進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第225話 新たなる力 その3

第225話 新たなる力 その3

 

メタルビースト・アルタードを撃破したクロガネは連邦の基地に帰還せず、ビアンが世界各地に作り隠していた秘密基地へと帰還していた。その理由は、その秘密基地のハンガーに固定されているある機体にあった……。

 

「本当に大丈夫なのか? ビアン博士」

 

「ああ、問題ない。既にインベーダーは死滅している。これは只のアルタードの残骸だ」

 

SRXチーム全員とビアンが見上げている物……それは念動次元斬によって体内のインベーダーを全て焼き尽くされ両断された、アルタードの残骸だった。

 

「少佐。何故アルタードの回収に踏み切ったのですか?」

 

アヤがイングラムにそう問いかける。インベーダーが消滅したとは言え、恐ろしい脅威だったアルタードを回収するその真意は何だと問いかけると、イングラムとビアンは獰猛な笑みを浮かべた。

 

「SRXの完成形、それをみすみす捨てるような勿体無い真似をするか」

 

「まだ我々の技術ではアルタードは作成できないが、修理は出来る」

 

その言葉にライがぎょっとした表情を浮かべ叫んだ。

 

「まさかアルタードを我々で運用するつもりですか!? 無謀だッ! もしもインベーダーが休眠状態であるだけだったなら、パイロットが乗り込むことでメタルビースト・アルタードが復活しかねないッ!」

 

リュウセイ達を取り込みメタルビースト・アルタードが復活すれば、今度こそ手に負えない脅威になるとライは主張する。

 

「……教官、俺もそいつは良い考えとは思えないぜ」

 

「……私もです。仮にアルタードが使えたとしても、アルタードは新たな火種になります」

 

アルタードはゲッターロボとは違う完全なオーバーテクノロジーだ。それを修理し、運用しようとするビアンとイングラムに流石のリュウセイ達も危険すぎると言うが………ビアンとイングラムは、何を言われてもアルタードを修理するつもりだった。

 

「必要な力になるかもしれない、いざという時の備えとして修理するだけだ」

 

「SRXの強化をするにも、アルタードを解析する事の恩恵は非常に大きい」

 

「ですが「そう心配することはない。修理を始めるのはもっと後だ、これから暫くゲッター炉心を近くにおいて残っているであろうインベーダー細胞の滅却作業を行なう。それに私達が欲しいのはアルタードの技術だ、君達の案ずる事にはならないよ」……分かりました。そう言う事にしておきます」

 

納得して無い様子のリュウセイ達だが、リュウセイ達も分かっているのだ。これからの戦いに機体の強化は必要不可欠、リスクはあれど宝の宝庫であるアルタードの残骸を只放棄するわけには行かないと言うのは、十分に分かっていた。

 

「アルタードを回収したのは他の勢力に回収されない為でもある。百鬼帝国ならば間違いなく修理するだけの技術はある。百鬼帝国にアルタードの情報を流出させる訳にはいかない」

 

「そう言う訳だ。どうしても危険となればアルタードは破壊するが、それでもこの貴重なデータは我々で運用したい。分かってくれ」

 

「分かった。教官とビアン博士がそういうなら、俺は2人を信じるぜ」

 

「……分かりました。アルタードに関しては少佐とビアン博士にお任せします」

 

「分かってくれたようで何より、休息中に呼び出して悪かった。リュウセイ達も身体を休めてくれ、メタルビーストアルタードは撃破したが、これで終わりではない。アースクレイドルの奪還がまだ残っているのだからな……」

 

メタルビースト・アルタード、そしてムーンクレイドルの奪還と朱王鬼達の撃破こそ成し遂げたが、戦況で言えばそれは微々たる物……今だシャドウミラーは健在、百鬼帝国はその姿を隠し、メタルビースト・アルタードの件では共闘したが超機人、龍王鬼は今だ健在。そしてホワイトスターはインスペクターに制圧され、今も地球の上だ。

 

「武蔵君の連絡では、マオ社とムーンクレイドルを奪還した事で戦力の強化を行なってるとの事だ。我々も少しでもいい、戦力の強化が必要なのだよ」

 

敵はまだ余力を隠しているのに対し、ビアン達は出せる手札は全て出し切ってしまった。危険だと分かっていても、味方を強化出来る可能性を秘めた機体の残骸を前に足踏みをしている時間など、あるわけが無い。

 

「ビアン博士、アルタードの解析の準備が出来ました」

 

「これでSRXの関節強度の問題や、念動フィールドの強化の手掛かりがつかめれば良いが……」

 

ロブやカーク達が機材を運び込み、アルタードの解析作業を始めるのを見て、リュウセイ達は邪魔にならないようにアルタードが固定されているハンガーを後にするのだった……。

 

 

 

 

 

ハンガーに固定されているアウセンザイターの周りでクロガネの技術者、そしてテスラ研と地球のマオ社のスタッフが集まっていた。

 

「ランツェカノーネの耐久度が想像以上に低い、これを何とかできないだろうか?」

 

ゲッターノワール、そしてメタルビースト・アルタードとの戦いの中で毎回破壊されているランツェカノーネを何とか出来ないかというレーツェルの言葉に、集められたスタッフ達は困ったような表情を浮かべた。

 

「ダイゼンガーと比べてアウセンザイターは構造が複雑ですしね……武器に時間を割く事が出来なかったというのは認めます」

 

「ですがランツェカノーネも、既存の武器と比べれば桁違いに強固な武器なんですよ? 相手の攻撃力が高すぎるって言うのがやっぱり根底にあると思ってください」

 

ランツェカノーネはゲッター合金製の実弾に、アウセンザイターのゲッター炉心と直結しゲッタービームを発射できるようになっている高性能な武器であり、その強度も既存の機動兵器と比べれば格段に上なのだ。

 

「しかしだな、毎回破壊されてしまっては流石に困るのだよ。アウセンザイターの武器はランツェカノーネに大きく依存している。破壊されてしまえば攻撃力の低下が著しい」

 

機動力に加えてダイゼンガーの騎馬となる前提のアウセンザイターに内蔵武器は無く、両肩のシュルタープラッテ、そしてランツェカノーネを失えば攻撃力がほぼ0に等しくなるという問題があった。

 

「ゲッター線コーティングだけじゃ多分間に合わないよな」

 

「それは間違いない、ゲッター合金では作れないか?」

 

「無理無理、ゲッター合金の加工は難しいからな……参式斬艦刀みたいにオリハルコニウムとゲッター合金を混ぜるのはどうだろうか?」

 

「それは無理だ、1回試したが内部構造に不備が出た」

 

レーツェルの要求に何とか応えようとスタッフ達は知恵を絞りあうが名案はどうしても出てこないのを見て、レーツェルがある提案をする。

 

「それならばある程度の実体武器でも構わない、それを用意してくれないだろうか? アウセンザイターの速度とパワーがあればある程度頑丈だけな武器でも構わない」

 

ランツァカノーネの強化はすぐに出来ないのならば破壊された時の備えて武器を作ってくれないか? と提案するレーツェルにスタッフ達の表情は芳しくない。

 

「……それも難しいのか?」

 

「難しいと言うよりも、アウセンザイターに白兵戦のOSはないんですよね、ある程度はあるんですが……」

 

「刀やナイフを搭載するとなると……OSを組みなおす必要もありますし」

 

「レーツェルさんならマニュアル操作でもいけると思いますけど……」

 

「プフェールト・モードに不具合が出る可能性も捨て切れないんですよね……」

 

「……ままならんものだな……」

 

プフェールト・モードの脚部になるランツェカノーネは超精密機器だ。高火力と耐久を兼ね備えるのは難しい部分であると言う事はスタッフの説明で分かったが、アウセンザイターの能力を引き出すのに必要な武器の耐久が乏しいのは大きな問題だった。

 

「何をそんなに悩んでいるのかね?」

 

「グラスマン議員。いえ、ランツェカノーネの耐久力が乏しい問題を何とか出来ないかと話し合っていたんです。ですがかなり難しいようで」

 

どうするかとレーツェル達が悩んでいると背後からグライエンに声を掛けられ、アウセンザイターの主力武器のランツェカノーネの耐久力が乏しいと言う話をするとグライエンは懐から手帳を取り出し、手帳のページを開いて何かを探しながらあるロボットの話をする。

 

「ゲッターロボと共に戦ったスーパーロボットに確かテキサスマックと言うロボットがいるのだが……これがゲッター合金や炉心を使ってないのだが、ゲッターロボに匹敵するパワーを持ったロボットだったそうだ。今も残されているという保障は無いが……ネオゲッターロボのようにアメリカのどこかに眠っているかもしれない」

 

「グラスマン議員。しかし……」

 

「分かっている、言いたい事は分かっているとも。だがメガフロートで見つけた地図にある×印と我が家に伝わる旧西暦の遺産の地図の×印が完全に一致するのだよ、レーツェル。ビアンに許可を貰って捜索に出るのはどうだろうか?」

 

開かれた手帳とグラスマンが持つプリントされた地図には同じ地点に×印が打たれ、奇しくもクロガネが身を隠している地下基地の近くだった。

 

「……確かに、捜索に出てみる価値はありそうですね」

 

「だろう?」

 

ランツェカノーネの耐久力をどうするかと頭を悩ませているレーツェル達にとって、グラスマンの知らせは間違いなくありがたいものであり、今ここで話し合っていても何も代案が出てこないのならばと、テキサスマックの捜索は1つの解決策として検討される事になるのだった……。

 

 

 

 

バリソンが使っていたグルンガストは何度も改装を施されており、外見こそイルムの乗るグルンガストと同じだが、その性能は全くの別物と言ってもいいほどに改修されていた。このままでも十分に運用出来るだけのスペックがあったのだが、龍型ヘッドのグルンガストはバラバラにされた状態でクレーンによって吊るされていた。

 

「グルンガスト、バラしてるのか……勿体ねえな」

 

「そうね。ちょっと勿体無いわね、イルム中尉のグルンガストより性能が上なんでしょ? タスク」

 

「ああ、チラッと見ただけだけどな。中身は殆ど別物だぜ、そのままでも百鬼獣と戦えるんじゃねえか?」

 

「百鬼獣と戦えてもよ、インベーダーとアインストと戦えなきゃ意味ねえんだよ」

 

バラされたグルンガストを見て話をしているレオナとタスクに、コンテナの陰から顔を出したバリソンが不機嫌そうに呟いた。

 

「いたのですか、バリソン」

 

「そりゃいるさ。ビアン博士とテツヤ大尉に頼んで改装許可を貰ったんだ、提案者の俺がいるのは当然だろ? お前があれだろ? タスクだったか? これ見てくれ、こいつを作りてえんだよ」

 

「っととッ!!」

 

ほれっと言って投げ渡されたタブレットをタスクは慌てて受け取り、タブレットに表示されている図面を見て眉を顰めた。

 

「こいつはあ……スレードゲルミルじゃねえかッ! こんなもんを俺に作れってか!?」

 

ウォーダンの乗るスレードゲルミルと酷似したシルエットの機体を見てタスクが怒鳴り声を上げ、それを覗き込んだレオナも信じられないと言う表情を浮かべる。

 

「まぁ落ち着け、そいつはスレードゲルミルじゃねぇ。そいつはスヴァイサー……言うなればラミアとエキドナの兄貴に当るWナンバーズのギムノス・バシレウスのサポート用の武装を、特機用に再デザインしたもんだ」

 

ラミアとエキドナの兄に当るWナンバーズと聞いて、ますますタスクとレオナの表情が険しい物になる。

 

「んなもん引っ張り出して何するつもりだよ」

 

「アインストとインベーダーをぶちのめすつもりだ。俺達の地球じゃないとは言え、あの化物に地球がまた支配されるなんて耐えられねぇんだよ。あの化けもんを退けるにはグルンガストじゃ力不足だ……もっと力がいるんだよ」

 

好戦的な光を瞳に宿しながら言うバリソンに、タスクは深い溜息を吐いた。

 

「分かった、分かったよ。どうせテツヤ大尉に許可を貰ってるなら整備班には声が掛かる。なら最初から協力するほうがマシだ」

 

「助かるぜ。本当はよ、ラドム博士にやってもらおうと思ったんだが、お前ラドム博士の設計の機体作れるんだろ? ならお前でも全然問題ねえよな」

 

バシバシとタスクの背中を叩いたバリソンはグルンガストの腕部を指差す。

 

「まずは指を全部大型マシンキャノンに変えたいんだわ、腕回りも全部マシンキャノンにして欲しい」

 

「正気かよ!?」

 

「正気正気。ブーストナックルで飛ばして取り込まれたら腕が無くなるだろ? なら最初から腕に飛び道具を仕込めば良いだろ?」

 

「そういう問題か!?」

 

指を全部マシンキャノンにすると言うバリソンにタスクも流石に突っ込みを入れる。

 

「ゲッター合金製の弾丸を撃てれば十分な火力はある。後はゲッター合金とゾルオリハルコニウムと液体金属で槍を作って欲しい、背部にはビームキャノンをくっ付けて、あ、そうそう可変機能はいらねえな。可変機能をオミットしてその分パワーに全振りして欲しい。それと機動力はいらんから装甲を厚くしてくれ。そうだな……ジガンくらいあればいい」

 

「……マジで言ってる?」

 

「大マジだ」

 

「グルンガストの汎用性を全部捨てるんですの?」

 

グルンガストが超闘士と言われるのはその優れた汎用性からだ。だがバリソンの改造案はグルンガストの長所を全て捨てるに等しい改造であり、レオナが黙っていられずそう尋ねる。

 

「汎用性って聞こえは良いが、要は器用貧乏だ。自分よりも強い相手と戦うなら一芸特化したほうがいい。それにこのドリルランスだって、ちゃんと考えがあって作ろうとしてるんだぜ?」

 

「ドリルと聞いてッ! 即参上ッ!!」

 

ビアン一派のドリル狂いがどこからか現れるが、バリソンはそれを気にせずドリルと槍を合体させる事を考えた理由を話し始める。

 

「アインストの外骨格はめちゃくちゃ硬いのはお前達も知ってると思うが、参式斬艦刀みたいに自己修復するか、ゲッタートマホークみたいな切れ味がないと数体倒した所で刃毀れして使えなくなる可能性が高い。それに下手に近づけば取り込まれる可能性があるから、槍の持ち手を長くする事で取り込まれるリスクを軽減出来る。設計図はあるんだ、その通りに頼むぜ」

 

「見せろ、見せてくれッ!!!」

 

ドリル狂いがタスクの手からタブレットを奪い取り、表示されている武装――ディバインドリラーを見てふおおおおっと叫び出し、バリソンとタスクとレオナは何ともいえない表情を浮かべる。

 

「これあんたが設計したのか?」

 

「いや、レモンだ。俺が脱走する前にくれたUSBにデータだけ入ってた」

 

「レモンって……ラミア達の」

 

「ああ、母親だ。あいつは先天性の病気で子供が産めない身体だったらしくてな、それでも私は母になりたいって酔うとよく言っていた。ヴィンデル達はWシリーズを兵器としかみてないが……レモンは母親だったよ。あいつも馬鹿な女だ、クローンや人造人間を作った罪で投獄されて処刑され掛けたところをヴィンデルに救われたからって義理立てしてる。とっくの昔にシャドウミラーの理念なんか、あいつには何の意味も無くなってるのにな、不器用な女だ。自由になれるのに自分で鳥篭に入ってる。そんな不器用な女がラミアとエキドナの親なのさ」

 

「貴方は、レモンをどうするおつもりなのですか?」

 

敵であるレモンをどうするのかとレオナが問いかけると、バリソンはなんでもないような表情で何もしないと返事を返した。

 

「どうもしない、俺の言葉なんかレモンには届かねえだろうし、あいつも石頭だ。昔の仲間の話なんか絶対聞かねえ……だがまぁ、ラミアとエキドナの話なら聞くんじゃねえかな?あいつの作った機体のデータで、あいつの娘の道くらい作ってやってもバチは当たらないだろうよ」

 

バリソンはレモンの事を不器用な石頭と言ったが、タスクとレオナから見てもこのバリソンという男も十分に不器用で石頭な男だった。だがその不器用な言葉がかえって誠実さを感じさせ、命令だけではなくタスクが本心から協力してやっても良いかと思わせる何かがバリソンにはあった。

 

「資材はある。設計図もあるから作業を始めるか」

 

「よろしく頼むぜ、タスク」

 

「ああ。任せておいてくれ、引き受けた以上完璧に仕上げてやるさ」

こうしてバリソンもまた、レモンから託された力でヴィンデル達を止める為に動き出すのだった……。

 

 

 

 

マ改造されたビルトビルガーと、レモンに少し手を加えられたビルトファルケンを見上げるアラドとゼオラ……2人の表情は、少し曇っている。

 

「タイミングが大分ずれるよな、ゼオラ」

 

「……うん、ファルケンの方が性能が少し低いみたい」

 

前みたいに引っ付き虫では無くなったゼオラだが、まだその表情は暗く、声にも元気が無い。

 

(調子狂うなあ……)

 

しおらしいゼオラに調子が狂うなと思いながらもアラドはそれを口にせず、同じ様にビルガーとファルケンを見上げていたオウカに視線を向ける。

 

「オウカ姉さん、どうすれば良いと思う? やっぱりビルガーみたいにファルケンも改造してもらったほうが良いかな?」

 

「それは難しいわね。仮に改造したとしてもゼオラが乗りこなせるかどうかは別問題になるわ。その……マリオン・ラドム博士はかなり癖の強い科学者みたいだから……馴染むまで時間が掛かると思うの」

 

ゼオラの腕が決して悪いわけではない、むしろゼオラの腕は良い部類になるが……マ改造された機体を乗りこなすとなると、オウカの言う通りかなりの時間が必要になるだろう。

 

「でもこのままだと私がアラドの足を引っ張っちゃうわ。オウカ姉様……どうしよう」

 

泣きそうな表情のゼオラにオウカは歩み寄り大丈夫よと声を掛けながら頭を撫でて、ゼオラを抱きしめる。

 

「大丈夫よ。そんなに自分を追詰めないの」

 

「……オウカ姉様……はい」

 

ゼオラとアラドの動きに乱れがあるのは何も機体性能の差だけではなく、ゼオラ自身の精神状態の問題があった。朱王鬼に操られていたとは言え、ゼオラはアラドに対して負い目を感じている。それがゼオラの動きから精彩を奪っていたのだ……。

 

(こればっかりはどうしようもないわ)

 

クエルボとラーダの2人がカウンセリングしているが、ゼオラの心の傷は余りにも深く、容易に踏み込める問題ではないのだ。仮にファルケンがビルガーと同等の性能を得たとしても、今のゼオラにそれを操る技量はない……アラドを傷つけた、悲しませたと言う負い目が、ゼオラの動きを縛ってしまうからだ。

 

(だけどこのままではゼオラだけではなく、アラドも危ういわ)

 

ゼオラはアラドへの負い目があってアラドの為ならば身代わりになることも辞さないだろう、だがゼオラが思う以上にアラドはゼオラを思っている……ゼオラが危険に晒されれば、間違いなくアラドはゼオラの盾になるという確信がオウカにはあった。

 

(……朱王鬼の呪いは、まだ消えてはくれないのね)

 

自我を取り戻したゼオラだが、朱王鬼に自我を封じられていた時の記憶が残されている。その呪縛から抜け出しても、ゼオラの心を今も尚深く傷つけている。朱王鬼の悪辣さに苦しめられているゼオラは、オウカに抱きついたままで今もまだ震えている。

 

(どうしてゼオラとアラドが、こんなにも苦しまなければならないの……)

 

守ってあげたい、助けてあげたいと思ってもオウカには何も出来ない、朱王鬼の呪縛はアラドとゼオラだけではなく……責任感の強いオウカの心にも深い影を残していた。

 

「あ、いた。オウカ姉様、ゼオラ、アラド。マオ社の武蔵から連絡があったの、忙しいと思うけど1度ブリーフィングルームに来て欲しいって」

 

ゼオラ達を探していたラトゥー二が武蔵が呼んでいるとオウカ達に声を掛け、格納庫を後にするオウカ達。普段通りの表情をしているラトゥーニもまたゼオラ達と同じ様に苦しみを感じていた。

 

(やっぱりまだ皆苦しんでる……武蔵……貴方ならオウカ姉様達を助けてくれる……)

 

大事な家族の苦しみを取り除いてやりたくてもラトゥーニには何も出来ない、その苦しみと悲しみを取り除く術をラトゥーニは持っていないから、月にいる武蔵からの連絡がゼオラ達にとっての吉報になればと祈りながら、ラトゥーニはオウカ達と共にブリーフィングルームに足を向けるのだった……。

 

 

 

第226話 新たなる力 その4へ続く

 

 




地球側の話はアルタードの残骸の回収、アウセンザイターの課題の明言化、そしてテキサスマックと、ムゲフロから輸入のスヴァイサー入手フラグとスクール組の苦しみとなりました。次回は朱王鬼をフルボッコにした武蔵からの連絡とテキサスマックとスヴァイサーに触れて行こうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

スパロボガチャは

期間限定を外してヴァルグレイブでした。無念……

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
  • 今のままで良い
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