第4話 ゲッターロボ
ゲッターの運転テスト当日。武蔵は自分にとってのパイロットスーツでビアンの研究室を訪れていた。
「……それで良いのかね?パイロットスーツならこちらでも用意しているのだが……」
思わずビアンが困惑したのも無理は無い。長靴に膝丈の半ズボンに剣道の胴、マントを羽織り頭には黄色のヘルメットに水中ゴーグル。そしてしまいには日本刀を背中から背負うと言う個性的……と言う言葉では片付けられない服装をしていた。
「オイラはこれが一番落ち着くんですよ」
笑いながら言われてはビアンも何も言えず、そうかと言う事しか出来なかった。本人が良いのなら黙っておくことも大事だからだ
「私のほうで分析してみたのだが、ゲッターは戦闘機に分離できると考えているのだがどうかね?」
ビアンが分析した結果なのだが、ゲッターには3つのコックピットがあり、戦闘機の姿とゲッターロボの姿があるのだろうと尋ねる
「戦闘機にはなりますけど、ゲッターは空戦の1、地上戦の2、水中戦の3に合体しますよ?」
「何ッ!?そうなのかッ!?」
まさかのビアンも3形態に変形合体するとは想像しておらず声を荒げる。それと同時にゲッターを作成したと言う早乙女博士の頭脳にも驚かされた
「とりあえずゲットマシンで出撃して、ゲッター1にチェンジして様子を見たいと思うんですけど、良いですか?」
「ああ、それで構わない。データ取りも難しいので今回は空戦使用のゲッターにだけ合体して貰えるとありがたいね」
未知のテクノロジーであるのでそれを分析すると言う目的もあるが、余り多くの情報を出されても困るので空戦のみに制限してくれとビアンは武蔵へと頼むのと同時に今のゲッターの状態を説明する
「ジャガー号と言うマシンの炉心だが、ゲッターロボが落ちてきた場所に破片が落ちていたのでそれを回収した。イーグル号、ベアー号の炉心の構造を分析して修理した物を搭載している。ただ材質などの問題もあり、プラズマジェネレーターを炉心と機体の接合部に増設している、炉心のパワーが一定状になれば取り外す必要があるが、補助動力としては十分だろう」
ゲッターの腕と炉心。それはゲッターが落下してきた部分に破損こそしているが殆ど原型を残していた。ビアンはそれを細心の注意を払って回収し、修理し改良した。そうでなければビアンであったとしても1週間でゲッターを元の姿に戻すのは不可能だっただろう。ただ1つ気がかりなのが、腕も炉心もまるでビアンに回収させるのが目的だったとでも言うのだろうか、ゲッターの損傷と比べて軽すぎる破損に違和感を覚えていたが、ビアンはそれを口にする事は無かった。
「あーそっか、あ、でもそれだと腹部のレンズは?」
敵の攻撃で腹に風穴が開いていた。それはゲッター1の生命線であり、最大の武器であるゲッタービームの発射口に近かった。レンズは大丈夫ですか?と武蔵が尋ねる
「レンズは奇跡的に無事だった。だが発射装置などは破損していてね、できる限りの修復は施したが……本来の威力を引き出せているかは判らない」
ビアンの頭脳を持ってしても、ゲッターの中枢を理解することは出来なかった。ビアンに出来たのは、千切れている配線を繋ぎなおし、スキャンを行い。部品の複製をし、それを元の場所にはめ込むだけだった。不安要素はあるとビアンは告げる、だが武蔵はありがとうございますと笑う
「自分でも判ってます。ゲッターはボロボロでしたから、それをここまで修理してくれたことには感謝しかありません。でも出来れば武装の確認とかもしたいんですけど、大丈夫ですか?」
「ああ。それに関してはターゲットドローンを射出する。それを相手にテストしてくれれば良い」
「判りました、じゃあえっとゲッターを分離させますね。飛行機の発射台とかありますか?」
その言葉にビアンは笑みを浮かべる。地下の格納庫に収納する為特殊なエレベーターを使用したが、極秘機密もあるためそのエレベーターを使いたくなかった。だがゲッターが戦闘機に分離出来るなら通常の発射基地から射出出来るし、運搬用のトラックも使える。むしろ、其方の方がビアンにとっても都合が良かった
「勿論発射用のカタパルトもあるから心配することは無い」
ビアンの言葉に頷き格納庫に下りていく武蔵。その姿を見送りながらビアンはゲッターを見上げる……この無骨な姿にどれだけの科学技術が結集されているのか、同じ研究者として早乙女博士を恐れるのと同時に、その頭脳にビアンは敬意すら払い始めていた。
アイドネウス島。軍事演習場には沢山の軍人の姿があった、それもそのはず。ここ数週間軍人でも無いのに、基地施設をうろついていた武蔵がパイロットを務める機体の試験を聞けば、味方の能力を確かめようと集まるのは当然の事だったが……
「ふああああ……あー眠ぃ。あんでこんな朝っぱらから呼び出されないといけねえんだ」
黒髪で肥満系の青年が不機嫌そうに呟く、青年の名は「テンザン・ナカジマ」。民間人で、バーニングPTと言うゲームのプレイヤーだった。だがバーニングPTの規格はPTと全く同じであり、ゲームと称してPTを操縦できる人間を集めると言う、軍事計画の下優秀な成績を収めていた男だ
「テンザン。文句があるのなら失せろ、目障りだ」
「ほっ、言ってくれるねぇ。ロートルが」
「戦争をゲームと思っている小僧が」
そんなテンザンを睨みつける男性の名は「テンペスト・ホーカー」エルザムと同じく、元特殊戦技教導隊の一員であり。今はEOTI機関に所属する軍人だった。2人の間に険悪な空気が満ちようとしたその時
「テンペスト少佐もテンザンも止めるんだ。もうじき試作機のテストが始まるんだぞ」
エルザムが仲介に入り、テンペストはすまなかったと頭を下げ、テンザンは白けるぜと言って椅子に深く腰掛ける。そんな2人の姿にエルザムは苦笑しながら2人の間に腰掛ける
「それでエルザム。試作機と聞いているが、どんな機体なのだ?連邦軍との戦争で役立つのか?」
軍人であるが故にパイロットよりも機体性能が気になるテンペストの質問。だがエルザムもそこまで把握している訳ではなく、機体性能に関しては殆ど判らないという状況だった
「機体名はゲッターロボ。40m級の特機です」
40m級の言葉にテンペストもテンザンも驚きの声を上げる。主流となっているPTやAMのサイズが20m前後なので40m級と言えば倍近いサイズの差があるからだ
「40m級か……となると超闘士と名高いグルンガストと同等のサイズとなるか」
グルンガスト……テスラ・ライヒ研究所が開発したスーパーロボット。それがグルンガストである、ありとあらゆる状況に対応するため3つの形態を持ち、更に当時で最高の技術を用いられた文字通りのスーパーロボットである。
「へへ、良いねえ。正にスーパーロボットってやつじゃねえか……なぁエルザム少佐。そのテストパイロットが駄目なら俺にも乗せてくれよ」
「それを決めるのは私では無い、ビアン総帥と武蔵君だ」
テンザンの言葉を両断しエルザムが視線を前方に向ける。そんな姿にテンザンは気取っちゃってと悪態を打つが、ビアンが姿を見せた事で試験が始まると理解し黙り込む
「朝早くから集まってくれて感謝する。これより、我が友人が作り上げた特機の試運転を始める。武蔵君、始めてくれ」
ビアンの始めてくれと言う言葉と同時に空に3つの戦闘機が舞い上がる、赤、白、黄色のカラフルな機体だ。だが空を飛んでいるから辛うじて戦闘機として認識出来たが、その姿はとても戦闘機とは程遠い姿をしていた。主翼は無く、申し訳ない程度の尾翼、それを高出力のエンジンで無理矢理飛ばす姿は戦闘機ではなく、ロケットやミサイルにしか見えない
「おいおい、エルザム少佐。40m級の特機じゃないのか?あれはどう見てもロケットかなんかだぞ?」
「黙っていろテンザン。エルザム、あれはコックピットブロックか何かなのか?」
テンペストにそう質問されるが、エルザムが知っているのはゲッター1の姿であり。戦闘機が姿を見せるなんて思っても無かったので困惑するしかない
「いや、私が見た時は40m級の特機だったのだが……」
流石のエルザムも普段のはっきりとした口調をどもらせる。まさかゲッターが戦闘機に分離するなんてエルザムの眼力を持ってしても見抜ける訳が無かった
「武蔵君。飛行の感じはどうかな?」
『今の所問題ないです、ではそろそろ次の段階に入ります』
次の段階の言葉に全員の視線が空を舞うゲットマシンに向けられたその時。ゲットマシンは急に機首を空に向け上昇していく
『チェーンジッ!!!ゲッター1ッ!!!』
力強い武蔵の叫びがアイドネウス島の上空に響き渡る。全員が見ている中でジャガー号とベアー号が追突する。空中衝突を想像したエルザム達だが、ジャガー号もベアー号も爆発は愚か、破壊されることも無く全員の見ている中で変形していく
「なんと……」
「まじかッ!?すげえッ!!!」
テンペストの驚愕の声とテンザンの興奮した声、そして目を見開くエルザム達の目の前でジャガー号から腕の骨組みが姿を見せ、自動で展開される装甲版によって瞬く間に骨組みは巨大な腕へと変形し、ベアー号のミサイル発射部が伸びるように足へと変形する。そして頭部へと変形したイーグル号が胴体と合体し、3つの戦闘機はエルザム達の見ている前で巨大な特機へと合体し、地響きを立ててアイドネウス島に着地する
「合体は成功したようだな。武蔵君、調子はどうだ?……武蔵君?」
何度か呼びかけるが武蔵からの返答は無い、ビアンが4回目の問いかけで
『あ、すいません。ちょっとゲッターのパワーの確認をしてました』
「パワーに何か問題でも?」
『いえ、大した問題じゃないですから、このまま試験を続行します』
ゲッターウィングと武蔵が叫ぶと、ゲッターの背中にはボロボロの赤いマントが現れる。そしてゲッターの40m近い巨体はマントを翻し天空へと舞い上がった
「あれだけの巨体が飛ぶのかッ……よほど高性能のテスラドライブを搭載しているのですか?ビアン総帥」
「いや、ゲッターロボはゲッター線と言う放射線で稼動している。その放射線によって重力を操作しての飛行だ。更にはまだ安定していないが、エネルギーが安定すれば無限動力になる可能性を秘めている」
無限動力……エネルギーが尽きないという言葉に試験場にざわめきが満ちる。エネルギーと機動兵器は切っても切れない関係だからだ。機体を動かすにも、武器を使うにもエネルギーは必須だが、無限動力となればその課題は一気に解決する。しかし、エルザムはエネルギーよりもゲッターの機動力に目を奪われていた。急旋回にバレルロール、重力に囚われないその自由な機動はリオンやガーリオンよりも遥かに自由度が高い物だった
『ビアンさん。ターゲットをお願いします』
「ああ。そうだな、今ターゲットドローンを射出する」
音を立ててゲッターに向かって射出されるターゲットドローン。合体、無限動力と言う言葉に引かれるが重要なのはゲッターの戦闘力だ。全員が見つめる中、ゲッターの肩から棒が射出される
『ゲッタートマホークッ!!!』
ゲッターが掴むとそれ刃が展開され巨大な戦斧となる。それを恐ろしい速度で振るいドローンを両断し、拳で打ち落とし、蹴りを叩き込み海へと蹴り飛ばす
「格闘戦と言うが、恐ろしいな」
機動兵器での格闘戦……だが良く考えて欲しい。機動兵器の腕部には手持ちの武器などを扱うための高度な制御装置が密集している、そんな部位を叩きつければ普通に考えればマニュピレーターがひしゃげてしまう。つまりPTやAMにとっての白兵戦の武器と言うのは極限まで相手に接近しての超精密射撃と同意儀だ。だがゲッターと呼ばれたロボは拳で相手を文字通り叩き潰している、それは従来の機動兵器から見ても異様な光景だった
「すっげえ!やっぱりロボットはあれだよなァ!でかくて、強い!やっぱり男なら1度はスーパーロボットに憧れるぜ!!」
だがテンザンはそんな専門的な知識などどうでも良く、目の前で暴れるゲッターに興奮していた
「武蔵君ドローンのパターンを変える。可能な範囲で良い、反応してみてくれるか?」
『了解です。どうぞ』
ビアンの言葉と同時に打ち出されているドローンのパターンが変わる。空中で曲がり、機動も不規則だ。あれに反応するのは高度な火器慣性システムが必要だと全員が思ったが、ゲッターの取った行動は予想にもしない光景だった
『トマホォォクッ!ブゥゥゥメランッ!!!!』
手にした斧を力任せに投げつけるという原始的な攻撃に絶句する。だが高速で迫る斧はドローンを引き裂き、ブーメランの叫びの通り弧を描いて戻って来て、それを掴んだゲッターはドローンを頭から両断する
「凄まじいな……あれだけの機動力に攻撃力……従来の特機を超えている」
テンペストが驚いたという様子で呟く、その自由度も反応速度も攻撃力も従来の物とは比べ物にならない。だが、エルザムの考えは違っていた
(あれで弱体化しているというのだから、フルパワーが想像できないな)
武蔵によればあれでもゲッターは弱体化しているらしいのだ。ゲッターは3人のパイロットが揃ってこそと、今単独操縦のゲッターは本来の能力の半分以下だと言う。しかもエネルギーも安定せず、予備として搭載していたプラズマジェネレーターとゲッター線で稼動している。つまり武蔵の知るゲッターとは比べるまでも無く弱体化しているのに、この力……敵に回る可能性が高いと知るエルザムは、1人冷や汗を流す
「武蔵君。ドローンの射出速度を上げても大丈夫かね?」
『全然大丈夫です。どうぞ!』
返答を受けてドローンが今までの倍以上の速度でゲッターに迫るが、空中で反転し降下しながらドローンの突撃をかわす。その姿は無骨で巨大なロボットとは思えないほど優雅な動きだった
『へっ!遅い遅いッ!!』
空中で更に反転したゲッターが両腕を突き出すと、腕部の装甲が展開し、そこからマシンガンが姿を見せる
「腕部内蔵兵器だと!?それであの耐久力……信じられん」
腕部の中にまさか武器が仕込まれているとは思っていなかったのか、見ていた全員が叫ぶ。中に武器を仕込めば当然耐久力は落ちる、だが今までの暴れようを見て、まさか腕に武器を仕込んでいるなんて誰も想像しなかったのだ
『オラオラオラオラアッ!!!』
そこから雨霰のように打ち出される銃弾はPTやAMでさえも一瞬で蜂の巣にするような弾幕の嵐。あれだけ撃てば狙いは中途半端でも、1発でも当たればそこから畳み込まれるのは明白だった。
1発でも当たればそこから畳み込まれるのは明白だった
『これでしまいだ!ゲッタァアアア、ビィイイイイムッ!!!!』
腹部が開き、そこから姿を見せたレンズからビームが打ち出される。飛行能力も高く、機動力もあり、攻撃力も高く、トドメの一撃まで使える。ゲッターが見せた動きはどれもテンペストやエルザムから見ても素晴らしい物だったが、ビームの撃ち終わりと同時にゲッターの目から光が消え、頭から落下する
『や、やべえええ!!オープンゲーットッ!!!』
地面に叩きつけられる前に、ゲッターの巨体は3つの戦闘機に分かれ不時着する
「武蔵君!なにがあった!?」
『いやあすいません。炉心のパワーが急に落ちてしまって……ゲッタービームをフルパワーで撃つと多分、エネルギー切れを起こしますよ。もし使うならもっと威力を絞らないと』
「機体の不備なのだね、すぐに迎えを寄越す。そのままゲッターのコックピットで待っていて欲しい」
ビアンは早口で試運転は終わりだと言って演習場を後にする。ビアンが退出したことで見ていた軍人達は興奮した様子で喋りだす
「凄いな、武蔵君がテストパイロットと聞いていたが、あれだけのロボットならばビアン総帥もエルザム少佐も気に掛けるのも納得だ」
「しかしエネルギーに問題があるようだ。まぁビームが無くても、あれだけの戦闘能力を持つなら問題は無いと思うが」
テンペストとテンザンもゲッターの事を見て興奮した面持ちだった
「素晴らしい特機だ。もし叶うのならば私もパイロットにして欲しい物だ」
「戦闘機が3つなら、俺だって乗れるだろッ!ビアン総帥もちゃんと実力を見てパイロットを選んで欲しいぜ」
3つの戦闘機が合体し、そしてゲッターになったのは全員が見ていた。パイロットは武蔵1人ならば、あと2機のパイロットは自分達から選ばれるかもしれないと話している軍人の中、エルザムは席を立ち演習場を後にした。
地下格納庫に向かったエルザムを待っていたのは困り果てた表情の武蔵とビアンの姿だった
「ビアン総帥。武蔵君、何か問題があったのですか?」
エルザムの声に振り返った武蔵は頭をかきながら
「炉心のパワーが全然安定しないんですよ。分離して合体した時もかなり不安定で……普通に動く分なら問題ないと思うんですけど、エネルギーを使う武器を使うとガス欠を起こすと思うんです」
「プラズマジェネレーターのエネルギー供給ではまともに稼動しない。ゲッターは高性能だが、その分かなりのエネルギーを使うようだ」
サブ動力として組み込んだプラズマジェネレーターでは、焼け石に水程度の効果しかないと聞いてエルザムは驚く。プラズマジェネレーターはPTを起動させる上では十分な出力を持っているからだ。
「ではゲッターは今のままでは戦力として安定しないと言う事ですか?」
「そうなるな。少なくとも全力戦闘は不可能だ、武蔵君どうする?君さえ良ければ私の方でリミッターを設置も出来るが」
敵に回るからリミッターをつけようとしているのでは無い。武蔵が知っているゲッターの感覚で操縦するとガス欠を起こす可能性が高い、だからこそリミッターを取り付けるか?とビアンは提案する
「……お願い出来ますか?いままでの感覚で使いそうなので」
武蔵の話ならば武蔵はゲッターのパイロットとして、メカザウルスと戦い続けていた。だからエネルギー配分などは上手いはずだが、それを加味しても今のゲッターはエネルギーが不足しているのだ
「とりあえずゲッタービームは封印するしかあるまい」
「トホホ……さっき操縦した時もエネルギーが不足してたけど、まさかビーム一発でガス欠するなんてなあ……」
ゲッターにリミッターが掛けられる。それを聞いてエルザムは内心で喜んでいた。武蔵が敵に回った時、殺さないで済むかもしれないという可能性が浮上したからだ
「そう気に病む事は無いさ。今回の試験でもゲッターは十分な性能を見せてくれた、これならば君の安全も確保される」
「そうですかね……はぁ」
ゲッターが思うように動かないと言う事に深い溜息を吐く武蔵の肩を叩き、エルザムは笑う
「大丈夫だ。それに朝が早くて食事もしてないだろう?まずは食事でもして気分転換をするといい」
「そうですねーそう言われるとオイラ、腹ペコだ。食堂に行っても良いですか?」
ビアンに了承を求める武蔵。ビアンは穏やかに笑いながら
「勿論だ。朝早くから悪かったね、お疲れ様」
ビアンの了承を得て格納庫を出て行く武蔵とエルザム。2人の姿が見えなくなるとビアンの表情は鋭い物になる
「……エネルギーは十分とは言えないが、しっかりと蓄えられていたはず」
武蔵には言っていないが、ビアンは既にビームの出力にリミッターを掛けていた。これでビームを撃ってもガス欠するはずが無かったのにも関わらず、現にゲッターはエネルギーを枯渇……いや、エネルギーが十分だったのにその機能を停止させた
「ゲッター線……か」
ビアンの頭脳を持ってしても理解出来ない未知のエネルギー。何か、自分でも理解出来ない……ゲッターの意志と言うべき物が今回の結果を齎していたのではとビアンは考えていた
「……ふっ、エネルギーに意志があるなどと――私も疲れているな」
ビアンはそう苦笑し踵を返した。南極での会談を2日後に控えたビアンは様々な準備もあるため地下格納庫を後にしたのだ……だがビアンは知る由も無かった。誰もいないはずの格納庫に突如翡翠色の輝きに満ちたことを……――ビアンも、武蔵も、知るよしはない事が地下格納庫で起きているのだった……
『ふっ、武蔵か。こんな可能性もあるとはな……このワシを持ってしても予想にもしなかったぞ』
そして突如浮かび上がるように下駄を履き白衣を纏った老人の姿が現れた事を……
『ゲッターよ、死者であるワシと武蔵に何をさせるつもりだ?』
ここに武蔵がいたのならば叫んだであろう。早乙女博士と……だがここに早乙女博士を知る者はいない、そして早乙女博士の問いかけに答える者もまた居ない。周囲に満ちた翡翠色の輝き……ゲッター線を取り込むゲッターの輝きだけが、地下の格納庫を照らす
『ああ、判っている。判っているとも、治せと言うのだろう? やれやれ、年寄りをこき使いおって』
老人はそうぼやくがその表情は楽しそうで、ゲッターの中に吸収されるように消えていくのだった……
ゲッターロボ ゲッター線 早乙女博士 巴武蔵……そして恐竜帝国……
全ては――――の為にこの時代へと導かれたのであった
第5話 決断の時へ続く
はい、ここで早乙女博士(亡霊)の出現です。ゲッターは炉心が安定せず弱体化、エネルギーを使う武器が使用できないなどのハンデを背負っていますが、無敵のスーパーロボットであるゲッターならばビームなどが無くてもゲシュペンストやリオンには負けないと思います。次回は南極事件の後から初めて行こうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか
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サイドまたは視点は必要
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今のままで良い