雲を引裂き、鳥獣鬼の断末魔の雄叫びの次の瞬間凄まじい爆発が上空で起きた。それが鳥獣鬼が撃破された証拠であると言うのは誰の目から見ても明らかだった。

 

「ふー……当ったみたいだな……命中してよかった。ラージ、ミズホ。レイディバードに戻る、今の内にこの場を離脱しよう」

 

アインストにインベーダー、そしてラウルにとって未知の敵である百鬼獣を退けることは出来たが、あれで終わりとは限らない。新しい敵が現れる前に離脱しようとラウルは口にしたが、背筋を走った冷たい悪寒にエクサランス・フライヤーを反射的に反転させた。

 

『……生憎ですが、離脱するのはまだ無理なようです』

 

「そうみたいだな……」

 

ラウルの視線の先には2体の百鬼獣とエルアインスを引き連れたアースゲインが腕組みして佇んでいた。あちら側の世界では確かに共闘していた……百鬼獣さえいなければ助けに来てくれたと思いもしただろう。だが百鬼獣が共にいることでシャドウミラーはここでは敵に回っていると理解したラウルは、残り少ないエネルギーに眉を顰めながらもラージとミズホを守る為にプラズマソードを抜き放ち、アースゲイン達と立向かう意志を見せる。その姿をアースゲインのコックピットから見ていたアクセルは満足そうに笑い、アースゲインのコンソールに手を伸ばす。

 

「ラウル・グレーデンか、それともフィオナ・グレーデンか? よく生きていたな、そして新世界へようこそ。早速で悪いがお前達の道は2つに1つ……俺に従うか、それとも死かだ。良く考えて好きなほうを選ぶがいい」

 

アースゲインが腕を上げるとエルアインスが手にしていたG・リボルバーの銃口を向け、百鬼獣が今にも飛びかからんと言わんばかりに前傾姿勢になり唸り声を上げる。それは考えろと口にしつつも、断れば殺すと言う殺意を隠そうともしない威圧的な降伏勧告なのだった……。

 

 

 

 

第197話 2つの再会 その4へ続く

 

 




と言う訳で今回はイベントバトルみたいな感じでした。次回はラリアー達も出して、武蔵も合流させたいと思います。それとここでラリアー達を出すので原作とは大分違う流れになると思いますが、次回の更新もどうか宜しくお願いします。


PS

制圧戦16最終エリアSランククリアできました

MAPで攻撃、撤退を繰り返し、デコイを囮にして真ゲとグリッドマンでプロヴィデンス、ベヒモスを撃破。最後のアーチボルドは狙撃と射程UPで無理矢理デバフの範囲外からダブルオーに殴ってもらい、フリーダム、マジンカイザー、ハイニュー、ナイチンゲールなどでMAPの波状攻撃で精神を使わせた後に

真ゲ 怒涛、覚醒、チェンジアタック1→チェンジアタック2→ゲッタービームで撃破しました

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
  • 今のままで良い
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