進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第254話 魔星へ巣食う邪鬼 その4

 

第254話 魔星へ巣食う邪鬼 その4

 

視界を埋め尽くす伸縮自在の触手には、さすがのビアンも生理的な嫌悪感を抱いた。黒く、ゴムのような皮膚に加えてそれを埋め尽くす血走った黄色い複眼。精神が弱い者ならばそれだけで発狂しかねないおぞましい光景を目の当たりにしても、ビアンの精神は冷ややかだった。

 

「邪魔だッ!」

 

ゲッタートマホークの一閃によって切り裂かれた触手が、耳障りな絶叫を上げ白い煙を放ちながら本体であるドラゴン変異態へと回収される。

 

【グルルルルッ! キッシャアアアアッ!!】

 

外見は確かにドラゴンの面影を残しているが、ドラゴン変異体はインベーダーとアインストの融合態がドラゴンの装甲を着込んでいるようにしか見えない姿をしていた。

 

「どれほど機体性能が優秀だったとしても! それを操る者が獣では何の意味もないぞッ!!」

 

インベーダー細胞によって遠隔操作され死角から襲ってくるダブルトマホーク、そしてそれに合わせて強襲してくるドラゴン変異態。どちらも掠めただけで致命傷になりかねない凄まじい破壊力を秘めた攻撃である事は間違いない。だがカーウァイや武蔵の動きを知っているビアンからすれば、それは稚拙な連携にすぎなかった。

 

【シャア!?】

 

「真っ向から力勝負をするほど、私は愚かではないのだよッ!」

 

インベーダー細胞に寄生されたダブルトマホークはゲッターVが展開している重力場に捉えられ、まるで昆虫標本のように宇宙空間に縫い止められた。

 

「はぁあああッ!!」

 

【グルルルグオオオオッ!!】

 

ゲッターVとドラゴン変異態の振るうゲッタートマホークとダブルトマホークが、何度もぶつかり火花を散らす。

 

「なるほどパワーだけはある。だが力だけで勝てるほど人間は甘くはないぞッ!」

 

少しずつ弾かれるゲッターVを見て唸り声のような笑い声を上げていたドラゴン変異態だが、その動きがほんの少しずつ鈍くなっていき、劣勢だったビアンが少しずつ前に出る。

 

【ギギッ!?】

 

ゲッター炉心を搭載しているドラゴン変異態にゲッターVの重力場は本来効果が薄い。それなのに動きが鈍くなっている事に困惑するドラゴン変異態に、ビアンはにやりと笑みを浮かべる。

 

「全体を絡めとろうとすれば、ゲッターVの重力場は何の意味もないだろう」

 

旧ゲッターロボとゲッタードラゴンの総エネルギー量は10倍もの差がある。改良したゲッターVであっても、ゲッタードラゴンとのエネルギーの差は約5倍ほどの差がある。それほどの力の差がある物を押さえ込もうとすれば、ゲッターVはすぐにエネルギー枯渇を起すだろう。ならなぜドラゴン変異態の動きが鈍くなったのか、そのカラクリはきわめて簡単である。

 

「関節だけを封じるならば、それほどエネルギーは必要ではないのだよ」

 

肘、手首、膝、足首、肩、腰。それらをピンポイントで重力場を発生させる。それらは1つ1つは微々たる物でありほんの僅かだけ動きを鈍くする。ダメージも殆どないので融合態もダメージを受けていると気付かない。だが寄生しているドラゴンには少しずつダメージが蓄積し、関節というデリケートな部分に過負荷が掛かりドラゴン変異態はその動きを鈍くさせていたのだ。

 

「とは言え、化物にそんな説明をしても分からないだろうがね」

 

動きが鈍くなっても闘争心に従い、そしてゲッター線を求めてゲッターVへ手を伸ばすドラゴン変異態の胸にミサイルマシンガンが押し当てられ、放たれたゲッターミサイルの嵐がドラゴン変異態の装甲を抉る。

 

「リューネッ! 合わせろッ!」

 

『親父!? ああ、もうッ! もっと早く言ってよねッ!!』

 

「はっはははッ! すまんなッ!」

 

ゲッターVの突き出した右手に赤、青、緑が混ざり合った螺旋状のエネルギーが発生し、ヴァルシオーネの突き出した両手の間に赤と青に光り輝くエネルギーが作り出される。

 

「『クロスマッシャーッ!!!』」

 

ビアンとリューネが同時に叫び、ヴァルシオーネとゲッターVから同時に放たれたクロスマッシャーがドラゴン変異体を貫いた。

 

【ギ、ギギャアアアアアアッ!?】

 

おぞましい悲鳴を上げて爆発するドラゴン変異態を見てリューネが口を開こうとすると、ゲッターVがその手をヴァルシオーネの顔へと向けた。

 

『親父?』

 

「やめておけ、リューネ。それはフラグという奴だ。それに……奴はこの程度では死なんよ」

 

『でも爆発……ッ!』

 

ビアンの鋭い口調にドラゴン変異態のほうへ視線を向けたリューネは、爆発の中から一回り巨大化したドラゴン変異態が姿を見せるのを見て言葉を失った。

 

「1人では手に余る。行くぞ、リューネ」

 

『分かった! あいつを何とかしない事には不味い事になるッ!』

 

ディカステス変異体から生み出されるアインストとインベーダーも十分脅威ではある。だが、ゲッター線に適合したドラゴン変異態が親になりそこからアインストとインベーダーが生み出される事になれば、ゲッター線の力を持ったインベーダーとアインストになる。それだけは阻止しなくてはならない。ビアンとリューネの駆るゲッターVとヴァルシオーネを敵と認識したドラゴン変異態の咆哮が宇宙空間に響き、より進化したドラゴン変異態に応戦する為にゲッターVとヴァルシオーネはそれぞれの手にゲッタートマホークとディバインアームを持ち、ドラゴン変異体へと向かって行くのだった……。

 

 

 

 

宇宙空間を高速で移動を続けるライガー変異態の速度はゲッターキメラの比では無く、それこそゲッターライガー2に匹敵するほどの速度であった。アステリオンやフェアリオンでも追いつけない速度で移動を続けるライガー変異態を、白銀の閃光が追う。

 

「ククク、何をしているのですマサキ? いつまでそんな物に翻弄されているのですか? 私が動いたほうが早いのではないですか?」

 

『うるせえシュウッ! てめえはそこで見てやがれッ!』

 

シュウの挑発めいた……いや挑発に頭に血が昇ったマサキの操るサイバスターはその速度を早め、ライガー変異体への距離を少しずつ詰め始める。その光景を見て、シュウは口元に小さく笑みを浮かべグランゾンのコンソールを操作する。

 

【ッ!?】

 

それはほんの僅かな妨害。ビアンとゲッターVが出来る重力操作をグランゾンとシュウが出来ない訳がない。ほんの僅か関節に負担をかけられたライガー変異態の速度が緩んだ。

 

『ちいっ!!』

 

ライガー変異体の速度が緩んだのがシュウの仕業と即座に見抜いたマサキは、舌打ちと共にアカシックバスターでライガー変異体を貫き、サイバードが通過して一瞬の後にライガー変異態が大爆発を起こす。

 

「お見事ですね、マサキ」

 

『嫌味かてめえ!』

 

「ククク、どうでしょうね? それと後方注意ですよ」

 

『後方……ぐあッ!?』

 

爆煙の中から飛び出て来た鎖がサイバスターの背中を穿ち、マサキが苦悶の声と共にグランゾンのほうへと弾き飛ばされる。

 

「大丈夫ですか?」

 

『くそッ! もっと早く注意しやがれッ!』

 

「ククク、どうせ私の警告など聞かないでしょう? 貴方はね」

 

マサキの養父であるゼオルートを殺したシュウを憎んでいるマサキが、まともに話を聞くわけが無い。それは目の前に敵がいてもいがみ合っていることを見れば明白だ。

 

「今は揉めている場合ではない、違いますか?」

 

『ちいっ! 分かってるッ!』

 

シュウが憎いことは確かだ。だが目の前に更に変異を遂げたライガーの姿があるのを見れば、憎い相手や恨みがある等とこだわっている場合ではない。

 

『お得意の重力でなんとか出来ねえのか』

 

「出来るならしていますよ。そうですね、マサキがあの変異体の速度を緩めてくれれば出来ると思いますよ?」

 

『回りくどい言い方をしやがって!』

 

サイバスターをサイバードへと変形させライガー変異態を再び追い始める姿をグランゾンのモニターで見ていたシュウは、右手を左手で押さえ込んでいた。自分の意思に反してサイバードを攻撃しようとする右手を、凄まじい力で抑え込んでいた。

 

「……まだ、まだ今じゃない……ッ」

 

誰にも知られない、そして誰も知る事も理解も出来ない場所でシュウは戦っているのだった……。

 

 

 

 

凄まじい衝突音を響かせアルトアイゼン・リーゼとポセイドン変異態がぶつかり合う。

 

「硬い……リーゼでも貫けんかッ!」

 

ポセイドン変異態は既に変異の第二形態に達しており、その姿は巨大なタルのような胴体に巨大な両腕、短い足と僅かに見える頭部と、僅かにポセイドンの原形を残す別物へと変化していた。

 

【ッ!】

 

そして見た目は鈍重な重装甲の特機に見えてその俊敏性はPT並みであり、一瞬でアルトアイゼン・リーゼとの距離を詰めたポセイドン変異体を見てキョウスケは反射的にアヴァランチクレイモアを発射した。

 

「ぐうっ!?」

 

【!?!?】

 

ポセイドン変異態とアルトアイゼン・リーゼの間で何十発と跳弾したチタン弾がアルトアイゼン・リーゼとポセイドン変異体の装甲を抉り、2機を弾き飛ばす。

 

「リーゼが頑丈で良かったな」

 

ほぼ一瞬で損傷を回復させるポセイドン変異体に対してアルトアイゼン・リーゼに修復能力など無く、機体の頑丈さで耐えるしか無かった。

 

『キョウスケ中尉! 体勢を立て直してください!』

 

『行くぜガンドロッ!!』

 

アインストとインベーダーの包囲網を抜けて来たジガンスクード・ドゥロがシーズアンカーを展開してポセイドン変異体へと突撃し、それを援護するようにヒュッケバインMK-Ⅲ・タイラントの放ったブラックホールキャノンHの熱線がポセイドン変異体へと放たれる。

 

『タスク! 下がりなさい!』

 

『レオナちゃん!? ってやべえッ!!』

 

ブラックホールキャノンHが命中する寸前にポセイドン変異体はその身体を変形させ、両腕と頭部を胴体へと収納し変わりに巨大なファンが姿を見せていた。

 

【……ッ!!!】

 

ゲッターサイクロン。それが頭部と両腕のファンから同時に放たれ3つの巨大な嵐がブラックホールキャノンHを弾き飛ばし、白兵戦を挑もうとしていたジガンスクード・ドゥロまでを飲み込み、大きく弾き飛ばした。

 

「リョウト! タスクッ! ぐっ!?」

 

そしてその暴風はアルトアイゼン・リーゼをも、いやアルトアイゼン・リーゼだけではなく、アインストとインベーダーと戦っていたラトゥー二達をも飲み込んだ。

 

『キョウスケッ!!』

 

「えく……せれん……?」

 

ゲッタートリプルサイクロンに飲み込まれて弾き飛ばされたキョウスケは意識を失っていた。だがエクセレンの己を呼ぶ声で意識を取り戻した。

 

『早く体勢を立て直して! 私とシャチョーさんだけじゃあのポセイドンは食い止められないッ!』

 

『厄介なッ!』

 

エクセレンとリンの声にキョウスケは頭を数度振り、無理矢理意識をハッキリさせる。ラインヴァイスリッターとエクスバインが手持ちの火器でなんとかポセイドン変異態の動きを止めようとしているが、その再生能力と巨体の防御力で進んでくるポセイドン変異体を止める事が出来ないでいた。

 

「エクセレン! 突っ込むぞッ!」

 

『あーはいはい! シャチョーさん援護してッ!!』

 

『了解したッ!』

 

ラインヴァイスリッターとエクスバインの弾幕の中にアルトアイゼン・リーゼは自ら飛び込んだ。

 

「オーバーチャージ……受け切れるものなら受けてみろッ!!」

 

リボルビングバンカー、リーゼの胴体、背部のバックパックのテスラドライブが全て同調し獣の唸り声のようなエンジン音を響かせ、リボルビングバンカーの切っ先、そしてアルトアイゼン・リーゼの前面にT-ドットアレイが展開される。

 

【!!!】

 

ポセイドン変異態はその巨大な腕を伸ばしアルトアイゼン・リーゼを捕まえようとする。だが、オーバーチャージによって限界を超えた加速をしているアルトアイゼン・リーゼを捉えるには、ポセイドン変異体は遅すぎた。

 

「どんな装甲だろうと、打ち貫くのみッ!」

 

裂帛の気合と共に突き出されたリボルビングバンカーはポセイドン変異態の胴体へ突き刺さり、胸部、そして頭部を一撃で吹き飛ばした。

 

【キ……シャアア……】

 

普通の機体、そしてパイロットならばここまでだがインベーダーとアインストに寄生されているポセイドン変異体はまだ活動していた。ビデオの巻き戻しのように破壊された内部装甲が修復し、装甲が再構築される。

 

「見つけたぞ、お前のコアをッ!」

 

70M近いポセイドン変異態の破壊された胸部の中にある5Mほどの小さな紅く輝くコア。そしてそれに下半身を埋め込んでいるインベーダーの姿を確認したキョウスケは迷う事無くアヴァランチクレイモア発射のトリガーを引き、放たれたチタン弾の嵐がアインストコア、そしてアインストコアと融合しているインベーダーを消滅させ、変異を繰り返していたポセイドン変異態がその巨体を塵へと変えながら消滅する。

 

「各員に報告する! アインストとインベーダーの融合態が寄生しているゲッターロボ変異態の内部にアインストコアと融合したインベーダーがいる! それが核だ! それを破壊すれば変異体は消滅する! 装甲を破壊して内部装甲を露出させるんだ! 普通に戦っていては何時までも変異と進化が続くだけだッ!」

 

自身が見つけた変異態の倒し方を広域通信で叫んだキョウスケによって戦況がキョウスケ達にとって有利に変わるかと思えたが、自体はより悪い方向へと傾こうとしていた。

 

「ホワイトスター内部に強烈なエネルギー反応! 何か来ます!」

 

クロガネのエイタがそう叫んだ瞬間。ホワイトスターの壁が爆発し、そこから青黒い影が姿を見せた。

 

「馬鹿な……あれはッ!?」

 

「ホーンドマン!? あいつまでアインストとインベーダーに寄生されているのか!?」

 

それは紛れも無くシャドウミラーのフラグシップであるツヴァイザーゲインの姿。だがその胸部には赤黒く輝く巨大なアインストコアが2つ、そして手足はインベーダーの不気味な黄色い複眼で埋め尽くされていた。

 

【は、ははははははは! 開く、開くぞ! 門を私は、俺は!!! 門を開くのだああああッ!!】

 

ツヴァイザーゲイン変異態が両手を掲げると、ホワイトスターの上部に複雑な回転を繰り返すエネルギーの渦が作り出される。

 

「止めろ! 門が開かれたらすべてが終わるぞッ!!」

 

「ちいっ! 各機はホーンドマンへ攻撃を加えろ! 門を開かせるなッ!!!」

 

アインスト、インベーダーの群れ、複製されていたゲッターロボのパーツを不規則に取り込んだゲッターキメラ、そしてゲッター炉心で稼働しているドラゴン、ライガーにアインストとインベーダーが寄生した変異態。

 

【あはははははははッ! 門が開く、開かれる! 僕達の王がこの世界に現れる!】

 

【静寂なる世界の為にぃぃいいッ!!】

 

アインストとインベーダーに寄生されたヴィンデルとウェンドロ。そしてその乗機であるツヴァイザーゲイン、ディカステスもまたアインストとインベーダーへ寄生され変異体へと変貌を遂げ、平行世界への門「アギュイエウス」が開かれるのを阻止しなければならない……戦況は絶望的なまでに悪化の一途を辿っていた……。

 

 

第255話 魔狼の咆哮 その1へ続く

 

 

 




今回のマップはイベントが複数あるマップとなっております。

1 ゲッターロボ変異態を1体撃墜する
2 ゲッターキメラを全て破壊する
3 インベーダーとアインストを全滅させ、ゲッターキメラ、変異態を2体以上HPを70%以下にする。
4 ディカステス変異態のHPを60%以下にする。

いずれかの条件を達成すると、ディスカティス変異態がど根性を発動させた後にこうなります。

1 ツヴァイザーゲイン変異態のHPを70%以下にする【毎ターン ひらめき・不屈・鉄壁・熱血・気合発動】 

2 ディカステス変異態のHPを50%以下にする【毎ターン 鉄壁・根性・ひらめき・魂・気迫発動】

というクソ仕様です。これはコントローラーを投げると思いますが、どう思いますか?

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
  • 今のままで良い
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