進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

348 / 350
第207話 セレヴィス攻防戦 その3

第207話 セレヴィス攻防戦 その3

 

セレヴィスの住人を乗せたトレーラーを運転するラミアは必死の表情でハンドルを握り締め、背後から響く轟音から飛んでくる瓦礫などの位置を予測してトレーラーを右へ左へと動かそうとするのだが……。

 

「くうッ! 重いッ!!!」

 

武蔵達が脱出させる為に選んだ車は元々PTやAMを運搬するトレーラーである。アクセルを吹かしてもスピードは対して上がらず、PTなどの重量に振り回されないように重心が普通の車と異なるトレーラーのハンドルはWシリーズのラミアですら重いと呻き声を上げる代物だった。

 

「くそッ! 長くは持たんぞッ!!」

 

武蔵達が百鬼獣こそ抑えている為トレーラーはまだ無事だが、百鬼帝国の偵察、あるいは鬼が襲撃等に使うのか小型のグライダーが執拗にトレーラーを追いかけ攻撃を繰り返して来る事にラミアは焦りを感じ始めていたが、自分が冷静さを失い掛けていると気付き、自分に言い聞かせるように落ち着けと心の中で呟いた。

 

(アイビスとスレイがこっちに来ている。百鬼獣は武蔵とラドラが抑えてくれている……窮地ではあるが、対処は出来る)

 

一撃でも当たればトレーラーは簡単に吹き飛ぶが、それに恐怖し冷静さを失えば自分の命は勿論、武蔵達が侵入してまで救出した民間人が死ぬことになる――それだけは避けなければならない、冷静さを取り戻せば敵の攻撃に晒され予定されていたヒリュウ改との合流ポイントと大幅にずれている事に気付き、このままではスレイとアイビスも窮地に追い込まれていたと冷や汗を流しながらラミアは通信機の電源を入れる。

 

「こちらラミア。百鬼帝国の攻撃が予想以上に激しく合流予定ポイントからずれている、新しいポイントはA-464-57だ」

 

『こちらヒリュウ、了解しました。今ラミアさんは単騎ですか?』

 

「いや、スレイとアイビスが着いている。民間人も武蔵達が保護してくれているが疲労が蓄積している。早急な合流を……【キッシャアアアアッ!!】なにッ!? くそッ!!!」

 

月面を砕いて姿を見せた巨大な鉤爪を持つ百鬼獣の姿にラミアは舌打ちと悪態をつき必死にトレーラーを操り、振り下ろされた鉤爪を避ける。だが砕かれた月の大地の破片がトレーラーを穿ち、大きくバランスを崩した。

 

「くっ!!」

 

ブレーキとハンドル操作だけでは間に合わないとラミアは肘でPT搬入用のアームレバーを稼働させ強引にトレーラーの姿勢を立て直しハンドルを握る。

 

『アイビス! 間違ってもミサイルを使うなよッ!』

 

『わ、分かってるッ!!』

 

アステリオンとベルガリオンの放ったマシンキャノンが百鬼獣の胸部を捉える。だが威力が余りにも足りず、僅かに姿勢を崩させるに留まるが、その僅かな硬直時間にラミアは完全にトレーラーを立て直した。

 

「……くっ……運が悪いな私も……」

 

だが完全に無事とはとてもでは無いが言えない状況だった……百鬼獣が砕いた月の大地の破片が助手席を砕き通信機を破壊し、ラミアの腕と脇腹にも数発当っており、鈍い痛みに顔を歪めながらもラミアはハンドルを握り、アクセルを踏み込んだ。

 

(通信が途絶えた事で緊急事態と言う事は伝わった筈だ……後少し耐えれれば私の勝ちだッ!)

 

百鬼獣に隣接され、絶望的な状況ではあるがラミアは決して希望を失わず、自分も生きて、そして民間人も守る為に必死にトレーラーを操り、百鬼獣――土獣鬼の放つ攻撃を必死に回避し合流地点を目指してトレーラーを走らせる。

 

【グオオオオッ!!】

 

当れば終わりだがラミアは極限状態の集中力と卓越した運転技術で土獣鬼の攻撃を幾度と無く避けた。だが当れば簡単に破壊できるはずの物がいつまで経っても壊せない事に怒りを覚えた土獣鬼が怒りの咆哮を上げ衝撃破を上空に向かって放った。

 

『うあッ!?』

 

『くっ!?』

 

それは百鬼獣で考えれば決して威力の高い攻撃では無かったが、アステリオンとベルガリオンには十分すぎる攻撃であり、姿勢を大きく崩しトレーラーを援護できる位置から弾き飛ばされた。

 

【グガアアアアアッ!!!】

 

「よ、避けられんッ!」

 

邪魔者はいなくなったといわんばかりに叫び声を上げ、口を大きく開いて熱線を放とうとした土獣鬼にラミアは攻撃を避けられないと悟りながらもなんとか避ける方法を模索した次の瞬間、土獣鬼の頭部に巨大な戦斧が突き刺さり、土獣鬼が地響きを立てて倒れこんだ。

 

『待たせたな、俺が食い止める。早く合流しろッ!』

 

「すまないッ! ここは頼んだッ!!」

 

アイビス達が運んで来た轟破・鉄甲鬼をやっとの思いで起動させたコウキにこの場を任せ、ラミアは体勢を立て直したアステリオンとベルガリオンと共に合流ポイントへ一直線に向かって行くのだった……。

 

 

 

 

両断された百鬼獣から発生した炎を腕の一振りで弾き飛ばしゲッターザウルスが姿を見せる。炎に照らし出され暗く光るその姿は百鬼獣を威圧するには十分であり、動きを僅かに怯ませる。

 

「人工知能の分際で怯んでいてどうするッ!!」

 

その隙、いや隙など見せなくてもラドラはゲッターザウルスを操り百鬼獣に攻撃を仕掛けただろう。ゲシュペンストとは異なり、圧倒的な火力と強固な装甲を武器に前線に斬り込むゲッターザウルスに後退の2文字はないからだ。

 

「むんッ!!!」

 

ダブルシュテルンの横薙ぎで2体の百鬼獣の上半身と下半身が両断され、返す刀で棍棒部分で頭から叩き潰された百鬼獣が大爆発を起こす。

 

『ラドラもう少し考えてくれよ』

 

爆風に巻き込まれた武蔵からラドラへの苦情が告げられるが、ラドラはそれを鼻で笑った。

 

「その程度でどうこうなりはしないだろう?」

 

『そりゃそうだけどよ、エキドナさんが乗ってるんだからちょっとは考えてくれよ』

 

「1つ言ってやろう。どの口がそれを言っている」

 

エキドナを気遣っている武蔵だが、ゲッターD2はダブルトマホークを両手に構えて大立ち回りをしている。爆風に呑まれるよりも武蔵の攻撃の方がよっぽどエキドナにダメージを与えているだろうとラドラは苦笑する。

 

『あ……ッ』

 

今気付いたという感じの武蔵にラドラはやれやれと肩を竦めてゲッターザウルスを前に出す。

 

「ゲッターザウルスの熟練訓練もしたい。お前は少し下がれ、コウキが頑張っているが1人ではトレーラーを守りきれん」

 

『……すまん、ここは頼む』

 

百鬼獣はセレヴィスシティ以外からも出撃して来ているのに気付き、ラドラは武蔵にトレーラーの方に回れと声を掛け百鬼獣の群れの前へゲッターザウルスを移動させる。

 

【グルウルルッル!!!】

 

【キシャアアアッ!!】

 

唸り声を上げる百鬼獣に舐めるなと言わんばかりにゲッターザウルスが唸り声を上げ、勝手に出力を上げる。

 

「仕方のない奴だ、息切れしてもしらんぞッ!!」

 

【グルルルル……ウォオオオオオッ!!!】

 

ラドラの生体パルスを与えられゲッターザウルスは凄まじい咆哮を上げる。その凄まじい咆哮にセレヴィスシティから出撃してきた百鬼獣が動きを止める。

 

「程度の低い連中だ」

 

動きを止めた百鬼獣を見てラドラはくだらないと言わんばかりに吐き捨てた。それもその筈セレヴィスシティで作られた百鬼獣はアースクレイドルや百鬼帝国で作られた個体よりも精度が劣りゲッター線を伴った咆哮で人工知能を破壊され、只の案山子へと成り果てていた。

 

【グルッ!!!】

 

【シャアアッ!!】

 

結局の所ゲッターザウルスの咆哮で人工知能を破壊されなかった百鬼獣は10体の中のたった2体しかなかった。朱王鬼と玄王鬼が持ち込んだアースクレイドルと百鬼帝国で製造された百鬼獣はとっくの昔にゲッターD2とゲッターザウルスによって破壊し尽くされており、程度の低い個体がその殆どを占めていたのだ。

 

「玉石混淆とは言うが……いや普通の人間相手ならばあの程度の鉄くずでも十分な脅威か……」

 

ゲッター線に耐え切れず人工知能が停止したのであり、ゲッター線で稼働していないPTやAMならばセレヴィスで製造された百鬼獣でも十分に脅威となる。

 

「目障りだ、さっさと消えろ」

 

その程度の敵でゲッターザウルスとラドラが満足する訳が無い。どれほど数がいようともラドラにとっては脅威足り得ないのだ、ゲッターザウルスが吐き出した業火にドロドロに溶かされ連鎖的に爆発していく百鬼獣を冷めた視線で見つめていたラドラは予備動作も無くゲッターザウルスを反転させ、回し蹴りを放った。何もない空間に向かって放たれた筈のそれは強烈な追突音を響かせ、闇に隠れていた襲撃者を月面へと引きずり出していた。

 

『ぐうっ!?』

 

『馬鹿な、完全な奇襲だったはずだぞッ!?』

 

月面に転がる玄朱皇鬼から響いて来る声を聞いてラドラは鼻で笑った。確かに完璧な奇襲ではあっただろう……だがラドラからすればそれは予見できたもので、予見出来たのならば奇襲とは名ばかりであり十分に対応出来る。

 

「お前らのような屑が考えることなどお見通しだ。俺もお前達には思う所があった」

 

子供を操り、共に死なせようとする悪辣な戦術はラドラの怒りを買うには十分であり、その怒りに呼応するようにゲッターザウルスも唸り声を上げる。

 

「貴様らはここで死ね」

 

どこまでも冷酷で、そして揺らぐ事のないラドラの死刑宣告が朱王鬼と玄王鬼に告げられる。

 

『死ぬのは貴様だ! 1対1ならば負ける……『誰が1対1で戦ってやるって言ったよッ!!!』がぁッ!?』

 

玄朱皇鬼の背後から武蔵の怒りに満ちた声が響き、容赦のない蹴りが叩き込まれ玄朱皇鬼は月面に再び叩きつけられる。

 

「ヒリュウは合流したのか?」

 

『おう、これで何の憂いも無く……こいつらをぶち殺せるなあッ!!』

 

『待て、俺も混ぜろよ。こういう下種は生き恥汚いからな……確実に殺すぞ』

 

武蔵とラドラだけでも絶望的なのにそこにコウキも加わる。コウキは口こそ悪いが冷血漢と言う訳ではない、アラド達の悲しみようを見ていて黙っていられる訳も無くヒリュウが来たことで武蔵達へと合流し、月面に這い蹲っている玄朱皇鬼を冷めた目で見下ろしていた。ゲッターD2、ゲッターザウルス、轟破鉄甲鬼から溢れ出す殺気と怒気に朱王鬼と玄王鬼は顔面蒼白だった……。

 

「楽に死ねると思うなよ」

 

『お前が好き勝手してきたツケをきっちり払ってもらうとしよう』

 

『今度は逃がしゃしねぇ、ぶっ殺してやるぜ』

 

怒れる武蔵とラドラから朱王鬼達が逃れれる訳が無く、そして武蔵達も逃すつもりなどあるわけも無かった。ヒリュウ改から出撃してくるPT隊と目の前に立ち塞がるゲッターD2とゲッターザウルス、そして轟破鉄甲鬼に朱王鬼と玄王鬼は引き攣った呻き声を上げる事しかできないのだった

 

 

 

玄朱皇鬼はブライが龍虎皇鬼と共に新生百鬼帝国のフラグシップとなるべく作り出した強力無比なワンオフの百鬼獣であり、ブライを持ってしても複製する事が出来ないハイエンド機体だ。その気になれば単騎で連邦軍を壊滅させれる力を秘めた筈の玄朱皇鬼は無様に月面に這い蹲っていた。

 

「ありえない、こんな事がありえて堪るかああッ!!!」

 

怒りの余り玄王鬼の米神からブライの物と同じ角が現れる――本来それはブライの許可がなければ使ってはならない力であり、玄王鬼と朱王鬼の切り札でもあった。増幅された魂力を吸収し、レーダーでさえも捕らえることの出来ない神速で突撃を繰り出す玄朱皇鬼だが……。

 

『ありえない? 何を馬鹿な事を言っている。因果応報と言う言葉を知らんのか?』

 

神速の突きはゲッターザウルスが無造作に振るったダブルシュテルンによって弾かれた。神速だろうがなんであろうがラドラにとっては何の変化もない直線の攻撃であり、防げない道理は無かった。

 

『反撃されて逆切れするとか餓鬼かてめえらはあッ!!!』

 

「うがああッ!?」

 

『うわああッ!?』

 

そしてがら空きの胴体にゲッターD2の鉄拳が叩き込まれ玄朱皇鬼の巨体がボールのように吹き飛びはしたが、空中で体勢を立て直し、背中の炎の翼から月面のほかの街へ向かって業火を放とうとしたが、そんな攻撃を許すコウキでは無かった。

 

『貴様らは自分よりも弱い相手としか戦えぬ卑怯者だ。そんな奴らがやることなど手に取るようにわかるッ!!』

 

ドリルアームを展開した轟破鉄甲鬼の上空からの突撃に再び月面に叩きつけられた上にドリルに背中を抉られては、玄朱皇鬼の自慢のスピードは見る影も無くなり、人を甚振るための武装だった翼を抉り取られ攻撃力までこそぎ落とされていた。

 

『えぐいな……』

 

『徹底的に叩き潰すつもりなんだろうな』

 

反撃も防御すら許されない圧倒的な暴力に晒されている玄朱皇鬼に同情する声は無いが、武蔵達の過激過ぎる攻撃にキョウスケ達は驚いていた。

 

『そんな事を言っている場合かッ! 百鬼獣はまだ残っているんだぞッ!』

 

『まだセレヴィスには避難できていない民間人が残されている可能性もある! 百鬼獣を殲滅し、セレヴィスの守りを固めるぞッ!』

 

ゲシュペンスト・MK-Ⅲから響くカイとギリアムの怒声にキョウスケ達は了解と返事を返し、再びセレヴィス奪還の為に動き始める。武蔵達は可能な限りの民間人を保護したが、それはマオ社とイスルギ重工付近に留まっている。セレヴィスシティの避難シェルター全12箇所の内4箇所の民間人を保護したに過ぎないのだ。

 

『ポイントマーカーを頼りにシェルターの守りを固めてください! 百鬼獣にシェルターを攻撃されてはなりませんッ!』

 

ヒリュウ改のレフィーナからの指示とコックピットに映るシェルターの場所を目指してキョウスケ達は機体を走らせる。

 

「くそッ! 変われ玄ッ!!」

 

『ぬう……不覚』

 

玄朱皇鬼から防御力に秀でた朱玄皇鬼へと変形し、分離した玄王鬼の甲羅がバリアを展開する。

 

「何をしているインスペクター! 早く僕達を助けるんだッ!!」

 

これで少しは武蔵達の足止めを出来ると判断した朱王鬼はセレヴィスの戦いを見ているだけのメキボス達に助けろと怒鳴り声を上げる。

 

『おいおい、あんたらがセレヴィスに関与するなって言ったんだろ? 俺達は自分達のテリトリーのムーンクレイドルへの進撃を防ぎに来ただけだぜ? 助ける道理はねえな』

 

「ふざけるなッ!! 大帝と同盟を結んでいるだろうッ!! 僕達を助けろよッ!!」

 

『助けてくれれば十分な謝礼は払うッ! 我らはこのような場所で死ぬ訳にはいかんのだッ!!』

 

自分よりも強い相手と戦った事のない朱王鬼達は自分達の命が危機に晒され、みっともなく無様に助けろとメキボス達に怒鳴りつける。だがその怒声をメキボスは鼻で笑った。

 

『俺達は俺達の拠点を守りに来たって言っただろ? お前達を助ける道理はねえよ。それに……俺達に気を取られてて良いのか?』

 

「何を言って……朱玄皇鬼のバリアが砕かれる訳が『砕かれる訳が何だって?』ひ、ひッ!?」

 

自分達の頼みの綱であるバリアが簡単に切り裂かれている光景に朱王鬼は引き攣った悲鳴をあげた。

 

『こんな物が最後の切り札か……くだらんな』

 

『所詮は弱者を嬲る事しか出来ない卑怯者と言う事だ』

 

『あの世に行く覚悟は出来たか? まぁ出来てなくてもぶち殺すけどなあッ!!!』

 

圧倒的な怒気と殺気……武蔵1人でもその殺気と怒気に呑まれて動けなくなっていたのに、それにコウキとラドラが加われば朱王鬼と玄王鬼は恐怖で動けなくなった。これが龍王鬼と虎王鬼達との違いである――彼らは戦いを好み、殺す事も自分が死ぬことも覚悟している……だが朱王鬼達は違う、ブライの為にと言う免罪符を手に好き勝手し、人体実験や洗脳で家族同士を殺し合わせたりすることをショーとして楽しんでいた朱王鬼達は自分達が強者であり、殺されたり傷つけたりする訳が無いと言う驕りが合った。自分達は殺す側で殺される側ではない、武蔵が言った通り子供としか言いようのない精神性をしていた朱王鬼と玄王鬼は自分達が死ぬ恐怖に目の前が真っ暗になり……そしてそのまま永劫覚める事のない眠りの中へと落ちて行った……。

 

「仲間割れ!?」

 

「なんだあれは……!?」

 

「インスペクター? いや、でも違うッ!?」

 

ガルガウの放った弾丸に打ち抜かれ朱玄皇鬼のカメラアイから光が消えた。ガルガウとヴィガジが味方である筈の朱王鬼達に攻撃を加えた事に困惑しているキョウスケ達の目の前でガルガウの胸部装甲が内側から弾け赤黒いコアが姿を見せ、ガルガウの全身を複眼に覆い尽くされた黒い皮膚と緑色の触手が覆い尽くし、触手の先と全身の複眼が怪しく光を放ち始めるのを見てラドラが怒声を上げた。

 

「散れッ!!」

 

「急げッ! 取り返しの付かないことになるぞッ! 武蔵ッ!!」

 

「分かってるッ!! クソ間に合えッ!!!!」

 

【■■☆▲×○ッ!!!】

 

狂ったような……いや狂っているのだろう。インベーダー、アインスト、そして妖機人に寄生され、3つの意識に呑まれたヴィガジは生きているがそれと同時に既に死んでいた……メキボス達がインベーダーに寄生されたのでは無いか? 危惧した通りテスラ研で瀕死の重傷を負ったヴィガジはインベーダーに寄生されていた、だがそれだけには留まらず妖機人、そしてアインストまでにも寄生されていたのだ。寄生したインベーダー達は瀕死のヴィガジの身体を修復し、休眠状態へと陥っていたがゲッターD2、ザウルス、轟破鉄甲鬼のゲッター線反応に活性化し、ヴィガジの意識を塗り潰した。周囲を薙ぎ払う無数の赤黒い光の雨――いや、インベーダーとアインストの幼生の種が宇宙を紅く染め上げる光景は地獄に降る雨その物だった。ラドラ達の警告が早く逃げに回れていたキョウスケ達は動き出していたが、それでも空中で枝分かれし、散弾銃のように降り注ぐ種を避けるのは至難の業だった。

 

「避けろッ! 絶対に当るなッ!!」

 

「くそったれッ!!」

 

百鬼獣の残骸に種が当り、メタルビースト、あるいはアインストへと変異していく……そして朱玄皇鬼も大量の種を植え付けられ、ガルガウと同じ様にアインストとインベーダー両方に寄生された異形へとのその姿を変えていく光景にキョウスケ達は言葉を失った……。

 

「決まりだな、今回の作戦は失敗だ。やっぱり俺達は地球に来るべきじゃなかった」

 

ヴィガジがインベーダー、そしてアインストに寄生されているのを見てメキボスの心は決まった――ゲッター線に関わった者は破滅する。伝承のそれが紛れも無い事実であったと思い知らされたメキボスは広域通信を行なう為に通信機へ手を伸ばすのだった……。

 

 

 

第208話 セレヴィス攻防戦 その4へ続く

 

 




アースクレイドル攻略とメタルビースト・SRX戦が残っていますが、その前に宇宙は破滅の引き金を引いてもらいました。OGINを見て気付いたんですよね、ウェんドロだけじゃなくても良いじゃないかってだからヴィガジもインベーダーとアインストに食われました。これで完璧ですね、何が完璧かは分かりませんが、多分完璧です。大丈夫です、ちゃんとOG外伝までのシナリオは出来ているのでご安心ください。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。

PS

ダイナミックフォトンフォーメーション狙いでガチャ

シュトルムカイザー×2
オーラダイブ
エクスカリバー

でした、エクスカリバーは出るのが遅すぎる。

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
  • 今のままで良い

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。