進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第197話 2つの再会 その4

第197話 2つの再会 その4

 

武蔵が嫌な予感を感じて飛び出したのはシャイン達によってイングラム達に伝えられた。現状まともに動けないハガネの部隊の中の最大戦力である武蔵が飛び出したのは大きな問題だったが、それよりも重要視されたのは武蔵の直感だった。

 

「武蔵君の嫌な予感は良く当るからな……しかし武蔵君は単独出撃か……不安が残るな」

 

ゲッター1を改造したゲッタートロンベは操縦やG、パイロットの保護能力などは段違いに上昇している。しかしそれは武蔵が乗っていない場合の事で、武蔵が操縦すればゲッター炉心は活性化し、その上武蔵の操縦の反動はビアン達を持ってしても相殺しきれないほどに激しいもので、武蔵と相乗りするのはカイとギリアムが医務室送りになったように自殺行為に等しい。

 

「乗れるとすればエキドナだが……」

 

「……置いていかれました。追いつけなかったので……」

 

「だろうな、それに仮に乗れたとしても真価を発揮出来るとは思えない」

 

武蔵とゲッターD2で出撃した経験もあるエキドナはゲッターを操縦出来るだろうが、ゲッターD2の真価を発揮できるかとなるとそれは無理な話となるだろう。

 

『誰かに応援に向かってもらいたいのですが……ゲッターに追いつける機体となると……』

 

『それほど数はないな、輸送機の物資の積み込み作業もある。だが一番の問題は、ゲッターと共に戦える機体で無ければならないと言う事だ』

 

アステリオンやサイバスターなら確実に追いつけるが、ゲッターと比べるとパワー不足が否めない。ダイゼンガーはパワーはあるが、スピードで追いつけない、アウセンザイターはスピードとパワーが両立しているがゲッター線を使った武装はさほど多くなく、仮にインベーダーの大量発生となればジリ貧に追い込まれかねない。

 

「俺が行こう、R-SWORDなら十分に追いつける。それに戦力で言えば時間制限があるがシーツリヒターがある。後は……ラドラを連れて行く。試運転をしたいと言っていたからな」

 

「任せて良いかね? イングラム少佐」

 

「当たり前だ。嫌なら最初から言っていない……それに……俺も少し気になることがある」

 

武蔵の感じていた嫌な予感――奇しくもそれはイングラムも感じていた。無論完全に武蔵が感じていた物と同じという訳ではない……だが元々が因果律の番人であり、通常の人間と異なる世界、時間を生きているイングラムだから感じ取れる物があるのだ。とは言えそれを説明している時間はない、しかしもしもイングラムが感じたものが正しいのであれば……それはこの不利な状況を覆す切り札の1枚になるとイングラムは感じていた。

 

「ラドラ、という訳だ。着いて来てくれるな?」

 

格納庫に走りゲッターザウルスの調整をしていたラドラに声を掛けるイングラム。だがそれは、尋ねている口調でありながらも断る事を許さないと言わんばかりの強い響きがあり、それを感じ取ったラドラは薄く微笑んだ。

 

「着いて来いくらい言え、そっちの方がらしいぞ」

 

「なら言い直そう、着いて来い」

 

「言われなくても行くさ、俺も武蔵の後は追うつもりだったからな」

 

守りを手薄にする訳には行かないので出撃出来る面子は少数になる。そして少ない戦力で敵を殲滅する必要があるので高い戦闘能力を持つ機体が選ばれるという事でラドラは武蔵が飛び出した段階で自分に声が掛かる事を自覚していた。

 

「イングラム少佐、私も連れて行ってください」

 

イングラムがR-SWORDに乗り込もうとした時、後ろから自分も連れて行ってくれと声を掛ける者がいた。

 

「ラミア、ハガネの守りを手薄にする訳には行かないと分かっていて言っているのか?」

 

「分かっています、ですがヴァイサーガならシャドウミラーの転移反応を感知できますし、通信を傍受する事も出来ます」

 

転移で襲撃を仕掛けてくるシャドウミラーを確実に感知出来るのは同じシャドウミラーの機体だけだ。シーツリヒターの転移能力で離脱する事を考えていたイングラムだが、それに割り込まれれば態々シャドウミラーをハガネの元へと案内する事になる。

 

「すぐに出る。準備は出来ているか?」

 

「はい、問題ありません」

 

「よし、なら付いて来い。ラドラ、行くぞ」

 

最終的にイングラムはラミアの嘆願を聞き入れ、ラドラ、そしてラミアの2人を連れてゲッタートロンベの反応を頼りにハガネから出撃していくのだった……。

 

 

 

 

アースゲインのコックピットからエクサランスの戦いを見ていたアクセルは僅かな驚きと共に感心さえ感じていた。

 

「よくやる物だ」

 

あちら側では見たことないフライヤーフレームはその見た目から空中戦に特化した機体であるということは一目瞭然だが、飛行する事無く地に足を付けプラズマソードを振るっている姿を見て、なんらかの不具合、もしくはエネルギー切れで飛行出来ないのだろうとアクセルは予想をつける。空中戦特化の機体はその性質上装甲が薄く、白兵戦ではなく中・遠距離の戦闘が基本だ。

 

『うおおおおッ!! 負けてたまるかよッ!!』

 

『!?』

 

エルアインスの頭部にプラズマソードを突き立て、ぐったりと脱力したエルアインスの胴を蹴りつけて反転したエクサランス・フライヤーフレームが両腕を突き出しマシンキャノンを乱射する。牽制用の武器でさほど威力の無い武器だが、掃射すれば相手の足止めをすることは十分に可能だ。

 

『これで、どうだッ!!!』

 

地面に落ちていたエルアインスが使っていたアサルトカノンを拾い上げ、グレネードを発射しマシンキャノンで足止めしたエルアインスに1発で命中させる。

 

「ほう……やるものだ、態々レモンが俺に迎えに行かせた理由が判るな」

 

アクセルがラウル達といた時間は短く、その腕前を十分に理解していなかったが落ちていた武器をたくみに使い、そして数少ない使える手札を最大限に使い最大の戦果を得る……それはルーキーでは出来ない見事な戦いぶりだった。

 

「だが……それが通じるのはあくまで人間同士の戦いまでだ」

 

量産型Wナンバーズはあくまで様子見……本命である牛角鬼と双剣鬼に合図を出す。

 

「壊すなよ。エクサランスは回収する」

 

電子頭脳を搭載した量産型の百鬼獣であれ、命令を理解する程度の知性はある。エクサランスを破壊するなと言う命令を聞き入れ、頷くと同時に弾丸のような勢いでエクサランス・フライヤーフレームに突撃する牛角鬼と双剣鬼を見ながらアクセルはアースゲインのコックピットシートに背中を預ける。壊すなという命令をどこまで牛角鬼達が理解しているかは定かでは無いが、壊すなと命令しておけば手足は失うかもしれないが、死ぬ事はないだろうと楽観的にアクセルは考えていた。

 

(どの道あいつらは俺達に協力する事はない。パイロットとしての価値はないだろしな)

 

永遠の闘争の世界にラウル達が同意することはないだろうし、量産型Wナンバーズを一蹴したとしてもインベーダーやアインストと戦うには力不足は否めない。だがラウルを殺せばメカニックであるラージとミズホの協力を得れず、不完全な時流エンジンを完成させる事は出来なくなる上に1から作らせるのでは時間がかかりすぎる。力を見せつけ、抵抗する意志を折り言う事を聞かせる――その目的を成し遂げるのに百鬼獣は実に都合のい駒だった。

 

『シャアアッ!!!』

 

『ブモォオオッ!!!』

 

双剣鬼が雄叫びを上げ、自身の名前にもなっている双剣をエクサランス・フライヤーに向かって振るい、牛角鬼は嘶きを上げて鼻から火炎放射を放った。

 

『うわあああッ!! くそッ! なんなんだよッ! こいつらはッ!!!』

 

百鬼獣と初めて遭遇したラウルの動揺は激しいものだろう。だがラウルは百鬼獣の初撃を回避し、効果が薄いマシンキャノンで百鬼獣の装甲の薄い部分を狙い撃ちし、その動きを僅かに鈍くさせる。

 

『おおおッ!!!』

 

腰にマウントしていたデストラクションライフルを放つと同時に低空飛行でエルアインスの頭部に突き立ったままのプラズマソードの回収に向かうエクサランス・フライヤーフレームの動きにぎこちなさはなく、泥臭くも生き残るための術を心得ている者の動きだった。

 

『シャ……シャアッ!?』

 

「……ほう?」

 

双剣鬼の剣とプラズマソードが鍔迫り合いになると思った瞬間――双剣鬼の剣は宙を舞っていた。その光景に双剣鬼は驚きの声をあげ、アクセルは感心したような溜め息を漏らした。

 

『くたばれッ!!!』

 

自身の名であり象徴である双剣を失った事に動揺し、口をあけていた双剣鬼の口の中にデストラクションライフルの銃口を突っ込みエクサランス・フライヤーフレームは引き金を引いた。発射された熱線が双剣鬼の頭部を吹き飛ばし、双剣鬼は膝をついて崩れ落ちるように倒れると爆発炎上した。

 

『ブモォッ!!!』

 

牛角鬼がその爆発を突っ切ってきてエクサランス・フライヤーフレームの間合いに飛び込み、その巨大な角を振るう。

 

『くっ!! 嘘だろッ!? ぐうッ!?』

 

百鬼獣に仲間が破壊された事に動揺する思考回路はない。むしろ味方が破壊され、一瞬相手の視界を奪えばそれを利用して一気に攻め込むというのが百鬼獣の考え方だ。角の一撃を喰らい空中に弾き飛ばされたエクサランス・フライヤーフレームは空中で反転し、姿勢を立て直すがその高度は決して高くない。それを見てやはり何らかの不備があったから空中戦をしなかったかと理解したアクセルだったが、牛角鬼の装甲を見て首を傾げた。

 

「回復していない……?」

 

百鬼獣は修復装甲を持っている。ソウルゲインのEG装甲や、スレードゲルミルのマシンセルとはまた異なる仕組みの回復能力だが、並大抵の損傷は自動で回復する。百鬼獣である牛角鬼も当然回復能力を有しているのに回復していない事にアクセルは首をかしげ、インベーダーとアインストとの戦いの際もエクサランスの攻撃を受けたアインストとインベーダーは回復能力が低下していたことを思い出した。

 

「なるほど、レモンが時流エンジンが必要だと言ったのはこれか」

 

アインストやインベーダーの回復能力を阻害するだけではなく、百鬼獣の回復能力も妨害するのならば百鬼帝国へのカウンターへ成りうる。ヴィンデルは時流エンジンの転移能力に注目していたが、レモンはその先の事を考えていたようだ。

 

「なるほど……面白い」

 

そう笑ったアクセルの視線の先では、プラズマソードを構え突貫したエクサランス・フライヤーフレームに口内を貫かれ脱力している牛角鬼の姿があり、時流エンジンだけではなくラウル自身にも価値があると考えを改める。

 

「これで終わったと思うなよ、俺が相手だ。叩きのめしてお前を連れて行く事にしよう」

 

悠然とアースゲインに拳を構えさえ、エルアインス、そして牛角鬼、双剣鬼と戦い疲弊しているエクサランス・フライヤーフレームの前に立ち塞がるのだった……。

 

 

 

 

エクサランスのコックピットのラウルのコンディションが最悪なのはレイディバードでバイタルをチェックしていたラージとミズホにも分かっていた。

 

「これ以上はラウルさんが持ちませんッ! ラージさん、ここは投降するか……ッ」

 

「駄目です。それだけは出来ない」

 

「で、でも! このままじゃラウルさんがッ!!!」

 

「そんな事は僕も分かっているんですよッ!! でもラウルがそれを受け入れると思いますか!」

 

時流エンジンは停止寸前、予備動力はもう雀の涙ほどしか残っていない、そんな有様で万全な状態のアースゲインとアクセルと戦うのは不可能だ。

 

『うおおおおッ!!』

 

『気迫だけでは俺には勝てんぞッ!!』

 

空中戦が最大の武器のエクサランス・フライヤーフレームが地面に足を付いている段階で限界はもう見えているのだ。疲労困憊のラウルは最早精神力だけでエクサランスを動かしている状態で、正直自棄っぱちに等しい状態だ。我武者羅に振るうのがやっとのプラズマソードの一撃がアースゲインに届くわけがない、カウンターに掌底を叩き込まれたエクサランス・フライヤーフレームは腰を落とし、そこに追撃の肘打ちが叩き込まれエクサランス・フライヤーフレームは回転しながら地面にうつ伏せで倒れる。

 

「ら、ラウルさんッ!!!」

 

「不味いですよ……これはッ!」

 

今の一撃で完全でエクサランス・フライヤーフレームの頭部カメラは破壊された。その証拠にレイディバードに映るエクサランス・フライヤーフレームのステータスを映してる画面では頭部が完全に紅く染まり、右腕や左足にイエローアラートが灯っていた。

 

『さて、ラージ・モントーヤ、ミズホ・サイキ。これでお前達を守るものはいなくなったが……『誰が……ぐあッ!!!』その闘志は買うが……もうお前に出来る事は何もない、これがな』

 

アースゲインの足をエクサランス・フライヤーフレームが掴むが、アースゲインは簡単にそれを振り払い胴体を踏みつける。

 

「ら、ラウルッ!」

 

「ラウルさんッ!!」

 

ほんの少し、後ほんの少しアースゲインが力を込めればコックピットが破壊される――それを一目で理解したラージとミズホがラウルの名を叫んだ。

 

『悪いようにはしない、抵抗を止めろ。お前達が諦めればこの石頭も考えを改めるだろう』

 

完全に動きを封じられてもなお、エクサランス・フライヤーフレームはその手を動かし、アースゲインの足をコックピットからどかそうともがいているが、エネルギーが枯渇寸前のエクサランスではアースゲインの脚部フレームに僅かに傷をつけるのがやっとで、とてもではないが拘束からのがれれる雰囲気は無く、無駄な抵抗だった。

 

『俺はそう気が長くない、お前達だけいれば十分なんだぞ?』

 

アースゲインが足に力を込め、ラウルの苦悶の声が広域通信でレイディバードのコントロールルームに響いた。

 

「分かりました。分かりましたから、着いて行きます。だから……」

 

エクサランスから足をどけろとラージが口にしようとしたその時――レイディバードの頭上を轟音を立ててミサイルが通過したのだ。

 

『ちいっ!』

 

アクセルは舌打ちと共にアースゲインを後退させる。だがミサイルを放った何者かはアクセルの回避運動も予測していたのか、ミサイルはアースゲインを捉え、その爆風によってエクサランス・フライヤーフレームから引き離し、ミサイルを放った何かが姿を現し、ラージとミズホは驚きに目を見開いた。

 

「あれはッ!? ゲットマシン……もしかして武蔵さんじゃ」

 

「良く似ていますが別物ですよ、なんですか……あれは」

 

ラージとミズホの知るゲットマシンはゲッターD2の物であり、初代ゲットマシンを見たことがなく、困惑しているラージとミズホの耳を武蔵の怒号が打った。

 

『チェンジッ!!! ゲッタァアアアアアア――ッ!!! ワンッ!!!!』

 

ゲッターD2と異なり、鉄板を丸めるだけの技術しかないようなずんぐりとしたフォルムのゲッターロボが地響きを立てながらエクサランス・フライヤーフレームの前に着地し、アースゲインからエクサランスとレイディバードを守るように立ち塞がる。

 

「味方?」

 

「まだ信用するには……それに僕達が知っている武蔵とは違うかもしれないですよ」

 

ラージ達にとっては初見であり、味方と口にするミズホにラージが信用するに早いと口にしかけたとき、ゲッターロボから武蔵の声が響いた。

 

『遅れて悪い! 助けに来たぜ! ラウルッ! ラージ、ミズホッ!』

 

武蔵の力強い助けに来たと言う言葉、そして自分達の名前が呼ばれた事で自分達の知る武蔵だと分かり、ラージ達はやっと助かったと安堵の溜め息を吐く事が出来た。だが状況は決して好転した訳ではなく……武蔵がこの場に現れたことで更なる来訪者が現れようとしているのだった……。

 

 

 

 

火花を散らし立ち上がる事が出来そうに無いエクサランス・フライヤーをゲッタートロンベで庇いながら武蔵は油断無くアースゲイン……いや、そのパイロットであるアクセルを見つめていた。

 

(ソウルゲインじゃないからって安心は出来ねえな)

 

アースゲインのカスタムタイプがソウルゲインということは武蔵も知っている。ソウルゲインより劣るかもしれないが、油断できる相手ではなく、そして自分もゲッターD2ではなくゲッタートロンベを使っているので互いに本来の機体ではないという条件は同じだ。

 

『思ったよりも早い再会だな、これがな』

 

「そうですね、しかしまぁ……随分と痛めつけられたのに元気そうですねッ!!!」

 

ゲッタートマホークでアースゲインを両断せんと振るうが、アースゲインは腕を巧みに使いゲッタートマホークを受け流し、地面へと叩きつけさせる。

 

『随分とご挨拶だな、少しは心配してくれてもいいんじゃないか?』

 

「そうですねッ! アクセルさんが永遠の闘争なんて物を諦めてくれていたら心配してもいいんですけどねッ!!」

 

ゲッタートマホークの横薙ぎの一閃とエネルギーを蓄えたアースゲインの左拳がぶつかり合い、周囲に凄まじい衝撃波を撒き散らす。

 

「うおらあッ!!!」

 

『ちい、馬鹿力がッ!!!』

 

しかし拮抗は一瞬でゲッタートマホークの一閃にアースゲインの身体が宙を舞う。だがアクセルも力負けするのは最初から分かっており、ゲッタートマホークの勢いを利用して飛んでいた為派手に飛んだように見えるがダメージは低く、即座に空中で体勢を立て直し両手をゲッターに向かって突き出した。

 

『虎閃掌ッ!!』

 

掌から放つのは青龍鱗と同じだが、青龍鱗の試武装である虎閃掌には青龍鱗ほどの威力はない、だが青龍鱗よりも優れている部分もある。それは連射速度だ、威力が低い変わりに連射できる虎閃掌はゲッタートロンベに向かって降り注ぎ続ける。

 

「くそッ!!」

 

1発1発の威力は決して高くないが、余りにも連射が続く事に武蔵は舌打ちと共にゲッターウィングで身体を覆い防御姿勢に入る。アクセルのような白兵戦のスペシャリスト相手に一時的にも視界を狭くするのは自殺行為に等しいが、防御力が低く装甲を再生するのもゲッターD2ほど早くないゲッタートロンベではダメージを受けすぎればまともに動けなくなる可能性が高いからこその判断だ。

 

『甘いぞ武蔵ッ!!!』

 

防御の為に視界を狭めたゲッタートロンベを見たアクセルはアースゲインの両腕にエネルギーを集束させながら、ブースターで加速し流星のようにゲッタートロンベへと突撃する。

 

『獅子吼烈破ッ!!!』

 

アクセルの裂帛の気合と共に放たれた衝撃破は装甲を砕くと共に内部にその衝撃を浸透させる。

 

「うっぐうッ!?」

 

それはソウルゲインにはない、内部を攻撃する武装だった。エネルギーの消耗が激しく、超至近距離に接近する必要がある為にオミットされた武装だが、破壊力は折り紙つきでその衝撃に流石の武蔵も苦悶の声を上げる。

 

「甘いのはアクセルさんもだぜッ!!」

 

しかし武蔵も強烈な一撃を受ける事は計算に入れていた。防御を固めればアクセルの性格ならば踏み込んでくると十分に理解していた、ゲッターウィングの中に隠していた左腕を突き出すゲッタートロンベを見てアクセルはぎょっとした表情を浮かべた。

 

「ミサイルマシンガンッ!!!」

 

左腕の装甲が展開され、そこからミサイルを弾丸のように装填したマシンガンが突き出されたからだ。ゲッタートマホークやレザーなら避けて反撃出来ると身構えていたアクセルにとってそれは想定外の武器だった。

 

『ぐっ!? 正気かッ!?』

 

至近距離でミサイルを乱射される。ゲッタートロンベとアースゲインの間でミサイルが爆発し、アースゲインとゲッタートロンベの装甲を容赦なく穿った。

 

『ちいっ!!!』

 

ミサイルの爆風を利用しアースゲインはゲッタートロンベから距離を取ろうとするが、続け様に放たれるミサイルマシンガンの弾雨と爆風に吹き飛ばされアースゲインはごろごろと転がり、片膝を付いて動きを止めた。

 

「……ちっ、D2に馴れすぎちまったな」

 

動きを止めたアースゲインにミサイルマシンガンの銃口を向けたままの武蔵はベアー号のコックピットで舌打ちをする。誘い込んだまでは良かったが、思った以上にミサイルマシンガンの余波でゲッタートロンベはダメージを受けてしまっていた。ゲッタートロンベの装甲や修復能力が弱い事は武蔵も分かっており、それを加味した上での攻撃のつもりだったが……ゲッターD2に馴れすぎている武蔵は攻撃の反応を見誤っていた。ゲッターウィングで隠していた右半身は無傷だが、ミサイルマシンガンを握っていた左腕周辺のダメージは大きく、そして修復速度も遅く、こうして構えているがアクセルがミサイルマシンガンが無視して突っ込んでくれば、左の反応が鈍くなっているゲッタートロンベではアクセルが操るアースゲインの猛攻撃を防ぐのは厳しい……せめて装甲の再展開が済むまではアースゲインが突っ込んでこないようにとブラフでミサイルマシンガンを構えたままでアクセルに威圧を掛ける事しか出来なかった。

 

「ちっ……見誤ったか……」

 

そして一方のアクセルも舌打ちと共にイエローアラートを点灯させるアースゲインのモニターに視線を向けていた。武蔵がゲッターD2に馴れすぎてゲッタートロンベの耐久力を見誤ったのと同じ様に、アクセルもまたソウルゲインと勝手も違うアースゲインに無茶な動きをさせたツケが回って来ていたのだ。肘や膝への過負荷によって冷却が済むまでまともに動く事が出来ず、そんな有様で圧倒的な攻撃力を持つゲッターロボに白兵戦を仕掛けるほどアクセルは馬鹿では無かった。少なくとも、冷却が済むまではこうしてゲッタートロンベと睨みあう事しか出来なかった。

 

「……脚部と肘に過負荷か……ちっ、ままならんな、これがな」

 

ラウル達の回収が目的であり、戦闘は最初から前提とされていなかった。勿論出撃した以上ある程度の戦いになる事は考慮していたがゲッターロボとの戦いは完全に想定外だった。

 

「回復したか……これで数は完全に俺が不利か、これがな」

 

エクサランス・フライヤーフレームがレイディバードにもたれるように身体を起こし、デストラクションライフルを構えているのを見て、アクセルは溜め息を吐き頭を左右に振った。

 

「こんな簡単な任務も出来んとは……俺も耄碌したか」

 

簡単な任務のはずだったんだがなと自嘲気味に笑うアクセルはこの場をどうやって切り抜けるかと頭を巡らせながらアースゲインに拳を構えさせる。動かないゲッタートロンベが不具合を起しているのか、それとも誘い込もうとしているのかの判断が付かず、アースゲインを攻め込ませるわけには行かない。無理に攻め込み、鹵獲でもされようならそれこそ目が当てられないからだ。

 

「千日手か、これがな」

 

「……くそ、このままじゃ不味いよなあ」

 

アクセルはこの場から逃げるか、武蔵を出し抜いてエクサランスを回収したいがゲッタートロンベが立ち塞がっているので、自力で動けないエクサランスに近づく事も出来ない。武蔵も武蔵でラウル達を守らなければならないのだが、アースゲインに懐を取られればゲッタートロンベでは振り払うのは極めて難しく、そして瞬発力や反応速度で劣っているため近づけさせないようにミサイルマシンガンで威圧を続ける必要がある。だがアクセルと武蔵と脳裏には常にどちらかの援軍、あるいは増援が来る可能性がある……何時までもこうしてにらみ合っているわけには行かないと焦りがジリジリと背中を焼き始める。

 

「後ちょっと……」

 

「何時までもこうしているのは俺の性に合わんな」

 

ゲッタートロンベの装甲の再展開が終わるのと、肘や膝の冷却が済み再びアースゲインが戦闘可能になるのはほぼ同時であり、申し合わせた様にアースゲインとゲッタートロンベが動き出そうとしたその時、上空から凄まじいエネルギーの雨がゲッタートロンベとアースゲインに向かって降り注いだ。

 

「何ッ!?」

 

「くそッ! 何の反応もッ!」

 

周囲は常に警戒していた。だがアクセルも武蔵にも何の気配も感じさせず、奇襲を成功させた何かは地響きを立て、エクサランス・フライヤーフレームとレイディバードの前に降り立った。

 

「……な、なんだよこれ……メタルビーストかッ!?」

 

「何の反応もありませんでしたよ……なんなんですか、あれは」

 

「分かりませんですが……1つだけ言えますよ、あれは敵だとね」

 

丸太の様な8本足を持つ獣の上に4本の腕と天使のような意匠を持つ翼を6枚生やした胴体、そして頭部はそれぞれ表情の違う顔が3つ……全く違うものを無理矢理1つに纏めたような異形の姿があった。その姿を見て動けないラウル達は驚きに目を見開いた。

 

「やっりい、これで時流エンジンに加えてゲッターロボも持って帰れる♪」

 

「そうだね、上手く行ってよかった……」

 

「で、でも……上手く行きすぎて……なにか怖いですね」

 

異形の巨人――感情を意味するカルディアのコックピットの中ではティス、ラリアー、デスピニスの3人が時流エンジンとゲッター炉心を手に出来たと喜びの表情を浮かべていた……だがデスピニスの言った通り、物事と言うのはそう簡単に行かないものである。

 

「ゲッタァァアアアアッ!! ビィィイイイムッ!!!!!」

 

「虎閃掌ッ!!」

 

砂煙の中から姿を見せたゲッタートロンベとアースゲインの放ったゲッタービームと虎閃掌がカルディアに直撃し、その巨体を大きく揺らす。ビームの雨に打たれた筈のゲッタートロンベとアースゲインは煤と砂汚れこそあるが、万全な状態でカルディアの前に立っているのを見てティスが目の前に座っているデスピニスの頭に手を伸ばし、梅干をしながら文句を口にする。

 

「ちょっと!デスピニスが変な事いうからッ!!」

 

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいッ!! 痛い、いたいいたいッ!」

 

「ティス、デスピニス。そんなことしてる場合じゃないよ……来るよッ!!」

 

敵同士である武蔵とアクセルだが、2人ともどちらかと言えば柔軟性がある性格をしている。

 

「一応聞いておきますけど、あれ、作ったのレモンさんですか?」

 

「馬鹿を言え、幾らあいつでもあんな奇妙な物は作らん。それよりも……」

 

「分かってますよ、オイラ1人じゃあれには勝てそうにないですし……」

 

「勿論俺1人でもあれには勝てん」

 

単騎で倒す事が出来ない強大な敵を前にいがみ合うほどアクセルも武蔵も馬鹿ではない。例えて敵同士であったとしても……生き残る為に一時的に共闘することに何の躊躇いも迷いもない。

 

「とりあえず共闘って事で良いですよね?」

 

「どちらかの援軍が来るまでだがな」

 

「OK、それで行きましょうかッ!!」

 

メタルビーストでもインベーダーでもない、異形の化物を前にアクセルと武蔵は共闘を選択し、2機でカルディアへと向かって行くのだった……。

 

 

第198話 2つの再会 その5へ続く

 

 




と言う訳でホムンクルス3人組は3機が合体した異形の特機で出現です。それを前にして武蔵とアクセルは共闘を選択、ラウル達は戦えないので放置と言う事になります。あと今作では時流エンジンはインベーダー・アインスト・百鬼獣特攻なのでかなり効果的に戦えるパッシブがあります。今回はオヤスミですけどね、次回はゲッターザウルス、RーSWORD、ヴァイサーガも合流させようと思いますので次回の更新もどうかよろしくお願いします。

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
  • 今のままで良い
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