進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第35話 ゲッターロボ対ゲッターロボG その1

第35話 ゲッターロボ対ゲッターロボG その1

 

ゲッターのコックピットの中で武蔵は小さく間に合ったかと呟いた。クロガネはDCの旗艦と言う事もあり、近くまでは来ているがそれでもセバストポリ基地のレーダーの範囲外の海中に停泊している。そこから全力で飛ばして来たが、正直かなりギリギリだったと思う。

 

(あれか……ドラゴンと……ライガー……オイラが死んだ後に完成した……新ゲッターロボ)

 

出発前にビアンに見せられた新型ゲッターの姿。多少細部は違っているが、その外見的な特徴から赤い機体がドラゴン、青い機体がライガーと判断する。

 

『武蔵! 助けに来てくれたのか!』

 

「おうともさ、言っただろ? オイラにはオイラの都合があって、そっちにはそっちの都合がある。だけど同じ目的があれば、そんな都合なんてどうでも良くなるさ」

 

リュウセイの言葉に武蔵はそう返事を返す。正直ハガネの面子は顔見知りだが、ヒリュウ改の面子は2回目。しかも1回目が最悪の出会いだったからか、流石の武蔵も不味いかなと心の中で呟く。

 

(まぁ、やることは1つだ)

 

自分は馬鹿だから言葉で何とか出来るなんて思っていない。なによりも自分の行動で示すことだと思っている武蔵はゲッターをドラゴンとライガーに向かって走らせる。

 

「「「「「!!!」」」」」

 

それと同時に駆け出してくるドラゴン。そのスピードはリュウセイ達にとっては脅威と言えただろう、だが武蔵はコックピットの中で首を傾げていた。

 

(違う、これはアレじゃない)

 

タクラマカン砂漠で現れたドラゴンとは違う、ゲッター線も何の反応も示さず。ゲージは最大の半分を維持している……あの時のような、ゲッターが壊れるんじゃないかと思うほどの凄まじい力の高まりは無い。

 

(やっぱりビアンさんの言う通りか)

 

出撃前のブリーフィングで聞いていた事だが、量産型のドラゴンやライガーは性能をかなり制限して製造されているのではと言う事だ。性能を制限し、形態を固定にすることで複数体の個体の製造を可能にしたと考えている。ビアンのその言葉に最初は半信半疑だったが、こうして戦えば判る。脅威となるのは、自分を海中に叩き落したドラゴンだけだと……

 

「くらええええッ!!!」

 

マントを掴み、一番先頭のドラゴンの顔面に向かって投げ付ける。それは、的確にドラゴンの頭部を覆い隠し、その動きを止めさせる。

 

「オラァッ!!!」

 

動きが止まったドラゴンの顔面に容赦のない蹴りを叩き込み、そのまま頭を踏み砕く

 

「トマホークブゥゥゥメランッ!!!」

 

「!」

 

ゲッター1とドラゴンの投げたトマホークがぶつかり、それぞれの軌道が逸れる。だが武蔵は自分の方に飛んできたダブルトマホークを見逃さずゲッターを走らせ、宙を舞うトマホークを掴むと同時に空中で反転して再び投げ付ける。

 

「!!」

 

「は! 弱すぎるぜッ!!」

 

それは空中からゲッター1を狙っていたライガーを中心から両断し、爆発させる。特機として考えれば、ドラゴンもライガーも十分な脅威だ。だがゲッターロボとして考えればドラゴンとライガーの戦闘力はあまりにも弱すぎた。

 

「むっ! うおっ!?」

 

だが爆発したライガーの残骸から無数のチェーンが伸びてきて、それぞれが両手足、胴体、首元に巻き付く。ペダルを踏み込み出力を上げるゲッターだが、5体のライガーもまたゲッターを自由にさせまいと踏ん張り、完全に均衡状態に陥る。

 

「「「「!!」」」」

 

身動きの取れないゲッター目掛け、頭を潰されたドラゴンも含め5体のドラゴンが同時にダブルトマホークを構え投げ付けてくる。

 

「はいはーい、ここはお任せッ!!」

 

オープンゲットしようとした瞬間。斧に向かってビームが放たれ、ダブルトマホークを明後日の方角に弾き飛ばすと同時にミサイルがドラゴン達に向かって放たれ、煙幕を作り出す。

 

「……この距離、貰ったッ!!!」

 

煙を突っ切って姿を見せたアルトアイゼンが、両肩のハッチを開き、チタン製のベアリング弾をライガー目掛け撃ち出す。高速で迫るベアリング弾にライガーはチェーンを回収し、空中へと逃れる

 

『ゲッターロボのパイロット、武蔵だな。話は聞いている、お前がこの戦いに協力すると言うのならば、当てにしたい。どうするつもりだ』

 

接触通信で告げられるぶっきらぼうな言葉。その口調に隼人に似ているなと武蔵はベアー号の中で苦笑し返事を返す。

 

「オイラはその為に来たんだ。よろしく頼むぜ!」

 

武蔵の言葉にキョウスケは小さく笑い、ゲッタートマホークを構えるゲッター1の隣で、右腕のリボルビング・ステークをドラゴンへと向けるのだった。

 

 

 

ゲッターに迫るトマホークを迎撃しつつ白銀のPT……ヴァイスリッターのコックピットでエクセレンは小さく息を吐いた。正直、オクスタンランチャーでも撃ち落せるかは五分五分で、そこにさらにスプリットミサイルの追撃を放ちアルトアイゼンの突撃する隙を作る。

 

(もうこんなのやってられないわよ)

 

トマホークを全部撃ち落すことが出来なければアルトアイゼンは最高速度でトマホークに突っ込むことになるし、弾幕を作らなければ赤い機体に迎撃される可能性もある。10回やって1回成功するかどうかの大博打……分が悪い賭けは嫌いじゃないが恋人であるキョウスケの口癖だが、その賭けの目が自分に左右されていると言うのは予想以上にエクセレンの精神に負担をかけていた。だがその賭けには勝利し、ゲッターロボとアルトアイゼンがコンビを組んだのでそのまま各個撃破されることは無いと安堵し、そのままヴァイスリッターを急上昇させる。

 

「……っと、今度は私がピンチなのよねぇ」

 

「「……」」

 

セパストポリ基地にいるライガーは5体、ドラゴンは半壊したのが1体と万全な状態が5体。ゲッターロボが1体を速攻で片付けたおかげで機動力が高いライガーが1体減ったのは幸いだ。

 

『じ、ジガンスクードオオオオオオオオオオッ!!!!!』

 

「ぐふっ! じ、ジガンを殴り飛ばすなんて……化け物かよッ!?」

 

機械音声で発せられる人間の声……テンペストの血を吐くような叫びがジガンスクードに向けられる。ジガンスクードが健在の間は、あの1体だけ性能の良いライガーは完全に足止めされる。だがその代わりにジガンスクードが落ちれば、その瞬間その脅威は再びエクセレン達に向けられる。

 

「くそ! よくもやりやがったな! あの野郎ッ!!」

 

「100倍にして返してやるからねッ!!」

 

海面が爆発したような勢いで盛り上がり、海中から飛び出てきたサイバスターとヴァルシオーネがヴァイスリッターに並ぶ。

 

「リューネ! マサキ! とにかくあの青いのを足止めするわよッ!」

 

ミサイル、鎖攻撃などのこちらを足止めする攻撃を複数持ち合わせ、さらにその機動力は特機としては破格であり、無人機であるがゆえにサイバスターさえも振り切る。ライガーを先に破壊しない事には、状況はますます不利になる一方だと判断したエクセレンはリューネとマサキにそう指示を出し、ドリルを向けるライガーに向かってヴァイスリッターを走らせる。

 

「!」

 

「くっ! 厄介ねぇッ!」

 

無人機であるが故の急加速、急旋回は非常に厄介だ。急激なGによるパイロットの意識の喪失が無い、それだけでライガーの加速力は恐ろしいほどの脅威になる

 

(Bモードは当たらないし、Eモードもダメだわ)

 

ヴァイスリッターの主武装の「オクスタン・ランチャー」は実弾とエネルギーを使い分けが出来る有効な武装だ。だが、ライガーを相手にしてはBモードは遅すぎ、Eモードも命中させるのは極めて困難。となればヴァイスリッターでライガーを撃墜するのは不可能と言うのがエクセレンが導き出した答えだった

 

(……とりあえず、ある程度は分散してるわね)

 

戦場をサッと見渡し状況を把握したエクセレン。ドラゴンにはゲッターロボを中心に、アルトアイゼンやグルンガストが当たり、少しでも数を減らそうとしている。ライガーには自分を初め、機動力に優れた機体や遠距離射撃が得意なR-2やリオのヒュッケバイン009とアーマリオンが当たり、そしてハガネにはこの状況では戦力不足となるR-3や、ラッセル、ジャーダ、ガーネットと言った量産型ゲシュペンストMK-Ⅱに乗っている面子が護衛に回っている。暴走状態のライガーとドラゴンはDCも、連邦も関係なしに襲ってくる。だからこそ、3つの戦場に分かれて戦っている、だがこれがもし完全にAMと連携を取ってきたらと想定するとエクセレンの背中には冷たい汗が流れた。

 

(これが量産されてるってとんだ悪夢だわ)

 

装甲と攻撃力に優れたドラゴン、機動力と妨害に優れたライガー。それが量産されてるとか、どんな悪夢よと心の中で呟き、デッドウェイトとなるオクスタン・ランチャーを投げ捨て、左腕の3連ビームキャノンをライガーに向ける。装甲はドラゴンと比べて低いとは言え、PTやAMとして考えると非常に硬い装甲を持ち、攻撃力は完全にPTを越えている。そんな相手と真っ向から戦うほど、エクセレンは馬鹿ではない。まずはライガーの機動力の源である背中のブースターを破壊する……ライガーを撃墜するのではなく、ライガーを撃墜できるように場を整えること、それがエクセレンの出した作戦だった。

 

(一発で決めてよね、ブリット君……)

 

セバストポリ基地の崩壊した格納庫に隠れ、Gインパクト・キャノンの照準を合わせているヒュッケバインMK-Ⅱが一撃で仕留めてくれる事を祈り、ヴァイスリッターに向かって放たれたミサイルをビームキャノンで打ち抜くのだった……

 

 

 

量産型ライガーとドラゴンの登場で一時は全滅を覚悟したダイテツ。だが、ドラゴンとライガーは現れた時と異なり完全に暴走していた。

DCも連邦もお構い無しに襲い掛かり破壊していく、確かにドラゴンとライガーの存在は脅威だ。だが、それが敵味方関係なしとなると、話は変わってくる。

 

『ダイテツ艦長、セバストポリ基地の司令からゲッターロボの捕獲命令が出ています』

 

「無視しろ中佐。この状況でゲッターロボを捕獲してどうなる」

 

この状況でもゲッターロボの捕獲命令を出す基地司令。やはりジュネーブが近い事もあり、それだけシュトレーゼマンやアルバートの思想に近いと言うことだろう。だが、それは余りに状況を見えていない愚か者の判断だ。そしてそんな愚か者に待つ末路も昔から相場が決まっている

 

「っち……ハガネを微速前進! ヒリュウ改に続けと打電しろッ!」

 

ドラゴン2機の頭部から放たれたビームでセバストポリ基地の司令部が吹き飛んだのを見て、ダイテツは指示を出す。確かにハガネとヒリュウ改は司令部の護衛を勤めていたし、暴走していたドラゴンやライガーとも戦闘をしていた。だが今回の襲撃は余りに予想外だった

 

「「「!!!」」」

 

ライガーが掘り進んだ地面からドラゴンが飛び出し、司令部を直接攻撃するなんて夢にも思っていない。基地の防衛をしていたゲシュペンストや戦車が次々とドラゴンに破壊される中ハガネとヒリュウ改は司令部から離れる。見捨てたと取られても仕方ない、だが、ここで全滅するわけには行かない

 

『中佐。全てを背負うことはありませんぞ』

 

「ふっ、気にしすぎだショーン」

 

先に命令を出したのはレフィーナがあくまで自分に従ったと言う記録を残すためにある。今の上層部はハガネもヒリュウ改も目の敵にしている。まだ若いレフィーナの進路を閉ざしてはならないと言うダイテツの思いやりだった

 

(しかし、状況は悪化の一途を辿っている)

 

増援で来たドラゴンとライガーに破壊し尽くされたセバストポリ基地と、DC部隊。ここさえ抜けてしまえばジュネーブはもう目前だ。だがライガーとドラゴンの追撃を受けながらジュネーブに向かったとしてもその先に待つのは、ここにいる数以上のドラゴンとライガーの姿だろう。挟撃を防ぐためにも、ここでドラゴンとライガーを撃墜しておく必要性がある。

 

「ゲッタァァビィィィムッ!!!!」

 

「!?」

 

ゲッター1の放ったビームとドラゴンのビームがぶつかるが、それは一瞬とて拮抗せずドラゴンすらも飲み込み消滅させる。

 

(色が違う?)

 

ゲッタービームは緑、だがドラゴンのビームは黄色だった。もしや……いや、確実にドラゴンとライガーはゲッター線で稼動していない

 

「オープンゲットッ!!」

 

ゲッター1の姿が爆ぜ、ドラゴンを追い抜いて背後で合体する。

 

「リュウセーイッ!! 赤いカブトムシ! いくぜえええええッ!!!!」

 

「「!?」」

 

ゲッター3の伸ばした両腕が、ドラゴンとライガーの足に絡みつく。そしてゲッター3は力任せにドラゴンとライガーをR-1とアルトアイゼンの方向に向かって投げ飛ばす。

 

「うおおおおおッ! T-LINKナッコォッ!!!」

 

R-1は自身に向かって投げ付けられたライガーが体勢を立て直し、離脱しようとしているのを見てライガーへ向かって走り出す。だがそれよりも早くライガーが体勢を立て直した。それを見たリュウセイはRー1がマウントしている盾に手を伸ばす

 

「オラアアッ!!」

 

投げ付けられた盾がブーメランのように高速回転し、離脱しようとしていたライガーの胴体を捕え、再びライガーが落下してくる

 

「喰らえッ! 必殺! T-LINKダブルナッコォッ!!!」

 

右拳がライガーの胴体を貫き、即座に繰り出された左拳がライガーの顔面を殴り砕く。だがR-1の攻撃はそれだけには留まらない

 

「念動集中ッ!! 天上天下念動爆砕剣ッ!!!」

 

両手のエネルギーを収束し、剣の形となった念動力を吹き飛んだライガー目掛けて撃ち出す。それは頭部と胸部を潰されても動こうとしていたライガーの胴体を完全に貫いた。

 

「破を念じて刃となれッ!!! 破ッ!!!」

 

着地したR-1が手刀を振り上げると同時にライガーを貫いていた念動力が変形し、ライガーを中心から両断し完全に破壊する。

 

「……この隙は見逃さんッ!!!」

 

赤いカブトムシ呼ばわりされたキョウスケはやや複雑そうな表情をしたが、この千載一遇のチャンスを逃がすほど馬鹿ではない。左腕の3連マシンキャノンをドラゴン目掛け撃ち込み、ビームを放とうとしていたドラゴンの頭部を粉砕する

 

「全弾持って行けえッ!!!」

 

ドラゴンの胴体にリボルビングステークを撃ち込み、連続でステークが撃ち込まれる。最後の6発目で宙に浮いたドラゴンは完全に胴体が破壊されていたが、それでもまだ動こうとする。

 

「言った筈だ……全弾持って行けとなッ!!!」

 

アルトアイゼンの両肩が開き、そこから放たれたチタン製のベアリング弾が容赦なくドラゴン目掛けて打ち出され、装甲が穴だらけになったドラゴンは空中で爆発する。

 

「……ジョーカーを切らせて貰った」

 

リボルビングステークの薬莢を交換しながらキョウスケは静かにそう呟く、最初は劣勢に追い込まれてたハガネとヒリュウ改だが徐々に。徐々にだが、ドラゴンとライガーの部隊を押し返していた。

 

「こいつで片をつけてやる」

 

グルンガストと肩部から計都羅喉剣の柄が飛び出し、グルンガストはその柄を掴み計都羅喉剣を引き抜く

 

「計都羅喉剣ッ!!」

 

計都羅喉剣を構えるグルンガストを見て、ドラゴンが離脱しようとする。だがそれは余りに遅すぎた

 

「へっ! 逃がすかよッ!!」

 

RーGUNの撃ち込んだメガビームライフルでバランスを崩すドラゴン。その隙にグルンガストは天高く舞い上がっていた

 

「暗剣殺ッ!!!」

 

「!?!?」

 

唐竹割りにされ、即座に振るわれた横薙ぎの一撃。4分割にされたドラゴンは視界が左右に離れていくのを感じながら爆発する。

 

「天に凶星……地に精星ッ!!」

 

クスハの言葉と共に弐式が手にしていた柄だけの剣に刃が現れる、それを見たライガーはドリルアームを翳して弐式へと突っ込む。それはライガーの方が早いと判断したからだろうが、それは明らかに悪手だった

 

「させないッ!!」

 

アーマリオンの両肩が開き、そこから放たれたミサイルの雨がライガーの背中で炸裂し、加速力が僅かに落ちる。そしてその隙をクスハは見逃さなかった

 

「必殺ッ! 計都瞬獄剣ッ!!」

 

僅かに加速が緩んだライガー目掛け突進した弐式が擦れ違い様にライガーを一閃し、ライガーの胴体と脚部は真っ二つに両断されゆっくりと視界が横にずれ、ライガーの姿は爆発の中へと消えていった……

 

「少尉! 離脱してください!」

 

「OK! 待ってたわよッ!!」

 

ヴァイスリッターが離脱すると同時に、崩壊した格納庫からチャフグレネードが放たれ、ヴァイスリッターにドリルアームを向けていたライガーの顔付近で炸裂する

 

「!?!?」

 

予想外の角度からの予想外の襲撃、ライガーのAIは奇襲とチャフグレネードにより完全にパニックになっていた。

 

「今だ! Gインパクトキャノン……ファイヤッ!!!!」

 

格納庫に隠れていたヒュッケバインMK-ⅡのGインパクトキャノンが炸裂し、ライガーを跡形も無く消し飛ばす。その姿を見てダイテツは確信した。あのドラゴンとライガーに炉心は搭載されていない、あくまで通常動力で稼動していると……

 

「大尉! 各員に通達! ドラゴンとライガーはゲッター線で稼動していない。エネルギー切れが近い、いまこそ攻勢に出ろ!と」

 

「りょ、了解!」

 

ゲッターロボが旧西暦の骨董品でありながら新西暦の機体を相手にして有利に戦える理由は1つ、それはゲッター炉心と言う膨大な出力を持つエンジンとゲッター線によるエネルギーの回復能力にある。ドラゴンとライガーが現れ、1時間。恐らく複数の動力源を積み込む事で稼働時間の延長を図っていたようだが、それもエネルギーの枯渇が近いのか攻撃が緩くなり始めている。これ以上、敵の増援が来る前にセバストポリ基地を突破し、ジュネーブに向かうべきだと判断したダイテツは攻勢に出るように命令を下す。だが動きが鈍る、ドラゴンとライガーの中で1機だけ、時間が経てば立つほどにその動きを激しくさせるライガーがあった。他の機体には目もくれず、ジガンスクードを襲い続けるテンペストのライガーだ。

 

『カエセッ! カエセええええッ!! レイラとアンナを俺に返せええええッ!! ジガンスクードオオオオオオッ!!!!』

 

腕がひしゃげ、頭部が半壊し、ドリルも中ほどから曲がり、全身から火花を散らし、最早戦闘など行えるレベルではない。それでも、ジガンスクードへの恨みを叫び、攻撃を繰り返す姿は哀れとしか言いようが無かった。

 

『俺の妻が何をしたァッ! 俺の娘が何をした!! 何故!何故何故何故何故ッ!!!! どうしてあの子の未来は奪われた! 答えろッ!! 答えろオオオオオオッ!!! ジガンスクードオオオオオオオッ!!!!!』

 

火花を散らし、身体が砕けてもなおジガンスクードに攻撃を続けるライガー。それは連邦が生み出した哀れな被害者の魂の叫びであり、それはダイテツだけではなく、今この場にいる全員に重く圧し掛かるのだった……

 

 

 

 

『俺の妻が何をしたァッ! 俺の娘が何をした!! 何故!何故何故何故何故ッ!!!! どうしてあの子の未来は奪われた! 答えろッ!! 答えろオオオオオオッ!!! ジガンスクードオオオオオオオッ!!!!!』

 

海中で待機しているクロガネのブリッジにテンペストの血を吐くような叫びが木霊する。その余りに痛ましい声と姿に誰も口を開くことが出来ない……

 

「……ライガー内部のスキャンは出来たか?」

 

ゲットマシンには急ごしらえだが、スキャン装置などが搭載されていた。アードラーに攫われたシャイン皇女が救出可能か否かを判断する為の装置だった。艦長席に腰掛けるビアンの言葉……それは涙を流している女性オペレーターに自分だけで抱え込むなと言っていたのだ。

 

「……こ、これを……」

 

オペレーターが操作し、クロガネのブリッジに映し出されるライガーの分析結果。それを見たバンとエルザムは拳を強く握り締めた

 

「これが……これが人間のやることかッ!!!」

 

「アードラー……コッホッ!!!」

 

ライガーの胸部に用意された僅かな隙間、そこには上半身だけのテンペストらしき人影……それはテンペストが生体ユニットとしてライガーに組み込まれていると言う証だった。

 

(ここまでやるか! アードラー!)

 

艦長席に腰掛けるビアンは強く拳を握り締める、人間を実験材料と言ってはばからないアードラー。だがまさかここまでするとはビアンを持ってしても予想だにしない光景だった

 

「……総帥、出撃許可を出してください」

 

「……ならん」

 

エルザムの搾り出すような願いを、ビアンは認めなかった。あくまでエルザムやバンを初めとした兵士はジュネーブの捜索の為に同行している。クロガネの護衛としてガーリオンを4機搭載してきたが、それはあくまで護衛機としての性能を特化したガーリオンだ。攻撃能力は通常のガーリオンを大きく下回り、リオンよりも低い可能性すらある。

 

「私達の目的はあくまでジュネーブの地下にある。それを覆しはしない」

 

反論しようとしたエルザムだが、唇を噛み締める鬼の形相をしたビアンを見て、ビアンもまた出来ることならばテンペストを呪われた生から開放してやりたいと思っているのは明らかだった

 

「申し訳……ありません」

 

謝罪の言葉を口にするエルザム、だがエルザムを責める者はいない。今クロガネのブリッジにいる全員がエルザムと同じ想いを抱いていた

 

「潜行状態を維持したまま、クロガネはジュネーブへ向かう。武蔵君には先に向かうと通達してくれ」

 

「り、了解! クロガネ微速前進」

 

ビアンの指示に従いゆっくりと動き出すクロガネ。ビアンがその決断を下したのはジュネーブに降下する何十機と言うドラゴン、ライガー、ポセイドンの反応を感知したからだ。ハガネとヒリュウ改がセバストポリ基地に足止めされている間に、アードラー率いる、DCはジュネーブへの侵攻を成功させていたのだ。

 

 

 

忌まわしいジガンスクードを壊すことしか、テンペストの頭には無かった。ライガーに組み込まれ、ゲイムシステムを埋め込まれたテンペストの精神は完全に崩壊し、自分の幸せを奪ったジガンスクードを壊す事しか考えることが出来なかった。

 

「テンペストさん! もう止めるんだッ!!!」

 

「はなせえッ!! ジガンスクード! 返せッ! 俺の妻と娘を返せええええッ!!!」

 

ドラゴンとライガーを一掃したゲッター3がライガーの動きを止める為に、その伸縮自在の腕を伸ばす。だがライガーは拘束されているにも拘らず、ゲッター3を振りほどこうと暴れ続ける。もはやテンペストを止めることは出来ない、そう判断したのかテンペストに狙われているジガンスクードのコックピットでタスクは意を決した表情で操縦桿を握り締める。

 

「すまねえ、すまねえ……」

 

ジガンスクードの最終兵器であるエネルギーフィールドを纏った体当たり、「ジガンテ・ウラガーノ」を使う決意を決めたタスク。だがジガンスクードが動き出す前に、ライガーが全身を爆発させながらもゲッター3の拘束を振り切った。

 

「ヤメロオオオオオオッ!! レイラ! レイラアアアアアアアアアッ!!!!!!!」

 

火花を散らし、オイルを鮮血のように撒き散らすライガーはPT……ビルドラプターへ走る。

 

「止めろッ!!」

 

ラトゥーニが狙われている、そう判断したイングラムがライガーへの攻撃命令を下す。銃弾が、エネルギーが炸裂し、崩壊していくライガー。だがそれでもライガーはビルドラプターに向かう足を止めない

 

「オアアアアアアアアアアッ!!!!!」

 

「!?」

 

ドリルを振りかざし、向かってくるライガー。そのおぞましいとも取れる姿にラトゥーニは思わず目を硬くつぶった、そして彼女の耳にジャーダとガーネットの自身の名を叫ぶ名が聞えた……だがライガーはビルドラプターの横をすり抜ける

 

「ガアアアアアアアッ!?!?」

 

ラトゥーニの耳に飛び込んだのは、機械がひしゃげる音とテンペストの苦悶の雄叫びだった……

 

「!!!!」

 

「ギギイイイイイッ! レイラ、レイラ……レイラはぁッ!!!!」

 

上空から降下してきた最後のドラゴンのダブルトマホークが、ライガーの胸部を完全に押し潰す。だが折れて曲がったドリルアームもドラゴンの頭を貫いていた。

 

「う、ウゴアアアアアアアアアッ!!!!!」

 

最早テンペストの言葉は言葉としての形を成していなかった。獣のような唸り声を上げ、ドラゴンのビームに焼かれながら、折れたドリルアームを何度も何度も叩きつける。

 

「ラトゥーニを護った!?」

 

「もう区別がついていないのか」

 

崩壊した自我の中、ビルドラプターに乗るラトゥーニが自身の娘と同じ年頃であると言うことをフラッシュバッグのように思い出したテンペスト、それは崩壊した自我の中でビルドラプターに乗っているのは自分の娘であるレイラ・ホーカーであると思い込んでしまった。ライガーが破壊されながらもドラゴンへの攻撃を繰り返す、テンペスト。何度目かのドリルアームが動力部を刺し貫き、一際大きく痙攣したドラゴンはオイルを撒き散らしながら、その活動を停止した。

 

「レイラ……レイラァ……俺の……俺の……愛しい……娘……」

 

だがドラゴンを破壊したライガーは頭部の右半分を失い、右腕も根元から千切れ、火花を散らす。左腕を震わせ、機能停止する前のぎくしゃくとした動きでビルドラプターの顔に手を伸ばす。

 

「……」

 

慈しむように、無事で良かったと言うかのように、ビルドラプターの顔を撫でるライガー。遺された左半分のライガーの顔からは、オイルが涙のように流れ続けていた

 

「ああ……よかっ……た……レイ……ラ……が……無事で……」

 

その言葉を最後にライガーのカメラアイから光が消え、膝から崩れ落ちるライガーをビルドラプターは抱き止める。

 

「……テンペスト……ホーカー……少佐。貴方は……最後に救われたのですか?」

 

ビルドラプターのコックピットでラトゥーニはそう呟いた。自我が崩壊し、壊れた肉体に壊れた精神がしがみついているだけのテンペスト……だが最後の最後のあの安堵しきった声。それはラトゥーニではなく、まるで自分が救われたかのような響きだった

 

「……各員ハガネとヒリュウ改へと乗艦せよ。このままハガネとヒリュウ改はジュネーブへと向かう」

 

だが戦いはまだ終わっては無い、ダイテツは非情とも取れる決断を下し艦へと撤退しろと告げる。ジュネーブからのSOS通信、既にジュネーブでの戦いは始まっているのだ。ここで足踏みしている時間は無い

 

「……テンペストさん。お疲れ様でした」

 

武蔵はビルドラプターからライガーを受け取り、ライガーの残骸を抱き上げる。

 

「……後で必ず合流しますから」

 

ゲッター1はそう告げると、マントを翻し飛び去って行くのだった……

 

第36話 ゲッターロボ対ゲッターロボG その2へ続く

 

 

 




なんかテンペストが原作と違うことになっておりますが、ご了承願いします。書き出した最初からテンペストはラトを庇い死ぬで考えておりました。ちょっと書き出しと違うことになりましたが、概ね最初の考案とおりとなっております。次回はジュネーブ、オリジナルゲッターGを出して行こうと思っております。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
  • 今のままで良い
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