進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第213話 純真しかして邪悪なる者 その2

第213話 純真しかして邪悪なる者 その2

 

レーダーに感知されず、ゲッター合金による装甲とゲッター線バリアとE-フィールドの複合障壁と極めて強固な防御を誇るクロガネの装甲を抜いた一撃がなんなのかは出撃と同時に明らかになり、そしてその攻撃の正体に戦慄が走った。

 

「ゲットマシンをミサイル代わりにしているのかッ!」

 

斬艦刀の一閃で飛来したゲットマシンを両断したゼンガーは驚愕に顔を歪めながら声を荒げた。ゲットマシンは航空力学に真っ向から喧嘩を売っているような構造をしているが直線飛行にかけては新西暦の技術で作られた戦闘機は勿論、プロジェクトTDのカリオンさえ凌駕する速度を誇る。コスト面に目を瞑れば爆弾を搭載したゲットマシンは極めて有能な特攻兵器であった。

 

『間違いない、アーチボルドがいる』

 

ランツェ・カノーネで雲の中から飛び出してきたジャガー号とベアー号を打ち抜き空中で爆発させたレーツェルが苦々しい声で呟いた。ラングレー基地での異形のゲッターロボの姿はゼンガー達の脳裏に深く焼きついていた。ゲッターロボを複製する能力、空中で乱反射を繰り返すゲッタービーム……そして並大抵の攻撃を完全に無力化するバリアに再生能力。どれか1つでも恐ろしい脅威であるそれを複数内包したゲッターノワールは超機人に匹敵する脅威と言えた。

 

『ゼンガーとレーツェル、バリソン……それとクスハとブリットは私と共に敵陣に切り込み、百鬼獣を撃破するぞ』

 

カーウァイの指示にゲットマシンに対する対応や伏兵についての警戒の指示はない。何故ならば……。

 

『ゲットマシン及び伏兵への警戒は我々が行う。突出せずフォーメーションを組んで対応しろ』

 

クロガネにはヒリュウ改よりも多くの人員が残っている。1人の指揮官ではなく、カーウァイが特機勢、イングラムがPT勢の指揮を取る事で指揮系統の混線を避けていたからだ。ゲットマシンによる特攻とゲッターノワール、そして伏兵への警戒をイングラム達が担当することでゼンガー達は目の前の脅威である百鬼獣へ専念する事が出来る。宇宙に突出戦力を多く動員し、地球へ残るメンバーを多くしたのはこの事を考えての事だった。

 

「了解」

 

『了解しました、カーウァイ大佐』

 

『分かりました!』

 

『よっしゃ、行くぜッ!!』

 

カーウァイの指示にゼンガー達は了解と返事を返し、クロガネの前方に配置されている百鬼獣の群れにそれぞれの機体を走らせる。

 

(見たところ改良型……いや、あれが本来の百鬼獣と言った所か)

 

今まで見てきた百鬼獣と異なり、より洗礼された姿は龍王鬼一派の闘龍鬼や闘刃鬼を連想させ、今までとは根底から能力が異なっているとゼンガーは一目で理解した。

 

『シャアアッ!!』

 

咆哮と共に百鬼獣の掌から高出力のビームソードが姿を見せる。それだけではなく、ほかの百鬼獣も今まで使っていなかったビーム兵器や有線式のビームビットや実弾を発射するビットを展開する。

 

『より本腰を入れて来たと言う事かッ!!』

 

装甲だけではなく武装も強靭なものになり、主力級の量産型百鬼獣にレーツェルも驚愕の声を上げる。

 

『化けもんよりかはやりやすいッ!!』

 

『行きますッ!!』

 

だがバリソンとクスハは真っ向から百鬼獣に挑みかかる。確かに戦力分析も必要ではある、だが前線を任されたゼンガー達の役目は百鬼獣を撃墜し、相手の出方を見ることにある。

 

「一意専心ッ! 推して参るッ!!」

 

『伊達や酔狂で黒い竜巻を名乗っているわけではないッ!』

 

ゲッターD2に匹敵する能力を持つダイゼンガーとアウセンザイターには龍虎王とグルンガストよりも多くの百鬼獣が迫ってくる。機体性能もそして能力も未知数の百鬼獣を前にし、ゼンガーとレーツェルは獰猛な笑みを浮かべた。

 

「『押し通るッ!!!』」

 

百鬼獣の雄叫びを掻き消すような咆哮を上げ、ダイゼンガーとアウセンザイターも百鬼獣達との戦いに身を投じる。

 

「そうだ。それでいい、我々の道は前にしかないのだからなッ!」

 

特機は戦場の流れを変える切り札であり、そして精神的な支柱である。それが折れてしまっては勝てる戦いも勝てなくなる、これから先ゼンガー達はより強力な敵との戦いを強いられる。その前哨戦として新型百鬼獣はうってつけの相手だった。

 

『シャアッ!!』

 

「来い、格の違いを見せてやるッ!!」

 

鉤爪状に展開されたビームクローとゲシュペンスト・タイプSの手刀がぶつかり合い凄まじい火花を散らす。百鬼帝国との戦いの第二幕の幕はいま切って落とされるのだった……。

 

 

 

 

 

ゲットマシンによる特攻の阻止――それがリュウセイ達に与えられていた命令だった。だがR-1達の頭上を抜けてベアー号がクロガネへと突貫する。

 

「くそッ! 抜けられたッ!!!」

 

『リュウセイ! 深追いするなッ!!』

 

ライの警告がR-1のコックピットへと響いた次の瞬間……R-1はボールのように弾き飛ばされていた。

 

「うっぐうッ!! くそッ!! どこだッ! どこにいやがるッ!!」

 

何とか体勢を立て直したリュウセイだったが、完全に冷静さを失っており、自分が何に弾き飛ばされたのか謎の攻撃の正体を暴く事躍起になっていた。

 

『リュウセイ。落ち着きなさいッ! 陣形を崩しては駄目よッ! アヤッ! リュウセイのバックアップには入りなさいッ! ライは私とゲットマシンを迎撃するわよッ!』

 

フォーメーションを崩して前に出ようとするリュウセイにヴィレッタが警告するが、再びゲットマシンが姿を見せたのを見てアヤとマイにフォローするように指示を出し、ライと共にゲットマシンの迎撃へと移動する。

 

『了解ッ! リュウッ! リュウ! 落ち着きなさいッ!!』

 

『リュウ。落ち着くんだ』

 

アヤとマイの落ち着けという言葉がR-3から響き、辛うじてリュウセイは2人の意見に耳を傾けるという冷静さを取り戻し……てはいなかった。

 

「アヤとマイは分からないのか!?」

 

レーダーやセンサーに何の反応も無く、突然弾き飛ばされる。最初はカメレオン型の百鬼獣の仕業だと思ったリュウセイだったが、そうではなく、全く未知の強烈な攻撃。しかも念動力で感知出来ず、避ける事も防ぐ事も出来ない。姿勢を崩した所を特攻兵器であるゲットマシンが抜けていく事にリュウセイは強い怒りと焦りを抱いていた。

 

『リュウ。私も今探して『リュウ。落ち着くんだ、今ラトゥーニにシャイン王女達が攻撃の正体を探っている、冷静さを欠けば相手の思う壷だ。まずは落ち着いて、目の前をしっかり見るんだ』

 

アヤの言葉を遮ってマイがリュウセイに落ち着けと声を掛ける。リュウセイはどちらかと言えば直情的な人間で、良いも悪いも自分の感情を前面に出すタイプだ。上から押さえられると反発してしまうが、年下であるマイの言葉にリュウセイはやっと冷静さを取り戻した。

 

「すまねえ、アヤ、マイ。頭に血が昇ってた」

 

『ううん、大丈夫だ。それよりも集中して攻撃の正体を見破ろう、落ち着けば大丈夫なはずだ』

 

「分かった」

 

自分をおいて話を進めるリュウセイとマイにアヤは少し寂しいような気もしたが、リュウセイが冷静さを取り戻してくれならば攻撃の正体を見破ることも可能だと考えを切り替える。

 

『くそッ!! どこだ、どっから攻撃してきてる!』

 

『反応がここまでないと言うのは余りにもおかしいですわッ! 本当にどうなっていますの!?』

 

クロガネの近辺に待機しているジガンスクード・ドゥロとヴァルガリオン・ズィーガーのタスクとレオナも苦戦しているようで動揺したような声がオープンチャンネルでコックピットに響いて来る。状況は芳しくない、特攻してくるゲットマシンは無尽蔵でどこかに隠れているゲッターノワールが複製しているのは明らかで、感知出来ない攻撃は百鬼獣が行なっているのか、それとも超機人の仕業なのかも分からない、新型の百鬼獣をゼンガー達が抑えているので総崩れにはなっていないが、それでもいつまでもこの状況が続くと厳しいのは誰の目から見ても明白だった……突破口が見出せない戦いと言うのは総じて疲労と焦りを加速させる。

 

『掴まえましたわッ! オウカさん、ゼオラお願いしますわッ!!』

 

『ポイント1-Q-24と3A-21ーTッ!!』

 

『分かったわッ! ゼオラ合せてッ!』

 

『はい、オウカ姉様ッ!』

 

シャインとラトゥーニの声と共に空に2筋のビームの光が走り、雲の間に隠れていた新たな敵機の姿が露になった。それはサマ基地で共行王と共に出現したゲッターロボGを改造したような機体だったが、よりその形状は洗練されておりゲッターロボとゲッターロボGの面影を持つが全く別の機体へと生まれ変わった存在――ガーベルゲルミル・ゲーゲルミルの2機がカメラアイを紅く光らせながらリュウセイ達の前に姿を現すのだった……。

 

 

 

 

 

ガーベルゲルミルは量産型ゲッターロボGを、ゲーゲルゲルミルは量産型ゲッターロボをイーグレットが再設計した物にマシンセルを投入して作られた機体であり、パイロットは自我を持たない量産型マシンナリーチルドレンが生体CPUとして組み込まれている。

 

「敵機に捕捉、ステルスモードから戦闘モードへと変更します」

 

「戦闘データを記録を開始します」

 

無機質なマシンナリーチルドレンの言葉がそれぞれのコックピットに響き、何の感情も込められていないその瞳に機体ステータスだけを写しているグラフだけが投影される。

 

「トマホークブレード展開」

 

「レーザーマシンガンキャノン展開」

 

手足を切除され、胴体と頭部だけを残す。それがゲッターロボを新西暦の人間が操る為に必要な措置としてイーグレットが導き出した答えである。ゲッターロボの力は強大ではあるが、新西暦の人間では操縦に耐え切れないと言う致命的な欠陥があった。これは武蔵も悩まされている問題であり、3人揃わなければ最大のパワーを発揮でないのがゲッターロボの弱点であると言うのがイーグレットの分析結果である。1人見つけるのも困難なのに、3人そろえるのは天文学的な確率が必要であり、人間よりも遥かに強靭な肉体を持つ鬼ですらゲッターロボを操縦するのは不可能なのだ。どれほど強大な能力を持った機体であったとしても、そのスペックを最大限に発揮出来ないのならばある程度の自己修復機能、そして金属とは思えない変形能力、そしてゲッター炉心の全てが宝の持ち腐れであるとイーグレットは考えた。早乙女博士は優秀な科学者ではあるが、得た物を最大限に扱おうとしなかった愚か者であった。イーグレットが導き出した答えはパイロットは使い捨てにし、変形・合体機能をオミットする事である。

 

『は、早いッ! うわッ!?』

 

『アラドッ! このッ!!!』

 

「敵機の反撃を確認、命中率48%、考えられるダメージは5%。取るに足らない攻撃」

 

ビルトファルケンのオクスタンランチャーの攻撃を受け、ガーベルゲルミルの装甲には僅かな焦げ目がつくに留まる。

 

『そんなッ!?』

 

『ゼオラッ! アラドをつれて下がりなさいッ!』

 

攻撃が効かなかった事に驚いているゼオラにオウカは下がるように命じ、メガプラズマカッターでガーベルゲルミルで斬り掛かろうとしたが、ガーベルゲルミルはラピエサージュの腕を掴んで止めて反撃の右拳でラピエサージュを殴り飛ばした。

 

『きゃあああッ!』

 

『オウカ姉様! シャイン王女ッ!』

 

『分かっていますわッ! 行きましょうラトゥーニッ!!』

 

ガーベルゲルミルのオウカ達への追撃を防ごうとフェアリオンがガーベルゲルミルへと挑みかかる。

 

「フェアリオンを感知。ゲイムシステムを起動します」

 

圧倒的な運動性能と防御能力を持ち、シャインの予知で攻撃を当てる事も難しい難敵としてプログラミングされていたフェアリオンに対し、量産型マシンナリーチルドレンはゲイムシステムを起動し、執拗に追い回す。

 

『早いッ!』

 

『駄目ですわッ! 反応が早すぎますわッ!』

 

シャインの予知よりも早く行動する事でフェアリオンを無力化し、トマホークブレードを構え斬りかかるガーベルゲルミル。

 

『くうッ!?』

 

『きゃあッ!?』

 

回避先を予測されトマホークブレードの切っ先に誘い込まれるように移動してしまったフェアリオンはバリアで防ぎはしたが、攻撃の勢いまでは完全に殺す事が出来ず地表に向かって叩き落される。

 

『ラトゥーニッ! シャイン王女ッ!! くそッ!!』

 

『アラドッ! 駄目ですッ! 無闇に突撃してはいけませんッ! ゼオラッ!』

 

『はいッ!!』

 

フェアリオンが体勢を立て直すまでの時間を稼ぐ為にビルトビルガー、ファルケン、ラピエサージュがガーベルゲルミルへと向かおうとするが助けられる側であるシャインの駄目と言う声が3人のコックピットに響いた。

 

『駄目ですわッ!! 抜けられますッ!!』

 

雲の切れ間からイーグル、ジャガー、ベアー号の3機が最大加速で飛び出し、ビルトビルガー達の間を抜けクロガネへと突撃する。

 

『しまっ!?』

 

『やられたッ!』

 

「突撃経路確保成功、クロガネへの命中率78%」

 

無機質な言葉の中に隠し切れない悪意が見える。ゲッターロボを完全な殺戮兵器として運用するべく出したイーグレットの答えは決して間違いでは無かった。だがゲッター線を扱う物としては最低の答えである事をイーグレットは知らなかった、何故早乙女博士が3人のパイロットが必要とするゲッターロボを設計したのか、イーグレットは理解していなかったのだ。ゲッターロボを設計できる早乙女博士がイーグレットが考え付く対処法に気付かない訳が無い。3人揃う事がゲッターロボの、いやゲッター線の意志に触れるの必要なことであるという事にイーグレットは気付けなかったのだ。

 

『張りぼてに抜かせるほど、俺は耄碌していないぞ』

 

『捉えた。行ってッ!』

 

だがオウカ達を突破したゲットマシンはR-SWORDとゲシュペンスト・MK-Ⅲの放ったブーステッドライフルとメガビームカノンに胴体を貫かれ、空中で爆発四散する。

 

「「スレイブ射出」」

 

ゲットマシンの特攻が失敗し、進路を作る為に前に出ていたガーベルゲルミル達は背部の8つの勾玉型のビットを射出し態勢を立て直そうとしたが、完全に射出される前にR-3・パワードのストライクシールドで全機撃墜された。

 

『リュウッ!!』

 

『任せとけッ!! 念動集中ッ! T-LINKソードッ!!』

 

R-3・パワードの上に乗っていたR-1の放った念動力を剣の形にして射出するそれがガーベルゲルミルの胸部に突き刺さり、ガーベルゲルミルは黒煙を上げ螺旋回転をしながら落下し、ゲーゲルミルは大技を使って硬直しているR-1に向かってトマホークブレードを投げ付けようとしたが、紫の流星がそれを阻止した。

 

『リュウセイはやらせない』

 

『ラトゥーニッ!! 痛い目見せてあげてくださいなッ!!』

 

動きを止めてしまえばシャインの予知はゲーゲルミルの動きを完全に予測出来る。ゲーゲルミルが動き出す前にフェアリオンの最大加速からのソニックブレイカーがどてっぱらに直撃しゲーゲルミルも頭から真っ逆様に落下する。

 

『シーズアンカーッ!!』

 

『念動フィールド展開。ブーストッ!!!』

 

ダメージによって一時機能停止をした生体CPUによってゲーゲルミルは完全に機能不全を起しており、動きの鈍いゲーゲルミルにジガンスクード・ドゥロとヴァルガリオン・ズィーガーの追撃が叩き込まれ、ゲーゲルミルは装甲を拉げながら横方向へと吹っ飛ばされた。

 

『急に動きが鈍くなったぞ……どうなってる』

 

『ユウ、今のうちに撃墜しちゃおうよ!』

 

ラーズアングリフ・ゲイルレイブンがフォールディングカノンを構え、その照準をゲーゲルミルではなく、雲の切れ間から飛び出したゲットマシンに向かって砲弾を放った。

 

『ユウ。どうして』

 

『クロガネを沈めるわけには行かない。最優先はゲットマシンの撃墜だ』

 

何故撃墜しなかったのかと言うカーラの問いかけにユウキはそう返事を返したが、その眉は険しく寄っていた。

 

(なんだ、今嫌な予感がした。撃墜しては取り返しの付かないことになるような……)

 

念動力者としての勘がゲーゲルミルを破壊してはならないと本能で感じたのだ、ゲーゲルミルの中に眠る悪意を念動力が感じ取っていたのだ。そしてユウキの勘を裏付けるようにクロガネから警告が発せられた。

 

『各員、敵のゲッターロボを破壊する事を禁じる。インベーダー、アインストに匹敵する脅威と考え、最大限の警戒をしつつ無力化せよッ!』

 

「出力向上せず……理解不能、理解不能」

 

「ゲイムシステム起動率低下、ゲッター炉心出力低下」

 

だがその警告は余りにも遅かった。ガーベルゲルミル、ゲーゲルミルの中に潜む悪魔は既に目覚めようとしていたのだ。与えられたダメージだけが原因ではない、得られる筈だったゲッター線の出力を得る事が出来ず、CPUが機能不全を起こし始めているガーベルゲルミルとゲーゲルミルは少しずつ崩壊が始まり、ゲッター炉心の内部で不気味な胎動が脈打ち始めているのだった……。

 

 

 

 

時間は少し遡る……クロガネのブリッジで待機していたビアンはガーベルゲルミル・ゲーゲルミルの登場にその眉を顰め、テツヤに顔を向けた。

 

「テツヤ大尉。各員に指示を、あの新型は変異する可能性がある」

 

ゼオラを取り戻した際に現れた機体は窮地に追い込まれるとその形状を変化させた。その時の機体よりも洗錬された姿を見れば暴走ではなく、機能として変異機能が付け加えられている可能性があるとビアンが危惧するのは当然の事だった。

 

「各員に通達、最大限の警戒を持って当れと、それこそインベーダーやアインストに匹敵する脅威と考えるようにな」

 

「了解しました」

 

 

オペレーター各員に通達をしている姿を見ながらビアンは鋭い視線でガーベルゲルミル・ゲーゲルミルの観察をしていた。

 

(ドラゴンに似ている方はやはり発展機か……さきほどから繰り返されていた見えない攻撃はあの機体の仕業だな)

 

ゲッターロボGの面影を持っているが機体の特徴から見て避けて反撃するPTやAMに近いコンセプトの機体だとビアンは一目で見破っていた。

 

「リリー中佐。戦闘を全て記録してくれ、状況によって私とシュウも出る」

 

「おや? 私もですかビアン博士」

 

「不服かね?」

 

「いえいえ、構いませんとも……それに嫌な流れなのは私も分かっていますから」

 

特攻兵器であるゲットマシンはクロガネに隣接することすら出来ておらず、そしてガーベルゲルミルとゲーゲルミルは動きが鈍くなり被弾が多くなり始めている。そして虎の子である新型の百鬼獣もダイゼンガー達を突破出来ておらず戦況は姿を消して攻撃をしていたガーベルゲルミルとゲーゲルミルが捕捉され始めてからクロガネに傾いていた。それなのに動きが無い、ゲットマシンを次々に送り出している点からこの戦場のどこかにゲッターノワールとアーチボルドが潜んでいるのは確実だ。蛇のように強かで、そして人を傷つける事を好んでいるアーチボルドの性格を考えれば自分達の不利を悟って撤退した可能性もあるとテツヤが口にするがビアンはそれを即座に否定した。

 

「この絡みつくような視線が分からないか」

 

「ククク、流石に自ら機体に乗り込み戦場に出ない貴方には分からないでしょうね。あの男は何かを待っているのですよ」

 

科学者ではあるがビアンもシュウも戦士でもあるのだ。自ら戦場に出て、戦うからこそ感じ取れる者がある。

 

「カーウァイ大佐達の動きを見てみろ、徐々に下がって来ている。彼らも感じているのだ、この戦場の異様な雰囲気をな」

 

攻めているはずなのに追詰められているとでも言うべき不快感、この攻勢も全て演出された物であるかのような動かされているかのような感覚。ビアン達が感じ取れるそれをイングラムとカーウァイが感じ取れない訳が無く、少しずつクロガネへと下がり始めたその時――隙を窺い、その毒を打ち込まんと機を窺っていたアーチボルドがその目を見開いた。

 

「くふふふ、待ってましたよ。この時をね」

 

ゲットマシンによる特攻も、ガーベルゲルミルとゲーゲルミルも新型の百鬼獣も言うならばクロガネをこの場に足止めする為だけの囮であり、アーチボルドの目的は只只管に時間を稼ぐ事であった。

 

「転移反応多数感知!」

 

「数はどうなっている!」

 

「識別あり! これは……メタルビースト・Rシリーズですッ!!」

 

オペレーターの報告の直後メタルビースト・Rシリーズが9機その姿を現し、耳障りな叫び声を上げる。

 

「くふふふ。始まりますよ、僕の狩がね……」

 

特攻兵器であるゲットマシンでクロガネは此処から逃げる事は出来ず。仮に百鬼獣を破壊すればメタルビースト・Rシリーズが寄生しメタルビーストとして蘇る。仮に百鬼獣を破壊しないとしても、メタルビースト・Rシリーズは寄生先を求めてダイゼンガー達に攻撃を仕掛けていく、そうなれば百鬼獣への対応が甘くなる。そしてガーベルゲルミルとゲーゲルミルはダメージが蓄積すればマシンセルが暴走し、メタルビーストに近い性質の異形へと変異する。

 

「我慢した甲斐があったというものですよ」

 

疲弊しきった所を叩き確実に戦果を得る。アーチボルドはクロガネ隊が逃れられない自分の罠に嵌ったと確信し邪悪な笑みを浮かべるのだった……。

 

 

 

第214話 純真しかして邪悪なる者 その3へ続く

 

 




と言う訳で前半戦はイベントバトル。敵が回避とか防御とかしかせず思うように攻めきれない+特攻ゲットマシンを撃墜しないとゲームオーバーになるというクソみたいなMAPでした。積極的に攻撃してくるのはガーベルゲルミルとゲーゲルミルのみ、逃げていく百鬼獣を追わないとゲットマシンがわいてくると必然的にクロガネから味方ユニットが引き離されるという悪意に満ちたギミックとなっております。今回は少し不完全燃焼のような戦いになった分次回は戦闘に力を入れていこうと思いますので次回の更新もどうかよろしくお願いします。


PS スパロボDDアークの新武装ガチャ

ジュラガオーン
サンダーボンバー

うーん、無念

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
  • 今のままで良い
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