進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第234話 開かれし地獄門 その1

 

第234話 開かれし地獄門 その1

 

クロガネへ合流した武蔵、ラドラ、コウキの3人はビアンから話を聞き、クロガネに残されていた戦闘記録を見て渋面を浮かべた。

 

「竜馬、竜馬かぁ……うーん。ラドラ、どう思う?」

 

「少なくともお前と共に戦った竜馬ではないだろうな」

 

「間違いない、それだけは言えるが……ゲッターエンペラーとゲッター聖ドラゴンか……」

 

超機人達にビアン達は確かに言霊を縛られた。だが映像記録に関しては何の干渉も受けていないので、共行王の呪の抜け道を付いてメタルビースト・アルタードとの戦いの中で起きた出来事を武蔵達に伝えていた。

 

「オイラは聖ドラゴンを知ってますよ。アクセルさん達の世界からこっちに帰る間にオイラだけその世界に落ちました」

 

「何? 武蔵、そんな話は聞いて無いぞ?」

 

イングラムがそう尋ねると武蔵は思い出したばかりなんだと返事を返した。

 

「その世界ではオイラの身体はゲッターだった。そしてその世界の住人はゲッターロボに組み込まれていた、いや、ゲッターロボのパーツだった。でも確かに人間だった……ゲッター線の渦の中、その中に聖ドラゴンはいて、オイラを取り込もうとした。進化にはオイラが必要だと……そして取り込まれる寸前に竜馬に会った。そうだ、この竜馬はゲッターに取り込まれそうになったオイラを助けてくれた竜馬ですよ」

 

武蔵が思い出したゲッター線が辿り着く1つの地獄……その話を聞いた者は言葉を失い、クロガネに沈黙が広がる。

 

「武蔵君はゲッターを使うべきではないと考えているのかな?」

 

そんな中でブライアンが何でも無い様子で武蔵へそう問いかける。

 

「使います。ゲッターが無ければ対処出来ない敵がいる。ゲッターが無ければ守れない者がある……なら使うしかないですし、それにオイラが見たのも、別の世界の竜馬が言った警告ももしもってことでしょう? この世界もそうなるって誰にもいえないし、そうならないように皆で頑張れば良いってオイラは思いますよ」

 

「うん、その通りだね。良し、大丈夫そうで何よりだ。頼りにしてるよ、武蔵君。アースクレイドル攻略戦はかなり厳しいものになりそうだからね。テツヤ大尉、悪いんだけど武蔵君達に今の状況を説明してくれるかな?」

 

竜馬の話を話半分で聞いてる訳ではないが、それよりも今はやるべき事があり、最悪の未来を避ける為に皆で頑張れば良いと言う武蔵の言葉にブライアンは笑みを浮かべながら大丈夫そうだと笑い、本来よりもかなり遅れているアースクレイドル攻略がどうなっているのか武蔵達に説明するように頼む。

 

「武蔵、ラドラ少佐、コウキ主任。今からヒリュウと分かれてから我々に何があったのかを説明する。そしてその上でアースクレイドルの攻略について3人の意見を聞きたい」

 

新しい超機人――窮奇王の復活、更なる変異を遂げたゲッターノワール、アラド達が遭遇したマシンセルを投入された量産型ゲッターロボとゲッターロボGが変異した機体、そして百鬼獣の群れ……。

 

「かなり状況は不味いな、これだけの戦力差があれば予定よりも遅れているのは仕方ないか」

 

「すまないな、もう少し進軍している予定だったんだ」

 

「いや、仕方ないだろう。カーウァイ、これだけの規模の戦力を強引に突破すればアースクレイドルで戦う余力はない、メタルビースト・アルタードとの戦いで負ったダメージを考えれば俺達が合流するのを待っていたのは正しい」

 

アースクレイドルの周囲を守る二重、三重の防衛線はその殆どが百鬼獣とマシンセル注入機体だ。僅かながらシャドウミラーの量産機も見られるが、それにマシンセルが注入されていないとも言い切れない。突破したとしても背後から攻撃される可能性を考えれば、慎重になるのは当然だ。それに何よりも、敵側の本命戦力が投入されていないのに無理をするべきではなく、カーウァイ達の考えは間違いではないとラドラが告げる。

 

「ゼンガーさんが居るからウォーダンもいるだろうし、アーチボルドに、共行王達、それに龍王鬼がいる可能性もありますよね?」

 

スレードゲルミル、ゲッターノワールG、龍虎鬼皇、超機人が少なくとも2体は控えているのだ。前哨戦と呼ぶには些か厳しい陣を敷かれているが、テツヤやビアン達が進軍中止を決断したのは正しい選択であった。

 

「ああ、それが考えられるから進軍を停止し、機体の修理と、埋められていたテキサスマックの回収をしていた」

 

進軍を止めている間に強固な防衛線を敷かれてしまったが、無理な進軍をして死傷者がでるよりもよっぽど良い筈だ。

 

「ハガネならばトロニウムバスターキャノンがあるが……それでも防衛ラインを突破できるか不安がある。SRXでも同様だ、この防衛ラインを出来るだけ損傷と消耗を少なくして突破したい。何か意見はないだろうか?」

 

テツヤの問いかけに武蔵が勢い良く手を上げた。

 

「ストナーサンシャインをぶち込むのはどうですか?」

 

「……それはあれかな? ラングレーを吹き飛ばした?」

 

「はい!」

 

球状に消し飛んだラングレー基地を思い出しながら引き攣った顔で尋ねるブライアンに、武蔵が輝く笑顔で返事を返す。

 

「武蔵君、それは保留しておこう。どうしようもないと分かったら使おう」

 

「まぁビアンさんが言うなら、ラドラとコウキはどう思う?」

 

「アースクレイドルに着弾しないように……そうだな。着弾地点を防衛ラインの2層目に打ち込めば良い」

 

「なら角度はあった方が良いな。周囲の大地が大変な事になるが、まぁしょうがない」

 

「それは最終手段。ラドラ少佐、コウキ主任。他の、もっと周りに被害が出ない方法を考えて欲しい」

 

ストナーサンシャインを大前提にしてる旧西暦トリオに、テツヤは別の方法を考えれてくれと額に手を当てながら口にするのだった……。

 

 

 

テツヤからの却下が出されたストナーサンシャインによる防衛ラインの崩壊作戦だが、三重、いや、四重に敷かれた防衛ラインを突破するのは流石の武蔵達から見ても厳しいと言わざるをえなかった。

 

「ストロングミサイルはどうだろうか?」

 

「1つの防衛ラインは壊滅出来るだろうが……自己修復機能を考えると得策とは言えんな」

 

「ゲッタービームを最大出力で打ち込むのはどうだ?」

 

イングラムがゲッタービームを使うのはどうだ? と提案するが武蔵とラドラはその提案に首を左右に振った。

 

「フルパワーで撃っても良いですけど炉心の出力が落ちますからね……その状態で龍虎鬼皇やノワールGと戦うのは少し……いや大分厳しいですね」

 

「宇宙ならゲッターザウルスもゲッターD2の炉心の回復も早いが、地上だと大分回復速度が落ちる。それはストナーサンシャインを使っても同じ事だが……余力は残しておきたい」

 

防衛ラインを消し飛ばすことは出来るが、後の事を考えるとそれを避けたい。ストナーサンシャインを使う事に乗り気に見えた武蔵達だが、ストナーサンシャインを撃ちこむのは武蔵達から見ても最終手段にしたい事だった。

 

「シュウさんのグランゾンのグラビトロンカノンはどうですか?」

 

「出来るならしていますよ。ビアン博士と共に重力攻撃を仕掛けたとしても、第1防衛ラインと第2ラインの4分の1を行動不能にするのがやっとですね」

 

自己再生能力を持つ機体による防衛ラインであり、百鬼帝国もアースクレイドル側も馬鹿ではない、MAPWによる突破を防ぐ為の策は準備してあった。

 

「マサキとリューネがいれば……いや、無理か」

 

「流石にあいつらに大気圏突入をやれっていうのは酷だ。俺達だから出来ただけだぞ?」

 

そもそも大気圏を単独で突入して、そのままクロガネと合流しこうして作戦会議をしている武蔵達が異常であり、仮にマサキとリューネが同様の方法で大気圏を突破していれば間違いなく高熱で動けない状態になっていただろう。どうするかとビアン達が考え込んでいると武蔵が何かを思い出したように手を叩き、ベルトに捻じ込んでいたマグナムを取り出してそれに装填されていた弾丸を取り出した。

 

「ビアンさん、これPTサイズにして量産出来ませんかね?」

 

「これは……変わった弾丸だな?」

 

武蔵がビアンに差し出したのは鋭い棘が伸びた針葉樹のような形状をした変わった、いや変わりすぎた弾丸だった。

 

「これは威力はないんですけど、刺さると絶対抜けないんです。動けば動くほど奥に奥に食い込んでく特殊弾頭なんですけど……どうですかね?」

 

「そういうことか、なるほど悪くない。いや、むしろこの場合では最適か?」

 

再生するほどに食い込み、その内動力パイプなどを損傷して動けなくなる……倒す事は出来ないが再生力を盾にして防衛ラインを敷いている百鬼獣達にとってはこれ以上に無いという程に有効な武器だった。

 

「すぐ作れますかね?」

 

「余裕だ。型を作ればすぐにクロガネのラインで製造出来る。すぐに取り掛かる、武蔵君達は少しでも身体を休めててくれ。6時間後には攻勢に出る」

 

武蔵が敷島博士から渡されていた対メタルビースト用装備……それがこの均衡状態に一条の光を与えるのだった……。

 

 

 

 

食堂の机の一角を陣取ったシャインは頬を膨らませ、机の上に頭を乗せて不満を全身で表していた。

 

「シャイン王女。武蔵ももうすぐこっちに来ると思いますよ?」

 

「やっと会えると思ったのに顔すら見れなかったのですよ? それも作戦会議ではいつ解放されるか分からないではないですか」

 

月面に行っていた武蔵に会えるとるんるん気分だったシャインだが、武蔵はそのままブリッジへ直行してしまい。声を掛けることすら出来なかったシャインは完全に不貞腐れモードに入っていた。

 

「武蔵なら絶対こっちに来るって、間違いないって」

 

「ちなみにリュウセイ。その根拠は?」

 

「ライの兄ちゃんが飯を山盛り作ってるから」

 

リュウセイの言葉にシャインが僅かに顔を上げると、確かにクロガネの厨房はフル回転しており、明らかに武蔵に備えているのが分かる。

 

「そうそう、それにそんなグデーってしてるところを武蔵さんに見られたら恥ずかしくないか?」

 

「う……それは確かに……」

 

アラドに言われてシャインは身体を起こす、視界の隅でゼオラにジト目で見られてうろたえているアラドと……。

 

「なんかラトゥーニとマイ仲良くなってない?」

 

「別に喧嘩したかったわけじゃないから」

 

「そう、私とラトゥーニは仲良し」

 

何時の間にかラトゥーニとマイが手を組み、リュウセイを囲う気満々なのだが、それに気付かず能天気に笑っているリュウセイを見ながらシャインはその優秀な頭脳をフル回転させる。

 

(仲間……確かにそれも1つの手……ですが……)

 

ポンコツユーリアと、外見の割に中身が幼いエキドナを仲間にした所で何が出来るだろうか? 恐らく何も出来ない。それ所か足を引っ張るだけだとシャインは考え、仲間に出来そうな1人に無意識に視線を向ける。

 

「シャイン王女。どうかしましたか?」

 

「いえ、別に少し考え事ですわ」

 

ちょっと武蔵に好意を抱いていそうなオウカは悪く無いかもしれないが、女性的な魅力に劣っている今の現状だと自分がおまけになってしまう可能性がシャインの脳裏に浮かぶ。

 

(後2年……後2年ですか……)

 

リクセントの王族の娘の成長期は他の同年代の娘の成長期を遥かに凌駕する。だが2年という時間はシャインには余りにも長く思える……。

 

「やはり武蔵様にはリクセントで暮してもらうしか……」

 

「……まぁうん。悪くはないと思いますよ? シャイン王女」

 

「武蔵が良いって言うなら良いんじゃないかな? うん、それにリクセントで武蔵人気者だし」

 

思わず声に出てしまったシャインだが、ラトゥーニとリュウセイの同意の声を聞いてやはりこれが正しいのだと思う事にした。なおダークサイドに踏み込んでいるラトゥーニと完全に内堀も外堀も埋められているリュウセイの意見を聞くのは間違っているのだが、それを指摘するものは誰もいなかった。

 

「あー腹減ったなあ……」

 

「確かにな、食ってから寝るか」

 

「もう飯が出来ているな、ありがたいことだ」

 

作戦会議から解放され、食事をしに来た武蔵とラドラ、コウキの3人を見て、シャインは満面の笑みを浮かべて武蔵の元へと駆け寄って行った。

 

「本当にシャイン王女は武蔵が大好きなんだな」

 

「うん、シャイン王女は武蔵の事ばかり言うしね」

 

「微笑ましい……んだけど、さっきの発言を聞くと……」

 

「愛されてていいんじゃないかな? うん、多分。きっとそう」

 

満面の笑みを浮かべながら甲斐甲斐しく武蔵の世話をしているシャイン王女の姿は確かに愛らしいのだが、何か危ういものを感じるリュウセイ達なのだった……。

 

 

 

アースクレイドルの格納庫の中で座禅を組み、精神集中をしているウォーダンの背後に龍王鬼が立ち、その拳を振りおろす。

 

「気合のってんな、ウォーダン」

 

だがその拳がウォーダンを捉えるよりも先に、ウォーダンが手にしていた鞘に収めたままの刀によって止められていた。

 

「何のようだ。龍王鬼」

 

「クロガネの近くに宇宙から熱源が3つ落ちたそうだ。俺様が何を言いたいか分かるだろ?」

 

3つの熱源……それは言うまでも無く宇宙に行っていた武蔵達であるのは明らかだった。

 

「そうか、来るか……ゼンガー・ゾンボルトと武蔵が」

 

「おうよ、俺様は武蔵と戦うのが楽しみで楽しみでしょうがねぇ、今度こそ心行くまで全力で戦える」

 

燃えるような闘志を剥き出しにする龍王鬼と、静かだが獰猛な笑みを浮かべるウォーダンを見ていた共行王は、楽しくて仕方ないと言わんばかりに手にしていた扇子で口元を隠してころころと笑う。

 

「なんだー? 戦いか? きゅーちゃん、戦いは面白くないんだけどなあ」

 

「馬鹿者、誰がお前に戦えと言うか。これから起きる戦いは見物ぞ、間違っても戦いなど出ようとするなよ?」

 

「んー別にきゅーちゃん戦うきないよぉ。まだゲームクリアして無いし」

 

スリッパともこもこのパジャマを着て、ぺたぺたと足音を立てて歩いていくその姿は子供その物で、共行王はやれやれと肩を竦めた。

 

「良き戦いが始まるな」

 

「うむ、これほど心踊る戦いはないぞ」

 

共行王達がアースクレイドルに残っているのは、アースクレイドルの防衛が出来ないと分かった場合にアースクレイドルを破壊するためであり、戦う為ではない。戦えないことに不満はあるが、それを打ち消すほどの素晴しい闘争が待っているとなればその不満を我慢する事も出来る。

 

「吐き気を催す下種もいるがな」

 

「あんな奴らの闘いなどどうでもいい、戦いの中で私が処分してやっても構わんぞ」

 

「違いない」

 

グリムズの末裔は狂い、殺す価値も無く、アギラはそれに輪を掛けて酷い。様々な人間を見てきた共行王から見てもあれほど酷い人間はいないと断言できるほどの下種がアーチボルドとアギラだった。

 

「力に溺れる者など愚の骨頂ぞ」

 

「全くだ。己の力すら理解できんとは嘆かわしい」

 

己の力ではない物を己の力だと思い込み、その力に振り回されているだけのアーチボルドとアギラは共行王から見れば愚か者の極みだ。

 

「かと言って作られた者はなお醜い」

 

「うむ。しかも飛び切りのアホじゃ」

 

イーグレットのマシンナリーチルドレンも唾棄するものであり、しかもそれを無事に宇宙に送り届けろといわれているのの憤慨やるかたない。だがそんな中で武蔵達が乗り込んでくるというのは、共行王にとって喜ばしいものであった。

 

「ああ。楽しみだ、早く乗り込んでこないかの」

 

「全くだ。あいつは人間の娯楽にのめり込んでいるが、どうもゲームやアニメ、漫画というのは好かん」

 

「私もだ。何が面白いのかのう?」

 

窮奇王がのめり込んでいるサブカルチャーの面白さを理解出来ない共行王達は暇を持て余しており、早く武蔵達が攻め込んでこないかと、これから始るであろう素晴しき闘争に胸を躍らせるのだった……。

 

 

 

第235話 開かれし地獄門 その2 へ続く

 

 




ちょっと短いですが、今回はシナリオデモなのでこういう風になりました。次回もシナリオデモを少しと新兵器ぶっぱ、アースクレイドルまで突入手前まで進めていこうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。


スパロボDD次回イベント

ゲッター関連とグリッドマンでめちゃくちゃ嬉しいですが

キャリバーがないのでグリッドマンに装備制限が掛かるのつらい……

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
  • 今のままで良い
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