進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第48話 これから

第48話 これから

 

北京でのエアロゲイターとの戦いを終えたハガネ、ヒリュウ改、そしてクロガネは沖縄近海の無人島にステルスシェードを展開し、揚陸していた。損傷度も凄まじく本来ならば今すぐにでも伊豆に帰還するべきだが、それではビアン達と話す事が出来ない。その為に隠れるようにして無人島に向かったのだ

 

「あれか……ゲッターロボ……じゃあ、ないな」

 

ハガネへと着艦したのはゲッターロボではなかった。だが明らかにゲッターの系譜を持つ機体だとロブは感じていた、だがジュネーブで見たドラゴンやライガーとは異なり、武蔵の乗るゲッターロボに似た姿をしたイーグル号がないゲッターロボがゆっくりとハガネの格納庫に着地する、エアロゲイターとの戦いで暴走したゲッターロボではないと言うことに僅かに安堵の溜め息が漏れるのが判る。自身もそうだ、ハガネのモニターに映されていたエネルギーに包まれ巨大化したゲッターロボ。その姿は暫く忘れることが出来そうにない

 

「大丈夫ですか?」

 

「ああ、問題ない」

 

武蔵に手を借りてジャガー号から壮年の男性が下りてくる……いや、男性等とは言うまい。死んだ筈のDCの総帥ビアン・ゾルダークの姿がそこにはあった……思う事がなかった訳ではない、1発殴るといき込んでいた整備兵もいた。だがそれを実行することはなかった……何故ならば……

 

「このくそ親父ッ!!!」

 

「ぐっ!?」

 

リューネが誰よりも早く駆け出し、その拳をビアンに叩き込んだからだ。その衝撃で数メートルは吹き飛んだが、それでもビアンは倒れる事無く自身に向かってくるリューネに視線を向ける

 

「すまなかったな、リューネ」

 

「……! 生きてるなら、生きてるくらい言えよッ!!」

 

「すまん……私には果たさねばならぬ責任があった」

 

「謝るなら最初から、戦争なんて始めるなよッ!!」

 

「……すまん」

 

リューネも正直自分の中で感情を持て余していた。父親が生きていたのは嬉しい、だが、戦争を始めた事に関しては怒りを覚えている。もう会えないと思っていたビアンに会えて、その感情が爆発してしまったのだろう

 

「ロブさん、すまねえ。暫くは2人だけにしてやってほしい」

 

「……っ! あ、ああすまない」

 

武蔵に肩を掴まれ我に帰ったロブは手を叩き、好奇心で見てみた整備兵達に移動を促す。

 

「久しぶりだな、武蔵」

 

「ですね、アイドネウス島で別れたのが随分と昔の事に思えますよ」

 

それだけ濃密な時間が過ぎていた、アードラーの暴走に、量産型ゲッターロボの存在……短い時間でも長い時間に感じるのは当然の事だ

 

「……あれ、回収したんですか?」

 

「ああ、何か判るかもしれないと思ったし、何よりも貴重なトロニウムだ。失うわけには行かない」

 

ゲッター3によって半壊したR-GUNが格納庫にあるのを見つけた武蔵は複雑そうな表情をする。

 

「もしかしてオイラのせいで変な事になってません?」

 

「正直そうだな、二分されてるよ」

 

武蔵がイングラムを問い詰め、そしてイングラムは動揺し、そして頭を抑え苦痛に耐える姿を見せた。それはイングラムが操られていると言う武蔵の話に信憑性を持たせるには十分だった

 

「何か根拠はあったのか?」

 

「……殺気と敵意をあんまり感じなかったってのが大きいですね」

 

殺気と敵意……根拠にするには余りに弱い。だが武蔵は自身の勘を信じ、そしてイングラムから僅かながらに情報を引き出すことに成功していた

 

「それよりもあれはゲッターロボでいいのか?」

 

「……多分ゲッターロボなんでしょうね」

 

「多分……なんだビアン博士が作り上げたのか?」

 

それならイーグル号が無いのも納得出来ると思いながら尋ねるロブ、だが武蔵は真剣な顔をして

 

「浅間山の地下に爬虫人類と鬼……そしてあのゲッターロボが眠っていたんですよ」

 

「……本当か?」

 

「詳しくはビアンさんが話をしてくれると思いますけど、未来に来ているのはオイラだけじゃないみたいなんです」

 

ゲッターロボ、武蔵、そして恐竜帝国と旧西暦から現れた存在は多い。だが、姿を見せていないだけで多くの存在がいるかもしれない……そう思うとロブは溜め息を吐きたくなった

 

「ブリット! 何でクスハを守ってやれなかったんだ!?」

 

「こっちだって敵機と戦うので精一杯だったんだ! お前がSRXの合体に成功していればこんなことには……!」

 

そして聞えてきたブリットとリュウセイの言い争う声が通路から響いてきて本当に溜め息を吐いた

 

「て、てめえっ!!」

 

「ぐっ…! じゃあ、お前だったらクスハを守れたと言うのか!?」

 

「な、何だと!?」

 

「お前はクスハの何なんだ!? ただの幼なじみか!? それとも恋人なのか!?」

 

「……!」

 

「あの子の本当の気持ちも知らないくせに……何もしてやれないくせに……偉そうな口を利くな!!」

 

いつの間にか愁嘆場になっているリュウセイとブリットの口論、そしてブリットが大きく拳を振りかぶりリュウセイに叩きつけようとした時

 

「悪いが、そこまでにしてやってくれるか?」

 

武蔵がリュウセイとブリットの間に割り込み、その拳を受け止める。同じく止めに入ろうとしていたジャーダが武蔵の顔を見て顔を輝かせる

 

「武蔵! 良く来てくれた、またいなくなっちまうのかと思ったぜ」

 

「ジャーダさんも元気そうで何よりです」

 

ブリットの拳を受け止めながら和やかに挨拶する武蔵だったが、ブリットの方に向き直り

 

「思うことはあると思うが、それで八つ当たりしてどうにかなるのか?」

 

「う、うるさいッ! お、お前だって! 北京で大暴れしていたじゃないか! そんな奴に言われることは何も無いッ!!!」

 

左拳を武蔵に向かって振るおうとしたブリットだったが、懐で回転した武蔵の背中の上に乗り上げ、そのまま通路に背中から叩きつけられる。流れるような一本背負いにブリットは苦痛で呻き声を上げる

 

「んなもん、オイラだって判ってる。少なくともオイラがぶち切れなければ、ゲッターが暴走しなければ、出来たこともあっただろうさ。だけどそれはたらればの話だ……ここで八つ当たりしてる暇があるんならどうやってクスハを取り戻すか考えた方がよっぽど有意義だとは思わないか?」

 

「だが! リュウセイ「だから八つ当たりするんじゃねえよ、それともなんだ。足腰立たなくなるまでぶん投げてやろうか?」

 

背負い投げの痛みを思い出したのか黙り込むブリットに武蔵はすまねえなと謝る。

 

「偉そうな事を言える立場じゃねえが、クスハを助けたいのは皆同じだ。仲間割れしてる場合じゃないだろ?」

 

「……すまない、リュウセイ」

 

「い、いや、俺こそ悪かった」

 

武蔵が仲裁に入った事で険悪だったブリットとリュウセイもぎこちないながらに謝罪をかわす

 

「む。まだこんな所にいたのか、武蔵君」

 

「……随分と殴られましたね」

 

「仕方あるまい、リューネはお転婆だからな」

 

「誰がお転婆だ、誰が」

 

リューネにぼこぼこにされたビアンがリューネと共に格納庫から歩いてくる。元とは言えDC総帥の登場にリュウセイ達の間に緊張が走るが、今はそれ所ではないと判っているのか視線を向けるだけに留まり、武蔵はビアンとリューネと共にハガネの艦長室に向かって歩き出すのだった

 

 

 

 

ハガネの艦長室にはダイテツとテツヤだけではない、レフィーナとショーンの姿もあった。ビアンそして武蔵との話し合いの場を設ける……確かにビアンはDCを結成し、戦争を始めたという戦犯ではある。だがその思いの根底には地球を護ると言う願いがあった……だからこそ、今回ダイテツ達はビアンとの話し合いに踏み切る事にしたのだ。だがしかしそれでも、警戒するのは当然の事であった、もっともそれでいてもビアンの存在が必要であることはダイテツ達全員が理解していたのだが

 

「こうして再び顔を見合わせることになるとはな、ビアン・ゾルダーク」

 

「……うむ、私もだ。こうして無様に生き延びることになるとは思ってなかったよ」

 

互いに苦笑しあうビアンとダイテツ。確かに敵同士であったが、今この状況においてはビアンは頼もしい味方だ

 

「ビアン博士、エアロゲイター側の人型兵器の情報はあるのですか?」

 

「勿論だ。連邦にはしっかりと分析データと解析データを渡しておいたのだが……その様子ではそのデータは手元にはないようだな」

 

やれやれという様子で肩を竦めるビアンは服の内ポケットからデータディスクを取り出す

 

「解析データと分析データだ。だがあの新型のデータはないぞ」

 

「新型……ゲッターロボを後ろから撃った機体ですね」

 

R-GUNを完全に破壊する前にゲッターを攻撃した騎士のような姿をした機体。今回は不意打ちで留まったが、それが強大な敵となるのは明らかだった

 

「ふむ。ではエアロゲイターは態々自分達のデータを渡し、対策を練られた機体を作らせ、そしてその上でイングラムが言うサンプルとしての回収を目的にしていると言う事ですか」

 

「確証はないが、恐らくエアロゲイターの星の人間はかなり少ないか、もしくは危機に瀕しているのではなかろうか」

 

「侵略しておいて危機に陥っているとは?」

 

テツヤの問いかけにビアンは自身の推測になると前置きしてから、そう考えている理由と根拠を説明し始めた

 

「まずだが、回収した機体にコックピットは無かった。つまりあれはパイロットが乗る前提ではないと言うことだ、次にソルジャーとファットマンも捕獲用の装備を搭載している点だ。敵を殺す目的ならば捕獲用のしかも人に使う前提の装備など搭載する必要は無い。そして最後にほぼ全てが無人機と言うこと、しかもあれだけ高度なAIを搭載出来るにも関わらず、武装の貧弱さが目立つ」

 

短い時間でこれだけの事を分析していたのかとダイテツ達は驚き、そしてやはりビアンの存在はエアロゲイターとの戦いに必須だと確信していた。

 

「加えて最後にホワイトスターだが、あれが本当に侵略兵器ならば地球は今頃火の海だ。恐らくアレは回収した機動兵器やパイロットを自分達の星に連れ帰る為の言うならば虫篭ではないかと私は考えている」

 

「いやはや、良く其処まで分析したと言うべきでしょうか?」

 

余りに細かく、そして敵の情勢までも推測しているビアンにショーンが苦笑を浮かべながら拍手をする。

 

「殺さない目的は判りましたが、しかし危機に陥っているとはどういうことでしょうか?」

 

「これは完全な憶測になるが、AI制御の機体と巨大な捕獲用のプラント、そしてイングラムか? 彼が頭を押さえ苦しそうに蹲っていた……これが私の考えを裏付けする証拠と考えているのだが、AI制御の機体とホワイトスターは恐らく複数存在する。そしてそれらは宇宙を漂い、そして有益な星にメテオを打ち込み、科学技術などを発展させ収穫する時にその星の人間を操り尖兵にすると言う事を自動的に行うようにプログラムされているのではないだろうか?」

 

ビアンの推測は余りに大胆な物だった、まさかあのホワイトスターが自動的に技術レベルを判断して、そしてその上でメテオを打ち込み技術を躍進させ、そして時期を見たら回収する等と誰もが思いつかないだろう

 

「そうなると我々は家畜と言う所ですか」

 

「出荷先は遠い銀河系の果てとなりますけどね」

 

侵略兵器ではなくまさかの回収する為の装置などとは誰も想像しない、そして更に其処にビアンは爆弾を投下する。

 

「銀河の果てに星があればいいがね。もしかするとエアロゲイターの星は既に滅んでいて、AIが勝手に行動していると言う可能性もゼロではないよ」

 

「笑えない話だな、侵略者ではなく、既に滅んだ星の遺物に襲われているとは」

 

あくまでの可能性の話だが、侵略者として打ち倒すことしか考えていなかったダイテツ達からすれば目から鱗の話だった。

 

「でもビアンさん、降伏勧告があったって言うじゃないですか? それはどうなんですか?」

 

「1人か2人はエアロゲイターの星の人間がいるのか、それとも攫われて洗脳されたのか、はたまた録音されていた音声か……考えられるのは主にこの3つだが、そんなにもありえない話だと思うかね?」

 

ビアンが上げた3つの可能性、その何れもありえる話だけに誰もが口を紡ぐことになった。

 

「ビアン博士、連邦はホワイトスター攻略戦に向けて行動しています。武蔵さんもそうですが、私達に協力してくれませんか?」

 

レフィーナがビアンと武蔵にそう頼み込む、だがそれに対してビアンの反応は渋い物だった

 

「何か大きな反抗作戦をしようとしていることは私も把握していたが、今は駄目だ。私とクロガネは少なくとも、この会談が終われば離脱する」

 

「……連邦の応援か」

 

連邦の応援が来る前に離脱したとは言え、それでも民間人の口に戸を立てることは出来ない誰かがクロガネの目撃情報を告げるだろう。そうなれば、追われる身。もし協力するとすれば、それはオペレーションSRWが実行されその後に発生するであろう混乱に紛れ込み参戦する事だろう。

 

「そう言えば、ゼンガー少佐達は?」

 

「……ゲッターの操縦で全身打撲と打ち身で医務室送りです」

 

武蔵の申し訳なさそうな言葉に艦長室に嫌な沈黙が満ちた

 

「えっと全身打撲? ゼンガー少佐がですか?」

 

「うむ、ゲッターロボはパイロットの安全性など一切考慮していないマシンだ。戦闘中は興奮していたから平気だったが、降りた瞬間に2人とも崩れ落ち、そのまま担架で運ばれて行ったよ」

 

ゼンガー達が来ない理由がまさか負傷による病室送りだった、しかも操縦するだけでその有様。ゲッターロボの脅威を改めて知ったダイテツだった

 

「ゲッターの暴走は理由があったのか?」

 

「はい、浅間山の地下の早乙女研究所から回収したゲッター炉心が原因でした」

 

「浅間山って、前の深夜の地震の震源地ですよね?」

 

「すんません、地下で鬼とゲッターロボで戦ってました」

 

鬼? 恐竜帝国ではなく、鬼……武蔵から告げられた言葉にダイテツ達の目が丸くなる

 

「私が会談に参加する事を決めたのはそれだ。これをみて欲しい、これは合成でもなんでもない。数日前に浅間山の地下で起きた戦いだ」

 

ビアンの差し出した記録データが艦長室に流され始める、まだこの会談は始まったばかりである……

 

 

 

 

 

早乙女研究所……武蔵が所属していたという研究所が浅間山の地下に埋まっていた、それは信じられない話だった。だがビアン、ゼンガー、エルザム、そして武蔵の4人による調査の映像データを見てダイテツ達はそれを信じざるしか得なかった。

 

「……あれが爬虫人類ですか、実際に見てみると中々気味が悪いですね」

 

「武蔵、あれがどれくらいの規模で襲って来てたんだ?」

 

「10000人単位ですかねえ、もう殆ど群れで頭を潰さないと何度でも復活するんですよ」

 

「……すいません、私ちょっと気持ち悪いです」

 

艦長室に流されるR-18G確定の映像にレフィーナが顔を青くさせて、気持ち悪いと挙手する。

 

「ふむ、では生身の戦いの部分は飛ばそうか、あくまで武蔵君が戦っていた相手の危険性を理解させる為に流しただけだからな」

 

ビアンがタブレットを操作して、映像を飛ばす。場面が切り替わり、映し出されたのは鬼の顔に手足がついたような醜悪な異形と戦う胴体と頭の無いゲッターロボの映像だった

 

「これはお前達がハガネに乗ってきたゲッターロボか?」

 

「ああ、浅間山の地下に眠っていた物だ。性能的には武蔵君の乗るゲッターの3倍近いスペックだ」

 

武蔵のゲッターの3倍近いスペックと聞いて目を見開くダイテツだが、続く言葉に絶句した。

 

「なお乗ってる人間が加速する速度に耐え切れず、骨折するレベルだ」

 

「性能を上げてもパイロットの安全性を考えない辺りさすが早乙女博士って感じですね」

 

何が流石なのか判らないが、早乙女博士が実は危険人物と言うのは全員が納得してしまった。

 

「あの浅間山の地下のプロトゲッターは回収出来ないのか? 戦力として十分だと思うんだが」

 

「いやぁ、鬼を倒すのにゲッター炉心を爆発させたんで、全部吹き飛んでますよ。多分それで地震になってしまったんでしょうね」

 

「それに仮にゲッターを修理してもパイロットがいないと言う根本的な問題は何一つ解決していないぞ」

 

パイロット不在、それがゲッターロボが抱える最大の問題となっている、ビアンは勿論対策を考えているとは言うが……

 

「自信のあったパイロットスーツでも駄目だった以上。やはり更に強化する必要があるな」

 

「……そんなスーツがないと乗れないゲッターロボを生身で操縦する武蔵さんって何者なんですか?」

 

「え? 普通の学生ですけど?」

 

絶対普通じゃない……その言葉をぎりぎりで飲み込んだレフィーナは、誤魔化すように笑いかけ。武蔵は照れた様子で手を振る

 

「ではもしかしてゲッターロボが暴走したのは?」

 

「炉心を交換したことによるゲッター線の上昇が原因だと考えている。パイロットを増やすことが出来ないのならば、せめて炉心だけでもと考えたのだが、まさか暴走を引き起こすとは想定外だ」

 

エネルギーで出来た身体を持ったゲッターロボ、その暴走は正直言ってハガネとヒリュウ改を轟沈させかねないレベルだった。

 

「応急処置程度だがリミッターを増設したから暴走することはないと思うが……やはりゲッター線は未知数と言うことだ」

 

だがその未知数の危険性を秘めたゲッターでさえも使わなければエアロゲイターと戦うことも出来ないほどに追詰められているのも事実。

 

「気をつけなければならないのはオペレーションSRWに鬼や恐竜帝国の生き残りが乱入しないとは言い切れないことだ。無論、クロガネも武蔵君もオペレーションSRWには参加する。だが万が一には備えて欲しい」

 

その後の話し合いで武蔵とゲッターロボは暫くの間ハガネに預けられることになった。エアロゲイターとの戦いに必要になることは明らかであり、そしてパイロット同士の交友を深める必要もあるとビアンは判断したのだ

 

「ビアン、お前は何をするつもりだ?」

 

「ジュネーブから逃走したシュトレーゼマンがまた何かしようとしている。尻尾を掴んだら、武蔵君とゲッターロボは呼び戻させて貰う」

 

それはビアンなりの配慮だった。表立って動けば軍人と言う事で立場を悪くするハガネとヒリュウ改では無く、元々追われる立場であるクロガネがシュトレーゼマンを追うと言う決断を下したのだ

 

「武蔵君、気をつけてな」

 

「ビアンさんも。リューネさんに何か伝えることは?」

 

「何も無い、あの子は強い子だ。なに、これが今生の別れとなるわけじゃない。ダイテツ、そしてレフィーナ艦長。オペレーションSRWでまた会おう。何か判れば連絡する、その時はよろしく頼むぞ武蔵君」

 

「地球の裏側だってすぐ向かいますよ。ビアンさんも気をつけて」

 

ビアンと武蔵はそう笑いあい再会の約束をして分かれる、ビアンは頭部の無いゲッターロボに乗り込みハガネを後にする。

 

「じゃあ、ダイテツさん。またよろしくお願いします」

 

「ああ、ヒリュウ改のクルーにも紹介しよう」

 

そして再び武蔵とダイテツ達の道は1つに交わるのだった……

 

 

 

 

武蔵とゲッターロボの登場によって、この世界の歴史は大きく変わり始めていた。だがそれは悪い方向ではなく、良い方向にも変わっていた、そしてこれはそんな良き方向に変わった1つの出来事……

 

「シンシア! シンシアー!!」

 

避難所に顔色を変えて飛び込む士官服の男性。声を張り上げ自らの妻の名を叫ぶ……正史では、ここで男は妻だけではなく、両親とも死に判れ、そしてその死に顔を見ることすら叶わぬという悲劇に見舞われた。だが……神は男から大事な物を取り上げることは無かった。

 

「リンジュン! リンジュン! ここよ! 私はここよッ!!!」

 

「お、おおお……シンシアッ! シンシアッ!!!」

 

避難民の中に自分の名を呼び手を振り返す女の姿を見つけ、涙を浮かべながらシンシアへと走るリー・リンジュン

 

「良かった……無事で本当によかった」

 

「あの赤いロボットが助けてくれたのよ」

 

赤いロボット……シンシアから告げられたロボットの特徴を聞いて、リーは一瞬で理解した、軍から捕縛命令が下され、そして今では協力要請をしろと命じられているゲッターロボが妻を助けてくれたのだと……

 

「父と……母は?」

 

「2人も無事よ、ほら」

 

シンシアの指差した方向を振り返るリーの視線の先には松葉杖を突いているが、それでも元気そうな両親の姿を見つける。リーを見つけて手を振る両親に今度こそリーはその場に泣き崩れた。北京が戦場になり、もう妻も両親も死んだとリーの部隊の全員がそう思っていた

 

「姉さん! 姉さん!! 無事だったんだな!」

 

「貴方こそ! 良かった! 良かったわ!」

 

「なんだあ、くたばり損なったか、この馬鹿孫がッ!!」

 

「っああ! 死にぞこなったよ! お前だって生きてるじゃねえかよ! この糞爺ッ!!」

 

感動の再会をしている者、大喧嘩をし絶縁となっていた家族との再会に互いに罵り合う事しか出来ない不器用な者……だが北京にいた連邦の兵士の大半が家族や婚約者をゲッターロボ……武蔵によって救われた。それが後にリー自身もの運命を変える事になるとはこの時リー自身も予想だにしないのだった……

 

 

第49話 巴武蔵②へ続く

 

 




はい、まさかのリーに起こった悲劇回避ルート、これも1つの原作死亡キャラ生存ルートですね。次回はヒリュウ改のクルーとの話をする武蔵を書いていこうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

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