進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第47話 暴走ゲッターロボ! その5

第47話 暴走ゲッターロボ! その5

 

地響きを立てて着地するゲッター3。そのカメラアイには柔らかな緑の光が灯っている、先ほどまでの冷酷な光ではなく、柔らかい光に元に戻ったのかと言う期待がリュウセイ達の頭を過ぎる。

 

『すまねえ、迷惑を掛けた。だけど、もう大丈夫だ』

 

武蔵の言葉にリュウセイとライは安堵の溜め息を吐き、機能停止したR-1とパワードパーツを失ったR-2が膝をつく

 

「武蔵、いままで休んでたんだ。後は頼むぜ」

 

「俺もリュウセイももう限界だからな」

 

機能停止したR-1達を庇うようにゲッター3が前に出る、ゲッター3も損傷している。だがそれ以上にエネルギーが満ちていた。それにより多少の損傷などお構いなしに戦うことが出来ると武蔵は判断を下していた。

 

「おう、ゆっくり休んでくれ。イングラムは……」

 

フーレから再び出現したゼカリアやハバククの背後に佇むR-GUN。損傷こそしているが、その姿にダメージを受けている素振りは無く。まだ戦えると言うのが如実に現れていた

 

「捕まえて、コックピットから引きずり出してアヤさんに謝らせてやるよ」

 

「ふ、ふふふふッ!! やってみるがいい。だが、今のお前達にそれだけの余裕があるかな?」

 

ゲッターの暴走によってハガネ及びヒリュウ改のPT隊は少なく無いダメージを受けている、それに加えてゼカリアやハバククを盾にし、損害を抑えに抑えたのだが、ゲッターの攻撃の余波でこの地にいる機体ダメージは蓄積している。だが武蔵はイングラムの挑発するような言葉に笑い返し

 

「3人揃ったゲッターロボの力を見せてやるぜッ!! 行くぜ! ゼンガーさんっ! エルザムさんッ!!!」

 

ゲッター3のカメラアイが力強く輝きゼカリアとハバククの群れの中に砂煙を上げながら突っ込んでいく

 

「……キョウスケ。ボスが乗ってるってマジ?」

 

「……正直信じられん」

 

ハガネに搭載されていたゲッターロボシミュレーター。それを試したキョウスケ達だから判る、ゲッターロボは殺人マシンだ。いかにゼンガーとエルザムと言う元教導隊メンバーであっても厳しい……そう思っていたのだが

 

「おらおらおらおらーーーーーッ!!」

 

ゼカリアを両手に掴み、ゼカリアを鈍器にしてゼカリアやハバククを文字通り叩き潰しているゲッター3。暴走していた時のような瞬間移動や、残像だけを残す高速移動はしてこないがむしろ今のゲッターロボのほうが脅威のようにキョウスケには見えていた

 

「オープンゲットッ! ゼンガーさんッ!」

 

だがやはり単機で敵のど真ん中に突撃すれば囲まれるのは必須。ハバクク達の一斉攻撃が放たれた瞬間ゲッター3が爆ぜ、集中砲火を躱す。

 

「応ッ! チェンジッ! ゲッター1ッ!!!」

 

ゲッターから響いたゼンガーの声、地響きを立てて着地するゲッターを見てキョウスケはアルトアイゼンのコックピットで苦笑する。本当にゲッターロボにゼンガーが乗っているとは想像もしていなかったが、暴走している時よりも遥かに動きが良くなったゲッターロボ。それにゼカリア達が殺到し、キョウスケ達の方には一切動いてこない、それだけゲッターロボを脅威と見ている証だろう。

 

「全機、今のうちにハガネへと帰還する。俺とエクセレンで殿を務める、順番に後退して行け」

 

ゲッターの暴走で全員が少なくない精神疲労と、凄まじいエネルギーと弾薬を消費している。無論アルトアイゼンとヴァイスリッターも条件は同じだが、キョウスケはゲッター……いや、武蔵を見極める為に殿を務めることにしたのだ

 

「キョウスケ。ここで残るって結構リスクがあるんだけど」

 

「嫌なら、先に撤退してくれてもいいぞ」

 

キョウスケの言葉にエクセレンは冗談きついわねと笑う。この場でパートナーであるキョウスケを残し、撤退するという選択肢はエクセレンには無かった

 

「!?」

 

「やれやれ、完全にゲッターだけではないか」

 

ビルの影から姿を見せたゼカリアにリボルビングステークを叩き込み破壊し、最後のカートリッジを装填する。

 

「ゲッターロボ……か、あれ本当にただの特機だと思う?」

 

「そう思いたいがな……」

 

エネルギーが形を作り暴れ回る。機体が危険なのか、それともエネルギーが危険なのか……政府がゲッターロボを危険視した理由。最初は冤罪や、何か政府にとって都合の悪い何かを知っていると思っていた……だが現実はそうではなかった。実際にゲッターロボは危険な特機だった、下手をすればハガネとヒリュウ改でも止める事が出来ないほどに強力な存在だった

 

(……それにさっきの視線だ)

 

暴走……それはきっと見ていた全員が思っていただろう。だがあの時のゲッターには目があった、そしてその目は何かを見定めるように、せわしなく動いていた。R-1やヒュッケバインMK-Ⅱ等も見ていたが、ゲッターが注視していたのはアルトアイゼンとヴァイスリッターだった。動きを止めた時ゲッターの目はキョウスケとエクセレンを観察するように、その視線を向けていたのだ。

 

「ぬんっ!!!」

 

ゼンガーが操るゲッターに先ほどまでの異常な力は見られない……その手にした斧でゼカリアを引き裂き、両断し、その質量で文字通り叩き潰し、その拳と足で有無を言わさず破壊していく。それは純粋に特機としての力、だがその凄まじさはキョウスケの知る全ての特機を超えていた

 

(……お前は何を見ていた)

 

今は何も感じられないゲッターロボ、だがキョウスケには確信があった。自分とエクセレンを見ていたと……自分とエクセレンに何があるというのか、あのゲッターの視線を思い出しキョウスケは戦闘中でありながらも思考の海に沈んでいた。

 

「キョウスケ、後は私達だけみたいよ」

 

「……判った。俺達も1度帰還するぞ」

 

戦いに参加するにはエネルギーも弾薬も何もかも足りない、ゲッターロボがゼカリア達を引きつけている光景を見ながらキョウスケとエクセレンもヒリュウ改へと撤退していくのだった……

 

 

 

 

ビルの上に佇むボロボロの白衣を身に纏った大男と小柄な男はゼカリア達と戦っているゲッターロボを見て、小さく溜め息を吐いていた。

 

「どうやら間に合わなかったようだね」

 

「そ、そうだね。残念だけど、間に合わなかったようだ」

 

異常なゲッター線の増幅を感じ、北京まで慌てて来たコーウェンとスティンガーだが、到着してみれば既にゲッターのゲッター線増加現象は終わり、僅かな残滓が残るに留まっていた

 

「しかし新西暦の人間にもゲッター線に適合する者がいたか、いや、それとも強化スーツか……スティンガー君。君はどっちだと思う?」

 

「そ、そうだね。出来れば適合したと考えたいけれど……その割にはゲッターの出力は低くないかい?」

 

ゲッター2へとチェンジしたゲッターロボ。高速で動き回り、ゼカリアやハバククを破壊している姿は確かに圧倒的だ。だが神隼人と言うゲッターパイロットを知っているコーウェンとスティンガーからしてみれば、それは決して完璧にゲッターの性能を引き出しているとは言えない

 

「ふむ……ゲッターに振り回されている。私はそう見るが、ライガーのパイロットとしてはどう見えるね?」

 

「ろ、論外だよ。直線的な加速を組み合わせてはいるが、0か100しかない。動きの緩急をつける事こそがゲッター2やライガーの真髄だよ」

 

なるほどとスティンガーの分析にコーウェンは相槌を打つ。試作のゲッターロボを製作している時に早乙女がイーグル、スティンガーがジャガー、そしてコーウェン自身はベアー号を受け持っていた。

 

「まぁこれは嬉しい誤算と考えようじゃないか」

 

「そ、そうだけど、やはり浅間山の地下は残念だった」

 

「ああ。実に残念だったよ……一手遅れていたねえ」

 

2人がゲッター線を感知して北京に来たのは、2人が日本にいたからこそだ。本来の拠点としているアメリカではなく、日本にいたからこそ暴走が収まる前後で北京に訪れることになった。ただし、2人にとっての誤算は暴走中に間に合わなかったことだ。間に合えば暴走したゲッターを篝火にすることが出来たが、暴走が終わってしまえばそれも叶わない

 

「僅かでもゲッター線が残ってないかと思ったのが間違いだったね、君の忠告を聞くべきだったよ」

 

「さ、早乙女研究所だ。それを思うのは仕方ないさ」

 

武蔵達が新ゲッターを持ち出した後に破壊された早乙女研究所。そこに僅かでもゲッター線が残ってないかと思い、廃棄されたゲッターロボの残骸を調べていたコーウェンとスティンガー……だがそれは全くの無駄足だった。

 

「し、しかし、あのプロトゲッターのゲッター線は何処に消えたのだろうね」

 

「そう、そこだね。100機近いプロトゲッターのゲッター炉心、その全てが空になっているとは考えられない」

 

ゲッター炉心は自動的にゲッター線を蓄える機能がある。廃棄されていてもその機能までが死んでいるとは考えられない、では溜め込んでいたゲッター線が何処へ消えたのかが謎だった。

 

「破壊された早乙女研究所には戦闘の痕跡があった。あそこには何かがいたんだ」

 

「で、でも同胞ではない。だが、ゲッターを敵視する何かがいた」

 

同胞の存在を感知していれば、武蔵達が向かうよりも先に2人は地下に潜りゲッター線を吸収しつくしていただろう。だが気付けなかった……それはゲッターを敵視している何かが存在し、それと武蔵達が交戦したと言う証になる

 

「さてさて、それが何かはもう判らないから良いとして、問題は消えたゲッター線だ。スティンガー君、僕は武蔵のゲッターのゲッター炉心に宿ってしまったと考えているのだが、君はどう思う?」

 

「う、うーん、その可能性はきわめて高いと思うよ。だけど、旧ゲッターの炉心がそれだけのゲッター線を受け入れる事が出来るだろうか?」

 

「確かに……では炉心を積み替えたというのはどうだろうか?」

 

「いや、あれだけのゲッターのゲッター線を蓄えるには真ゲッタークラスの炉心で無ければ無理だよ」

 

武蔵のゲッターロボがパワーアップしているのは認める。だが、サイズは変わっていないとなると真ゲッターの炉心を組み込まれているとは考えにくい、旧ゲッターロボだと思っていたのだが別のゲッターロボだったのだろうかと2人は考えを巡らせる。

 

「ふーむ、判らないねえ」

 

「う、うん。判らないねえ……」

 

何故武蔵のゲッターがここまでパワーアップしたのか、そして早乙女研究所に眠っていたプロトゲッターのゲッター線は何処に消えてしまったのか……

 

「篝火にするほどのパワーアップなら話が早いんだけどね」

 

「ま、まだゲッターロボGクラスのパワーだ。これでは篝火にするには程遠い」

 

名残惜しそうにゲッターロボを見つめたコーウェンとスティンガーは踵を返す、これ以上ここにいても得る物は無い……いや、得る物はある

 

「あの異星人の機体持って帰ろうか?」

 

「い、いいねえ! 我々のゲッターを作るには資材が足りない。それにメタルビーストにする素体もいくつあっても足りないしねえ」

 

だが2人はただでは転ばない、一度は人間を甘く見て敗れた。だが二度目の今、人間もゲッターロボも侮ることは無い。万全に万全を期して今度こそ自らの宿願を成し遂げるのだ。

 

「急ごうか、そろそろ敵の勢いが収まって来ている」

 

「そ、そうだね。30機ずつくらい回収していこうか」

 

R-GUNとゲッター3が戦う中、コーウェンとスティンガーの影がありえないほどに伸び、影の中から現れた黄色の目玉がついた触手がゼカリアとハバククを飲み込んでいく

 

「見られてるねえ、どうする?あいつらも飲み込んでおこうか」

 

「は、ははは、思ってもないことを言う物じゃないよ。今の僕達じゃ、同胞を増やせないじゃないか。だから今は目的を達成して帰ろうよ」

 

ハガネ、ヒリュウ改、そしてクロガネからの敵意を感じながら、2人はゼカリアの残骸達を吸収していく。その顔には笑みが浮かんでおり、自分達はPTなんていうゲッターロボの出来損ないには負けないと言う絶対の自信と共に、ハガネ達のブリッジに向かって手を振るのだった……

 

 

 

 

ベアー号のコックピットで武蔵は奇妙な違和感を感じていた。R-GUN……イングラムが地球を脅かす異星人側の人間だった。と言う割には攻撃が甘いのだ、言い換えるのならば……殺意が足りない

 

(お前もそう思うだろう、兄弟)

 

ゲッターの出力は1人乗りよりも上がっている、だが一定以上には上がらない。それはまるで、自分にイングラムを殺すなと訴えかけているような気がする

 

「何を迷っている、武蔵。俺は敵だぞ?」

 

「敵が俺は敵だなんて馬鹿みたいなことを言うんだなあって思ってなッ!!!」

 

ゲッターパンチをR-GUNに叩き込むが何かに邪魔され、クリーンヒットの手応えではない。R-GUN自身が後方に飛んだのもあると思うが……R-GUNにはバリアがあるのだろうかと武蔵は考えを巡らせる。

 

『ヴァルシオンやグランゾンほどではないが、バリアを常時展開しているようだ』

 

エルザムに問いかけるとバリアが展開されていると返事が来る。気合を入れてぶん殴る、これが一番早いのだがイングラムを殺す訳には行かない

 

「ふふふ、どうした? 俺が憎くないのか?」

 

「正直なんとも言えないんだよなあ」

 

この挑発するような言葉がどうしても武蔵に引っ掛かりを与えていた。それにゼカリア達がキョウスケ達がこちら側に来るのを阻んでいるが、それにも妙な違和感を感じている。ゲッターロボは確かに強い、最強のスーパーロボットであることは間違いない。だが、やはり旧西暦の遺物なのだ。集中攻撃を受ければ、装甲も損傷するし、ダメージも蓄積する。それなのに後ろを取れるのに、背後から攻撃してこないのは明らかにおかしい

 

『武蔵、何を考えている?』

 

イーグル号からのゼンガーの声に武蔵は返答に悩み、そして通信ではなくオープンチャンネルで問いかけた

 

「なぁ? イングラムさんよ。あんた……操られてるんじゃないかい?」

 

「何を馬鹿な事を言い出すと思ったら、俺はお前達を騙していたに過ぎない」

 

R-GUNのツインマグナライフルを腕で防ぎながらゲッター3は間合いを詰めていく

 

「そこがおいらからするとまずおかしいんだよなあ。なんで裏切ってる人間がそんな事を態々丁寧に言うんだ?」

 

「リュウセイ達のような貴重なサンプルに激しい怒りを抱かせ、その力をより高める為にだ」

 

オープンチャンネルで会話を交す、武蔵とイングラム。だがその間もゲッター3とR-GUNの戦いは激しさを増していく、ビルが倒壊し、ゲッターの拳が道路を粉砕する。ビームライフルがビルを蒸発させ、ゲッターミサイルが大地を割る。だがそれは決して北京の住人が避難している地区には向けられていない、それが武蔵の予想を確信へと変えていた。

 

「その割には攻撃が手緩くないかい? オイラなら怒りを買うって言うなら1人か2人は殺す、絶対に殺す」

 

「ふふふ、なんだ随分と過激な事を言うのだな」

 

武蔵らしからぬ過激な言葉にハガネ、ヒリュウ改に沈黙が広がる。だが武蔵はお構いなしで言葉を投げかける

 

「恐竜帝国は人間側の知識を得る為に人間を解剖したり、コンピューターに繋げたりしていた。それこそ、手足……いや、胴体だって必要ない。頭だけあれば全て事足りるってあいつらは言ってた」

 

「それで、なんで俺が操られていると言う答えが出る?」

 

「技術が欲しいなら、機体を持って帰ればいい。特殊能力を調べたいなら、頭だけ生かせばいい。少なくとも恐竜帝国はそういうやり方をしていた」

 

「トカゲの化け物と一緒にして欲しくない物だな」

 

「そうだろうな、少なくとも、恐竜帝国よりも効率的な方法があるんだろうな。で、その上で聞くぜ。なんで殺そうとしない?」

 

執拗に何故殺そうとしないと問いかける武蔵。少なくとも武蔵はイングラムの攻撃に殺意がないのを感じ取っていた、長い間恐竜帝国と戦っていた武蔵は人の敵意や殺意を感じ取る能力が異常に発達していた。

 

「言っただろう? 特殊なサンプルを殺してどうする」

 

「全員が全員そうじゃないだろう? 少なくとも怒りを買うなら、殺した方が早い。オイラだって、リョウだって、隼人だって……友達を失ったし、住んでる街も失った。その上で聞くぜ、なんで戦艦を落とそうとしない? ミサイルを撃ち込まない?」

 

何故殺そうとしない? と繰り返し問いかける武蔵。いつの間にかR-GUNは後ろに後退し、ゲッター3に追詰められる形になっていた。

そしてその動きはキョウスケ達にも武蔵の問いかけが真実なのではと言う考えを持たせるには十分な動きだった

 

「まぁ詳しくはコックピットから引きずり出して、聞くことにするぜッ!!!」

 

「しまっ!?」

 

無意識に後退していたイングラムはビルの間に押し込まれ、ゲッターから逃げる道を完全に失っていた。高速で伸ばされたゲッターアームがR-GUNの胴体を掴み、自身の頭上に持ち上げる伸縮自在の両腕でR-GUNを締め上げる

 

「必殺! 大ッ! 雪ッ! 山ッ!!!」

 

伸ばされた腕が螺旋回転し、R-GUNを破壊しながら上へ、上へと運んでいく。真空の刃で切り裂かれ続けたR-GUNのカメラアイから光が消え、その腕が完全に脱力する

 

「おろ……ぐあっ!?」

 

R-GUNを叩きつけようとした時、背後からの射撃で大雪山おろしが中断させられる。振り返ったゲッター3の視線の先には鎧騎士のような新型の姿があった。新型の狙撃でバランスを崩したゲッター3とR-GUNとの間にその新型が割り込みその手をRーGUNに向ける。

 

「迎えに来たわよ、イングラム」

 

「ご苦労……ぐっ……頭が……」

 

動力系統を破壊されたR-GUNを破棄し、イングラムは新型の手の上に乗った所で、頭を抑え糸が切れた人形のように新型の手の上で崩れ落ちた。意識を失う前の苦しむ姿に武蔵の言った操られている説がより、信憑性を増させていた

 

「逃がしちまった……か」

 

暴走していた時にゲッターに負担がかかっていた。その負担のせいで、大した攻撃でもないキャノン砲でゲッター3は完全に動きを止めてしまっていた

 

『武蔵君、無事かね』

 

「ご迷惑を掛けました。オイラは無事です」

 

ビアンからの通信に武蔵はベアー号の背もたれに背中を預けながら返事を返す

 

「ゼンガーさんとエルザムさんも大丈夫ですか?」

 

『俺は問題ない。この程度でどうこうなるほど柔な鍛え方はしていない』

 

『私の方も問題ない。武蔵君こそ大丈夫か?』

 

エルザムの気遣う言葉に武蔵は自分が意識を失っている時によほど心配を掛けたのだと理解し、再び謝罪の言葉を口にする。

 

『気にする事はない、武蔵君は子供なのだからもっと大人を頼ってくれ』

 

『……口にしなければ判らぬこともある』

 

自分よりも遥か年上の2人の言葉に武蔵は素直に判りましたと返事を返す

 

「ビアンさん、それでオイラ達はどうしますか?」

 

隠れている予定だったが、ビアンもゼンガーもエルザムも表舞台に出てきてしまった。このまま離脱するというのは明らかに無理がある

 

『ダイテツ・ミナセから話をしたいという要請が入っている』

 

「正直少し気まずいですね」

 

タクラマカン砂漠での戦い、ジュネーブでの戦い、そして今北京での戦い。ハガネはともかく、ヒリュウ改の面子とは印象が悪いだろうなあと苦笑し、ゲッター3は1度クロガネへと帰還するのだった……だが武蔵は知る由もない、この戦いの間にハガネのクルーの1人がイングラムによって連れ去られていると言うことに……

 

 

 

 

 

エアロゲイターの侵攻を防いだが、与えられた被害は決して軽微ではない。あると思われていた人型機動兵器、そして空間転移による絶え間ない敵の増援……連邦軍の中でも戦力に秀でているハガネとヒリュウ改でも苦しい戦いになるのは明らかだ。

 

「艦長、本当にビアン・ゾルダークと話をするのですか?」

 

「中尉は反対か?」

 

ダイテツの問いかけにテツヤは正直判りませんと返事を返した。ビアン自身が地球圏のことを思っていることは明らか、だがDCは結局暴走し、そして凄まじい非道を行った。それがどうしてもテツヤには引っかかってしまう

 

「イングラム少佐が敵に回った以上、ワシ達に手段を選んでいる余裕はない。それにEOTについて最も詳しいのはビアンだ、彼と協力す

る事は決して無駄ではない。これはレイカーも認めている」

 

可能ならばオペレーションSRWにゲッターロボとクロガネの参加はさせたいとレイカーもダイテツも考えていた

 

「それに、あの人影のことを忘れるな」

 

「……あれもエアロゲイターだったのでしょうか」

 

戦闘中に突然現れた2人組。触手を操りエアロゲイターの人型を回収して行ったあの2人組。姿は人間だが、あの触手はどう見ても2人から生えていた。人型の異星人……あれがエアロゲイターの本性なのか、それとも全く異なる異星人なのかは不明だ。

 

「クスハ曹長が着艦しておりません」

 

エイタからの報告にダイテツもテツヤも顔を顰めた。……あれだけの乱戦だ、その乱戦にまぎれてクスハとグルンガスト弐式が連れ去られてしまったと言う事実に今更ながらに気づいてしまった

 

「リュウセイ少尉達は?」

 

「現在医療室で治療中です。恐らく意識を取り戻すのは数時間後かと……」

 

エイタからの報告にダイテツは頭を悩まさせる。今回は敵を退けることが出来た、だがこちらに与えられた損害が余りに大きすぎる

 

「ヒリュウ改とクロガネに入電、ランデブーポイントを沖縄沖の無人島A-X地点に指定、伊豆基地に帰還する前に会談を行う」

 

やはりビアンとの話し合いは必須だ。今の連邦にはエアロゲイターの情報は何もない、行動を共にするのは表立っては難しいとしてもビアンと武蔵の協力を得ることは必須だ。ダイテツはそう判断し、クロガネとヒリュウ改に入電する事を命じ艦長席に深く背中を預ける

 

(苦しい戦いになる)

 

制空権は完全にエアロゲイターに奪われ、そして敵戦力はこちらよりも遥かに強大で、そして膨大だ。戦力差、そしてその戦力の純度の高さを見せつけられた形になったが、それでもダイテツの闘志は折れない。地球を護ると言う強い意思……連邦とDCと言う形で袂をわかったが、それでも目指す所は同じ。ならば再び手を取り合うことは不可能ではないのだから……

 

 

 

第48話 これからへ続く

 

 




イングラムが武蔵の言葉に揺らぎ、原作通りクスハは拉致となりました。次回の仮面の下にある顔の前にインターバルを入れて、仮面の下にある顔や、偽りの影などの話に入っていこうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
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