進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第359話

第218話 堕ちた戦神 その3

 

目の前の絶望的な光景に誰もが言葉を失っていた。全員が出来る限りのベストを尽くした、リュウセイ達はメタルビースト・アルタードの念動フィールドを決死の覚悟で中和し、龍虎王・ダイゼンガー・アウセンザイターの3機による動力部の破壊のサポートを行なった。そしてタスク達はメタルビースト・Rシリーズを撃破寸前まで追い込んだ。限られた戦力の中で皆ベストを尽くした……だがメタルビースト・アルタードの生存本能は、それを上回っていたのだ。

 

『カーウァイッ! バリソンと下がれッ! 俺とヴィレッタでSRXのサポートに回るッ!! お前達はメタルビースト・SRXを頼むッ!』

 

「ちいっ! それしかないかッ! バリソン続けッ!」

 

『りょ、了解ッ!!』

 

メタルビースト・アルタードにSRX、R-SWORD・シーツリヒター、R-GUN・パワード、龍虎王、ダイゼンガー、アウセンザイターと戦力の大半を注ぎ込まざるを得ない状況にカーウァイは舌打ちし、バリソンと共にクロガネにハイフィンガーランチャーを向けているメタルビースト・SRXにゲシュペンスト・タイプSとグルンガストを走らせる。

 

【キシャアアアッ!!!】

 

向かってくるゲシュペンスト・タイプSとグルンガストに気付き、1機のメタルビースト・SRXはハイフィンガーランチャーの発射を中断し、赤黒い念動力を宿した拳で殴りかかってくる。

 

「どれだけ威力があろうと当らなければどうということはないッ!!」

 

敷島博士に強化されているとはいえ、PTであるゲシュペンスト・タイプSがザインナックルの直撃を受ければ装甲など何の意味も無く破壊される。ほんの少しのミスが死に繋がる中でカーウァイは一切怯む事無く、メタルビースト・SRXへ接近戦を仕掛ける。

 

【シャアアッ!!!】

 

『させるかよッ!!』

 

メタルビースト・SRXの胸部装甲が開き、溢れ出した触手がゲシュペンスト・タイプSに迫るが、そうはさせないとバリソンの乗るグルンガストがブーストナックルを放ち、その触手を掴んで止める。

 

『誰でも良い! 触手を何とかしてくれッ!!』

 

『了解したッ! ヒューゴ続けッ!! フォリアはバックアップだッ!』

 

『了解ッ!!』

 

『りょ、了解ッ!』

 

ヒュッケバイン・MK-Ⅲの放ったチャフの弾幕に隠れながら2機のゲシュペンスト・MK-Ⅲがメガプラズマカッターでグルンガストの両拳が掴んでいる触手を斬り飛ばす。

 

【ゴ、ゴギャアアアッ!!?】

 

「これでもくらえッ!!!」

 

何十本の触手を同時に斬り飛ばされ苦悶の絶叫を上げるメタルビースト・SRXの開かれたままの胸部装甲に、ゲシュペンスト・タイプSが両手で構えた参式斬艦刀が突き込まれる。

 

【グギャアッ!? ゴガアアアッ!!!】

 

「くっ! 振り落とされて堪るかッ!!」

 

ゲシュペンスト・タイプSを振り払おうともがくメタルビースト・SRXから引き離されまいと細かいスラスターの操縦で耐えるカーウァイは、参式斬艦刀でメタルビースト・SRXの内部を抉る。

 

【ゴギャアアアッ!!! ギルガアアアアッ!!!】

 

「ちいっ!?」

 

振り解けないと判断したメタルビースト・SRXのフェイスパーツに紅い光が集まるのを見て、カーウァイはメタルビースト・SRXの胸部装甲を蹴ってガウンジェノサイダーの射程距離から離脱する。

 

『隊長! 大丈夫ですか!?』

 

「ああ、なんとかな……とは言え、かなり厳しいな」

 

オリジナルのメタルビースト・SRXと比べれば念動フィールドと再生能力を大きく低下しているが、攻撃力はオリジナルと大差が無い。

 

『あの化物はどうすれば倒せる。何か弱点のようなものはないのか?』

 

「触手についている目を潰すか、再生出来ないほどに消し飛ばすくらいだ」

 

『……ちっ、とんでもない化物だな。上層部は良くこれを隠そうとしたな』

 

メタルビーストの脅威を目の当たりにし、こんな化物の事を隠そうとしていた上層部に対して強い憤りを隠そうともしない。

 

『無理だろ!? どう考えても火力が足りてないぞッ! ほかに何か決め手があるんじゃないのかッ!』

 

『フォリアッ! 文句を言っている場合かッ! 来るぞッ!!』

 

【ギシャアアアアアアッ!!!!】

 

メタルビースト・SRXが咆哮と共に突き出した両手と開かれた胸部装甲から空を埋め尽くすほどの触手が放たれる。

 

『マジかよッ! くそッ! ファイナル』

 

「止めろバリソンッ! 無駄にエネルギーを使うなッ! 回避に専念しろッ!!!」

 

生半可な攻撃では焼け石に水にしかならないから回避に専念しろとカーウァイは叫ぶが、インベーダーの意志で伸び縮みを繰り返す触手を避け続けるのはカーウァイ達を持ってしても厳しい物だった。

 

『おいおい、あんなの避けられないぞッ!!』

 

『馬鹿な……あれは本当に生物なのかッ!?』

 

避けられる事に痺れを切らしたのかメタルビースト・SRXは上空に触手を集め、開かれた複眼にエネルギーが集め始める。あれだけの触手から放たれるであろうビームを回避するのは流石に不可能だと、カーウァイ達の顔から血の気が引いた。

 

『ゲッタァアア……ビィィイイムッ!!!!』

 

【ギ、ギギャアアアアアアッ!?】

 

ビームが放たれる寸前、マントを纏って突撃してきたゲッターVの放ったスパイラルゲッタービームが上空の触手を纏めて焼き払った。だが、ゲッターVも地響きを上げながら墜落し、地面の上を2度3度とバウンドする。

 

「ビアン所長、大丈夫かッ!?」

 

『ぐう……よくも武蔵君はこれを耐えれるな……老骨には厳しいぞ』

 

スパイラルゲッタービームの反動にビアンは意識を飛ばしたのか、墜落したゲッターVにゲシュペンスト・タイプSが駆け寄り立ち上がらせる。

 

『助かったぞ、カーウァイ大佐。だが……不味いな、やはり火力が足りない』

 

再生能力と念動フィールドは格段に弱いが、攻撃力は健在であり、ゲッター線で稼働しているダイゼンガー達をメタルビースト・アルタードから離せば、その瞬間にR-GUNによるメタルジェノサイダーを使われる可能性があるのでこちらに回す訳には行かない……そこまで考えた所でカーウァイはある決断を下した。

 

「ビアン所長。炉心を臨界点まで高めるのにどれくらい時間が掛かる?」

 

『……分からない、だがゲッター炉心の出力が上がっている事を考えればそれほど時間が掛かるとは思わんが……少なくとも数分は掛かるぞ』

 

「その間。我々でゲッターVを死守する。フルパワーのゲッタービームをあいつに撃ちこんでくれ」

 

『……それで倒せる保障はないぞ?』

 

「だが今のままでは勝機はない。話は聞いていたな、メタルビースト・SRXを突破するにはこれしかない、ゲッターVの炉心の出力が上がるまで我々でゲッターVを死守するぞ」

 

『了解ッ! 厳しいが何とかしてみるぜッ!』

 

『……事情は分からんが、あの機体が鍵だと言うのならば逆らう理由はない、ヒューゴ、フォリア、聞いていたな? あの機体を守りながらあの化物と戦うぞ』

 

【キッシャアアッ!!!】

 

メタルビースト・SRXに与えたダメージは完全に再生していないが、その事で完全にカーウァイ達を敵だと認識したのか、血走った黄色の瞳が背筋が凍るような殺気と共にカーウァイ達を睨みつけるのだった……。

 

 

 

 

唸り声を上げザインナックルを突き出してくるメタルビースト・SRXに向かって、ジガンスクード・ドゥロがシーズアンカーを突き出す。

機体の全長・体重共に上回っているジガンスクード・ドゥロの巨体が、メタルビースト・SRXのザインナックルによって宙に飛んだ。

 

「がぁッ!? くそッ!! こっちの方がでかいのに完全に押し負けてるッ!!!」

 

頭半分はメタルビースト・SRXの方が小さいのに力負けした事に、タスクは信じられないと声を荒げる。

 

『早く体勢を立て直しなさいタスクッ! ユウキ少尉ッ!!』

 

『了解したッ! カーラッ!』

 

『照準……OKッ! ユウ、撃てるよッ!!!』

 

ヴァルガリオン・ズィーガーの放ったゲッター合金の弾頭とフォールディングソリッドカノンが続け様にメタルビースト・SRXに直撃する。

 

『駄目ですわッ! 早く離れてくださいッ!!』

 

シャインの悲鳴に似た逃げろという叫びにヴァルガリオン・ズィーガーは急上昇し、煙の中から放たれたガウンジェノサイダーを回避し、ラーズアングリフ・GRはその手にした盾で触手を防いだが、大きく弾き飛ばされる。

 

『くっ……防いでこれかッ!』

 

『今のでフォールディングソリッドカノン折れちゃったよッ!? どうするのさ、ユウッ!』

 

『ツインソリッドカノンと集束荷電粒子砲がまだ残っているッ! デッドウェイトのフォールディングソリッドカノンを捨てるぞッ!!』

 

ジガンスクード・ドゥロ以外では一撃防ぐのもやっと、まともに被弾すればその瞬間に撃墜されると判断したタスクはジガンスクード・ドゥロを立ち上がらせると共にテスラドライブを全開にして、メタルビースト・SRXへ突撃する。

 

「これならどうだッ!! いくらお前が強くても、このぶちかましは耐えられねえだろッ!!! うわっとおッ!?」

 

ジガンスクード・ドゥロの巨体を武器にすればメタルビースト・SRXが如何に強大でも耐えられないだろうと叫びながら突撃したジガンスクード・ドゥロだが、突如目の前に現れた漆黒の穴に吸い込まれ全く別の場所に吐き出される。

 

「な、なにしやがるッ!!」

 

『無駄死にされる訳には行きませんから、あれを見ても突撃していましたか?』

 

漆黒の穴……ワームホールを作り出したシュウとグランゾンにタスクは文句を言うが、シュウは飄々とした態度を崩す事無く、タスクに向かって警告を口にする。

 

「あれ……なにを……げえ……ッ」

 

メタルビースト・SRXの両手から伸びている念動力の刃を見てタスクは顔を青褪めさせた。あのまま突撃していたのなら、あの念動力の刃でジガンスクード・ドゥロは確実に両断されていただろう。

 

『タスクッ! 無謀な突撃をして死にたいんですかッ!!』

 

『何をしているッ! お前が倒れたら俺達が全滅するって言うことも分からないのかッ!!』

 

「す、すんまへーんッ!!!」

 

レオナとユウキの怒号にタスクは謝罪の言葉を叫んだ。自分の軽はずみな行動で全員が全滅する危険性を改めて認識したからだ。

 

『シラカワ博士、グランゾンでメタルビースト・SRXを押さえ込む事は可能ですか?』

 

『ご期待に答えれず申し訳無いですが、今のグランゾンは本調子では無くてですね。とてもではないですが、メタルビースト・SRXを抑え込むだけの力はありません』

 

シュウのトーンは普段通りでその言葉が真実か、嘘かをラーダは見抜こうと意識を集中させるが、シュウの真意を見抜くことは出来なかった。

 

『分かりました。ですが白兵戦は無理でも、遠距離攻撃は出来ますよね?』

 

『ククク、ええ、勿論。ですが……万全の時のようにワームスマッシャーを連射すると言うことは出来ませんし、ブラックホールクラスターを発射するには十分な時間が必要とだけ言っておきましょうか』

 

シュウとてメタルビースト・SRXが脅威であることは変わりはない、十分に戦えないと言う事は嘘ではないだろうが……真実を全て語っている訳ではないだろうとラーダは小さく溜息を吐いた。

 

『シャイン王女、アラド、ゼオラ、ラトゥーニ、4人でかく乱を、オウカとユウキ、それとレオナは隙を見て攻撃を、ジガンスクード・ドゥロとグランゾンでなければメタルビースト・SRXにダメージを与えるのは不可能よ。私達は支援に徹するわ』

 

PTの火力ではメタルビースト・SRXの念動フィールドを破れず、仮にダメージを与えれたとしても再生能力を考えれば焼け石に水であり、一撃でも被弾すればPTでは耐え切れない。ならば機動力に秀でたフェアリオンとビルトビルガーとファルケンでかく乱し、ヴァルガリオン・ズィーガーやラーズアングリフ・GRでゲッター合金製の銃弾を撃ち込み僅かでも内部のインベーダーにダメージを与え、本命のジガンスクード・ドゥロとグランゾンの攻撃を通す……それだけがラーダ達がメタルビースト・SRXを倒す手段だった。

 

『良いでしょう、貴女の作戦通りにするとしましょうか。ではよろしくお願いしますね?』

 

「……ちっ、ああ! この場を切り抜けるにはグランゾンのパワーが必要だッ! 頼むから裏切ってくれたりするなよ!」

 

『勿論ですとも、私もこんな所で死ぬ訳にはいきませんからね』

 

その言葉と共に放たれたワームスマッシャーの光がメタルビースト・SRXの放ったドミニオンボールを迎撃する。

 

「……それで本当に本調子じゃないわけ?」

 

『ええ、残念ながら』

 

本調子ではないとは言え、ドミニオンボールを全て迎撃し、メタルビースト・SRXにダメージを与えるグランゾンとシュウの底知れぬ実力にタスクは恐れを抱きながらジガンスクード・ドゥロを操る。

 

「いっけえッ!! シーズアンカァーッ!!!」

 

【グギャアッ!!】

 

射出されたシーズアンカーは初めてメタルビースト・SRXを捉え、その巨体を大きく弾き飛ばすのだった……。

 

 

 

 

メタルビースト・SRXとの戦いにビアン達が苦戦している以上に、メタルビースト・アルタードと戦っているリュウセイ達は苦しい戦いを強いられていた。

 

「念動集中……ザインナッコオッ!!」

 

【グルウウウウ、ウォオオオオオッ!!!】

 

リュウセイとメタルビースト・アルタードの咆哮が重なり、互いに振るった拳がお互いの胸部を捉えメタルビースト・アルタードとSRXが大きくたたらを踏んで後退する。

 

【シャアアッ!!!】

 

「くっ! はやッ!?」

 

受けたダメージは同じ位だとしてもメタルビースト・アルタードとSRXでは回復能力に雲泥の差があり、ザインナックルからT-LINKソードへと繋げてきたメタルビースト・アルタードの光の刃がSRXの胸部へ突き出される。

 

『はああああああッ!!!』

 

完全に必中のタイミングだったが、メタルビースト・アルタードとSRXの間に割り込んだダイゼンガーがT-LINKソードを受け止めて弾こうとするが、それも出来ずにその場に足止めされる。

 

『くっ! なんというパワーッ!! レーツェルッ!!』

 

『そのまま抑えていろゼンガーッ! イングラム、ヴィレッタッ!!』

 

アウセンザイター、R-SWORD・シーツリヒターとR-GUN・パワードの波状攻撃が続け様にメタルビースト・アルタードの胸部を捉え、メタルビースト・アルタードは呻き声を上げて後退する。

 

『リュウセイ! 調子に乗って前に出るなッ! メタルビースト・アルタードのパワーはSRXよりも遥かに上なんだぞッ!』

 

「す、すまねえッ! SRXで押さえ込もうと思ったんだッ!」

 

サイコドライバーであり、ウラヌスシステムが起動している今ならばメタルビースト・アルタードの念動力を中和出来ると思ったリュウセイだが、ウラヌスシステムで強化されたリュウセイの念動力を持ってしても、メタルビースト・アルタードの念動フィールドを完全に中和することは出来なかったのだ。

 

『気持ちは分かるけど、無茶をしたら駄目よ。リュウセイ。少しバランスが崩れたらその瞬間にあたし達は全滅するわ』

 

『……アヤの言う通りだ。あいつの力はどんどん増大してる……ッ』

 

マイとアヤの警告にリュウセイは眉を顰め、もう1度すまないと謝罪の言葉を口にした。

 

「クスハ、ブリットに変わってくれ。龍虎王のパワーより多分、虎龍王の手数が必要だ」

 

『リュウセイ君……うん、分かった。ブリット君』

 

『ああ、虎龍王に変ってくれ、クスハ』

 

SRXの隣で龍虎王の姿が一瞬で虎龍王に変わり、その拳をメタルビースト・アルタードへと向ける。

 

『……ゲッターVとグランゾンの重力制御があればもっと楽に戦えたのだけど……』

 

『無い物強請りをしてもどうにもならんぞ、ヴィレッタ。リュウセイ、ブリット、ゼンガー。支援はする、突っ込んでくれ』

 

無謀と呼べる指示を出すイングラムだが、今はそれが最善策だった。動力部が破壊され一時的にメタルビースト・アルタードの念動フィールド、そして再生能力は大幅に低下しているが、それも何時までも続くものではない。弱体化している今の内に畳み掛ける必要があった。

 

『隊長、リュウセイ。虎龍王で突っ込む続いてくれッ!! 身分身の術ッ!!!』

 

虎龍王が何十体にも分身し、咆哮と共にメタルビースト・アルタードへと突撃する。

 

「ライ、アヤ、マイ! 行くぜッ!!!」

 

『推して参るッ!!』

 

虎龍王に続き、両手に念動力の光を宿したSRXとゲッター線の光を刃に宿したダイゼンガーが続く。

 

『ガンスレイブッ!! 行け、虚空の射手よッ!!!』

 

R-SWORD・シーツリヒターの射出したガンスレイブが4機編成でメタルビースト・アルタードへと襲い掛かる。

 

【キシャアアアッ!!!】

 

しかしメタルビースト・アルタードはそんな攻撃など何の意味もないと言わんばかりに目もくれず、虎龍王に向かって拳を振るう。その拳の一振りで2体の分身が弾け飛び、地を這うような回し蹴りによって分身体の虎龍王の上半身と下半身が両断される。

 

『見えた。そこだっ!』

 

『狙いは外さないわッ!!』

 

幾重にも放たれたガンスレイブのゲッター線の光弾によってメタルビースト・アルタードの念動フィールドが結晶化した所をアウセンザイターとR-GUNパワードのゲッター線ビームライフルの光が貫き、ガラスの割れたような音と共に念動フィールドが砕け散った。

 

『今だッ!! うおおおおおッ!!!!』

 

【グルルゥ、ガアアアアアアアッ!!!】

 

ブリットと虎龍王の咆哮が重なり、地面を砕きながら飛んだ虎龍王の飛び蹴りがメタルビースト・アルタードの頭部を捉えた。

 

【グルウッ!!!】

 

顔面への一撃だったが、ダメージとしては軽微だったのかメタルビースト・アルタードはその腕を伸ばし、虎龍王を捉えようとする。

 

『まだだッ!! うおりゃああッ!!!』

 

だが虎龍王はその伸ばされた腕を掴んで逆立ちのような姿勢になるとその場で回転し遠心力の付いた回し蹴りを再びメタルビースト・アルタードの顔面に叩き込んだ。

 

【シャアアッ!?】

 

顔面への続け様の重い打撃に流石のメタルビースト・アルタードも苦悶の悲鳴を上げて、大きく仰け反った。怒りの反応を見せながら顔を正面に向けたメタルビースト・アルタードの眼前には眩いまでに輝く翡翠色の輝きが迫っていた。

 

「ガウンジェノサイダァァアアアアッ!!!」

 

【グッ! グギャアアアアアアアッ!!!?】

 

自らガウンジェノサイダーに飛び込む形になったメタルビースト・アルタードは凄まじい絶叫を上げて今度こそ大きく仰け反った。

 

『リュウセイッ! 今だッ!!!』

 

「おうッ!! 念動集中……至高拳ザイン……ナッコォッ!!!」

 

大きく仰け反ったメタルビースト・アルタードの懐に飛び込んだSRXの念動力の光を宿した左右の拳の連打がメタルビースト・アルタードの強固な装甲を大きく歪める。

 

「こいつでトドメだッ!! ブレードキィィックッ!!!」

 

【ご、ゴギャアアアッ!?】

 

トドメというリュウセイの叫びと共に振るわれたSRXの回し蹴りがメタルビースト・アルタードの胸部に深い真一文字の傷痕を刻み付ける。

 

『我はゼンガー……ゼンガー・ゾンボルトッ!! 悪を断つ剣なりッ! 受けよ、我が乾坤一擲の一撃をッ!!!』

 

【シャアア……ギッ!! ギギャアアアアアアアアアーッ!!!!】

 

裂帛の気合と共に振るわれたゲッター線の光を宿した斬艦刀の一撃は斬艦刀を受け止めようとしたメタルビースト・アルタードの両腕を肘から斬り飛ばし、どす黒い体液を撒き散らしたメタルビースト・アルタードの苦悶の絶叫が戦場に響き渡る。

 

『やったかッ!?』

 

「馬鹿ライッ! それは言っちゃいけねえって知らな【グルオオオオオオッ!!】……くそッ! ライが余計な事をいうからッ!】

 

お約束をライが口にした次の瞬間、メタルビースト・アルタードの切り落とされた肘の先からインベーダーの鋭い爪を持った腕が生えてくる。

 

『お、俺の所為ではないぞッ!?』

 

『リュウ、ライッ! 馬鹿話をしてる場合じゃないわよッ!』

 

アヤの一喝がR-1とR-2のコックピットに響き、リュウセイとライはアヤに謝罪の言葉を口にする。

 

『回復力は確実に落ちている。もしも万全ならば切り落とされた腕を繋げる筈だ』

 

『まだ好機は失っていないという事ね。厄介な武装が使われなくなっただけ勝率は上がったと思いたいわね』

 

アルタードの腕を奪い、確実にメタルビースト・アルタードの戦闘力は下がった筈。だがメタルビースト・アルタードから感じる威圧感はますます増大していた。

 

『手負いの獣は恐ろしい、油断するなよ』

 

ゼンガーは今のメタルビースト・アルタードの状態を手負いの獣と言う。正しくメタルビースト・アルタードの状態は動力を破壊され、再生能力を奪われ、両腕を破壊され手負いの獣そのものだが……そんな言葉では片付けられない異様な雰囲気を放つメタルビースト・アルタードに、リュウセイ達は知らずの内に己の機体を僅かに後退させているのだった……。

 

 

 

クロガネのブリッジで戦況を見ていたテツヤは、言いようのない寒気を感じていた。

 

「大尉どうかしましたか? イングラム少佐達がメタルビースト・アルタードの腕を奪ったのに、なんでそんなに不安そうな顔をしているですか?」

 

メタルビースト・アルタードの腕からインベーダーの腕に変わり、メタルビースト・アルタードの攻撃力は大幅に下がり、防戦一方になりつつあり、勢いは確実にリュウセイ達にある。

 

「……嫌な感じがするんだ」

 

「考えすぎではないでしょうか?」

 

「相手は未知の敵だ。勝利を確信するにはまだ早い」

 

勢いは確実にリュウセイ達にある。メタルビースト・SRXとの戦いも少しずつだが、最初の劣勢は少しずつだが巻き返し始めているのだが……相手はメタルビースト。そして今の連邦軍ではまだ設計段階のアルタードを既に作り上げている事を考えれば、幾ら攻勢に出ているとはいえ楽観的に考えれるはずが無い。

 

「すみません、大尉」

 

「いや、構わん。俺が考えすぎているだけという可能性もある」

 

艦長として部下の命を預かっている身として、テツヤは常に最悪を想定しなければならない。テツヤの知るダイテツは常に最悪に備え、考えられる全てをテツヤは想定しなければならなかった。

 

「すまないが、ゲッター線ソナーを使ってくれないか」

 

ダイテツの帽子に触れたテツヤは自身の思いつきをクロガネのオペレーターに頼んだ。

 

「ゲッター線ソナーですか? 構いませんが、何故?」

 

「何か嫌な予感がするんだ。前のように空間が裂けてメタルビーストが出現する可能性は0じゃない。ゲッターノワールとの戦いで我々を見ていたメタルビースト・ドラゴンの事が気になってしょうがないんだ」

見ていたメタルビースト・ドラゴンの事が気になってしょうがないんだ」

 

戦闘記録を見返している時にゲッタノワール・Dとの戦いの最中に上空で戦闘を見ていたメタルビースト・ドラゴンの姿が、どうしてもテツヤの脳裏を離れなかった。メタルビースト・ゲッター1から周囲のメタルビーストを吸収し、ドラゴンへと進化したメタルビースト・ドラゴンは空間を裂いてメタルビーストを召喚して見せた。その光景がどうしてもテツヤの脳裏を離れなかったのだ。

 

「了解です。30秒後にソナーをしようします」

 

「すまない、俺の思い過しなら良いのだが……」

 

艦長席に背中を預ける事無く、組んだ両手の上に顎を乗せたテツヤは鋭い視線で戦況を写しているモニターを見つめる。

 

(なんだ、なんなんだ。この胸騒ぎは……何を、俺は何を見落としている)

 

何か致命的な見落としをしている気がならないとテツヤは必死にモニターを見つめ、艦長席から凄まじい勢いで立ち上がり、オペレーターのマイクを奪い取る。

 

「な、何を」

 

「後だッ! 斬りおとしたアルタードの腕が変形してるッ!!」

 

斬りおとされたメタルビースト・アルタードの腕が変形し、メタルビースト・R-GUNとR-SWORDにへその姿を変えていた。メタルビースト・アルタードの知性は並みのメタルビーストを凌駕していた、動力部を破壊され再生力が落ちていると見せかけて斬りおとされた腕を再生出来るにもかかわらずあえて再生せず、体内に取り込んでいたメタルビースト・R-GUNとR-SWORDを分離させ不意打ちの機会を窺っていたのだ。

 

『な……ぐううッ!?』

 

『し、しまっ!?』

 

メタルビースト・R-GUNのメタルジェノサイダーを背後から喰らいR-SWORD・シーツリヒターとR-GUNが吹き飛ばされる。

 

『きょ、教官!? 隊長……うわあッ!?』

 

『ぐうっ!? お、おのれッ!!』

 

イングラムとヴィレッタの悲鳴に振り返ったSRXとそんなSRXを庇おうとしたアウセンザイターがメタルビースト・アルタードの伸ばした腕に殴り飛ばされ、そのまま伸ばされたメタルビースト・アルタードは腕を伸ばし、剣モードに変形したメタルビースト・R-SWORDと合体する。

 

『はああああああッ!!!』

 

【キシャアアアアアッ!!】

 

R-SWORDを振らせるわけには行かないとダイゼンガーが参式斬艦刀を振るうが、メタルビースト・アルタードはバスターブレードに変形した参式斬艦刀を片手で簡単に受け止め、返しの一撃でダイゼンガーの腹部に深い斬り傷を刻みつけながら弾き飛ばす。

 

【グルルルウ……グガアアアアアッ!!!】

 

自分をとめる者はいないと勝利を確信したメタルビースト・アルタードの振り上げたメタルビースト・R-SWORDの刀身に赤黒い念動力の光が集まり、巨大な念動刃を作り出す。

 

「クロガネを前に出せッ! 艦首超大型回転衝角でアルタードを……な、なんだッ!?」

 

テツヤがクロガネの艦首超大型回転衝角でメタルビースト・アルタードを攻撃する指示を出している最中、クロガネのブリッジに警報が鳴り響いた。

 

「高密度のゲッター線反応ありッ!! 10秒後に転移してきますッ!」

 

「このタイミングでかッ!?」

 

ゲッター線の光の渦がクロガネの上空に現れ、そこから真紅の鬼神が飛び出してきた。

 

『うおりゃあああああああああッ!!!!』

 

【ギ、ギャアアアアアアアッ!?】

 

ゲッター線ソナーに繋げて転移反応ありというオペレーターの声に声を荒げたテツヤの声を遮る男の怒号と、メタルビースト・アルタードの悲鳴が戦場に木霊した。

 

「げ、ゲッター……1?」

 

ゲッター線の光の渦から現れたのは、紛れも無くゲッター1だった。ボロボロで今にも壊れそうな姿をしているが、凄まじい威圧感と覇気を放つ斧を肩に担いだゲッター1はパイロットの動きをトレースするかのように、首に手を当て左右に首を振った。

 

『ちっ、ゲッター線め、また訳のわからない所に飛ばしやがって……やっと聖ドラゴンを見つけたっていうのによおッ!!』

 

男の凄まじい怒号に自分に向けられたものではないと分かっていても、テツヤ達は身を竦めた。武蔵に匹敵、いや武蔵を越える圧倒的な存在感と怒りの気配に完全に飲まれてしまった。

 

「待て、お前は誰だッ! 我々の『うるせえなッ!! 俺は竜馬、流竜馬だッ!! 誰の味方でもねぇッ!! 俺の邪魔をするならてめえらからぶっ殺すぞッ!!!』……ッ!!」

 

ゲッター線の光の中から現れた流竜馬を名乗るたった1人の男の登場によって、戦局は大きく変わろうとしていた。

 

「あやつ……あの時のッ!!」

 

「はっはっは、良いではないかここで借りを返すのも悪くない」

 

「わはーッ! めちゃくちゃ楽しくなってきたね!! にししッ!!」

 

そしてそれは、人間が抗う様を楽しんでみていた3人の超機人が、その腰を上げるに十分な新たな来訪者の訪れなのだった……。

 

 

第219話 堕ちた戦神 その4へ続く

 

 




聖ドラゴンを憎む竜馬の参戦です。いったいどの時空の竜馬なんだ(すっとぼけ)と惚けを1つ挟みつつ、ゲッター線の多用によって境界線が揺らぎ別の時空で戦っていた竜馬がフラスコの世界に迷い込んできました。正し今回はスポット参戦なので、アルタードまでって言う予定ですね。竜馬の参戦で過ち母さんも反応するでしょうし、最後で触れたとおり超機人も動き出すとメタルビースト・アルタードによってフラスコの世界は大きく動き始めております。それでは竜馬参戦でアルタード戦がどうなるのか次回の更新も楽しみにしていてください。


PS

宗助はあんまり育ててないので、復刻の切札と竜巻のガチャをしてきました。

2週して切札1 竜巻2枚

とアルト、ダイゼンガー、アウセンザイター用のカードを手に入れたので良しとする事にしました。

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
  • 今のままで良い
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