進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第50話 栄光はこの胸に! 復活のキャプテン・ラドラ その1

第50話 栄光はこの胸に! 復活のキャプテン・ラドラ その1

 

伊豆基地ではR-3の修理と平行してゲッターロボの分析と修理も行われていた。ロストテクノロジーでありながら、オーバーテクノロジーの結晶であるゲッターロボを分析することで新しい技術を得ようとすることは当然であり、そしてゲッターロボを修理することは戦力に直結する。伊豆基地にいる整備兵、そしてマオ・インダストリーの技術主任であり、ビルドラプターの開発からRシリーズの開発の全てに携わっている「カーク・ハミル」もまたゲッターロボの分析に夢中になっていた

 

「ではこの特機の開発者はパイロットを度外視してまでも、戦闘力を追及する必要があったのか」

 

「はい、えーっとカークさんはメカザウルスとかとの戦闘データは見てないんですか? もしそうならオイラのを渡しますが」

 

「それは助かる、中々メカザウルスとの戦闘データの閲覧許可は下りなくてな」

 

偏屈で有名なカークと武蔵の相性は案外悪くは無かった。と言うよりも偏屈の塊である早乙女博士や敷島博士と付き合ってきた武蔵からすればカークの偏屈など気にするレベルではなく、聞かれた事に返事を返し、そして判らないことは判らないと言えば良い

 

「おいおい、武蔵。お前の戦闘データはマリオンに渡したんじゃないのか?」

 

テスラ研から来ていたジョナサンの言葉に武蔵はあっと呟き、カークは眉を顰める

 

「す、すいません。カークさん……忘れてました。あのマリオンさんから借りて来てくれますか?」

 

「……いや、そういう話なら後で良い。悪いがゲッターロボの解析をさせて貰うぞ」

 

仏頂面でゲットマシンに乗り込むカーク。その後姿を見て首を傾げる武蔵にジョナサンが笑いながら近づく

 

「カークにマリオンの話をするなよ、勿論その逆もだ」

 

「もしかしてカークさんとマリオンさんって仲悪いんですか?」

 

「仲が悪いというか、元夫婦なんだよ。あの2人」

 

うえっと驚く武蔵にジョナサンは苦笑しながらハンガーに鎮座しているアルトアイゼン、ヴァイスリッターと言ったATX計画の機体とSRX計画のR-1達を見上げる

 

「元々は月のマオ・インダストリーと言うPTの開発をしている会社でマリオンもカークも働いていたんだが、マオ社と軍はゲシュペンストを古臭いと言う事でなあ、マリオンに開発の中断を命じたんだ。それにマリオンは反発、しかも自分の夫のカークまでもがマオ社と軍の意向に従うと言うから、激怒して離婚になったんだよ」

 

「……それはまた何とも言えませんね」

 

「ああ、ゲッターの事で2人も良く声を掛けてくると思うから、そこは気をつけたほうが良いぞ」

 

マリオンとカークが鉢合わせすると地獄になるからなと笑うジョナサン。その背後を見て、武蔵はあっと呟く

 

「ジョナサン博士……いつまで休憩するおつもりですか?」

 

「こ、コウキ? い、いや私は武蔵と意見交流を」

 

「そうですか、ですが休憩に出てから2時間45分と39秒……少なくとも1時間は伊豆基地には居ませんでしたよね?」

 

肩を握り締められ脂汗をだらだら流すジョナサン、視線は武蔵に助けてくれと訴えている。だが武蔵もそれに関してはジョナサンが悪いと思い助け舟を出すことはなく

 

「おーい、武蔵ー。悪いけど、少しイーグル号を動かしてくれるか? ゲッター合金の生成実験をやってみたいんだー」

 

「はーい、今行きまーす」

 

ロブの自身を呼ぶ声に返事を返し、ジョナサンから背を向けて逃げるように去っていく。その場に残されたジョナサンと鬼の顔をしているコウキ

 

「す、すすすす」

 

「す? なんですか?」

 

「すまなかったなぁッ!!!」

 

孤立無援になったジョナサンが自分の非を認めて、自分の弟子であるコウキに土下座して謝罪するという選択肢を取ったのは至極当然の事であった……

 

 

 

 

最近伊豆基地で1つ名物とも言える事が1つ増えた。それは武蔵の食事量である。1回の食事で大食漢と言われる兵士の倍以上はぺろりと平らげる、武蔵がふくよかなこともありデブと思われていた。だがその実、武蔵の身体は凄まじいほどの筋肉質で、身体は大きいがそれは脂肪ではなく筋肉の塊であり、しかも尋常じゃないほどの新陳代謝の持ち主でもあった

 

「おう、武蔵。席良いか?」

 

「ひょうおうああー」

 

ラーメンを啜りながら、ハンバーグを半分に切りラーメンを飲み込むと同時にハンバーグを口に運び。咀嚼しながらカツ丼に手を伸ばす、フードファイターもかくやと言う恐ろしい食事のペースだ

 

「すいませーん、唐揚げと竜田揚げの追加と、トン汁を丼で、後コーラをジョッキでお願いしまーす」

 

「……は、はい。判りましたー」

 

武蔵の追加の注文に食堂の従業員の顔が引き攣る。引き攣りながらも了承の返事をするだけ、あちらもプロ根性だろう

 

「お、ステーキ。美味そうだな、貰って良いか?」

 

「おう、良いぞ。その代わりそれくれ、納豆」

 

リュウセイの定食の納豆とステーキの切れ端を交換し、丼飯の上に納豆を掛けて満面の笑みで頬張る武蔵。武蔵の食事は全てレイカーとダイテツの2人が持つ事になっているが、恐らく今頃は2人とも予想外の出費に頭を抱えていることだろう

 

「随分と食べるわね。武蔵」

 

「ひょおでひゅか?」

 

巨大な唐揚げを丸のまま頬張り、山盛りの白米を凄まじい勢いでかっ込む武蔵にエクセレンを初めとした、ヒリュウ改の面子は苦笑いを浮かべる

 

「おい、武蔵。今度の半休に飯でも行くか?」

 

カチーナの言葉にラッセルの顔が驚愕に染まる、勿論それはラッセルだけではなく伊豆基地の全員がだ。カチーナの趣味は年下のふくよかな男と言う噂が立ちかけたが

 

「前にすげえ大食いの店を見つけたんだけどよ。あたしじゃ無理そうだし、タスクの馬鹿野郎が金を巻き上げられてるし、リベンジって事でよ、ちょっと付き合ってくれよ」

 

「へー、面白そうですね。何の大食いです?」

 

「カツカレー5キロに唐揚げとかウィンナーだったよな? タスク」

 

「……うぷ、思い出すだけで吐きそうになるんで言わないでくれますか? 中尉」

 

青い顔で口を押さえるタスクに情けねえなあと笑いながら背中を叩くカチーナ。その姿に性別こそ違うが、竜馬の姿を見た武蔵は楽しそうに笑いながら、追加で運ばれてきた竜田揚げを頬張り、コーラのジョッキの口をつける武蔵

 

「1つ聞きたいのだけど良いかしら?」

 

「はい? なんですかレオナさん」

 

カツ丼の丼に手を伸ばしかけた武蔵にレオナが声を掛ける。声を掛けられると思っていなかった相手からの言葉に武蔵はやや困惑した素振りを見せる

 

「いつもそれ位食べるのかしら?」

 

「まぁそうですかね。ゲッターロボなんて乗ってると飯を食わないとやっていけないですし」

 

あれだけ加速する機体にこれだけ食べて乗って大丈夫なのか? と全員が思ったがそれを口にすることは無かった。

 

「そう言えば、他の2人もそれ位食べると言っていたな」

 

「「「「え?」」」」

 

ライの思い出したような言葉に、話を聞いていた全員が本当と言う顔をする。これだけ大食いするのは武蔵だけだと思っていたので、そこに更に2人加わるとなるとどんな光景になるのか全然想像がつかなかった

 

「そうそう、えーっとこれこれ、ゲットマシンに写真入れてるの忘れてたんだ」

 

武蔵が懐から写真を取り出す、そこには森の中の研究所の前で記念撮影をしたのだろう。何人かの姿があったのだが……顔が凄いことになっていて、全員が思わず絶句する。武蔵と武蔵の隣にいる少年、そしてその後ろの女性を除くと、全員が悪人面と言えるような顔をしていた

 

「物凄い悪人面ですね」

 

「実際悪人ですよ? こいつは神隼人。オイラと同じ学生だけど、革命家で大臣も暗殺してたりします」

 

場を和ませるつもりが、実際に犯罪者だった隼人に聞き耳を立てていた全員が絶句した。

 

「なんでそんな奴がパイロットやってんだよ」

 

「ゲッターに乗れたからですよ。早乙女博士が政府と交渉して、無理やりゲッターのパイロットにしたんです」

 

政府と交渉してまで……それだけ旧西暦の地球は恐竜帝国によって追詰められていたのだろう

 

「えーっとじゃあこいつは?」

 

「こっちは流竜馬。ゲッター1とイーグル号のパイロットをしてる、ちっと悪人面だけどそう悪い奴じゃないぜ?」

 

ちょっと? どう見てもちょっとに見えないとタスクとリュウセイが考え込む。そしてその姿を見て武蔵は頬を掻きながら

 

「そりゃまぁ喧嘩上等でめちゃくちゃ血の気が多くて、道場破りしながら身体を鍛えていたけど、結構良い奴なんだ」

 

道場破りをして生活していたと言う竜馬。贔屓目に聞いても、犯罪者一歩手前だ。良い奴と言う言葉がこれほど程遠い人物はそうはいないだろう。

 

「……じゃあ、この子は武蔵とか、隼人の弟だったりするの?」

 

リュウセイがいると言うことで、いつの間にかリュウセイの隣に座っていたラトゥーニがそう尋ねる。

 

「いや、この子は男の子じゃなくて、女の子」

 

どう見ても男の子にしか見えない格好をしている子供が女の子と聞いて、写真を見ていた全員が驚く。

 

「早乙女元気。早乙女博士の娘で、ミチルさんの妹だよ」

 

「……なんでこんな格好を?」

 

「あー男の子って聞いてたからって早乙女博士は言ってたよ。まぁ成長すれば、普通に女の子らしくなるだろって言ってたけど……面倒を見てたオイラからすると本当かなあって思ったな」

 

「面倒を見てたって、早乙女さん達は?」

 

「ゲッターとかの開発で忙しくてなあ、リョウも隼人も子供の面倒を見るのは苦手って事で、オイラが勉強を教えたり、一緒に遊んでやったり寝かしつけたりしてたよ」

 

昔を懐かしみながらステーキを頬張り、豚汁を啜る武蔵。だがリュウセイ達からすれば、それは育児放棄に近いと思わずにはいられなかった。

 

「あ、アヤさん、もう大丈夫なんですか?」

 

しんみりしている空気を霧散させたのは武蔵だった。食堂に姿を見せたアヤに手を振る武蔵。

 

「ええ、心配を掛けたわね。でももう大丈夫よ」

 

少しだけやつれているが力強い笑みを浮かべるアヤに全員が良かったと安堵の表情を浮かべる。アヤがイングラムに想いを寄せているのは全員が知っていて、そのイングラムが操られている可能性があるが敵に回ったと言うことに一番ショックを受けているのはアヤだろう。

 

「本当に良かった。今度イングラムさんが出てきたら、逃がさないで捕まえますね」

 

「ええ、私も頑張るわよ。武蔵も手伝ってね、とりあえずコックピットから引きずり出したら思いっきりビンタしたいわ」

 

ただ……妙な方向に吹っ切れている様子だが……元気そうで良かった。

 

「さてと、あ。すいませーん、親子丼とステーキ、それとミートパスタのお代わりお願いしまーす」

 

「「「「まだ喰うのかッ!?」」」」」

 

さも当然のようにお代わりを要求する武蔵に全員が思わずそう叫び、噴出してしまうのだった……

 

 

 

 

武蔵達が食堂で話をしている頃。伊豆基地の司令部ではキョウスケとイルムと云った、PT隊の中でも地位の高い者達が集まっていた。

 

「……自分を戦闘指揮官にですか?」

 

信じられないという様子でダイテツに尋ね返すキョウスケ。

 

「そうだ。前任のイングラム少佐がああいう結果になったのでな」

 

「……階級から考えて、アヤ大尉か、イルムガルト中尉が適任だと思われますが……?」

 

自分よりも階級の高い2人の名前を出すキョウスケだが、その場にいたイルムはキョウスケの肩を軽く叩いて

 

「悪いな、俺には荷の重いポジションが性に会わなくてな。今辞退させて貰ったよ、それにアヤ大尉もまだ本調子とは言えないし、カチーナ中尉も向いてないって断ってる」

 

だからお前しかいないんだよと笑うイルムにキョウスケは考え込むような素振りを見せる。

 

「レフィーナ中佐や、ショーンからの推薦もある。無論、ワシもお前が適任だと考えておる」

 

「戦況を一番冷静に見れるとレフィーナ中佐からも聞いている」

 

今この場にいないが、レフィーナとショーン、そしてダイテツとレイカーにも言われたキョウスケはついに折れた。

 

「……判りました。若輩者ですが、戦闘指揮官の話を引き受けてさせてもらいます」

 

キョウスケの了承を得た事で部隊の再編成の話へと話が移っていく。

 

「部隊の再編成及び、今後の作戦を遂行する上で、曹長階級のパイロットを少尉へ、そして君を中尉へ戦時昇任させる」

 

これからの事を考え、階級が上がると説明をするレイカー。キョウスケは少し考え込む素振りを見せてから。

 

「武蔵の事はどうなるのでしょうか?」

 

「戦時特例措置として扱う。命令権はキョウスケ中尉には無く、基本的に私かダイテツ、もしくはレフィーナ中佐の命令のみを聞くように

話をしてある。だが、彼の事だから命令などでなくても自分で行動するだろうが」

 

レイカーがそう苦笑した時、司令部に警報が鳴り響き、全員の顔が引き締まる。

 

「第3防衛ライン上にエアロゲイター部隊が転移出現ッ! 当基地に向かって来ます」

 

オペレーターからの報告にノーマンは顔を顰める。

 

「今まで奴等は支部クラスの基地に攻撃を仕掛けてこなかったというのに……」

 

「本格的な軍施設への攻撃を開始したか……それともゲッターロボとハガネとヒリュウ改が目的か……そのいずれかでしょうな」

 

「ではそれを確かめる意味でもワシ達が迎撃に出よう」

 

相手方の出方を見るため、北京で確認されたソルジャーやファットマンの姿は無いが、ハガネとヒリュウ改が出撃することとなる。

 

「お前が指揮官での初陣だ。緊張せずに気楽にやれよ」

 

「……判っています」

 

スクランブルが掛かり、ハガネとヒリュウ改に乗り込む中。キョウスケもイルムも敵の出方に僅かな不信感を抱く。

 

「キョウスケさん、オイラも行きますよ」

 

「……すまないが頼めるか」

 

勿論ですと返事を返す武蔵もハガネへと乗り込み、伊豆基地から出撃し、エアロゲイターへの迎撃へと向かう。

 

「アサルト1より各機へ、本日から俺が戦闘指揮を執る事になった。以後よろしく頼む」

 

市街地に降下してくる新型のバグスを確認しながらキョウスケが自分が指揮官になった事を告げる。

 

「しかも中尉にご昇進~いやん、素敵! もう好きにしてって感じ!」

 

「キョウスケ中尉殿、給料上がったんでしょ? 今度おごってください」

 

「……この状況で、良く悪ふざけが出来る物ね……」

 

お調子者のタスクとエクセレンの言葉を聞いていたレオナが顔を顰めながら、ガーリオンのコックピットで不機嫌そうに呟く

 

「ま、こうなるわな。だけど、緊張しすぎるよりはマシだ」

 

エクセレンとタスクの悪ふざけが場を和ませる物であると判っている、面子は苦笑いを浮かべる。その中でキョウスケは明らかに動きの鈍いR-1に気付き、リュウセイへと通信を繋げる

 

「リュウセイ少尉……気持ちは判るが、今は戦闘に集中しろ」

 

「……あ、ああ。了解だぜ」

 

尊敬していたイングラムは操られている可能性もあるが敵に回り、そして幼馴染のクスハは攫われた。まともじゃない精神状態で出撃しているのはキョウスケも理解していたが、出撃した以上は戦いに集中しろと忠告し、戦場を見渡す。敵の主戦力はバグスがメインで、少しだけソルジャーが混じっている。しかし今まで真っ直ぐに伊豆基地に向かって進軍していたのだが、キョウスケの出撃と共にその足を止めた。

 

(敵に極東基地へ向かう気配が見当たらない……やはり、標的は俺達……いや、ゲッターロボか)

 

ハガネとヒリュウ改を囲い込むように動き出すバグスに対して、ソルジャーは明らかにゲッターロボを狙っている。捕獲を狙うバグスに対して、ソルジャーを向けるということはゲッターロボは破壊する目的の可能性が高い。

 

(つまり俺達はサンプルであり、ゲッターロボはサンプルでは無いと言うことか……何のためのサンプルかという疑問は残るが……)

 

イングラムから与えられた情報、そして今このエリアにいるバグスとソルジャーの動きを分析しながらキョウスケは敵機の迎撃に移るように指示を出し、自らもバグスに向かってアルトアイゼンを走らせるのだった……

 

 

 

 

 

R-1やアルトアイゼンに目もくれず、突っ込んできた緑色のエアロゲイターのPTをゲッターアームで殴りつけ粉砕する。北京での暴走を危惧しているのはエアロゲイターも武蔵も同じであり、暴走の危険性が高いゲッター1ではなく、最も使い慣れていて、それでいてゲッター線を使う武装の少ないゲッター3で武蔵はエアロゲイターと戦う事を選択していた。

 

(出力は……うん、大丈夫)

 

炉心の交換前よりも高い出力をマークしているが、それでも暴走する心配の無い事に安堵する武蔵。北京での暴走は凄まじく、市街地が近い上に伊豆基地に近いこの場所での暴走は絶対に避けなければならないと武蔵は考えていた。

 

「リュウセイ達も大丈夫そうか」

 

エアロゲイターのPTが全部ゲッターに集中しているので、リュウセイ達に向かっているのはバグスを初めとした決して戦闘力が高い機体ではない。今の段階ではそう恐れることは無いだろう……そう思った瞬間。背後から殺気を感じ武蔵はオープンゲットで上空へと逃れる。

 

「「「「……」」」」

 

「蜘蛛……か。あんなのもいるのか」

 

青い機体カラーの蜘蛛が突然現れていた。今の今まで反応は無かったことから転移して来たのだろうが、実に厭らしい一手だと武蔵は感じていた。

 

(ゲッターの弱点をついてきたな)

 

ゲッターロボはPTやAMと比べて索敵能力が低い、突発的な転移にはどうしても反応が遅れる。今は武蔵の野生の勘で回避したが、下手を打てば放たれた糸でゲッターは絡め取られ、その動きを封じられていただろう

 

「くっ、狙い澄ましたかのようにッ!! こっちの部隊展開のパターンを知っているとでもいうのッ!?」

 

「イングラム少佐が敵に回っているんだもの。私達の手は読まれている方が思った方が良い」

 

動揺するリオを嗜めるラトゥーニはゲットマシンとハガネとヒリュウ改の周囲に現れたスパイダーの分析結果を告げる

 

「多分、あのスパイダーは水陸両用タイプの強化型……皆気をつけて」

 

直接的な戦闘能力だけではなく、蜘蛛の姿を持ち捕縛ネットを持つスパイダーに気をつけろと告げる。

 

「それに、まだまだ夜はこれから……って感じがビシバシするわねえ」

 

「隠し球の1つや2つはあるって思っておいたほうが良いっすね」

 

「そういうことだ。敵はまだ増援を送り込んでくる可能性が高い。各機、弾薬、エネルギー配分を間違えるなよ」

 

エアロゲイターの増援は現れているが、それはあくまでバグスやスパイダーと言う弱い量産型の偵察機。本命である人型の増援が出現していない事に、敵はハガネとヒリュウ改の戦力を削ぐ事を考えていると考えたキョウスケの命令がオープンチャンネルで告げられる。

 

「へっ、そういうことなら一気に炙り出してやろうじゃねえかッ!!!」

 

「ちまちまとまどろっこしいのは苦手なんだ。一気に決めてやるッ!!!」

 

敵の数が減るまで増援が現れないのならば、敵の数を一気に減らしてやると言わんばかりにサイバスターとヴァルシオーネがスパイダーとバグスの群れへと突っ込んでいく。

 

「良いのか? キョウスケ」

 

「……よくないですが、軍人ではないので命令する権限はありませんから」

 

陣形を崩したことに僅かな苛立ちを感じているキョウスケ。だが軍人で無い以上命令違反をしているわけでもない、それに持久戦になり敵が無限に送り込まれることを考えればここで一掃してしまうのも1つの手だ。

 

「手持ち弾数の多い武器でサイバスターとヴァルシオーネの打ち漏らしを一掃する。その後各員敵の増援に備えろ」

 

敵の策を力ずくで突破する事を決め、サイフラッシュとサイコブラスターの光が街を染め上げるのを見ながら、キョウスケはそう指示を下した。

 

「なんか来るッ! ゲッターが反応していやがるッ!!」

 

「つっ! 皆警戒して!」

 

バグスとスパイダーの姿が消えると同時に武蔵とアヤの怒声が響き、ハガネ達の背後を取るように更なる一団が出現する……だが3度現れた増援にハガネとヒリュウ改、そしてそのPT隊に衝撃が走った……ファットマンの部隊の後ろに現れた3体の大型機……その内の2機に苦渋を飲まされた事を思い出したのだ。

 

「おいおい……マジかよ」

 

「冗談きついぜ」

 

「ドラゴンとライガーだとッ!?」

 

「やはり量産型を奪って行ったのはエアロゲイターだったと言うことか」

 

青い西洋騎士のような機体の左右に浮かぶ腕を組む真紅とドリルの切っ先を向ける青い機体……それは紛れも無くジュネーブで戦った量産型ドラゴンとライガーの姿だった。

 

「わお、予感大的中! でも流石にドラゴンとライガーは予想外よねえ」

 

「どうするんですか少尉! どうしてエアロゲイターがドラゴンとライガーを」

 

「多分分析して複製したんだろうな、厄介な物を持ち出してきてくれたぜ」

 

青い指揮官機に加え、凄まじい脅威だったドラゴンとライガーの復活……流石のエクセレンやタスクも普段の軽口は消え、その顔には真剣な色に染まっていた

 

「どうやら敵の本命の登場らしい、武蔵。ドラゴンとライガーを何とか出来るか?」

 

「……やるだけやってみます。でも、かなりやばいかもしれないです」

 

ゲッター線の貯蔵量が一気に増え、出力が増大した。それだけゲッターがドラゴンとライガーを危険視していると言う証拠だった

 

「あの青い奴にはイングラム少佐が乗っているんじゃないのか!?」

 

操られている可能性があるイングラムがいるのではと叫ぶリュウセイ、それに対してアヤは冷静に返事を返した

 

「アレに人は乗ってないと思うわ」

 

「じゃあ、何が乗っているんだ? 無人機とでも言うのかよ?」

 

無人機と言うにはその動きは人間味を帯びていて、アヤも言葉に詰まる

 

「敵の指揮官的存在であるということに変わりは無い。無人機だろうが、有人機だろうがどうでもいい。お手並み拝見と行こう」

 

パイロットが乗っていようが、乗っていまいが指揮官であることは変わりは無いと告げるキョウスケ、その冷静な反応に、浮き足だっていたPT隊が冷静さを取り戻したが、ラッセルが慌てながらレーダーにあった反応についての報告を始める

 

「ま、待ってください! キョウスケ中尉! この空域に接近してくる友軍機と未確認の反応を探知しました!」

 

ハガネとヒリュウ改の近くに降り立ったのは青いカラーリングのゲシュペンストの姿だった

 

「あら? あのゲシュペンスト、他のと色が違うわねえ」

 

「……!」

 

エクセレンはそのゲシュペンストの色を見て、ただのゲシュペンストではないということに気付き、そして青い指揮官機もまたそのゲシュペンストを見て、僅かな動揺を見せた。

 

「形式番号は……PTX-001!? お、おいおい! PTの元祖だぜ、あれ!!」

 

「わお! んじゃ、超レア物じゃなぁい!?」

 

量産機ではなく、そして試作型1号機でもない。この世界で一番最初に作られたPTであるゲシュペンストが戦場に現れた

 

「懐かしいな。俺も一時期はあいつの世話になったもんだ」

 

イルムがその機体を見て懐かしそうに呟く、だがイルムの反応に対して、リョウト達の反応は芳しい物ではなかった

 

「PTの第1号機が現役で使われてるなんて……」

 

「そんな、機体を持ち出して大丈夫なのか!?」

 

古い機体だと聞いて大丈夫なのかと言うリョウトとリュウセイにイルムが何も判ってねえなと呆れたように呟いた

 

「元祖とは言っても、チューンと乗る奴次第じゃ現役機より強いかも知れないぜ、なんせコスト度外視の正真正銘のオンリーワンだ。お前達の知っているゲシュペンストとはスペックから違うぜ」

 

ゲシュペンストタイプRの登場から少し遅れて、着地した機体にはゲシュペンスト・タイプRとはまた違う驚愕が広がった

 

「おいおい、あれなんだ……?」

 

「機械の恐竜?」

 

ゲシュペンストよりも大型な恐竜を思わせる、特機が地響きを立てて着地した。その機体を見た武蔵は信じられないという様子でベアー号のコックピットで呟いた

 

「メカザウルス……シグッ!? いや、でも……良く似ている……似てるなんてもんじゃない、瓜二つだッ!」

 

その恐竜の姿が自分の知っているメカザウルスに瓜二つの特機の登場に、そのパイロットの姿を思い出した。誇り高き男の姿を……

 

「こちらはギリアム・イェーガーだ。これよりそちらの援護に回る」

 

「あらん、お久しぶりです、少佐! 随分と遅いご到着で」

 

ゲシュペンストからの通信でパイロットが元教導隊である、ギリアムだと判り。エクセレンが茶化すように告げる

 

「フッ……そう言うな。遅刻分は働かせてもらうさ、なぁ、ラドラ」

 

ゲシュペンストが隣の特機に声を掛ける。だがその特機はギリアムの言葉に返事を返さず、ゲッターロボに視線を向ける

 

「久しぶりだな。巴武蔵……俺を覚えているか?」

 

「その声……お前ラドラ! ラドラなのかッ!?」

 

武蔵の驚いた声にあの特機のパイロットもまた旧西暦の人間なのかと、キョウスケ達は思ったが、続く言葉に目を見開いた

 

「元教導隊ラドラ・ヴェフェス・モルナ……だが、今はその名は名乗るまい。我が名はラドラ! キャプテン・ラドラッ! 誇り高き恐竜帝国がキャプテンが1人ッ!!」

 

「恐竜帝国だって!?」

 

「生き残りがいたのか……」

 

「なんで、恐竜帝国がギリアム少佐と一緒に……」

 

恐竜帝国であると名乗ったラドラに動揺が走り、ギリアムにも僅かな不信感が生まれた

 

「俺は人の強さを知った、そして真の栄光が何たるかをゲッターロボ! お前との戦いで学んだ。あの時は、俺は死ぬしかなかったが……あの時お前達が伸ばしたその手を、今こそ掴ませてくれるか」

 

「……ラドラ、ああ……ああッ!! あんたが味方してくれるならこれ以上頼もしい味方はいないッ!!」

 

伸ばされたシグの手をゲッター1が力強く握り返し、ドラゴンとライガーに向き直る、その力強い2つの背中に、一瞬キョウスケ達に芽生えた不信感は消えていた。饒舌に語ったわけではない、ラドラはその背中で己が敵ではないと言うことを証明したのだ。長い時を越え、ラドラと武蔵はその手を握り合うのだった……

 

 

 

第51話 栄光はこの胸に! 復活のキャプテン・ラドラ その2へ続く

 

 




ラドラが味方として参入しました。しかし前回と姿が違うのはゲシュペンスト・タイプRを入手しているか、どうかで変化していると思ってください。ゲシュペンスト・シグの強化形態とゲッター1で量産型ドラゴン、ライガーとのタッグバトル。ギリアム達はガルインや、エアロゲイターと戦うという感じになっておりますが、メインは武蔵とラドラとなりますのでご了承願いします。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
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