第198話 2つの再会 その5
ついさっきまで殺し合いをしていたアクセルと武蔵だったが、共通の脅威である異形の巨人カルディアスを前に蟠りは微塵も無かった。
「なんでさっきまで殺し合いをしてたのに……あんな風に協力出来るんだ?」
時流エンジンによって少しずつエネルギーが回復してきているエクサランス・フライヤーフレームのコックピットモニターに映し出されている光景を見てラウルは信じられないという表情を浮かべた。確かにインベーダーとアインストが闊歩する地獄では敵同士でも協力し合っていたが、それは協力と言う名の囮であったり、壁であったりと……決して健全な協力関係ではなかった。
『ちっ!!』
8本の足と4本の腕、そして3つの頭部と言う異形の姿をしているカルディアスに苦手な距離などは存在せず、その巨体さ故に動きが鈍いと予測したアクセルはアースゲインで足の間に潜り込もうとしたが嵐のような連続攻撃、そして足の間から放たれるビームに潜り込んだ下腹部から脱出する事も出来ず、只管回避に専念する嵌めになっていた。
『アクセルさんッ!!』
ゲッター・トロンベがゲッターウィングをその手に持ち、アースゲインに向かって投げる。武蔵が何をしたいのかを理解したアクセルは飛んで来たゲッターウィングを腕に巻きつけるようにして掴んだ。
『いいぞッ!!』
『せいやあッ!!!』
ゲッターD2と比べれば性能の劣るゲッター・トロンベだが、新西暦基準で考えれば破格の性能を持った特機である事は間違いない。フルパワーを発揮すればアースゲインを持ち上げて引き寄せるくらい訳ないのだ。
『助かったぞ、これがな』
『別に良いですよ、だってこいつ……オイラ1人じゃ絶対死ぬ相手ですし、思う事はありますけど助け合わないと』
シャドウミラーであり、永遠の闘争の世界を作ろうとしているアクセルに武蔵だって思う事はある。だが、それさえなければアクセルの気質は竜馬と似通っており、武蔵からすれば親しみの持てる性格をしている。つい数分前まで殺し合いをしていようが、自分が生き延びるためならば利用、いや協力し合えるというクレバーさが武蔵にもアクセルにも合った。
「なんであんなに協力し合えるんだ……?」
それはラウル達が知らない関係性と言っても良いだろう。そもそもラウル達は武蔵達やシャドウミラーと行動を共にした時間はかなり短い、それ故に武蔵やアクセルの人柄を完全に把握出来ていなかった事が混乱する要因となっていたが、いつまでも混乱したままでいれるほど今の状況は甘くない。
『ラウル、時流エンジンの稼働率はどうなってますか?』
ラージからの言葉にラウルはハッとした表情になり、殆ど機能停止しているコックピットの中で僅かに稼動しているシステム部とコンソールに指を伸ばし、現在のフライヤーフレームの状況を詳しくラージへと伝える。
「今37%だ。安定稼動まで後33%って所だな。フレームの状況はあちこちイエローとレッドだけど……機能停止まではしてない。なんとかして動きたいんだが……そっちでサブ動力のリミッターを外せないか?」
動けない的であるエクサランス・フライヤーフレームをカルディアスが狙っているのでアクセルと武蔵は思うように動けない、戦いに参加しないとしても責めて逃げるくらいは出来ないかとラージに問いかける。
『無理ですよ、サブ動力のエネルギー残量は空っぽです。大人しく時流エンジンの回復を待つか、それともシャドウミラーに回収されるか、あの化物に連れ去られるかのどれかですね』
淡々と言うラージだが、その声色の中に隠しきれない苛立ちを感じ取り、ラウルは小さくすまないと謝罪の言葉を口にした。
『ラウルさん、どの道今のコンディションでは逃亡も難しいです。今からフライヤーフレームのエネルギー回路を再構築して、右腕だけでも使用可能にします。それならもっと早く動けます』
「ミズホ、俺は何をすれば良い?」
『今から言う通りにしてください、メンテナンスモードを起動してそこから即席でプログラムを組みます。ラージさんも手伝ってください』
『言われなくても分かってますよ。さっきはああは言いましたが……僕も黙ってみているつもりはないですから』
「よっし、やるぞッ!!」
今のラウル達に出来る事は多くない、だが武蔵達に頼りきり何もしないと言うのはラウル達とて本意ではない。少しでも良い今の自分達にも出来る何かをする為にラウル達は協力して、エクサランス・フライヤーフレームを再起動させる為に動き出すのだった……。
カルディアスはその巨体から圧倒的な攻撃力と防御力を有していたが、巨大さゆえの機動力の低さと言う明確な弱点があった。そして武蔵とアクセルはアインストやインベーダーとは腐るほど戦っている……それが何を意味するかと言えば、巨体な異形の敵とは嫌と言うほどに戦いなれているのだ。
「ああああッ!! 当らない当らないッ!!!」
「て、ティス……お、落ち着いて……ッ」
「やたらめったら攻撃しても当たらないよ!?」
特機と準特機であるゲッター・トロンベとアースゲインは決して機動力に長けた機体ではない。高火力の鈍足な機体と言うのはカルディアスと似通っていて、同じ弱点を持つ筈なのに攻撃が当らない事にティスが怒りを露にし、デスピニスとラリアーが止めようとするが、頭に血が昇っているティスにその言葉は届かない。
「このこのこのッ!!」
4本の腕に3つ又の槍と巨大な西洋剣を召喚し、槍による突き刺しと薙ぎ払いと広範囲攻撃でゲッター・トロンベとアースゲインを攻撃しようとする。
『舐めるなよッ!』
『アクセルさんッ!!!』
『ふっ! 任せろッ!』
アースゲインは回し蹴りで伸ばされた槍を中ほどから折り、ゲッター・トロンベはゲッタートマホークで剣を受け止めて、受け流すと地面に突き刺さった剣を踏み台にするようにとアクセルに合図を出し、アースゲインは剣を踏み台にして跳躍すると同時にカルディアスの3つの顔面の高さまで飛びあがる。
『虎閃掌ッ!!』
突き出された両腕から放たれた光線が顔を貫き、その衝撃とダメージにティスとデスピニスは思わず悲鳴を上げた。
「うあッ!? ば、化け者じゃないのさッ!?」
「き、きゃあ……ぜ、全然通用してないです」
カルディアスの巨体では牽制用の虎閃掌では大したダメージはない、だが実戦経験のないティスとデスピニスに精神的なダメージを与える事に成功していた。
『化物に化物などと言われる謂れはないなッ!!!』
明らかな動揺を見逃すほど、アクセルは甘くはない。その巨体に着地し、飛びあがると同時にアッパーを放ち再びカルディアスの顔面を殴りつける。
『殺しはしねえよ、だけどなんでこんな事をしたのかは聞かせてもらうぜッ!!』
アースゲインが折った槍の切っ先を掴んだゲッター・トロンベが全力で投げつける。
「うあッ!?」
「……あ、あわわわわッ!?」
顔への攻撃は回避したが、カルディアスの首元に突き刺さった槍にティスとデスピニスは驚きと恐怖を隠しきれなかった。
「ティスッ! 僕がやるッ! 2人はサポートしてッ!」
「あ、あたいがやって良いって言ったじゃないか!」
「このままだと何にも出来ないで死ぬよッ! だから僕がやるッ!」
普段は気弱なラリアーだが、姉弟である2人に悲鳴を何度も聞いて黙っていられるほど臆病ではない、2人を守ると強い意志を見せるラリアーにティスとデスピニスは反論する事が出来なかった。
「分かった。ラリアーに任せるよ」
「さ、サポートは……が、頑張りますッ!」
「うん、よろしくねッ!!」
白兵戦が得意ではないティスからラリアーへと操縦が変わったことでカルディアスの動きは全く別物になっていた。
「なーんか、手強くなりましたね」
「ああ……向こうも様子見をしていたと言うところか」
ラリアーへと操縦が変わったことで動きが変わった事をアクセルと武蔵は即座に見抜き、1度カルディアスから距離を取る事を選択する。そしてそれは正しい選択だったとすぐに武蔵とアクセルは思い知ることになるのだった……。
ラリアーへと操縦が変わったカルディアスはティスが操縦していた時と異なり、どっしりと構え4本の腕の右下の腕の手首からバリアを展開し、左下の腕は突撃槍を油断無く構えるその姿は8本足の異形ではあるが、馬上騎士あるいはケンタウロスのような姿をしていた。
「どわっとッ!!」
反射的に武蔵はレバーを傾け、ゲッター・トロンベを横っ飛びさせた。ついさっきまでゲッター・トロンベが立っていた場所には巨大な突撃槍が突き刺さっていた。
「やっべえ……あの間合いで届くのかよ」
8本の足を利用した爆発的な加速……それを目視するのは武蔵でもかなり難しく、武蔵の動物的直感があってこそ避けれたが、それも偶然に近い。
「うっ! くそッ!!」
『ちいっ! 厄介になったなッ!!』
さっきは闇雲に剣や槍を握り振り回していただけだが、今は上の2本の腕は杖のような物を手にし、そこから7色に輝く光線を放ち背中の翼から拡散する熱線による範囲攻撃を繰り出しながら崖に突き刺さっている突撃槍を抜き放ち、再びそれを構え8本の足で地面を蹴り始める。
「アクセルさん、気付いてます?」
『……もう1人いたな。あいつ3人乗っているな?』
「ですよねー……女の子の声がしてやりにくいなって思ってたんですけど……あれ油断させる為の戦法だったんですかね?」
『……ありえるな』
嵐のような波状攻撃を回避しながら武蔵とアクセルはカルディアスの攻撃を避けながら、カルディアスの分析をしていた。
『行きますッ!!』
短いが気合の乗った声がカルディアスから響き、8本足で飛びあがったカルディアスが足から光線を放ちながら急降下してくる。その光線自体は決して威力の高いものではない、だが問題は翼と杖と組み合わせた超広範囲攻撃であり、当たろうが当らなかろうがゲッター・トロンベとアースゲインの動きを止める為の範囲攻撃だった。
『はああっ!!』
長い突撃槍を利用しての突き下ろしは落下速度と相まって閃光のようで、アースゲインの左肩を穿ち根元から弾き飛ばす。
「アクセルさんッ!!」
『くそがッ!』
片腕を失いバランスを崩したアースゲインをゲッター・トロンベが援護に入る事で何とか突撃槍を回避する事は成功したが、アクセルを助ける為に飛び出したゲッター・トロンベも数発被弾しており、装甲版に巨大な穴が空いていた。
「やっべえ……ッ! 流石にゲッター・トロンベじゃ厳しいなあ。アクセルさん、そっちはどうですかね? 余力あります?」
『あると思うか?』
EG装甲のないアースゲインはソウルゲインに酷似こそしているが、機体性能もパワーもソウルゲインより格段に落ちる。武蔵とアクセルが協力しても、カルディアスを倒すには力不足は否めなかった。
『大人しく、してください。僕は殺すつもりはありません、ゲッターロボと、鍵さえ同行してくれればそれでいいんです』
突撃槍の切っ先をゲッター・トロンベとエクサランス・フライヤーフレームに向け、投降しろと降伏勧告をするラリアーの姿は勝利を確信したものであったが、それは武蔵とアクセルを甘く見ているという証拠だった。
「降伏なんかするつもりはねえよッ!!」
『そういうことだ、勝利を確信するにはまだ早いぞッ!』
確かに機体の性能の差はあるが、その程度で諦めるほど武蔵もアクセルも柔な男ではない。例え勝利の可能性が1%しかなかろうと、諦めない不屈の意志を持ったアクセルと武蔵がその程度で心を折るわけがない。
「とりあえず……突っ込みますか?」
『はっ!』
「嫌ですか?」
『いや、名案だッ!! 突っ込んでぶちのめす。物事はこれくらいシンプルな方が良い、これがなッ!!』
突撃槍の攻撃力と展開しているバリアの防御力は厄介だが、裏を返せばそれ以外の攻撃はさほど脅威ではない、ビームなどの攻撃も攻撃範囲こそ広いがそれまでだ。胴体部に組み付けば十分に勝機はあると踏んだ武蔵とアクセルが選んだのは特攻に等しい突撃だった。
「ミサイルマシンガンッ!!!」
『うおおおおッ!!!』
ミサイルマシンガンを乱射し突撃するゲッター・トロンベの後を残された右腕に限界までエネルギーを溜めたアースゲインが続く。
『特攻!? 正気ですか!?』
「正気も正気よッ!! 真正面からぶち破るッ!!!」
ミサイルマシンガンは当然ながらバリアに阻まれてカルディアスには届かない、だがそれで良いのだ。ミサイルマシンガンの弾頭はゲッター合金、そして動力もゲッター線。そんなものが何十発も爆発すれば何が起こるかは簡単に予想がつくはずだ。
『しょ、照準が合わない』
『なんで、どうして!?』
ゲッター線の残滓がジャミングの役割を果たし、厄介だった広範囲ビームの照準を著しく乱す。広範囲のビームの雨さえ降り注がなければゲッター・トロンベとアースゲインはカルディアスの懐に飛び込むことは十分に可能だ。
「ゲッタァアアッ!!! ビィィイイイムッ!!!」
そしてゲッタービームの射程距離に入ると同時に武蔵の雄叫びと共に放たれたゲッタービームがカルディアスの展開しているエネルギーバリアを音を立てて粉砕する。
「アクセルさんッ!!」
『任せろッ!!』
頭を下げたゲッター・トロンベの背中を踏み台にし、アースゲインが跳躍する。
『さ、させないッ!!!』
「させねえのはこっちだッ! 馬鹿野郎ッ!!!」
上空に飛び上がったアースゲインを迎撃しようとデスピニスが頭部を操り、ビームを放とうとするがそれよりも早くミサイルマシンガンの弾雨がカルディアスの上半身を飲み込んだ。
『うおおおおおッ!!! 獅子吼烈破ッ!!!』
ほぼすべてのエネルギーをつぎ込んだ獅子吼烈破がカルディアスの胸を貫き、大爆発を引き起こす。
『これでどう……『ま、まだですッ!!』……なにいッ!?』
アクセルと武蔵の狙いは良かった、最初のぶつかり合いで頭部に攻撃を当てたが反応が無かった。コックピットは別の場所にあると予測し、8本の多脚と繋がっている下半身は細くとてもコックピットがあるようには見えず、消去法で胸がコックピットだと当たりをつけた。そしてパイロットが幼い少女達であると言うことからコックピットを攻撃すれば恐怖で動かなくなる筈だと踏んでいた。アクセルと武蔵の推理の通りコックピットは胸部であり、獅子吼烈破の一撃はコックピットに凄まじい衝撃を与えていた。それこそ並の人間ならば気絶するほどの会心の一撃だった。
「こっ、のおおッ!!!」
「ま、まだですッ!」
だが幼い少女達と言うのが間違いだった。確かに容姿は幼い……それこそ10歳に届くかどうかと言う幼い容姿だが、ティス、ラリアー、デスピニスの3人は見かけ通りではない、デュミナスが生み出したホムンクルス「テクニティ・パイデス」であり痛みには強く、そして死への恐怖心もかなり弱いものだった。コックピットを攻撃された恐怖は、即座へと怒りに変換された。正しそれは自身が殺されかけたものに対する怒りではない、創造主であるデュミナスの役に立たずに死ぬ所だったと言う事に対する怒りだった。確実にアースゲインを破壊せんと2本の腕、そして3つの頭部、翼……その全てがアースゲインに向けられた瞬間上空から漆黒の光が降り注いだ。
「うわあッ!?」
「くううッ!?」
「て、敵ですかッ!?」
完全に予測していなかった角度からの攻撃にラリアー達は悲鳴を上げながらカルディアスを後退させ、攻撃してきた何かを探そうとし、3人の目の前に広がったのは攻撃してきた相手ではなく、無機質な殺意に満ちた攻撃だった……。
『こいつも喰らえッ!!』
『……狙いは外さんッ!!』
棘つき棍棒であるダブルシュテルン、そして地面を走ってくるエネルギーの刃が続けてカルディアスに命中し、再び大爆発を引き起こした。その爆風でアースゲインは吹っ飛ばされ、ゴロゴロと地面を転がり右腕を地面について立ち上がらせ、モニターに映る3つの機影を見てその顔を歪めた。
「はっ……早かったのは武蔵の援軍のほうか、それとも俺は見捨てられたか?」
ゲッターザウルス、R-SWORD、そしてヴァイサーガの姿を見てアクセルは自嘲気味に笑みを浮かべる。
『随分と面白いことになってるな、武蔵。エクサランスもそうだが、アクセルと手を組むことになったのか?』
「イングラムさん、助かりました。この状況じゃそれしかなかったんですよ」
R-SWORDのイングラムからの通信に武蔵はそう返事を返し、再びカルディアスへと向き直る。
『アクセル隊長は……逃げてきたのですか?』
『馬鹿を言え、ラミア。俺はあれを回収しに来ただけだ、その中でこの化物に狙われてな、武蔵と手を組んだだけだ』
アクセルがもしかしてシャドウミラーを抜けたのでは? と思ったラミアの問いかけをアクセルが一蹴すると、ゲッターザウルスが手にしているダブルシュテルンがアースゲインに向けられようとしたのをゲッター・トロンベが止める。
「止めろ、ラドラ」
『……武蔵分かっているのか?』
「十分分かってる。だけどアクセルさんがいなきゃオイラは死んでたんだ……それにあいつを倒すまでは協力するって約束だ、約束を破るわけには行かないだろ?」
武蔵の言葉にラドラはふんっと鼻を鳴らし、ゲッターザウルスをカルディアスへと向ける。
『ずいぶんと厄介そうな相手だな』
「ああ、かなり強い。それに攻撃範囲も広くて厄介……なッ!?」
武蔵が簡単にカルディアスの事を伝えているとカルディアスの周辺に黒い穴が展開され、そこからメカザウルス、百鬼獣、そして量産型Rシリーズが姿を見せ、カルディアスを守るように陣形を組んだ。
『なるほどな……あいつらが何者か大体判ったぞ』
「あんときのピンク色の奴っすね?」
『ああ、どうもあいつらもこの世界に来ているようだな……これは面倒な事になったぞ、ラミア、ラドラ。後ろで倒れている機体を守りながら可能ならあいつを鹵獲する……下手をするとかなり厄介な相手がこの世界に現れたかもしれん……アクセル』
『なんだ、イングラム』
『手伝え、お前もこんな所で死ぬわけにはいくまい?』
唸り声を上げるメカザウルス、そして百鬼獣に囲まれている状況で単騎での離脱は不可能なのは誰の目から見ても明白だ。片腕こそ失っているがアースゲインとアクセルの力は今の状況では見逃せない戦力である事は間違いない。
『切り抜けたのならば俺を見逃せ、良いな?』
『それで構わない、最も無事に帰れるかどうかまでは知らんがな、投降すると言うのならば手厚く迎え入れるがな』
『それこそありえん、この場を切り抜けるまでだ。これがな』
あちら側で何度か現れたデュミナスの事を思い出したイングラムはアクセルとこの場限りの共闘を約束し、謎の第3勢力の存在をハッキリと確信し、ずっと引っかかっていた物の正体をいまハッキリと確信した。
(メタルビースト・SRXは自己再生、自己進化したのではない……何者かが意図的に進化させていた。となれば恐らく……アルタードもそいつらが作り出したと見て間違いないな)
メタルビーストの自己再生、自己進化の能力は確かに脅威ではあるが、考えてみてみれば旧西暦であれだけ破壊されて、自身の能力で再生しきれる訳がない。何者か……恐らく目の前のカルディアスを作り上げた何者か、あるいは組織がメタルビースト・SRXを使役している、そしてその組織はメカザウルスと百鬼獣すら複製出来るほどの科学力を有している。それはインスペクターや百鬼帝国に匹敵、いやそれを上回る脅威がフラスコの世界に現れた瞬間なのだった……。
時空の狭間でティス達の戦いを見ていたデュミナスはいま自分がとった行動に驚いていた。
(……造りなおしは効く……それなのに私はあの子達を失いたくないと思った……?)
カルディアスは試作的な機械人形であり、まだその完成度は決して高いとは言えない。それ故に3人で操縦させ、複数のコンセプトを1つに纏めたキメラのような機械人形だ。巨体を利用し、圧倒的な攻撃範囲で相手を制圧する。自身が求める鍵であるエクサランスを回収させるためだけに準備した機体であり、到底ゲッターロボ等と戦える機体ではない。
『ふんッ! 所詮は有象無象かッ!!』
ゲッターザウルスがダブルシュテルンを振るい、メカザウルスを薙ぎ払う。そしてその巨大な尾でカルディアスを殴りつける。
『うあッ!?』
『きゃあッ!!』
『く、くそ……ッ! あ、あたい達はまだやれ……うああッ!?』
カルディアスの巨体が簡単に宙を舞った。まだ調整段階ではあれど、爬虫人類の中でも飛びぬけた生体パルスを持つラドラが乗れば、その機体性能は驚くほどに上昇する。ゲッターD2とまでは言わないが、それに匹敵するパワーを発揮しているゲッターザウルスを試作機械人形であるカルディアスでは受け止められるわけがない。
「ティスッ! ラリアー……ッ! デスピニスッ!!」
手駒の筈なのに、自身の目的を成し遂げる為の駒でしかないはずなのに……ティス達の悲鳴にデュミナスは思わず悲鳴を上げた。
「あ……あああ……痛いいたいイタイッ!!!」
身体が軋む、心が痛む、何か……そう、何かとても大事な事を思い出しかけているのに……零れ落ちていってそれが形にならない。
【……の使命は……と……為……に……守……育……事……頼んだ……よ】
【貴様……の使命……は……の為に……戦士……ア……を……抹……こと】
2つの声がデュミナスを掻き乱す、1つは優しい声、1つは冷酷な声……その2つの声がデュミナスの中に響いて、徐々に消えていく……。
「私は……」
何をするべきなのか、脳内に響いた2つの声……どちらが正しいのか、何が間違っているのか……デュミナスは闇の中で考える。
(……あの子達はまた造れる。だからここで死んでもいい)
従がうべき声は後者の声のような気がしていた。エクサランスも回収できないのならば、戦闘データを得る為に死ぬまで戦わせるのが正しいことだ。
『『ゲッタァア――ッ!! ビィィイイイムッ!!!』』
ゲッター・トロンベとゲッターザウルスが同時に放ったゲッタービームにカルディアスが飲み込まれ、ティス達の悲鳴が響いた瞬間デュミナスは動いていた。自身の力を消費すると分かっていて、自分の目的を成し遂げるのに更に時間が掛かると分かっていても……己の心には逆らえなかった。ゲートを開き、ゲッタービームに飲み込まれたカルディアスを回収し、複製したメカザウルスと百鬼獣、そして量産型Rシリーズを送り出した。
「ああ……ティス、ラリアー……デスピニス……ッ!!!」
ゲッタービームの熱で溶解した装甲、アースゲインに殴られ凹んだ機体の各部の装甲……R-SWORDに撃ち貫かれ圧壊している頭部、五大剣に切り落とされた2本の腕と1本の足……ボロボロのその姿にデュミナスは身体を震わせ、慟哭の声を上げる。正しいと思っている事をせず、己の感情を優先した……それが何を意味するのかはデュミナスには分からない、だが今この瞬間はこうする事が1番正しいとデュミナスは感じていた。
(……これでいい、これで良かったのです。きっと……これで)
カルディアスを回収せず、そして足止めの為の増援を送り出さなければ、あの一瞬でエクサランスか、ゲッターロボを手中に収める事が出来た。だけどそれをする間にティス達は死ぬ、作り直せる。もっと高性能なテクニティ・パイデスを作ることも出来た。だがデュミナスにはそれが出来なかった。「■」であるから、「■」でありたいから……無意識の願望を付き従ったデュミナスがその願望の正体に気付けば、己の存在がなんなのかと気付く事も出来たのだが……デュミナスがそれに気付くにはまだ多くの壁が存在しているのだった……。
第199話 時の迷い子 その1へ続く
戦闘描写を書くと言いましたが無理でした。過ちお母さんをかいていると、ティス達生存させたいし、OG外伝の流れにしたくないのでィ色々と方針を転換することになりました。申し訳ない、ですがダークブレインが出て来てもあの結末にさせない為の準備なのでお許しください、個人的に武蔵とわちゃわちゃしてるティス達が書きたいのです。きっと武蔵ならティス達の超パワーにも耐えれるので……出来ますよね?多分、次回からは少し戦闘はオヤスミで分岐や、ラウル達の話を書いて行こうと思います。それでは次回の更新もどうか宜しくお願いします。
PS
竜巻斬艦刀かズワルトシャインが復刻するまでがチャ我慢の予定でしたが、後オーブ2個でアムろのアタッカーをレベル10に出来、攻撃力・運動性12%UPがめちゃくちゃ魅力だったのでガチャをしてきました
結果は
ダブルグラビトンライフルが+5になりました
視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか
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サイドまたは視点は必要
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今のままで良い