進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第33話 一つを起点に動き出した思惑たち

第33話 一つを起点に動き出した思惑たち

 

空を飛んでいるゲッター2のような機体とゲッター1に似た機体が飛び去るのを海面から見つめる。まさかと言う気持ちはある、だがあれは紛れも無くゲッターだ。

 

「……新ゲッターロボ……か」

 

武蔵が特攻する前に早乙女博士が開発していた戦闘用に作成されたゲッターロボ。骨組みと僅かな装甲しか見ていないが、その姿には見覚えがあり、ゲッター炉心で稼動していることも含め。あれがゲッターロボと言うことは間違いない……それも自分のゲッターよりも遥かに高性能だ。

 

『武蔵君、今何処にいる? 何か問題でもあったのかね?』

 

考え事をしていて気付かなかったが、通信機からビアンの声がしていた。武蔵は慌てて通信機を手に取る

 

「すいません、ちょっとトラブルです。でもゼンガーって人にはちゃんとコンテナは渡せましたし、それにリリーって人も逃げてくれたと思います」

 

『そうか、それでトラブルと言うのはなんだ?』

 

「……オイラの知らないゲッターに襲われました」

 

ゲッターに襲われた……その言葉でビアンの雰囲気が変わった。その反応で何かを知っていると武蔵は感じた

 

『言うのが遅れてすまない、この世界にはメテオと呼ばれる隕石が落ちたという話はしたな?』

 

「はい、覚えてます。ビアンさんがPTとかを開発するのを決めた理由でしたよね」

 

アイドネウス島にも巨大な隕石が落ちていたので、それを思い出しながら武蔵は返事を返す。確かメテオ3と呼ばれる隕石だったはずだ

 

『その中でメテオ1……つまり一番最初に落ちた隕石で地球がパニックになっている頃。浅間山に崩壊した研究所が出現した』

 

浅間山……そして崩壊した研究所。そこまで聞けばビアンが何を言おうとしているのは武蔵も理解した

 

「早乙女研究所ですか?」

 

『すまないが、私もそれを知ったのはつい最近の事だ。ただ、そこで何かを回収したという話だ』

 

「それが……オイラを襲ったゲッターロボですか?」

 

『それも判らない、とりあえず1度戻って来てくれ。情報を整理したい』

 

ビアンの言葉に武蔵は判りましたと返事を返し、ゲッターを浮上させる。既に武蔵を襲ったゲッターの姿は何処にも無い……武蔵は唇を噛み締め、その場を後にするのだった……

 

 

 

武蔵が去った後、ハガネとヒリュウ改は情報を整理する為、一時タクラマカン砂漠に停泊する事を決定した。このままゲッターの捕縛命令が出されたとしてもハガネのクルーには迷いが生まれ、そうなればヒリュウ改のクルーはハガネのクルーに対する不信感が生まれる。それを回避する為にも話し合いは必要だった

 

「それではダイテツ艦長。あの特機の事、そして武蔵と言う少年の話をしてくれますか?」

 

「判っている。だが先に言っておくがワシ達は意図して武蔵君の情報を隠していた訳ではないと言う事は判って欲しい」

 

ヒリュウ改のブリーフィングルームにダイテツの姿があった。ハガネではなく、ヒリュウ改にダイテツとイングラムが訪れたのは理由がある。ハガネのクルーは武蔵を好意的に受け入れている、だからこそ武蔵に罪が無いと言う者が多い。だがそれを一々聞いていては話が進まないと言う事でダイテツとイングラムだけがヒリュウ改に移動してきたのだ。

 

「武蔵君はSSSS級機密とし、ジュネーブの連邦軍本部からの痕跡抹消が命令されていた。本当ならば戦闘になった段階で、情報を伝えるべきだったのだが、それを出来なかった事を許して欲しい」

 

SSSS級、そして痕跡抹消命令。それを聞いてキョウスケ達の顔色が変わる

 

「あいつはなにをやったんだ? 連邦の上層部でも殺したのか?」

 

SSSS級なんていう規格外の機密扱いと聞いてカチーナがそう呟く、その問いかけにイングラムが返事を返す

 

「ムサシ・トモエ。可変合体式特機「ゲッターロボ」のパイロットであり、DCとの戦いの間に出現した「恐竜帝国」と「メカザウルス」の脅威を知る、旧西暦の人物だ」

 

淡々と告げられたイングラムの言葉。恐竜帝国、メカザウルス、そして旧西暦の人間

 

「……いけませんな、今旧西暦の生まれと聞えたのですが?」

 

「事実だ、ショーン。武蔵君は旧西暦の生まれであり、そして連邦がひたすらに隠している失われた時代の生き証人だ」

 

ダイテツにまで旧西暦の人間と告げられ、ヒリュウ改のブリーフィングルームに混乱が広がる。今は新西暦で、旧西暦の人間が生きているはずも無い。だがイングラムもダイテツも冗談を言うタイプではない……だがそれをすぐに信用することは出来ない

 

「中佐。その話が事実だという証拠はあるのですか?」

 

「勿論だ。キョウスケ・ナンブ少尉、確かに軍部の命令と言うことハガネ及びそのPT隊での一切の戦闘記録は廃棄した。だが、民間人である、マサキ・アンドーのサイバスターに全ての記録を保存してある」

 

「随分とグレーな部分を攻めましたね」

 

ダイテツの言葉でダイテツが何を命令したのかを理解したショーンが苦笑しながら言う。だがダイテツは豪快に笑いながら

 

「軍人だから軍部の命令には従う。だが幸いと言うべきかハガネには民間人である、マサキ・アンドーがいた。彼の機体であるサイバスターに全ての情報を保存させて貰ったのだ。これが彼が旧西暦から来たと言う証拠であり、DCの残存兵がまだ暴れている理由である」

 

モニターに映し出された戦闘記録。それは決して長い物ではない、時間にして30分ほどの短い映像だ。だがそれでも、30分とは思えない重厚な時間であった。恐竜と機械を融合させたメカザウルスと言う異形の襲撃に始まり、武蔵には秘密だったが、記録していた武蔵の生きた時代の話……そしてアイドネウス島でのギガザウルス・ゴールとの戦い、最後にゲッターロボとヴァルシオンの一騎打ち……それは凄まじいの一言に尽きていた。

 

「ダイテツ艦長達がDCを倒した訳では無かったのですね」

 

「ああ、上層部の決定だった。ワシ達がアイドネウス島に到着した頃にはメカザウルスの襲撃により、アイドネウス島のDCの拠点は半壊状態だった」

 

詳しい記録の提示もなく、DCはハガネが倒したと言う報告だけを聞いていたレフィーナは今の映像を見て真実を知った。連邦が自分達の手柄とする為に恐竜帝国、そして武蔵の情報を隠蔽する事を決めたのだと……

 

「恐らく武蔵が生きていれば、連邦にとっては都合が悪い。それ故に武蔵の捕縛命令、及びゲッターロボの破壊命令が下されている」

 

自分達の面子を護る為に、ただ1人を犠牲にする事を決断した上層部。確かに上層部にも良い人間はいる、だがそれ以上に腐敗しているという事実……そしてハガネのクルーが率先的に武蔵の攻撃しなかった理由もこれで明かされた。

 

「なんだよ、じゃああいつは、地球を守る為に戦った挙句、反逆者に仕立て上げられたってか?」

 

「……そ、そんなことが許されるのですか!? 大々的に彼を表彰するべきではないのですか!?」

 

武蔵がいなければ、地球は恐竜帝国によって制圧されていた。武蔵は英雄として大々的に公表されるべき人物のはずなのに、犯罪者へと仕立てられた。直情的な性格なカチーナは隠す事も無く舌打ちをし、ブリットは信じれないと言う表情で叫ぶ。

 

「……あのーイングラム少佐。申し訳ないんですけど、さっきの戦闘記録の事で気になることがあるんですが?」

 

「なんだブロウニング少尉」

 

「えーっとですね、ゲッターロボとヴァルシオンの戦いの最後の所なんですけど、ちょっと引っかかる所があるんです」

 

エクセレンの言葉にイングラムは首を傾げながらPCを操作する、再びモニターに映し出される戦闘記録

 

「……俺、随分手加減されてたんだな」

 

「そうですわね。もしゲッターが本気ならジガンスクードはスクラップですわ」

 

ゲッターの凄まじい戦闘力。ゲッター2のドリルでの攻撃は手加減された攻撃であり、それですら気絶した自分にタスクはとほほと溜め息を吐き、そしてそんなタスクにレオナが止めを刺す。

 

「そこ! そこで止めてください」

 

「判った」

 

そして戦闘記録も佳境に差し掛かった所でエクセレンがそう叫ぶ。ゲッターの連続攻撃で上空に巻き上げられたヴァルシオンが、タクラマカン砂漠でも猛威を振るった戦車のような姿の伸縮自在の両腕に絡め取られた場面だった。

 

「この映像がどうかしたのか? エクセレン」

 

「キョウスケ、本当にわからないの?」

 

エクセレンに言われて全員がモニターを注視する。ゲッターの攻撃にばかり目を取られていたが、よく見るとその場面には1つおかしな点があった。

 

「むっ!」

 

「なるほど、あのオーバーキルとも取れる攻撃はこれが目的か……」

 

エクセレンに指摘され、全員が気付いた。ゲッターよりも遥か後方に上がった水柱の存在にだ……

 

「ヴァルシオンってどうなっていたんですか?」

 

「上半身が完全に潰されていると言う状態だったが……ふ、武蔵め、やってくれる」

 

恐らくだが大雪山おろしに捕えた段階で、ゲッター3はヴァルシオンのコックピットを抉り取っていた。そしてその上でアイドネウス島に叩きつけることで、ヴァルシオンを必要以上に破壊して証拠隠滅を図ったのだ

 

「つまり、親父は生きている?」

 

「その可能性は高い、武蔵君にとってビアン・ゾルダークは恩人だ。殺した事にして、回収したとしてもおかしくはないな……」

 

ただそうなると本当に国家反逆罪が適応されることになる事にダイテツは頭を抱える事になるが、それも武蔵らしさかと呟く

 

「……中佐。ゼンガーが撤退する前に俺に告げた事があります。人類の敵は生きていると……」

 

キョウスケの静かな呟き、人類の敵と言う余りに遠まわしな指摘。キョウスケも最初は何の事か判らなかったが、今の映像を見て確信した。

 

「生き残りのメカザウルスがいるって事ですか?」

 

ラッセルがまさかと言う表情で呟く、だがメカザウルスは生物でもある。自分の生命の危機を感じ取り、戦場を離脱した個体がいてもおかしくは無い。

 

「……問題は山積みだが、武蔵君とゲッターロボは決して敵ではない。その事を証明したいと思っている」

 

確かにビアンを生かしている可能性はあるが、それを差し置いても武蔵は地球を護ったと言う功績がある。そして上層部への不信感も強くなった、今のこの時期の不自然なジュネーブへの移動命令……それはレイカーやノーマンの戦力を削ぐ目的であるという事も明らかだったからだ。

 

「ではゲッターロボへの積極的な攻撃は行わないと言う事で良いですね」

 

「そうするべきだ。異星人との戦い、そして生き残っているメカザウルスと戦う為には武蔵君とゲッターロボの力は必要だ」

 

可能ならば武蔵を匿う事を考えていたダイテツだが、ビアンが生きているのならば、恐らく武蔵はクロガネ、そしてビアンと行動を共にしていると判断した。そしてハガネとヒリュウ改は上層部の命令であるジュネーブに向かってタクラマカン砂漠を出発するのだった……

 

 

 

 

ハガネとヒリュウ改がタクラマカン砂漠を後にした頃。アードラー達が隠れている南米の「アースクレイドル」では連邦を裏切ったハンスによって、攫われたシャイン皇女がアードラーの手によって調整を施されていた。

 

「被験体とのゲイムシステムのリンク率、3.5%低下しました」

 

「構わん。強制リンクを続けるのじゃ」

 

「し、しかし……これ以上は命に関わります」

 

アードラーの言葉を聞いて、実験に参加していた一般兵がこれ以上は危険だと進言する。だがアードラーは鼻を鳴らし、投薬と実験によって意識が朦朧としているシャイン皇女に非道な言葉を投げかける。

 

「判っておるのか、皇女? ワシらの言う事に従わねば……侍従が死ぬぞ?」

 

アードラーの言葉にシャイン皇女は苦しげな呻き声を上げる。だがそれを見てアードラーはさらに鼻を鳴らす

 

「強情じゃのう。ラトゥーニ11と同じじゃ、ヒッヒッヒ……ならば、同じ手を使うしかないのう……誘発剤を強制投与するのじゃ」

 

薬を投薬しろと命令を出すアードラー。その瞳は正気ではなく、狂気に満ちた色に染められている

 

「そ、それでは副作用が出ます! 実験に支障が出ますよ!」

 

副作用が出るとは言っているが、兵士の目にはシャイン皇女への同情の色が浮かんでおり、アードラーを止めようとしているは明らかだ。だがアードラーはそんな兵士の感情を読み取り、下らんと一喝する

 

「構わん。ワシらには未来があるでの、それともお前も組み込んでやろうか?」

 

アードラーの言葉に兵士はヒッと息を呑む、先日アースクレイドルでは悪魔の実験が行われた。それは、アイドネウス島での戦いで瀕死の重傷を負ったテンペストの脳にゲイムシステムを組み込み、さらにテンペスト自身もコーウェンとスティンガーが持ち込んだ「ゲッターロボG」の廉価版、変形・合体機能を排除した機体に組み込まれて生体ユニットと化していたのだ。自分もそうなるかもしれないといわれ兵士は歯を鳴らしながら必死に首を振る。

 

「嫌ならばワシの命令には従え、それこそが人類が生き残る道じゃ、テンペストの実戦データを下に調整すれば、副作用など出るわけも無い。それからゆっくり、ゆっくりと調整してやるんじゃ」

 

機体に組み込まれしまうかもしれないと言う恐怖で、アードラーに逆らう者はおらず。繰り返しすまないと謝罪の言葉を口にしながら実験を再開する。そして投薬された薬の影響で身体を細かく震わせながら、シャイン皇女はアードラーに言葉を投げかける

 

「……わ、私には見えますわ……貴方達に……未来など……」

 

「フン、生意気な小娘め……生意気にも予言でもしておるつもりか、誘発剤を再投与せいッ!!」

 

先ほどよりも濃度の濃い投薬をされた事で、身体を大きく震わせて軈て弓ぞりに身体を曲げシャイン皇女は意識を失ってしまった。その小さな手が小さくたれる。その余りに凄惨な光景に、研究者も周りにいた兵士も沈鬱そうに目を伏せる

 

「お~お~やってるねえ。中々刺激的な光景じゃないの」

 

その痛ましい姿に兵士が目を逸らす中、楽しそうなテンザンの声が響く

 

「テンザンか、今日の訓練は済んだのか?」

 

「勿論だぜ、あのGって奴は最高だぜ! 俺の思い通りに動く、あんな合体と分離の出来ない出来こそないじゃなくてオリジナルを寄越せよッ!」

 

テンザンの言葉にアードラーは小さく眉を細める。メカザウルスに殺されかけた事で、一時精神が不安定に陥ったテンザン。致し方ない手段として投薬したが、想定よりも好戦的になっている。

 

(まぁ、良いじゃろ。量産型1号機にもゲイムシステムは搭載している)

 

テンザンもデータ取りに使えば、もう必要ない。全てはシャイン皇女が乗る予定のオリジナルのGのゲイムシステムの完成度を上げる為の実験だ。

 

「それよりよ、俺にも出撃させてくれよ。俺が今度こそ、ハガネとヒリュウ改を片付けてやるぜ、そしたら俺にオリジナルをくれよ」

 

「良かろう、じゃが貴様の量産型Gの1号機の調整には時間が掛かる。次の作戦には間に合わないが、ジュネーブに攻め込む時にはあれを

使うがいい。戦果さえ上げれば、お前にオリジナルGを預けよう」

 

指を鳴らし喜ぶテンザンを見つめながら、今頃ライノセラスに搭載された量産型ライガーが出撃している頃だ

 

(フヒヒヒ、死んだ男が最後に役に立ったわ)

 

既に人間としては死んでいるテンペストだが、ゲイムシステムと量産型ライガーのデータを取れれば十分過ぎる、アードラーは歪んだ笑みを浮かべながら、オリジナルGを提供してくれたコーウェンとスティンガーに感謝するのだった……

 

「フェフ博士……何時までアースクレイドルにDCの残存部隊を駐留させておくつもり? 彼の存在は連邦軍や異星人の標的となる」

 

アースクレイドルの最深部で2人の男女が向かい合っていた。美しい水色の髪をした女性が、神経質そうな顔をした青い髪の男にそう問いかける

 

「それでは、人と言う種を未来に遺す事など出来ない。今のままでは本末転倒です」

 

「ですが、ネート博士。コンピューター・メイガス、そして地球環境再生のためのマシンセル……さらにマシンナリー・チルドレンはどれもが未完成だ。それ故に、番人としてアードラーが必要だったのだ」

 

「しかし……」

 

言葉にすることは無かったが、ソフィアの言葉にはアードラー達に対する深い嫌悪の響きがこめられていた。イーグレットはそんなソフィアの様子を見て楽しそうに笑う

 

「ふふふ……心配はいらん。戦闘が始まれば、メイガスの門は閉じてしまえばいい」

 

「フェフ博士!?」

 

イーグレットの言葉はアードラーを含めた全員を囮にすると言う意味がこめられており、流石にソフィアも声を荒げるが、イーグレットは楽しそうに笑い、両手を広げる

 

「アースクレイドルも、ブラックボックスも俺達のものだ! 連邦にも、DCにも、EOT特別審議会の誰にも渡すつもりは無い」

 

狂気の色を宿すイーグレットに背を向け、ソフィアはその場を後にする。自分の理想に共感し、共に研究してきたイーグレットは変わってしまった、いや、アードラー達さえいなくなれば元にもどるかもしれない。そんな淡い期待を抱きながら、ソフィアはイーグレットの前から姿を消すのだった……

 

「やあやあ、イーグレット博士。研究の調子はどうですかな?」

 

「コーウェン博士、それにスティンガー博士、貴方達には感謝してますよ。どうぞ、こちらへ」

 

イーグレットはコーウェンとスティンガーを連れ、ソフィアも知らない研究区画に案内する。

 

「お、おおお! 素晴らしい! 素晴らしいですよ! イーグレット博士!」

 

「ほ、本当に素晴らしい! 貴方は素晴らしい研究者だ!」

 

コーウェンとスティンガーの目の前には高密度に収束したゲッター線の中に浮かぶ、何体もの人間の姿があった。

 

「研究に行き詰っていたが、貴方達が提供してくれたゲッター線。そのおかげでマシンナリーチルドレンは更なる上へと進化する!」

 

「進化! 進化とは素晴らしい物ですよ」

 

「進化ってとっても気持ちいい物なんですよ!!」

 

今はまだ眠り続ける悪意の種、それは確かにこのOG時空に撒かれ始めていた。

 

「ふふふ、それだけはありませんよ。ブラックボックスもゲッター線のおかげで解析が進んでいる」

 

「ほう、やはりあれはゲッター線に反応を示しましたか」

 

「ええ、何年も解析も出来なかったブラックボックスですが、貴方達のおかげで飛躍的に解析が進みましたよ」

 

全ては貴方達のおかげですと笑みを浮かべるイーグレットにコーウェンとスティンガーも微笑み返す。

 

「貴方達ならばアースクレイドルに居てくれても良いと思いますよ」

 

「お気持ちは嬉しいですが、私達にも予定と言う物がありますからね、ね、スティンガー君」

 

「う、うん! とても残念だけど、仕方ないんだ」

 

2人に断られたイーグレットは一瞬残念そうな顔をしたが、すぐに気を取り直し

 

「では、少しでも良いブラックボックスの解析を手伝ってくれますか?」

 

「「勿論!」」

 

イーグレットの言葉に満面の笑みを浮かべ、返事を返すコーウェンとスティンガー。イーグレットは2人を引き連れ、地下最深部の格納庫に向かう

 

「おお、これが宇宙から落下してきた謎の特機なのですね!」

 

「す、凄い! どこも破損していないなんて!」

 

「ええ、これが5年前、建築中のアースクレイドルに突如現れた特機。私達はこれを「オーガ1」と呼んでいます」

 

格納庫に鎮座する2つの顔を持つ鬼のような特機を見上げるコーウェンとスティンガーは、楽しくて仕方ないと言う様子で笑い出す。この世界は、自分達が想像しているよりも遥かにゲッター線と深い関係があると確信したからだ。

 

「おそらくコックピットは腹部にあると思うのですが」

 

「なるほど、鋭い着眼点だ」

 

「そ、そうだね! 素晴らしい着眼点だよ! イーグレット博士」

 

楽しげに笑う3人はオーガ1の解析を始める、だがイーグレットは知る由も無い、自分達の解析しているオーガ1がアースクレイドルが崩壊する切っ掛けになるとは……夢にも思わないのだった。

 

 

 

 

連邦軍本部のジュネーブの応接間ではカール・シュトレーゼマンとニブハル・ムブハルが密談を行っていた。

 

「随分と荒れているようですね。議長」

 

「当たり前だッ! 何兆円もの大金を注ぎ込んだ「G」はあの2人に奪取されるわ、私の部下は全員殺されるわ! 最悪だッ!」

 

頭を抱えて叫ぶシュトレーゼマンにニブハルは落ち着いてくださいと声を掛ける。

 

「ちっ、それよりも本当に会談は準備できるんだろうな」

 

疑うようなシュトレーゼマンの言葉にニブハルは笑みを浮かべながら勿論と返事を返す。

 

「それは勿論です。セッティングは私にお任せください」

 

「だが、レビ・トーラーと言う女はお前達のリストに載っていなかったぞ、彼らとお前の「国」は本当に繋がりはあるのか?」

 

シュトレーゼマンの責めるような口調にも、ニブハルは薄い笑みを浮かべ続ける。

 

「その点はご容赦を、私達の世界も1枚岩ではないのですよ、貴方方同様にね……ですが、武蔵・巴とゲッターロボを手中に収めれば、彼らの国よりもより上位の国と交渉することも不可能ではないと言ったはずです」

 

「ええい! 判っておるわ! 今武蔵と言う小僧もゲッターロボも生かしたまま捕獲しろと命令を出している、お前達も手を抜かずに動くんだな!」

 

シュトレーゼマンの言葉にニブハルは笑みを浮かべる、それは自信の表れや、シュトレーゼマンに信用を得るためのものではない。思ってもみない、大きなチャンスを手にしたからの笑みだった

 

(素晴らしい、ゲッターロボ……いや、ゲッター線。これは最高の手土産になる)

 

もう消滅した筈のゲッター線。ゲッターロボGの修理をシュトレーゼマンに勧めたのもニブハルだ、ただしGはコーウェンとスティンガーに持ち逃げされたが……だがまだゲッター炉心は残っている。それを手中に収める事が出来ればとニブハルは笑みを浮かべる

 

(バルマーにも、ゾヴォークにも高く売れる)

 

未開の星地球に、ゲッター線が現れた。資源としても、そして危険な因子としても非常に価値のある情報だ。それを高く売りつける事を想像し、ニブハルはこみ上げてくる笑みを抑えることが出来ないのだった……

 

 

第34話 悪のゲッターロボ出現に続く

 

 




このタイミングだと、それも私だぁおじさんがいるのは判っているんですけど、OG1では出てないのでそれも私だおじさんには独自解釈とオリジナル設定を付与する予定なので、この段階ではまだ普通の秘書官だと思っていてください。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
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