第51話 栄光はこの胸に! 復活のキャプテン・ラドラ その2
ゲッターと並び立つシグの姿に武蔵は感慨深い物を感じていた、確かに恐竜帝国は敵であった。ラドラとも戦った、だがそれでも、分かり合えるかもしれないと僅かに竜馬と共に感じたラドラ。それがまさか未来でこうして肩を並べて戦う事になるなんて思っても見なかった
「ラドラ、オイラがドラゴンをやる。ライガーを頼めるか?」
「ふっ、任せておけ。新型ゲッターロボだとしても、お前達3人が乗った本物のゲッターロボを知る俺が偽者に負けると思うか?」
本物……言い得て妙だが、その通りだと思った。エアロゲイターに複製されたゲッターロボと言うことではない、竜馬、隼人、そして武蔵が乗り込んだゲッターこそが本物だというラドラの言葉に武蔵は思わず笑みを浮かべた
「顔を見合わせずに死んだとか止めてくれよ。お前とは、色々と話をしたい」
「それはこっちの台詞だ。お前こそ死ぬなよ、武蔵」
地面を蹴り互いの敵と定めたドラゴンとライガーに向かって同時に機体を走らせる武蔵とラドラ。自分達に向かってくるゲッターとシグの動きを探知して迎撃に動き出すドラゴンとライガー、そしてガルインが率いるバグス達はハガネとヒリュウ改に照準を定め、ゆっくりと進軍を開始するのだった……
「艦長、ラドラ・ヴェフェス・モルナと言う人物が教導隊であったなどと言う話は聞いた事が無いのですが……」
「上層部が語る事を禁じた教導隊初期のメンバーの1人だ。拳や足を使った格闘戦のOSを開発した人物でもある」
若いテツヤは知らないが、ダイテツやショーンと言った老齢の人物だけが知っている教導隊と軍を除籍され、姿を消したエリートパイロット……それがラドラ・ヴェフェス・モルナと言う男だ
「しかし、ラドラと武蔵の話を聞く限りでは、あの男も旧西暦、しかも恐竜帝国の人間であると」
「そうなるが、ワシが出会った時は普通の人間だった。爬虫人類と呼ばれる異形の姿では無かったよ」
養成学校で主席卒業をし、ゲシュペンストの開発にも携わっていた秀才。それを追い出し、語る事を禁じた軍には当時ラドラが知ってはいけない事を知ってしまったという噂が如実に語られていたが、恐竜帝国、ゲッターロボを知っていたとなるとその噂が真実だったと言うことが真実味を帯びてくる
「大尉、ヒリュウ改へと通達。量産型ドラゴン、ライガーの戦闘データを全て正確に記録せよと、勿論本艦もだ」
命令を復唱するテツヤを見ながらダイテツの目は量産型ドラゴンとライガーに向けられていた。ジュネーブで戦い、アードラーが使っていた量産型ドラゴンとは色がやや濃くなっているだけと言う差異しか見受けられないのだが、その機体から感じる威圧感はジュネーブの比ではない。エアロゲイターの技術によって複製、強化された量産型ドラゴンとライガー。今回はドラゴンとライガーだけだが、恐らくポセイドンも存在するだろう。
(苦しくなるな……)
武蔵とゲッターロボの参入、クロガネとの協力の取り付け、そしてギリアムとラドラの合流と戦力は増えている。だが敵の戦力はこちらを完全に上回っている……その事を思い知らされ、ダイテツはその背中に冷たい汗が流れるのを感じるのだった……
市街上空でドラゴンとゲッター1が何度も交錯を繰り返す。其処に他の物が割り込める余地などなく、完全に武蔵とドラゴンの一騎打ちの形へとなっていた。
「ちっ、随分とパワーアップしてやがるな、ええ、おい」
「……」
AI制御のドラゴンが返事を返すことは無いと判っているが、武蔵はそう呟かずにはいられなかった。勿論ドラゴンの返答はダブルトマホークを投げ付けるという物であり、それを咄嗟に弾き返した。だがその代償としてゲッタートマホークの刃が完全に欠けてしまっている
(アードラーの糞爺が使っていたドラゴンよりも確実にパワーアップしてやがる)
新型炉心を搭載しているゲッターロボと互角……僅かにゲッターが上回っているが、それでもドラゴンの強さは凄まじい物だった。炉心を積み換えてなければ最初の鍔迫り合いで押し潰されていただろう
「!」
「舐めんなッ!!!」
0から一気にMAXスピードで斬りかかって来るドラゴン。だが武蔵はその速さに惑わされることはなく、トマホークの側面を的確に拳で叩き――がら空きのドラゴンの頭部を右拳で貫く。
「やっ……っと、そんなわけはねえわなぁ」
一瞬ぐらついてドラゴンの高度が落ちたので、制御系を破壊したか?と一瞬期待した武蔵。だがドラゴンは高度を落としたのではなく、下に落ちる勢いを利用してオーバーヘッドの踵落としをゲッター1の肩に叩き込んだ。その衝撃と振動に顔を歪めながらドラゴンから距離を取る武蔵、攻撃力はほぼ互角だがサイズ差で言えばドラゴンの方が頭一個分は高い。機動兵器同士の戦いであり、そして互いに打撃を武器とするゲッターとドラゴン。単純に考えて、質量と速度で上回っているドラゴンの方が攻撃力が高い。炉心の出力の差で僅差でゲッターが上回っているのは機動力と防御力であり、攻撃力では完全にゲッターが劣っていた。
「ゲッタービィィィムッ!!!」
それならばとゲッター1の最大の攻撃力を誇るゲッタービームでの攻撃を仕掛ける武蔵、それに対してドラゴンは頭部からビームを放つ。だがそれは案の定ゲッター線の証である緑ではなく、鮮やかな黄色の光線だった。
(ビームの攻撃力はこっちが上……でも行き成りは当てれそうに無いな)
ゲッタービームを見てからのドラゴンの動きは完全に防ぐ物と変わっていた。つまり、ドラゴンのAIもまたゲッタービームを危険視していると言うことだ。
(単純な勝負だが、これはそう簡単にはいかないな)
ゲッターはゲッタービームを当てれば勝ち、ドラゴンは近接戦闘でゲッター1を押し潰せば勝ち。シンプルな話だが、物事はそんなに単純な話ではない。
「……!!」
「へっ! そう来るよなあッ!!」
ソニックブームを起こして上空へと向かうドラゴンの後を追ってゲッター1も空を飛ぶ。無人機と有人機、スピードは互角でも、中にパイロットが居るか居ないかでは最高スピードなどの維持スピードは大きく異なる。無人機ゆえにスピードで武蔵を弱らせるという事を選択した人工知能だが、それは完全に悪手だった。
「舐めるなって言ったよなあッ!!」
「!?!?!?」
人間が耐え切れるスピードではないはずだった。だがそれはあくまで新西暦の人間を基準にした話だ。武蔵のような強靭な肉体を持つ旧西暦の人間からすれば、ドラゴンのスピードは反応することが出来、しかも耐える事が出来る速度だった。
「おらよっ!!!」
「!!!」
お返しと言わんばかりのオーバーヘッドキックがドラゴンの胸部に叩き込まれ、装甲が大きく拉げる。追撃に放たれたゲッタートマホークの一撃で胴体に真一文字の後をつけてドラゴンは急降下していく、それを追ってゲッターが頭を下にして急降下していく
「!!!」
だがドラゴンのAIは急降下してくるゲッターに向かって最も最善の一撃、腰にマウントしていた中折れ式のレーザーキャノンを構えて、ゲッターに照準を合わせ、引き金を引いた。急降下してくる勢いも相まってそれは必中の一撃であった筈だ。だが、ドラゴンのAIはゲッターロボに関して、もっと言えばパイロットである武蔵の情報が圧倒的に足りていなかった。
「オープンゲットッ!!!」
命中する寸前にゲッター1が分離し、ゲットマシンへとなった事でドラゴンのAIは混乱をきたし、一瞬だけフリーズした。そしてフリーズから回復したドラゴンの視界に広がったのは自身を押し潰そうと迫るジャガー号……いや、ゲッター3の姿なのだった。
地響きを立てて落下してきたゲッター3の姿にラドラは小さく笑う、竜馬も隼人も居ない。単独操縦のゲッターだから弱体化していると考えていたが、それはいらない心配だったようだ。
「これで俺は目の前の敵に集中出来るッ!!」
「!!!」
ドリルを翳し突っ込んでくる青いゲッター……武蔵が言うにはライガーの一撃を紙一重で交し、反撃にテールパーツを叩きつけようとするがライガーは急加速でそれを躱す。
(飛行能力もちのゲッター2か、中々に厄介だな)
ゲッター2のスピードを持ちながら、飛行能力を持つ。ゲシュペンスト・シグも飛行能力を持つが、その飛行能力はライガーには劣っている。
「だが、機体の性能が絶対的に勝負を分けるとは思わないことだッ!!」
両手首の先からエネルギークローを発生させ、最大スピードでライガーへと突っ込む。勿論これは回避されることが前提だ、予想通りに上空に逃れたライガーにシグの頭部を向ける。
「破壊光線を喰らうが良いッ!!!」
「!?!?」
口から放たれた光線がライガーの背部を捉え、僅かにライガーの高度が落ちる。その隙をラドラが見逃すわけは無い、ビルを踏み台にして飛びかかりシグの牙をライガーの胴体に突きたてる。
「!!!」
「ふっふっふ。捉えたぞッ!!!」
ライガーの胴体に牙を突きたてたまま、頭を左右に振る。突き立った牙がシグの首振りに合わせてライガーの胴体に深く傷をつける、だがライガーも好きにさせておくつもりはないらしくドリルを1度収納し、チェーンアタックを遠くのビルに巻きつけ、それの回収と背部のブースターによる急加速でシグの牙から逃れる。
「それくらい出来なくてはな」
無理やりの離脱によってシグの頭部が大きく破損するが、ラドラはそれを気にした素振りなど見せない。代わりにラドラの視線が向けられるのはコックピットのエネルギーゲージだ。もう4分の1を切り、レッドゾーンに突入している。
「ここまで飛んで来たのだ。無理も無かろう」
テスラドライブを搭載しておらず、バーニアとフライトユニットで飛翔しているシグのエネルギーの消耗は激しい、しかもライガーと言う尋常では無い速度を持つ特機と戦っていることでエネルギーの消耗は倍以上に激しい物となっていた。だがラドラに不安も動揺の色も無い、想定通りと言わんばかりの余裕の笑みを浮かべる。
「ではそろそろ……本気で行くとしよう!」
通常のゲシュペンストのコックピットには無いレバーを力強く降ろす。ライガーがドリルを翳し再び突撃しようとした瞬間、シグの身体が爆ぜる。その異様な光景にライガーのAIは混乱し、一瞬動きを止めた。
「戦場で動きを止めたな? それほど愚かしいことは無い、お前が俺を倒そうとするのならば、そのまま突撃するしかなかったのだ」
前傾姿勢だったシグの上半身がスライドしながら回転し、前傾姿勢だったその体が垂直へとその姿を変える。そして胸部が展開され、そこから回転しながらゲシュペンスト特有のバイザー型のカメラアイが胸部から出現する。そして頭部横の2つのアンテナが展開されるとそこにメカザウルスに似た姿はなく、ゲシュペンストがライガーと向き合っている姿があった。そして最後にエネルギークローを発生させていた腕も回転し、瞬く間に爪突きの手甲へと変形し、腕の中から回転しながら拳が姿を見せる。
「おいおい、変形するゲシュペンストってありか……」
恐竜と言う姿をしていたシグが殆ど一瞬でゲシュペンストへと変形する姿。それにイルムを初めとした全員が信じられないという声を漏らす。
「行くぞッ!! ゲシュペンスト・シグの力を見せてくれるッ!!!」
パージされたテールパーツを持ち上げると、それを変形させビームライフルへと変化させたシグは光弾を放ちながらライガーに肉薄する。
「!!」
「そんな単調な動きで俺から逃げられると思っているのかッ!!」
急加速でシグから逃れようとするライガーだが、ゲシュペンスト・シグの胸部から放たれた光線がライガーの2枚の翼の内1枚を跡形もなく吹き飛ばす。
「ぬんッ!!!」
「!!」
ライフルに変形していたテールパーツは更に変形し、ビームエッジを持つ2刀となり、逃げようとするライガーを必要最低限の動きで追いかけ、的確にダメージを積み重ねていく。
「必殺! 大! 雪ッ! 山ッ!!!」
「目障りな複製品は失せろッ!!」
ドラゴンをゲッター3の伸縮自在の両腕が締め上げ、天へと伸びる動きでドラゴンの巨体を引き裂きながら上空へと投げ飛ばす、シグは手にしていたテールパーツを投げ捨て、両腕のエネルギークローを展開し、獣のような動きでライガーに組み付き、その爪でライガーを引き裂く。
「おろしいぃぃぃッ!!!」
「目障りだ、消え失せろッ!!!」
市街地から外れた所に叩きつけられたドラゴンは上半身が拉げ、脚部を数回痙攣させると爆発炎上し、その姿を消し……ライガーはシグの両手のエネルギークローで胸部をズタズタ引き裂かれ、更に動力部を強引に引き抜かれながら、繋がっているパイプからオイルを撒き散らし――その活動を停止させるのだった……
ラドラと武蔵がドラゴンとライガーを屠った頃。キョウスケ達も残す敵は青い指揮官だけとなっていたが、その指揮官機の動きだけが桁違いに良かった。
「ぐあっ! く、くそ。グルンガストとジガンスクードで押さえれないとか化け物かッ!」
「くそ、これじゃあ、最強の盾の名を返上しないといけねえッ!!」
レーザーブレードで切り裂かれ、蹴りを叩き込まれたグルンガストがビルに叩きつけられた。、ジガンスクードは両腕に装備しているその盾を切り裂かれた上に頭部にレーザーブレードを突きこまれ、完全に視界を失っていた。
「!」
「今の動きは……!」
だがその動きにギリアムとラトゥーニは見覚えがあった。動きを停止させたラトゥーニを見てガーネットが慌てて通信を繋げる。
「どうしたの、ラトゥーニ!? 機体トラブルなの」
「う、うん……違う、あの機体の動き、見覚えがあるの……」
動きに見覚えがあると告げるラトゥーニ、その呟きはオープンチャンネルで全員のコックピットに響いた。
「見覚えがあるって……あれ、敵の新型機よ!?」
「そうだよ、交戦するのだって今回が初めてなんだよ?」
前回はイングラムを救出し、即座に撤退したエゼキエル。そして今回の戦いが初めての交戦であり、戦闘データはなどある訳が無い。だがラトゥーニはその動きを見たことがあると断言した。
「………まさか……な」
そしてギリアムもまたその動きに見覚えがあり、一瞬脳裏に浮かんだ考えに何を馬鹿なと首を振り。エゼキエルへと向き直る。
「無事な機体は撤退支援を行え! あの指揮官機は並じゃないッ!」
キョウスケがそう叫んでエゼキエルへとアルトアイゼンを突撃させる。ゆっくりと振り返ったエゼキエルはその腕でリボルビングステークを受け止める。
「コノオト……タイプT……」
「何?」
接触通信で告げられた声にキョウスケは一瞬動揺し、その一瞬でエゼキエルはリボルビングステークを掴んだまま、アルトアイゼンを背負い投げの要領で地面に叩きつける。
「がっはっ!!」
「排除……する」
アルトアイゼンの重量と、エゼキエルの膂力によって叩きつけられ、アルトアイゼンのコックピットでキョウスケは悶絶し――動く事の出来ないアルトアイゼンにレーザーブレードの切っ先を突き降ろそうとするエゼキエルにR-1が走る。
「うおおおおッ!!」
「……アマイ……」
R-1の決死の突撃はエゼキエルの膝蹴りによって防がれ、宙を舞ったR-1に文字通りエゼキエルの鉄拳が突き刺さる。
「ぐふうっ!?」
ビルに背中から盛大叩きつけられ、崩壊したビルの瓦礫の中に消えるR-1。今度こそアルトアイゼンにトドメを刺そうとしたエゼキエルだが、
「色男さん、合わせてよねんッ!」
「言われるまでも無いッ!!」
ヴァイスリッターのオクスタンランチャーEモードとR-2のハイゾルランチャーの弾雨を横から喰らいエゼキエルの巨体は大きく吹き飛ばされる。
「この距離貰った」
「取らせて貰うぞッ!!!」
メガ・プラズマカッターとダブルビームクローの追撃がエゼキエルへと突き刺さろうとしたその瞬間。エゼキエルの両腕はさも当然のようにメガ・プラズマカッターとビームクローを展開しているシグの手首を掴む。
「……コノウゴキ……マダクセガナオラナイノカ……」
「「!?」」
接触通信から告げられた言葉にギリアムとラドラが一瞬硬直し、エゼキエルの回し蹴りでタイプR、ゲシュペンスト・シグ共に大きく吹き飛ばされる。
「でやあッ!!!」
「このおッ!!!」
サイバスターとヴァルシオーネの挟み打ちも、エゼキエルは側面にも目があると言わんばかりに振り返る事無く回避し、サイバスターとヴァルシオーネの頭部を掴んで互いを正面衝突させ、その衝撃で前後不覚となったサイバスターとヴァルシオーネにエゼキエルの両腰から迫り出した集束機から光弾が発射され、サイバスターとヴァルシオーネはそのまま墜落していく。
「つ、強い! なんて性能なの」
「……このままでは不味い、全滅しちまうぜ!?」
エースパイロットと呼ばれる者達が次々と撃墜されて行く光景を見て、リオとジャーダが悲鳴をあげる。指揮官機である事は判っていた、だがエゼキエルの強さは今までのエアロゲイターの機体を圧倒的に上回っていた。
「ゲッタービィィィムッ!!!」
マントを纏って急降下してきたゲッターロボのスパイラルゲッタービームがトドメを刺そうとしていたエゼキエルの動きを止め、僅かに後退させる。
「……ゲッターロボ……確認」
「なんだこいつ……妙な感じだ」
エゼキエルからハガネのPT隊を護るように着地したゲッターロボにエゼキエルは視線を向ける。暫くの間レーザーブレードとゲッタートマホークを向け合うゲッターロボとエゼキエル……2機の間に凄まじい威圧感が満たされるが、先に気配を霧散させたのはエゼキエルだった。レーザーブレードを収納し、ゲッターロボに背を向けると現れた時と同じ様に転移で姿を消した。見逃されたと言う事は全員が理解し、エアロゲイターの圧倒的な戦力を体感したキョウスケ達は一言も発する事無く、ハガネとヒリュウ改へと帰還していく。エアロゲイターの本隊との初戦は完膚なきまでの敗北であった……
伊豆基地に帰還したヒリュウ改とハガネは今回交戦したナイトの分析を行う為、PT隊には半日休憩を指示し、ダイテツ達を初めとした首脳陣はデータ室へと集まっていた。
「ご苦労様です、ギリアム少佐。特別調査任務の方は終わったのですか?」
「いえ。まだ継続中ですが、ラドラと共にハガネとヒリュウ改と行動せよと指示を受けたので、このままご厄介になろうと考えています」
ギリアムの言葉にダイテツとテツヤの顔が険しい物となる。恐竜帝国のキャプテンと名乗ったラドラには僅かな不信感があるのは仕方ないことだ。
「ギリアム少佐。ラドラが恐竜帝国と言う事を君は知っていたのかね?」
「いえ、ただ彼は自分には前世の記憶があると良く酒の席で口にしていました。冗談だと思っていたのですが……まさか真実だったとは」
「では知らなかったと」
「はい、情報部に所属していることもあり、良く酒を飲む事はありましたが……彼のプライベートまでは詳しく知っているわけではないですので」
ギリアムとダイテツは暫く互いの顔を見つめていたが、ギリアムの言っている事を真実だと判断し、それ以上ラドラの事を追求するのは止め、本題であるナイトへの分析へと話題を戻す。ギリアム少佐、そしてラドラの所有するゲシュペンスト・シグはこの状況では頼もしい味方となる。下手に過去を追及するべきではないと判断したのだ。
「……現在、我が隊の現場の指揮官はキョウスケ・ナンブ中尉が務めているのですが……」
「異論はありません。自分は任務の都合上、身軽な方が助かりますから」
キョウスケが指揮官になることに不満は無いだろうがと思っていたショーンだが、ギリアムの異論は無いと言う言葉に安堵の表情を浮かべる。だがそれが任務の都合上と言われ、ギリアムの任務とはと疑問に感じ、その事を尋ねてみることにしたのだ。
「しかし、随分前から気になっていたのですが……少佐の任務とは?」
「……機密事項ですので、詳しく話は出来ませんが。とある者の追跡調査と、ある物の捜索とだけお答えしておきましょう」
遠回しに話す事が出来ないというギリアムにこれ以上問いただす事は出来ないとショーンは判断し、わかりましたと返事を返す。データ室に妙な空気が広がった時自動扉が開き、カイがデータ室に入室してくる。
「久しぶりだな、ギリアム。お前とは教導隊以来か?」
「カイ少佐もお元気そうで何よりです」
「ハッハッハ、俺はそれが取り柄だからな。しかし、俺を態々呼んだ理由はなんだ? ラドラの奴に会いに行くつもりだったんだが」
同じ教導隊であり、顔を見合わせることの無いラドラに会いに行こうと思っていたと言うカイ。DCとの戦争で教導隊は敵味方に別れたが、退役してから会う事のないラドラの顔を見たいと思うのは当然の事だろう。
「すいません……遅れました」
データ室におどおどと入ってくるラトゥーニ。その姿を見て、ギリアムはやっと話を始めることが出来ると笑い、コンソールを操作する。
「では、まずこの戦闘データを見てください」
データ室のモニターに先ほどのナイトとの戦闘データが映し出される。
「これは先ほどの戦闘で、ラトゥーニ少尉が記録・分析した物です」
「敵の青い新型……AGXー12ナイトと呼称される事になった機体ですね」
映像を見てレフィーナが告げる、ハガネとヒリュウ改のPT隊を一蹴した新型。その強さは紛れも無い脅威だ。
「キョウスケ中尉は指揮官機ではないかと言っていましたね」
「問題なのは、青い新型機の性能ではなく、その動きの事です」
この分析で戦闘力の事を考えると思いきや、その動きに問題があるというギリアムの言葉にダイテツ達は首を傾げた。
「ラトゥーニ少尉はナイトの動きに見覚えがあると報告しています、そして私とラドラもまたその動きに見覚えがありました」
「……モーションデータの記録を見たのですが、スクールにいた時にこの動きを見た事があります」
「スクール時代? いや、これは敵の新型だぞ? 間違いないのか?」
スクール時代に見た記録と聞いて、テツヤが怪訝そうな顔をして尋ねる。
「む……? あの動き、俺も覚えが……」
モニターを見ていたカイもナイトの動きに見覚えがあると告げる。3人の教導隊が見覚えがあり、そしてスクールにいたラトゥーニも見た事がある……
「待て、待て待て、ギリアム。この動きの癖は……俺達の物じゃないッ! カーウァイ隊長の物だ!」
「その通りです、恐らくエルザム、ゼンガーも気付いたでしょう」
教導隊のメンバーだけが判る、敵の新型のモーションデータの癖。カイが叫んだ名前にショーンが眉を顰めた。
「カーウァイ・ラウ……教導隊のメンバーでしたね? 確かゲシュペンストSのテスト中に行方不明になった……」
機体ごと行方不明となっているはずの人物の操縦の癖がエアロゲイターの新型に出ている。
「ギリアム、お前はカーウァイ大佐がエアロゲイターの機体に乗っているとでも言うのか?」
「……可能性はあります、イングラム少佐にも洗脳されている疑惑があると言う報告がある以上、カーウァイ大佐も同じく操られ、エアロゲイターの尖兵となっている可能性はゼロではありません」
イングラムへの洗脳疑惑、そしてそれはカーウァイ大佐もまた操られていると言う可能性に繋がる。
「しかしそれもあくまで可能性の段階の話になりますが、今回の件とイングラム少佐の過去の行動を調査すれば、エアロゲイターの本当の目的も判明するかもしれません」
ギリアムが真剣な表情で告げた言葉、それはエアロゲイターとの戦いの尖兵に同じ地球人が使われているかもしれないと言う可能性が示唆されたのだった……
そしてダイテツ達がデータ室で話をしている頃……食堂では異様な緊迫感に満たされていた。
「久しぶりって言うべきなのかな」
「そうなるのだろうな」
ラドラと武蔵が向かい合い、互いに複雑な表情をし話を切り出すタイミングを互いに計りあっているのだった……
第52話 ラドラと武蔵
今回は話の内容を大幅アレンジしました。エアロゲイター側に量産型ドラゴン、ライガー、ポセイドンの参戦ルートです。ゲッターがいるから、敵もハードモードでお送りすることとなりました。次回はオリジナルの話でラドラと武蔵の話を書いていこうと思います、それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか
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サイドまたは視点は必要
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今のままで良い