進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第202話 時の迷い子 その4

第202話 時の迷い子 その4

 

ヒリュウ改、クロガネでキョウスケ達の機体の改造が行われている中――ハガネでも機体の改造・改修作業が行なわれていた。

 

「本当に良いのか、ラドラ?」

 

「残念だがシグは完全に大破して修理の目処が立たないからな、こうなってしまえば修理の方がコストが掛かる。シグを解体してお前達のゲシュペンストの修理に回す」

 

愛着もあるゲシュペンスト・シグの修理を最初はラドラも考えたが、状態を調べれば修理が不可能なレベルの損傷を受けており、修理に掛かるコストで新型機を作れるだけの費用が掛かるとなれば愛着があるとは言え解体し、ほかの機体の強化に回した方が良いという決断を下すのは当然のは当然の事だ。

 

「悪いなラドラ。お前の相棒だったのに」

 

「気にするな、これも運命だったという事だ。それにゲッターザウルスは俺しか乗れんからな、あれを使う事にするさ」

 

ゲッターザウルスを動かすには生体パルスが必要で、体力と精神力に優れた人間しか操縦出来ない機体だ。しかも下手をすれば生命力を吸い取られて死にかねない、そういった事情からゲッターザウルスの操縦を新西暦の人間にさせるのは自殺行為である。だがゲッターザウルスの戦闘力はこれからの戦いで必要になるとなれば、ラドラがゲッターザウルスに乗るのは当然の事だ。

 

「一応俺の方で改良案を考えてみた。お前達の意見を聞かせて欲しい」

 

ラドラがコンソールを操作し、モニターに映し出されたゲシュペンスト・リバイブの改良案を見てカイとギリアムは絶句することになった。グルンガストと同じ改造コンセプトだが、全身に新規の装甲を装着し、シグのマグマ原子炉を1つ移植してツインドライブにする。でかければ強い、出力を上げれば強いという子供でも考えるような開発コンセプトには、流石のギリアムも絶句することになった。

 

「……ラドラ。これは真面目に言っているのか?」

 

「真面目だが? 基本コンセプトはヒュッケバインのタイラントアーマーと同じだから1機分はすぐに準備できる。もう1機分はパーツから組み上げるから少し時間が掛かるが、月面攻略に出発する前には準備が出来る筈だ。だがその分余り拘った装備などは準備出来んぞ」

 

新型機を1から組み上げている時間はないので、開発段階の機体の予備パーツなどを流用するのは当然の事だ。なんせ何時鬼が月の住民を鬼に改造し始めるかどうかと言う瀬戸際だ。本来ならば操縦の癖に合せて特化型の機体に仕上げたいのがラドラの本音だが、こだわりの強いカイとギリアムの要望を全て聞く余裕は無く、機体のサイズを延長しつつ2つの反マグマプラズマジェネレーターの出力に耐えれるだけのフレームと装甲の強化を行うのがやっとだとラドラはカイとギリアムに説明を行ない、どちらから改造するかと問いかけたが、ギリアムがそれに待ったを掛けた。

 

「ラドラ。テスラ研の開発チームから何か聞いてないか?」

 

「テスラ研の……? いや、聞いてないが……少し待ってくれ、今確認する」

 

「なんだ、お前テスラ研に何か頼んでいたのか? ギリアム」

 

ラドラが受話器を手にし、ヒリュウ改のテスラ研の開発チームに確認を取っているのを見たカイがどういうことだ? とギリアムに問いかけた。その視線はまた勝手に何をしていると物語っており、ギリアムは肩を竦める。

 

「すまない、俺にも俺の都合があったんだ。ゲッターロボに始まり、恐竜帝国に百鬼帝国と次々と出現する旧西暦の脅威に対抗する為に俺も力を求めていた。そこで俺がかつて乗っていた機体の復元――いや、デッドコピーの作成をテスラ研に依頼していたんだ」

 

「お前のかつての……? あれか、お前の元いた世界に帰る為の転移の中での出来事と言う事か?」

 

「ああ、かなり複雑な事情があって話せなかったんだ。別に隠す意図があったわけではないという事は理解して欲しい」

 

イングラムと同様に様々な世界を渡り歩いていたギリアムだ。仲間と信じていても話せない事情があり、その中の1つだと分かりカイはそれ以上深追いする事はせずただ一言、大変だったなと呟いた。

 

「確認が取れたぞ、ヒリュウ改に運搬されているテスラ研のコンテナにギリアムの頼んでいた物が未完成だがあるらしい、お前はこれを元に改造して欲しいと言うことか?」

 

「ああ。お前のシグユニットとタイラントアーマーのスペアと組み合わせれば十分に可能だと思うが……無理か?」

 

不安そうなギリアムの問いかけを聞いたラドラはギリアムの胸を叩いて笑った。

 

「げほっ、な、何をする……ラドラ」

 

「そこまで心配そうな顔をするな。ここまでパーツが揃っているんだ、問題なく仕上げてやるさ。カイもギリアムと同じ改造案で良いな」

 

「ああ、それで良い。ただ射撃武器はそこまでいらん、射撃武器を内蔵する位だったらブースター等を増設してくれたほうが俺の好みだ」

 

「それくらいなら問題ない、その方向性で改造しよう」

 

射撃武器のスロットを減らし、ブースターとスラスターを増設するなら問題ないとラドラはカイの改造案を聞き入れ、コンソールに必要なデータを入力する。

 

「これでカイの方の製造は始まった。少し遅れるかもしれんが……セレヴィス奪還か、メタルビースト・SRX戦までには間に合うだろう。次はギリアム、お前だ。俺の方にデータがないからな、どんな物になるのか軽くで良いから教えてくれ」

 

「分かった。コンセプトとしては可変機構を組み込んだアーマーを装着した対多数戦を前提とした万能機だ」

 

「それはまた随分と欲張りなコンセプトだな? 変形機構と言っているがどう言う物だ?」

 

「基本はシグアーマーと同じでゲシュペンスト・リバイブに被せる形で考えている。だが使い捨てではなく再び変形できるようにして欲しい」

 

「おいおい、ギリアム。軽く言っているがそいつはかなり無茶な要求じゃないか?」

 

「そうでもないさ、元々タイラントアーマーは可変式でラドラのシグユニットも似たような機構だ。それと組み込む前提で俺も設計している何の問題もなく作れる計算だ。それに何よりも……今は様々な分野の専門家が集まっている。少々色物になったとしても俺は受け入れるさ」

 

どんな色物になっても受け入れるというギリアムの視線の先では、地獄の宴が繰り広げられていた。

 

「ヒャッハアアッ!!!」

 

「あはは。あはははははははッ!!!」

 

「凄いどんどんインスピレーションが沸いてくるッ!!!」

 

「ふっはははッ!!! はははははははははッ!!!」

 

ゲッター炉心、ゲッター合金、ゲッターザウルス、マグマ原子炉――本来新西暦に存在しない数多のオーバーテクノロジーを前にシュウが連れて来た科学者とビアンの頭の螺子が吹っ飛び、高笑いをしながら何かを作り上げ、あるいは設計を続けている。

 

「少しどころかとんでもない色物になるぞ?」

 

「俺は全てを受け入れると決めた。何の問題もない」

 

ギリアムが設計し、テスラ研に託したデータ、そしてマグマ原子炉を調整出来るラドラとギリアムの他の世界の技術に完全にハイになっているビアン達が作り出すであろう何かは、恐らくマ改造を超える何かになるのは間違いない事実であった……。

 

 

 

 

カチーナはハンガーに固定されている改造された自分専用のゲシュペンスト・MK-Ⅲを見て満足そうに頷いていた。

 

「良い仕上がりじゃねえか、こいつらなら多少の無茶も聞きそうだ」

 

ゲシュペンスト・MK-Ⅲの戦闘データを元に再設計されたフライトユニット搭載機の第1号機――それがカチーナのゲシュペンスト・MK-Ⅲだった。

 

「これが新型のフライトユニット……ゲシュペンスト・MK-Ⅱの時よりもかなり大型だな」

 

「百鬼獣と戦う前提の装備なのね」

 

「おう、ブリットとクスハか、お前らも見に来たのか? あたしのゲシュペンストを」

 

新型のフライトユニットを装備しているという事で整備班やパイロットが次々見に来ており、その都度カチーナは満足そうな表情を浮かべていた。元々新型機や試作機のテストパイロットになる事を望んでいたカチーナだが、その性格上貴重な試作機や新型機を壊しかねないという事でテストパイロットから外されてきたが、百鬼獣という人智を越えた脅威と戦うにはカチーナのような未知の存在とも恐れずに戦闘を挑む事が出来る強い精神力と闘争心が必要とされた結果が、この試作型のフライトユニット改め、フライトアーマーを装備したゲシュペンスト・MK-Ⅲのテストパイロットだった。

 

「装甲を強化しつつ、攻撃力と防御力を格段にUPさせたらしいぜ? んでガンドロのシーズアンカーがあたしは気に入ってたんでな、そいつも装備してもらった」

 

PTサイズのジガンスクード・ドゥロとも呼べる姿をしているゲシュペンスト・MK-Ⅲを見上げて自慢げな表情をしているカチーナに、ブリットとクスハは思わず苦笑を浮かべる。ご機嫌な様子のカチーナだが、その姿は新しい玩具を自慢している子供のように見えて、どこか微笑ましい物があった。

 

「だがこいつでも百鬼獣とはタイマンを張れねぇ。ったく理不尽だよな。どんだけ頑張っても敵の方がずっと先にいるんだぜ? 本当勘弁してくれって思うぜ」

 

何時も強気なカチーナの弱音にブリットとクスハは驚いた表情を浮かべた。

 

「あたしだって人間さ、弱気になる時もある。だけどな、そりゃ1人で戦おうとしているからだ。サポートしか出来ねぇのはみっともねえが、頼りにしてるぜ」

 

ブリットとクスハの肩を叩いて歩いていくカチーナの姿を遠くで見ていたカーウァイは小さく笑った。

 

「どうしましたか? 大佐」

 

「荒削りだが良い指揮官だと思ってな。教導隊があればスカウトしていた」

 

「カチーナ中尉をですか?」

 

ゼンガーは少し驚いた様子でカーウァイに尋ねた。カチーナは腕は良いが命令違反の常習犯で、暴走癖がある。戦果の高さの割に中尉に留まっているのは性格的な問題がかなり大きい。

 

「ああ。私好みだ、あれくらい強気で部下を引っ張れるのは優秀な資質だ。お前達もスカウトした時は跳ね返りばっかりだったぞ?」

 

カーウァイの言葉にゼンガーは気まずそうな表情で目を逸らし、カーウァイはそんなゼンガーを見てまだ若いなと呟き、追加装甲の装着作業が行なわれているハンガーに視線を向けた。

 

「ここまでしなければならないか……かなり備えていたつもりだが……まだ足りていないようだな」

 

ゲッター炉心を搭載して、性格に難こそあれど旧西暦最高の科学者である敷島博士がゲッター合金を用いて改造したゲシュペンスト・タイプSは紛れも無く新西暦でも最高峰の性能を持つ機体に仕上がっているのは間違いない、だがそれでもまだ百鬼獣と戦うには力不足であるとカーウァイは感じていた。

 

「装甲の強化、武器の強化、機体サイズの強化……なにをしても足りない。敵は余りにも強大だ」

 

「インスペクター、インベーダー、アインスト……百鬼獣に超機人、そしてデッドマンにシャドウミラー……」

 

新西暦の技術を遥かに越えた技術を持つ者、人智を越えた能力を持つ者――人類は出来る限りの備えをし、自分達に出来る範囲で地球を守るために己の腕を磨く事も続けてきた。だがそんな努力を嘲笑うかのように敵は強大で、突破口も解決策も見えない。先の見えない袋小路、どこまで進んでも闇しか見えない絶望感……誰もがその不安を抱き、それでもなお戦う事を諦めず、前を向いている。

 

「だからと言って心を折るわけには行かない、地球を守る為に私達は戦い続けなくてはならないのだ」

 

諦める事無く、不屈の意志を持って戦い続ける事――1度剣を手に取ったのならば……その剣を手放すことは許されない。戦士として立ち上がったものはその命が尽きるその時まで、どれほどの絶望に苛まれても戦い続ける義務がある――それが一度戦うと決めた者の宿命なのだ。

 

『各員はブリーフィングルームへ集合、今後の作戦の説明を行なう。繰り返す、各員はブリーフィングルームへ集合。今後の作戦の説明を行なう』

 

「集合のようだな、行くぞ。ゼンガー」

 

「はっ!」

 

プランタジネットで負った傷はまだ癒されていない、だがカーウァイ達に休んでいる時間はないのだ。再びの戦いの時はもうすぐ側にまで迫っているのだった……。

 

 

 

 

 

ブリーフィングルームに集まれという連絡を受け、それぞれの戦艦のブリーフィングルームに来たキョウスケ達だったが、クロガネのブリーフィングルームを写しているモニターに見覚えの無い3人の姿があり怪訝そうな表情を浮かべた。

 

『彼らについてはまず私から説明する。彼らはあちら側の世界で私達と行動を共にしていた試作機の開発チームだ。彼らの発明は様々な組織に狙われかねないので我々で保護する事にした。自己紹介を』

 

カーウァイが自己紹介するように促すとラウルが一歩前に出て頭を下げる。

 

『ラウル・グレーデンです。エクサランス1号機のテストパイロットをしています』

 

『ミズホ・サイキです。エクサランスのフレームの開発をしています』

 

『ラージ・モントーヤ。エクサランスのエンジンの開発をしております』

 

ラウルの自己紹介に続き、ミズホとラージも頭を下げて自己紹介を行なう。

 

「保護するというのは聞いておりましたが、カーウァイ大佐。彼らはそれほど重要な相手なのですか?」

 

『戦艦に残すよりも、伊豆基地で保護して貰ったほうがいいのではないでしょうか?』

 

リーとレフィーナは今後の作戦を知っているので、戦艦に残るのは危険ではないか? と進言するがカーウァイは首を左右に振った。

 

『彼らは若いがあの地獄を生きぬいたパイロットだ。アインストとインベーダーとの戦い方を熟知している、それに彼らの機体はインベーダーとアインストは勿論、百鬼獣にも有効打撃を与えれる。戦力としても、そして保護するべき民間人としても重要人物となる』

 

これから戦う相手に有効打撃を与えれる――それは今までゲッターD2やRーSWORDやゲシュペンスト・タイプSのようにゲッター線に頼りきりだった百鬼獣やインベーダーとの戦いを大きく変えるものとなる。

 

『お言葉ですが、カーウァイ大佐。まだ時流エンジンは完成しておりませんので、余り持ち上げられても困るのですが?』

 

『それは私も分かっている。だがお前達の素性は先に明らかにしておいたほうが良いというイングラムの考えには私も賛成しているからこそだ。時流エンジンには未知の部分が多いが、転移システムになりうる可能性を秘めている。それ故に保護する事を決定し、SSS機密とする』

 

SSS機密認定の技術。詮索等を一切禁じるという命令だが、転移を可能とするシステムとなればそれも納得の発明だとキョウスケ達は驚きながらも頷いた。

 

『あちら側の事を知っているので一方的にラウル達はお前達の事を知っている。互いに暫く困惑するだろうが、共に戦う仲間として互いに受け入れてくれる事を願う。レフィーナ艦長、時間を取らせてすまなかったな。作戦概要の説明を頼む』

 

『分かりました。それではこれより本艦及び、シロガネ、ハガネ、クロガネが遂行する任務の作戦概要を説明します。ヒリュウ改はこれより月へ向かい、セレヴィス、及びムーンクレイドルの奪還任務を遂行します』

 

セレヴィスとムーンクレイドルの奪還――それは月面を制圧しているしている鬼との戦いを示しており、ブリーフィングルームにいたキョウスケ達の顔色が強張る。現状月面がどのような状況に置かれているかは一切不明であり、そんな中で月面の奪還作戦を行なうのは正直無謀だが、それをする必要があるからこその決定だと分かり誰も異論を口にせずレフィーナの説明に耳を傾ける。

 

『人間を鬼に変える技術が百鬼帝国にはあります。月面の住民が今どんな状況に置かれているのかは不明ですが、ラングレー基地の戦いで鬼も少なくない被害を受けています。時間を掛ければ人質が全員鬼へ改造される可能性があるための強行作戦となります』

 

下手をすれば救助した民間人が鬼となり襲ってくる可能性があると言うレフィーナの言葉に、作戦の概要を聞いていたブリーフィングルームの面子にも強い緊張の色が浮かんだ。

 

『その可能性が極めて高いとは言え、民間人の救助を諦める訳にはいきません。僅かでも生存者がいる可能性がある以上、そしてムーンクレイドルを鬼とインスペクターに利用されない為にも月の奪還作戦は急務となります。極めて厳しい作戦となりますが……我々はこの任務を遂行しなければなりません』

 

厳しい表情のレフィーナに続いてリーが口を開いた。

 

「ここ数日地球圏でメタルビースト・SRX――いや、メタルビースト・アルタードの姿が確認されている。メタルビースト・アルタードを野放しにすればインベーダー、そしてメタルビースト・Rシリーズや、メタルビースト・SRXが出現する可能性が極めて高い。それを防ぐ為にも早急にメタルビースト・アルタードを破壊する必要がある。本来ならば全勢力をメタルビースト・アルタードに向ける必要があるが……今の我々には時間がない、地球と月に戦力を分けて同時に攻略する必要がある」

 

「リー中佐。メタルビースト・アルタードの場所は分かっているのですか?」

 

キョウスケが挙手しアルタードの居場所が分かっているのかと問いかけるとリーは首を左右に振った。

 

「メタルビースト・アルタードを捜索し、その上でメタルビースト・アルタードの破壊をするのは極めて難しいが、早急に手を打たなければインベーダーとメタルビーストの大量発生に繋がる。リスクはあるが……メタルビースト・アルタードを誘い出す術はある」

 

メタルビースト・アルタードを誘い出す術――それが何なのかブリーフィングルームにいる全員が理解した。

 

「ゲッター炉心」

 

「その通りだ。ゲッター炉心のリミッターを解除し、メタルビースト・アルタードを我々の有利な戦場に誘い出して叩く。全て計算通りに行くとは言えないが……インベーダーの習性としてゲッター線によって来る筈だ」

 

様々な問題があるが自分達に有利な場所に誘い出す事が出来れば……メタルビースト・アルタードと戦う事は不可能ではないと言うリーの言葉も分からないわけではないが――楽観的な考えと言わざるを得ない、だがそうしなければならない状況にキョウスケ達――いや、地球人類が追い込まれているというのは紛れも無い事実であり、リスクを恐れていては、逃げに回っていては……迫り来る脅威に立向かうことは出来ないのだと、この場にいる全員が理解していた。

 

「ハガネとシロガネは一時伊豆基地へ戻り、負傷兵やダイテツ中佐を送り届ける事になる。月面にはヒリュウ改、地球はクロガネで任務に当る。真に遺憾だが……ここで一時戦線を離脱することを許して欲しい」

 

リーが深く頭を下げ、謝罪の言葉を口にする。だがそれを責める者はいない。確かに戦線は離脱する。だが無事に伊豆基地に戻れるかも怪しい情勢でまともに動く事が出来ないハガネの輸送任務だ。月面に向かうヒリュウや、メタルビースト・アルタードを追うクロガネよりも遥かに厳しい戦闘になる事は分かりきっているからこそ、リーを責める者はいない、いや居る筈が無いのだ。

 

『今回は私も戦線に出ることになるだろう。戦力を出し惜しみしている場合ではないからな、ゲッターロボは積極的に運用し、鬼とインスペクターに圧力を掛けて行く事になるだろう』

 

「親父も戦線に出るなら指揮はリリー中佐が取るのか?」

 

『いえ、私はハガネの指揮を取るので違います』

 

ビアンとリリーではないのならば、誰がクロガネの指揮をとるのかと誰もが疑問を抱いたその時、シロガネのブリーフィングルームの扉が開き、ダイテツの帽子を被ったテツヤがその姿を見せた。

 

「クロガネが俺が指揮を取る。若輩の身だが……俺に皆の命を預けて欲しい」

 

凄まじい気迫と覇気に満ちているテツヤの姿に一瞬ダイテツの姿を見たショーンは、小さく微笑んだ。

 

(これならば大丈夫そうですね、ダイテツ中佐。貴方が育てた男は貴方の背中を見て立派な艦長になりましたよ)

 

その凄まじい気迫と闘志はショーンに若き日のダイテツを思わせた。今までダイテツに甘えていたテツヤではなく、自ら戦う事を決めた勇ましい姿にショーンは満足そうに頷いた。

 

「状況は決して良いものではない、インスペクター、アインストは転移能力を持ち何時奇襲を仕掛けてくるか判らない。その上アインストは地球各地は勿論宇宙にもその姿を現している。月面に向かうにも、そしてメタルビースト・アルタードを探すにも恐らく遭遇し、戦闘になることになるだろう。だがそれは敵勢力も同じ事、条件は同じだ」

 

テツヤの言い振りに最悪の予想が脳裏を過ぎりタスクが手を上げた。

 

「あのまさか……インスペクターとかシャドウミラーにアインストをぶつけてそのまま強行突破するつもりじゃ?」

 

「その通りだ。よく分かったな」

 

余りにも無謀な作戦に思える内容ににブリーフィングルームにいるメンバーが思わず絶句する。

 

「心配するな、俺も馬鹿じゃない。ちゃんと対策は練ってある。アインストもインベーダーも無差別の攻撃を行なう。確かに通常ならば我々も襲撃を受ける可能性が高い。だがアインストとインベーダーの習性――即ちゲッター線に引かれる特徴を利用すれば敵に押し付けることも可能だ。ビアン博士、そうですよね?」

 

『うむ、試作段階ではあるが……ある程度の誘導性を持ったゲッター線を発生させる機雷の様な物を作ってある。これを百鬼獣やインスペクターの機体の方に発射すれば、高確率でインベーダーとアインストは其方に誘導できる筈だ』

 

筈と付く事が不安要素ではあるが……それでも敵の動きをある程度コントロール出来るのならば敵の戦力を削ぐことも出来れば、進軍する事も出来る――不確定要素は捨て切れないが、それでも無謀な進軍ではなく、ある程度の勝算がある作戦だ。

 

『では部隊の編成を発表します。15:00までに準備を整え、搭乗してください。ではヒリュウ隊のメンバーから発表します。カイ少佐、ギリアム少佐、 キョウスケ中尉、ラミア……イルム中尉、リン社長、 カチーナ中尉、ラッセル少尉、 リョウト少尉、リオ少尉……マサキ、リューネ、 アイビス、スレイ、タカクラチーフに加えて、武蔵、エキドナ、ラドラ少佐、バン大佐、コウキ主任です』

 

「続いてクロガネ隊のメンバーは以下の通りだ。カーウァイ大佐、ゼンガー少佐、レーツェルさん、イングラム少佐、 ヴィレッタ大尉、アヤ大尉、 リュウセイ少尉、ライ少尉、ブルックリン少尉、 クスハ少尉、マイ……ユウキ少尉、 リルカーラ少尉、ラトゥーニ少尉、 シャイン王女、ラーダ……タスク少尉、レオナ少尉、 アラド曹長、ゼオラ曹長。バリソン少尉、ビアン博士、オウカ、シュウだ。各員の健闘を祈る」

 

 

第203話 魔の宇宙へ その1へ続く

 

 

 




と言う訳で今回はここまでとなります。シナリオ分岐の所なので、ちょっと短くなりましたが、強化フラグも準備出来たので良しとしてください。あとギリアムの改造はXNガイストモチーフとなりますのであしからず、それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。


PS

グリッドマンキャリバー狙いでグリッドマンのOPを流しながらガチャをしてきました
結果は

グリッドビーム×5(全部のステップで1枚ずつ)
ウルズストライク
紅蓮飛翔式のMAP
荷電粒子砲(初号機)


違う、そうじゃない、いやグリッドマンだけどこれは違うんだよ……

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
  • 今のままで良い
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