第265話 次元の狭間 その7
人型へと進化したノイ・レジセイアの全身から放たれるビームの嵐。本来ならば回避、あるいは防ぐ事を選択するのが普通だ。だがカーウァイを含め教導隊の面子にとっては避ける為に距離を取るくらいならば前に出ると言う選択を取る。
【ナゼ……ナゼアタラヌ?】
ノイ・レジセイアの巨体の全身から放たれるビームの嵐……それはPTであれば当たれば一瞬で消滅するほどの火力を秘めた一撃だ。それがカーウァイ達に当たらない事にノイ・レジセイアは困惑の声を上げる。
「狙いもくそもない、ただ闇雲に放つビームになど当たる物か」
XXアーマーとXNアーマーの余剰パーツを装着したゲシュペンスト・タイプS、いやゲシュペンスト・XSアーマーの振るった斬艦刀の一撃がノイ・レジセイアに叩きつけられる。
「チッ……固い……いや、グランゾンの湾曲フィールドと同種のバリアかッ!」
様々なアインストのパーツを持つノイ・レジセイアは今まで戦ってきたアインストよりも遥かに巨体であり、そして強力な個体だった。今までのアインストが展開していたバリアがより進化したバリアを習得していた。
【……コノテイド……キズニナラヌ】
斬艦刀の一撃の傷はカーウァイの見ている目の前で修復し、どこに斬艦刀が当たったのかも分からないまでに回復していた。
『回復力も桁違いに高いようですね、カーウァイ大佐』
「回復するというならそれを上回る一撃を叩き込めば良い、簡単な話だ」
『その通りだッ! おおおおッ!!!』
『打ち砕くッ!!』
ゲシュペンスト・XXアーマーの左右の拳の連打とゲッターザウルスの振るったダブルシュテルンの一撃がノイ・レジセイアの装甲を大きく陥没させる。
【ヌウ……ッ】
『やはりゲッター合金の一撃なら即座に回復するということはなさそうだな』
『こちらも攻撃も悪くない通りです、隊長』
参式斬艦刀は確かに強力な武器ではあるが、あちら側のゼンガーとグルンガスト参式に搭載されていた武器であり、ゲッター合金製ではなく、今まではゲシュペンスト・タイプSの圧倒的なパワーでアインストを撃破していた。ある意味力づくで撃破していたのだ、ある意味頭の良いバーサーカーであるカーウァイらしい戦法だった。
「使える物なら何でも良いんだがなッ!!」
【!?】
ゲシュペンスト・XSアーマーの手首から伸びたゲッター線で作られたビームソードがノイ・レジセイアの装甲に真一文字の傷を付け、白い煙を上げ、ノイ・レジセイアからくぐもった悲鳴が上がるが、その痛みでノイ・レジセイアから凄まじい闘志が吹き上がる。
【……クラエッ!】
突き出された両腕から凄まじい勢いでアインスト・グリートの物と同じ無数の触手が伸びる。
「狙いは雑のままで数を増やしてきたかッ!」
1本1本がPTの胴体と同じ太さの触手が視界を埋め尽くすのを見て流石のカーウァイも舌打ちし、ノイ・レジセイアから距離を取りながらビームソードで触手を切り払う。
『むんッ!』
『はぁッ!』
ダイゼンガーやゲシュペンスト・XXアーマー、ゲッターザウルス、アウセンザイターも手にしていた武器で触手を切り払う。ミットライトのようなビーム兵器ならば至近距離でも避ける事が可能だが、エレガントアルムのような伸縮自在な物理攻撃ともなれば避ける事も、防ぐ事も可能だがノイ・レジセイアの懐に居続けるのはカーウァイ達でも不可能だった。
【クラウガイイッ! ワガセンコウヲッ!!】
エレガントアルムを使いカーウァイ達を引き離したのはこの一撃の為だった。ノイ・レジセイアの胸部装甲が開きそこから放たれたビームはカーウァイ達の機体全てを飲み込んでも余りあるほどの極太のビームだった。
「ラドラッ! レーツェル! 合わせろッ!!」
『『了解ッ!』』
空間が収縮し始めており避ける事が出来ないと即座にカーウァイは判断し、ゲシュペンスト・XSの胸部装甲が開き放たれたブラスターキャノン、ランツェ・カノーネを連結させて高出力のゲッタービームを撃ち込み、ゲッターザウルスも頭部ではなく、腹部のレンズとゲッター炉心を直結させた最大出力ゲッタービームを発射し、エアヴァルトゥングを相殺に出るが……。
「ぬッ!? これはッ!?」
【ハハッ! ハハハハハハッ!!! ワレモテニシタゾシンカノヒカリヲッ!!】
エアヴァルトゥングはただのビームではなく、百鬼帝国からインスペクターに提供されたゲッター炉心を取り込んだ事でゲッタービームへと昇華されており、そしてカーウァイ達との戦いの中でゲッター線に触れ続けたことでノイ・レジセイアはアルフィミィに続きゲッター線に適合したアインストヘと進化しており完全に相殺出来ず、ノイ・レジセイアの放ったエアヴァルトゥングがゲシュペンスト・XSアーマー達を飲み込むのだった……。
カーウァイ達の攻撃によってエアヴァルトゥングの威力を下げる事は出来たが、ゲッター線を利用したその一撃を完全に削ぐ事は出来なかった。
「くッ……流石に今のはやばかったな」
ゲッターザウルスのモニターのあちこちがイエローに染まっており、それだけエアヴァルトゥングの威力が凄まじかった事を現していた。
『……このXXアーマーでなければ耐えられなかったな……』
『ダイゼンガーでも今の一撃が直撃だったのならばやばかった……ッ』
『連発出来ないのが幸いだな……』
ゲッターロボD2に匹敵する性能を持つダイゼンガーとアウセンザイターでも連発で受ければ不味いほどの威力をエアヴァルトゥングは有していた。
【……ヌウ】
だがその威力はノイ・レジセイアをも蝕んでいた。確かにゲッター線に適合した進化をしたノイ・レジセイアではあったが、完全にゲッター線に適合したわけではなく、ゲッター線を伴ったエアヴァルトゥングの一撃はノイ・レジセイアをも蝕み、胸部の発射口を溶解させていた。
『回復するまでに叩くぞッ!』
ゲシュペンスト・XSアーマーが先陣を切り、それにラドラとカイのゲッターザウルスとゲシュペンスト・XXアーマーとダイゼンガーも続く。
【キサマラノスキニハサセンッ!】
エレガントアルムの触手、そして触手の先から放たれるエネルギーの弾雨を避ける事は選ばず、カーウァイ達の駆るゲシュペンスト・XSアーマー達はノイ・レジセイアとの距離を詰め続ける。
「ミスるなよ! レーツェルッ!!」
『不甲斐無い真似はしてくれるなよレーツェル! 隊長に鬼のシゴキを受けるぞ』
『ふっ! 遠慮するな全員絞ってやるさッ!!』
誰もが笑う、一撃でも直撃すれば大破する攻撃の嵐を前にしても誰もが自然体だ。だがこれが教導隊なのだ、カーウァイ・ラウという男に魅せられ、その強さに追いつき、追い抜かんと己を鍛え上げて来た者達だ。
『私が撃ちもらす等というミスをするわけがないだろう!』
ランツェ・カノーネから放たれるゲッター合金弾がノイ・レジセイアの放つエネルギー弾を撃ち落す。
【オノレッ!】
『そのような雑で荒い狙い、撃ち落すことなど容易いッ!!』
1発1発の威力は凄まじく、その大きさも尋常ではない。だが狙い済ました一撃ではなく出鱈目にばら撒いているその弾雨はレーツェル……いやエルザムにとっては射撃とも呼べない雑で稚拙な物だった。
『おおおおッ!!!』
アウセンザイターのサポートによって弾雨を潜り抜けたゲシュペンスト・XSアーマーがゲッタービームソードでノイ・レジセイアに切りかかる。
【サセンッ!!】
ノイ・レジセイアの手の平から伸びたブレードがゲシュペンスト・XSアーマーのゲッタービームソードを切り払う。
『隙だらけだッ!!』
「叩き潰すッ!!』
ゲシュペンスト・XSアーマーが切り払われた影からゲッターザウルスとゲシュペンスト・XXアーマーが飛び出し、ゲッター合金でコーティングされた両拳とダブルシュテルンの棍棒が左右からノイ・レジセイアの巨体へと叩きこまれる。
【ソノテイドッ!】
アインスト・グリートの触手が集まり2本の副腕を作り出し、ゲシュペンスト・XXアーマーのライトニングステークとゲッターザウルスのダブルシュテルンを受け止める。
「化物らしい防ぎ方だが甘いッ!!」
『喰らえッ!!』
ゲッターザウルスの吐き出した炎とゲシュペンスト・XXアーマーの背部のキャノン砲がノイ・レジセイアの顔面に向かって放たれる。アインストが腕を増やし、あるいは装甲を変形させ攻撃を防ぐのは何度も見ていた。だからこそカイもラドラも迷いも同様もすること無く攻撃を続ける。
【キカヌッ!】
ノイ・レジセイアの展開しているゲッター線を伴った湾曲フィールドによってその威力が大きく削ぎ落とされる。
『一意専心狙いは一つッ!!』
「突っ込めゼンガーッ!!!」
ゲッターザウルスの吐き出した炎に自ら飛び込んだダイゼンガーがゲッター線の炎を纏いながら斬艦刀をノイ・レジセイアに向かって振りおろす。
【ア……アアアアアアアッ!!!?】
斬艦刀によって肩から袈裟切りに斬られたノイ・レジセイアの上半身と下半身がずれる。
【ナ、ナメルナアアアアアッ!?】
だが上半身と下半身が完全に分かれる前に触手で無理矢理ノイ・レジセイアは上半身と下半身を繋げ、その巨大な右腕を振り上げ……苦悶の絶叫を上げた。
『カーウァイ大佐ッ!』
ゲシュペンスト・XSアーマーの投げた参式斬艦刀がダイゼンガーに拳を振り下ろそうとしていたノイ・レジセイアの胸部に突き刺さり、どす黒い血液を撒き散らす。
『浅くとも問題ない! カイ畳み掛けろッ!』
【ギッ!? ギャアアアアアアアッ!?】
湾曲フィールドによって威力だけではなく、切っ先も逸らされたゼンガーが浅いと叫ぶが、カーウァイは湾曲フィールドで威力をそがれることも計算し、斬艦刀によって湾曲フィールドが切り裂かれた次の瞬間には日本刀モードの参式斬艦刀をノイ・レジセイアに向かって投げ付けており、その切っ先が胸部に突き刺さったノイ・レジセイアの絶叫が亜空間に響き渡る。
『ぬうおおおおおおおッ!!』
参式斬艦刀によって湾曲フィールドが完全に展開出来ないうちに飛び掛ったゲシュペンスト・XXアーマーの右拳が参式斬艦刀の柄を殴りつける。
【ガッ!? ガアアアアアアッ!?】
参式斬艦刀が更に奥まで突き込まれ、ノイ・レジセイアの巨体が大きく揺れ、湾曲フィールドが点滅を繰り返す。
「好……下がるぞッ!!」
『ラドラ何を……ちいっ! 下がれッ! 取り込まれるぞッ!』
湾曲フィールドが消えた今が好機と叫ぼうとしたラドラが下がれと叫び、カーウァイが一瞬の躊躇いの後に下がれと叫ぶ。
【お、オアアアアアアアアアア!?!? アガ、アガアガガガがアアアアアアッ!?】
ノイ・レジセイアが声にならない絶叫を上げながら全身から触手から出しながら、その身体を大きく膨らませていく。
【アギャッ!? グギィイイイッ!? アガ☆△□?☆!?ッ!?!?】
巨大化しているノイ・レジセイヤはどす黒い血液を噴出しながら、苦悶の声を上げて暴れる。
「暴走しているのか……」
『ダメージの所為でコントロールできなくなったか……だが……これはッ!?』
40m強だったノイ・レジセイヤは風せんのように膨らみ、見る見る間に巨大化する。
『ホワイトスターの識別反応とインベーダーの反応だと!?』
『取り込んだホワイトスターの内部に居たインベーダーに寄生されたか!?』
機体に登録されているホワイトスターとインベーダーの識別反応を出しながら肥大化していく……。
「これがあいつらのいう進化か、なんとも醜悪な事だ」
ゲッター線を進化の光と呼び、進化を求め続けるアインスト。その進化の果てがホワイトスターにアインストとインベーダー細胞が張り付き、悪魔のような翼と申し訳程度の頭と尻尾を得ただけの姿。
【ォ、オアアアアアアアオオオオオオオッ!?!?】
言語能力も失い、ただ本能のままに咆哮を上げ、暴れ回るその姿は到底進化をしたようには見えない物だった。だが巨大建造物であるホワイトスターを取り込んだノイ……いや、シュテルン・レジセイアに進化した事で40kmを超える巨大な異形へと至ったシュテルン・レジセイヤを前にしては流石のカーウァイ達も言葉を失うのだった……。
第266話 次元の狭間 その8へ続く
インパクトで出たノイ・レジセイアからシュテルン・レジセイアに進化した所で教導隊サイドのその1は終了。少し短いですが、区切りが良いのでここで切りたいと思います。次回はシュテルン・レジセイア討伐まで書いて行こうと思いますので、次回の更新もどうかよろしくお願いします。
視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか
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サイドまたは視点は必要
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今のままで良い